照明装置及び照明システム
【課題】ズームレンズ手段の焦点との関係に着目して、照射光制御手段を配設し、照射光を良好に制御できる照明装置及び照明システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、被照射体に光を照射する光源手段7と、光源手段7から照射される光が通過するズームレンズ手段8と、光源手段7とズームレンズ手段8との間に介在され、かつズームレンズ手段8の焦点15と一致しない位置に配設された照射光制御手段10としての調光手段10aとを設けた照明装置1である。
【解決手段】本発明は、被照射体に光を照射する光源手段7と、光源手段7から照射される光が通過するズームレンズ手段8と、光源手段7とズームレンズ手段8との間に介在され、かつズームレンズ手段8の焦点15と一致しない位置に配設された照射光制御手段10としての調光手段10aとを設けた照明装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビスタジオや舞台等の演出照明に用いられる照明装置及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、照明装置において、光源とガラスレンズとの間にカラーフィルターを複数段設け、光色を変更可能な照明器具が知られている(「特許文献1」参照)。また、特許文献1には、加えて、ランプは、電子式調光器に接続されてもよいし、機械式調光装置によって明度ないしは強度が調節されてもよい旨記載されている。
【特許文献1】特開平6−162805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、光色を変更可能なカラーフィルターを設けたものであって、調光を行うものではなく、しかも、このカラーフィルターをズームレンズの焦点との関係に着目して配設したものでもない。
【0004】
また、特許文献1には、ランプからの光を調光する思想が開示されてはいるものの、その具体的態様は、何ら示されていない。
【0005】
さらに、一般的には、高圧放電ランプは、その特性上、電子的な調光が困難であり、また、シャッター等の機械式調光による場合は、非調光(全光)時に通過光量のロスが大きくなる不都合が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、ズームレンズ手段の焦点との関係に着目して、照射光制御手段を配設し、照射光を良好に制御できる照明装置及び照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の照明装置は、被照射体に光を照射する光源手段と、光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と、光源手段とズームレンズ手段との間に介在され、かつズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設された照射光制御手段としての調光手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、照射光制御手段は、調光手段を含む複数種の手段から構成されていることを特徴とする。
【0009】
照射光制御手段としては、調光手段、調色手段、光沢制御手段10d、形状制御手段等、各種手段が考えられる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の照明装置は、被照射体に光を照射する光源手段と、光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と、光源手段とズームレンズ手段との間に介在された複数種の照射光制御手段とを具備し、複数種の照射光制御手段のうち一つをズームレンズ手段の焦点と一致する位置に配設し、他の照射光制御手段をズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載の照明装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の照明装置において、照射光制御手段は、ループ状シートで構成されていることを特徴とする。
【0012】
シートは、フィルムやフィルターと称されるものを含み、また、アルミ箔やステンレス箔からなるものを含む概念である。
【0013】
照射光制御手段を複数種設ける場合は、ループ状シートで構成する照射光制御手段は、少なくとも一種でよいが、全てをループ状シートで構成してもよい。
【0014】
本発明の請求項5に記載の照明装置は、請求項4記載の照明装置において、ループ状シートは、その回動によっても、光源手段から光が照射される部分の前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
常に一定の組合わせとは、ループ状シートの前面及び後面がずれることがないことを意味するが、機能上支障のない多少のずれは許容する。
【0016】
本発明の請求項6に記載の照明システムは、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の照明装置と、照明装置と接続され、照明装置に制御信号を供給する照明装置制御機構とを具備することを特徴とする。
【0017】
照明装置と照明装置制御機構との接続は、有線や無線で接続されることを意味する。
【0018】
なお、各請求項に記載された発明において、照射光制御手段の配設位置について、ズームレンズ手段の焦点と一致する位置又は一致しない位置は、幾何学的に厳密な位置を意味するものではない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ズームレンズ手段の焦点との関係に着目して、照射光制御手段を配設し、照射光を良好に制御できる照明装置及び照明システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の照明装置の第1の実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1は、照明装置の一部を切欠いて示す概略説明図、図2は、照射光制御手段としての調光手段を取り出して示す概略斜視図、図3は、調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【0021】
