説明

照明装置、照明器具および照明制御システム

【課題】各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御
システムを提供する。
【解決手段】照明装置10は、第1〜第4光源11〜14と制御部30を具備する。第1
光源11は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源12
は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源13は、相対
的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源14は、相対的に相関
色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い。制御部30は、前記各光源の光束、相関
色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種の照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具およ
び照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の照明環境を造り出すため、一般的には蛍光灯の白い光や電球の暖かい光など、光
色が異なりかつ調光可能な複数の光源を備えることにより、光色と明るさを調整すること
が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184910号公報
【特許文献2】特開2008−300117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の照明環境を演出するためには、例えば、店で選んだ色の服で外を
歩いた場合に、思っていた色と違って見えるようなことが生じないように、色の見え方(
演色性)も良好にすることが必要である。このため、光色と明るさを制御できるとともに
、色の見え方を如何にして制御し、各種多様な照明環境を造り出すかが重要な課題になっ
ている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、各種多様な照明環境を造り出すことが可
能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における照明装置は、第1〜第4光源と制御部を具備する。第1光源
は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源は、相対的に
相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源は、相対的に相関色温度が
低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的
に平均演色評価数が低い。制御部は、前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の
少なくとも2つを制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具およ
び照明制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である照明装置の発光モジュールを示し、(a)は正面図 、(b)は裏面図。
【図2】同じく照明装置の光源を拡大して示す断面図。
【図3】同じく照明装置における各光源の分光分布図。
【図4】同じく照明装置の発光モジュールを、一部を拡大して示す正面図。
【図5】同じく照明装置の電気回路図。
【図6】同じく照明装置における器具光束を一定とし、相関色温度3500Kで平均 演色評価数Ra70〜95における各光源の調光率を示すグラフ。
【図7】同じく照明装置における器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相 関色温度2850K〜5000Kにおける50K刻みの各光源の調光率を示すグ ラフ。
【図8】同じく照明装置におけるJIS演色評価試験色の色差ΔE*abを示すグラフで、(a)は器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度を50K刻みで変化させたときの、JIS演色評価試験色No.1〜No.4の色差ΔE*abを示すグラフ、(b)は器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度を50K刻みで変化させたときの、JIS演色評価試験色No.5〜No.8の色差ΔE*abを示すグラフ、(c)は器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度を100K刻みで変化させたときの、JIS演色評価試験色No.1〜No.4の色差ΔE*abを示すグラフ、(d)は器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度を100K刻みで変化させたときの、JIS演色評価試験色No.5〜No.8の色差ΔE*abを示すグラフ。
【図9】同じく照明器具を示し、(a)は一部を切り欠いて示す斜視図、(b)はベ ース体の正面図。
【図10】同じく照明制御システムを示し、照明器具が設置された天井を示す図。
【図11】同じく照明装置の変形例における発光モジュールを、一部を拡大して示す 正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に従い説明する。本実施形態は、各種多様な照明環
境を造り出すことが可能な照明ショールームに設置される照明制御システム。この照明制
御システムに用いられる照明装置および照明器具を構成するもので、先ず照明装置の構成
につき説明する。
【0010】
本実施形態の照明装置10は、発光ダイオード(以下「LED」と称す)を光源とする
照明装置で、図1(a)(b)に示すように、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均
演色評価数Raが高い第1光源11と;相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評
価数Raが低い第2光源12と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数R
aが高い第3光源13と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数Raが低
い第4光源14と;前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数Raを制御する制御
部30で構成する。
【0011】
上記の第1〜第4光源11〜14は、本実施形態では、次のように構成した。
