説明

照明装置および内視鏡システム

【課題】波長変換ロッドを細径化した場合でも、励起光を高効率に利用して高輝度な光を得ることができる照明装置およびこれを備える内視鏡システムを提供する。
【解決手段】励起光を射出する光源15と、光源15からの励起光の波長を変換する棒状の波長変換部材10とを備え、光源15の光軸が、波長変換部材10の軸線に対して斜めに配置されている照明装置1を採用する。また、照明装置1と、体腔内に挿入され、照明装置1からの照明光を導光する挿入部と、該挿入部によって照明された観察対象を撮像する撮像部とを備える内視鏡システムを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプロジェクタなどの光源として用いられる照明装置およびこれを備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLED光源から射出される励起光を波長変換ロッドに照射させることで、励起光とは異なる波長の光を照射する照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7898655号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の照明装置によれば、得られる光の発光輝度を高めるためには、波長変換ロッドの径を小さくする必要があるが、波長変換ロッドの径を小さくするに従って、励起光が波長変換ロッド内を通過する光路長が短くなる。そのため、励起光が波長変換ロッド内で十分に吸収されず、その結果として、発光輝度を高めることができなくなるという不具合が生じる。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、波長変換ロッドを細径化した場合でも、励起光を高効率に利用して高輝度な光を得ることができる照明装置およびこれを備える内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、励起光を射出する少なくとも1つの光源と、前記光源からの励起光の波長を変換する棒状の波長変換部材とを備え、前記光源の光軸が、前記波長変換部材の軸線に対して斜めに配置されている照明装置である。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、光源から射出された励起光が、棒状の波長変換部材に入射することにより、波長が変換されて射出される。この場合において、光源の光軸は、波長変換部材の軸線に対して斜めに配置されている。これにより、波長変換部材内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材から高輝度な光を射出することができる。
【0008】
上記態様において、前記波長変換部材の周囲を覆うように配置され、前記光源からの励起光を反射する反射部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、波長変換部材に入射して、そのまま波長変換部材を透過した励起光を、反射部材により反射させて、再び波長変換部材に入射させることができる。これにより、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材から高輝度な光を射出することができる。
【0009】
上記態様において、前記波長変換部材の入射面に配置され、前記光源からの励起光を前記波長変換部材内において全反射するように屈折する光学部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、光学部材を介して波長変換部材に入射した励起光を、波長変換部材内において全反射を繰り返させることができる。これにより、波長変換部材内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材から高輝度な光を射出することができる。
【0010】
上記態様において、前記光学部材がプリズムであることとしてもよい。
このように構成することで、容易且つ単純な構成で、光源からの励起光を波長変換部材内において全反射するように屈折することができる。
【0011】
上記態様において、前記波長変換部材の周囲に配置され、該波長変換部材からの熱を放熱する放熱機構と、前記波長変換部材と前記放熱機構との間に配置され、空気よりも熱伝導率が高い伝熱媒質とを備えることとしてもよい。
このように構成することで、波長変換部材内において波長変換に伴って発生した熱を、伝熱媒質を介して波長変換部材の周囲に配置された放熱機構に伝えて、放熱機構により外部に放散することができる。この際に、伝熱媒質を空気よりも熱伝導率が高いものとすることで、放熱機構への伝熱効率を向上させ、効率的に波長変換部材の放熱を行うことができる。
【0012】
上記態様において、前記伝熱媒質が、前記波長変換部材よりも低い屈折率を有することとしてもよい。
このように構成することで、伝熱媒質と放熱機構との界面に反射面を形成して、該反射面により波長変換部材内において波長変換された光を反射しながら導光することができる。ここで、このような低屈折率の伝熱媒質がない場合には、波長変換部材内において波長変換された光の多くは、波長変換部材の周囲に配置された放熱機構により反射されながら導光されるため、放熱機構の反射率の分だけ光量のロスが発生する。したがって、本発明のように低屈折率の伝熱媒質を設けることで、この光量のロスを無くすことができ、波長変換部材から射出する光の強度を向上することができる。
【0013】