図1において、照明装置1は略円筒状の本体ケース2、吊下げ用ハンドル3及び可動ミラー4から構成されている。本体ケース2内には、本体ケース2と同様に円筒状の内ケース5が設けられている。この内ケース5には、上方から順次、反射板6、光源手段7、照射光制御手段10、ズームレンズ手段8の光学系が直線的に設けられている。反射板6は、円弧状に曲成されており、光源手段7からの光を下方に反射するものである。
【0022】
光源手段7としては、HIDランプが用いられているが、白熱電球、ハロゲンランプ等を用いることもできる。
【0023】
次に、照射光制御手段10としては、調光手段10aが設けられている。調光手段10aは、内ケース5に立設されたモータ等により回動される2本の駆動ローラ9と、同様に立設された4本の従動ローラ11及びこれらローラに巻き付けられたループ状フィルム12から構成されている。なお、駆動ローラは、1本としても差し支えなく、この場合でもループ状フィルム12を駆動可能である。このループ状フィルム12は、全体側面形状を略コ字状となしている。
【0024】
従動ローラ11は、ループ状フィルム12を略コ字状に維持しながら、ループ状フィルムを回動するのを支援する役目をなす。
【0025】
図3は、ループ状フィルム12の一部パターンを示している。このループ状フィルム12は、遮光材を用いており、長手方向に沿い3列の円形開口12aが形成されている。そして、3列の円形開口12aは図示右方向に沿うに従い、徐々に小さくなるように形成されている。つまり、フィルム12の開口率が連続的に変化するようになっており、図示右方向に沿うに従い開口率が小さくなるように構成されている。なお、図示しないがループ状フィルム12には、光源手段7からの照射光をほとんど遮ることがない拡大開口も形成している。
【0026】
また、内ケース5の内の適宜位置に図示しないフォトセンサーが設けられおり、一方、フィルム12の下側には、このフォトセンサーに対向する位置にアルミ箔等の位置決めマーカ12bが連続して複数個貼着されている。
【0027】
ズームレンズ手段8は、光源手段7から出た光を所望の領域に集束可能な機能を有するもので、組レンズにより構成されている。
【0028】
吊下げ用ハンドル3は、本体ケース2の上部にボルト3aで固着されており、このハンドルによって照明装置1を天井から吊下げたり、バトンと称される照明装置保持体に取着したりできるようになっている。
【0029】
可動ミラー4は、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b及びミラー4cから構成されている。リング状回転体4aは、本体ケース2の下部に取着され、図示しないモータ等の駆動機構により適宜位置に停止可能な如く回転自在な構成となっている。そして、リング状回転体4aには、対向する位置にミラー部支持体4bが取着されており、ミラー部支持体4bは、支点を中心として矢印A方向に首振り自在で、かつ所望角度の位置で停止できるようになっている。
【0030】
ミラー部支持体4bの先端には、ミラー4cが取着されている。ミラー4cは、ミラー取着部4dを支点として図示上、上下(矢印B)及び左右(矢印C)に首振り自在でかつ、所望位置に停止できるようになっている。
【0031】
以上のリング状回転体4a、ミラー部支持体4b及びミラー4cは、いずれもモータ等の駆動機構により駆動されるようになっている。
【0032】
なお、13は、本体ケース2と内ケース5との間に設けられた光源手段点灯装置であり、14は、モータの駆動機構である。この光源手段点灯装置13と駆動機構14は、本体ケース2と内ケース5とによりカバーされ、熱的影響を受け難くなっている。
【0033】
次に、本実施形態の動作を説明する。図1において、ズームレンズ手段8の内側焦点15を一点鎖線の交点で示す。まず、天井等から吊下げられた照明装置1において、光源手段7を点灯すると、その光は反射板6からの反射光とともに、下方に照射される。その下方光は、調光手段10a、ズームレンズ手段8を通過する。そして、その通過光は、一方のミラー4cで受けられ、他方のミラー4cから所望の場所に照射されることとなる。
【0034】
ここで、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b、ミラー4cは、その回転位置又は首振り位置が適宜調節可能であるため、照射光を所望の場所に照射することが達成できる。
【0035】
なお、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b、ミラー4cの回転駆動、ズームレンズ手段8の駆動等は、図示しない中央制御盤、リモコン等の照明装置制御機構の操作により行われる。照明装置制御機構と照明装置1とは、有線又は無線で接続されるようになっており、照明装置制御機構の操作により、照明装置制御機構は、制御信号を発生し、その信号を照明装置1に供給する。照明装置1は、信号を受信し、所定の動作を実行する。
【0036】
次に、調光手段10aは、ループ状フィルム12がローラに沿って連続的に回動するようになっており、所望の調光位置で停止できるようになっている。これは、フィルム12の位置決めマーカ12bをフォトセンサーで読み取り、所望の調光状態を選定するように行われる。すなわち、位置決めマーカ12b毎に番地が決められており、この番地をリモコン等の照明装置制御機構で選択し、その後モータを駆動させ、選択した番地位置で止まることにより、結果的に、選定した調光状態で被照射体を照らすことができるものである。
【0037】
さらに、詳述すると、フィルム12はループ状であるため、光源手段7からの光を前面に位置したフィルム部121と後面に位置したフィルム部122との2面で受け、通過することとなる。この場合、フィルム12は前記2面の開口率、換言すれば、光透過率の組合わせに従い、調光が行われることになる。また、2面の開口率の組合わせにより、明→暗、暗→明へと徐々に明るさが連続的に変わる、いわゆるグラデーション効果も達成可能である。この場合は、フィルム12を一定速度で連続的に回動させればよい。
【0038】
なお、2面の組合わせを拡大開口同士を対向するようにすれば、非調光(全光)状態とすることもできる。
【0039】
また、フィルム12はループ状であることにより、モータ等の正逆回転で双方向に回動させるようにすればよく、巻き取り、巻き戻しといった動作が不要となり、構成も単純化できる。加えて、フィルム12は、全体側面形状が略コ字状に巻かれているため、つまり、曲折状になっているため直線状に構成した場合に比較してフィルム12の長さを長くでき、調光の変化、すなわち、照射光制御の変化に富むものとすることが可能となる。