【0012】
第1光源11は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光
体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数
Raが90以上、本実施形態では約92の第1のLEDで構成した。
【0013】
第2光源12は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光
体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数
Raが70以下、本実施形態では約70の第2のLEDで構成した。
【0014】
第3光源13は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光
体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数
Raが90以上、本実施形態では約92の第3のLEDで構成した。
【0015】
第4光源14は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光
体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数
Raが70以下、本実施形態では約67の第4のLEDで構成した。
【0016】
そして、上記第1〜第4の各光源11〜14は、SMD(Surface Mount
Device)タイプのLEDからなり、図2に示すように、青色LEDチップ15が
回路パターンを有する基板16上に実装されている。なお、LEDは、基板に直接実装さ
れる複数個のLEDチップおよびこのLEDチップから照射される光により励起される蛍
光体を含む樹脂で封止して構成されたCOB(Chip on Board)タイプであ
ってもよい。
【0017】
基板16は、放熱性と剛性を有するアルミニウム等からなる矩形状をなす平板が用いら
れ、基板16上に電気絶縁層17を介して陰極側と陽極側の回路パターン18がそれぞれ
形成されている。回路パターン18は、銅(Cu)等で構成されている。
【0018】
そして、青色LEDチップ15の底面電極が一方の電極側の回路パターン18に電気的
に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン18に対して、金線等で構成された
ボンディングワイヤ19を介して電気的に接続されている。また、基板16上には樹脂製
のフレーム20が設けられ、フレームには凹部20aが形成されている。フレーム20は
、例えば白色のPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂で構成され、凹部2
0a内の中央部に青色LEDチップ15が配置されて収容される。
【0019】
そして、青色LEDチップ15が収容された凹部20a内に蛍光体をシリコーン樹脂や
エポキシ樹脂等の透明樹脂に混合して分散させた蛍光体含有樹脂が塗布または充填されて
蛍光体含有樹脂層21が形成され、青色LEDチップ15は、この蛍光体含有樹脂層21
によって覆われて構成される。そして、青色LEDチップ15から放射される青色光と、
青色LEDチップ15によって蛍光体が励起されて放射される光とが混合して白色の光を
放射する。
【0020】
上述した第1〜第4光源11〜14は、それぞれ上述した図2と同様な構成をなしてい
るが、蛍光体含有樹脂層21に含有される蛍光体がそれぞれ異なっている。すなわち、目
的とする性能を有する蛍光体を選択することによって、必要な相関色温度および平均演色
評価数Raを有する光を得るように構成される。
【0021】
すなわち、第1光源11は、図3のグラフ中、曲線11(細点線)で示すように、ピー
ク波長約440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形
態では約5000K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では、Ra約92の光
を発光する。
【0022】
第2光源12は、図3のグラフ中、曲線12(太実線)で示すように、ピーク波長が約
440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約
5000K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約70の光を発光する

【0023】
第3光源13は、図3のグラフ中、曲線13(太点線)で示すように、ピーク波長が約
640nm近辺の範囲にある赤色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約
2700K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態ではRa約92の光を発光する

【0024】
第4光源14は、図3のグラフ中、曲線14(細実線)に示すように、ピーク波長が約
580nm近辺の範囲にある黄色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約
2700K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約67の光を発光する

【0025】
上記に構成された第1〜第4の各光源11〜14は、それぞれを構成する第1〜第4の
LEDが、図1(a)(b)に示すように、長方形状をなす基板16に対し、第1〜第4
の各LEDが配置される。各光源(第1〜第4のLED各1つ、すなわち、4つが1セッ
ト)は、12セットが直列に接続されて用いられている。そして、第1〜第4の各LED
が所定の略等しい間隔を有し、かつ、基板16の長手方向に沿って略平行に列をなすよう
に配置され、長方形状をなす発光モジュール22が構成される。上記に構成された本実施
形態の発光モジュール22の長さ寸法L1は約256mm、幅寸法W1は約84mmであ
る。
【0026】
また、本実施形態では、各光源11〜14は、次のように配置されている。すなわち、
図4に一部を拡大して示すように、長方形状をなす発光モジュール22を、図の縦方向に
8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すように、縦に4個の「低Ra」と縦に4個の「高Ra」の各LEDチップが長手方向に沿って交互になるように配置した。この配置によって、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の平均演色評価数Raを有するグループが片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の平均演色評価数Raによる略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図4中「低Ra」は、平均演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いLEDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色温度が高いLEDチップを示す。
