説明

照明装置が設置される天井およびその天井を備えるエレベータの乗籠

【課題】天板のほぼ全面を覆うように取り付けられる照明ケースを乗籠の室内から装着でき、かつ、固定部分が乗籠の室内に露出されない構造を有した天井を提供する。
【解決手段】エレベータの乗籠1の天井10は、天板11と照明ケース12とフック13と堰14と舌片15とを備える。天板11は、籠室の上部を覆い、側壁20との接合部よりも内側に、係止端部112が狭く挿通端部113が広いスロット111を有する。照明ケース12は、照明装置Lの光源L1の下方を覆い、天板11に沿って内側に延びるフランジ121を天板11に対向する縁に有する。フック13は、照明ケース12の縁に取り付けられて、スロット111の挿通端部113を通過し係止端部112に係合する頭部131を有する。堰14は、スロット111の挿通端部113と係止端部112の間に配置される。舌片15は、フランジ121を係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの乗籠の中から照明装置の照明ケースが装着される天井およびその天井を備える乗籠に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗籠の天井には、照明装置が取り付けられる。照明装置の照明ケースは、天井を構成する天板のほぼ全面を覆うように形成される。照明ケースを固定するための固定器具や締結具などは、籠室内から見たときの意匠を考慮して、照明ケースによって覆われる範囲に見えないように配置される。照明ケースは、天板に締結具によって直接的に固定される場合と、照明ケースの一つの縁に沿う軸を中心に乗籠の室内側へ回動するようにヒンジを介して天板に吊下げられる場合と、がある。また、照明装置の光源を乗籠の室内側から取り替えることができるように、透光板や散光板などのカバーは、外周に設けられたフランジで照明ケースの開口部に引っ掛けられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−199401号公報
【特許文献2】特開2010−6572号公報
【特許文献3】特開平2−66581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乗籠の天板のほぼ全面を覆うように照明装置が取り付けられる場合、エレベータの乗籠を現地で組み立てる際に天井とともに組み込まれる。このような方法で照明装置を組み立てると、照明装置が組み付けられた天井が重くサイズも大きくなるため、昇降路内で揚重するなどの必要が生じ、取り扱いが不便である。
【0005】
また、乗籠に対する昇降路の内法寸法が小さくなるにしたがって、昇降路内に設置される機器類との距離が接近するため、照明装置が取り付けられた天井を昇降路内で取り扱うのに作業性が悪くなる。さらに、天板を側壁に接合して乗籠を組み立てた後で照明装置を乗籠の室内から取り付ける場合、照明装置を乗籠の室内から支え、乗籠の上から締結具を取り付けなければならない。
【0006】
そこで、天板のほぼ全面を覆うように取り付けられる照明ケースを乗籠の室内から装着でき、かつ、固定部分が乗籠の室内に露出されない構造を有した天井、およびその天井を備える乗籠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のエレベータの乗籠の天井は、天板と照明ケースとフックと堰と舌片とを備える。天板は、エレベータの乗籠の籠室を囲う側壁の上端に外周部が接合されて籠室の上部を覆う。この天板は、側壁との接合部よりも内側に、外周部に近い係止端部が狭く中央寄りの挿通端部が広いスロットを有する。照明ケースは、乗籠の上部に設置される照明装置の光源の下方を覆い、籠室の天井の意匠を形成する。この照明ケースは、天板に沿って内側に延びるフランジを天板に対向する縁に有する。フックは、照明ケースの縁に取り付けられて、スロットの挿通端部を通過し係止端部に係合する頭部を有する。堰は、スロットの挿通端部と係止端部の間に配置される。舌片は、スロットが開口する天板の対辺側に取り付けられ照明ケースのフランジを係止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態の天井を備える乗籠の籠室内部を示す斜視図。
【図2】図1に示した天井を上から見た斜視図。