【0040】
ループ状フィルム12は、ズームレンズ手段8の焦点15と一致しない位置に配設されているので、調光された光はフィルム12の開口12aの輪郭等が明確に表れず、柔らかな緩慢な光となり、むらが少なく均一化した照射光とすることが期待できる。
【0041】
なお、上記実施形態において、ループ状フィルム12は、図4及び図5の一部展開図に示すように、開口12c、12dを傾斜状に徐々に狭めるようにしてもよく、また、黒色→灰色→透明といったように色調の濃淡を連続的に変化させてグラデーション効果をもたせてもよい。
【0042】
さらにまた、上記実施形態においては、フィルム12をループ状に構成したものについて説明したが、ループ状ではなく、駆動ローラにフィルム両端を接続し、モータの駆動に応じて駆動ローラにフィルムが巻き取られ、巻き戻しされるタイプのものであっても適用可能である。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、調光した光を均一化でき、光の質を高めることができ、さらに、調光にあたっては、グラデーション効果をもたらすことができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態について、図6乃至図10及び図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には、同一符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0045】
図6は、照明装置の一部を切欠いて示す概略説明図、図7は、照射光制御手段を取り出して示す概略斜視図、図8乃至図10は、照射光制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【0046】
第1の実施形態と異なるのは、照射光制御手段10の種類、構成である。本実施形態においては、照射光制御手段10は、調色手段10b、調光手段10a、形状制御手段10c、光沢制御手段10dから構成されている。各手段は、図7に示すように、ループ状フィルム12が2本の駆動ローラ9と2本の従動ローラ11に巻き付けられて、全体側面形状を略L字状をなして構成されている。
【0047】
まず、光源手段7側から第1段目には、調色手段10bが配設されている。この調色手段10bは、図8に示すように透光性ループ状カラーフィルム12からなり、このフィルム12は、長手方向に複数の色が区分けされて単位カラーフィルムをなし、この単位カラーフィルムが連続してつながってループ状となっている。単位カラーフィルムは、透過光を赤色にする赤色部、緑色にする緑色部、青色にする青色部、白色にする白色部及び透明部を含んで連結している。所望の色光を投光する機能を果すものである。
【0048】
次に、第2段目には、調光手段10aが配設されている。この調光手段10aは、第1の実施形態で説明したものと同様に図3に示すようなグラデーション効果をもたらすものである。
【0049】
次に、第3段目には、形状制御手段10cが配設されている。この形状制御手段10cは、図9に示すように遮光材からなる単位フィルムを連続してつなげて形成し、星形、三日月形等、各種形状の開口12eを形成している。なお、単位フィルムとして透明部を含んでもよい。該手段は、被照射部に特定の形状の投光をなす機能を果すものである。
【0050】
形状制御手段10cは、図6の紙面上、L字状一辺面が垂下している形態をなしており、この垂下した一辺面が光源手段7から光を受ける受光面123をなしている。
【0051】
次に、第4段目には、光沢制御手段10dが配設されている。この光沢制御手段10dは、図10に示すように偏光フィルムからなり、長手方向に、振動方向の異なる光を透過させる数種類の単位偏光フィルムが連続してつながってループ状をなしている。この偏光フィルムは、特定の振動方向の光だけを透過させるので、被照射体に対し乱反射等からの光のギラつきを抑えることができる効果をなすものである。
【0052】
以上のように各手段は、全体側面形状を略L字状となし、省スペースに配設されるよう適宜組合わされて構成されている。
【0053】
次に、本実施形態の動作について説明する。第1に、光源手段7からの光は調色手段10bを通過する。調色手段10bは、カラーフィルムであり、光は前面及び後面のフィルム部を通過することにより、所定の色光に変色する。
【0054】
第2に、その光は、同様に調光手段10aを通過し、所望の明るさに調光され、第3に、形状制御手段10cを通過し、所望の形状の投光とされ、第4に、光沢制御手段10dを通過し、所望の光沢感の投光となり、ズームレンズ手段8から可動ミラー4へ到達する。
【0055】
ここで、ズームレンズ手段8の内側焦点15は、形状制御手段10cの受光面123と一致した位置にある。そして、他の照射光制御手段10は、焦点15と一致しない位置に配設されている。したがって、光源手段7からの光は、形状においては、ある程度くっきりした輪郭をなした照射光となるが、色、明るさ、光沢については、むらが少なく均一化された照射光となる。
【0056】
各照射光制御手段10は、モータ等の駆動により、そのループ状フィルム12を適宜選択した位置に停止でき、また、連続して回動することもできる。したがって、フィルム前後2面の組合わせ、また、その組合わせに従う各照射光制御手段10の組合わせにより、多様な種類の照射光を創り出すことができる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、演出内容に従い、変化に富んだ多様な演出照明を提供できる。
【0058】
また、ループ状フィルム12は、各照射光制御手段とも略共通構成であり、構造が簡単となる。
【0059】
さらに、ループ状フィルム12は全体側面形状が略L字状のものをスペースを考慮して適宜組合わせることにより、省スペース化できる。
【0060】
なお、本実施形態において、形状制御手段10cは、ズームレンズ手段8の焦点15と一致した位置に配設したが、照射光が明確な輪郭が要求されない場合は、焦点15と一致しない位置に配設してもよい。この場合、照射光は、形状はくっきり表れないが、柔らかな緩慢な形状となって表れる。
【0061】
要するに、各照射光制御手段に要求される仕様に応じて、ズームレンズ手段の焦点との関係で、照射光制御手段を配設すればよい。
【0062】