【0027】
次に、制御部30は、上記に構成された各光源11〜14の光束、相関色温度、平均演
色評価数Raを制御するもので、図5の電気回路図に示すように、12個のLEDが直列
に接続された第1〜第4光源11〜14個々に点灯回路31が設けられ、この各点灯回路
31と電源Eとの間に制御部30が設けられる。制御部30は、マイクロコンピュータ等
で構成され、光束を制御することによって相関色温度、平均演色評価数Raの各要素をそ
れぞれ制御し、さらに光出力を制御して、各種多様な照明環境を造り出す。
【0028】
例えば、相関色温度3500K(電球色近傍)における色の見え方を良好にするために
、平均演色評価数の高いRa95の照明環境を得るためには、次のように制御する。
【0029】
図6に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、相関色温度3500K
で平均演色評価数Ra70〜95における各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比
(%)を表したグラフで、平均演色評価数Ra5刻みにおける各光源11〜14の光束比
(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源
11(曲線11)の光束比を約43%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源
12(曲線12)の光束比を約0%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源
13(曲線13)の光束比を約52%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源
14(曲線14)の光束比を約5%に、
それぞれを調光制御することによって、相関色温度3500Kにおける平均演色評価数
Ra95の照明環境を造りだすことができる。
【0030】
同様にして、平均演色評価数Ra85の照明環境は、第1光源11の光束比を約36%
、第2光源12の光束比を約5%、第3光源13の光束比を約22%、第4光源14の光
束比を約36%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にし
て、各光源11〜14の各光束比を調光制御することによって、器具光束を一定とし相関
色温度3500K(電球色近辺)における平均演色評価数Raが約70〜約95の範囲の
照明環境を造り出すことができる。
【0031】
さらに、上記と同様にして、図6のグラフに示すように、器具光束を一定とし、相関色
温度、例えば2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の光束比(%)、すなわ
ち調光率と平均演色評価数Raの関係を抽出することによって、各種の相関色温度におけ
る各種の平均演色評価数Raを有する多様な照明環境を造り出すことが可能になる。しか
も、これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能に
なる。
【0032】
また、例えば平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照
明環境を得るためには、次のように制御する。
【0033】
図7に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、平均演色評価数Ra80で相関色温度2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比(%)を表したグラフで、相関色温度50K刻みにおける各光源11〜14の光束比(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源
11(曲線11)の光束比を約40%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源
12(曲線12)の光束比を約55%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源
13(曲線13)の光束比を約0%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源
14(曲線14)の光束比を約0%に
それぞれ調光制御することによって平均演色評価数Ra80における相関色温度500
0Kの照明環境を造り出すことができる。
【0034】
同様にして、相関色温度4000Kの照明環境は、第1光源11の光束比を約38%、
第2光源12の光束比を約25%、第3光源13の光束比を約0%、第4光源14の光束
比を約38%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にして
、各光源の光束比を制御することによって、器具光束を一定とした平均演色評価数Ra8
0における相関色温度が2850K〜5000Kの多様な照明環境を造り出すことができ
る。
【0035】
さらに、上記と同様にして、図7のグラフに示すように、器具光束を一定とし、平均演
色評価数Ra、例えば70〜95における各光源11〜14の光束比(%)、すなわち調
光率と相関色温度(K)の関係を抽出することによって、各種の平均演色評価数Raにお
ける各種の相関色温度を有する多様な照明環境を造り出することが可能になる。しかも、
これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能になる

【0036】
また、制御部30では、上記のように、各光源11〜14の光束を制御することによっ
て相関色温度(K)、平均演色評価数Raの各要素をそれぞれ制御し、さらに光出力を制
御して、各種多様な照明環境を任意に造り出すことができる。さらに、これら全ての要素
を制御することなく、光束と相関色温度、光束と平均演色評価数Ra、若しくは相関色温
度と平均演色評価数Ra等、これら要素の内、少なくとも2つの要素を制御することによ
って各種多様な照明環境を造り出すことが可能になる。
【0037】
また、制御部30は、相関色温度を変化させたときに、色の見え方が不自然にならないように制御する。すなわち、上記のように、4種類の光源(LED)を用いて調光する場合、特定の相関色温度と平均演色評価数Raを実現する調光率は無限にあるため、例えば、相関色温度を4000Kで平均演色評価数Ra80の調光率を、相関色温度を4100Kで平均演色評価数Ra80の調光率に変化させときに、色の見え方が不自然になってしまう場合がある。