上記態様において、前記波長変換部材の端面に接続され、該端面よりも大きな面積の射出面を有する射出部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、波長変換部材内において波長変換された光を、射出部材の内側面により反射して平行化することができる。これにより、波長変換された光の射出効率を向上することができる。
【0014】
上記態様において、前記光源が半導体レーザーであることとしてもよい。
上記態様において、前記光源がLEDであることとしてもよい。
上記態様において、前記光源がランプであることとしてもよい。
【0015】
上記態様において、前記光源と前記波長変換部材との間に配置され、前記光源からの励起光を平行化するレンズを備えることとしてもよい。
このように構成することで、レンズにより励起光を平行化することができ、例えばランプやLEDなどの拡散光源を励起光光源とした場合でも、励起光の導光効率の悪化を防止することができる。すなわち、光源選択の自由度を向上することができる。
【0016】
上記態様において、前記光源からの励起光を光ファイバーによって導光することとしてもよい。
このように構成することで、光源を配置する際の自由度を向上することができ、コンパクトな装置とすることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、上記の照明装置と、体腔内に挿入され、前記照明装置からの照明光を導光する挿入部と、該挿入部によって照明された観察対象を撮像する撮像部とを備える内視鏡システムである。
このような内視鏡システムによれば、前述の照明装置を備えているため、高輝度な光を挿入部から射出して撮像部により観察対象を撮像することができ、観察対象の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、波長変換ロッドを細径化した場合でも、励起光を高効率に利用して高輝度な光を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第7の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第8の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第9の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第10の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図11】本発明の第11の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図12】本発明の第12の実施形態に係る照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図13】本発明の第13の実施形態に係る照明装置の概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図14】本発明の第14の実施形態に係る照明装置の概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図15】本発明の第15の実施形態に係る撮像システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の第1の実施形態に係る照明装置について、図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る照明装置1の縦断面図、図1(b)は照明装置1の構成要素である波長変換部材10の横断面図である。
【0021】
本実施形態に係る照明装置1は、図1(a)に示すように、励起光を射出する光源15と、光源15からの励起光の波長を変換する棒状の波長変換部材10と、波長変換部材10の射出面13に接続された射出部材20とを備えている。
【0022】
光源15は、例えばLD(レーザダイオード)であり、後述するように波長変換部材10に含有された蛍光物質を励起させる励起光を射出するようになっている。また、光源15は、その光軸が波長変換部材10の軸線に対して斜めに配置されている。
【0023】
波長変換部材10は、例えばガラスやセラミックス等で構成されており、その内部に、光源15からの励起光により励起されて蛍光を発生する蛍光物質が含有されている。波長変換部材10は、波長変換部材10の側面であって光源15からの励起光を入射させる入射面11と、射出部材20が接続される端面に設けられた射出面13と、射出部材20とは逆端面に設けられた反射面12とを有している。
【0024】
このような構成を有することで、波長変換部材10は、光源15から入射面11に入射した励起光の波長を変換して蛍光を発生させる。そして、波長変換部材10内において発生した蛍光を、入射面11および反射面12により内面反射を繰り返して射出面13まで導くようになっている。
【0025】
なお、波長変換部材10は、図1(b)に示すように、例えば三角形や四角形や五角形や六角形や八角形等の多角形の横断面を有していてもよく、円形の横断面を有していてもよい。また、蛍光物質が励起されることにより波長変換部材10内で発生する熱は、空冷または放熱機構(図示略)によって放散されるようになっている。
【0026】
