照明装置
【課題】 外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を広く取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することにある。
【解決手段】 入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
【解決手段】 入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な光ファイバとして市販されているものは、光を伝送させるコア層(主としてメタアクリル樹脂からなる)と光の漏出を防ぐクラッド層(主としてフッ素系樹脂からなる)から構成されている。このような光ファイバは、導光繊維として一端から入射した光を他端に導いて光を伝送させることができるため、光通信の用途以外に各種の装飾品やデイスプレーに用いられている。
【0003】
近年、光ファイバの側面に部分的にノッチやキズなどの損傷部を作り、多数の損傷部から漏光させることで発光させる光ファイバやそれを用いた装飾品などが提案されている。損傷部を作成する手段として、一般にサンドペーパー、砥石、刃物、サンドブラスト等を用いて、光ファイバの表面に図柄や模様を描くように損傷部を形成することで、損傷部から漏れる光により様々なイルミネーション効果を表出することができる。例えば、特許文献1では、光ファイバの表面にレーザーを当ててコアに達する深さの光導出口を穿設することで、外部に向けて光を漏出させる光ファイバが記載されている。
図11および図12を用いて説明する。
図11は従来の照明装置側面図、図12は図11のX−X線断面図である。
10は従来の光ファイバ、13は損傷部、30はLED等の光源、Gは入射光、Lは出射光である。
図11および図12に示すように、光導出口として損傷部13を設けることで、光源30からの入射光Gの一部を外部に向けた出射光Lとして漏出させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−351436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように砥石、刃物、紫外線などの短波長レーザー等を用いて形成した損傷部から漏光させる方法では外部に向けて出射する光量が十分でなかった。また、構造上照射範囲を広く取ろうとすると照度が低下してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を広く取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的構成により、上記課題を解決できたものである。
【0008】
(1)入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
(2)前記複数のハーフミラー面が隣接して設けられていることを特徴とする前記(1)記載の照明装置。
(3)入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜したハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面は曲面を有することを特徴とする照明装置。
(4)前記曲面を有するハーフミラー面が、円錐状に設けられていることを特徴とする前記(3)記載の照明装置。
(5)前記曲面を有するハーフミラー面が、半球状に設けられていることを特徴とする前記(3)記載の照明装置。
(6)前記ハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
(7)前記ハーフミラー面が、光ファイバの側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
(8)前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、加熱した金型を押し付けることによるものであることを特徴とする前記(7)記載の照明装置。
(9)前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、レーザー照射によるものであることを特徴とする前記(7)記載の照明装置。
(10)前記光ファイバを構成するコア層は、アクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を大きく取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0011】
(実施形態I)
図1は実施形態Iの照明装置側面図、図2(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図、(c)は図1のC−C線断面図、図3は実施形態Iの照明装置底面図である。
20は本発明に用いられる光ファイバ、23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2は反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面である。
なお、本願におけるハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることが好ましく、その中でも反射率10%〜50%のミラー面であることが好ましい。
反射率5%未満であると出射光量が不十分なことがあり、70%を超えると複数のハーフミラー面からの出射光量が均一でなくなってしまうことがある。
図1に示すように、実施形態Iの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2を有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
また、図2(a)、(b)、(c)に示すように、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1は、互いに異なる方向へ出射光La、Lb、Lcとして入射光Gを反射させる。
ハーフミラー面23a1、23c1は、ハーフミラー面23b1に対して角度αだけずらして設けられており、これにより図3に示すように、出射光La、Lb、Lcを合わせて照射範囲を広く取ることができる。
【0012】
ここで、図2(a)、(b)および(c)に示す出射光La、Lb、Lcが互いに異なる方向に向いている点について説明する。
例えば、図1において、入射光Gはハーフミラー面23a1にて一部反射され、それに対応する出射光Laとして出射する。図2(a)は、その状態のハーフミラー面23a1と出射光Laとの関係をA−A線断面図にて示している。
図2(b)および(c)についても、同様の趣旨にて各々ハーフミラー面23b1と出射光Lbとの関係およびハーフミラー面23c1と出射光Lcとの関係を示している。
図3は、前記出射光La、出射光Lbおよび出射光Lcが光ファイバ20から3方向に異なって出射されている状態を示している。
また、出射光La、Lb、Lcは漏出による光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
なお、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1はハーフミラーであるので入射光Gの一部は光ファイバ20の長手方向に向かって透過する。したがって、ハーフミラー面23a1の先に設けられた他のハーフミラー面23b1、23c1でも十分な光量を発することができる。
