説明

照明装置

【課題】 確実な動作を行える照明装置を提供する。
【解決手段】 検出電圧補正ダイオード15を新たに加え、検出電圧補正ダイオード15の順方向電圧の定電圧効果を利用して安価な補正回路を構成し、検出用抵抗11の検出電圧を嵩上げして、差動増幅回路2の反転入力21に入力する。電流供給用抵抗16は検出電圧補正ダイオード15に電流を流すために追加される。上記構成により定電流駆動素子10のベース、エミッタ間またはゲート、ソース間の電圧降下分の補正ができ、可変抵抗33を絞れば、出力22には出力電圧が現れず、定電流駆動素子10のコレクタ、エミッタ間またはドレイン、ソース間を電流切断することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置は種種の分野で使用されているが、半導体検査においてはLEDを用いたLED照明装置が主として用いられる。
このLED照明装置は、定電流駆動装置によりLEDを駆動し、発光させ構成になっており、この定電流駆動装置にはLEDの照度を調整出来るようにLED駆動電流を変化させる為の調光回路が組み込まれている。
この調光回路の電流制御方法の1つとして、駆動用のトランジスタ又はFETを用いてLEDを定電流駆動し、該LED駆動電流を検出し、電圧変換させ、その検出電圧を基準電圧と一致させるように差動増幅装置を用いてトランジスタ又はFETを制御する方法がある。該基準電圧を可変とすることにより、調光が可能になる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−344389号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した照明装置において、LED駆動用トランジスタまたは駆動用FETは、素子の特性上トランジスタの場合にはベース、エミッタ間、またFETの場合にはゲート、ソース間の電圧降下があり、この電圧降下分の影響が無視出来ない問題がある。即ち可変基準電圧を0ボルトにしても、LED駆動電流の最小値を0ミリアンペアにすることができず、LED駆動電流が流れ、LED照明装置が消灯しないという問題がある。
これは差動増幅器(オペレーショナルアンブ)の反転入力端子に出力端子から出力される制御電圧に電圧降下分が加味され、反転入力と非反転入力に微少な電位差が発生し、出力端子電圧を0ボルトに抑えることが出来なくなり、LED電流駆動素子のトランジスタのコレクタ、エミッタ間またはFETのドレイン、ソース間を電流切断が出来なくなることによるものである。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の照明装置は、LEDと、該LEDに所望の電流を流すための定電流駆動装置と、該定電流駆動装置を制御するための所望の電圧を発生する可変電圧調整装置と、該可変電圧調整装置からの電圧を定電流駆動装置に付与する差動増幅器と、前記定電流駆動装置の電流を検出し、電圧に変換し、前記差動増幅器の反転入力に入力する電流検出装置と、を備え、前記電流検出装置が、前記定電流駆動装置の電圧降下分に対応する順方向電圧を生ずる電圧補正用のダイオードを有する、ことを特徴とする。
以上の構成においては、ダイオードの順方向電圧の定電圧効果を利用した安価な補正回路により、定電流駆動装置のトランジスタまたはFETのベース、エミッタ間またはゲート、ソース間の電圧降下に対応する補正電圧を得ることが出来、該補正した電流検出電圧を差動増幅回路の反転入力端子へ加えることにより、差動増幅器の出力電圧を下げ、定電流駆動装置の電流切断が確実に行える。
【発明の効果】
【0006】
差動増幅回路の非反転入力端子に加える可変基準電圧を0ボルトにすれば、定電流駆動装置のトランジスタのコレクタ、エミッタ間またはFETのドレイン、
ソース間を完全に電流切断することができ、照明用LEDがついたままということをなくすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は調光機能付き定電流制御LED照明装置の回路図である。
この照明装置は、LED1を有する照明部と、差動増幅回路2を有する調光部及び基準電圧回路3を有する電源部から成る。
【0008】
基準電圧回路3は、ツェナーダイオード30と抵抗31を有し、この両端に電源電圧を供給して、ツェナーダイオード30の両端に固定基準電圧を発生する。ツェナーダイオード30に代えて、定電圧ICを用いても良い。
