照明装置、表示装置、および表示装置を備えた電子機器
【課題】観察者側に出射される光にムラを発生させることなく、輝度が低下するのを抑制することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】この照明装置10は、光源として設けられた有機EL素子2と、有機EL素子2の光出射側に配置され、有機EL素子2に対向する側の第1表面1cと、第1表面1cとは反対側の第2表面1dとを有するガラス基板1aと、ガラス基板1aの第1表面1c側に設けられ、有機EL素子2から出射される光を発散させるための凹形状部1eと、凹形状部1eを覆うように設けられ、凹形状部1eとは異なる屈折率を有する樹脂層4とを備える。
【解決手段】この照明装置10は、光源として設けられた有機EL素子2と、有機EL素子2の光出射側に配置され、有機EL素子2に対向する側の第1表面1cと、第1表面1cとは反対側の第2表面1dとを有するガラス基板1aと、ガラス基板1aの第1表面1c側に設けられ、有機EL素子2から出射される光を発散させるための凹形状部1eと、凹形状部1eを覆うように設けられ、凹形状部1eとは異なる屈折率を有する樹脂層4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、表示装置、および表示装置を備えた電子機器に関し、特に、発光素子部を備えた照明装置、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子部を備えた表示装置が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、発光素子部として設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が複数設けられた照明部と、照明部を光源とする反射型液晶表示部とを備えた表示装置が開示されている。上記特許文献1に記載の表示装置では、照明部はフロントライトとして構成され、反射型液晶表示部に接着されている。照明部は、平坦面状の基板上に配置された有機EL素子からの光が基板を透過して反射型液晶表示部側に照射されるボトムエミッション型により構成されている。そして、照明部から照射された光は、反射型液晶表示部において照明部側に反射されるとともに、照明部を透過して観察者側に照射されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−350303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された表示装置では、フロントライトとして用いられる照明部の有機EL素子は、反射型液晶表示部と観察者との間に設けられているため、有機EL素子により反射型液晶表示部からの反射光が遮光され、その結果、観察者側に出射する光の輝度が低下するという不都合がある。このため、これに対して各々の有機EL素子の間隔をより大きくして配置することによって、遮光される反射光の量を低減させる方法が考えられる。しかしながら、この場合、有機EL素子の間隔を大きくする分、有機EL素子から反射型液晶表示部に照射される光にムラが発生するという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、観察者側に出射される光にムラを発生させることなく、輝度が低下するのを抑制することが可能な照明装置、表示装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
この発明の第1の局面による照明装置は、光源として設けられた発光素子部と、発光素子部の光出射側に配置され、発光素子部に対向する側の第1表面と、第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、凹形状部を覆うように設けられ、凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを備える。
【0007】
上記第1の局面による照明装置では、上記のように、発光素子部の光出射側に配置された透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に、発光素子部から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部を備えることによって、発光素子部から透光性基板側に出射した光を、凹形状部によって発散させた状態で透光性基板を介して外部に照射させることができる。したがって、発光素子部からの光を発光させる凹形状部を有しない場合に比べてより広範囲にわたって照射させることができるので、各々の発光素子部の配置間隔を大きくすることにより開口率を増加させたとしても、照明装置から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。これにより、たとえば、照明装置の光出射側に反射型液晶表示部を配置した場合においても、ムラのない光を反射型液晶表示部に照射することができる。また、反射型液晶表示部からの反射光を照明装置に照射する際においても、光のムラを発生させることなく各々の発光素子部の配置間隔を大きくする(開口率を増加させる)ことができるので、発光素子部により反射光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側に照射される光の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部を覆うように、たとえば、凹形状部とは屈折率の異なる被覆層を設けることによって、凹形状部と被覆層との界面において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0008】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、平面的に見て、円形状に形成されている。このように構成すれば、凹形状部により光を発散させる場合に、平面的に見て全ての方向に均一に光を発散させることができる。
【0009】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、透光性基板の第1表面および第2表面の少なくとも一方に一体に形成されている。このように構成すれば、凹形状部を、透光性基板と別個に設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0010】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、透光性基板の第1表面に一体に設けられた第1凹形状部と、第2表面に一体に設けられた第2凹形状部とを含み、被覆層は、透光性基板の第1表面の第1凹形状部を覆うように設けられ、透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層と、透光性基板の第2表面の第2凹形状部を覆うように設けられ、透光性基板よりも屈折率の小さい第2樹脂層とを含む。このように構成すれば、発光素子部から出射した光を、透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層から透光性基板の第1表面に入射する際に、透光性基板の第1凹形状部において光が発散するように屈折させるように構成することができる。そして、第1凹形状部により発散された光を、互いに屈折率の異なる第2樹脂層と透光性基板の第2凹形状部との界面においても、光が発散するように屈折させることができる。したがって、第2凹形状部によりさらに光を発散させることができる。これらにより、透光性基板の第1凹形状部と第2凹形状部との両方においてそれぞれ光を発散させることができるので、光のムラが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、透光性基板の第2表面の第2凹形状部は、第1表面の第1凹形状部よりも大きい幅を有する。このように構成すれば、第2凹形状部の幅が第1凹形状部よりも大きい分、第1凹形状部により光が広範囲にわたって発散しても第2凹形状部に容易に導くことができる。
【0012】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、発光素子部の発光層からの光は、凹形状部により発散されるとともに、透光性基板を透過して外部に照射されるように構成されている。このように構成すれば、発光素子部を有機エレクトロルミネッセンス素子により構成した場合においても、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射する光を凹形状部によって発散させることにより、外部に照射される光にムラが発生するのを容易に抑制することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による表示装置は、光源として設けられた発光素子部と、発光素子部の光出射側に配置され、発光素子部に対向する側の第1表面と、第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、凹形状部を覆うように設けられ、凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを含む照明部と、照明部の発光素子部からの光を反射して表示を行う表示部とを備える。
【0014】