【図3】図2に示したスロットおよびフックの周辺の平面図。
【図4】図2に示した照明ケースのフックの周辺の斜視図。
【図5】図1に示した天井の天板に照明ケースを組み付ける前の斜視図。
【図6】図5に示した天井の照明ケースを天板に吊下げた断面図。
【図7】図6に示した照明ケースを回動させて持ち上げる状態の断面図。
【図8】図7に示した照明ケースの回動途中のフックの斜視図。
【図9】図7に示した照明ケースを天板に固定した状態の断面図。
【図10】図5〜8に示したフックの動きを示す断面図。
【図11】図9に示した照明ケースのフランジと舌片の断面図。
【図12】第2の実施形態の天井を示す斜視図。
【図13】第3の実施形態の天井を示す斜視図。
【図14】図13に示した天井のフックを補強部材の窓に通す状態の断面図。
【図15】図13に示した天井のフックが堰を越えた状態の斜視図。
【図16】第4の実施形態の天井を示す斜視図。
【図17】図16に示したフックおよびスロットを含む周辺の断面図。
【図18】第5の実施形態の天井のフックおよびスロットの周辺を示す斜視図。
【図19】図18に示した天井に照明ケースを取り付ける際のフックの動きを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の実施形態の天井を備えるエレベータの乗籠1は、図1から図11を参照して説明する。図1に示す乗籠1は、籠室を囲う側壁20と、籠室の上部を覆う天井10とを備える。天井10は、天板11と照明ケース12とフック13と堰14と舌片15とを有する。天板11は、側壁20の上端に外周部が接合される。照明ケース12は、乗籠1の上部に設置される照明装置Lの光源L1の下方を覆うように天板11の籠室側のほぼ全面を覆って天井10の意匠を形成する。図1において、乗籠1のドア装置2側から見て右側および奥の側壁は、省略している。
【0010】
側壁20の上端は、図2に示すように籠室の外側に向かって折り返されている。天板11の外周部の縁は、側壁20が下方へ折り返された位置で上方へ折り曲げられている。天板11の外周部は、図2に示すように側壁20の上端にボルト21とナット22で締結される。天板11と照明ケース12との間に照明装置Lの光源L1が配置されている。
【0011】
照明ケース12は、図2に示すように光源L1の下方となる中央部に透光性の樹脂で造られたカバー122を備えている。照明ケース12は、天板11に沿って内側に延びるフランジ121を天板11に対向する縁に有している。このフランジ121は、フック13が取り付けられる部分を除き、照明ケース12の外周部の全周に形成されている。
【0012】
天板11は、側壁20との接合部よりも内側の外周部の1つの辺11aに沿って2か所にスロット111を有している。スロット111は、図3に示すように外周部に近い側に幅の狭い係止端部112を有し、天板11の中央寄りに幅の広い挿通端部113を有している。スロット111の挿通端部113は、挿通端部113から係止端部112に向う中心線Mに対して対称に形成されている。
【0013】
フック13は、図4および図5に示すようにスロット111の数に応じた数だけ照明ケース12の1つの12a辺に取り付けられている。フック13は、図1および図4に示すように照明ケース12の外周寄りも外側へ延びる頭部131を有している。この頭部131は、図3に示すように挿通端部113の形状に対応した対称形であり、挿通端部113を通過し、係止端部112に係合する。照明ケース12の大きさに応じて、スロット111およびそこに嵌め込まれるフック13の数を例えば3つや4つ、それ以上に増やしても良い。このときフック13は、照明ケース12の1つの辺12aに沿って配置されるので、スロット111もまた側壁20の1つに沿う天板11の外周部の1つの辺11aに沿って一列に並べて配置される。
【0014】
堰14は、図2および図3に示すように、スロット111の挿通端部113と係止端部112との間に配置されている。堰14は、天板11から上方へ延びている。この堰14は、スロット111の挿通端部113を形成するために天板11を切った一部を折り曲げて造られている。堰14は、図6および図8に示すようにスロット111に通されたフック13が挿通端部113から不用意に脱落しないように係止する。したがって、天板11に一体に形成される代わりに、別部材を取り付けても良いし、対称に広がった挿通端部113の片側にのみ設けられていても良い。