このように、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1を用いて光源30からの入射光Gを異なる方向へ反射させることで、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を広く取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、ハーフミラー面23a2、23b2、23c2をも用いてさらに出射光量を得ることができる。
【0013】
(実施形態II)
図4は実施形態IIの照明装置側面図、図5は図4のD−D線断面図である。
23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面である。
図4および図5に示すように、実施形態IIの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2を有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
また、図5に示すように、ハーフミラー面23d1、23e1、23f1は、互いに異なる方向へ入射光Gを反射させる。
実施形態IIでは、ハーフミラー面23d1、23e1、23f1が隣接して設けられているので、実施形態Iより光を反射させるハーフミラー面積はやや狭くなるが、出射光Lが重なり合うことで十分な出射光量を得ることができる。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、ハーフミラー面23d2、23e2、23f2をも用いてさらに出射光量を得ることができる。
【0014】
(実施形態III)
図6は実施形態IIIの照明装置側面図、図7は図6のE−E線断面図である。
23gは入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面である。
図6および図7に示すように、実施形態IIIの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面23gを有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
ハーフミラー面23gは円錐状に設けられており、入射光Gに対して曲面を有する。
したがって、図6および図7に示すように、出射光Lの照射範囲を光ファイバ20の外周方向だけでなく長手方向へも広く取ることができる。
また、出射光Lは漏出による拡散光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、さらに出射光量を得ることができ、照射範囲を広く取ることができる。
【0015】
(実施形態IV)
図8は実施形態IVの照明装置側面図、図9は図8のF−F線断面図である。
23hは入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面である。
図8および図9に示すように、実施形態IVの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面23hを有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
ハーフミラー面23hは半球状に設けられており、入射光Gに対して曲面を有する。
したがって、図8および図9に示すように、出射光Lの照射範囲を光ファイバ20の外周方向だけでなく長手方向へも広く取ることができる。
また、出射光Lは漏出による拡散光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、さらに出射光量を得ることができ、照射範囲を広く取ることができる。
【0016】
ハーフミラー面の数や形状は、図1〜図9に示したもの以外にも多様に調整することが可能である。
また、本発明におけるハーフミラー面23は、光ファイバ20の側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることが好ましい。
光ファイバ20の構成材料をそのまま用いれば、光の反射率と透過率といずれも高く、他の材料等も必要ないからである。
このようなハーフミラー面23は、光ファイバ20に加熱した高温の金型を押し付けたり、長波長のレーザーを照射したりすることにより形成することができる。
【0017】
次に、本発明の照明装置の製造方法を説明する。
本発明の照明装置の製造方法は、まず、光ファイバの側面等に熱手段によりハーフミラー面を形成する。具体的には加熱した金型を押し付けることにより、光ファイバを熱溶融もしくは熱塑性変形させて入射光に対して傾斜したハーフミラー面を形成する工程と、該金型を光ファイバから分離する工程、を行うことが好ましい。
金型の温度は20℃〜400℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは100℃〜400℃の範囲であり、さらに好ましくは150℃〜200℃の範囲である。
また、特定形状の金型を用いることにより複数のハーフミラー面23を同時に作製することが可能であり、加工時間の短縮を図ることができる。
さらに、金型の温度や形状や角度や金型と光ファイバとの押し付け力等を変化させることで、ハーフミラー面23を任意の位置や形状に形成し、かつ、反射率および透過率を調整することができる。例えばハーフミラー面を光ファイバの表面にらせん状に形成すればあらゆる方向へ光を出射させることもできる。
金型を用いる方法以外では、長波長のレーザーを照射して光ファイバを熱溶融もしくは熱塑性変形させる方法がある。
レーザーの種類としてはCO2レーザーが好ましい。また、レーザーの波長は1μm〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5μm〜20μmである。1μmより短波長のレーザーは光ファイバを掘削してしまうので滑らかなハーフミラー面を形成できず、好ましくない。
なお、金型を押し付けたりレーザーを照射したりしてできた凹みに樹脂等を詰めることで、光ファイバを補強し、かつ、反射率および透過率を調整することもできる。
【0018】
本発明に用いる光ファイバ20としては、溶融等による加工性の容易なことよりコア層にアクリル系樹脂を用いたものが好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリエチルメタクリレート樹脂(PEMA)、ポリエチルアクリレート樹脂(PEA)を用いたものなどが挙げられる。また、クラッド層としてはフッ素系樹脂を用いたものが好ましく、例えば、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン共重合樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、トリフルオロイソプロピルメタクリレート樹脂などを用いたものが挙げられる。コア層は外周をクラッド層に被覆されており、2つの層の屈折率の違いによりコア層内に入射した光は外部に漏れることなく伝送されるようになっている。コア層及びクラッド層は、それぞれ複数層に構成されるようにされてもかまわない。光ファイバ20の直径は、0.25mmから5mmまでのものが好ましいが、これ以外の直径のものでも使用することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1として、光源を2つ用いて実施形態Iの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より29cmの位置に、V字状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23a1、23a2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心に20°回転させた。
