説明

照明装置及びカメラ

【課題】簡単な機構によって、光源から放射された照明光を遠距離撮影用と近距離撮影用とに切り替えることができるようにした照明装置、及びこの照明装置を備えたカメラを提供する。
【解決手段】この照明装置10は、光が伝搬する光路が環状に形成され、該光路内を伝搬する光が表面側から射出されるようにした導光部11と、光が前記導光部11の表面側の一部分のみから射出するように前記導光部11の裏面側に設けられた局所反射部12と、前記導光部11と局所反射部12との間で移動する光源13とを備え、前記光源13が前記導光部11側に位置したときに、光源13から出された光が前記導光部11の光路内を伝搬することで表面側から環状に射出され、前記光源13が前記局所反射部12側に位置したときに、光源13から出される光が前記局所反射部12で反射し、導光部11の表面側の一部分のみから集中して射出されるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば写真撮影に用いられる照明装置及びこの照明装置を内蔵したカメラに関し、詳しくは、遠距離撮影用と近距離撮影用とに切り替えて照明することができるようにした照明装置及びこの照明装置を内蔵したカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラなどのカメラは、被写体に十分な光量を与えるための照明装置を一般的に内蔵している。例えば、特許文献1には、通常の遠距離撮影と近距離撮影とで光の照射状態を容易に切り替えることができるようにしたカメラが記載されている。
【0003】
このカメラは、図20に示すように、カメラ本体1に設けられた撮影レンズ2と、カメラ本体1に出没可能に設けられたストロボ発光部3と、このストロボ発光部3がカメラ本体1内に収納された状態で発光したストロボ光を被写体に向けて拡散する拡散手段4とを備えている。拡散手段4は、撮影レンズ2の外周部近傍に設けられた拡散部材5と、ストロボ発光部3からのストロボ光を拡散部材5に導く導光手段6とから構成されている。
【0004】
このカメラは、ストロボ発光部3をカメラ本体1から突出させることで、遠距離のストロボ撮影ができ、ストロボ発光部3をカメラ本体1内に収納した状態でストロボ発光部3を発光させることで、近距離のストロボ撮影ができる。カメラ本体1内に収納されたストロボ発光部3は、ストロボ光が拡散手段4によって拡散して被写体を照射する。したがって、このカメラは、カメラ本体1を被写体に近づけても、被写体をほぼ均一に照明することができるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−131809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたカメラは、ストロボ光を遠距離撮影と近距離撮影とに切り替えるため、ストロボ発光部3がカメラ本体1に出没できるようにされている。しかし、ストロボ発光部3をカメラ本体1に出没できるようにするには、複雑な機構が必要となり、カメラがコストアップし、また、機構部分に合せて導光手段6のスペースが必要であり、小型化が困難なものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な機構によって、光源から放射された照明光を遠距離撮影用と近距離撮影用とに切り替えることができるようにした照明装置、及びこの照明装置を備えたカメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された照明装置は、光が伝搬する光路が環状に形成され、該光路内を伝搬する光が表面側から射出されるようにした導光部と、光が前記導光部の表面側の一部分のみから射出するように前記導光部の少なくとも裏面側に設けられた局所反射部と、前記導光部と局所反射部との間で移動する光源とを備え、前記光源が前記導光部側に位置したときに、光源から出された光が前記導光部の光路内を伝搬することで表面側から環状に射出され、前記光源が前記局所反射部側に位置したときに、光源から出される光が前記局所反射部で反射し、導光部の表面側の一部分のみから集中して射出されるようにされていることを特徴としている。
【0009】
この照明装置によれば、光源が導光部と局所反射部との間で移動可能とされ、導光部側に位置した光源からの光が導光部の全周に伝搬されることで、光は導光部の表面側から環状に射出され、局所反射部に位置した光源からの光が局所反射部でのみ反射することで、光は導光部の表面側の一部分からのみ集中した状態に射出される。なお、導光部の表面側の一部分からのみ集中した状態に射出される光は、導光部の表面側から環状に射出して照明される光よりも遠くまで照明することができる。
【0010】
