説明

照明装置及びその製造方法

【課題】少なくともLEDからの発熱を十分に放熱することができる照明装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の照明装置は、内部で発光した光を透過させる頂部2が設けられたLED1と、前記LED1を駆動させる駆動回路素子3と、前記LED1及び前記駆動回路素子3が一表面6側に実装された実装基板5とを備え、少なくとも前記LED1の頂部2以外の外周と前記実装基板3の一表面6とに跨って放熱絶縁物質17が被覆されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を備えた携帯機器(例えばデジタルスチルカメラやカメラモジュールを備えた携帯電話機等)で写真撮影を行う際に補助光として用いられるLEDを光源とした照明装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器(例えばデジタルスチルカメラ)等による写真撮影の補助光源としては、一般的にキセノン放電管を光源とする閃光装置が用いられていた。しかしながら、近年、携帯機器等におけるカメラ部(カメラシステム制御部等)のデジタル化が進むにつれ、撮像素子(CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化物半導体)によるイメージセンサ等)が用いられることによって、カメラの連続撮影機能や動画撮影機能が可能となる中、携帯機器等における照明装置においては、従来の静止画撮影に適していたキセノン放電管を光源とする照明装置よりも、静止画撮影と動画撮影に適したLEDを光源とする照明装置が主流となりつつある。
【0003】
LEDを光源とする照明装置としては、図8(従来の照明装置の断面図)に示すように、内部で発光した光を透過させる頂部2が設けられたLED1と、前記LED1を駆動させる駆動回路素子3と、その他の回路素子4(コンデンサやコイルやIC等)と、カメラ部(カメラシステム制御部)とデジタル制御部とを接続するコネクタ8と、実装基板5とを備え、実装基板5の一表面6側には、前記LED1及び前記駆動回路素子3及び前記回路素子4が実装され、他表面7側には、前記コネクタ8が実装されたものが知られている。
【0004】
また、携帯機器としては、例えば、図9(従来の携帯機器(デジタルスチルカメラ)の斜視図)に示すようなデジタルスチルカメラが知られている。該デジタルスチルカメラ(以下、「DSC」と言う)の外観は、前カバー9の発光窓10に光学パネル11が嵌入され、また撮影レンズ12を備えると共に、DSCの本体上部にモードダイヤル13、シャッターボタン14を備える。また、DSCの内部には、カメラシステム制御部と上記照明装置とを備えている。
【0005】
上記構成からなるDSCにおけるLEDの電流特性としては、一般的に、大光量を必要とする静止画撮影時に、大電流がLEDに一時的に流され、また動画撮影時に、任意電流がLEDに連続して流され続けるという特性がある。そのため、これらの一時的な大電流あるいは連続的な任意電流に伴う消費電力によって、とりわけ、LED1、及び、LED1を駆動させる駆動回路素子3は発熱を生じる。しかしながら、上記構成からなる照明装置では、LED1や駆動回路素子3からの発熱は、実装基板5の一表面6(接触面)から実装基板5の他表面7へ放熱されるものの、それだけでは放熱が十分になされていないという問題があった。さらに、このような不十分な放熱という問題は、例えばLEDの発光の色温度や光量が変化して精度の高い再現性のある撮影画像が得られないといった二次的な問題を惹起させ得る。
【0006】
上記問題点に対して、一般的に主熱源であるLEDの発熱を抑えるに当たり、LEDの直下にだけ放熱樹脂を介し金属板やヒートシンクを用いて放熱を施したり(例えば特許文献1)、またLEDが一表面に実装される基板の裏面に放熱板を付設すること(例えば特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−173791号公報
【特許文献2】特開2006−243310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の技術では、LEDの直下にだけ放熱樹脂を採用したり、あるいは、LEDが一表面に実装された基板の裏面に放熱板を採用しているだけで、LEDからの発熱の放熱が不十分であった。さらに、主熱源であるLEDだけでなくLEDを駆動させる駆動回路素子からも発熱が生じることを鑑みると、上記特許文献1や特許文献2の技術では、駆動回路素子には何ら放熱策が講じられておらず、駆動回路素子からの発熱の放熱は十分ではなかった。その結果、上記問題点で指摘したように、例えば、発熱されたLEDは照射光の色温度を変化させたり、また、発熱された駆動回路素子はLED電流を変化させ照射光量を変化させるため、精度の高い再現性のある撮影画像が得られないという二次的な問題が惹起されることとなる。
