説明

照明装置及び該照明装置を備えた植物育成装置

【課題】植物の育成において、イニシャルコスト及びランニングコストを低く抑えると同時に、高品質の植物育成をなし得るようにした照明装置及びこれを備えた植物育成装置を提供する。
【解決手段】照明装置を、光源45と、該光源45からの照射光を反射させる反射板41と、光源45からの照射光及び反射板41からの反射光を透過拡散させる透過拡散材42を備え、該透過拡散材42からの透過拡散光を照明光として用いる構成とする。係る構成によれば、その照明方式が間接照明方式であることから、照明範囲の全域が可及的に均等に照明され、照度斑の殆どない照明効率の高い照明が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、植物育成に好適な照明装置、及びこの照明装置を用いた植物育成装置に関するものである。
【0002】
ここで、植物育成とは、種苗生産、即ち、育苗トレイで育成される成型苗、接木苗、挿し木苗及び培養容器内で育成されるクローン苗の栽培や、成品生産、即ち、ホウレン草、レタス等の成品作物の栽培をいう。また、植物育成装置とは、種苗生産装置や成品生産装置をいう。
【背景技術】
【0003】
近年、図11に示すように、植物の育成に際して、多段の棚101を備えた育成棚102の各棚101上にそれぞれ育成箱等103を載置するとともに、各棚101に設けた照明装置104によって上記各育成箱等103に植えられた植物を照明する(直接照明方式)ことでその生育を促進させるようにした植物育成装置100が使用されることが多い(特許文献1 参照)。ここで、育成箱等とは、育苗トレイ、育苗培養容器又は成品生産のための栽培容器をいう。
【0004】
この場合、上記照明装置104としては、各棚101の上方位置に、直状の蛍光灯105を複数本配置して構成するのが一般的である(特許文献1 参照)。
【0005】
また、このような、直状の蛍光灯105を用いた直接照明方式の照明装置104において、照度の均等化を図るために、反射笠106を用いるのが通例である(特許文献2 参照)。
【0006】
さらに、植物育成装置100においては、上記育成棚102を、空調された閉鎖空間107内に設置して、最適な育成環境で植物の育成を行なうのが通例である(特許文献1 参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2001−346450号公報(段落「0019」、「0020」、「0037」、「0040」〜「0043」、図1、図4)
【特許文献2】特開昭60−225302号公報(第2頁右上欄第16行〜同頁右下欄第18行、図2、図3、図4)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図11あるいは特許文献1に示される従来の植物育成装置のように、直状の蛍光灯105を複数本配置して構成された照明装置104によって育成箱等103に植えられた植物108を照明するようにした植物育成装置100においては、以下のような問題があった。
【0009】
即ち、照明装置104が直接照明方式であるため、植物108に近接させた近接照明とすると、蛍光灯105からの発熱や放射熱によって植物108に葉焼けが生じることが懸念される。また、クローン苗等の育成に用いる培養容器は、内部に熱が蓄熱されて、容器内の温度が上昇し、植物が枯死することが懸念される。このようなことから、蛍光灯105と植物108との間隔を広くとった離間照明とせざるを得ないことから照明効率が悪く、そのため、植物108の育成に最適な照度を確保すべく、蛍光灯105の本数を多くすることが必要となる。これらの結果、
(1)蛍光灯105の使用本数が多いことで照明用の電力消費が嵩み、植物育成装置100のランニングコストの上昇を招来する、
(2)蛍光灯105の使用本数が多く、これら蛍光灯104からの発熱によって周辺雰囲気の温度が高くなり植物108の生育環境に悪影響を及ぼすことが懸念され、これを回避するために行なわれる閉鎖空間107内の空調に伴う費用が高くつき、延いては植物育成装置100のランニングコストの上昇を招来する、
(3)蛍光灯104からの発熱によって、植物育成装置100内において上下方向の温度差が大きくなり、温度の高い上段側の育成箱等103に植えられた植物108と、温度の低い下段側の育成箱等103に植えられた植物108の間で生育度合いが異なり、均一性の低下とか、育成植物の品質低下及び歩留まりの低下を招来する、
(4)直状の蛍光灯104を用いることから、所謂「線照明」となり、照度斑が大きく、同一の育成箱等103においても植えられた位置によって植物108の生育度合いが異なり、育成される植物の均一性の低下、品質低下及び歩留まりが低下することが懸念され、またこれを改善するために、反射笠106を用いているが、これによっても照度斑の改善には限界があり、好ましい結果を得にくい、
(5)蛍光灯の発熱や放射熱及び光の均一性の観点から、離間照明とし、各棚101間の間隔を広くとらざるを得ないため、所定高さ範囲内に配置可能な棚101の段数が少なくなり、空間の有効利用度が低く、延いては植物育成装置100のイニシャルコスト及びランニングコストの上昇を招来するとともに、植物育成装置100としての生産性が低くなる、
等の問題があった。
【0010】
そこで本願発明では、植物の育成において、イニシャルコスト及びランニングコストを低く抑えるとともに、高い生産性を確保すると同時に、高品質の植物育成をなし得るようにした照明装置及びこれを備えた植物育成装置を提供することを主たる目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明では、特定方向に光を照射する光源45と、該光源45の照射方向前方側に配置され該光源45からの照射光を反射させる反射板41と、上記反射板41に対向するように配置され上記光源45からの照射光及び上記反射板41からの反射光を透過拡散させる透過拡散材42を備え、該透過拡散材42からの透過拡散光を照明光として用いるように構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明では、上記第1の発明において、上記光源45を指向性をもつ光源とし、その照射方向を上記特定方向に設定したことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明では、上記第1の発明において、上記光源45を無指向性の光源とし、その照射光を反射笠44によって上記特定方向に反射させことを特徴としている。
【0015】
本願の第4の発明では、上記第3の発明において、上記光源45が直状の蛍光灯であることを特徴としている。
【0016】
本願の第5の発明では、上記第1、第2、第3又は第4の発明において、上記光源45を透光性の仕切材43によって上記反射板41及び透過拡散材42から隔離するとともに、該仕切板43の上記光源45寄り部位を冷却風通路52としたことを特徴としている。
【0017】
本願の第6の発明では、上下方向に多段の棚部を設けた育成棚3の上記各棚部のそれぞれに請求項1〜5の何れか一に記載の照明装置4を配置し、該照明装置4の上面側に育成箱等5を載置可能としたことを特徴としている。ここで、育成箱等とは、育苗トレイ、育苗培養容器又は成品生産のための水耕栽培等の容器をいう。
【0018】
本願の第7の発明では、上記第6の発明において、上記各照明装置4側から該照明装置4の下方に配置された上記育成箱等5側に向けて空気を吹出すように構成したことを特徴としている。
【0019】
本願の第8の発明では、上記第6の発明において、上記照明装置4とその下方側に載置された上記育成箱等5の間隔を変更調整可能に構成したことを特徴としている。
【0020】
本願の第9の発明では、上記第6、第7又は第8の発明において、上記照明装置4を備えた上記育成棚3を、空調された閉鎖空間を構成する育成庫2内に配置したことを特徴としている。
【0021】