また、照射光制御手段は、調色手段、調光手段、形状制御手段、光沢制御手段に限らないことは勿論のこと、照射光制御手段を2種類又は3種類配設するものであってもよい。
【0063】
次に、本発明ループ状シートの他の実施形態を図を参照して説明する。図11は、調色手段として全体側面形状が直線状の透光性ループ状カラーフィルム12を示している。このフィルム12は、単位カラーフィルムをなし、本実施形態においては、6単位のカラーフィルムからなっている。これら単位フィルムは、縦横の長さが略同じで同形状であり、第1単位のカラーフィルム12Aは青色、第2単位のカラーフィルム12Bは赤色、第3単位のカラーフィルム12Cは緑色、第4単位のカラーフィルム12Dは青色、第5単位のカラーフィルム12Eは赤色、第6単位のカラーフィルム12Fは緑色、として構成されている。
【0064】
したがって、図示の状態では、光源手段に対して、前面に位置しているフィルム20fは、赤色の第2単位のカラーフィルム12Bであり、後面に位置しているフィルム20bも赤色の第3単位のカラーフィルム12Eである。よって、同色のフィルムが対向しており、光源手段から光が照射される部分20の透過光は赤色になる。フィルムを回動させて単位フィルム毎に対応させると、前面、後面に位置するフィルムは、同様に同色が対向することとなり、つまり、青色の第1単位のカラーフィルム12Aと第4単位のカラーフィルム12D、緑色の第3単位のカラーフィルム12Cと第6単位のカラーフィルム12Fとが対向することとなり、光源手段から光が照射される部分20のフィルム前面20f及び後面20bが、常に一定の組合わせで対向するため、単純な構成により所定の色光を投光することができる。
【0065】
これは、光源手段から光が照射される部分20を中心として、フィルム前面20fと後面20bを想定した場合、フィルム前面20fと後面20bの両側の長さ、すなわち、図示上、フィルム前面20fの右側端からフィルム後面の右側端に至るまでの長さL1とフィルム前面20fの左側端からフィルム後面の左側端に至るまでの長さL2とが略同じであるということに起因している。
【0066】
なお、上記説明において、カラーフィルムの色は例示的であり、青、赤、緑に限るものではなく、勿論他の色を適用してもよい。また、フィルム前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向する場合、同色の組合わせではなく、異色の組合わせでもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、単位カラーフィルム12は、ループ状カラーフィルム12の回動によっても、光源手段に対して前面に位置するフィルムと後面に位置するフィルムとが常に一定の組合わせでずれることなく、相互に対向することになり、所望の照射光に制御するのが容易となる効果が期待できる。また、本実施形態の場合には、従動ローラを不要とすることができるものである。
【0068】
さらに、本実施形態は、調色手段に限らず、調光手段等、他の照射光制御手段に採用してもよい。この場合においても、所望の照射光に制御するのが容易となる効果が期待できる。
【0069】
本発明においては、ループ状フィルムの位置決めマーカは必ずしも必要ではなく、例えば、モータ等を照明装置制御機構で全てプログラム制御し、演出内容の進行に応じて照射光を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の照明装置の第1の実施形態を示す概略説明図である。
【図2】同照射光制御手段としての調光手段を示す概略斜視図である。
【図3】同調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図4】同他の調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図5】同他の調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図6】本発明の照明装置の第2の実施形態を示す概略説明図である。
【図7】同照射光制御手段を示す概略斜視図である。
【図8】同照射光制御手段として調色手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図9】同照射光制御手段として形状制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図10】同照射光制御手段として光沢制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図11】同照射光制御手段として調色手段の他の実施形態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0071】
7 :光源手段
8 :ズームレンズ手段
15 :ズームレンズ手段の焦点
10 :照射光制御手段
10 :調光手段
10b:調色手段
10c:形状制御手段
10d:光沢制御手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、テレビスタジオや舞台等の演出照明に用いられる照明装置及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、照明装置において、光源とガラスレンズとの間にカラーフィルターを複数段設け、光色を変更可能な照明器具が知られている(「特許文献1」参照)。また、特許文献1には、加えて、ランプは、電子式調光器に接続されてもよいし、機械式調光装置によって明度ないしは強度が調節されてもよい旨記載されている。
【特許文献1】特開平6−162805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示されたものは、光色を変更可能なカラーフィルターを設けたものであって、調光を行うものではなく、しかも、このカラーフィルターをズームレンズの焦点との関係に着目して配設したものでもない。
【0004】
また、特許文献1には、ランプからの光を調光する思想が開示されてはいるものの、その具体的態様は、何ら示されていない。
【0005】