【0015】
舌片15は、図1、図2、図5および図6に示すようにスロット111が開口する天板11の対辺11b側に取り付けられている。この舌片15は、フック13が設けられた側の対辺12bの照明ケース12のフランジ121を係止する。フック13の基部132が係止端部112に突き当たる状態で、フランジ121は、舌片15と天板11との間に差し込まれる。舌片15は、図5や図6に示すように別部材を取り付けるだけでなく、天板11を部分的にプレスで打ち抜いて形成されていても良い。
【0016】
以上のように構成された天井10は、図5から図9に示す要領で天板11に照明ケース12が組み付けられる。図5から図9まで照明ケース12を天板11に取り付ける際のフック13の動きを図10に示す。図5に示すように照明ケース12を乗籠1の中に搬入する。図10中の矢印A1で示すように照明ケース12に取り付けられたフック13をスロット111の挿通端部113から通す。挿通端部113を越えた頭部131は、堰14を越えて係止端部112に引っ掛ける。
【0017】
図1および図2に示す状態の照明ケース12の鉛直方向の最大寸法よりも側壁20から離れた位置に、堰14が設けられている。したがって、照明ケース12を図6に示すように天板11に吊り下げた状態でも、照明ケース12は、側壁20に当たらない。
【0018】
図6に示した状態から図10中に矢印A2に沿ってフック13側を支点に照明ケース12を回動させて図7に示すように持ち上げる。なお、図7においてカバーは省略している。スロット111の係止端部112は、図8に示すように挿通端部113から側壁20側に向って延びている。そこで照明ケース12が天板11に近づいたときに舌片15側の側壁20に当たらないように、図7中に二点差線で示すとともに図10中に矢印A3で示すように照明ケース12の回動支点となるフック13を側壁20側へスライドさせながら回動させる。フック13に対して対辺12b側のフランジ121が舌片15に当たらずに、照明ケース12のフランジ121が天板11に当接する位置、すなわち図7中に一点鎖線で示された水平な位置まで照明ケース12を回動させる。
【0019】
最後に、図10中に矢印A4で示すように照明ケース12をスライドさせ、図2および図9に示すようにフック13の基部132がスロット111の係止端部112に突き当たる位置まで移動させる。フック13に対して対辺12b側のフランジ121は、図9及び図11に示すように、舌片15と天板11との間に差し込まれ保持される。
【0020】
このように、フック13側ではフック13とその周囲のフランジ121によって天板11を把持し、舌片15側では舌片15と天板11によってフランジ121を把持することによって、照明ケース12は天板11に固定される。照明ケース12は、図9に示すようにフック13と舌片15で保持される状態で、側壁20からほぼ均等に離れ乗籠1の籠室のほぼ中央に配置される。図10および図11に示すように、照明ケース12が天板11に固定されている場合、天板11に開口するスロット111および天板11に取り付けられた舌片15は、いずれも照明ケース12によって覆われて籠室側から見えない。
【0021】
照明ケース12は、照明ケース12を天板11に装着したのと反対の手順で取り外すことができる。まず舌片15側へ照明ケース12をスライドさせ、フランジ121を舌片15と天板11の間から抜く。フック13を支点にして照明ケース12を下方へ回動させる。このときフック13側の角が側壁20に当たらないように、フック13を側壁20から離す方向へスライドさせながら回動させる。照明ケース12を完全に天板11から取り外してしまう場合は、さらに堰14を越してフック13の頭部131をスロット111の挿通端部113から抜き取る。
【0022】
以上のように第1の実施形態の天井10は、図6に示すようにフック13によって照明ケース12を一時的に天板11に吊り下げた状態にすることができる。そのため天板11のほぼ全面を覆うように照明ケース12が取り付けられる場合でも、天板11を側壁20に接合した後で、乗籠1の内側から容易に照明ケース12を取り付けることができる。そして、乗籠1に搬入した照明ケース12を取り付ける際、段取り変えなどの作業性が向上する。また、メンテナンスなどにおいて、カバー122を着脱負荷の場合でも、照明装置Lの光源L1を交換する場合に、乗籠1の籠室側から照明ケース12を簡単に取り外すことができるし、外した照明ケース12をフック13で天板11に吊り下げておくことで安定した状態に保持できる。堰14が設けられているので、不用意にフック13がスロット111から脱落することもない。