本願の第10の発明では、上記第9の発明において、上記照明装置4の上記冷却風通路52に上記育成庫2の庫外空気を導入するとともに、該冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫外へ排出するように構成したことを特徴としている。
【0022】
本願の第11の発明では、上記第10の発明において、上記育成庫2の庫内空気を上記照明装置4の上記冷却風通路52に導入可能とするとともに、上記冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫内へ排出可能に構成したことを特徴としている。
【0023】
本願の第12の発明では、上記第11の発明において、上記照明装置4の上記冷却風通路52への庫外空気と庫内空気の選択的な導入と、上記冷却風通路52内の空気の庫外と庫内への選択的な排出を、庫外温度と庫内温度と上記冷却風通路からの排出空気温度に基づいて制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0025】
(a)本願の第1の発明に係る照明装置では、特定方向に光を照射する光源45と、該光源45の照射方向前方側に配置され該光源45からの照射光を反射させる反射板41と、上記反射板41に対向するように配置され上記光源45からの照射光及び上記反射板41からの反射光を透過拡散させる透過拡散材42を備え、該透過拡散材42からの透過拡散光を照明光として用いるように構成している。
【0026】
従って、第1の発明に係る照明装置によれば、上記光源45からの照射光及び上記反射板41からの反射光を上記透過拡散材42で透過拡散させてその透過拡散光を照明光として用いる所謂「間接照明方式」であることから、照明範囲の全域が可及的に均等に照明され、例えば、これを直接照明方式とした場合のような照度斑が殆どなく、照度の均一化が促進される。このため、この照明装置を植物育成装置における照明装置として用いた場合には、従来のような離間照明は必要でなく、近接照明が可能になるとともに、植物の生育度合いの均一化が促進され、育成植物の品質向上及び歩留まり率が向上し、延いては植物の育成コストの低減が可能となる。
【0027】
また、「間接照明方式」であって、光源45からの照射光の殆どを植物に照射させることができ、例えば、直接照明方式の場合のように、光源からの照射光の多くが照射目標以外の部位へ拡散される場合に比して、照射効率が高いことから、上記光源45の設置個数を少なくすることができ、該光源45の設置個数が少ない分だけ、照明装置の電力消費を抑えることができ、延いては、該照明装置のランニングコストの低下を図ることができる。
【0028】
(b)本願の第2の発明では、上記(a)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の発明に係る照明装置において、上記光源45を指向性の光源とし、その照射方向を上記特定方向に設定しているので、照射方向を変更する手段を備える必要がなく、それだけ照明装置の構造の簡略化を図ることができ、延いては、該照明装置のイニシャルコストの低減が可能となる。
【0029】
(c)本願の第3の発明では、上記(a)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の発明に係る照明装置において、上記光源45を無指向性の光源とし、その照射光を反射笠44によって上記特定方向に反射させるようにしているので、該光源45そのものが安価であり、且つこの安価な光源45に同じく安価な反射笠44を組合せることで該光源45からの照射光を特定方向に照射させることができ、例えば、指向性をもつ光源を使用する場合に比して、照明装置の低コスト化を図ることができる。
【0030】
(d)本願の第4の発明では、上記(c)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第3の発明に係る照明装置において、上記光源45を直状の蛍光灯で構成しているので、例えば、これを球状形体の蛍光灯で構成する場合に比して、より広い照射範囲を確保できるとともに、上記反射笠44による照射光の指向性確保が容易であり、これらの結果、照明装置の低コスト化が促進される。
【0031】
(e)本願の第5の発明では、上記(a)、(b)、(c)又は(d)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1、第2、第3又は第4の発明に係る照明装置において、上記光源45を透光性の仕切材43によって上記反射板41及び透過拡散材42から隔離するとともに、該仕切板43の上記光源45寄り部位を冷却風通路52としているので、該光源45から発生する熱は冷却風通路52を流れる冷却風によって除去され、透過拡散材42側へ伝達されるのが防止される。
【0032】
また、上記光源45が上記冷却風通路52内に位置していることから、該光源45周辺を冷却風によって冷却してその温度を上記光源45の照射効率が最も高くなる温度に維持することが可能であり、その結果、より少ない電力消費で高い照明効率を実現することができ、延いては照明装置のランニングコストの低減を図ることができる。
【0033】
(f)本願の第6の発明に係る植物育成装置では、上下方向に多段の棚部を設けた育成棚3の上記各棚部のそれぞれに上記第1〜第5の何れか一の発明に係る照明装置4を配置し、該照明装置4の上面側に育成箱等5を載置可能としている。
【0034】
従って、この発明に係る植物育成装置によれば、以下の効果が得られる。
【0035】
(f−1)上記照明装置として上記第1の発明に係る照明装置を採用したものにおいては、該照明装置が間接照明方式であることから、照明範囲の全域が可及的に均等に照明され、照度斑が殆どなく、照度の均一化が促進される。このため、この照明装置での照明により植物の生育度合いの均一化が促進され、育成植物の品質向上及び歩留まり率が向上し、延いては植物育成装置における植物の育成コストの低減が可能となる。
【0036】
上記照明装置による照明が「間接照明方式」であって、光源45からの照射光の殆どを植物に照射させることができ、例えば、直接照明方式の場合のように、光源からの照射光の多くが照射目標以外の部位へ拡散される場合に比して、照射効率が高いことから、上記光源45の設置個数を少なくすることができ、該光源45の設置個数が少ない分だけ、照明装置の電力消費を抑えることができ、延いては、植物育成装置のランニングコストの低下を図ることができる。
【0037】
(f−2)上記照明装置として上記第2の発明に係る照明装置を採用したものにおいては、上記照明装置が、その光源45を、例えば、発光ダイオードとかレーザー光等の指向性の光源とし、その照射方向を上記特定方向に設定することで該特定方向への照射を実現しているので、照射方向を変更する手段を備える必要がなく、それだけ照明装置の構造の簡略化、延いては植物育成装置の構造の簡略化を図りそのイニシャルコストを低減させることが可能となる。
【0038】
(f−3)上記照明装置として上記第3の発明に係る照明装置を採用したものにおいては、上記照明装置が、その光源45を無指向性の光源とし、その照射光を反射笠44によって上記特定方向に反射させるようにしているので、該光源45そのものが安価であり、且つこの安価な光源45に同じく安価な反射笠44を組合せることで該光源45からの照射光を特定方向に照射させることができ、例えば、指向性をもつ光源を使用する場合に比して、照明装置の低コスト化を図ることができ、延いては植物育成装置のイニシャルコストの低減が可能となる。
【0039】
(f−4)上記照明装置として上記第4の発明に係る照明装置を採用したものにおいては、上記照明装置が、その光源45を直状の蛍光灯で構成しているので、例えば、これを球状形体の蛍光灯で構成する場合に比して、より広い照射範囲を確保できるとともに、上記反射笠44による照射光の指向性確保が容易であり、これらの結果、照明装置の低コスト化が促進され、延いては植物育成装置のイニシャルコストの低減が可能となる。
【0040】