さらに、一般的には、高圧放電ランプは、その特性上、電子的な調光が困難であり、また、シャッター等の機械式調光による場合は、非調光(全光)時に通過光量のロスが大きくなる不都合が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、ズームレンズ手段の焦点との関係に着目して、照射光制御手段を配設し、照射光を良好に制御できる照明装置及び照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の照明装置は、被照射体に光を照射する光源手段と、光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と、光源手段とズームレンズ手段との間に介在され、かつズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設された照射光制御手段としての調光手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、照射光制御手段は、調光手段を含む複数種の手段から構成されていることを特徴とする。
【0009】
照射光制御手段としては、調光手段、調色手段、光沢制御手段10d、形状制御手段等、各種手段が考えられる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の照明装置は、被照射体に光を照射する光源手段と、光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と、光源手段とズームレンズ手段との間に介在された複数種の照射光制御手段とを具備し、複数種の照射光制御手段のうち一つをズームレンズ手段の焦点と一致する位置に配設し、他の照射光制御手段をズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載の照明装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の照明装置において、照射光制御手段は、ループ状シートで構成されていることを特徴とする。
【0012】
シートは、フィルムやフィルターと称されるものを含み、また、アルミ箔やステンレス箔からなるものを含む概念である。
【0013】
照射光制御手段を複数種設ける場合は、ループ状シートで構成する照射光制御手段は、少なくとも一種でよいが、全てをループ状シートで構成してもよい。
【0014】
本発明の請求項5に記載の照明装置は、請求項4記載の照明装置において、ループ状シートは、その回動によっても、光源手段から光が照射される部分の前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
常に一定の組合わせとは、ループ状シートの前面及び後面がずれることがないことを意味するが、機能上支障のない多少のずれは許容する。
【0016】
本発明の請求項6に記載の照明システムは、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の照明装置と、照明装置と接続され、照明装置に制御信号を供給する照明装置制御機構とを具備することを特徴とする。
【0017】
照明装置と照明装置制御機構との接続は、有線や無線で接続されることを意味する。
【0018】
なお、各請求項に記載された発明において、照射光制御手段の配設位置について、ズームレンズ手段の焦点と一致する位置又は一致しない位置は、幾何学的に厳密な位置を意味するものではない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ズームレンズ手段の焦点との関係に着目して、照射光制御手段を配設し、照射光を良好に制御できる照明装置及び照明システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の照明装置の第1の実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。図1は、照明装置の一部を切欠いて示す概略説明図、図2は、照射光制御手段としての調光手段を取り出して示す概略斜視図、図3は、調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【0021】
図1において、照明装置1は略円筒状の本体ケース2、吊下げ用ハンドル3及び可動ミラー4から構成されている。本体ケース2内には、本体ケース2と同様に円筒状の内ケース5が設けられている。この内ケース5には、上方から順次、反射板6、光源手段7、照射光制御手段10、ズームレンズ手段8の光学系が直線的に設けられている。反射板6は、円弧状に曲成されており、光源手段7からの光を下方に反射するものである。
【0022】
光源手段7としては、HIDランプが用いられているが、白熱電球、ハロゲンランプ等を用いることもできる。
【0023】
次に、照射光制御手段10としては、調光手段10aが設けられている。調光手段10aは、内ケース5に立設されたモータ等により回動される2本の駆動ローラ9と、同様に立設された4本の従動ローラ11及びこれらローラに巻き付けられたループ状フィルム12から構成されている。なお、駆動ローラは、1本としても差し支えなく、この場合でもループ状フィルム12を駆動可能である。このループ状フィルム12は、全体側面形状を略コ字状となしている。
【0024】
従動ローラ11は、ループ状フィルム12を略コ字状に維持しながら、ループ状フィルムを回動するのを支援する役目をなす。
【0025】
図3は、ループ状フィルム12の一部パターンを示している。このループ状フィルム12は、遮光材を用いており、長手方向に沿い3列の円形開口12aが形成されている。そして、3列の円形開口12aは図示右方向に沿うに従い、徐々に小さくなるように形成されている。つまり、フィルム12の開口率が連続的に変化するようになっており、図示右方向に沿うに従い開口率が小さくなるように構成されている。なお、図示しないがループ状フィルム12には、光源手段7からの照射光をほとんど遮ることがない拡大開口も形成している。
【0026】
また、内ケース5の内の適宜位置に図示しないフォトセンサーが設けられおり、一方、フィルム12の下側には、このフォトセンサーに対向する位置にアルミ箔等の位置決めマーカ12bが連続して複数個貼着されている。
【0027】
ズームレンズ手段8は、光源手段7から出た光を所望の領域に集束可能な機能を有するもので、組レンズにより構成されている。
【0028】
吊下げ用ハンドル3は、本体ケース2の上部にボルト3aで固着されており、このハンドルによって照明装置1を天井から吊下げたり、バトンと称される照明装置保持体に取着したりできるようになっている。
【0029】