そして、光ファイバの片端より30cmの位置に(ハーフミラー面23aから1cm間隔が空くように)、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23b1、23b2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心にさらに20°回転させた。
そして、光ファイバの片端より31cmの位置に(ハーフミラー面23bから1cm間隔が空くように)、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23c1、23c2を形成した。
以上により、実施例1の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2は、それぞれ反射率20%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23a〜23cは全て開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例1の照明装置とした。
そして、該照明装置を図10のように配置した。
図10は、実施例および比較例の照度測定配置を示す図である。
dは測定距離、Ma〜Meは照度計、Wは壁である。
まず、壁Wに5つの照度計Ma〜Meを10cm間隔に並べて設置した。
次に、実施例1の照明装置を、光ファイバ20が水平になるように壁Wから測定距離dだけ離れた位置に配置した。測定距離dは40cmとした。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23b1、23b2が壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0020】
(実施例2)
実施例2として、光源を2つ用いて実施形態IIの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、V字状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23d1、23d2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心に20°回転させた。
そして、ハーフミラー面23d1、23d2と一部重ねるようにして、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23e1、23e2をハーフミラー面23d1、23d2と隣接して形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心にさらに20°回転させた。
そして、ハーフミラー面23e1、23e2と一部重ねるようにして、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23f1、23f2をハーフミラー面23e1、23e2と隣接して形成した。
以上により、実施例2の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は、それぞれ反射率20%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は全て開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例2の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23d1、23d2が壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0021】
(実施例3)
実施例3として、光源を2つ用いて実施形態IIIの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、円錐状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23gを形成した。
以上により、実施例3の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23gは、反射率17%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23gは開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例3の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23gが壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0022】
(実施例4)
実施例4として、光源を2つ用いて実施形態IVの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、半球状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23hを形成した。
以上により、実施例3の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23hは、反射率17%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23hは、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例4の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23hが壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0023】
(比較例1)
比較例1として、光源を2つ用いて図11および図12に示す従来の照明装置を作製した。
本発明に用いる光ファイバ20に代えて、損傷部13を設けた従来の光ファイバ10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の照明装置を作製した。
従来の光ファイバ10は、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置をV溝ヤスリで削り、損傷部13を形成することで作製した。
当該光ファイバ10に作製された損傷部13は開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ10の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、損傷部13が壁Wから最も近くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0024】
実施例および比較例での照度の測定結果を表1に示す。
なお、実用上必要な照度は、Ma〜Meの各照度の内の最大照度が0.75ルックス(以上である。
また、照射範囲が広いといえるためには、少なくともMb、Mc、Mdの照度が0.5(lx)以上である必要があり、好ましくはMa、Mb、Mc、Md、Meの照度が0.5(lx)以上である。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、実施例はいずれも最大照度が0.75(lx)以上であり、Ma、Mb、Mc、Md、Meの照度が0.5(lx)以上であり、実用上問題なかった。
