説明

照明装置

【課題】放電ランプの用途を拡大させる。
【解決手段】放電ランプが収容される収容部52と、収容部52を着脱可能な脚部56を有する三脚とを備える照明装置に対して、収容部52は、収容部52本体を脚部56に対して着脱する際に把持する筒状の把持部200と、把持部200内に形成される雄ネジ部220とを有し、脚部56は、雄ネジ部220に螺合する雌ネジ部57が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、特に、高圧ガス放電ランプ(HID (high intensity discharge)ランプまたはUHP(ultra high performance)ランプ)などの放電ランプを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、電源装置を着脱自在に搭載可能な台車と、該台車を移動時に押し引きするための左右一対のハンドルと、上記台車に取付けられた伸縮可能な昇降式の支柱と、該支柱に取付けられた投光用照明ランプとを備えたものにおいて、上記一対のハンドルは上記台車から立設される棒状の支持部を備え、該ハンドルを地面まで倒し接地状態で固定することにより、上記台車の安定支持部を形成することを特徴とする移動式照明装置が開示されている。
【0003】
この照明装置は、屋外の夜間工事等で使用される、安定性と機動性の高いしかも簡単な照明装置であるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−216502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の照明装置は、ハロゲンランプのように、輝度が相対的に低いランプを用いていた。このため、従来の照明装置は、ランプの数を多くしなければ、所要の照明を実現できなかった。
【0006】
照明装置のランプ数が多くなると照明装置の上部の重量が増加するので、これに応じて照明装置の安定性を担保するために照明装置の下部の重量を増加させなければならない。これでは、照明装置の総重量が増加するため、照明装置の運搬時の取扱い性に難点があるし、工事現場等での転倒防止のための作業等も必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記不都合を回避する照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
放電ランプを有する照明部と、
前記照明部を着脱可能な支柱を有する受部とを備える、照明装置であって、
前記照明部は、照明部本体を前記支柱に対して着脱する際に把持する筒状の把持部と、前記把持部内に形成される雄ネジ部とを有し、
前記支柱は、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有する。
本発明の一例を、図3を用いて説明すると、照明部であるところの収容部52は、収容部52本体を脚部56に対して着脱する際に把持する筒状の把持部200と、把持部200内に形成される雄ネジ部220とを有する。三脚の脚部56は、雄ネジ部220に螺合する雌ネジ部57が取り付けられている。このような構成は、放電ランプを用いることによって構成できる。また、雄ネジ部220と雌ネジ部57とを備えることで、三脚と照明部とを容易に連結することが可能となる。
【0009】
前記放電ランプは、希ガス及び金属ハロゲン化物を有する充填物が封入されている放電スペースと、
前記放電スペース内で放電する電極と、
前記放電スペース及び前記電極を覆う透光性を有する第1被覆体と、
前記第1被覆体が取り付けられるキャップと、
前記キャップに対して接続されていて前記第1被覆体を覆う透光性を有する第2被覆体とを備える。
【0010】
前記把持部は、長手方向に対する直交断面が略L字状の一対の部材を、結合してなる。
【0011】
なお、前記第2被覆体と前記第1被覆体とのスペースに対する放熱機構を有するとよい。また、前記第1又は第2被覆体は、前記電極の放電に起因して前記放電スペースで発生する紫外線を吸収する紫外線吸収体を有するとよい。さらに、本発明の放電ランプの使用方法は、前記電極の放電時に当該キャップを下側とするとよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同様の部分には同一符号を付している。