射出部材20は、波長変換部材10の射出面13に接続されており、波長変換部材10の射出面13よりも大きな面積の射出面22を有している。より具体的には、射出部材20は、波長変換部材10の射出面13から離れるに従って中心軸線から離間する側面21を有している。このような構成を有することで、射出部材20は、波長変換部材10の射出面13から入射した蛍光を、側面21により反射を繰り返して平行化し、射出面22から矢印Aに示す方向に射出するようになっている。
【0027】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置1の作用について以下に説明する。
光源15を駆動させると、光源15から射出された励起光は、棒状の波長変換部材10に入射し、波長変換部材10内に含有された蛍光物質を励起(波長変換)して蛍光を発生させる。そして、波長変換部材10内において発生した蛍光は、入射面11および反射面12により内面反射を繰り返して射出面13まで導かれる。
【0028】
射出面13まで導かれた蛍光は、射出部材20に入射して、射出部材20の側面21により反射を繰り返されて平行化され、射出部材20の射出面22から矢印Aに示す方向に射出される。
【0029】
この場合において、光源15の光軸は、波長変換部材10の軸線に対して斜めに配置されている。これにより、波長変換部材10内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材10によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材10(射出部材20)から高輝度な光を射出することができる。
【0030】
また、射出部材20を備えることで、波長変換部材10内において発生した蛍光を、射出部材20の側面21により反射して平行化することができ、蛍光の射出効率を向上することができる。
【0031】
なお、本実施形態に係る照明装置1において、光源15は、例えばLD(レーザダイオード)であるとして説明したが、これに代えて、LEDやランプを採用することとしてもよい。
【0032】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明装置2について、図2を参照して説明する。以降では、各実施形態に係る照明装置について、前述の実施形態に係る照明装置と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0033】
本実施形態に係る照明装置2は、図2に示すように、前述の第1の実施形態に係る照明装置1の構成(図1(a)参照)に加えて、波長変換部材10の周囲を覆うように配置され、光源15からの励起光を反射する反射部材16を備えている。
【0034】
反射部材16は、波長変換部材10および射出部材20の一部を収容する筐体である。反射部材16は、高反射率の部材で内面が形成されており、波長変換部材10の周囲に、光学的に閉空間を形成している。
反射部材16の外部には、射出部材20の射出面22を含む一部が露出されている。
【0035】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置2によれば、波長変換部材10に入射して、そのまま波長変換部材10を透過した励起光を、反射部材16により反射させて、再び波長変換部材10に入射させることができる。これにより、波長変換部材10内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材10によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材10(射出部材20)から高輝度な光を射出することができる。
【0036】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る照明装置3について、図3を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置3は、図3に示すように、前述の第1の実施形態に係る照明装置1の構成(図1(a)参照)に加えて、波長変換部材10の入射面11に配置され、光源15からの励起光を波長変換部材10内において全反射するように屈折するプリズム(光学部材)17を備えている。
【0037】
プリズム17は、例えばガラス等で構成され、光源15からの励起光の波長変換部材10内における入射面11への入射角が臨界角以上となるように、光源15からの励起光を屈折するようになっている。
【0038】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置3によれば、プリズム17を介して波長変換部材10に入射した励起光を、波長変換部材10内において全反射を繰り返させることができる。これにより、波長変換部材10内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材10によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材10(射出部材20)から高輝度な光を射出することができる。
【0039】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係る照明装置4について、図4を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置4は、図4に示すように、前述の第1の実施形態に係る照明装置1の構成(図1(a)参照)に加えて、波長変換部材10の周囲に配置され、該波長変換部材10からの熱を放熱する放熱機構19と、波長変換部材10と放熱機構19との間に配置され、空気よりも熱伝導率が高い伝熱媒質18とを備えている。