これに対し、比較例1では最大照度が0.75(lx)未満であり、Mb、Mc、Mdの照度が0.5(lx)未満であり、実用上問題があった。
【0027】
以上のように、本発明によれば、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を大きく取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態Iの照明装置側面図
【図2】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図、(c)は図1のC−C線断面図
【図3】実施形態Iの照明装置底面図
【図4】実施形態IIの照明装置側面図
【図5】図4のD−D線断面図
【図6】実施形態IIIの照明装置側面図
【図7】図6のE−E線断面図
【図8】実施形態IVの照明装置側面図
【図9】図8のF−F線断面図
【図10】実施例および比較例の照度測定配置を示す図
【図11】従来の照明装置側面図
【図12】図11のX−X線断面図
【0029】
10 従来の光ファイバ
13 損傷部
20 本発明に用いられる光ファイバ
23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2、23g、23h ハーフミラー面
30 光源
d 測定距離
G 入射光
L、La、Lb、Lc 出射光
Ma〜Me 照度計
W 壁
α 角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な光ファイバとして市販されているものは、光を伝送させるコア層(主としてメタアクリル樹脂からなる)と光の漏出を防ぐクラッド層(主としてフッ素系樹脂からなる)から構成されている。このような光ファイバは、導光繊維として一端から入射した光を他端に導いて光を伝送させることができるため、光通信の用途以外に各種の装飾品やデイスプレーに用いられている。
【0003】
近年、光ファイバの側面に部分的にノッチやキズなどの損傷部を作り、多数の損傷部から漏光させることで発光させる光ファイバやそれを用いた装飾品などが提案されている。損傷部を作成する手段として、一般にサンドペーパー、砥石、刃物、サンドブラスト等を用いて、光ファイバの表面に図柄や模様を描くように損傷部を形成することで、損傷部から漏れる光により様々なイルミネーション効果を表出することができる。例えば、特許文献1では、光ファイバの表面にレーザーを当ててコアに達する深さの光導出口を穿設することで、外部に向けて光を漏出させる光ファイバが記載されている。
図11および図12を用いて説明する。
図11は従来の照明装置側面図、図12は図11のX−X線断面図である。
10は従来の光ファイバ、13は損傷部、30はLED等の光源、Gは入射光、Lは出射光である。
図11および図12に示すように、光導出口として損傷部13を設けることで、光源30からの入射光Gの一部を外部に向けた出射光Lとして漏出させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−351436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように砥石、刃物、紫外線などの短波長レーザー等を用いて形成した損傷部から漏光させる方法では外部に向けて出射する光量が十分でなかった。また、構造上照射範囲を広く取ろうとすると照度が低下してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を広く取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的構成により、上記課題を解決できたものである。
【0008】
(1)入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
(2)前記複数のハーフミラー面が隣接して設けられていることを特徴とする前記(1)記載の照明装置。
(3)入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜したハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面は曲面を有することを特徴とする照明装置。
(4)前記曲面を有するハーフミラー面が、円錐状に設けられていることを特徴とする前記(3)記載の照明装置。
(5)前記曲面を有するハーフミラー面が、半球状に設けられていることを特徴とする前記(3)記載の照明装置。
(6)前記ハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
(7)前記ハーフミラー面が、光ファイバの側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
(8)前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、加熱した金型を押し付けることによるものであることを特徴とする前記(7)記載の照明装置。
(9)前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、レーザー照射によるものであることを特徴とする前記(7)記載の照明装置。
(10)前記光ファイバを構成するコア層は、アクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする前記(1)または(3)記載の照明装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を大きく取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0011】
(実施形態I)
図1は実施形態Iの照明装置側面図、図2(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図、(c)は図1のC−C線断面図、図3は実施形態Iの照明装置底面図である。
20は本発明に用いられる光ファイバ、23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2は反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面である。
なお、本願におけるハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることが好ましく、その中でも反射率10%〜50%のミラー面であることが好ましい。
反射率5%未満であると出射光量が不十分なことがあり、70%を超えると複数のハーフミラー面からの出射光量が均一でなくなってしまうことがある。
図1に示すように、実施形態Iの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2を有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
また、図2(a)、(b)、(c)に示すように、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1は、互いに異なる方向へ出射光La、Lb、Lcとして入射光Gを反射させる。
ハーフミラー面23a1、23c1は、ハーフミラー面23b1に対して角度αだけずらして設けられており、これにより図3に示すように、出射光La、Lb、Lcを合わせて照射範囲を広く取ることができる。
【0012】
ここで、図2(a)、(b)および(c)に示す出射光La、Lb、Lcが互いに異なる方向に向いている点について説明する。