可動ミラー4は、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b及びミラー4cから構成されている。リング状回転体4aは、本体ケース2の下部に取着され、図示しないモータ等の駆動機構により適宜位置に停止可能な如く回転自在な構成となっている。そして、リング状回転体4aには、対向する位置にミラー部支持体4bが取着されており、ミラー部支持体4bは、支点を中心として矢印A方向に首振り自在で、かつ所望角度の位置で停止できるようになっている。
【0030】
ミラー部支持体4bの先端には、ミラー4cが取着されている。ミラー4cは、ミラー取着部4dを支点として図示上、上下(矢印B)及び左右(矢印C)に首振り自在でかつ、所望位置に停止できるようになっている。
【0031】
以上のリング状回転体4a、ミラー部支持体4b及びミラー4cは、いずれもモータ等の駆動機構により駆動されるようになっている。
【0032】
なお、13は、本体ケース2と内ケース5との間に設けられた光源手段点灯装置であり、14は、モータの駆動機構である。この光源手段点灯装置13と駆動機構14は、本体ケース2と内ケース5とによりカバーされ、熱的影響を受け難くなっている。
【0033】
次に、本実施形態の動作を説明する。図1において、ズームレンズ手段8の内側焦点15を一点鎖線の交点で示す。まず、天井等から吊下げられた照明装置1において、光源手段7を点灯すると、その光は反射板6からの反射光とともに、下方に照射される。その下方光は、調光手段10a、ズームレンズ手段8を通過する。そして、その通過光は、一方のミラー4cで受けられ、他方のミラー4cから所望の場所に照射されることとなる。
【0034】
ここで、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b、ミラー4cは、その回転位置又は首振り位置が適宜調節可能であるため、照射光を所望の場所に照射することが達成できる。
【0035】
なお、リング状回転体4a、ミラー部支持体4b、ミラー4cの回転駆動、ズームレンズ手段8の駆動等は、図示しない中央制御盤、リモコン等の照明装置制御機構の操作により行われる。照明装置制御機構と照明装置1とは、有線又は無線で接続されるようになっており、照明装置制御機構の操作により、照明装置制御機構は、制御信号を発生し、その信号を照明装置1に供給する。照明装置1は、信号を受信し、所定の動作を実行する。
【0036】
次に、調光手段10aは、ループ状フィルム12がローラに沿って連続的に回動するようになっており、所望の調光位置で停止できるようになっている。これは、フィルム12の位置決めマーカ12bをフォトセンサーで読み取り、所望の調光状態を選定するように行われる。すなわち、位置決めマーカ12b毎に番地が決められており、この番地をリモコン等の照明装置制御機構で選択し、その後モータを駆動させ、選択した番地位置で止まることにより、結果的に、選定した調光状態で被照射体を照らすことができるものである。
【0037】
さらに、詳述すると、フィルム12はループ状であるため、光源手段7からの光を前面に位置したフィルム部121と後面に位置したフィルム部122との2面で受け、通過することとなる。この場合、フィルム12は前記2面の開口率、換言すれば、光透過率の組合わせに従い、調光が行われることになる。また、2面の開口率の組合わせにより、明→暗、暗→明へと徐々に明るさが連続的に変わる、いわゆるグラデーション効果も達成可能である。この場合は、フィルム12を一定速度で連続的に回動させればよい。
【0038】
なお、2面の組合わせを拡大開口同士を対向するようにすれば、非調光(全光)状態とすることもできる。
【0039】
また、フィルム12はループ状であることにより、モータ等の正逆回転で双方向に回動させるようにすればよく、巻き取り、巻き戻しといった動作が不要となり、構成も単純化できる。加えて、フィルム12は、全体側面形状が略コ字状に巻かれているため、つまり、曲折状になっているため直線状に構成した場合に比較してフィルム12の長さを長くでき、調光の変化、すなわち、照射光制御の変化に富むものとすることが可能となる。
【0040】
ループ状フィルム12は、ズームレンズ手段8の焦点15と一致しない位置に配設されているので、調光された光はフィルム12の開口12aの輪郭等が明確に表れず、柔らかな緩慢な光となり、むらが少なく均一化した照射光とすることが期待できる。
【0041】
なお、上記実施形態において、ループ状フィルム12は、図4及び図5の一部展開図に示すように、開口12c、12dを傾斜状に徐々に狭めるようにしてもよく、また、黒色→灰色→透明といったように色調の濃淡を連続的に変化させてグラデーション効果をもたせてもよい。
【0042】
さらにまた、上記実施形態においては、フィルム12をループ状に構成したものについて説明したが、ループ状ではなく、駆動ローラにフィルム両端を接続し、モータの駆動に応じて駆動ローラにフィルムが巻き取られ、巻き戻しされるタイプのものであっても適用可能である。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、調光した光を均一化でき、光の質を高めることができ、さらに、調光にあたっては、グラデーション効果をもたらすことができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態について、図6乃至図10及び図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には、同一符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0045】
図6は、照明装置の一部を切欠いて示す概略説明図、図7は、照射光制御手段を取り出して示す概略斜視図、図8乃至図10は、照射光制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【0046】
第1の実施形態と異なるのは、照射光制御手段10の種類、構成である。本実施形態においては、照射光制御手段10は、調色手段10b、調光手段10a、形状制御手段10c、光沢制御手段10dから構成されている。各手段は、図7に示すように、ループ状フィルム12が2本の駆動ローラ9と2本の従動ローラ11に巻き付けられて、全体側面形状を略L字状をなして構成されている。
【0047】