図1(a)は、本発明の実施形態の照明装置に用いられる高輝度放電ランプ1の模式的な外観図である。図1(b)は、図1(a)の図面右側から見た図である。図1には、アルゴンなどの希ガス、及び、ナトリウム又はタンタルなどを含む金属ハロゲン化物を有する充填物が封入されている放電スペース16が示されている。放電スペース16内には、相互に対向する位置に電極18が設けられている。電極18の一方は正極、他方が負極に接続される。電極18の材料は、タングステンなどとすることができる。
【0013】
電極18には、そこに電流を供給するタングステン・シリサイドなどから成る供給線20が接続されている。供給線20の一部は、ゴムチューブ、セラミックなどの被覆筒22などで覆われている。供給線20のうち被覆筒22が取り付けてられていない部分と、放電スペース16と、電極18とが、略円筒状の硬質ガラス体14で覆われている。硬質ガラス体14は、透光性を有する、サファイアなどを材料としている。なお、放電スペース16等の形状、レイアウト等は例示であり、図1に示すものに限定されない。例えば、放電スペース16を略球とし、電極18を図面左右方向に取り付けるようにしてもよい。
【0014】
硬質ガラス体14の端面には、外部がプラスチック製のキャップ10(たとえば、R7ランプキャップ)が取り付けられている。キャップ10の上面には、硬質ガラス体14を受ける台座12が取り付けられている。また、キャップ10の内部から底面にかけて、供給線20と接続されるコネクタ電極が設けられている。高輝度ランプ1には、当該コネクタ電極を通じて、例えば85Vの電圧、35Wの電力が印加される。
【0015】
キャップ10の側面には、硬質ガラス体14の長手方向に対して直交方向に延びる庇部24が形成されている。庇部24には、硬質ガラス体14及び被覆筒22等を覆う軟質ガラス体26が、接着剤28などによって接続されている。軟質ガラス体26についても、透光性を有するシリカ、酸化アルミニウム、二酸化ホウ素などを主成分に用いることができる。なお、軟質ガラス体26を、硬質ガラス体に代えてもよい。
【0016】
軟質ガラス体26の形状は、典型的な白熱電球のガラス球と略同形状としている。ここで、軟質ガラス体26の丈(庇部24の上面から上端までの長さ)はたとえば65〜69mm、最大直径はたとえば54〜58mmとすることができる。あるいは、丈を小さくして例えば55〜60mm又は大きくして例えば95〜100mm、最大直径を小さくして例えば38〜42mm又は大きくして例えば93〜97mmとすることもできる。軟質ガラス体26は、電極18に対して最も近い位置で、2cm以上の距離を空けている。この距離は、軟質ガラス体26表面温度をより低下させるために、好ましくは2.5cm以上、より好ましくは3.0cm以上とすればよい。もっとも、軟質ガラス体26のサイズは、放電スペース16等のサイズ、使用時の温度等に応じて決定すればよい。
【0017】
本実施形態に係る高輝度放電ランプ1は、軟質ガラス体26を備えているため、堅牢性を有しており、用途に自由度が生じる。さらに、高輝度放電ランプ1を用いると、発電機を使用することによる、騒音、排気ガスなどを抑制できるので、環境破壊の防止にも寄与することになる。
【0018】
この高輝度放電ランプ1に対して、13.5VのDC電圧を印加し、印加後30分経過して電極周辺の温度を測定したところ、図面のA点で約140度、B点で約100度であった。また、軟質ガラス体26のサイズを上記の小さいものとした場合には、図面のA点で約200度、B点で約140度であった。一方、大きいものとした場合には、図面のA点で約100度、B点で約70度であった。
【0019】
軟質ガラス体26或いは硬質ガラス体14の内面又は外面には、電極18の放電に起因して放電スペース16で発生する紫外線を吸収する紫外線吸収体が塗布されている。このため、人体及び周辺の電気機器などに対する、紫外線が及ぼす悪影響を除去している。
【0020】
庇部24の径方向の幅は、軟質ガラス体26の厚みよりも大きく確保してある。さらに、庇部24には、貫通部30が形成されている。貫通部30は、軟質ガラス体26と硬質ガラス体14との間のスペースに対する放熱部として機能する。なお、軟質ガラス体26のたとえばA点付近を開口したり、キャップ10にヒートシンクを取り付けたりして、放熱効果を更に高めてもよい。
【0021】