【0040】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置4によれば、波長変換部材10内において波長変換に伴って発生した熱を、伝熱媒質18を介して波長変換部材10の周囲に配置された放熱機構19に伝えて、放熱機構19により外部に放散することができる。この際に、伝熱媒質18を空気よりも熱伝導率が高いものとすることで、放熱機構19への伝熱効率を向上させ、効率的に波長変換部材10の放熱を行うことができる。
【0041】
このように伝導によって波長変換部材10の放熱を行うことで、放熱性を高めて波長変換部材10の温度を下げられるため、本実施形態に係る照明装置4は、温度特性の悪い波長変換部材10に対しても有効である。また、本実施形態に係る照明装置4は、励起光強度が高い場合にも有効である。
【0042】
なお、前述の実施形態に係る照明装置の場合、対流によって波長変換部材10の放熱を行うが、波長変換部材10の径が小さくなるほど表面積が小さくなるため、放熱効率が低下してしまう。一方、本実施形態に係る照明装置4の場合、波長変換部材10の径が小さいほど、放熱効果を高めることができ、波長変換部材10の細径化を図ることができる。
【0043】
ここで、上記の伝熱媒質18が、波長変換部材10よりも低い屈折率を有していることが望ましい。具体的には、例えば、波長変換部材10の屈折率が1.8、伝熱媒質18の屈折率が1.3となる部材を選択する。
【0044】
このように構成することで、波長変換部材10内において発生した蛍光が、伝熱媒質18と波長変換部材10との界面において全反射しながら導光させることが可能である。ここで、このような低屈折率の伝熱媒質18がない場合には、波長変換部材10内において発生した蛍光の多くは、波長変換部材10の周囲に配置された放熱機構19により反射されながら導光されるため、放熱機構19の反射率の分だけ光量のロスが発生する。したがって、本実施形態のように低屈折率の伝熱媒質18を設けることで、この光量のロスを無くすことができ、波長変換部材10(射出部材20)から射出する蛍光の強度を向上することができる。
【0045】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態に係る照明装置5について、図5を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置5は、図5に示すように、前述の第4の実施形態に係る照明装置4の構成(図4参照)に加えて、波長変換部材10の入射面11に配置され、光源15からの励起光を波長変換部材10内において全反射するように屈折するプリズム(光学部材)17を備えている。
【0046】
プリズム17は、例えばガラス等で構成され、光源15からの励起光の波長変換部材10内における入射面11への入射角が臨界角以上となるように、光源15からの励起光を屈折するようになっている。
【0047】
このような構成を有することで、光源15からの励起光は、伝熱媒質18と波長変換部材10との界面で全反射されながら、波長変換部材10内を導光される。
また、波長変換部材10内で発生した蛍光についても、前述の第4の実施形態と同様に、伝熱媒質18と波長変換部材10との界面で全反射されながら、波長変換部材10内を導光される。
【0048】
以上のように、上記構成を有する本実施形態に係る照明装置5によれば、プリズム17を介して波長変換部材10に入射した励起光を、波長変換部材10内において全反射を繰り返させることができる。これにより、波長変換部材10内における励起光の光路長を長くして、波長変換部材10によって吸収される励起光の光量を増加させることができる。その結果、励起光の波長変換効率を向上することができ、波長変換部材10(射出部材20)から高輝度な光を射出することができる。また、励起光の放熱機構19で反射する場合の光量のロスを防止することができ、効率よく励起光を蛍光物質の励起に使うことができる。
【0049】
また、第4の実施形態と同様に、伝熱媒質18と波長変換部材10との界面に反射面を形成して、該反射面により波長変換部材10内において発生した蛍光を反射しながら導光することができる。これにより、波長変換部材10内において発生した蛍光の光量のロスを無くすことができ、波長変換部材10(射出部材20)から射出する光の輝度を向上することができる。
【0050】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態に係る照明装置6について、図6を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置6は、図6に示すように、前述の第3の実施形態に係る照明装置3の構成(図3参照)において、複数の光源15a,15bと、複数のプリズム(光学部材)17a,17bと、光源15a,15bとプリズム17a,17bとの間にそれぞれ設けられたレンズ25a,25bとを備えている。
【0051】
光源15a,15bは、前述の光源15と同様に、例えばLD(レーザダイオード)であり、波長変換部材10に含有された蛍光物質を励起させる励起光を射出するようになっている。また、光源15a,15bは、その光軸が、波長変換部材10の軸線に対して斜めに配置されている。
【0052】
プリズム17a,17bは、プリズム17と同様に、例えばガラス等で構成され、光源15a,15bからの励起光の波長変換部材10内における入射面11への入射角が臨界角以上となるように、光源15a,15bからの励起光を屈折するようになっている。