【0038】
そこで、制御部30によって、4種類の光源(LED)の光束比を連続的になめらかに変化させることで、色の変化を自然に見せるように制御する。ΔE*abとは色差(JIS Z 8729「色の表示方法―L*a**表色系及びL***表色系」を参照)のことであり、例えば、相関色温度4000K・平均演色評価数Ra80のL*a**色空間におけるある物体の色度を(L*1、a*1、b*1)、相関色温度4100K・平均演色評価数Ra80のL*a**色空間における前記と同等の物体の色度を(L*2、a*2、b*2)とすると、ΔE*ab=((L*2−L*1)2+(a*2−a*1)2+(b*2−b*1)20.5と書くことができる。ΔE*abが低いほど2つの光源条件での物体の色の違いは小さいことになる。ASTM, “Method E 97−53 T”,1953によれば、厳格な許容際の限界は、ΔE*abが0.6以内であり、より実用的には1.2以内としており、その範囲であれば略同一の色に見えるということができる。
【0039】
図7のように光束比をなめらかに連続的に変化させることによって、ある特定の平均演色評価数Raにおいて、50K刻みで相関色温度を変化させたときに、ΔE*abを0.6以下、100K刻みで相関色温度を変化させたときに、ΔE*abを1.2以下の範囲におさめることが可能である。これによって、相関色温度を50〜100K刻みで変化させて行ったときに、物体の色を違和感なく見せることができる。
【0040】
図8(a)(b)に平均演色評価数Ra80で、50K刻みで相関色温度を変化させたときのJIS演色評価試験色No.1〜No.4およびNo.5〜No.8のΔE*abを示す。また、図8(c)(d)に、平均演色評価数Ra80で、100K刻みで相関色温度を変化させたときのJIS演色評価試験色No.1〜No.4およびNo.5〜No.8のΔE*abを示す。なお、図8(a)〜(d)のグラフにおいて、試験色No.1〜No.8の表示は、JIS演色評価試験色No.1〜No.8を表している。
【0041】
以上から明らかなように、平均演色評価数Ra一定条件の基で、50K〜100K刻みで相関色温度を変化させていったとき、JIS演色評価色票No.1〜No.8の色の変化が、2850K以上の相関色温度範囲で色差ΔE*abが0.9以下となっているように、制御部30によって制御することによって、色の見え方が不自然に変化することがなく、違和感のない連続的な照明パターンを造りだすことが可能になる。
【0042】
また、制御部30は、演算部によって都度演算して任意または連続的に各種の照明環境
を造り出すように制御してもよいが、予め決められた各種の照明パターン、すなわち、実
現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、予め各光源11〜14
の調光率を計算したテーブルを記憶部に保持しておき、記憶された照明パターンを適宜呼
び出すことによって色の見え方が自然な各種多様な照明環境、シーンを演出するようにしてもよい。記憶させる照明パターンは、例えば、朝・昼・夕の一日の時間帯や季節等の時間的要素、天候や気温等の自然的要素、部屋の使用状況、住宅・オフィス・作業場・工場等の使用環境等の各要素を勘案して、各種の照明パターンを作成するとよい。
【0043】
上記により、基板16に実装された第1〜第4の各LEDからなる光源11〜14を有
し、各光源を制御する制御部30を具備する照明装置10が構成される。上記に構成され
た照明装置10は、照明装置1個で構成してもよいが、複数個用いることによって照明器
具が構成される。本実施形態の照明器具は、図9に示すように、照明装置10を8個使用した天井埋込形の照明器具を構成した。
【0044】
次に、照明器具の構成につき説明する。照明器具40は、図9(a)(b)に示すように、器具本体41と、器具本体41に配設された上記構成の照明装置10で構成される。
【0045】
器具本体41は、略正方形をなす鋼板等からなるベース体41aと、ベース体41aを
カバーする乳白色の合成樹脂からなるセード41bで構成される。本実施形態における器
具本体41の縦・横寸法は、約600mmに構成した。
【0046】
ベース体41aには、上記に構成した照明装置10が8個設置される。8個の照明装置
は、4個ずつに分けられ、正方形のベース体41aの一辺に略平行し、各照明装置10が
略等しい間隔を有して配置される。各照明装置10は、並列になるように電気的に接続さ
れ、8個の照明装置10における各光源11〜14の各点灯回路31が集められ、制御部
30と共に点灯ケース31a内に収容されベース体41aの裏面側に設置される。そして
各照明装置10は、各点灯回路31および制御部30を介して電源Eに接続される。
【0047】
なお、本実施形態において、照明器具40は、相関色温度が約3000K近辺の電球色
で平均演色評価数Raが60と90、また相関色温度が約6500K近辺の昼光色で平均
演色評価数Raが60と90の4種類のLEDを搭載した8個の照明装置10によって、
可変色・可変演色性器具として構成した。
【0048】
なお、本実施形態において、制御部30は、8個の照明装置10の調光率データを同一
として共通に制御することによって色の見え方が自然な各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、8個の照明装置10の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等を組み合わせたり、4個の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。なお、図中、Pは部屋の壁面に設置される操作パネル、Rはリモコンで、目的とする照明環境を造りだすための無線信号を制御部30に対して送信するもので、操作パネルPとリモコンRの両方を設置しても、いずれか一方を設置するようにしてもよい。また、制御部30は、操作パネルPまたはリモコンR内に設けられたものであってもよい。
【0049】
次に、上記に構成された照明器具を用いた照明ショールームに設置される照明制御シス
テムの構成を説明する。本実施形態の照明制御システム50は、図10に示すように、上記構成の照明器具40を9台使用して構成される。
【0050】
各照明器具40は、ショールームに設置された部屋の略正方形をなす天井Xに、3台ず
つが3列に略等間隔に位置するように設置される。そして、各照明器具40は、並列にな
るように電気的に接続され、9台の照明器具40を共通に制御する制御部30が天井等に
設けられて構成される。また、操作パネルPが壁面に設置され、リモコンRが設置されて
照明制御システム50が構成される。
【0051】
上記に構成された照明制御システム50は、ショールームの来場者に対して、ガイドが