上記第2の局面による表示装置では、上記のように、照明部における発光素子部の光出射側に配置された透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に、発光素子部から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部を備えることによって、発光素子部から透光性基板側に出射した光を、凹形状部によって発散させた状態で表示部に照射させることができる。これにより、発光素子部からの光を発散させる凹形状部を有しない場合と比べて、より広範囲にわたって照射させることができるので、各々の発光素子部の配置間隔を大きくしても照明装置から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。また、光を反射して表示を行う表示部からの反射光を照明部に照射する際においても、光のムラを発生させることなく各々の発光素子部の配置間隔を大きくすることができるので、反射光の一部が発光素子部により遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側から見た場合の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部を覆うように、たとえば、凹形状部とは屈折率の異なる被覆層を設けることによって、凹形状部と被覆層との界面において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0015】
上記第2の局面による表示装置において、好ましくは、表示部は、反射型液晶表示部から構成されるとともに、発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、照明部の発光層からの光は、凹形状部を介して発散された状態で、反射型液晶表示部に照射されるように構成されている。このように構成すれば、照明部の発光素子部を有機エレクトロルミネッセンス素子により構成するとともに、表示部を反射型液晶表示部により構成した場合においても、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射する光を凹形状部によって発散させることにより、反射型液晶表示部に照射される光にムラが発生するのを容易に抑制することができる。また、光のムラが発生するのを抑制しながら有機エレクトロルミネッセンス素子の配置間隔を大きくすることができるので、反射型液晶表示部からの反射光の一部が有機エレクトロルミネッセンス素子により遮光されるのを抑制することができる。
【0016】
この発明の第3の局面による電子機器は、上記した構成を有する表示装置を備える。このように構成すれば、観察者側に出射される光にムラを発生させることなく、輝度が低下するのを抑制することが可能な表示装置を含む電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による照明装置を備えた表示装置の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による照明装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分の構成について説明するための拡大平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図(図3の500−500線に沿った断面図)である。
【図5】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図(図3の600−600線に沿った断面図)である。
【図6】本発明の第1実施形態による照明装置を備えた表示装置を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第1の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【図10】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第2の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【図11】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第3の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による表示装置100の構成について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による表示装置100は、図1に示すように、フロントライト型の照明部10と、反射型液晶表示部20とを備えている。なお、照明部10および反射型液晶表示部20は、それぞれ、本発明の「照明装置(照明部)」および「表示部」の一例である。
【0021】
照明部10は、一対のガラス基板1aおよび1bと、ガラス基板1aおよび1b間に配置された複数の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)2とを備えている。ガラス基板1aとガラス基板1bとは、互いの周辺部分に塗布された樹脂などからなるシール層3を介して接着されている。ガラス基板1aの表面上には、樹脂層4が形成されているとともに、樹脂層4の表面上に有機EL素子2が形成されている。有機EL素子2は、平面的に見てマトリクス状に配置(図2参照)されている。また、ガラス基板1bの表面上には、ガラス基板1a側の有機EL素子2が配置された領域に対応する位置に、それぞれ、遮光膜5が形成されている。なお、ガラス基板1aおよび1bは、本発明の「透光性基板」の一例である。また、有機EL素子2および樹脂層4は、それぞれ、本発明の「発光素子部」および「第1樹脂層(被覆層)」の一例である。
【0022】
有機EL素子2は、陽極層2a、有機層2bおよび陰極層2cが、この順番に積層されることにより構成されており、陽極層2aおよび陰極層2c間に印加される電圧により有機層2bが発光するように構成されている。また、陽極層2aの表面上のうちの有機層2bが設けられない領域には透光性を有する絶縁膜6が形成されている。絶縁膜6は、陽極層2aと陰極層2cとが短絡するのを抑制するために設けられている。また、図1および図2に示すように、樹脂層4の表面上には、櫛歯状に形成されたITOからなる第1透明電極7および第2透明電極8が形成されている。櫛歯状の第1透明電極7および第2透明電極8は、互いの歯部7aと歯部8aとが交互に配置されるように構成されている。そして、第1透明電極7から陽極層2aに正の電圧が印加されるとともに、第2透明電極8から陰極層2cに負の電圧が印加されるように構成されている。なお、有機層2bは、本発明の「発光層」の一例である。
【0023】
ここで、図3〜図5を参照して、光源部分である有機EL素子2が形成された領域の構成について詳細に説明する。
【0024】
まず、図3および図4(図3の500−500線に沿った断面図)に示すように、第1透明電極7の歯部7aの表面上には、所定の間隔を隔てて有機層2bが設けられており、歯部7aのうち、有機層2bが配置された領域が陽極層2aとして構成されている。そして、有機層2bを覆うように陰極層2cが形成されている。陰極層2cは、たとえば、アルミニウムにより形成されており、有機層2bが発光した際に光を陽極層2a側に反射させる機能を有する。
【0025】
また、図3および図5(図3の600−600線に沿った断面図)に示すように、第2透明電極8の表面上には絶縁膜6が形成されているとともに、絶縁膜6の歯部8a上に位置する領域には穴部6aが形成されており、穴部6aを介して陰極層2cが第2透明電極8に接触するように形成されている。陰極層2cは、穴部6aを覆うとともに、穴部6aから有機層2bを覆う位置にまで延びるように形成されている。
【0026】
以上の構成により、第1透明電極7の歯部7a(陽極層2a)に印加された正の電圧と、第2透明電極8の歯部8aを介して陰極層2cに印加された負の電圧とが有機層2bに印加されることによって有機層2bがZ1方向側に発光する。そして、陰極層2cが反射部材として機能することにより、Z2方向側に漏れる光は、陰極層2cにより反射されてガラス基板1a側に照射される。すなわち、第1実施形態における照明部10は、有機EL素子2が配置されたガラス基板1aを介して外部(Z1方向側)に光を照射するボトムエミッション型により構成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、ガラス基板1aの有機EL素子2が配置された側(Z2方向側)の表面である第1表面1cには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(第1実施形態では有機層2bの直下部)に、凹形状部1eがガラス基板1aと一体に形成されている。また、図2に示すように、凹形状部1eは、平面的に見て円形形状を有しているとともに、凹形状部1eの上部に配置された有機層2bも凹形状部1eと同様に円形形状に形成されている。これにより、凹形状部1eに入射した光は、平面的に見て全ての方向に均一に発散するように構成されている。また、図5に示すように、樹脂層4は、ガラス基板1aおよび凹形状部1eを覆うように形成されているとともに、樹脂層4の有機EL素子2が配置される側(Z2方向側)の表面は平坦面状に形成されている。なお、第1実施形態における凹形状部1eは、本発明の「第1凹形状部」の一例である。
【0028】
また、第1実施形態では、樹脂層4は、ガラス基板1a(屈折率約1.5)よりも小さい屈折率を有する。具体的には、樹脂層4は、たとえば、含フッ素脂環式ポリイミド(屈折率1.47以上1.48以下)、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(屈折率約1.43)の他、フッ素含有アクリレート類など、フッ素系樹脂およびアクリル系樹脂などにより構成されている。これにより、有機層2bから照射された光は樹脂層4を透過するとともに、樹脂層4よりも屈折率の高いガラス基板1aに入射する。そして、有機EL素子2からの光は、ガラス基板1aの凹形状部1eに入射する際に凹形状部1eにより発散するとともに、発散した状態でガラス基板1aを透過して反射型液晶表示部20側(Z1方向側)に照射されるように構成されている。