レンズ25a,25bは、光源15a,15bから射出された励起光を平行化して、プリズム17a,17bにそれぞれ入射させるようになっている。
【0053】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置6によれば、レンズ25a,25bにより光源15a,15bからの励起光を平行化することで、ランプやLEDなどの拡散光源を励起光光源とした場合でも、励起光の導光効率の悪化を防止することができる。すなわち、光源選択の自由度を向上することができる。
【0054】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態に係る照明装置7について、図7を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置7は、図7に示すように、前述の第6の実施形態に係る照明装置6の構成(図6参照)において、複数の光源15a,15bからの励起光を、波長変換部材10の複数面に入射させている。
【0055】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置7によれば、複数の光源15a,15bからの励起光を波長変換部材10の複数面に入射させることで、波長変換部材10内における励起光の光路を均一的に拡散させることができる。これにより、波長変換部材10において蛍光物質の励起に伴って発生する熱の分布を均一化することができ、波長変換部材10の放熱を容易に行うことができる。
【0056】
〔第8の実施形態〕
次に、本発明の第8の実施形態に係る照明装置8について、図8を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置8は、図8に示すように、前述の第3の実施形態に係る照明装置3の構成(図3参照)において、光源15とプリズム17との間に光ファイバー26を備えている。
【0057】
光ファイバー26は、光源15からの励起光を導光してプリズム17に入射させるようになっている。
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置8によれば、光源15を配置する際の自由度を向上することができ、本実施形態に係る照明装置8をコンパクトな装置とすることができる。また、装置の組み立てを容易化することができる。
【0058】
〔第9の実施形態〕
次に、本発明の第9の実施形態に係る照明装置9について、図9を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置9は、図9に示すように、前述の第8の実施形態に係る照明装置8の構成(図8参照)において、複数の光源15a,15b,15c,15dとプリズム17との間に、複数の光ファイバー26a,26b,26c,26dを備えている。
【0059】
光ファイバー26a,26b,26c,26dは、光源15a,15b,15c,15dからの励起光をそれぞれ導光してプリズム17に入射させるようになっている。
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置9によれば、複数の光源からの励起光を1つのプリズムを介して波長変換部材10に入射させることができ、プリズムの数を少なくして、コストの低減を図るとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0060】
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の第10の実施形態に係る照明装置110について、図10を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置110は、図10に示すように、前述の第3の実施形態に係る照明装置3の構成(図3参照)において、プリズム17が射出部材20の側面21に配置されている。
【0061】
ここで、プリズム17の屈折率(例えば1.3)は空気よりも高いため、プリズム17を配置することによって、波長変換部材10内において発生した蛍光の一部が外部に漏れ出てしまう。
【0062】
これに対して、上記構成を有する本実施形態に係る照明装置110によれば、波長変換部材10の全側面(入射面11)が屈折率の低い空気と接しているため、臨界角を大きくすることができ、その分蛍光が全反射する割合を高めて、蛍光の取り込み効率を向上することができる。
【0063】
〔第11の実施形態〕
次に、本発明の第11の実施形態に係る照明装置111について、図11を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置111は、図11に示すように、前述の第10の実施形態に係る照明装置110の構成(図10参照)において、プリズム17に代えて、光源15と射出部材20との間に光ファイバー26が配置されている。
【0064】
光ファイバー26は、光源15からの励起光を導光して、射出部材20の側面21に入射させるようになっている。
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置111によれば、前述の第10の実施形態に係る照明装置110と同様に、蛍光の取り込み効率を向上するとともに、プリズムが不要となるため装置の小型化および低廉化を図ることができる。
【0065】
〔第12の実施形態〕