(f−5)上記照明装置として上記第5の発明に係る照明装置を採用したものにおいては、上記照明装置が、上記光源45を透光性の仕切材43によって上記反射板41及び透過拡散材42から隔離するとともに、該仕切板43の上記光源45寄り部位を冷却風通路52とした構成であることから、該光源45から発生する熱は冷却風通路52を流れる冷却風によって除去され、透過拡散材42側へ伝達されるのが防止され、照明装置からの発熱や放射熱によって上記育成箱等5に植生された植物、例えば、育苗トレイで育成される成型苗とか接木苗とか挿し木苗、培養容器内で育成されるクローン苗、及びホウレン草とかレタス等の成品作物に葉焼けが生じる事がなく、また、クローン苗等の育成に用いる培養容器への蓄熱の懸念もないので、容器内のクローン苗等が枯死することもない。
【0041】
従って、上記照明装置による近接照明が可能であり、各棚部間の間隔を短く設定できる。この結果、例えば、上記育成棚3の高さを一定とした場合、該育成棚3における棚部の段数を多くしてより多数の育成箱等5を載置することができ、上記育成箱等5の載置数が多い分だけ植物の生産性の高い植物育成装置を提供できるとともに、該植物育成装置内における空間利用度が高くなることから植物育成装置のイニシャルコストの低減が可能となる。
【0042】
さらに、上記照明装置において、上記光源45が上記冷却風通路52内に位置していることから、該光源45部分を冷却風によって冷却してその温度を上記光源45の照射効率が最も高くなる温度に維持することが可能であり、その結果、より少ない電力消費で高い照明効率を実現することができ、延いては植物育成装置のランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
(g)本願の第7の発明では、上記(f)に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第6の発明に係る植物育成装置において、上記各照明装置4側から該照明装置4の下方に配置された上記育成箱等5側に向けて空気を吹出すように構成しているので、この吹出し空気流によって各棚部載置された上記各育成箱等5近傍の温度が均一化され、その結果、上記育成箱等5に植生された植物の生育度合いが均等化され、植物の歩留まり率が向上し、延いては植物育成装置の生産性の向上が期待できる。
【0044】
また、上記吹出し空気に光合成用の炭酸ガスを混入させる場合には、各育成箱等5に植生された植物に対する炭酸ガスの接触度合いが可及的に均一化され、また、培養容器内の光独立栄養成長しているクローン苗においても効果は大きく、植物の生育が促進されるとともに、その生育度合いの均一化が促進され、延いては植物育成装置における生産性が向上することになる。
【0045】
(h)本願の第8の発明では、上記(f)に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第6の発明に係る植物育成装置において、上記照明装置4とその下方側に載置された上記育成箱等5の間隔を変更調整可能に構成しているので、例えば、上記間隔を植物の生育段階に応じて調整することで、生育段階の何れの段階においても、常に最適な照明効率で照明することができ、植物の生育が促進され、植物育成装置における生産性が向上することになる。
【0046】
(i)本願の第9の発明では、上記(f)、(g)又は(h)に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第6、第7又は第8の発明に係る植物育成装置において、上記照明装置4を備えた上記育成棚3を、空調された閉鎖空間を構成する育成庫2内に配置しているので、該育成庫2の庫内空調によって、植物の育成に最適な空間雰囲気を容易に実現することができ、その結果、植物の生育が促進され、植物育成装置の生産性が向上することになる。
【0047】
(j)本願の第10の発明では、上記(i)に記載の効果に加えて、次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第9の発明に係る植物育成装置において、上記照明装置4の上記冷却風通路52に上記育成庫2の庫外空気を導入するとともに、該冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫外へ排出するように構成しているので、上記冷却風通路52への庫外空気の導入と、該冷却風通路52内の空気の庫外への排出を調節することで、上記光源45の周囲温度を該光源45の照射効率が最も高くなるような温度に維持することが可能となり、その結果、上記照明装置の照明効率も向上し、植物育成装置のランニングコストの低減と生産性の向上が期待できる。
【0048】
また、上記冷却風通路52内の温度の高い空気を上記育成庫2の庫外へ排出し、庫内へは還流させない構成であることから、例えば、庫内の冷房が行なわれている場合には、上記空気が庫内へ還流される場合に比して、庫内空調用空調機の電力消費が低減され、それだけ植物育成装置のランニングコストを抑制できる。
【0049】
(k)本願の第11の発明では、上記第10の発明に係る植物育成装置において、上記育成庫2の庫内空気を上記照明装置4の上記冷却風通路52に導入可能とするとともに、上記冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫内へ排出可能に構成しているので、光源45の発熱によって昇温した上記冷却風通路52内の空気を庫内へ排出(即ち、庫内へ導入)してこれを庫内暖房に利用することができ、その結果、この排出熱が負担する暖房負荷分だけ、庫内空調用空調機の電力消費が低減され、それだけ植物育成装置のランニングコストを抑制できる。
【0050】
(l)本願の第12の発明では、上記第11の発明に係る植物育成装置において、上記照明装置4の上記冷却風通路52への庫外空気と庫内空気の選択的な導入と、上記冷却風通路52内の空気の庫外と庫内への選択的な排出を、庫外温度と庫内温度と上記冷却風通路からの排出空気温度に基づいて制御するようにしているので、上記照明装置の照明効率(即ち、光源45の温度制御による照射効率)の管理制御と庫内空調の管理制御を相互に関連させて行なうことができ、無駄の無い温度管理の実現によって、植物育成装置のランニングコストの低減と生産性の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
A:第1の実施形態
図1には、本願発明の第1の実施形態に係る植物育成装置1を示している。この植物育成装置1は、次述する育成棚3に本願発明に係る照明装置4を所定数取り付けるとともに、該育成棚3を、閉鎖空間を構成する育成庫2内に収納配置して構成される。
【0052】
「育成棚3の構成」
上記育成棚3は、矩形の四隅にそれぞれ立設された4本の支柱31〜34を立方枠状に一体化して構成されるものであって、一方の面側に位置する第1支柱31と2支柱32の中間位置には第5支柱35が、また、他方の面側に位置する第3支柱33と第4支柱34の中間位置には第6支柱36が、それぞれ配置されている。さらに、一方側の第1支柱31と他方側の第3支柱33の中間位置には第7支柱37が、一方側の第2支柱32と他方側の第4支柱34の中間位置には第8支柱38が、それぞれ配置されている。
【0053】
上記育成棚3においては、矩形箱状のスペースを、上記各支柱31〜38によって囲まれる4個のスペースに、仮想的に区画している。即ち、上記左右一対の上記第7支柱37と第8支柱38を結ぶ線より手前側で、且つ上記第5支柱35の左右両側に位置する縦長の第1、第2のスペースS1、S2と、上記左右一対の上記第7支柱37と第8支柱38を結ぶ線より奥側で、且つ上記第6支柱36の左右両側に位置する縦長の第3、第4のスペースS3、S4の、4個のスペースに区画している。
【0054】
そして、上記育成棚3においては、上記各スペースS1〜S4にそれぞれ8段の棚を設け、これら各棚に育成箱等5を載置可能とするが、この実施形態では、各スペースS1〜S4の最下段のみに棚板6を設け、それ以外の棚設置部位には次述の照明装置4を配置し、該照明装置4の上面を棚板として利用するようにしている(但し、最上段に配置される照明装置4の上面は、棚板としては利用されない)。