例えば、図1において、入射光Gはハーフミラー面23a1にて一部反射され、それに対応する出射光Laとして出射する。図2(a)は、その状態のハーフミラー面23a1と出射光Laとの関係をA−A線断面図にて示している。
図2(b)および(c)についても、同様の趣旨にて各々ハーフミラー面23b1と出射光Lbとの関係およびハーフミラー面23c1と出射光Lcとの関係を示している。
図3は、前記出射光La、出射光Lbおよび出射光Lcが光ファイバ20から3方向に異なって出射されている状態を示している。
また、出射光La、Lb、Lcは漏出による光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
なお、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1はハーフミラーであるので入射光Gの一部は光ファイバ20の長手方向に向かって透過する。したがって、ハーフミラー面23a1の先に設けられた他のハーフミラー面23b1、23c1でも十分な光量を発することができる。
このように、ハーフミラー面23a1、23b1、23c1を用いて光源30からの入射光Gを異なる方向へ反射させることで、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を広く取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、ハーフミラー面23a2、23b2、23c2をも用いてさらに出射光量を得ることができる。
【0013】
(実施形態II)
図4は実施形態IIの照明装置側面図、図5は図4のD−D線断面図である。
23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面である。
図4および図5に示すように、実施形態IIの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2を有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
また、図5に示すように、ハーフミラー面23d1、23e1、23f1は、互いに異なる方向へ入射光Gを反射させる。
実施形態IIでは、ハーフミラー面23d1、23e1、23f1が隣接して設けられているので、実施形態Iより光を反射させるハーフミラー面積はやや狭くなるが、出射光Lが重なり合うことで十分な出射光量を得ることができる。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、ハーフミラー面23d2、23e2、23f2をも用いてさらに出射光量を得ることができる。
【0014】
(実施形態III)
図6は実施形態IIIの照明装置側面図、図7は図6のE−E線断面図である。
23gは入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面である。
図6および図7に示すように、実施形態IIIの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面23gを有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
ハーフミラー面23gは円錐状に設けられており、入射光Gに対して曲面を有する。
したがって、図6および図7に示すように、出射光Lの照射範囲を光ファイバ20の外周方向だけでなく長手方向へも広く取ることができる。
また、出射光Lは漏出による拡散光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、さらに出射光量を得ることができ、照射範囲を広く取ることができる。
【0015】
(実施形態IV)
図8は実施形態IVの照明装置側面図、図9は図8のF−F線断面図である。
23hは入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面である。
図8および図9に示すように、実施形態IVの照明装置は、入射光Gを反射し、かつ入射光に対して傾斜したハーフミラー面23hを有する光ファイバ20と、光ファイバ20に光を入射する光源30とを用いた照明装置である。
ハーフミラー面23hは半球状に設けられており、入射光Gに対して曲面を有する。
したがって、図8および図9に示すように、出射光Lの照射範囲を光ファイバ20の外周方向だけでなく長手方向へも広く取ることができる。
また、出射光Lは漏出による拡散光ではなく指向性を制御した反射光であるので、十分な光量を有する。
また、光源30を光ファイバ20の両端に設ければ、さらに出射光量を得ることができ、照射範囲を広く取ることができる。
【0016】
ハーフミラー面の数や形状は、図1〜図9に示したもの以外にも多様に調整することが可能である。
また、本発明におけるハーフミラー面23は、光ファイバ20の側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることが好ましい。
光ファイバ20の構成材料をそのまま用いれば、光の反射率と透過率といずれも高く、他の材料等も必要ないからである。
このようなハーフミラー面23は、光ファイバ20に加熱した高温の金型を押し付けたり、長波長のレーザーを照射したりすることにより形成することができる。
【0017】
次に、本発明の照明装置の製造方法を説明する。
本発明の照明装置の製造方法は、まず、光ファイバの側面等に熱手段によりハーフミラー面を形成する。具体的には加熱した金型を押し付けることにより、光ファイバを熱溶融もしくは熱塑性変形させて入射光に対して傾斜したハーフミラー面を形成する工程と、該金型を光ファイバから分離する工程、を行うことが好ましい。
金型の温度は20℃〜400℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは100℃〜400℃の範囲であり、さらに好ましくは150℃〜200℃の範囲である。
また、特定形状の金型を用いることにより複数のハーフミラー面23を同時に作製することが可能であり、加工時間の短縮を図ることができる。
さらに、金型の温度や形状や角度や金型と光ファイバとの押し付け力等を変化させることで、ハーフミラー面23を任意の位置や形状に形成し、かつ、反射率および透過率を調整することができる。例えばハーフミラー面を光ファイバの表面にらせん状に形成すればあらゆる方向へ光を出射させることもできる。
金型を用いる方法以外では、長波長のレーザーを照射して光ファイバを熱溶融もしくは熱塑性変形させる方法がある。
レーザーの種類としてはCO2レーザーが好ましい。また、レーザーの波長は1μm〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5μm〜20μmである。1μmより短波長のレーザーは光ファイバを掘削してしまうので滑らかなハーフミラー面を形成できず、好ましくない。
なお、金型を押し付けたりレーザーを照射したりしてできた凹みに樹脂等を詰めることで、光ファイバを補強し、かつ、反射率および透過率を調整することもできる。
【0018】