ここで、接着剤28は、貫通部30が埋められないように塗布してある。接着剤28は、自然硬化型、熱硬化型又は紫外線硬化型樹脂など種々のものを用いることができるが、貫通部30を埋めないように、硬化前にペースト状のものを用いるとよい。ただし、軟質ガラス体26の熱膨張を考慮して、シリコン系接着剤などのように伸縮性に富んだ接着剤、軟質ガラス体26の熱膨張係数(約94×10−7〜96×10−7/℃)に近い熱膨張係数(約90×10−7/℃〜100×10−7/℃)の接着剤を用いるとよい。
【0022】
図2は、図1に示す高輝度ランプ1が取り付けられた照明装置の模式的な構成図である。この種の照明装置は、屋内外問わず使用でき、特に、工事現場、露店、花火大会会場、夜釣り時の海・河川、キャンプ地、地震等が発生した被災地などで好適に用いることができる。
【0023】
図2には、アルミニウム、鉄などから成る、複数(例えば3つ)の脚部58と、脚部58の上端等に接続されている柱部56とを備える三脚(受部)59を示している。
【0024】
三脚59には、高輝度放電ランプ1等が収容される収容部52が連結される。収容部52は、収容部52本体を三脚59に対して着脱する際に把持する筒状の把持部200が底面に設けられている。把持部200は、長手方向(図面上下方向)に対する直交断面が略L字状の一対の部材を、溶接または接着剤などを用いて結合することで構成している。把持部200の外側面には、図示しない電源コード、AC−DCコンバータ、その他付属品などを係止する係止部210が設けられている。
【0025】
また、収容部52には、高輝度ランプ1の側面を覆う、合成樹脂体50が、ネジ止めなどによって取り付けられる。
【0026】
合成樹脂体50は、高輝度ランプ1を風雨から保護でき、又は、高輝度ランプ1から発せられる光を外部に対して和らげて放射できるものが好ましい。このため、本実施形態では、プラスチック、塩化ビニール、アルミニウム、ポリプロピレンなどで、合成樹脂体50を製造している。なお、合成樹脂体50は、略円筒状のものを図示しているが、たとえば、多角形柱状のものとしてもよい。
【0027】
図3は、図2に示す照明装置の三脚59と収容部52とを取り外した状態を示す拡大図である。
【0028】
三脚59の柱部56には、上部に雌ネジ部57が取り付けられている。雌ネジ部57は、プラスチック製などのキャップと、当該キャップに内包されているナットなどの雌ネジとを含む。一例として、雌ネジ部57は、金型等に雌ネジを設置された状況で、当該金型にプラスチックを流し込むことで作成する。
【0029】
一方、収容部52の把持部200内には、雄ネジ部220が形成されている。したがって、三脚59に対して収容部52を取り付ける場合には、柱部56に把持部200を被せた状態で、把持部200を回転させればよい。こうすると、雌ネジ部57と雄ネジ部220とが螺合し、三脚59に対して収容部52を容易に取り付けすることができる。
【0030】
なお、収容部52には、高輝度放電ランプ1のほかに、バラスト68が収容される。高輝度放電ランプ1は、載置台80によって例えばバラスト68の上部に配置される。また、合成樹脂体50の内側上面中央には、凸部51が形成されている。凸部51を形成することによって、照明装置の組み立て前のように、合成樹脂体50を積み上げて保管等しておいても、合成樹脂体50の側面の接触面積が増加することに伴って、これらが相互に外れにくくなるという状態が防止できるという効果がある。
【0031】
図4は、図2に示す収容部52の模式的な斜視図である。収容部52内のバラスト68は、高輝度放電ランプ1に対して所要の電圧を印加するものである。収容部52の底面などには、バラスト68で発生する熱を外部に放出するための開口部(図示せず)が形成されている。この開口部とともに又はこれに代えて、収容部52の内部に、ペルチェ効果素子を備えたり、冷却ファン及び当該冷却ファンを回転させるモータを備えたりしてもよい。さらには、バラスト68自体を、バラスト受けなどにより、収容部52に直接接触しないように中空設置してもよい。また、高輝度ランプ1とバラスト68との間又は収容部52の底面などに断熱板を取り付けて、バラスト68で発生した熱が高輝度ランプ1又は外部に対して伝わらないようにしてもよい。
【0032】