【0055】
尚、上記育成棚3では、後述するように、四隅の第1〜第4支柱31〜34をそれぞれ空気ダクトとして利用するようにしているが、さらにこれに加えて、該育成棚3の左右両側の中間位置に位置する上記第7支柱37,第8支柱38には、それぞれ後述するダクト39、40を付設している。
【0056】
「照明装置4」の構成
上記照明装置4は、図2〜図4にそれぞれ示すように、上記育成棚3の上記スペースS1〜S4の平面形状に対応するような矩形の平面形状をもつ扁平構造体であって、次述する蛍光灯45と反射板41及び透過拡散材42を備えている。
【0057】
上記蛍光灯45(特許請求の範囲中の「光源」に該当する)は、上記照明装置4の前面側に設けられた透光性の仕切板43の手前側において該仕切板43と略平行に横設固定されている。また、この蛍光灯45の外側には、略放物線状の断面形状をもち上記蛍光灯45と略平行に延びる反射笠44が、該蛍光灯45をその内側奥部に位置させるとともに、その開口端を上記仕切板43に対向させた状態で配置されている。
【0058】
さらに、上記反射笠44は、コ字形の断面形状をもつカバー体47に内包された状態で一体化されており、該カバー体47と上記反射笠44は一体的に上記透過拡散材42側に着脱される。
【0059】
そして、図3に示すように、上記蛍光灯45の外側にカバー体47とともに上記反射笠44を配置した状態においては、上記蛍光灯45の外側に、上記反射笠44の内面と上記仕切板43で囲まれた空隙部52が形成され、該蛍光灯45は上記空隙部52の内部に位置することになる。この空隙部52は上記蛍光灯45の長手方向に延びて、特許請求の範囲中の「冷却風通路」を構成するものであり、以下においては「冷却風通路52」という。
【0060】
尚、この照明装置4に設けられた冷却風通路52には冷却風が流されるが、該冷却風通路52の端部構造は、上記スペースS1に設置される照明装置4の冷却風通路52と上記スペースS2に設置される照明装置4の冷却風通路52の間、及び上記スペースS3に設置される照明装置4の冷却風通路52と上記スペースS4に設置される照明装置4の冷却風通路52の間では、それぞれ反対勝手の構造とされている。
【0061】
即ち、図1に示すように、例えば、スペースS1側の照明装置4の冷却風通路52の右端と、スペースS2側の照明装置4の冷却風通路52の左端とは、相互に連通する構造となっている。
【0062】
そして、図1及び図5に示すように、上記スペースS1側の照明装置4の冷却風通路52の左端部分は、上記第1支柱31の前面に開口状態で臨むが、この開口に対応するように上記第1支柱31の前面には通孔21が形成されており、該通孔21を介して上記冷却風通路52と上記第1支柱31の内部空間が連通している。
【0063】
また、図1及び図6に示すように、上記スペースS2側の照明装置4の冷却風通路52の右端部分は、上記第2支柱32の前面に開口状態で臨むが、この開口に対応するように上記第2支柱32の前面には通孔21が形成されており、該通孔21を介して上記冷却風通路52と上記第2支柱32の内部空間が連通している。
【0064】
尚、上記スペースS3側の照明装置4と上記スペースS4側の照明装置4の間においても同様な構造となっている。
【0065】
従って、後述するように、上記第1支柱31の内部に冷却風A1が供給されると、この冷却風A1は、上記第1支柱31側から上記通孔21を通ってスペースS1側の照明装置4の冷却風通路52に導入された後、該冷却風通路52を、スペースS2側の照明装置4の冷却風通路52に向けて流れ、さらに該冷却風通路52から上記通孔21を通って上記第2支柱32の内部に流れる。そして、この冷却風A1が上記冷却風通路52内を流れる間に上記蛍光灯45を冷却する。従って、この冷却風A1は、上記蛍光灯45の周辺空気との間で熱交換し、昇温状態で上記冷却風通路52から排出されることになる。この冷却風通路52は後述する冷却風循環系を構成する。
【0066】
一方、上記蛍光灯45から照射された照射光R1は、その一部は直接上記仕切板43を透光して、他の一部は上記反射笠44の内面で反射された後に上記仕切板43を透光して、それぞれ該仕切板43の前方側(即ち、次述する上記反射板41側)へ照射される。
【0067】
上記反射板41は、例えば、樹脂板、金属板等の薄板の表面にメッキを施すとか反射性の良い反射フィルムを貼設して構成されるものであって、多段階に折曲した形態をもち、その前後方向の一端は上記仕切板43の上縁位置に、他端は上記照明装置4の奥側に設けられた隔壁材50の下端部に、それぞれ接続固定されている。
【0068】
また、上記反射板41の下方側には、該反射板41の反射面に対向するようにして、例えば、梨地の透明フィルム、アクリル板等でなる透過拡散材42が配置されており、該透過拡散材42の一端は上記仕切板43の下端側に、他端は上記隔壁材50の下端側に、それぞれ固定されている。
【0069】
従って、上記仕切板43の前方に上記反射板41と透過拡散材42を取付けた状態においては、これら三者で囲まれた扁平な中空室51が形成される。そして、上記蛍光灯45から照射され、上記仕切板43を透光して上記中空室51側へ入射した照射光R1は、その一部は直接に上記透過拡散材42に入射しここで透過拡散されて、他の一部は上記反射板41の反射面で反射した後に、又は該反射板41の反射面と上記透過拡散材42で交互に反射を繰り返した後に、それぞれ上記透過拡散材42に入射しここで透過拡散されて、該透過拡散材42から下方へ向けて照明光R2として照射され所要の照明を行なう。
【0070】
一方、上記反射板41の上側には、上記透過拡散材42と略平行に延びて上記照明装置4の上面を構成する天板材46が配置されており、該天板材46と上記反射板41と上記隔壁材50の間には扁平な上側中空室53が形成されている。そして、この天板材46は、育成箱等5を載置するための棚板として利用される。
【0071】
尚、この実施形態では、上記天板材46上に直接上記育成箱等5を載置するようにしているが、例えば、図2において鎖線図示(符号5´ 参照)するように、上記育成箱等5の載置高さ(上記照明装置4の天板材46からの高さ)を増減調整可能とすることもできる。この育成箱等5の高さ調整手段としては、例えば、ジャッキ式昇降台を用い、これを上記照明装置4の上面側に設置し、該昇降台上に上記育成箱等5を載置する手法とか、上記育成棚3に対する上記照明装置4の取付けを上下方向に相対移動可能に構成して、該照明装置4の昇降移動によって上記間隔の調整を行なうように構成するなど、種々の手法が採用できる。
【0072】
さらに、図2及び図4に示すように、上記照明装置4の奥部には、上記隔壁材50とこれに対向する奥壁材49の間には、縦長の断面形状をもち、上記照明装置4の幅方向に延びる空隙部54が形成されている。この空隙部54は、その下端に設けられ且つ照明装置4の幅方向に延びるスリット状の空気吹出口55を介して該照明装置4の下面側に開口している。さらに、上記隔壁材50の上部側には通孔22が上記照明装置4の幅方向に所定間隔で多数形成されており、該各通孔22を介して、上記空気吹出口55は上記上側中空室53に連通している。また、上記上側中空室53の側壁部分には、通孔23が設けられている。
【0073】
上記通孔23は、上記育成棚3のスペースS1に配置される照明装置4とスペースS2に配置される照明装置4の間において、及びスペースS3に配置される照明装置4とスペースS4に配置される照明装置4の間においては、その形成位置が反対勝手に設定されている。即ち、上記育成棚3の上記第7支柱37に付設されたダクト39と第8支柱38に付設されたダクト40のそれぞれ対向する側の面に形成されている。そして、図7に示すように、上記各ダクト39,40には、これに対向する照明装置4の上記通孔23に対応する位置に左右一対の通孔24,24を形成している。
【0074】