また、請求項2に記載された照明装置は、請求項1に記載の照明装置において、前記導光部には、光源が入る溝状、穴状又は分断した空間部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この照明装置によれば、光源が入る溝状、穴状又は分断した空間部が導光部に設けられていることにより、空間部内で光源が移動することができるようにされている。光源は、空間部の奥側、すなわち、導光部の表面側に位置することで、光源からの光が導光部に向けて出され、空間部の開口側、すなわち、導光部の裏面側に位置することで、光源からの光が局所反射部に向けて出される。
【0012】
また、請求項3に記載された照明装置は、請求項1又は請求項2に記載の照明装置において、前記局所反射部は、導光部の裏面から一体的に膨出し、周面を曲面状又は斜面状とした膨出反射部によって設けられていることを特徴としている。
【0013】
この照明装置によれば、局所反射部が導光部の裏面から一体に膨出した膨出反射部によって設けられていることにより、導光部と局所反射部とを一体成形することができる。
【0014】
また、請求項4に記載された照明装置は、請求項1又は請求項2に記載の照明装置において、前記局所反射部は、導光部の裏面から離れる方向に傾斜した又は撓曲した板状反射部材によって設けられていることを特徴としている。
【0015】
この照明装置によれば、局所反射部が板状反射部材によって設けられていることにより、局所反射部と導光部とが別体とされる。なお、局所反射部と導光部との間には、空間が設けられる。
【0016】
また、請求項5に記載された照明装置は、請求項2に記載の照明装置において、前記局所反射部は、請求項3に記載された膨出反射部又は請求項4に記載された板状反射部材と、前記導光部に設けられた空間部内を移動して前記光源を取り付けた可動反射部材とを備え、光源が前記空間部内に位置したときに、光源から出された光が可動反射部材の表面から前記膨出反射部又は板状反射部材に向けて反射し、さらに該膨出反射部又は板状反射部材から前記導光部の表面側の一部分に向けて反射するようにされていることを特徴としている。
【0017】
この照明装置によれば、可動反射部材に取り付けられた光源から出された光は、可動反射部材の表面から反射して側方に出ていくが、可動反射部材が空間部の奥側、すなわち導光部側に位置すると、この光は導光部内を伝搬して導光部の表面から環状に射出され、可動反射部材が局所反射部の膨出反射部又は板状反射部材側に位置すると、光源から出された光が可動反射部材の表面から前記膨出反射部又は板状反射部材に向けて反射し、さらに該膨出反射部又は板状反射部材から前記導光部の表面側の一部分に向けて反射して、導光部の表面側から集中した状態に射出される。
【0018】
また、請求項6に記載された照明装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の照明装置において、前記導光部は、裏面から表面までの厚さが光源側から遠ざかるにつれて薄肉となるように形成されていることを特徴としている。
【0019】
この照明装置によれば、導光部が光源から遠ざかるにつれて薄肉となるように形成されていることにより、光源から出されて導光部内を伝搬している光は、導光部の裏面で反射して表面から射出するようにされる。
【0020】
また、請求項7に記載された照明装置は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の照明装置において、前記導光部の内周面及び/又は外周面に周面反射部材が設けられていることを特徴としている。
【0021】
この照明装置によれば、光源から導光部内を伝搬している光は、導光部の内周面及び/又は外周面に設けられた周面反射部材で反射し、導光部の内周面及び/又は外周面から射出されることなく、導光部の全周に亘って伝搬される。
【0022】
また、請求項8に記載された照明装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の照明装置において、前記光源は、2個のLEDを反対向きに組み合わせたものであることを特徴としている。
【0023】
この照明装置によれば、光源が2個のLEDを反対向きに配置したものとされることにより、各1個のLEDが導光部の少なくとも半周のみ伝搬されれば、光が全周に亘って伝搬される。
【0024】
また、請求項9に記載されたカメラは、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の照明装置がレンズを囲むように備えられていることを特徴としている。
【0025】