【0029】
次に、図6を参照して、反射型液晶表示部20の構成について説明する。反射型液晶表示部20は、一対のガラス基板21aおよび21bを備え、ガラス基板21aの表面上に複数のスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)22が形成されている。薄膜トランジスタ22の表面上には層間絶縁膜23が形成されているとともに、層間絶縁膜23の表面上には、各々の薄膜トランジスタ22に対応するように画素電極24が形成されている。そして、薄膜トランジスタ22と画素電極24とは、層間絶縁膜23に形成されたコンタクトホール23aを介して接続されている。また、画素電極24は、アルミニウムなどの反射材料から構成されており、照明部10から入射した光を観察者側(Z2方向側)に反射する機能を有する。また、ガラス基板21bのガラス基板21aに対向する側(Z1方向側)の表面には共通電極25が形成されている。そして、ガラス基板21aおよび21b間には、液晶30が充填されている。また、ガラス基板21bの共通電極25が形成された側の表面とは反対側(Z2方向側)の表面上には光散乱層26が形成されているとともに、光散乱層26の表面上には偏光板27が形成されている。
【0030】
そして、反射型液晶表示部20と照明部10とは、反射型液晶表示部20の偏光板27と照明部10のガラス基板1aとの間に設けられた樹脂性の接着層40によって互いに接着されている。
【0031】
第1実施形態では、上記のように、ガラス基板1aの第1表面1cに、有機EL素子2から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部1eを設けることによって、有機EL素子2からガラス基板1aに出射した光を、凹形状部1eによって発散させた状態でガラス基板1aを介して外部に照射させることができる。したがって、有機EL素子2からの光を発散させる凹形状部1eを有しない場合に比べて、より広範囲にわたって照射させることができるので、各々の有機EL素子2の配置間隔を大きくすることにより開口率を増加させたとしても、照明装置10から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。これにより、照明装置10の光出射側に配置された反射型液晶表示部20にムラのない光を照射することができる。また、反射型液晶表示部20からの反射光が照明装置10に入射する際においても、各々の有機EL素子2の配置間隔を、光のムラを発生させることなく大きくする(開口率を増加させる)ことができるので、有機EL素子2により反射光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側に照射される光の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部1eを覆うように、凹形状部1eよりも屈折率の小さい樹脂層4を設けることによって、凹形状部1eと樹脂層4との間において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0032】
また、上記第1実施形態では、凹形状部1eを、平面的に見て、円形状に形成することによって、凹形状部1eにより光を発散させる場合に、平面的に見て全ての方向に均一に光を発散させることができる。
【0033】
また、上記第1実施形態では、凹形状部1eを、ガラス基板1aの第1表面1cに一体に形成することによって、凹形状部1eを有機EL素子2とガラス基板1aとの間に別個に設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0034】
また、上記第1実施形態では、ガラス基板1aの第1表面1cの凹形状部1eを覆うように形成した樹脂層4の屈折率を、ガラス基板1aの屈折率よりも小さくなるように構成することによって、有機EL素子2と、ガラス基板1aの第1表面1cに設けられた凹形状部1eとの間にガラス基板1aよりも屈折率の小さい樹脂層4が形成されるので、有機EL素子2から出射した光を、光が発散するように屈折させるとともに、屈折率の小さい樹脂層4から樹脂層4よりも屈折率の大きいガラス基板1aに入射するように構成することができる。したがって、樹脂層4からガラス基板1aに入射される光が全反射するのを抑制させながら、凹形状部1eにおいて発散させた状態でガラス基板1a側に照射させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、照明部10におけるガラス基板1aの第1表面1cに凹形状部1eを形成した上記第1実施形態とは異なり、照明部210におけるガラス基板201aの第2表面201dに凹形状部201eを形成する例について説明する。
【0036】
本発明の第2実施形態による表示装置200における照明部210は、図7に示すように、ガラス基板201aの第1表面201c上に、陽極層2a、有機層2bおよび陰極層2cからなる有機EL素子2と、絶縁膜6とが形成されている。また、ガラス基板201aの第2表面201d上には、照明部210と反射型液晶表示部20との間に樹脂層204が設けられている。なお、樹脂層204は、本発明の「第2樹脂層(被覆層)」の一例である。
【0037】
ここで、第2実施形態では、ガラス基板201aの有機EL素子2が配置された側とは反対側(Z1方向側)の表面である第2表面201dには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(有機層2bの直下部)に、凹形状部201eがガラス基板201aと一体に形成されている。そして、樹脂層204は、ガラス基板201aおよび凹形状部201eを覆うように形成されている。なお、第2実施形態における凹形状部201eは、本発明の「第2凹形状部」の一例である。
【0038】
また、第2実施形態では、樹脂層204は、上記第1実施形態と同様に、ガラス基板201aよりも小さい屈折率を有する材料により構成されている。そして、凹形状部201eの矢印Z2方向への深さおよび曲率は、光がガラス基板201aからガラス基板201aよりも屈折率が小さい樹脂層204に入射する際に、ガラス基板201aと樹脂層204との界面において光が全反射しないような大きさに設定されている。これにより、有機EL素子2から照射される光は、互いに屈折率の異なるガラス基板201aと樹脂層204との界面において全反射することなく、凹形状部201eにより発散するように屈折するように構成されている。
【0039】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0040】
第2実施形態では、上記のように、ガラス基板201aの第2表面201d側に凹形状部201eを形成した場合においても、有機EL素子2から照射される光を散乱させながら反射型液晶表示部20に出射させることができる。
【0041】
また、第2実施形態では、ガラス基板201aと樹脂層204とを互いに異なる屈折率に構成することによって、有機EL素子2から出射した光を、ガラス基板201aと樹脂層204との界面において、容易に光が発散するように屈折させることができる。
【0042】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0043】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、ガラス基板1aの第1表面1cにのみ凹形状部1eを形成した上記第1実施形態、および、ガラス基板201aの第2表面201dにのみ凹形状部201eを形成した上記第2実施形態とは異なり、ガラス基板301aの第1表面301cおよび第2表面301dの両方に、それぞれ、第1凹形状部301eおよび第2凹形状部301fを形成する例について説明する。
【0044】
本発明の第3実施形態による表示装置300における照明部310は、図8に示すように、ガラス基板301aの第1表面301cの表面上に第1樹脂層304aが形成されているとともに、第1樹脂層304aの表面上に有機EL素子2および絶縁膜6が形成されている。また、ガラス基板301aの第2表面301dの表面上には、照明部310と反射型液晶表示部20とを接着するための第2樹脂層304bが設けられている。
【0045】
ここで、第3実施形態では、ガラス基板301aの有機EL素子2が配置された側の表面である第1表面301cには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(有機層2bの直下部)に、第1凹形状部301eが一体に形成されている。そして、ガラス基板301aの有機EL素子2が配置された側とは反対側(Z1方向側)の表面である第2表面301dには、第1凹形状部301eの直下部に、第2凹形状部301fが一体に形成されている。
【0046】
また、第3実施形態では、第1樹脂層304aおよび第2樹脂層304bは、それぞれ、ガラス基板301aよりも小さい屈折率を有する材料により構成されている。そして、第1凹形状部301eの矢印Z1方向への深さおよび曲率は、光がガラス基板301aからガラス基板301aよりも屈折率が小さい第2樹脂層304bに入射する際に、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面において光が全反射しないような大きさに設定されている。すなわち、第1凹形状部301eの矢印Z1方向の深さおよび曲率は、第1凹形状部301eにより発散した光が、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面に対して全反射する臨界入射角により入射しないような大きさになるように設定されている。これにより、第2表面301dが平坦である場合には全反射する光もさらに散乱させながら反射型液晶表示部20側に照射させることが可能となる。