【0009】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、少なくともLEDからの発熱を十分に放熱することができる照明装置及びその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明装置は、上記課題を解決するためになされたもので、内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備え、前記実装基板の一表面側に前記LEDが実装され、前記一表面側において少なくとも前記LEDがその頂部を除いて放熱絶縁物質により被覆されていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成からなる照明装置によれば、実装基板の一表面側にLEDが実装され、前記一表面側において少なくともLEDがその頂部を除いて放熱絶縁物質により被覆されている。よって、LEDの頂部は放熱絶縁物質で被覆されていないため、発光を頂部からなすことができるとともに、LEDはその頂部以外(例えば外周等)が放熱絶縁物質で被覆されているため、当該放熱絶縁物質を介し、LEDからの発熱を十分に放熱できる。
【0012】
また、本発明に係る照明装置は、前記実装基板の一表面側が前記放熱絶縁物質により被覆されていることが好ましい。
【0013】
かかる構成からなる照明装置によれば、実装基板の一表面(LEDを実装した面)側が放熱絶縁物質で被覆されているため、該放熱絶縁物質を介して、LED等からの発熱を実装基板の一表面側から十分に放熱できる。また、例えば駆動回路素子やその他熱源となる回路素子が実装基板の一表面側に実装されている場合、当該一表面側が放熱絶縁物質で被覆されているため、該放熱絶縁物質を介して、前記駆動回路素子やその他の回路素子からの発熱を十分に放熱できる。
【0014】
また、本発明に係る照明装置は、前記実装基板の他表面側が前記放熱絶縁物質により被覆されていることが好ましい。
【0015】
かかる構成からなる照明装置によれば、実装基板の他表面側が前記放熱絶縁物質で被覆されているため、実装基板の一表面側だけでなく、他表面側における放熱絶縁物質をも介して、LED等からの発熱をより放熱できる。より具体的には、実装基板の一表面側に実装されたLED等(例えば一表面側に駆動回路素子やその他熱源となる回路素子が実装されていれば、当該駆動回路素子やその他の回路素子を含む)からの発熱が実装基板の一表面側から他表面側に伝わり、該他表面側に伝わった熱を、他表面側を被覆した放熱絶縁物質を介して、放熱できる。また、例えば駆動回路素子やその他熱源となる回路素子が実装基板の他表面側に実装されている場合、当該他表面側が放熱絶縁物質で被覆されているため、該放熱絶縁物質を介して、前記駆動回路素子やその他の回路素子からの発熱を十分に放熱できる。
【0016】
また、本発明に係る照明装置は、前記実装基板の他表面側を被覆した放熱絶縁物質をさらに被覆するようにして設けられた金属板を備えることが好ましい。
【0017】
かかる構成からなる照明装置によれば、実装基板の他表面側が前記放熱絶縁物質で被覆され、該放熱絶縁物質をさらに金属板が被覆している。よって、LED及び駆動回路素子からの発熱が実装基板の一表面側から他表面側に伝わり、その他表面側に伝わった熱は、他表面側を被覆した放熱絶縁物質によって放熱され、該放熱は、放熱絶縁物質を被覆した金属板によって十分に放熱されることとなるため、LED及び駆動回路素子からの発熱の放熱性を高めることができる。
【0018】
また、本発明に係る照明装置は、前記金属板には、放熱絶縁物質と係合する貫通穴が設けられ、又は、前記貫通穴及び前記実装基板の他表面に接触する凸部が設けられてなることが好ましい。
【0019】
かかる構成からなる照明装置によれば、実装基板の他表面側が前記放熱絶縁物質で被覆され、該放熱絶縁物質を金属板がさらに被覆しており、また前記金属板には、放熱絶縁物質と係合する貫通穴、あるいは、貫通穴及び実装基板の他表面に接触する凸部が設けられている。よって、金属板の貫通穴と放熱絶縁物質とが係合して、金属板と放熱絶縁物質とが互いに強固に密着固定され、熱伝導性が高められることとなるため、LED及び駆動回路素子からの発熱の放熱性をより高めることができる。また、金属板の凸部が実装基板の他表面に接触して設けられる場合には、LED及び駆動回路素子からの発熱が実装基板の一表面側から他表面側に伝わり、その他表面側に伝わった熱は、他表面側を被覆する放熱絶縁物質だけでなく金属板をも直接的に介して、放熱できる。
【0020】
また、本発明に係る照明装置は、前記放熱絶縁物質が熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂に無機フィラーを含有した放熱絶縁樹脂からなることが好ましい。
【0021】
かかる構成からなる照明装置によれば、放熱絶縁物質が熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂に無機フィラーを含有した放熱絶縁樹脂からなるため、LEDや駆動回路素子からの発熱の放熱を効率よく行うことができるとともに、実装基板の絶縁もできる。
【0022】
本発明に係る照明装置の製造方法は、内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備えた照明装置の製造方法であって、前記LED及び駆動回路素子を実装した実装基板を配置するキャビティを設け、且つ、前記LEDの頂部をキャビティ外に突出させる凹部を設けた金型を使用し、前記LEDの頂部が前記金型の凹部から突出してキャビティ外となるように前記実装基板をキャビティ内に配置した状態でキャビティ内に溶融された放熱絶縁樹脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆する工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