そして、半固定抵抗32を介して接続された可変抵抗33を調整することにより、LED1のオンオフ及び照度の変更が可能になっている。
【0009】
可変抵抗33は抵抗35を通して差動増幅回路2の非反転入力端子に接続され、基準電圧を供給し、該基準電圧に対応した電流をLED1に流して照度の変更を行うように構成されている。
半固定抵抗32は、最大基準電圧を規定するものであり、可変抵抗33を最大にした時に定電流駆動素子10を予め決定している最大LED駆動電流値とするように選択されている。
抵抗34は可変抵抗33によるLED1の点灯開始位置を設定するためのもので、この抵抗34の値を変えることによりLED1の点灯開始位置を設定出来る。
【0010】
ツェナーダイオード30による固定基準電圧は可変抵抗33で希望の照度に対応した基準電圧となり、抵抗35を通して差動増幅回路2の非反転入力20に入力されるように構成されている。差動増幅回路2の反転入力21側にはLED1の後述する電流検出部が接続し、差動増幅回路2の出力側の定電流駆動素子10において可変抵抗33で調整された基準電圧に対応した電流を流すように構成されている。該電流によりLED1を所定の照度で発光させる。
【0011】
定電流駆動素子10はトランジスタ又はFETから構成され、差動増幅回路2からの出力を電流制御信号供給用の信号供給抵抗12を通してベースまたはゲートで受け取る。ベースまたはゲートへの制御信号はコレクタ、エミッタ間またはドレイン、ソース間の駆動電流を制御し、LED1の照度を制御する。駆動電流はベースまたはゲートに電流または電圧がかからなければ電流切断される。
【0012】
駆動電流検出/検出電圧変換用の検出用抵抗11にはLED1の駆動電流が流れ、その両端には該電流による検出電圧が発生する。従来は、該検出電圧をそのまま差動増幅回路2の反転入力21に入力していた。しかし、定電流駆動素子10として使用されるバイポーラトランジスタのベース、エミッタ間(或いはFETの場合はゲート、ソース間)の電圧降下を差動増幅回路2で検出してしまい、可変抵抗33により調整基準電圧を絞っても、差動増幅回路2の出力22には出力電圧が現れてしまい、定電流駆動素子10のコレクタ、エミッタ間またはドレイン、ソース間を電流切断出来ない状態が発生する問題があった。
【0013】
本発明は、この問題を解決したものである。
図示する実施形態においては、検出電圧補正ダイオード15を加え、検出電圧補正ダイオード15の順方向電圧の定電圧効果を利用して安価な補正回路を構成し、検出用抵抗11の検出電圧を嵩上げして、差動増幅回路2の反転入力21に入力するように構成されている。電流供給用抵抗16は検出電圧補正ダイオード15に電流を流すために追加されている。
【0014】
上記構成により定電流駆動素子10のベース、エミッタ間またはゲート、ソース間の電圧降下分の補正ができ、可変抵抗33を絞れば、出力22には出力電圧が現れず、定電流駆動素子10のコレクタ、エミッタ間またはドレイン、ソース間を電流切断することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の回路図。
【符号の説明】
【0016】
1:LED、2:差動増幅回路、3:基準電圧回路、10:定電流駆動素子、11:検出用抵抗、12:信号供給抵抗、15:検出電圧補正ダイオード、16:電流供給用抵抗、20:非反転入力、21:反転入力、22:出力、30:ツェナーダイオード、31:抵抗、32:半固定抵抗、33:可変抵抗、34:抵抗、35:抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、
該LEDに所望の電流を流すための定電流駆動装置と、
該定電流駆動装置を制御するための所望の電圧を発生する可変電圧調整装置と、
該可変電圧調整装置からの電圧を定電流駆動装置に付与する差動増幅器と、
前記定電流駆動装置の電流を検出し、電圧に変換し、前記差動増幅器の反転入力に入力する電流検出装置と、を備え、
前記電流検出装置が、前記定電流駆動装置の電圧降下分に対応する順方向電圧を生ずる電圧補正用のダイオードを有する、
ことを特徴とする照明装置。

【図1】
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