【0047】
また、第3実施形態では、第2凹形状部301fは、第1凹形状部301eの幅W1よりも大きい幅W2を有する。具体的には、第2凹形状部301fの幅W2は、第1凹形状部301eにより発散した光が、第2凹形状部301fの凹状の領域に導かれる程度の大きさに設定されている。
【0048】
以上の構成により、有機EL素子2から第1樹脂層304aを介してガラス基板301aに入射する光は、まず第1凹形状部301eにより発散するとともにガラス基板301aを透過し、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面において全反射することなく、第2凹形状部301fによりさらに発散するように屈折するように構成されている。
【0049】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0050】
第3実施形態では、上記のように、ガラス基板301aの第1表面301cに第1凹形状部301eを形成するとともに、第2表面301dに第2凹形状部301fを形成することによって、有機EL素子2から出射した光を、ガラス基板301aよりも屈折率の小さい第1樹脂層304aからガラス基板301aの第1表面301cに入射する際に、ガラス基板301aの第1凹形状部301eにおいて光が発散するように屈折させるように構成することができる。そして、第1凹形状部301eにより発散された光を、互いに屈折率の異なる第2樹脂層304bとガラス基板301aの第2凹形状部301fとの界面においても、光が発散するように屈折させることができる。したがって、第2凹形状部301fによりさらに光を発散させることができる。これらにより、ガラス基板301aの第1凹形状部301eと第2凹形状部301fとの両方においてそれぞれ光を発散させることができるので、光のムラが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0051】
また、第3実施形態では、ガラス基板301aの第2表面301dの第2凹形状部301fの幅W2を、第1表面301cの第1凹形状部301eの幅W1よりも大きくするように構成することによって、第2凹形状部301fの幅W2が第1凹形状部301eの幅W1よりも大きい分、第1凹形状部301eにより有機EL素子2から入射した光が広範囲にわたって発散しても、第2凹形状部301fに容易に導くことができる。
【0052】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0053】
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300を用いた第1〜第3の例による電子機器について説明する。
【0054】
本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300は、図9〜図11に示すように、第1の例によるPC(Personal Computer)400、第2の例による携帯電話410および第3の例による情報携帯端末420(PDA:Personal Digital Assistants)などに用いることが可能である。図9の第1の例によるPC400においては、キーボードなどの入力部400aおよび表示画面400bなどに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300を用いることが可能である。図10の第2の例による携帯電話410においては、表示画面410aに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300が用いられる。図11の第3の例による情報携帯端末420においては、表示画面420aに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300が用いられる。
【0055】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0056】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、ガラス基板の表面に凹形状部を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、ガラス基板以外に凹形状部を形成してもよい。具体的には、たとえば、平坦面状のガラス基板上に凹形状部を有する下層の樹脂層を形成するとともに、下層の樹脂層の表面上に、下層の樹脂層よりも屈折率の小さい上層の樹脂層を形成する場合などが考えられる。
【0057】
また、上記第1〜第3実施形態では、陽極層および陰極層に電位を供給する第1透明電極および第2透明電極を、それぞれ櫛歯形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、櫛歯形状以外の形状により構成してもよい。
【0058】
また、上記第1〜第3実施形態では、各々の有機EL素子をマトリクス状に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、マトリクス状以外に配置してもよい。
【0059】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1透明電極および第2透明電極の略全域を覆うように絶縁膜を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、陰極層と陽極層とが接触しないように有機層の周辺を囲む領域のみに設けてもよい。
【0060】
また、上記第3実施形態では、第1凹形状部の幅よりも第2凹形状部の幅を大きくする例を示したが、本発明はこれに限らず、第1凹形状部と第2凹形状部との幅を略同じ大きさにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1a、201a、301a ガラス基板(透光性基板)
1c、201c、301c 第1表面
1d、201d、301d 第2表面
1e、301e 凹形状部(第1凹形状部)
2 有機EL素子(発光素子部)
4、304a 樹脂層(被覆層)(第1樹脂層)
10、210、310 照明装置(照明部)
20 反射型液晶表示部(表示部)
100、200、300 表示装置
201e、301f 凹形状部(第2凹形状部)
204、304b 樹脂層(被覆層)(第2樹脂層)
400 PC(電子機器)
410 携帯電話(電子機器)
420 情報携帯端末(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、表示装置、および表示装置を備えた電子機器に関し、特に、発光素子部を備えた照明装置、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子部を備えた表示装置が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、発光素子部として設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が複数設けられた照明部と、照明部を光源とする反射型液晶表示部とを備えた表示装置が開示されている。上記特許文献1に記載の表示装置では、照明部はフロントライトとして構成され、反射型液晶表示部に接着されている。照明部は、平坦面状の基板上に配置された有機EL素子からの光が基板を透過して反射型液晶表示部側に照射されるボトムエミッション型により構成されている。そして、照明部から照射された光は、反射型液晶表示部において照明部側に反射されるとともに、照明部を透過して観察者側に照射されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−350303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された表示装置では、フロントライトとして用いられる照明部の有機EL素子は、反射型液晶表示部と観察者との間に設けられているため、有機EL素子により反射型液晶表示部からの反射光が遮光され、その結果、観察者側に出射する光の輝度が低下するという不都合がある。このため、これに対して各々の有機EL素子の間隔をより大きくして配置することによって、遮光される反射光の量を低減させる方法が考えられる。しかしながら、この場合、有機EL素子の間隔を大きくする分、有機EL素子から反射型液晶表示部に照射される光にムラが発生するという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、観察者側に出射される光にムラを発生させることなく、輝度が低下するのを抑制することが可能な照明装置、表示装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
この発明の第1の局面による照明装置は、光源として設けられた発光素子部と、発光素子部の光出射側に配置され、発光素子部に対向する側の第1表面と、第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、凹形状部を覆うように設けられ、凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを備える。
【0007】