このカメラによれば、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の照明装置がレンズを囲むように備えられていることにより、マクロ撮影において照明するときは、導光部から環状に照明し、遠くを照明するときは、光を導光部の表面側の一部分からのみ集中した状態に射出するように切り替えて使用することができる。照明装置がレンズを囲むように備えられることにより、マクロ撮影において、影が出にくくなる。また、導光部の表面側の一部分からのみ集中した状態に射出される光は遠くまで照明することができ、通常の撮影に使用される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、導光部の裏面側に設けた局所反射部と、導光部と局所反射部との間で移動する光源とによって、光が環状に成形された導光部から環状に射出される状態と、光が導光部の表面側の一部分のみから射出される状態とに切り替えることができるようにした照明装置を簡素化・小型化し、したがってこの照明装置を備えたカメラも小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る照明装置の第1の実施形態を示し、(a)は光を環状に射出するときの表面側から見た斜視図、(b)は光を集中して射出するときの表面側から見た斜視図
【図2】本発明に係る照明装置の第1の実施形態を示し、(a)は光を環状に射出するときの光路の概略を示す正面図、(b)は光を集中して射出するときの光路の概略を示す正面図
【図3】本発明に係る照明装置の第1の実施形態の要部を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図
【図4】本発明に係る照明装置の第1の実施形態の要部を示し、(a)は右側面図、(b)は背面図
【図5】本発明に係る照明装置の第1の実施形態を示し、(a)は図2(a)のA−A線端面断面図、(b)は図2(b)のB−B線端面断面図
【図6】本発明に係る照明装置の第1の実施形態の変形例を示す表面側から見た斜視図
【図7】本発明に係る照明装置の第2の実施形態を示し、(a)は周面反射部材を備えていない状態を表面側から見た斜視図、(b)は周面反射部材を備えた状態を表面側から見た斜視図
【図8】本発明に係る照明装置の第2の実施形態を示す裏面側から見た斜視図
【図9】本発明に係る照明装置の第2の実施形態を示し、(a)は光を環状に射出するときの光路の概略を示す正面図、(b)は光を集中して射出するときの光路の概略を示す正面図
【図10】本発明に係る照明装置の第2の実施形態の導光部を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図
【図11】本発明に係る照明装置の第2の実施形態の導光部を示し、(a)は右側面図、(b)は背面図
【図12】本発明に係る照明装置の第2の実施形態を示し、(a)は図9(a)のC−C線端面断面図、(b)は図9(b)のD−D線端面断面図
【図13】本発明に係る照明装置の第3の実施形態を示し、(a)は光を環状に射出するときの表面側から見た斜視図、(b)は光を集中して射出するときの表面側から見た斜視図
【図14】本発明に係る照明装置の第3の実施形態を示し、(a)は光を環状に射出するときの光路の概略を示す正面図、(b)は光を集中して射出するときの光路の概略を示す正面図
【図15】本発明に係る照明装置の第3の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図
【図16】本発明に係る照明装置の第3の実施形態を示し、(a)は右側面図、(b)は背面図
【図17】本発明に係る照明装置の第3の実施形態を示し、(a)は図14(a)のE−E線端面断面図、(b)は図14(b)のF−F線端面断面図
【図18】本発明に係る照明装置の第3の実施形態の変形例を示し、(a)は光を環状に射出するときの光路の概略を示す正面図、(b)は光を集中して射出するときの光路の概略を示す正面図
【図19】本発明に係るカメラの一実施形態を示す斜視図
【図20】従来のカメラの一例を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
本発明に係る照明装置の第1の実施形態について図1ないし図6を参照しながら説明する。この照明装置10は、光が伝搬する光路を環状に形成した導光部11と、光を導光部11の表面(図面において上面)側の一部分からのみ射出させる局所反射部12と、導光部11と局所反射部12との間で移動する光源13とを備えている。
【0029】
導光部11は、透明樹脂によって円環状に形成されるが、1か所に備えられた光源13から出された光が均一に出光するように、光路内を屈折しながら一部を表面に射出し光源13から離れた反対側まで伝搬するように、すなわち、裏面側で反射するように光源13から遠ざかるにつれて薄肉とされている。
【0030】
ただし、導光部11の裏面(図面において下面)は、図示しないが、鋸歯形状や種々の形状の凹部もしくは凸部を形成し、あるいは鏡面シートを添着するなどによって反射手段がさらに設けられてもよい。なお、導光部11は、光源13から遠ざかるにつれて薄肉に形成しないで、反射手段のみ設けるようにしてもよい。
【0031】