【0023】
また、この天井10を備える乗籠1は、側壁20の上端に天板11のみを取り付けた後、乗籠1の内部から照明装置Lの光源L1や照明ケース12を取り付けることができる。照明ケース12が天板11のほぼ全面を覆うように装着される場合であっても、いったん照明ケース12を天板11に吊り下げておくことができるため、作業しやすい。
【0024】
第2の実施形態の天井10は、図12を参照して説明する。図12に示す天井10は、スロット111の形状とフック13の形状が第1の実施形態の天井10と異なっており、その他の構成は同じである。第1の実施形態の天井10と同一の構成は、図12中において第1の実施形態の天井10と同じ符号を付す。詳細な説明は、第1の実施形態の該当する記載を参酌する。
【0025】
図12に示す天板11に開口するスロット111の挿通端部113は、挿通端部113から係止端部112に向う中心線Mに対して非対称形状である。具体的には、中心線Mに対して片側が大きく開口している。2か所に設けられたスロット111の2つとも同じ側に挿通端部113が広く形成されていても良いし、天板11の中心に対して対称形に挿通端部113が開口していてもよい。フック13の頭部131は、スロット111の形状に対応して、片側に大きく張り出した非対称形状である。
【0026】
挿通端部113を通されたフック13の頭部131が係止端部112に係合することによって、照明ケース12は、天板11に吊り下げられる。また、フック13の頭部131が堰14によって係止されることによって、照明ケース12が天板11から不用意に落下することもない。第2の実施形態の天井10は、第1の実施形態の天井10と同様に、天板11のほぼ全面を覆うように照明ケース12が装着される場合でも、乗籠1の内側から照明ケース12を容易に設置できる。
【0027】
第3の実施形態の天井10は、図13から図15を参照して説明する。図13に示す天井10は、ハット形断面を有した補強部材16を、スロット111側および舌片15側の天板11の上部にそれぞれ有している。スロット111側に配置される補強部材16は、スロット111の挿通端部113を覆っている。したがって、図13から図15に示すようにスロット111の挿通端部113に隣り合う補強部材16の縦壁161は、挿通端部113と同様にフック13の頭部131を通過させる窓162を有している。窓162は、縦壁161の上側に形成され、係止端部112と同じ幅でスロット111の係止端部112につながっている。堰14は、窓162が形成された縦壁161の下側の部分によって形成される。
【0028】
この他の構成は、第1の実施形態の天井10と同じであるので、第1の実施形態と同じ構成には図13から図15中において第1の実施形態と同じ符号を付す。各符号に対応する詳細な説明は、第1の実施形態の天井10の該当する記載を参酌する。また、図13において照明装置Lの光源L1およびカバー122は、省略している。
【0029】
以上のように構成された天井10において、フック13の頭部131は、図14に示すように天板11の挿通端部113に通された後、補強部材16の窓162に通される。そして、フック13の頭部131は、補強部材16の縦壁161の下側によって形成される堰14を越えて、図15に示すように係止端部112に引っ掛けられる。照明ケース12は、第1および第2の実施形態の場合と同様に、天板11に吊り下げた状態に保持される。吊り下げられた照明ケース12は、第1の実施形態の図5から図11に示した照明ケース12と同じ要領で天板11に固定される。
【0030】
第3の実施形態の天井10は、第1および第2の実施形態の天井10と同様に、天板11のほぼ全面を覆うように照明ケース12が装着される場合でも、乗籠1の内側から照明ケース12を容易に設置できる。
【0031】