上記第1の局面による照明装置では、上記のように、発光素子部の光出射側に配置された透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に、発光素子部から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部を備えることによって、発光素子部から透光性基板側に出射した光を、凹形状部によって発散させた状態で透光性基板を介して外部に照射させることができる。したがって、発光素子部からの光を発光させる凹形状部を有しない場合に比べてより広範囲にわたって照射させることができるので、各々の発光素子部の配置間隔を大きくすることにより開口率を増加させたとしても、照明装置から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。これにより、たとえば、照明装置の光出射側に反射型液晶表示部を配置した場合においても、ムラのない光を反射型液晶表示部に照射することができる。また、反射型液晶表示部からの反射光を照明装置に照射する際においても、光のムラを発生させることなく各々の発光素子部の配置間隔を大きくする(開口率を増加させる)ことができるので、発光素子部により反射光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側に照射される光の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部を覆うように、たとえば、凹形状部とは屈折率の異なる被覆層を設けることによって、凹形状部と被覆層との界面において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0008】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、平面的に見て、円形状に形成されている。このように構成すれば、凹形状部により光を発散させる場合に、平面的に見て全ての方向に均一に光を発散させることができる。
【0009】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、透光性基板の第1表面および第2表面の少なくとも一方に一体に形成されている。このように構成すれば、凹形状部を、透光性基板と別個に設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0010】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、凹形状部は、透光性基板の第1表面に一体に設けられた第1凹形状部と、第2表面に一体に設けられた第2凹形状部とを含み、被覆層は、透光性基板の第1表面の第1凹形状部を覆うように設けられ、透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層と、透光性基板の第2表面の第2凹形状部を覆うように設けられ、透光性基板よりも屈折率の小さい第2樹脂層とを含む。このように構成すれば、発光素子部から出射した光を、透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層から透光性基板の第1表面に入射する際に、透光性基板の第1凹形状部において光が発散するように屈折させるように構成することができる。そして、第1凹形状部により発散された光を、互いに屈折率の異なる第2樹脂層と透光性基板の第2凹形状部との界面においても、光が発散するように屈折させることができる。したがって、第2凹形状部によりさらに光を発散させることができる。これらにより、透光性基板の第1凹形状部と第2凹形状部との両方においてそれぞれ光を発散させることができるので、光のムラが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、透光性基板の第2表面の第2凹形状部は、第1表面の第1凹形状部よりも大きい幅を有する。このように構成すれば、第2凹形状部の幅が第1凹形状部よりも大きい分、第1凹形状部により光が広範囲にわたって発散しても第2凹形状部に容易に導くことができる。
【0012】
上記第1の局面による照明装置において、好ましくは、発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、発光素子部の発光層からの光は、凹形状部により発散されるとともに、透光性基板を透過して外部に照射されるように構成されている。このように構成すれば、発光素子部を有機エレクトロルミネッセンス素子により構成した場合においても、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射する光を凹形状部によって発散させることにより、外部に照射される光にムラが発生するのを容易に抑制することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による表示装置は、光源として設けられた発光素子部と、発光素子部の光出射側に配置され、発光素子部に対向する側の第1表面と、第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、凹形状部を覆うように設けられ、凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを含む照明部と、照明部の発光素子部からの光を反射して表示を行う表示部とを備える。
【0014】
上記第2の局面による表示装置では、上記のように、照明部における発光素子部の光出射側に配置された透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に、発光素子部から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部を備えることによって、発光素子部から透光性基板側に出射した光を、凹形状部によって発散させた状態で表示部に照射させることができる。これにより、発光素子部からの光を発散させる凹形状部を有しない場合と比べて、より広範囲にわたって照射させることができるので、各々の発光素子部の配置間隔を大きくしても照明装置から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。また、光を反射して表示を行う表示部からの反射光を照明部に照射する際においても、光のムラを発生させることなく各々の発光素子部の配置間隔を大きくすることができるので、反射光の一部が発光素子部により遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側から見た場合の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部を覆うように、たとえば、凹形状部とは屈折率の異なる被覆層を設けることによって、凹形状部と被覆層との界面において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0015】
上記第2の局面による表示装置において、好ましくは、表示部は、反射型液晶表示部から構成されるとともに、発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、照明部の発光層からの光は、凹形状部を介して発散された状態で、反射型液晶表示部に照射されるように構成されている。このように構成すれば、照明部の発光素子部を有機エレクトロルミネッセンス素子により構成するとともに、表示部を反射型液晶表示部により構成した場合においても、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射する光を凹形状部によって発散させることにより、反射型液晶表示部に照射される光にムラが発生するのを容易に抑制することができる。また、光のムラが発生するのを抑制しながら有機エレクトロルミネッセンス素子の配置間隔を大きくすることができるので、反射型液晶表示部からの反射光の一部が有機エレクトロルミネッセンス素子により遮光されるのを抑制することができる。
【0016】
この発明の第3の局面による電子機器は、上記した構成を有する表示装置を備える。このように構成すれば、観察者側に出射される光にムラを発生させることなく、輝度が低下するのを抑制することが可能な表示装置を含む電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による照明装置を備えた表示装置の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による照明装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分の構成について説明するための拡大平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図(図3の500−500線に沿った断面図)である。
【図5】本発明の第1実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図(図3の600−600線に沿った断面図)である。
【図6】本発明の第1実施形態による照明装置を備えた表示装置を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による照明装置の光源部分について説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第1の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【図10】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第2の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【図11】本発明の第1〜第3実施形態による照明装置を含む表示装置を備えた第3の例による電子機器について説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による表示装置100の構成について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による表示装置100は、図1に示すように、フロントライト型の照明部10と、反射型液晶表示部20とを備えている。なお、照明部10および反射型液晶表示部20は、それぞれ、本発明の「照明装置(照明部)」および「表示部」の一例である。