そして、導光部11には、光源13が入る溝状の空間部11aが裏面側から設けられている。空間部11aは、図示しないが、穴状や導光部11を完全に分断して設けてもよい。いずれにしても、導光部11が光源13から遠ざかるにつれて薄肉に形成される場合は、空間部11aは最も厚い部位に設けられる。
【0032】
そして、局所反射部12は、空間部11aの両側において、すなわち空間部11aを挟むように裏面から一体的に膨出した膨出反射部によって一対設けられる。この膨出反射部の裏面(図面において下面)側は、外側に膨らんだ曲面状、あるいは、図示しないが斜面状に形成される。この局所反射部12は、空間部11aの両側に一対設けられるため、各局所反射部12の間にも空間部が設けられる状態となる。なお、局所反射部12の周面にも前記のような反射手段を設けてもよい。
【0033】
そして、光源13は、2個のLEDが基板13aの先端部の両面に固定したものとされている。基板13aの基端部には、図示しないが、基板13aを往復動させる一般的な機構が備えられ、光源13が空間部11aの奥側と開口側との間を往復動するようにされている。
【0034】
なお、第1の実施形態の照明装置10における導光部11及び局所反射部12は、平面図、正面図、底面図が図3(a)(b)(c)のように示され、右側面図、背面図が図4(a)(b)のように示される。
【0035】
ここで、第1の実施形態の照明装置10の照明態様について説明する。光源13が図1(a)、図2(a)、図5(a)に示すように、空間部11aの奥側(図面において上側)に位置していると、光源13から出た光は、導光部11内を全周に亘って伝搬し、導光部11の裏面で反射するなどして、導光部11の表面側から環状に射出され、局所反射部12で反射しないことから、集中して射出されない。
【0036】
そして、光源13が図1(b)、図2(b)、図5(b)に示すように、空間部11aの開口側(図面において下側)に位置していると、光源13から出た光は、局所反射部12で反射し、導光部11の表面側から集中して射出され、導光部11内を伝搬しないことから環状に射出されない。
【0037】
このように、この照明装置10は、光源13が空間部11aの奥側に位置しているか開口側に位置しているかで、光が環状に射出されたり、集中して射出されたりする。
【0038】
なお、この照明装置10は、図5の仮想線及び図6に示すように、導光部11及び局所反射部12の内周面及び外周面、又は図示しないがいずれか一方の面に、環状の周面反射部材14,15が設けられるようにしてもよい。この周面反射部材14,15によって、導光部11及び局所反射部12の内周面及び外周面から出て行く方向の光を内部に反射させることができる。なお、内側の周面反射部材14と外側の周面反射部材15とは、相似形に形成され、同じ厚さに形成されているが違う厚さでもよい。また、内側、外側、裏面の周面反射部材を一体的に形成したり、周面反射部材の変わりに金属等を蒸着させ反射膜を設けてもよい。
【実施例2】
【0039】
本発明に係る照明装置の第2の実施形態について図7ないし図12を参照しながら説明する。この照明装置20は、光が伝搬する光路を環状に形成した導光部21と、光を導光部21の表面(図面において上面)側の一部分からのみ射出させる局所反射部22と、導光部21と局所反射部22との間で移動する光源23とを備えている。
【0040】
導光部21は、第1の実施形態と同様、図7(a)に示すように、透明樹脂によって円環状に形成されるが、1か所に備えられた光源23から出された光が光路内を屈折しながら一部を表面に射出し光源23から離れた反対側まで伝搬するように、すなわち、裏面(図面において下面)側で反射するように光源23から遠ざかるにつれて薄肉とされている。
【0041】
また、導光部21の裏面には、鋸歯形状や種々の形状の凹部もしくは凸部を形成し、あるいは鏡面シートを添着するなど反射手段がさらに設けられてもよい。なお、導光部21は、光源23から遠ざかるにつれて薄肉に形成しないで、反射手段のみ設けるようにしてもよい。
【0042】
そして、導光部21には、光源23が入る溝状の空間部21aが裏面側から設けられている。空間部21aは、図示しないが、穴状や導光部21を完全に分断して設けてもよい。いずれにしても、導光部21が光源23から遠ざかるにつれて薄肉に形成される場合は、空間部21aは最も厚い部位に設けられる。
【0043】
このような導光部21は、平面図、正面図、底面図が図10(a)(b)(c)のように示され、右側面図、背面図が図11(a)(b)のように示される。
【0044】
そして、この空間部21aに入る光源23は、第1の実施形態と同様、2個のLEDが基板23aの先端部の両面に固定したものとされている。基板23aの基端部には、図示しないが、基板23aを往復動させる一般的な機構が備えられ、光源23が空間部21aの奥側と開口側との間を往復動するようにされている。
【0045】