かかる構成からなる照明装置の製造方法によれば、LEDの頂部が金型の凹部から突出して金型のキャビティ外となるように実装基板を金型のキャビティ内に配置した状態で前記キャビティ内に溶融された放熱絶縁樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆することによって、照明装置が製造される。このようにして製造された照明装置は、少なくともLEDの頂部以外の外周と実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁物質が被覆されているため、該放熱絶縁物質を介して、LEDからの発熱を十分に放熱できる。
【0024】
また、本発明に係る照明装置の他の製造方法は、内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備える照明装置の製造方法であって、前記LED及び駆動回路素子を実装した実装基板を配置する空洞部を設け、且つ、前記LEDの頂部に対応した開口部を設け、該開口部を閉塞するように光学パネルが装着された光学パネルケースを使用し、前記LEDの頂部が前記光学パネルに密着するように前記実装基板を前記光学パネルケースの空洞部に配置した状態で前記空洞部に溶融された放熱絶縁樹脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆する工程とを含むことを特徴とする。
【0025】
かかる構成からなる照明装置の製造方法によれば、LEDの頂部が光学パネルに密着するように実装基板を光学パネルケースの空洞部に配置した状態で前記空洞部に溶融された放熱絶縁樹脂を充填し、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆することによって、照明装置が製造される。そのため、本製造方法では、金型等の成形具を用いなくとも、照明装置の樹脂被覆ができる。また、このようにして製造された照明装置は、少なくともLEDの頂部以外の外周と実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁物質が被覆されているため、該放熱絶縁物質を介して、LEDからの発熱を十分に放熱できる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る照明装置及びその製造方法によれば、少なくともLEDからの発熱を十分に放熱することができる。従って、LEDの発熱に起因するLEDの色温度等を防止し、精度の高い再現性のある撮影画像が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態に係る携帯機器における回路図
【図2】同実施形態に係る照明装置の製造方法を説明する図であって、(a)は従来の照明装置の断面図、(b)は金型によるキャビティに従来の照明装置を配置した断面図、(c)は溶融された放熱絶縁樹脂を金型に注入している状態を示す図、(d)は放熱絶縁樹脂が硬化後、金型から照明装置を取り出した状態を示す図
【図3】同実施形態に係る照明装置をデジタルスチルカメラの前ケースへ取り付ける状況図であって、(a)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付ける前の状態を示す図、(b)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付けた状態を示す図
【図4】第二実施形態に係る照明装置の製造方法を説明する図であって、(a)は従来の照明装置の断面図、(b)は光学パネル付きの光学パネルケースの断面図、(c)は光学パネルケース内に従来の照明装置を配置した状態を示す図、(d)は光学パネルケースを取り付けた従来の照明装置を金型によるキャビティに配置した状態を示す図、(e)は溶融された放熱絶縁樹脂を金型に注入している状態を示す図、(f)は放熱絶縁樹脂が硬化後、金型から照明装置を取り出した状態を示す図
【図5】同実施形態に係る照明装置をデジタルスチルカメラの前ケースへ取り付ける状況図であって、(a)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付ける前の状態を示す図、(b)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付けた状態を示す図
【図6】第三実施形態に係る照明装置の構成図であって、(a)は本実施形態に係る金属板の断面図、(b)は前記金属板を備えて樹脂成形された照明装置の断面図
【図7】第四実施形態に係る照明装置の構成図であって、(a)は本実施形態に係る金属板の断面図、(b)は前記金属板を備えて樹脂成形された照明装置の断面図
【図8】従来の照明装置の断面図