【0021】
照明部10は、一対のガラス基板1aおよび1bと、ガラス基板1aおよび1b間に配置された複数の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)2とを備えている。ガラス基板1aとガラス基板1bとは、互いの周辺部分に塗布された樹脂などからなるシール層3を介して接着されている。ガラス基板1aの表面上には、樹脂層4が形成されているとともに、樹脂層4の表面上に有機EL素子2が形成されている。有機EL素子2は、平面的に見てマトリクス状に配置(図2参照)されている。また、ガラス基板1bの表面上には、ガラス基板1a側の有機EL素子2が配置された領域に対応する位置に、それぞれ、遮光膜5が形成されている。なお、ガラス基板1aおよび1bは、本発明の「透光性基板」の一例である。また、有機EL素子2および樹脂層4は、それぞれ、本発明の「発光素子部」および「第1樹脂層(被覆層)」の一例である。
【0022】
有機EL素子2は、陽極層2a、有機層2bおよび陰極層2cが、この順番に積層されることにより構成されており、陽極層2aおよび陰極層2c間に印加される電圧により有機層2bが発光するように構成されている。また、陽極層2aの表面上のうちの有機層2bが設けられない領域には透光性を有する絶縁膜6が形成されている。絶縁膜6は、陽極層2aと陰極層2cとが短絡するのを抑制するために設けられている。また、図1および図2に示すように、樹脂層4の表面上には、櫛歯状に形成されたITOからなる第1透明電極7および第2透明電極8が形成されている。櫛歯状の第1透明電極7および第2透明電極8は、互いの歯部7aと歯部8aとが交互に配置されるように構成されている。そして、第1透明電極7から陽極層2aに正の電圧が印加されるとともに、第2透明電極8から陰極層2cに負の電圧が印加されるように構成されている。なお、有機層2bは、本発明の「発光層」の一例である。
【0023】
ここで、図3〜図5を参照して、光源部分である有機EL素子2が形成された領域の構成について詳細に説明する。
【0024】
まず、図3および図4(図3の500−500線に沿った断面図)に示すように、第1透明電極7の歯部7aの表面上には、所定の間隔を隔てて有機層2bが設けられており、歯部7aのうち、有機層2bが配置された領域が陽極層2aとして構成されている。そして、有機層2bを覆うように陰極層2cが形成されている。陰極層2cは、たとえば、アルミニウムにより形成されており、有機層2bが発光した際に光を陽極層2a側に反射させる機能を有する。
【0025】
また、図3および図5(図3の600−600線に沿った断面図)に示すように、第2透明電極8の表面上には絶縁膜6が形成されているとともに、絶縁膜6の歯部8a上に位置する領域には穴部6aが形成されており、穴部6aを介して陰極層2cが第2透明電極8に接触するように形成されている。陰極層2cは、穴部6aを覆うとともに、穴部6aから有機層2bを覆う位置にまで延びるように形成されている。
【0026】
以上の構成により、第1透明電極7の歯部7a(陽極層2a)に印加された正の電圧と、第2透明電極8の歯部8aを介して陰極層2cに印加された負の電圧とが有機層2bに印加されることによって有機層2bがZ1方向側に発光する。そして、陰極層2cが反射部材として機能することにより、Z2方向側に漏れる光は、陰極層2cにより反射されてガラス基板1a側に照射される。すなわち、第1実施形態における照明部10は、有機EL素子2が配置されたガラス基板1aを介して外部(Z1方向側)に光を照射するボトムエミッション型により構成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、ガラス基板1aの有機EL素子2が配置された側(Z2方向側)の表面である第1表面1cには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(第1実施形態では有機層2bの直下部)に、凹形状部1eがガラス基板1aと一体に形成されている。また、図2に示すように、凹形状部1eは、平面的に見て円形形状を有しているとともに、凹形状部1eの上部に配置された有機層2bも凹形状部1eと同様に円形形状に形成されている。これにより、凹形状部1eに入射した光は、平面的に見て全ての方向に均一に発散するように構成されている。また、図5に示すように、樹脂層4は、ガラス基板1aおよび凹形状部1eを覆うように形成されているとともに、樹脂層4の有機EL素子2が配置される側(Z2方向側)の表面は平坦面状に形成されている。なお、第1実施形態における凹形状部1eは、本発明の「第1凹形状部」の一例である。
【0028】
また、第1実施形態では、樹脂層4は、ガラス基板1a(屈折率約1.5)よりも小さい屈折率を有する。具体的には、樹脂層4は、たとえば、含フッ素脂環式ポリイミド(屈折率1.47以上1.48以下)、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(屈折率約1.43)の他、フッ素含有アクリレート類など、フッ素系樹脂およびアクリル系樹脂などにより構成されている。これにより、有機層2bから照射された光は樹脂層4を透過するとともに、樹脂層4よりも屈折率の高いガラス基板1aに入射する。そして、有機EL素子2からの光は、ガラス基板1aの凹形状部1eに入射する際に凹形状部1eにより発散するとともに、発散した状態でガラス基板1aを透過して反射型液晶表示部20側(Z1方向側)に照射されるように構成されている。
【0029】
次に、図6を参照して、反射型液晶表示部20の構成について説明する。反射型液晶表示部20は、一対のガラス基板21aおよび21bを備え、ガラス基板21aの表面上に複数のスイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)22が形成されている。薄膜トランジスタ22の表面上には層間絶縁膜23が形成されているとともに、層間絶縁膜23の表面上には、各々の薄膜トランジスタ22に対応するように画素電極24が形成されている。そして、薄膜トランジスタ22と画素電極24とは、層間絶縁膜23に形成されたコンタクトホール23aを介して接続されている。また、画素電極24は、アルミニウムなどの反射材料から構成されており、照明部10から入射した光を観察者側(Z2方向側)に反射する機能を有する。また、ガラス基板21bのガラス基板21aに対向する側(Z1方向側)の表面には共通電極25が形成されている。そして、ガラス基板21aおよび21b間には、液晶30が充填されている。また、ガラス基板21bの共通電極25が形成された側の表面とは反対側(Z2方向側)の表面上には光散乱層26が形成されているとともに、光散乱層26の表面上には偏光板27が形成されている。
【0030】
そして、反射型液晶表示部20と照明部10とは、反射型液晶表示部20の偏光板27と照明部10のガラス基板1aとの間に設けられた樹脂性の接着層40によって互いに接着されている。
【0031】
第1実施形態では、上記のように、ガラス基板1aの第1表面1cに、有機EL素子2から出射される光を発散させるために設けられた凹形状部1eを設けることによって、有機EL素子2からガラス基板1aに出射した光を、凹形状部1eによって発散させた状態でガラス基板1aを介して外部に照射させることができる。したがって、有機EL素子2からの光を発散させる凹形状部1eを有しない場合に比べて、より広範囲にわたって照射させることができるので、各々の有機EL素子2の配置間隔を大きくすることにより開口率を増加させたとしても、照明装置10から出射される光にムラが発生するのを抑制することができる。これにより、照明装置10の光出射側に配置された反射型液晶表示部20にムラのない光を照射することができる。また、反射型液晶表示部20からの反射光が照明装置10に入射する際においても、各々の有機EL素子2の配置間隔を、光のムラを発生させることなく大きくする(開口率を増加させる)ことができるので、有機EL素子2により反射光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、その分、観察者側に照射される光の輝度が低下するのを抑制することができる。また、光を発散させるための凹形状部1eを覆うように、凹形状部1eよりも屈折率の小さい樹脂層4を設けることによって、凹形状部1eと樹脂層4との間において光が発散するように光を屈折させることができる。
【0032】
また、上記第1実施形態では、凹形状部1eを、平面的に見て、円形状に形成することによって、凹形状部1eにより光を発散させる場合に、平面的に見て全ての方向に均一に光を発散させることができる。
【0033】
また、上記第1実施形態では、凹形状部1eを、ガラス基板1aの第1表面1cに一体に形成することによって、凹形状部1eを有機EL素子2とガラス基板1aとの間に別個に設ける場合に比べて、構造を簡素化することができる。
【0034】