第4の実施形態の天井10は、図16および図17を参照して説明する。図16に示す天井10は、天板11の中央部が外周部よりも高くなっている。つまり外周部と中央部の間に、外周部から上方へ立ち上がる縦壁114を有している。スロット111は、図16および図17に示すように縦壁114から外周部に掛けて形成されている。スロット111の挿通端部113は、縦壁114の上側に形成され、スロット111の係止端部112は、外周部に形成される。そして、堰14は、挿通端部113と係止端部112の間の縦壁114の下側の部分によって形成される。縦壁114に設けられた挿通端部113および堰14は、第3の実施形態の補強部材16に造られた窓162および堰14とほぼ同じ形状である。舌片15は、スロット111が形成された側の辺12aに対する対辺12b側の外周部に取り付けられている。
【0032】
以上のように構成された天井10において、フック13の頭部131は、縦壁114に開口する挿通端部113を通すと同時に堰14を越えて、係止端部112に引っ掛けられる。照明ケース12は、第1から第3の実施形態の場合と同様に、天板11に吊り下げられた状態に保持されるとともに、第1の実施形態の図5から図11に示した照明ケース12と同じ要領で天板11に固定される。
【0033】
第4の実施形態の天井10は、第1から第3の実施形態の天井10と同様に、天板11のほぼ全面を覆うように照明ケース12が挿着される場合でも、乗籠1の内側から照明ケース12を容易に設置できる。第3の実施形態の天井10において、補強部材16を設ける代わりに天板11を矩形の波鋼板にした場合、この第4の実施形態の天板11と同様に、スロット111の挿通端部113は、縦壁114の上側に作られ、堰14は縦壁114の下側に形成される。
【0034】
第5の実施形態の天井10は、図18および図19を参照して説明する。この実施形態の天井10は、第1の実施形態の天井10に比べて、フック13の形状が異なっている。それ以外の構成は、第1の実施形態の天井10と同じである。第1の実施形態の天井10と同じ構成は、図18および図19中に同一の符号を付す。また、図18および図19に図示された以外の部分は、第1の実施形態の図2を、照明ケース12を天板11に組み付ける要領に付いては、第1の実施形態の図5から図11およびそれらに対応する記載を参酌する。
【0035】
図18に示す天井10のフック13は、凸部134を有した波形に形成されている。凸部134は、フック13の頭部131から基部132の間に形成され、天板11側に向かって膨出するように反り返っている。フック13は、凸部134が天板11に当接する場合に頭部131が天板11から離れるように形成されている。
【0036】
このように構成された天井10のフック13の動きは、図19を参照して説明する。まず図19中の矢印A11に示すように頭部131を挿通端部113に通して堰14を越えさせる。頭部131を係止端部112に引っ掛けることで、照明ケース12を天板11に吊り下げる。次に、フック13の頭部131を支点に照明ケース12を図19中の矢印A12にしたがって回動させる。照明ケース12は、天板11のほぼ全面を覆う大きさを有しているので、照明ケース12が天板11に近づくにしたがって、舌片15側の照明ケース12が側壁20に接近する。したがって、第1の実施形態と同じく、支点となっているフック13の頭部131を側壁20側へ図19中の矢印A13に沿ってスライドさせながら照明ケース12を天板11に向けて回動させる。
【0037】
照明ケース12と天板11との接触面積が減るので、図19中の矢印A14に沿って照明ケース12をスライドさせるときの力が軽減される。照明ケース12がフック13側に向かって移動する途中で、フック13の凸部134は、スロット111の係止端部112の縁を越えて天板11の上面に乗り上げる。凸部134が天板11の上面に接すると、頭部131は、天板11から浮き上がる。
【0038】
フック13の凸部134と照明ケース12のフランジ121とのギャップの寸法は、フック13の頭部131とフランジ121とのギャップの寸法よりも小さく設定されている。さらに、凸部134とフランジ121とのギャップの寸法は、天板11の板厚よりも小さく設定される。このように構成することによって、フック13の基部132が係止端部112に突き当たる位置まで移動した照明ケース12は、凸部134とフランジ121によってしっかりと把持される。また、頭部131によって天板11に接している間は、天板11との摩擦抵抗が小さいので、照明ケースを移動させやすい。
【0039】