次に、本発明の第12の実施形態に係る照明装置112について、図12を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置112は、図12に示すように、前述の第7の実施形態に係る照明装置7の構成(図7参照)において、プリズム17a,17bを波長変換部材10の軸線方向両端側に配置し、光源15a,15bの光軸を対向する向きに配置している。
【0066】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置112によれば、複数の光源15a,15bからの励起光を波長変換部材10の複数面、且つ、波長変換部材10の軸線方向両端側から対向する向きに入射させることで、波長変換部材10内における励起光の光路を均一的に拡散させることができる。これにより、波長変換部材10において蛍光物質の励起に伴って発生する熱の分布を均一化することができ、波長変換部材10の放熱を容易に行うことができる。
【0067】
〔第13の実施形態〕
次に、本発明の第13の実施形態に係る照明装置113について、図13(a)および図13(b)を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置113は、図13(a)および図13(b)に示すように、前述の第7の実施形態に係る照明装置7の構成(図7参照)において、波長変換部材10が八角形の横断面を有している。また、波長変換部材10の各側面(入射面)11にプリズム17(図13(a)ではプリズム17a,17b)が配置されている。
【0068】
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置113によれば、波長変換部材10の入射面11の数を増加させることができ、複数の光源15(図13(a)では光源15a,15b)からの励起光を各入射面11に入射させることができる。これにより、波長変換部材10に入射する励起光の光量を増加させて、該励起光により励起されて発生する蛍光の光量を増加させることができる。
【0069】
また、複数の入射面から、励起光を入射する入射面を選択することができ、光源15を配置する際の自由度を向上することができる。これにより、本実施形態に係る照明装置113をコンパクトな装置とすることができる。
【0070】
〔第14の実施形態〕
次に、本発明の第14の実施形態に係る照明装置114について、図14(a)および図14(b)を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置114は、図14(a)および図14(b)に示すように、前述の第5の実施形態に係る照明装置5の構成(図5参照)において、放熱機構19を波長変換部材10の対向する2側面(図14(b)において左面および右面)に設けるととともに、残りの2側面のうち一方の面(図14(b)において下面)にプリズム17を配置している。
【0071】
放熱機構19と波長変換部材10との間には、前述の第5の実施形態と同様に、低屈折率且つ空気よりも熱伝導率が高い伝熱媒質18が設けられている。
上記構成を有する本実施形態に係る照明装置114によれば、前述の第5の実施形態に係る照明装置5と同様の効果に加えて、光源15を配置する際の自由度を向上することができる。これにより、本実施形態に係る照明装置114をコンパクトな装置とすることができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る照明装置114において、放熱機構19を波長変換部材10の対向する2側面に設けた構成を説明したが、放熱機構19を1側面または3側面に設けることとしてもよい。また、波長変換部材10の横断面を四角形以外の多角形とした場合においても、少なくとも1側面に放熱機構19を設ければよい。
【0073】
〔第15の実施形態〕
次に、本発明の第15の実施形態として、本発明に係る照明装置を、例えば内視鏡システム等の撮像システムに組み込み、画像の取得を行うための構成について、図15を用いて説明する。
本実施形態に係る撮像システム115は、本発明に係る照明装置を有する光源ユニット31と、撮像ユニット(撮像部)32と、画像モニター33と、画像処理部34と、照明制御部35と、光源駆動部36とを備えている。
【0074】
撮像ユニット32は、例えばCCD等の撮像素子であり、光源ユニット31により照射された照明光の被写体Sからの反射光を検出するようになっている。すなわち、撮像ユニット32は、被写体Sからの反射光を受光する受光手段として機能する。また、撮像ユニット32は、被写体Sからの反射光を検出することによって被写体Sを撮像し、撮像信号を画像処理部34に出力するようになっている。
【0075】
画像処理部34は、撮像ユニット32から出力された撮像信号を処理して、被写体Sの画像を生成するようになっている。画像処理部34は入力された照明モード指示信号の内容に応じて、各照明モードに最適な画像処理を選択して、画像信号を生成する。また、画像処理部34は、生成した被写体Sの画像を画像表示信号として画像モニター33に出力する。また、画像処理部34は、被写体Sの画像の明るさを画面明るさ信号として照明制御部35に出力するようになっている。
画像モニター33は、画像処理部34から出力された画像表示信号に基づいて、被写体Sの画像を画面に表示するようになっている。
【0076】
照明制御部35には、画像処理部34から出力された画面明るさ信号の他、外部から照明モード指示信号が送られる。ここで、照明モード指示信号とは、光源ユニット31から被写体Sに照射する照明光を、例えば白色光や特殊光等に切り替えることを指示する信号である。