そして、局所反射部22は、第1の実施形態と異なり、導光部21と別体に一対の板状反射部材(以下、「板状反射部材22」とする。)によって設けられる。板状反射部材22は、導光部21の空間部21aと対向する部位で最も離間するように傾斜した直線状、又は図示しないが外側に膨らむ円弧状に形成される。また、一対の板状反射部材22の間は、光源23の基板23aが貫通するように間隔が空けられ、板状反射部材22と導光部21との間には空間が設けられる。
【0046】
そして、この一対の板状反射部材22に連続する裏面反射部材26が導光部21の裏面に添着されている。一対の板状反射部材22と裏面反射部材26とは、一体成形される。ただし、裏面反射部材26は、一対の板状反射部材22と別体としてもよいし、前記のような反射手段が設けられる場合は備えなくてもよい。
【0047】
いずれにしても、図7(b)に示すように、導光部21及び局所反射部22の内周面及び外周面には、環状の周面反射部材24,25が備えられる。この周面反射部材24,25は、局所反射部22を設けた部位において拡幅されている。したがって、内外の周面反射部材24,25は、裏面側端縁において板状反射部材22と裏面反射部材26とを挟むようにされている。換言すれば、板状反射部材22は、内外の周面反射部材24,25の拡幅部に保持された状態となる。なお、内外の周面反射部材24,25が板状反射部材22と裏面反射部材26とを挟むのではなく、板状反射部材22と裏面反射部材26面に反射部材の端面が当接するようにしてもよく、内側の周面反射部材24と外側の周面反射部材25とは、相似形とされ、同じ厚さに形成されているが違う厚さでもよい。さらに、内側、外側、裏面の周面反射部材を一体的に形成したり、周面反射部材の変わりに金属等を蒸着させ反射膜を設けてもよい。
【0048】
ここで、第2の実施形態の照明装置20の照明態様について説明する。光源23が図9(a)、図12(a)に示すように、空間部21aの奥側(図面において上側)に位置していると、光源23から出た光は、導光部21内を全周に亘って伝搬し、導光部21の裏面で反射するなどして、導光部21の表面側から環状に射出され、局所反射部22で反射しないことから、集中して射出されない。
【0049】
そして、光源23が図9(b)、図12(b)に示すように、空間部21aの開口側(図面において下側)に位置していると、光源23から出た光は、板状反射部材22で反射し、導光部21の表面側から集中して射出され、導光部21内を伝搬しないことから環状に射出されない。
【0050】
このように、この照明装置20は、光源23が空間部21aの奥側に位置しているか開口側に位置しているかで、光が環状に射出されたり、集中して射出されたりする。
【実施例3】
【0051】
本発明に係る照明装置の第3の実施形態について図13ないし図18を参照しながら説明する。この照明装置30は、この照明装置30は、光が伝搬する光路を環状に形成した導光部31と、光を導光部31の表面(図面において上面)側の一部分からのみ射出させる局所反射部32と、導光部31と局所反射部32との間で移動する光源33とを備えている。
【0052】
導光部31は、透明樹脂によってほぼ円環状に形成される。すなわち、この導光部31には、光源33が配置される部位において完全に分断された空間部31aが設けられている。なお、第3の実施形態の空間部31aも溝状や穴状に設けてもよい。
【0053】
そして、この導光部31も、1か所に備えられた光源33から出された光が光路内を屈折しながら一部を表面に射出し光源33から離れた反対側まで伝搬するように、すなわち、裏面(図面において下面)側で反射するように光源33から遠ざかるにつれて薄肉とされている。
【0054】
また、導光部31の裏面には、鋸歯形状や種々の形状の凹部もしくは凸部を形成し、あるいは鏡面シートを添着するなど反射手段がさらに設けられてもよい。なお、導光部31は、光源33から遠ざかるにつれて薄肉に形成しないで、反射手段のみ設けるようにしてもよい。
【0055】
そして、局所反射部32は、第2の実施形態の照明装置30に備えられたような一対の板状反射部材32aと、導光部31の空間部31aで往復動するブロック状の可動反射部材32bとを備えたものとされている。一対の板状反射部材32aは、導光部31と別体とされ、空間部31aと連続して可動反射部材32bを挟むような間隔が空けられている。また、図示した一対の板状反射部材32aは、外向きに膨らんだ曲面状に形成されているが、傾斜面状に形成してもよい。
【0056】
そして、この一対の板状反射部材32aに連続する裏面反射部材36が導光部31の裏面に添着されている。一対の板状反射部材32aと裏面反射部材36とは、一体成形される。ただし、裏面反射部材36は、一対の板状反射部材32aと別体としてもよいし、前記のような反射手段が設けられる場合は備えなくてもよい。
【0057】
また、可動反射部材32bは、正面形状が図示しないV字形状又は図示したような表面側に膨らんだ一対の曲面部を形成したものとされている。そして、可動反射部材32bの裏面には、光源33として1個のLEDが固定され、LEDから出される光が可動反射部材32bの表面側に向かうようにされている。