まず、光源手段7側から第1段目には、調色手段10bが配設されている。この調色手段10bは、図8に示すように透光性ループ状カラーフィルム12からなり、このフィルム12は、長手方向に複数の色が区分けされて単位カラーフィルムをなし、この単位カラーフィルムが連続してつながってループ状となっている。単位カラーフィルムは、透過光を赤色にする赤色部、緑色にする緑色部、青色にする青色部、白色にする白色部及び透明部を含んで連結している。所望の色光を投光する機能を果すものである。
【0048】
次に、第2段目には、調光手段10aが配設されている。この調光手段10aは、第1の実施形態で説明したものと同様に図3に示すようなグラデーション効果をもたらすものである。
【0049】
次に、第3段目には、形状制御手段10cが配設されている。この形状制御手段10cは、図9に示すように遮光材からなる単位フィルムを連続してつなげて形成し、星形、三日月形等、各種形状の開口12eを形成している。なお、単位フィルムとして透明部を含んでもよい。該手段は、被照射部に特定の形状の投光をなす機能を果すものである。
【0050】
形状制御手段10cは、図6の紙面上、L字状一辺面が垂下している形態をなしており、この垂下した一辺面が光源手段7から光を受ける受光面123をなしている。
【0051】
次に、第4段目には、光沢制御手段10dが配設されている。この光沢制御手段10dは、図10に示すように偏光フィルムからなり、長手方向に、振動方向の異なる光を透過させる数種類の単位偏光フィルムが連続してつながってループ状をなしている。この偏光フィルムは、特定の振動方向の光だけを透過させるので、被照射体に対し乱反射等からの光のギラつきを抑えることができる効果をなすものである。
【0052】
以上のように各手段は、全体側面形状を略L字状となし、省スペースに配設されるよう適宜組合わされて構成されている。
【0053】
次に、本実施形態の動作について説明する。第1に、光源手段7からの光は調色手段10bを通過する。調色手段10bは、カラーフィルムであり、光は前面及び後面のフィルム部を通過することにより、所定の色光に変色する。
【0054】
第2に、その光は、同様に調光手段10aを通過し、所望の明るさに調光され、第3に、形状制御手段10cを通過し、所望の形状の投光とされ、第4に、光沢制御手段10dを通過し、所望の光沢感の投光となり、ズームレンズ手段8から可動ミラー4へ到達する。
【0055】
ここで、ズームレンズ手段8の内側焦点15は、形状制御手段10cの受光面123と一致した位置にある。そして、他の照射光制御手段10は、焦点15と一致しない位置に配設されている。したがって、光源手段7からの光は、形状においては、ある程度くっきりした輪郭をなした照射光となるが、色、明るさ、光沢については、むらが少なく均一化された照射光となる。
【0056】
各照射光制御手段10は、モータ等の駆動により、そのループ状フィルム12を適宜選択した位置に停止でき、また、連続して回動することもできる。したがって、フィルム前後2面の組合わせ、また、その組合わせに従う各照射光制御手段10の組合わせにより、多様な種類の照射光を創り出すことができる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、演出内容に従い、変化に富んだ多様な演出照明を提供できる。
【0058】
また、ループ状フィルム12は、各照射光制御手段とも略共通構成であり、構造が簡単となる。
【0059】
さらに、ループ状フィルム12は全体側面形状が略L字状のものをスペースを考慮して適宜組合わせることにより、省スペース化できる。
【0060】
なお、本実施形態において、形状制御手段10cは、ズームレンズ手段8の焦点15と一致した位置に配設したが、照射光が明確な輪郭が要求されない場合は、焦点15と一致しない位置に配設してもよい。この場合、照射光は、形状はくっきり表れないが、柔らかな緩慢な形状となって表れる。
【0061】
要するに、各照射光制御手段に要求される仕様に応じて、ズームレンズ手段の焦点との関係で、照射光制御手段を配設すればよい。
【0062】
また、照射光制御手段は、調色手段、調光手段、形状制御手段、光沢制御手段に限らないことは勿論のこと、照射光制御手段を2種類又は3種類配設するものであってもよい。
【0063】
次に、本発明ループ状シートの他の実施形態を図を参照して説明する。図11は、調色手段として全体側面形状が直線状の透光性ループ状カラーフィルム12を示している。このフィルム12は、単位カラーフィルムをなし、本実施形態においては、6単位のカラーフィルムからなっている。これら単位フィルムは、縦横の長さが略同じで同形状であり、第1単位のカラーフィルム12Aは青色、第2単位のカラーフィルム12Bは赤色、第3単位のカラーフィルム12Cは緑色、第4単位のカラーフィルム12Dは青色、第5単位のカラーフィルム12Eは赤色、第6単位のカラーフィルム12Fは緑色、として構成されている。
【0064】
したがって、図示の状態では、光源手段に対して、前面に位置しているフィルム20fは、赤色の第2単位のカラーフィルム12Bであり、後面に位置しているフィルム20bも赤色の第3単位のカラーフィルム12Eである。よって、同色のフィルムが対向しており、光源手段から光が照射される部分20の透過光は赤色になる。フィルムを回動させて単位フィルム毎に対応させると、前面、後面に位置するフィルムは、同様に同色が対向することとなり、つまり、青色の第1単位のカラーフィルム12Aと第4単位のカラーフィルム12D、緑色の第3単位のカラーフィルム12Cと第6単位のカラーフィルム12Fとが対向することとなり、光源手段から光が照射される部分20のフィルム前面20f及び後面20bが、常に一定の組合わせで対向するため、単純な構成により所定の色光を投光することができる。
【0065】
これは、光源手段から光が照射される部分20を中心として、フィルム前面20fと後面20bを想定した場合、フィルム前面20fと後面20bの両側の長さ、すなわち、図示上、フィルム前面20fの右側端からフィルム後面の右側端に至るまでの長さL1とフィルム前面20fの左側端からフィルム後面の左側端に至るまでの長さL2とが略同じであるということに起因している。
【0066】
なお、上記説明において、カラーフィルムの色は例示的であり、青、赤、緑に限るものではなく、勿論他の色を適用してもよい。また、フィルム前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向する場合、同色の組合わせではなく、異色の組合わせでもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、単位カラーフィルム12は、ループ状カラーフィルム12の回動によっても、光源手段に対して前面に位置するフィルムと後面に位置するフィルムとが常に一定の組合わせでずれることなく、相互に対向することになり、所望の照射光に制御するのが容易となる効果が期待できる。また、本実施形態の場合には、従動ローラを不要とすることができるものである。