【図9】従来の携帯機器(デジタルスチルカメラ)の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る照明装置の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る照明装置を備えた携帯機器(デジタルスチルカメラ(DSC))における回路図である。図2は、照明装置の製造方法(樹脂充填工程)を説明する図であって、(a)は従来の照明装置の断面図、(b)は金型によるキャビティに従来の照明装置を配置した断面図、(c)は溶融された放熱絶縁樹脂を金型に注入している状態を示す図、(d)は放熱絶縁樹脂が硬化後、金型から照明装置を取り出した状態を示す図である。また図3は、照明装置をDSCの前ケースへ取り付ける状況を示した図であって、(a)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付ける前の状態、(b)は製造された照明装置をデジタルスチルカメラに取り付けた状態を示す図である。
【0029】
本実施形態に係る携帯機器は、図9に示すような従来のデジタルスチルカメラ(DSC)であるが、本DSCの内部には、本発明に係る照明装置を備え、また前カバー9裏面部には、前記照明装置と接するように金属蒸着膜あるいは金属薄板が設けられている。
【0030】
照明装置は、例えば図2(d)に示すように、内部で発光した光を透過させる頂部2が設けられたLED1と、前記LED1を駆動させる駆動回路素子3と、その他の回路素子4(コンデンサやコイルやIC等)と、カメラ部(カメラシステム制御部15)とデジタル制御部16とを接続するコネクタ8と、実装基板5とを備えており、実装基板5の一表面6側には前記LED1及び前記駆動回路素子3及び前記回路素子4が実装され、また、他表面7側には前記コネクタ8が実装されてなる。さらに、実装基板5の一表面6側は、少なくとも前記LED1の頂部2以外の外周と前記実装基板5の一表面6とに跨って放熱絶縁物質で被覆される。
【0031】
LED1は、照明ができるように構成される。具体的には、LED1は、全体が筒状体をなし、その上端に光を透過する頂部2が設けられ、その筒状体に囲まれるようにして、光を発光する発光部が設けられてなり、発光部から発光された光は、頂部2を透過することで照明をなすように構成される。
【0032】
駆動回路素子3は、LED1を駆動させるように構成され、具体的には、LED1を駆動するドライバーが内蔵された駆動回路を構成する素子である。
【0033】
回路素子4は、駆動回路素子3を除くその他の回路素子であって、例えば図1に示すように、コンデンサやコイルの他、デジタル制御部16やDC−DCコンバータといったIC、該ICを駆動させるOSC等からなる。
【0034】
コネクタ8は、照明装置のデジタル制御部16をカメラ部(カメラシステム制御部15)に電気的に接続するように構成され、DSCを操作すると、コネクタ8によって、それに伴って照明装置も動作することとなる。
【0035】
実装基板5は、一表面6側に回路配線部5a、他表面7側に回路配線部5bが設けられ、また両回路配線部5a,5bの間隙に基板本体5cが設けられてなる。また、実装基板5の一表面6側の回路配線部5aには、LED1と駆動回路素子3と回路素子4とが実装され、放熱絶縁物質が被覆される。より具体的には、放熱絶縁物質が、LED1の頂部2を除いて、LED1の外周と実装基板5の一表面6とに跨って被覆され、また、駆動回路素子3と回路素子4とがLED1の外周から連続して被覆される。実装基板5の他表面7側の回路配線部5bには、コネクタ8が実装され、またコネクタ8を含む実装基板5の一部を除いて、LED1の外周から連続して放熱絶縁物質が被覆される。
【0036】
放熱絶縁物質は、本実施形態では、基材樹脂(熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂)に無機フィラーを含有した放熱絶縁樹脂17からなる。
【0037】
放熱絶縁樹脂17は、ポリアミド系、ナイロン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系等の熱可塑性樹脂にアルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、二酸化ケイ素(SiO)等の無機フィラーを一種以上粉混入した樹脂材料、またはエポキシ系、フェノール系、イソシアネート系等の熱硬化性樹脂に上記無機フィラーを一種以上粉混入した樹脂材料からなる。
【0038】
放熱絶縁樹脂17の放熱性については、本出願人が行った実験によれば、連続発光を考慮しLED(OSRAM:LUW−C9SP)に1Aの電流を1分間印加したとき、素子温度は90℃上昇した。つまり、カメラ製品において環境温度40℃での使用に対するカメラ構成樹脂部材(例えばポリカーボネート)への影響を考慮すると120℃以下にしなければならないため、130℃(90℃(素子の上昇温度)に40℃(環境温度)を考慮)に対して、放熱降下温度を10℃位以下にする必要がある。よって、基材樹脂だけの熱伝導率だけでは数℃と余裕がなく、バラツキを考慮すれば無機フィラーを混入し、最低1W/m・Kの熱伝導率を有する必要がある。
【0039】
また、放熱絶縁樹脂17の絶縁性について説明すると、一般的に、LEDを用いた照明装置の場合、回路で扱う電圧は10V以下であるため、JIS規定による基板上の回路配線部(配線パターン)間の絶縁距離の目安は1.6mm/100Vである。よって、この値を参考値として、例えば、回路配線部(配線パターン)間の漏れ電流の許容値を1μAに設定した場合、使用する放熱絶縁樹脂の絶縁性(体積抵抗値:Ωcm)は約10Ω・cm以上が望ましいこととなる。しかしながら、実際に用いる実装基板の回路配線部はカバーレイで覆われているため、部品固着する半田部分の周辺の絶縁性には配慮する必要があるものの、放熱絶縁樹脂の絶縁性に関しては殆ど心配する必要はないと言える。