従って、後述するように、上記ダクト39及びダクト40に空気A2が供給されると、この空気A2は、該各ダクト39,40から上記各通孔24及び上記照明装置4側の上記通孔23を通って、該照明装置4の上記通孔22から上記空隙部54に流入し、該空隙部54の下端に設けられた上記空気吹出口55から下方へ向けて吹出される。これら各ダクト39、ダクト40によって、後述する育成用空気循環系が構成される。
【0075】
「育成棚3への照明装置4の組付け」
上述のように構成された上記照明装置4は、上記育成棚3の各スペースS1〜S4に、それぞれ上下方向に所定の間隔をもって取付けられる。この実施形態では、後述するように、上記照明装置4が間接照明方式で、且つ蛍光灯45からの照射熱を庫外放散させる、等の構成であることを考慮して、各段の間隔を従来構造のもの(図9参照)よりも小さくして、8段構成としている。即ち、図1に示すように上記各スペースS1〜S4にそれぞれ、最下段に棚板6を設けるとともに、該棚板6の上側に所定間隔で上記照明装置4を8段に組付けている。
【0076】
そして、上記棚板6の他に、上記各段の照明装置4の上面を構成する上記天板材46をそれぞれ育成箱等5を載置する棚板に利用している(換言すれば、本来棚板となるべき上記天板材46を上記照明装置4側に一体的に組み込んでいる)。この実施形態では、上記棚板6及び上記照明装置4上に、それぞれ上記育成箱等5を3個並置できるように構成しているが、この育成箱等5の載置個数は限定されるものではなく、育成箱等5の種類とか形状寸法等に応じて適宜設定できるものである。この育成箱等5には、植物の苗が所定本数ずつ植生されている。
【0077】
尚、ここでは植生苗を用いた場合を想定しているが、これに代えて、例えば、一般的な培養容器内で育成されているクローン苗は勿論のこと、ガス透過性フィルム素材からなる培養容器を用いた炭酸ガス施用による光独立栄養成長するクローン苗の育成にも使用できることは勿論である。さらに、これら苗の育成のみならず、例えば、レタス、ホウレン草等の葉菜類の成品作物の栽培や植物工場、その他の光を要求する全ての植物の栽培に使用できるものである。
【0078】
この場合、上記育成棚3への上記照明装置4の組付け時に、該各照明装置4の上記冷却風通路52が上記第1支柱31又は第2支柱32の内部に、上記第3支柱33又は第4支柱34の内部に、それぞれ選択的に連通されるとともに、上記各照明装置4の上記通孔23が上記ダクト39又はダクト40の通孔24にそれぞれ連通される。
【0079】
このように、上記育成棚3に上記照明装置4を組付けた状態で、これを上記育成庫2内に設置することで、上記植物育成装置1が構成される。尚、上記育成庫2内には、庫内空調用の空調機84が備えられている。
【0080】
「空気循環系の構成」
上述のように、この実施形態の植物育成装置1では、上記育成棚3の上記各支柱31〜34を空気ダクトとして利用するとともに、専用の上記各ダクト39,40を備えて空気循環系を構成している。ここで、これらの部材を用いた冷却風循環系と育成用空気循環系についてそれぞれ説明する。
【0081】
「冷却風循環系の説明」
冷却風循環系は、図1に示すように、上記育成棚3の上記第1支柱31と第3支柱33
を庫外に連通させる空気導入路71と、上記第2支柱32と第4支柱34を庫外に連通させる空気導出路73を備える。そして、上記空気導入路71には、庫外空気を吸入して上記第1、第3支柱31、32に供給するファン61が備えられるとともに、上記ファン61の上流側には第1ダンパー63が備えられる。さらに、上記第1ダンパー63とファン61の間から分岐して上記育成庫2の庫内に開口する分岐路72には、第2ダンパー64が備えられている。
【0082】
一方、上記空気導出路73には、第3ダンパー65が備えられるとともに、該第3ダンパー65の上流側から分岐して上記育成庫2の庫内に開口する分岐路74には第4ダンパー66が備えられている。
【0083】
そして、この冷却風循環系では、上記各ダンパー63〜66の開閉制御、及び上記ファン61の送風量制御を行なう。この冷却風循環系の制御の内容を、図8に示す上記植物育成装置1を概念的に示した系統図に基づいて具体的に説明する。
【0084】
図8において、上記空気導出路73に上記冷却風通路52からの排出空気の温度を検出する第1温度センサ81を設ける一方、上記育成庫2の庫外には庫外空気温度を検出する第2温度センサ82を、上記育成庫2の庫内には庫内空気温度を検出する第3温度センサ83を、それぞれ設けている。
【0085】
さらに、制御用の目標温度として、庫内目標温度と冷却風通路内目標温度を予め設定している。この場合、蛍光灯45として、例えば、高周波点灯専用蛍光灯(Hf蛍光灯。周囲温度35℃のとき最大全光束)を使用した場合を考えると、該蛍光灯45の照射照明効率が最大となるのは周囲温度が35℃程度のときであるため、冷却風通路内目標温度を「35℃」に設定している。また、一般的に植物の育成に好適な雰囲気温度は25℃程度とされるので、庫内目標温度を「25℃」に設定している。
【0086】
因みに、高周波点灯専用蛍光灯(Hf蛍光灯)の場合、最高照射効率は該蛍光灯45の周囲温度が35℃において得られるので、該周囲温度を35℃近辺に維持するための蛍光灯冷却用空気としては、温度30℃程度までの外気を用いることができ、従って、日本の場合、殆どの地域で年間を通じて外気による冷却が可能である。
【0087】
具体的な制御は次の通りである。
【0088】
「庫内冷房時の制御」
この制御は、庫内冷房時(即ち、育成庫2の庫内を庫内目標温度「25℃」で冷房している時)において、庫外空気によって蛍光灯45の周囲を冷却できる温度条件下においては、該蛍光灯45を庫外空気で冷却して該蛍光灯45の高い照射効率を確保するため、及び熱を庫外へ排出するための制御である。
【0089】
即ち、庫外温度と冷却風通路内目標温度の温度差が、庫外空気によって蛍光灯45の周囲を冷却し得るような温度差である場合、例えば、冷却風通路内目標温度よりも庫外温度が5℃以上低い場合には、第1ダンパー63と第3ダンパー65を開とし、第2ダンパー64と第4ダンパー66を閉とし、この状態で上記ファン61を運転する。
【0090】
すると、庫外空気が上記各照明装置4の冷却風通路52内に導入され、この庫外空気によって上記蛍光灯45の周囲が冷却される。また、この冷却風通路52における熱交換によって昇温した空気は、そのまま庫外へ排出される。これによって、空調機84による庫内冷房に支障を及ぼすことなく、上記蛍光灯45の周辺温度を下げることができるものである。
【0091】
さらに、この場合、上記蛍光灯45の周辺温度は、該蛍光灯45の照射照明効率を考慮すれば、上記冷却風通路内目標温度の「35℃」程度に維持することが必要であり、そのため、例えば、上記ファン61の回転数制御によって上記冷却風通路52への庫外空気の供給量を調整するようにしている。
【0092】
一方、庫内冷房時において、庫外温度と冷却風通路内目標温度の温度差が5℃以下であって、庫外空気による蛍光灯周辺の冷却作用が期待できないか、冷却作用が小さい場合には、第1ダンパー63と第3ダンパー65を閉とし、第2ダンパー64と第4ダンパー66を開とし、この状態で上記ファン61を運転する。
【0093】
すると、庫内空気(即ち、25℃程度に温度調整された空気)が上記各照明装置4の冷却風通路52内に導入され、この庫内空気によって上記蛍光灯45の周囲が冷却される。また、この冷却風通路52における熱交換によって昇温した空気は、再び庫内へ戻される。これによって、庫外温度が高くてもこれに影響されることなく、空調機84による庫内冷房と上記蛍光灯45の周辺の冷却とを同時に実現できる。
【0094】
尚、この場合も、上記ファン61の回転数制御によって上記冷却風通路52への庫外空気の供給量を調整することで、上記蛍光灯45の周辺温度を上記冷却風通路内目標温度の「35℃」程度に維持することは上記場合と同様である。
【0095】
「庫内暖房時の制御」