また、上記第1実施形態では、ガラス基板1aの第1表面1cの凹形状部1eを覆うように形成した樹脂層4の屈折率を、ガラス基板1aの屈折率よりも小さくなるように構成することによって、有機EL素子2と、ガラス基板1aの第1表面1cに設けられた凹形状部1eとの間にガラス基板1aよりも屈折率の小さい樹脂層4が形成されるので、有機EL素子2から出射した光を、光が発散するように屈折させるとともに、屈折率の小さい樹脂層4から樹脂層4よりも屈折率の大きいガラス基板1aに入射するように構成することができる。したがって、樹脂層4からガラス基板1aに入射される光が全反射するのを抑制させながら、凹形状部1eにおいて発散させた状態でガラス基板1a側に照射させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、照明部10におけるガラス基板1aの第1表面1cに凹形状部1eを形成した上記第1実施形態とは異なり、照明部210におけるガラス基板201aの第2表面201dに凹形状部201eを形成する例について説明する。
【0036】
本発明の第2実施形態による表示装置200における照明部210は、図7に示すように、ガラス基板201aの第1表面201c上に、陽極層2a、有機層2bおよび陰極層2cからなる有機EL素子2と、絶縁膜6とが形成されている。また、ガラス基板201aの第2表面201d上には、照明部210と反射型液晶表示部20との間に樹脂層204が設けられている。なお、樹脂層204は、本発明の「第2樹脂層(被覆層)」の一例である。
【0037】
ここで、第2実施形態では、ガラス基板201aの有機EL素子2が配置された側とは反対側(Z1方向側)の表面である第2表面201dには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(有機層2bの直下部)に、凹形状部201eがガラス基板201aと一体に形成されている。そして、樹脂層204は、ガラス基板201aおよび凹形状部201eを覆うように形成されている。なお、第2実施形態における凹形状部201eは、本発明の「第2凹形状部」の一例である。
【0038】
また、第2実施形態では、樹脂層204は、上記第1実施形態と同様に、ガラス基板201aよりも小さい屈折率を有する材料により構成されている。そして、凹形状部201eの矢印Z2方向への深さおよび曲率は、光がガラス基板201aからガラス基板201aよりも屈折率が小さい樹脂層204に入射する際に、ガラス基板201aと樹脂層204との界面において光が全反射しないような大きさに設定されている。これにより、有機EL素子2から照射される光は、互いに屈折率の異なるガラス基板201aと樹脂層204との界面において全反射することなく、凹形状部201eにより発散するように屈折するように構成されている。
【0039】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0040】
第2実施形態では、上記のように、ガラス基板201aの第2表面201d側に凹形状部201eを形成した場合においても、有機EL素子2から照射される光を散乱させながら反射型液晶表示部20に出射させることができる。
【0041】
また、第2実施形態では、ガラス基板201aと樹脂層204とを互いに異なる屈折率に構成することによって、有機EL素子2から出射した光を、ガラス基板201aと樹脂層204との界面において、容易に光が発散するように屈折させることができる。
【0042】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0043】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、ガラス基板1aの第1表面1cにのみ凹形状部1eを形成した上記第1実施形態、および、ガラス基板201aの第2表面201dにのみ凹形状部201eを形成した上記第2実施形態とは異なり、ガラス基板301aの第1表面301cおよび第2表面301dの両方に、それぞれ、第1凹形状部301eおよび第2凹形状部301fを形成する例について説明する。
【0044】
本発明の第3実施形態による表示装置300における照明部310は、図8に示すように、ガラス基板301aの第1表面301cの表面上に第1樹脂層304aが形成されているとともに、第1樹脂層304aの表面上に有機EL素子2および絶縁膜6が形成されている。また、ガラス基板301aの第2表面301dの表面上には、照明部310と反射型液晶表示部20とを接着するための第2樹脂層304bが設けられている。
【0045】
ここで、第3実施形態では、ガラス基板301aの有機EL素子2が配置された側の表面である第1表面301cには、有機層2bが配置された領域に対応する部分(有機層2bの直下部)に、第1凹形状部301eが一体に形成されている。そして、ガラス基板301aの有機EL素子2が配置された側とは反対側(Z1方向側)の表面である第2表面301dには、第1凹形状部301eの直下部に、第2凹形状部301fが一体に形成されている。
【0046】
また、第3実施形態では、第1樹脂層304aおよび第2樹脂層304bは、それぞれ、ガラス基板301aよりも小さい屈折率を有する材料により構成されている。そして、第1凹形状部301eの矢印Z1方向への深さおよび曲率は、光がガラス基板301aからガラス基板301aよりも屈折率が小さい第2樹脂層304bに入射する際に、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面において光が全反射しないような大きさに設定されている。すなわち、第1凹形状部301eの矢印Z1方向の深さおよび曲率は、第1凹形状部301eにより発散した光が、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面に対して全反射する臨界入射角により入射しないような大きさになるように設定されている。これにより、第2表面301dが平坦である場合には全反射する光もさらに散乱させながら反射型液晶表示部20側に照射させることが可能となる。
【0047】
また、第3実施形態では、第2凹形状部301fは、第1凹形状部301eの幅W1よりも大きい幅W2を有する。具体的には、第2凹形状部301fの幅W2は、第1凹形状部301eにより発散した光が、第2凹形状部301fの凹状の領域に導かれる程度の大きさに設定されている。
【0048】
以上の構成により、有機EL素子2から第1樹脂層304aを介してガラス基板301aに入射する光は、まず第1凹形状部301eにより発散するとともにガラス基板301aを透過し、ガラス基板301aと第2樹脂層304bとの界面において全反射することなく、第2凹形状部301fによりさらに発散するように屈折するように構成されている。
【0049】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0050】
第3実施形態では、上記のように、ガラス基板301aの第1表面301cに第1凹形状部301eを形成するとともに、第2表面301dに第2凹形状部301fを形成することによって、有機EL素子2から出射した光を、ガラス基板301aよりも屈折率の小さい第1樹脂層304aからガラス基板301aの第1表面301cに入射する際に、ガラス基板301aの第1凹形状部301eにおいて光が発散するように屈折させるように構成することができる。そして、第1凹形状部301eにより発散された光を、互いに屈折率の異なる第2樹脂層304bとガラス基板301aの第2凹形状部301fとの界面においても、光が発散するように屈折させることができる。したがって、第2凹形状部301fによりさらに光を発散させることができる。これらにより、ガラス基板301aの第1凹形状部301eと第2凹形状部301fとの両方においてそれぞれ光を発散させることができるので、光のムラが発生するのをより確実に抑制することができる。
【0051】
また、第3実施形態では、ガラス基板301aの第2表面301dの第2凹形状部301fの幅W2を、第1表面301cの第1凹形状部301eの幅W1よりも大きくするように構成することによって、第2凹形状部301fの幅W2が第1凹形状部301eの幅W1よりも大きい分、第1凹形状部301eにより有機EL素子2から入射した光が広範囲にわたって発散しても、第2凹形状部301fに容易に導くことができる。
【0052】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0053】
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300を用いた第1〜第3の例による電子機器について説明する。
【0054】
本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300は、図9〜図11に示すように、第1の例によるPC(Personal Computer)400、第2の例による携帯電話410および第3の例による情報携帯端末420(PDA:Personal Digital Assistants)などに用いることが可能である。図9の第1の例によるPC400においては、キーボードなどの入力部400aおよび表示画面400bなどに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300を用いることが可能である。図10の第2の例による携帯電話410においては、表示画面410aに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300が用いられる。図11の第3の例による情報携帯端末420においては、表示画面420aに本発明の第1〜第3実施形態による表示装置100、200および300が用いられる。
【0055】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0056】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、ガラス基板の表面に凹形状部を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、ガラス基板以外に凹形状部を形成してもよい。具体的には、たとえば、平坦面状のガラス基板上に凹形状部を有する下層の樹脂層を形成するとともに、下層の樹脂層の表面上に、下層の樹脂層よりも屈折率の小さい上層の樹脂層を形成する場合などが考えられる。