【0040】
以上の構成からなる本実施形態に係るDSC及び照明装置について、図面を参照しつつ、動作の説明を行う。まず、DSCによる撮影動作について、図9を参照して説明すると、モードダイヤル13によって、例えば静止画対応としてストロボ撮影モードまたは動画対応としてトーチ撮影モードのいずれかを選択設定し、シャッターボタン14を押し込むと、撮影レンズ12のピント調節がされた後、前記撮影モードの動作に同期して照明装置が作動し、発光窓10から被写体に向け発光が照射される。
【0041】
続いて、照明装置の一連の動作について説明する。DSCのモードダイヤル13で所定の撮影モード(例えばストロボ撮影モード)が設定されると、図1に示すように、カメラシステム制御部15からシリアルクロックライン(SCL)の信号に同期してLED1の発光電流や発光時間等の発光条件がシリアルデーターライン(SDA)を介して照明装置のデジタル制御部16に伝達されそこに記憶される。次にシャッターボタン14の押し込みにより、カメラシステム制御部15からストロボ撮影モードに対応する作動信号がフラッシュラインを介し照明装置のデジタル制御部16に印加される。その結果、デジタル制御部16は昇圧回路部を駆動し電池電源を任意電圧まで昇圧してLED1に印加する。同時に前記発光条件に基づき、駆動回路(LEDドライバー回路部)のCMOSがONとなり、任意発光電流が任意発光時間の間流されることによって、LED1を発光させる。尚、他の撮影モードであるトーチ撮影モードも発光電流と発光時間が異なる点を除けば、上記ストロボ撮影モードと基本動作は同じである。
【0042】
以上のような照明装置によれば、放熱性と絶縁性のある放熱絶縁樹脂17が、実装基板5の一表面6において、LED1の外周から連続的に駆動回路素子3及び回路素子4を全体的に被覆し、また、実装基板5の側面及び他表面7をも被覆しているため、放熱絶縁樹脂17を介して、LED1及び駆動回路素子3からの発熱を効率的且つ十分に放熱することができる。さらに、放熱絶縁樹脂17による照明装置の被覆は、照明装置全体としての容積が拡大しないため、携帯機器(例えば本DSC)に適した小容積を実現しつつ、LED1の色温度や光量変化を防止し、精度の高い再現性のある撮影画像を得ることができる。
【0043】
次に、上記第一実施形態に係る照明装置の製造方法について、図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0044】
本実施形態に係る照明装置の製造方法は、図8で示した従来の構成を備える照明装置の製造方法であって、LED1及び駆動回路素子3を実装した実装基板5を配置するキャビティ23を設け、且つ、前記LED1の頂部2をキャビティ23外に突出させる凹部21を設けた金型を使用し、前記LED1の頂部2が前記金型の凹部21に突出してキャビティ23外となるように前記実装基板5をキャビティ23内に配置した状態でキャビティ23内に溶融された放熱絶縁樹脂17を充填する工程と、前記樹脂17を硬化させることで、少なくとも前記LED1の頂部2以外の外周と前記実装基板5の一表面6とに跨って放熱絶縁樹脂17で被覆する工程とを含む。
【0045】
本製造方法について具体的に説明すると、図2(a)に示すような従来の照明装置を用いて、製造がなされる。従来の照明装置は、内部で発光した光を透過させる頂部2が設けられたLED1と、前記LED1を駆動させる駆動回路素子3と、その他の回路素子4(コンデンサやコイルやIC等)と、カメラ部(カメラシステム制御部15)とデジタル制御部16とを接続するコネクタ8と、実装基板5とを備えており、実装基板5の一表面6側には前記LED1及び前記駆動回路素子3及び前記回路素子4が実装され、また、他表面7側には前記コネクタ8が実装されてなる。
【0046】
このような照明装置を、図2(b)に示すように、金型に配置する。具体的には、金型は、金型コアの上部19と金型コアの下部20とが接離してなる上下一対のコアから構成され、また金型コアの上部19と下部20とが接することで、金型内にキャビティ23を形成する。さらに、金型コアの上部19には、溶融された放熱絶縁樹脂17を注入するスプール18及びコネクタ8を収納する収納部22が設けられ、金型コアの下部20には、LED1の頂部2を突出させる凹部21が設けられている。
【0047】
このような金型を使用して、キャビティ23に対して、実装基板5の一表面6側が下向き(金型コアの下部20側向き)となるように、実装基板5を配置する。具体的には、実装基板5の一表面6に実装されたLED1と駆動回路素子3と回路素子4とがキャビティ23内に位置するように実装基板5を設置し、また、LED1の頂部2が金型コアの下部20の凹部21に嵌入し、コネクタ8が金型コアの上部19の収納部22に収納されるようにして、金型コアの上部19を下部20に対して接させる。
【0048】
続いて、図2(c)に示すように、例えば射出成形法を用いて、金型コアの上部19に設けられたスプール18から、溶融された放熱絶縁樹脂17を押し出し注入し、LED1の頂部2(発光部)とコネクタ8を含む実装基板5の一部を除いて、被覆するように充填する。