この制御は、庫内暖房の必要時において、上記照明装置4の蛍光灯周辺の冷却によって昇温した高温空気を庫内暖房に利用することで、上記蛍光灯45の照射効率の適正維持と、上記空調機84の暖房負荷を無くし、或いは軽減させるための制御である。
【0096】
即ち、庫内空気が庫内目標温度を下回った場合、第1ダンパー63と第3ダンパー65を閉とし、第2ダンパー64と第4ダンパー66を開とし、この状態で上記ファン61を運転する。
【0097】
すると、冷却風通路内目標温度よりも低温の庫内空気が上記各照明装置4の冷却風通路52内に導入され、この庫内空気によって上記蛍光灯45の周囲が冷却される。また、この冷却風通路52における熱交換によって昇温した空気は、これを再び庫内へ還流させることで庫内の暖房が行なわれる。上記空調機84の暖房運転は、庫内への還流空気による暖房によって目標温度まで上昇させることができない場合においてのみ行なわれる。
【0098】
尚、この場合も、上記ファン61の回転数制御によって上記冷却風通路52への庫外空気の供給量を調整することで、上記蛍光灯45の周辺温度を上記冷却風通路内目標温度の「35℃」程度に維持することは上記場合と同様である。
【0099】
「育成用空気循環系の説明」
育成用空気循環系は、図1に示すように、上記育成棚3の左右一対の上記ダクト39、40を用いて行なわれるものであって、これら各ダクト39、40を庫内外の空気源に連通させる空気導入路75にはファン62が備えられている。そして、この空気導入路75から上記各ダクト39、40に空気(この実施形態では、炭酸ガスが1000〜3000ppm程度混入された混合空気を用いる)を供給すると、この空気は、図2、図4及び図7に示すように、該各ダクト39,40から、これに設けた上記各通孔24及び上記照明装置4側の上記通孔23を通って、該照明装置4の上記通孔22から上記空隙部54に流入し、該空隙部54の下端に設けられた上記空気吹出口55から下方へ向けて吹出され、下段側の照明装置4の上面上に載置された各育成箱等5側に順次流れ、該各育成箱等5の周辺温度の均一化が促進される。また、この吹出し空気に含まれた炭酸ガスが上記育成箱等5に植生された植物に光合成能を高めるように効果的に且つ万遍に接触されることで該植物の光合成が促進される。これらの相乗効果として、上記育成箱等5に植生された植物の生育が促進されるとともにその生育度合いが均一化され、植物の生産性が高められることになる。
【0100】
尚、この実施形態に示した育成用空気循環系では、上記育成棚3全体を一括して空気循環させる構成としているが、本願発明の他の実施形態においては、例えば、上記各照明装置4においてその後端側に位置する上記隔壁材50部分に小型のファンを取り付けて、各照明装置4のそれぞれにおいて育成用空気循環系を構成することもできる。係る構成とした場合には、上記各ダクト39,40及びファン62の設置が不要となり、装置全体のコンパクト化が促進される。
【0101】
「植物育成装置1の使用形態等」
ここで、上述の空気循環系等の説明を踏まえた上で、上記植物育成装置1を実際に使用して植物の育成を行なう場合について説明する。
【0102】
上記植物育成装置1を使用して植物の育成を行なう場合には、図1に示すように、上記育成棚3の各棚のそれぞれに、植物の苗を適数本ずつ植生した育成箱等5を所定個数ずつ載置する。そして、上記各棚を構成する上記照明装置4の蛍光灯45を点灯させて該照明装置4の下側に載置された育成箱等5に対して照明を行なって植物の光合成を促進させその生育を促す。また、上記ファン61及びファン62を運転し、上記蛍光灯45の冷却を行なってその照射効率を高め植物の生育促進を図るとともに、庫内空調の省エネルギー性を促進させる。さらに、上記各育成箱等5に対して上記照明装置4側から空気を吹出させて植物の周辺温度の均一化等によってその生育促進を図る。また、必要に応じて、上記育成庫2の庫内冷房或いは庫内暖房を行なって、庫内温度を植物の生育に最適な温度に維持させる。これらの各作用が相乗的に働くことで、生産性が高く且つ低いランニングコストでの植物育成が実現されるものである。
【0103】
さらに、これを具体的に説明する。
【0104】
(イ)この実施形態では、図2〜図4に示すように、上記照明装置4が、上記蛍光灯45と該蛍光灯45の照射光に指向性をもたせる反射笠44と該蛍光灯45からの照射光を下方側へ反射させる反射板41と、上記蛍光灯45からの照射光及び上記反射板41からの反射光を透過拡散させる透過拡散材42を備えて構成される間接照明方式の照明装置であって、しかも上記蛍光灯45側と上記反射板41及び透過拡散材42側とを仕切板43によって隔離するとともに、上記蛍光灯45の周辺温度を冷却風通路52に供給される冷却風で冷却する構成とされている。
【0105】
そして、上記蛍光灯45から照射された照射光R1は、その一部は直接上記仕切板43を透光して、他の一部は上記反射笠44の内面で反射された後に上記仕切板43を透光して、それぞれ該仕切板43の前方にある上記反射板41側へ照射される。上記反射板41側に照射された照射光R1は、その一部は直接に上記透過拡散材42に入射しここで透過拡散されて、他の一部は上記反射板41の反射面で反射した後に、又は該反射板41の反射面と上記透過拡散材42で交互に反射を繰り返した後に、それぞれ上記透過拡散材42に入射しここで透過拡散されて、該透過拡散材42から下方へ向けて照明光R2として照射され所要の照明を行なう。
【0106】
従って、上記植物育成装置1においては、以下のような特有の作用効果が得られる。
【0107】
即ち、上記照明装置4が間接照明方式の照明装置であることから、照明範囲の全域が可及的に均等に照明され、例えば、これを直接照明方式とした場合のような照度斑が殆どなく、また、蛍光灯45の発生熱や放射熱による植物の葉焼けやクローン苗の枯死、さらに葉面温度上昇による光合成の低下や照度斑による光合成不均一などの心配がなく植物に対して近接照明ができ、これらの相乗効果として、より高い照明効率が確保される。この結果、この照明装置4を植物育成装置1における照明装置として用いることで、植物の生育度合いの均一化が促進され、育成植物の歩留まり率が向上し、且つ棚間の距離が短くなることによる栽植本数の増加等によって、植物の育成コストの低減が可能となる。
【0108】
また、上記照明装置4が間接照明方式であって光源45からの照射光の殆どを植物に照射させることができ、例えば、直接照明方式の場合のように、蛍光灯からの照射光の多くが照射目標以外の部位へ拡散される場合に比して、照射効率が高いことから、上記蛍光灯45の設置個数を少なくすることができ、該蛍光灯45の設置個数が少ない分だけ、照明装置4の電力消費を抑えることができ、延いては、上記植物育成装置1のランニングコストの低下を図ることができる。
【0109】
(ロ)上記実施形態では、上記照明装置4において、上記蛍光灯45を透光性の仕切材43によって上記反射板41及び透過拡散材42から隔離するとともに、該仕切板43の上記光源45寄り部位を冷却風通路52としているので、該蛍光灯45から発生する熱は冷却風通路52を流れる冷却風によって除去され、透過拡散材42側へ伝達されるのが防止され、照明装置4からの熱によって上記育成箱等5に植生された植物に葉焼けやクローン苗の枯死、さらに葉面温度上昇による光合成の低下や照度斑による光合成不均一などが生じる事が無く、従って、上記照明装置4による近接照明が可能であり、各棚部間の間隔を短く設定できる。この結果、例えば、上記育成棚3の高さを一定とした場合、該育成棚3における棚部の段数を多くしてより多数の育成箱等5を載置することができ、上記育成箱等5の載置数が多い分だけ植物の生産性の高い植物育成装置1を提供できるとともに、該植物育成装置1内における空間利用度が高くなることから、単位空間当りの生産性の向上が実現でき、植物育成装置1のイニシャルコストの低減が可能となる。
【0110】