本発明に用いる光ファイバ20としては、溶融等による加工性の容易なことよりコア層にアクリル系樹脂を用いたものが好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリエチルメタクリレート樹脂(PEMA)、ポリエチルアクリレート樹脂(PEA)を用いたものなどが挙げられる。また、クラッド層としてはフッ素系樹脂を用いたものが好ましく、例えば、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン共重合樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、トリフルオロイソプロピルメタクリレート樹脂などを用いたものが挙げられる。コア層は外周をクラッド層に被覆されており、2つの層の屈折率の違いによりコア層内に入射した光は外部に漏れることなく伝送されるようになっている。コア層及びクラッド層は、それぞれ複数層に構成されるようにされてもかまわない。光ファイバ20の直径は、0.25mmから5mmまでのものが好ましいが、これ以外の直径のものでも使用することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1として、光源を2つ用いて実施形態Iの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より29cmの位置に、V字状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23a1、23a2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心に20°回転させた。
そして、光ファイバの片端より30cmの位置に(ハーフミラー面23aから1cm間隔が空くように)、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23b1、23b2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心にさらに20°回転させた。
そして、光ファイバの片端より31cmの位置に(ハーフミラー面23bから1cm間隔が空くように)、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23c1、23c2を形成した。
以上により、実施例1の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2は、それぞれ反射率20%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23a〜23cは全て開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例1の照明装置とした。
そして、該照明装置を図10のように配置した。
図10は、実施例および比較例の照度測定配置を示す図である。
dは測定距離、Ma〜Meは照度計、Wは壁である。
まず、壁Wに5つの照度計Ma〜Meを10cm間隔に並べて設置した。
次に、実施例1の照明装置を、光ファイバ20が水平になるように壁Wから測定距離dだけ離れた位置に配置した。測定距離dは40cmとした。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23b1、23b2が壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0020】
(実施例2)
実施例2として、光源を2つ用いて実施形態IIの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、V字状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23d1、23d2を形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心に20°回転させた。
そして、ハーフミラー面23d1、23d2と一部重ねるようにして、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23e1、23e2をハーフミラー面23d1、23d2と隣接して形成した。
次に、光ファイバ20を軸中心にさらに20°回転させた。
そして、ハーフミラー面23e1、23e2と一部重ねるようにして、再び金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、ハーフミラー面23f1、23f2をハーフミラー面23e1、23e2と隣接して形成した。
以上により、実施例2の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は、それぞれ反射率20%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2は全て開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例2の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23d1、23d2が壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0021】
(実施例3)
実施例3として、光源を2つ用いて実施形態IIIの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、円錐状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23gを形成した。
以上により、実施例3の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23gは、反射率17%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23gは開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例3の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23gが壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0022】
(実施例4)
実施例4として、光源を2つ用いて実施形態IVの照明装置を作製した。
まず、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置に、半球状の突起を有する金型を200℃の状態にして数秒押し付け、分離することで、光ファイバを熱溶融させてハーフミラー面23hを形成した。
以上により、実施例3の光ファイバ20を作製した。
ハーフミラー面23hは、反射率17%のミラー面であった。
当該光ファイバ20に作製されたハーフミラー面23hは、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
次に、当該光ファイバ20の両端に光源30としてLED(kingbright社製 商品名:「L934SEC」)を取り付け、実施例4の照明装置とした。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ20の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、ハーフミラー面23hが壁Wから最も遠くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0023】
(比較例1)
比較例1として、光源を2つ用いて図11および図12に示す従来の照明装置を作製した。
本発明に用いる光ファイバ20に代えて、損傷部13を設けた従来の光ファイバ10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の照明装置を作製した。