【0049】
ここで、放熱絶縁樹脂17の成形性について説明する。一般的に基材樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂)の熱伝導率は0.2W/m・K程度であるが、無機フィラーを分散することにより、そのフィラー量(重量%)に略比例して熱伝導率は数W/m・K〜数10W/m・Kにすることができる。しかし、フィラー量を増やすと高熱伝導率となり、放熱性が増す一方で成形性を低下させる。そのため、成形性を考慮すれば、例えば射出成形法(典型的には、熱可塑性樹脂の加工に使用)では、放熱絶縁樹脂としての溶解粘度を20Pa・S以下にすることが望ましく、例えば2種類の粒径の異なるアルミナのフィラーを用いフィラー密度を高くして1W/m・K以上の熱伝導率を有しつつ放熱樹脂としての溶解粘度を20Pa・S以下にして成形性の最適化を図る必要がある。一方、圧縮成形法を用いた場合は、熱硬化樹脂も成形可能なので、熱伝導性の方を重視し、エポキシ系等の熱硬化樹脂に無機フィラー量を50重量%以上にして、溶解粘度を大きくして成形することが可能である。
【0050】
上記のように充填した放熱絶縁樹脂17が硬化(例えば凝固)後、図2(d)に示すように、金型を開いて、樹脂被覆されモジュール化された照明装置を取り出す。
【0051】
このようにして製造された照明装置は、DSCの内部に取り付けられる。具体的には、図3(a)及び(b)に示すように、DSCの前カバー9の発光窓10に光学パネル11を嵌入させて、その光学パネル11と対面するようにLED1の頂部2(発光部)を固定する。DSCの前カバー9に照明装置を固定するに際しては、ビス24を用いて、照明装置の実装基板5又は固定板25を介して(貫通させて)、DSCの前カバー9の取り付けダボ26に固定する。
【0052】
以上のような照明装置の製造方法によれば、金型を用いて、照明装置の実装基板5の一表面6において、LED1の外周から連続的に駆動回路素子3及び回路素子4を全体的に放熱絶縁樹脂17で被覆し、また、実装基板5の側面及び他表面7をも放熱絶縁樹脂17で被覆できる。また、このようにして製造された照明装置は、放熱絶縁樹脂17を介して、LED1及び駆動回路素子3からの発熱を十分に放熱できる。また、DSCの前カバー9裏面部の特にモジュール(照明装置)と接する部分に金属蒸着膜Aや金属薄板Aが設けられているため、金属蒸着膜A又は金属薄板Aを介して、モジュール内部品(例えばLED1及び駆動回路素子3)の発熱をより効率よく放熱できる。
【0053】
次に、本発明に係る照明装置の製造方法の第二実施形態について、図面を参照しつつ、説明する。図4は第二実施形態に係る照明装置の製造方法(樹脂充填工程)を説明する図であって、(a)は従来の照明装置の断面図、(b)は光学パネル付きの光学パネルケースの断面図、(c)は光学パネルケース内に従来の照明装置を配置した状態を示す図、(d)は光学パネルケースを取り付けた従来の照明装置を金型によるキャビティに配置した状態を示す図、(e)は溶融された放熱絶縁樹脂を金型に注入している状態を示す図、(f)は放熱絶縁樹脂が硬化後、金型から照明装置を取り出した状態を示す図である。また、図5は、同実施形態に係る照明装置のDSC(デジタルスチルカメラ)の前ケースへの取り付け図であって、(a)は製造された照明装置をDSCに取り付ける前の状態、(b)は製造された照明装置をDSCに取り付けた状態を示す図である。
【0054】
本実施形態に係る照明装置の製造方法は、図8で示した従来の構成を備える照明装置の製造方法であって、LED1及び駆動回路素子3を実装した実装基板5を配置する空洞部を設け、且つ、前記LED1の頂部2に対応した開口部30aを設け、該開口部30aを閉塞するように光学パネル11が装着された光学パネルケース28を使用し、前記LED1の頂部2が前記光学パネル11に密着するように前記実装基板5を前記光学パネルケース28の空洞部に配置した状態で前記空洞部に溶融された放熱絶縁樹脂17を充填する工程と、前記樹脂15を硬化させることで、少なくとも前記LED1の頂部2以外の外周と前記実装基板5の一表面6とに跨って放熱絶縁樹脂17で被覆する工程とを含む。
【0055】
本製造方法について具体的に説明すると、図4(a)に示す従来の照明装置に対して、図4(b)に示すような光学パネルケース28を取り付ける(図4(c)を参照)。光学パネルケース28は、上下一対からなる上部材29と下部材30とを嵌合させて、内部に空洞部27を形成する光学パネルケース28であって、光学パネルケース28の上部材29には、コネクタ8を含む実装基板5の一部が空洞部27外に配置されるように貫通穴31が設けられるとともに、溶融された放熱絶縁樹脂17を注入する注入穴32が設けられ、また光学パネルケース28の下部材30には、LED1の頂部2に対応した開口部30aが設けられてなる。
【0056】
このような光学パネルケース28を使用して、光学パネルケース28の上部材29と下部材30によって形成される空洞部27において、実装基板5の一表面6側が下向き(下部材30側向き)となるように、実装基板5を配置する。具体的には、実装基板5の一表面6に実装されたLED1と駆動回路素子3と回路素子4とが光学パネルケース28による空洞部27に位置するように実装基板5を設置し、また、LED1の頂部2が光学パネルケース28の下部材30の開口部30aに対向し、コネクタ8を含む実装基板5の一部が光学パネルケース28の上部材29の貫通穴31から空洞部27外に位置するようにして、光学パネルケース28の上部材29を下部材30に嵌合させる。また、光学パネルケース28の開口部30aを閉塞し、且つ、LED1の頂部2に密着するようにして、光学パネルケース28の開口部30aに対して、光学パネル11を取り付ける。