【0068】
さらに、本実施形態は、調色手段に限らず、調光手段等、他の照射光制御手段に採用してもよい。この場合においても、所望の照射光に制御するのが容易となる効果が期待できる。
【0069】
本発明においては、ループ状フィルムの位置決めマーカは必ずしも必要ではなく、例えば、モータ等を照明装置制御機構で全てプログラム制御し、演出内容の進行に応じて照射光を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の照明装置の第1の実施形態を示す概略説明図である。
【図2】同照射光制御手段としての調光手段を示す概略斜視図である。
【図3】同調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図4】同他の調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図5】同他の調光手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図6】本発明の照明装置の第2の実施形態を示す概略説明図である。
【図7】同照射光制御手段を示す概略斜視図である。
【図8】同照射光制御手段として調色手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図9】同照射光制御手段として形状制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図10】同照射光制御手段として光沢制御手段の一部を取り出して示す展開図である。
【図11】同照射光制御手段として調色手段の他の実施形態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0071】
7 :光源手段
8 :ズームレンズ手段
15 :ズームレンズ手段の焦点
10 :照射光制御手段
10 :調光手段
10b:調色手段
10c:形状制御手段
10d:光沢制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体に光を照射する光源手段と;
光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と;
光源手段とズームレンズ手段との間に介在され、かつズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設された照射光制御手段としての調光手段と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
照射光制御手段は、調光手段を含む複数種の手段から構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
被照射体に光を照射する光源手段と;
光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と;
光源手段とズームレンズ手段との間に介在された複数種の照射光制御手段と;
を具備し、複数種の照射光制御手段のうち一つをズームレンズ手段の焦点と一致する位置に配設し、他の照射光制御手段をズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
照射光制御手段は、ループ状シートで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項5】
ループ状シートは、その回動によっても、光源手段から光が照射される部分の前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の照明装置と;
照明装置と接続され、照明装置に制御信号を供給する照明装置制御機構と;
を具備することを特徴とする照明システム。
【請求項1】
被照射体に光を照射する光源手段と;
光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と;
光源手段とズームレンズ手段との間に介在され、かつズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設された照射光制御手段としての調光手段と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
照射光制御手段は、調光手段を含む複数種の手段から構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
被照射体に光を照射する光源手段と;
光源手段から照射される光が通過するズームレンズ手段と;
光源手段とズームレンズ手段との間に介在された複数種の照射光制御手段と;
を具備し、複数種の照射光制御手段のうち一つをズームレンズ手段の焦点と一致する位置に配設し、他の照射光制御手段をズームレンズ手段の焦点と一致しない位置に配設することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
照射光制御手段は、ループ状シートで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項5】
ループ状シートは、その回動によっても、光源手段から光が照射される部分の前面及び後面が、常に一定の組合わせで対向するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の照明装置と;
照明装置と接続され、照明装置に制御信号を供給する照明装置制御機構と;
を具備することを特徴とする照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−84784(P2008−84784A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265709(P2006−265709)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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