従来の光ファイバ10は、光ファイバ(三菱レイヨン社製 商品名:「CK−120」、直径3mm、全長60cm)の片端より30cmの位置をV溝ヤスリで削り、損傷部13を形成することで作製した。
当該光ファイバ10に作製された損傷部13は開口の角度が90°であり、光ファイバ表面から1mmの深さを有していた。
そして、該照明装置を実施例1と同様に配置した。なお、光ファイバ10の向きは、出射光Lが照度計方向へ出るように、損傷部13が壁Wから最も近くなるようにした。
この状態で、周囲を暗闇にしてLED30を発光させ、出射光Lによる照度を照度計Ma〜Meで測定した。
【0024】
実施例および比較例での照度の測定結果を表1に示す。
なお、実用上必要な照度は、Ma〜Meの各照度の内の最大照度が0.75ルックス(以上である。
また、照射範囲が広いといえるためには、少なくともMb、Mc、Mdの照度が0.5(lx)以上である必要があり、好ましくはMa、Mb、Mc、Md、Meの照度が0.5(lx)以上である。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から明らかなように、実施例はいずれも最大照度が0.75(lx)以上であり、Ma、Mb、Mc、Md、Meの照度が0.5(lx)以上であり、実用上問題なかった。
これに対し、比較例1では最大照度が0.75(lx)未満であり、Mb、Mc、Mdの照度が0.5(lx)未満であり、実用上問題があった。
【0027】
以上のように、本発明によれば、外部に向けて十分な出射光量を得られるとともに、照射範囲を大きく取ることができる光ファイバを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態Iの照明装置側面図
【図2】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図、(c)は図1のC−C線断面図
【図3】実施形態Iの照明装置底面図
【図4】実施形態IIの照明装置側面図
【図5】図4のD−D線断面図
【図6】実施形態IIIの照明装置側面図
【図7】図6のE−E線断面図
【図8】実施形態IVの照明装置側面図
【図9】図8のF−F線断面図
【図10】実施例および比較例の照度測定配置を示す図
【図11】従来の照明装置側面図
【図12】図11のX−X線断面図
【0029】
10 従来の光ファイバ
13 損傷部
20 本発明に用いられる光ファイバ
23a1、23a2、23b1、23b2、23c1、23c2、23d1、23d2、23e1、23e2、23f1、23f2、23g、23h ハーフミラー面
30 光源
d 測定距離
G 入射光
L、La、Lb、Lc 出射光
Ma〜Me 照度計
W 壁
α 角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数のハーフミラー面が隣接して設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜したハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面は曲面を有することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
前記曲面を有するハーフミラー面が、円錐状に設けられていることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記曲面を有するハーフミラー面が、半球状に設けられていることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項6】
前記ハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【請求項7】
前記ハーフミラー面が、光ファイバの側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【請求項8】
前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、加熱した金型を押し付けることによるものであることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、レーザー照射によるものであることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項10】
前記光ファイバを構成するコア層は、アクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【請求項1】
入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜した複数のハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面のうち少なくとも1つは、他のハーフミラー面と異なる方向へ入射光を反射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数のハーフミラー面が隣接して設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
入射光を反射し、かつ該入射光に対して傾斜したハーフミラー面を有する光ファイバと、該光ファイバに入射する光源とを備えた照明装置であって、前記ハーフミラー面は曲面を有することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
前記曲面を有するハーフミラー面が、円錐状に設けられていることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記曲面を有するハーフミラー面が、半球状に設けられていることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項6】
前記ハーフミラー面は、反射率5%〜70%のミラー面であることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【請求項7】
前記ハーフミラー面が、光ファイバの側面を熱溶融もしくは熱塑性変形させることにより形成されていることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【請求項8】
前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、加熱した金型を押し付けることによるものであることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記熱溶融もしくは熱塑性変形が、レーザー照射によるものであることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項10】
前記光ファイバを構成するコア層は、アクリル系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1または3記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−288050(P2008−288050A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132303(P2007−132303)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】
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