【0057】
続いて、本実施形態では、例えば上記第一実施形態で用いたような金型を利用し、光学パネルケース28を取り付けた照明装置を、図4(d)に示すように、金型によるキャビティに配置する。その上で、図4(e)に示すように、例えば射出成形法によって、金型コアの上部19のスプール18を介し、光学パネルケース28の注入穴32から空洞部27に、溶融された放熱絶縁樹脂17を押し出し注入し、LED1の頂部2とコネクタ8を含む実装基板5の一部を除いて、樹脂被覆がなされるように充填する。放熱絶縁樹脂17が硬化(例えば凝固)後、図4(f)に示すように、金型を開いて、樹脂被覆されたモジュール化された光学パネルケース28付きの照明装置を取り出す。
【0058】
このようにして製造された照明装置は、DSCの内部に取り付けられる。具体的には、図5(a)及び(b)に示すように、DSCの前カバー9の発光窓10に対して、上記製造された照明装置の光学パネルケース28に装着された光学パネル11を嵌入する。そして、照明装置の上方(実装基板5の他表面7側)から照明装置をDSCの前カバー9に押さえ付けるようにして金属板33を設け、ビス24とDSCの前カバー9の取り付けダボ26とによって、照明装置を金属板33で押さえつけてDSCの前カバー9に固定する。
【0059】
以上のような照明装置の製造方法によれば、放熱絶縁樹脂17で従来の照明装置を被覆する前に、光学パネル11を装着した光学パネルケース28を照明装置に取り付けているため、本実施形態では、金型を用いて、放熱絶縁樹脂17の注入をしているものの、金型を要さずとも、光学パネルケース28の注入穴32から溶融された放熱絶縁樹脂17を注入して、照明装置を樹脂被覆することができる。また、DSCに照明装置を取り付けるに当たっては、DSCの前カバー9に対して、金属板33が照明装置を押さえつけているため、DSCと照明装置との固着を強固にできるとともに、金属板33は、照明装置の光学パネルケース28と接して固定されているため、照明装置(LED1及び駆動回路素子3等)からの発熱に対して一定の放熱効果を有する。
【0060】
次に、本発明に係る照明装置の第三実施形態について、図面を参照しつつ、説明する。図6は、第三実施形態に係る照明装置の構成図であって、(a)は本実施形態に係る金属板の断面図、(b)は前記金属板を備えて樹脂成形された照明装置の断面図である。
【0061】
本実施形態に係る照明装置は、図6(a)に示すように、皿穴状の固定貫通穴34を設けた平板上の金属板35が、図6(b)に示すように、放熱絶縁樹脂17によって照明装置の実装基板5の他表面7側から離間して固着されるように、例えば上記第一実施形態における金型等を用いて、製造されてなる。換言すれば、本照明装置は、第一実施形態に係る照明装置(例えば図2(d)を参照)の他表面7側が放熱絶縁樹脂17で被覆され、その放熱絶縁樹脂17を、金属板35がさらに被覆するようにしてなり、金属板35の皿穴状の固定貫通穴34と放熱絶縁樹脂17とは互いに係合されてなる。
【0062】
以上の照明装置によれば、金属板35に皿穴の固定貫通穴34を設けているため、放熱絶縁樹脂17が硬化したとき、固定貫通穴34を充填して硬化された皿穴状の放熱絶縁樹脂17と金属板35とが係合して固定される。よって、このようにして固定された放熱性に優れた金属板35を介して、LED1及び駆動回路素子3からの発熱をより効率良く放熱できる。具体的には、LED1及び駆動回路素子3からの発熱が、実装基板の他表面7側に伝わり、その他表面側に伝わった熱は、他表面7側を被覆した放熱絶縁樹脂17によって放熱され、該放熱は、放熱絶縁樹脂17を被覆した金属板35によって効率良く放熱されることとなるため、LED1及び駆動回路素子3からの発熱の放熱性を高めることができる。
【0063】
次に、本発明に係る照明装置の第四実施形態について、図面を参照しつつ、説明する。図7は、第四実施形態に係る照明装置の構成図であって、(a)は本実施形態に係る金属板の断面図、(b)は前記金属板を備えて樹脂成形された照明装置の断面図である。
【0064】
本実施形態に係る照明装置は、図7(a)に示すように、皿穴状の固定貫通穴34を設け、且つ、凸部36を設けた平板上の金属板37が、図7(b)に示すように、放熱絶縁樹脂17によって照明装置の実装基板5の他表面7に金属板37の凸部36が接触して固着されるように、金型等を利用して、製造されてなる。換言すれば、本照明装置は、第三実施形態に係る照明装置(例えば図6(a)を参照)において、金属板35を設計変更してなる、金属板35の一部に凸部36を設けた金属板37を備えてなり、前記凸部36が実装基板5の他表面7側の同電位の箇所で接触して固定されてなる。
【0065】