(ハ)上記照明装置4において、上記蛍光灯45が上記冷却風通路52内に位置していることから、該蛍光灯45部分を冷却風によって冷却してその温度を上記蛍光灯45の照射効率が最も高くなる温度に維持することが可能であり、その結果、より少ない電力消費で高い照明効率を実現することができ、延いては植物育成装置1のランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0111】
(ニ)上記実施形態では、上記各照明装置4側から該照明装置4の下方に配置された上記育成箱等5側に向けて空気を吹出すように構成しているので、この吹出し空気流によって各棚部載置された上記各育成箱等5近傍の温度が均一化され、その結果、上記育成箱等5に植生された植物の生育度合いが均等化され、植物の歩留まり率が向上し、延いては植物育成装置1の生産性の向上が期待できる。
【0112】
さらに、この場合、上記吹出し空気に光合成用の炭酸ガスを混入させているので、各育成箱等5に植生された植物に対する炭酸ガスの接触度合いが可及的に均一化され、該植物の生育が促進されるとともに、その生育度合いの均一化が促進され、延いては植物育成装置1における生産性が向上することになる。
【0113】
(ホ)上記照明装置4とその下方側に載置された上記育成箱等5の間隔を変更調整可能に構成しているので、例えば、上記間隔を植物の生育段階に応じて調整することで、生育段階の何れの段階においても、常に最適な照明効率で照明することができ、植物の生育が促進され、植物育成装置1における生産性が向上することになる。
【0114】
(ヘ)上記照明装置4の上記冷却風通路52に上記育成庫2の庫外空気を導入するとともに、該冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫外へ排出するように構成しているので、上記冷却風通路52への庫外空気の導入と、該冷却風通路52内の空気の庫外への排出を調節することで、上記蛍光灯45の周囲温度を該蛍光灯45の照射効率が最も高くなるような温度に維持することが可能となり、その結果、上記照明装置4の照明効率が向上する上に、蛍光灯からの発生熱を外気で冷却するなど電力消費の大幅な低減が可能となり、植物育成装置1のランニングコストの低減と生産性の向上が期待できる。
【0115】
また、上記育成庫2の庫内空気を上記照明装置4の上記冷却風通路52に導入可能とするとともに、上記冷却風通路52内の空気を上記育成庫2の庫内へ排出可能に構成しているので、蛍光灯45の発熱によって昇温した上記冷却風通路52内の空気を庫内へ排出(即ち、庫内へ導入)してこれを庫内暖房に利用することができ、その結果、この排出熱による暖房負荷分だけ、庫内空調用空調機の電力消費が低減され、それだけ植物育成装置1のランニングコストを抑制できる。
【0116】
さらに、上記照明装置4の上記冷却風通路52への庫外空気と庫内空気の選択的な導入と、上記冷却風通路52内の空気の庫外と庫内への選択的な排出を、庫外温度と庫内温度と上記冷却風通路からの排出空気温度に基づいて制御するようにしているので、大幅な電力消費の削減につながり、植物育成装置1のランニングコストの低減と生産性の向上が期待できる。
【0117】
尚、上記実施形態では、上記育成棚3における棚の段数を8段としているが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、必要に応じて任意に変更設定できるものである。
【0118】
また、上記実施形態に係る植物育成装置1では、上記育成棚3を上記育成庫2内に設置し、且つ上記育成棚3の周囲はこれを該育成庫2内に開放させ、該育成棚3部分のみならず、上記育成庫2内の全体を空調するようにしているが、本願発明の他の実施形態においては、例えば、上記育成棚3の各棚の周囲をそれぞれ垂れ幕状のシート材で囲み、該シート材の内部側の植物育成用空間部分のみを空調するように構成することもでき、係る構成とした場合には、空調負荷が減少する分だけ、空調用電力消費量の更なる低減が可能となる。
【0119】
さらに、上記の如く上記育成棚3の各棚の周囲をそれぞれ垂れ幕状のシート材で囲む場合において、上記シート材の内側面を、例えば、アルミ蒸着フィルム等の反射性の高いフィルムを使用すれば、上記照明装置4からの光が該反射面で棚の内部側へ反射されることから、棚から外側へ漏れる光の量が殆ど無くなり、その分だけ上記照明装置4の照明効率が向上し、照明用電力消費量の更なる低減が可能となる。
B:第2の実施形態
図9には、本願発明の第2の実施形態に係る植物育成装置1を示している。この植物育成装置1は、上記第1の実施形態に係る植物育成装置1と基本構成を同じにするものであって、これと異なる点は、上記育成箱等5の構成である。即ち、上記第1の実施形態に係る植物育成装置1においては、上記照明装置4の上面を構成する天板材46を、育成箱等5を載置するための棚板として利用するものとし、該天板材46上に、比較的小さな奥行きの長いトレイ状に形成された育成箱等5を所定個数(第1の実施形態では三個)ずつ載置するように構成していたのに対して、この実施形態では図9に示すように、上記育成箱等5を、上記育成棚3の上記各スペースS1〜S4の平面形体に対応するような大きさをもつトレイ状に形成し、且つ該育成箱等5を上記照明装置4の上記天板材46上に、上記育成棚3の奥行き方向へ出し入れ可能な引出状に構成し、必要に応じて、上記育成箱等5を上記天板材46側から手前側へ引き出したり、奥側へ押し入れたりすることができるようにしている。そして、この育成箱等5上に、植物を植生した苗ポット90を所定個数載置するようにしている。
【0120】
尚、他の実施形態においては、上記苗ポット90に代えて、例えば、培養容器、水耕栽培用パネル等を載置することもできる。また、上記育成箱等5は、上記育成棚3側に設けたローラ(図示省略)によって、小さな操作力で軽快に出し入れできるようにされている。
【0121】
係る構成とすることで、特にこの発明の植物育成装置1のように、近接照明を採用したことで上下に隣接する照明装置4間の距離が狭く、上記育成箱等5を上記照明装置4上に設置したままでは該育成箱等5における植物の生育状態等を目視によって確認することが難しいような場合でも、該育成箱等5を上記照明装置4の前面よりも手前側へ引き出すことで、該育成箱等5上に載置された苗ポット90に植生された植物の生育状態等を目視によって容易に確認することができ、極めて便利である。
【0122】
尚、上記以外の各部材の構成及びその作用効果は上記第1の実施形態の植物育成装置1の場合と同様であるので、図9の各部材に、図1の各部材に対応させて同一の符号を付して該第1の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
C:第3の実施形態
図10には、本願発明の第3の実施形態に係る植物育成装置1を示している。この植物育成装置1は、上記第1の実施形態に係る植物育成装置1の展開例として位置付けられるものであって、上記育成棚3は、手前側で横に並ぶ4個のスペースS1〜S4と、奥側で横に並ぶ4個のスペースS5〜S8の合計8個のスペースを多段に配置するとともに、これら各スペースS1〜S8のそれぞれに対応するように上記照明装置4を配置して構成される。
【0123】
そして、上記育成棚3の各段のそれぞれには、当該段における各スペースS1〜S8の全域に跨るような横長矩形の平面形体をもつトレイ状の育成箱等5を、該各スペースS1〜S8のそれぞれに配置された上記各照明装置4上に、固定的に又は着脱自在に、載置している。従って、上記育成棚3の全域に跨って載置された上記育成箱等5は、その上側に配置された上記各照明装置4によって照明されることになる。
【0124】
上記育成箱等5は、水耕栽培容器として用いられるものであって、該育成箱等5の内部には、常時、水耕栽培用の養液が所定量満たされる。そして、この育成箱等5の養液には、例えば、発泡スチロールによって短冊状形体をもつように形成された水耕ベッド91が、上記育成箱等5の長手方向の一端側から他端側へ向けて一列に所定数だけ浮かべられている。この水耕ベッド91には、その厚さ方向に貫通する所定径の植生穴92が、該水耕ベッド91の長手方向に所定間隔で形成されている。また、これらの各植生穴92には、スポンジ等からなる植生床が詰められており、上記水耕ベッド91が上記養液上に浮かべられていることで、該植生床には常時養液が浸潤されることになる。