リモコンRまたは操作パネルPを操作し、色の見え方が自然な色温度と演色性の連続的変化を体感してもらうことができる。特に本実施形態によれば、平均演色評価数Ra、すなわち、演色性を変化させることができ、居住者の顔色が良くなったり悪くなったりすることが顕著に現われ、平均演色評価数Raの変化を実際に体感できる。また、同時に相関色温度も変化させることができ、相関色温度の変化、例えば、電球色から昼白色さらには昼光色に至る空間の雰囲気を体感することもできる。また、予め記憶されたそれぞれの照明環境を、単にリモコンRのボタンを押す操作によって、簡単かつ確実に造り出すことができる。さらに、各種の照明設計仕様を再現することも可能で、仕様決定の場とすることも可能になり、特に照明ショールームに好適な照明制御システムを提供することが可能になる。
【0052】
なお、本実施形態の照明制御システムにおいて、制御部30は、9台の照明器具40の
調光率データを同一にして共通に制御することによって色の見え方が自然な各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、9台の照明器具40の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等の器具を組み合わせたり、器具の一部の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。また、本実施形態において、照明制御システム50は、照明器具40のみによって構成したが、照明器具40と照明装置10を組み合わせて構成してもよい。さらに、照明装置10のみによって構成してもよい。
【0053】
以上、本実施形態において、各光源をLEDで構成したが、LEDに替えて白熱電球や
蛍光ランプ等を組み合わせて構成しても、LEDにこれら白熱電球や蛍光ランプ等を組み
合わせて構成してもよい。また、相関色温度を5000K以上の光源と3000K以下の
光源で構成したが、用途に応じて5000K〜3000K以内の相関色温度を有する光源で構成してもよい。また、平均演色評価数Raを90以上の光源と70以下の光源で構成したが、用途に応じて90〜70以内の平均演色評価数Raを有する光源で構成してもよい。
【0054】
また、各光源の基板への配置は、図11に一部を拡大して示すように、長方形状をなす
発光モジュール22を図の縦方向に8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すよ
うに、相関色温度が低いLEDチップ「L」と、相関色温度が高いLEDチップ「W」の
LEDチップが交互になるように配置した。換言すれば、「L」と「W」のLEDチップ
のグループが、図中矢印で示すように対角線上に位置して交差するように配置した。この
配置によって、「L」と「W」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の相関色温
度を有するグループが一方に片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の相関
色温度による略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図11中「低Ra」は、平均
演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いL
EDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色
温度が高いLEDチップを示す。
【0055】
また、本実施形態において、照明器具は、上記に例示した照明ショールームに限らず、
店舗、オフィスなど施設・業務用等、さらに住宅用の各種の照明器具、さらには防犯灯・
街路灯・道路灯など屋外用の各種照明器具を構成してもよい。以上、本発明の好適な実施
形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
10 照明装置
11 第1光源
12 第2光源
13 第3光源
14 第4光源
30 制御部
40 照明器具
41 器具本体
50 照明制御システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い第1光源と;
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い第2光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い第3光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い第4光源と;
前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する制御部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温
度が5000K以上、平均演色評価数が90以上の第1の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温
度が5000K以上、平均演色評価数が70以下の第2の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温
度が3000K以下、平均演色評価数が90以上の第3の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温
度が3000K以下、平均演色評価数が70以下の第4の発光ダイオードと;
前記各発光ダイオードの光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する
制御部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、平均演色評価数一定条件の基で、50〜100K刻みで相関色温度を変化させたとき、JIS演色評価色票No.1〜No.8の色の変化が、色差ΔE*abで0.9以下となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
器具本体と;
器具本体に配設された請求項1ないし3いずれか一に記載の照明装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項5】
請求項1ないし3いずれか一に記載の照明装置およびまたは請求項4に記載の照明器具を具備していることを特徴とする照明制御システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−84544(P2013−84544A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3976(P2012−3976)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】