以上の照明装置によれば、金属板37に皿穴状の固定貫通穴34を設けているため、放熱絶縁樹脂17が硬化したとき、金属板37の凸部36が実装基板5の他表面7に接触した状態で、固定貫通穴34を充填して硬化された皿穴状の放熱絶縁樹脂17と金属板37の皿穴状の固定貫通穴34とが係合され、放熱絶縁樹脂17と金属板37とは実装基板5に対して強固に固定される。よって、放熱絶縁樹脂17と金属板37の凸部36とが実装基板5の他表面7に接触して固定されるため、放熱絶縁樹脂17だけでなく、放熱性に優れた金属板37を介して、LED1及び駆動回路素子3からの発熱の発散速度を早め、放熱効果を向上できる。さらに、金属板37の凸部36が実装基板5の他表面7に接触するに際し、実装基板5の他表面7における回路配線部5bの発熱量の大きい箇所に金属板37の凸部36を接触させれば、より大きい放熱効果を得ることができる。
【0066】
尚、第一から第四実施形態に係る照明装置では、放熱絶縁樹脂17による被覆に当たり、実装基板5の一表面6においてLED1の外周から駆動回路素子3及び回路素子4、また、実装基板5の側面及び他表面7が連続的に放熱絶縁樹脂17で被覆される構成を採用しているが、実装基板5の一表面6における駆動回路素子3及び回路素子4、実装基板5の側面及び他表面7はLED1の外周から連続的に放熱絶縁樹脂17で被覆されず、つまり、LED1の外周から連続しないで放熱絶縁樹脂17で被覆される構成であっても良い。具体的には、LED1の外周、駆動回路素子3、回路素子4、実装基板5の側面、他表面7が各々、互いに非連続的に放熱絶縁樹脂17で被覆されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る照明装置及びその製造方法は、小容積を実現しつつLED及び駆動回路素子(LEDドライバーが内蔵された駆動回路素子)を一体で効率よく放熱することが必要な携帯機器(例えばデジタルスチルカメラ、カメラモジュールを備える携帯電話機等)の用途に適応できる。
【符号の説明】
【0068】
1 LED
2 LEDの頂部
3 駆動回路素子
4 回路素子
5 実装基板
6 実装基板の一表面
7 実装基板の他表面
8 コネクタ
17 放熱絶縁物質(放熱絶縁樹脂)
18 スプール
19 金型コアの上部
20 金型コアの下部
23 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備え、前記実装基板の一表面側に前記LEDが実装され、前記一表面側において少なくとも前記LEDがその頂部を除いて放熱絶縁物質により被覆されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記実装基板の一表面側が前記放熱絶縁物質により被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記実装基板の他表面側が前記放熱絶縁物質により被覆されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記実装基板の他表面側を被覆した放熱絶縁物質をさらに被覆するようにして設けられた金属板を備えることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記金属板には、放熱絶縁物質と係合する貫通穴が設けられ、又は、前記貫通穴及び前記実装基板の他表面に接触する凸部が設けられてなることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記放熱絶縁物質が熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂に無機フィラーを含有した放熱絶縁樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備えた照明装置の製造方法であって、前記LED及び駆動回路素子を実装した実装基板を配置するキャビティを設け、且つ、前記LEDの頂部をキャビティ外に突出させる凹部を設けた金型を使用し、前記LEDの頂部が前記金型の凹部から突出してキャビティ外となるように前記実装基板をキャビティ内に配置した状態でキャビティ内に溶融された放熱絶縁樹脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆する工程とを含むことを特徴とする照明装置の製造方法。
【請求項8】
内部で発光した光を透過させる頂部が設けられたLEDと、前記LEDを駆動させる駆動回路素子と、前記LED及び前記駆動回路素子が実装された実装基板とを備える照明装置の製造方法であって、前記LED及び駆動回路素子を実装した実装基板を配置する空洞部を設け、且つ、前記LEDの頂部に対応した開口部を設け、該開口部を閉塞するように光学パネルが装着された光学パネルケースを使用し、前記LEDの頂部が前記光学パネルに密着するように前記実装基板を前記光学パネルケースの空洞部に配置した状態で前記空洞部に溶融された放熱絶縁樹脂を充填する工程と、前記樹脂を硬化させることで、少なくとも前記LEDの頂部以外の外周と前記実装基板のLEDが実装された一表面とに跨って放熱絶縁樹脂で被覆する工程とを含むことを特徴とする照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−238420(P2011−238420A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107845(P2010−107845)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】