【0057】
また、上記第1〜第3実施形態では、陽極層および陰極層に電位を供給する第1透明電極および第2透明電極を、それぞれ櫛歯形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、櫛歯形状以外の形状により構成してもよい。
【0058】
また、上記第1〜第3実施形態では、各々の有機EL素子をマトリクス状に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、マトリクス状以外に配置してもよい。
【0059】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1透明電極および第2透明電極の略全域を覆うように絶縁膜を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、陰極層と陽極層とが接触しないように有機層の周辺を囲む領域のみに設けてもよい。
【0060】
また、上記第3実施形態では、第1凹形状部の幅よりも第2凹形状部の幅を大きくする例を示したが、本発明はこれに限らず、第1凹形状部と第2凹形状部との幅を略同じ大きさにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1a、201a、301a ガラス基板(透光性基板)
1c、201c、301c 第1表面
1d、201d、301d 第2表面
1e、301e 凹形状部(第1凹形状部)
2 有機EL素子(発光素子部)
4、304a 樹脂層(被覆層)(第1樹脂層)
10、210、310 照明装置(照明部)
20 反射型液晶表示部(表示部)
100、200、300 表示装置
201e、301f 凹形状部(第2凹形状部)
204、304b 樹脂層(被覆層)(第2樹脂層)
400 PC(電子機器)
410 携帯電話(電子機器)
420 情報携帯端末(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として設けられた発光素子部と、
前記発光素子部の光出射側に配置され、前記発光素子部に対向する側の第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、
前記透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、前記発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、
前記凹形状部を覆うように設けられ、前記凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを備えた、照明装置。
【請求項2】
前記凹形状部は、平面的に見て、円形状に形成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記凹形状部は、前記透光性基板の前記第1表面および前記第2表面の少なくとも一方に一体に形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記凹形状部は、前記透光性基板の第1表面に一体に設けられた第1凹形状部と、第2表面に一体に設けられた第2凹形状部とを含み、
前記被覆層は、前記透光性基板の第1表面の前記第1凹形状部を覆うように設けられ、前記透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層と、
前記透光性基板の第2表面の前記第2凹形状部を覆うように設けられ、前記透光性基板よりも屈折率の小さい第2樹脂層とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記透光性基板の第2表面の前記第2凹形状部は、前記第1表面の前記第1凹形状部よりも大きい幅を有する、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、
前記発光素子部の発光層からの光は、前記凹形状部により発散されるとともに、前記透光性基板を透過して外部に照射されるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
光源として設けられた発光素子部と、前記発光素子部の光出射側に配置され、前記発光素子部に対向する側の第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、前記透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、前記発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、前記凹形状部を覆うように設けられ、前記凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを含む照明部と、
前記照明部の発光素子部からの光を反射して表示を行う表示部とを備えた、表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、反射型液晶表示部から構成されるとともに、前記発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、
前記照明部の発光層からの光は、前記凹形状部を介して発散された状態で、前記反射型液晶表示部に照射されるように構成されている、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の表示装置を備えた、電子機器。
【請求項1】
光源として設けられた発光素子部と、
前記発光素子部の光出射側に配置され、前記発光素子部に対向する側の第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、
前記透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、前記発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、
前記凹形状部を覆うように設けられ、前記凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを備えた、照明装置。
【請求項2】
前記凹形状部は、平面的に見て、円形状に形成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記凹形状部は、前記透光性基板の前記第1表面および前記第2表面の少なくとも一方に一体に形成されている、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記凹形状部は、前記透光性基板の第1表面に一体に設けられた第1凹形状部と、第2表面に一体に設けられた第2凹形状部とを含み、
前記被覆層は、前記透光性基板の第1表面の前記第1凹形状部を覆うように設けられ、前記透光性基板よりも屈折率の小さい第1樹脂層と、
前記透光性基板の第2表面の前記第2凹形状部を覆うように設けられ、前記透光性基板よりも屈折率の小さい第2樹脂層とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記透光性基板の第2表面の前記第2凹形状部は、前記第1表面の前記第1凹形状部よりも大きい幅を有する、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、
前記発光素子部の発光層からの光は、前記凹形状部により発散されるとともに、前記透光性基板を透過して外部に照射されるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
光源として設けられた発光素子部と、前記発光素子部の光出射側に配置され、前記発光素子部に対向する側の第1表面と、前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する透光性基板と、前記透光性基板の第1表面側または第2表面側の少なくとも一方側に設けられ、前記発光素子部から出射される光を発散させるための凹形状部と、前記凹形状部を覆うように設けられ、前記凹形状部とは異なる屈折率を有する被覆層とを含む照明部と、
前記照明部の発光素子部からの光を反射して表示を行う表示部とを備えた、表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、反射型液晶表示部から構成されるとともに、前記発光素子部は、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子から構成され、
前記照明部の発光層からの光は、前記凹形状部を介して発散された状態で、前記反射型液晶表示部に照射されるように構成されている、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の表示装置を備えた、電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−219007(P2010−219007A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67553(P2009−67553)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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