なお、バラスト68は、例えばACアダプタを介して商用電源に接続してもよいし、図示しない電源ケーブルなどを介して車載バッテリなどのDC12V又はDC24Vのバッテリ電源に接続してもよい。こうすると、照明装置を、地震等が発生した被災地でも好適に用いることができる。典型的には、照明装置からの光で、ヘリコプターの着陸帯を照らせば、被災地への援助物資の空輸が夜間でも行いやすくなる。
【0033】
また、本実施形態では、バラスト68として、例えば、小糸製作所のバラスト&スタータASSY(商品名)を用いている。バラスト68は、約12V又は約24VのDC電圧を約85Vまで昇圧する。バラスト68による昇圧電圧は、高輝度ランプ1に供給される。
【0034】
図4に示すように、バラスト68には、上記昇圧電圧を高輝度ランプ1に供給するための電圧線62の一端が接続されている。電圧線62の他端には、高輝度ランプ1を受ける凹部を含むソケット64が取り付けられている。ソケット64は、キャップ10が下側となる態様で受けられるように、高輝度ランプ載置体66の上部に取り付けられている。
【0035】
ここで、電極18の放電時には、図1に示した放電スペース16が発熱する。この結果、放電スペース16を基準にして、これよりも上部が下部に対して相対的に熱くなる。このため、使用時にキャップ10が上側となるようにすると、キャップ10が熱により、損傷および劣化する。そこで、本実施形態では、キャップ10が使用時に下側となるようにして、比重が相対的に軽いガス化充填物がキャップ10に向けて進行することを防止している。
【0036】
本発明は、上述した実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲に記載されている内容の代替の実施例も含まれることに、留意されたい。すなわち、本発明は、図示される各部材の形状、数量、材料などは例示であり、これらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、建築業、建築業、土木業、災害復旧などの各種産業において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の高輝度放電ランプ1の模式的な外観図である。
【図2】図1に示す高輝度ランプ1が取り付けられた照明装置の模式的な構成図である。
【図3】図2に示す照明装置の三脚59と収容部52とを取り外した状態を示す拡大図である。
【図4】図2に示す収容部52の模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 高輝度ランプ
10 キャップ
12 台座
14 硬質ガラス体
16 放電スペース
18 電極
20 供給線
22 被覆筒
24 庇部
30 貫通部
26 軟質ガラス体
28 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプを有する照明部と、
前記照明部を着脱可能な支柱を有する受部とを備える、照明装置であって、
前記照明部は、照明部本体を前記支柱に対して着脱する際に把持する筒状の把持部と、前記把持部内に形成される雄ネジ部とを有し、
前記支柱は、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有する、照明装置。
【請求項2】
前記放電ランプは、希ガス及び金属ハロゲン化物を有する充填物が封入されている放電スペースと、
前記放電スペース内で放電する電極と、
前記放電スペース及び前記電極を覆う透光性を有する第1被覆体と、
前記第1被覆体が取り付けられるキャップと、
前記キャップに対して接続されていて前記第1被覆体を覆う透光性を有する第2被覆体とを備える請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記把持部は、長手方向に対する直交断面が略L字状の一対の部材を、結合してなる請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−130415(P2008−130415A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315244(P2006−315244)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(504165683)有限会社エンドレス (7)
【出願人】(500369902)冨美通信興業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】