【0058】
そして、導光部31及び局所反射部32の内周面及び外周面には、環状の周面反射部材34,35が備えられる。この環状の周面反射部材34,35は、導光部31の空間部31aを覆う部位において、局所反射部32の可動反射部材32bが往復動可能に挟む状態とし、また、局所反射部32の板状反射部材32aを挟むバスタブ形状のように拡幅されている。したがって、内外の周面反射部材34,35は、裏面側端縁において局所反射部32の板状反射部材32aと裏面反射部材36とを挟むようにされている。なお、内外の周面反射部材34,35が板状反射部材32aと裏面反射部材36とを挟むのではなく、板状反射部材32aと裏面反射部材36の面に反射部材の端面が当接するようにしてもよく、内側の周面反射部材34と外側の周面反射部材35とは、相似形とされ、同じ厚さに形成されているが違う厚さでもよい。さらに、内側、外側、裏面の周面反射部材を一体的に形成したり、周面反射部材の変わりに金属等を蒸着させ反射膜を設けてもよい。
【0059】
このような照明装置30は、平面図、正面図、底面図が図15(a)(b)(c)のように示され、右側面図及び背面図が図16(a)(b)のように示される。
【0060】
ここで、第3の実施形態の照明装置30の照明態様について説明する。光源33及び局所反射部32の可動反射部材32bが図13(a)、図14(a)、図17(a)に示すように、空間部31aにおいて導光部31の表面側(図面において上側)に位置していると、光源33から出た光は、可動反射部材32bの表面で反射し、導光部31内を全周に亘って伝搬し、導光部31の裏面で反射するなどして、導光部31の表面側から環状に射出され、局所反射部32の板状反射部材32aに反射しないことから、集中して射出されない。
【0061】
そして、光源33及び局所反射部32の可動反射部材32bが図13(b)、図14(b)、図17(b)に示すように、空間部31aにおいて導光部31の裏面側(図面において下側)に位置していると、光源33からの光は、局所反射部32の表面で反射し、局所反射部32の板状反射部材32aに反射することで、導光部31の空間部31a両側の表面から集中して射出され、導光部31内を伝搬しないことから環状に射出されない。
【0062】
このように、この照明装置30は、光源33及び局所反射部32の可動反射部材32bが空間部31aにおいて導光部31の表面側に位置しているか裏面側に位置しているかで、光が環状に射出されたり、集中して射出されたりする。
【0063】
なお、第3の実施形態の照明装置30は、図18に示すように、局所反射部32が板状反射部材32aを備えたものでなく、第1の実施形態で説明したような一対の膨出反射部32cを備えたものとしてもよい。この一対の膨出反射部32c間には、導光部31の空間部31aと連続する空間部が設けられる。また、膨出反射部32cの外周面は、導光部31を拡幅するように膨らんだ曲面状又は図示しない直線状の斜面とされる。
【0064】
このような第3の実施形態における照明装置30の変形例は、図18(a)に示すように、光源33及び局所反射部32の可動反射部材32bが空間部31aにおいて導光部31の表面側(図面において上側)に位置していると、光源33から出た光は、可動反射部材32bの表面で反射し、導光部31内を全周に亘って伝搬し、導光部31の裏面で反射するなどして、導光部31の表面側から環状に射出され、局所反射部32の膨出反射部32cに反射しないことから、集中して射出されない。
【0065】
そして、図18(b)に示すように、光源33及び局所反射部32の可動反射部材32bが空間部31aにおいて導光部31の裏面側(図面において下側)に位置していると、光源33から出た光は、局所反射部32の表面で反射し、局所反射部32の膨出反射部32cに反射し、導光部31の空間部31a両側の表面から集中して射出され、導光部31内を伝搬しないことから環状に射出されない。
【実施例4】
【0066】
本発明に係るカメラの実施形態について図19を参照しながら説明する。このカメラ40は、第1の実施形態ないし第3の実施形態のいずれかの照明装置10,20,30がレンズ41を囲むように備えられていることを特徴としている。
【0067】
具体的には、照明装置10,20,30は、実線で示したように鏡筒42の先端部、又は仮想線で示したように前カバー43であって、鏡筒42の基端部を囲むように設けられる。いずれにしても、照明装置10,20,30は、導光部11,21,31の表面が露出するようにされている。
【0068】
そして、このカメラ40は、マクロ撮影時においては、光が導光部11,21,31から環状に射出される。光がレンズ41から離れていない、すなわち、レンズ41の周囲から射出されることにより、被写体に影が出にくいようにされている。また、遠方の被写体を照明するときは、光が局所射出部から集中して射出されるようにする。集中して射出されることにより、光は遠方まで到達する。