【0125】
このような育成箱等5を備えた植物育成装置1においては、例えば、上記育成棚3の長手方向の一端側から、上記植生床に苗を植生し又は種を播いた上記水耕ベッド91を上記育成箱等5の養液内に順次投入し、これを順送りに長手方向の他端側へ浮かせて移動させることで、該育成棚3の一端側での作業のみによって苗の植生又は播種を行なうことができ、また、植物が成長した後は、上記育成棚3の長手方向の一端側から、上記育成箱等5の養液内に浮かべられた上記水耕ベッド91を順次手前側へ引き寄せることで、該育成棚3の一端側での作業のみによって生育した植物の収穫を行なうことができ、この結果、水耕栽培における栽培作業の軽労力化、効率化が促進される。
【0126】
また、例えば、その長手方向の一端側から、上記植生床に苗を植生し又は種を播いた上記水耕ベッド91を上記育成箱等5の養液内に投入する際、その投入作業の時間的な間隔を、植物の生育期間に対応した間隔に設定すると、後から投入される上記水耕ベッド91によって、先に投入された水耕ベッド91が順次所定の時間をもって間欠的に該育成箱等5の他端側へ順次浮動され、その水耕ベッド91が他端側へ到達した時点で植物が収穫可能な状態まで成長し、該他端側において上記育成箱等5から成長した植物を取り出して収穫することも可能となる。従って、係る場合には、上記育成棚3の長手方向の一端側からは上記水耕ベッド91の投入のみ行い、他端側では成長した植物の収穫のみを行なえば良く、その結果、水耕栽培における栽培作業の軽労力化、効率化が促進される。
【0127】
尚、上記以外の各部材の構成及びその作用効果は上記第1の実施形態の植物育成装置1の場合と同様であるので、図10の各部材に、図1の各部材に対応させて同一の符号を付して該第1の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本願発明の第1の実施形態に係る照明装置を備えた植物育成装置の全体斜視図である。
【図2】図1に示した照明装置の拡大断面図である。
【図3】図2のIII部の拡大図である。
【図4】図2のIV部の拡大図である。
【図5】図1のV部の拡大図である。
【図6】図1のVI部の拡大図である。
【図7】図1のVII部の拡大図である。
【図8】空気循環系の経路図である。
【図9】本願発明の第2の実施形態に係る照明装置を備えた植物育成装置の全体斜視図である。
【図10】本願発明の第3の実施形態に係る照明装置を備えた植物育成装置の全体斜視図である。
【図11】従来の植物育成装置の概念構造図である。
【符号の説明】
【0129】
1 ・・植物育成装置
2 ・・育成庫
3 ・・育成棚
4 ・・照明装置
5 ・・育成箱等
6 ・・棚板
21 ・・通孔
22 ・・通孔
23 ・・通孔
24 ・・通孔
31 ・・第1支柱
32 ・・第2支柱
33 ・・第3支柱
34 ・・第4支柱
35 ・・第5支柱
36 ・・第6支柱
37 ・・第7支柱
38 ・・第8支柱
39 ・・ダクト
40 ・・ダクト
41 ・・反射板
42 ・・透過拡散材
43 ・・仕切板
44 ・・反射笠
45 ・・蛍光灯(光源)
46 ・・天板材
47 ・・カバー体
48 ・・補強材
49 ・・奥壁材
50 ・・隔壁材
51 ・・中空室
52 ・・空隙部(冷却風通路)
53 ・・上側中空室
54 ・・空隙部
55 ・・空気吹出口
61 ・・ファン
62 ・・ファン
63 ・・第1ダンパー
64 ・・第2ダンパー
65 ・・第3ダンパー
66 ・・第4ダンパー
71 ・・空気導入路
72 ・・分岐路
73 ・・空気導出路
74 ・・分岐路
75 ・・空気導入路
81 ・・第1温度センサ
82 ・・第2温度センサ
83 ・・第3温度センサ
84 ・・空調機
90 ・・苗ポット
91 ・・水耕ベッド
92 ・・植生穴
93 ・・養液
A1 ・・空気流
A2 ・・空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に光を照射する光源(45)と、該光源(45)の照射方向前方側に配置され該光源(45)からの照射光を反射させる反射板(41)と、上記反射板(41)に対向するように配置され上記光源(45)からの照射光及び上記反射板(41)からの反射光を透過拡散させる透過拡散材(42)を備え、該透過拡散材(42)からの透過拡散光を照明光として用いるように構成したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記光源(45)が指向性をもつ光源であって、その照射方向が上記特定方向に設定された構成であることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記光源(45)が無指向性の光源であって、その照射光が反射笠(44)によって上記特定方向に反射される構成であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記光源(45)が直状の蛍光灯であることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4において、
上記光源(45)が透光性の仕切材(43)によって上記反射板(41)及び透過拡散材(42)から隔離されるとともに、該仕切板(43)の上記光源(45)寄り部位が冷却風通路(52)とされていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
上下方向に多段の棚部を設けた育成棚(3)の上記各棚部のそれぞれに請求項1〜5の何れか一に記載の照明装置(4)を配置し、該照明装置(4)の上面側に育成箱等(5)を載置可能として構成されたことを特徴とする植物育成装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記各照明装置(4)側から該照明装置(4)の下方に配置された上記育成箱等(5)側に向けて空気を吹出すように構成されたことを特徴とする植物育成装置。
【請求項8】
請求項6において、
上記照明装置(4)とその下方側に載置された上記育成箱等(5)の間隔が変更調整可能に構成されていることを特徴とする植物育成装置。
【請求項9】
請求項6,7又は8において、
上記照明装置(4)が備えられた上記育成棚(3)が、空調された閉鎖空間を構成する育成庫(2)内に配置されていることを特徴とする植物育成装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記照明装置(4)の上記冷却風通路(52)に上記育成庫(2)の庫外空気を導入するとともに、該冷却風通路(52)内の空気を上記育成庫(2)の庫外へ排出するように構成されたことを特徴とする植物育成装置。
【請求項11】
請求項10において、
上記育成庫(2)の庫内空気を上記照明装置(4)の上記冷却風通路(52)に導入可能とするとともに、上記冷却風通路(52)内の空気を上記育成庫(2)の庫内へ排出可能に構成したことを特徴とする植物育成装置。
【請求項12】
請求項11において、
上記照明装置(4)の上記冷却風通路(52)への庫外空気と庫内空気の選択的な導入と、上記冷却風通路(52)内の空気の庫外と庫内への選択的な排出を、庫外温度と庫内温度と上記冷却風通路からの排出空気温度に基づいて制御することを特徴とする植物育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−294595(P2006−294595A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50153(P2006−50153)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(391040973)徳寿工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】