上述の各実施形態における照明装置の光源は、円形の蛍光管を想定して図示している。光源は、円形の蛍光管に限定されること無く、発光するものであれば冷陰極ランプや発光ダイオード(LED)、レーザー光などを採用することができるし、光源の形態および発光色も、自由に選択されるものである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…乗籠、10…天井、11…天板、111…スロット、112…係止端部、113…挿通端部、114…縦壁、12…照明ケース、121…フランジ、13…フック、131…頭部、132…基部、134…第2の凸部、14…堰、15…舌片、16…補強部材、161…縦壁、162…窓、20…側壁、L…照明装置、L1…光源、M…中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗籠の籠室を囲う側壁の上端に外周部が接合されて前記籠室の上部を覆い前記側壁との接合部よりも内側に前記外周部に近い係止端部が狭く中央寄りの挿通端部が広いスロットを有する天板と、
前記乗籠の上部に設置される照明装置の光源の下方を覆って前記籠室の天井の意匠を形成するとともに前記天板に沿って内側に延びるフランジを前記天板に対向する縁に有する照明ケースと、
前記照明ケースの縁に取り付けられて前記スロットの前記挿通端部を通過し前記係止端部に係合する頭部を有したフックと、
前記スロットの前記挿通端部と前記係止端部の間に配置された堰と、
前記スロットが開口する前記天板の対辺側に取り付けられ前記照明ケースの前記フランジを係止する舌片と、
を備えることを特徴とする乗籠の天井。
【請求項2】
前記堰は、前記天板に取り付けられる補強部材の一部で形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の天井。
【請求項3】
前記天板は、前記外周部よりも内側の範囲で上方に立ちあがる縦壁を有し、
前記スロットは、前記縦壁から前記外周部に掛けて形成され、
前記挿通端部は、前記縦壁の上側に形成され、
前記係止端部は、前記外周部に形成され、
前記堰は、前記縦壁の下側に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の天井。
【請求項4】
前記スロットの前記挿通端部は、前記挿通端部から前記係止端部に向かう中心線に対して非対称形状であり、
前記フックの前記頭部は、前記挿通端部の形状に対応した非対称形状である
ことを特徴等する請求項1に記載の天井。
【請求項5】
前記フックの基部が前記係止端部に突き当たる場合に前記フランジが前記舌片と前記天板との間に差し込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の天井。
【請求項6】
前記フックは、前記天板に向かって膨出した凸部を前記フックの前記頭部から前記フックの基部の間に有した波形に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の天井。
【請求項7】
前記頭部は、前記凸部が前記天板に当接する場合に、前記天板から離れる
ことを特徴とする請求項6に記載の天井。
【請求項8】
エレベータの昇降路を移動する乗籠であって、
籠室を囲う側壁と、
前記側壁の上端に外周部が接合されて前記籠室の上部を覆い前記側壁との接合部よりも内側に前記外周部に近い係止端部が狭く中央寄りの挿通端部が広いスロットを有する天板と、
前記乗籠の上部に設置される照明装置の光源の下方を覆い前記天板に対する当接部が前記天板に沿って内側に延びるフランジを有し前記籠室の天井の意匠を形成する照明ケースと、
前記照明ケースの縁に取り付けられて前記スロットの前記挿通端部を通過し前記係止端部に係合する頭部を有したフックと、
前記スロットの前記挿通端部と前記係止端部の間に配置された堰と、
前記スロットが開口する前記天板の対辺側に取り付けられ前記照明ケースの前記フランジを係止する舌片と
を備えることを特徴とする乗籠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−51666(P2012−51666A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194255(P2010−194255)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】