【0077】
照明制御部35は、画像処理部34から出力された画面明るさ信号に基づいて、光源制御信号を生成し、該信号を光源駆動部36に出力する。
光源駆動部36は、照明制御部35から出力された光源制御信号に基づいて、光源ユニット31内の光源を駆動させるようになっている。
【0078】
上記構成を有する撮像システム115の動作について以下に説明する。
まず、照明制御部35からの光源制御信号によって光源駆動部36が制御される。そして光源駆動部36の光源駆動信号と同期して、光源ユニット31の点灯制御が行われ、高効率な照明光が被写体Sに照射される。被写体Sからの反射光は、撮像ユニット32により検出され、そこで得られた撮像信号は、画像処理部34により画像処理が施され、画像モニター33上に映像として表示される。
【0079】
また、上述した光源制御信号は、画面明るさ信号や照明モード指示信号などを元に構成されている。画面明るさ信号は、得られた撮像信号を画像処理部34で処理する際に得られ、例えば、光源の輝度調整値を指示する信号である。照明モード指示信号は、特定の複数の異なるスペクトルを有する照明モードを切り替える信号で、例えば、ある照明モード下では、特定の光源にのみ電力を供給するように制御している。
【0080】
本実施形態に係る撮像システム115によれば、前述の実施形態に係る照明装置を備えているため、高輝度な光を射出して撮像ユニット32により被写体Sを撮像することができ、被写体Sの観察精度を向上することができる。
【0081】
なお、本実施形態に係る撮像システム115の具体的な適用例として内視鏡システムを採用する場合には、体腔内に挿入され、前述の実施形態に係る照明装置からの照明光を導光する挿入部(図示略)を備え、撮像ユニット32が、挿入部によって照明された被写体Sを撮像する構成とすればよい。
【0082】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,2,4,5,6,7,8,9 照明装置
10 波長変換部材
15 光源
16 反射部材
17 プリズム(光学部材)
18 伝熱媒質
19 放熱機構
20 射出部材
25 レンズ
26 光ファイバー
31 光源ユニット
32 撮像ユニット(撮像部)
33 画像モニター
34 画像処理部
35 照明制御部
36 光源駆動部
110,111,112,113,114 照明装置
115 撮像システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を射出する少なくとも1つの光源と、
前記光源からの励起光の波長を変換する棒状の波長変換部材とを備え、
前記光源の光軸が、前記波長変換部材の軸線に対して斜めに配置されている照明装置。
【請求項2】
前記波長変換部材の周囲を覆うように配置され、前記光源からの励起光を反射する反射部材を備える請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記波長変換部材の入射面に配置され、前記光源からの励起光を前記波長変換部材内において全反射するように屈折する光学部材を備える請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学部材がプリズムである請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記波長変換部材の周囲に配置され、該波長変換部材からの熱を放熱する放熱機構と、
前記波長変換部材と前記放熱機構との間に配置され、空気よりも熱伝導率が高い伝熱媒質とを備える請求項1から4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記伝熱媒質が、前記波長変換部材よりも低い屈折率を有する請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記波長変換部材の端面に接続され、該端面よりも大きな面積の射出面を有する射出部材を備える請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源が半導体レーザーである請求項1から7のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源がLEDである請求項1から7のいずれかに記載の照明装置。
【請求項10】
前記光源がランプである請求項1から7のいずれかに記載の照明装置。
【請求項11】
前記光源と前記波長変換部材との間に配置され、前記光源からの励起光を平行化するレンズを備える請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
前記光源からの励起光を光ファイバーによって導光する請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の照明装置と、
体腔内に挿入され、前記照明装置からの照明光を導光する挿入部と、
該挿入部によって照明された観察対象を撮像する撮像部とを備える内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−94496(P2013−94496A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241481(P2011−241481)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】