【0069】
このように、このカメラ40は、撮影状況に対応して光を射出し、被写体を照明することができるものとされている。
【0070】
本発明は、第1ないし第4の実施形態に限定することなく種々変更することができる。例えば、光源13,23,33は、LEDに限定されないし、1個のみ一方向に光が出るようにしてもよい。この場合は、導光部11,21,31は、図示したような光源13,23,33から最も離れた部位が薄肉に形成されるのではなく、光源13,23,33が配置される部位において、光が出されない側が最も薄くなるように形成される。
【0071】
また、導光部11,21,31は、半円状のものを2個組み合わせ、各導光部11,21,31に1個の光源13,23,33を配置し、それぞれ、半周ずつ光が出るようにしてもよい。さらに、光源13,23,33を2か所に設け、それぞれ、光が反対方向に出るようにすることで、各光が4分の1周だけ伝搬するようにしてもよい。
【0072】
さらに、カメラ40においては、鏡筒42に環状の反射部材を設けることにより、照明装置10,20,30には、外側の周面反射部材15,25,35を設けないようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る照明装置は、デジタルスチルカメラを構成するものとして有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 照明装置
11 導光部
11a 空間部
12 局所反射部
13 光源
14 周面反射部材
15 周面反射部材
20 照明装置
21 導光部
21a 空間部
22 局所反射部(板状反射部材)
23 光源
24 周面反射部材
25 周面反射部材
26 裏面反射部材
30 照明装置
31 導光部
31a 空間部
32 局所反射部
32a 板状反射部材
32b 可動反射部材
32c 膨出反射部
33 光源
34 周面反射部材
35 周面反射部材
36 裏面反射部材
40 カメラ
41 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が伝搬する光路が環状に形成され、該光路内を伝搬する光が表面側から射出されるようにした導光部と、光が前記導光部の表面側の一部分のみから射出するように前記導光部の少なくとも裏面側に設けられた局所反射部と、前記導光部と局所反射部との間で移動する光源とを備え、前記光源が前記導光部側に位置したときに、光源から出された光が前記導光部の光路内を伝搬することで表面側から環状に射出され、前記光源が前記局所反射部側に位置したときに、光源から出される光が前記局所反射部で反射し、導光部の表面側の一部分のみから集中して射出されるようにされていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記導光部には、光源が入る溝状、穴状又は分断した空間部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記局所反射部は、導光部の裏面から一体的に膨出し、周面を曲面状又は斜面状とした膨出反射部によって設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記局所反射部は、導光部の裏面から離れる方向に傾斜した又は撓曲した板状反射部材によって設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記局所反射部は、請求項3に記載された膨出反射部又は請求項4に記載された板状反射部材と、前記導光部に設けられた空間部内を移動して前記光源を取り付けた可動反射部材とを備え、光源が前記空間部内に位置したときに、光源から出された光が可動反射部材の表面から前記膨出反射部又は板状反射部材に向けて反射し、さらに該膨出反射部又は板状反射部材から前記導光部の表面側の一部分に向けて反射するようにされていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光部は、裏面から表面までの厚さが光源側から遠ざかるにつれて薄肉となるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記導光部の内周面及び/又は外周面に周面反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源は、2個のLEDを反対向きに組み合わせたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の照明装置がレンズを囲むように備えられていることを特徴とするカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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