説明

照明装置

【課題】長手方向に長いLED照明装置として好適に実現できる、直管型のLED照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、固体発光素子26を支持する支持体21と、長手方向に沿った中空構造内に支持体21が配置され、少なくとも固体発光素子26の発光方向に透光性を有する筐体3とを備え、支持体21と筐体3の中空構造の内壁面の所定の領域とは密着配置され、前記所定の領域は、筐体3の長手方向に垂直な任意の端面において、その中心軸に対称な両側面に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関し、特に、固体発光素子を光源とした照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の向上に伴い、白熱電球、蛍光ランプ及び水銀ランプ等のランプ類に替わる新しい光源として、固体発光素子、特に発光ダイオードが注目を集めている。なぜなら、発光ダイオード(以下、LEDと記載)は、上述したランプ類の光源と比較して長寿命な光源であり、また水銀及び鉛といった有害物質を含まない、すなわち、環境に優しい光源であるからである。
【0003】
LEDの中でも、1W以上の入力容量を有するいわゆるハイパワーLEDは、発光強度が強く照明用途に最適である。また、LEDの光変換効率は年々向上しており、今後LEDを光源とした照明は、省エネルギー光源としての期待も高まっている。
【0004】
ここで、LEDを使用した照明装置(以下、LED照明装置と記載)においては、LEDの駆動ロスとして発生する熱を適切に処理(放熱)する必要がある。LEDは、上記のごとく長寿命であるという特徴を有しているが、これを発揮させるためには、上記放熱を適切に行い、その温度が高くなり過ぎない範囲内で使用することが必要であるためである。
【0005】
また、LED照明装置においては、その形状等は高い自由度をもって設計できるという特徴があるが、利用者に対し、従来の蛍光ランプによる照明と違和感を覚えさせないために、直管型などの蛍光ランプと形状を模したLED照明装置にも注目が集まっている。
【0006】
このことを鑑みてか、特許文献1には、直管型のLED照明装置である防水照明装置が開示されている。
【0007】
この防水照明装置においては、直管型の透明円筒部内に挿入されたLEDからロスとして発生した熱は、具備する放熱プレートにより放熱することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3121894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示される防水照明装置は、長手方向に長いLED照明装置として実現することは困難であると考えられる。
【0010】
この理由であるが、特許文献1に開示される防水照明装置の長手方向の長さが長い場合においては、その直管に相当する円筒部も当然に長くなる。この場合において、円筒部は長くなることに基づき、そりやすくなる。ここで、特許文献1に開示される防水照明装置には、このそりに対する対応は示唆されていない。したがって上記そりが発生した場合には、そりが発生した状態が当該防水照明装置の外観上の形状となってしまう。このことは、外観上の美観を損ない、よって利用者の利便性を損なうことにつながりかねない。したがって、特許文献1に開示される防水照明装置は、長手方向に長いLED照明装置として実現することは困難であると考える。
【0011】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであって、直管のそりの影響を避けることができるLED照明装置であって、特に長手方向に長いLED照明装置として好適に実現できる、直管型のLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る照明装置は、固体発光素子を用いた照明装置であって、前記固体発光素子を支持する支持手段と、長手方向に沿った中空構造内に前記支持手段が配置され、少なくとも前記固体発光素子の発光方向に透光性を有する筐体手段とを備え、前記支持手段と前記中空構造の内壁面の所定の領域とは密着配置され、前記筐体手段の長手方向に垂直な任意の端面において、前記所定の領域は前記任意の端面の中心軸に対称な両側面に位置する。
【0013】
この構成により、筐体手段にそりを発生させようとする力が、筐体手段の長手方向に垂直な方向の端面における中心軸に対称に発生することとなる。このため、これらの力は互いにキャンセルすることとなり、筐体手段のそりの発生を抑制することができる。これにより、長手方向に長い直管型の固体発光素子を用いた照明装置を提供することができる。
【0014】
ここで、前記筐体手段は、さらに、前記中空構造の内壁面、かつ前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第1支持プレートと、前記中空構造の内壁面、かつ前記固体発光素子の非発光方向に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第2支持プレートとを備え、前記支持手段は、前記第1支持プレートと、前記第2支持プレートとの間に位置することで、前記筐体手段と嵌合配置されてもよい。
【0015】
この構成により、常に筐体手段と支持手段との密着を維持できる効果がある。このことは照明装置の放熱性を常に維持できることにつながる。
【0016】
ここで、前記筐体手段は、前記所定の領域を含み、前記固体発光素子の非発光方向に設けられる第1領域と、前記第1領域以外の領域を構成する第2領域とにより構成され、前記第1領域は、前記第2領域より線膨張係数が低減された材料により構成されてもよい。さらに、前記第2領域は、難燃性ポリカーボネートにより構成され、前記第1領域は、前記第2領域を構成する難燃性ポリカーボネートに、ガラス繊維又はガラスパウダーが混入された材料により構成されてもよい。
【0017】
この構成により、そりが発生しようとする力を低減することができるという効果がある。
【0018】
ここで、前記筐体手段は、さらに、前記中空構造の内壁面、かつ前記支持手段の一方の面に支持される前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第3支持プレートと、前記中空構造の内壁面、かつ前記支持手段の他方の面に支持される前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第4支持プレートとを備え、前記支持手段は、前記第3支持プレートと、前記第4支持プレートとの間に位置することで、前記筐体手段と嵌合配置されてもよい。
【0019】
この構成により、2方向に発光が行われる照明装置であっても、常に筐体手段と支持手段との密着を維持できる効果がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、直管のそりの影響を避けることができるLED照明装置であって、特に長手方向に長いLED照明装置として好適に実現でき、直管型のLED照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明装置1の外観を示す平面図である。
【図2】図1のA1方向から見た照明装置1の平面図である。
【図3】図1のA2方向からみた照明装置1の平面図である。
【図4】図2におけるA3−A4面の構造を示す端面図である。
【図5】図2におけるA5−A6面の構造を示す端面図である。
【図6】筐体3のそりに関して説明する図である。
【図7】筐体3のそりの緩和に関して説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る照明装置101の外観を示す平面図である。
【図9】図8のB1方向から見た照明装置101の平面図である。
【図10A】図9におけるB5−B6面の構造を示す端面図である。
【図10B】本発明の実施の形態3に係る照明装置151の外観を示す平面図である。
【図10C】図10BのB7方向から見た照明装置151の平面図である。
【図10D】図10CにおけるB8−B9面の構造を示す端面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る照明装置201の外観を示す平面図である。
【図12】図11のC1方向から見た照明装置201の平面図である。
【図13】図12におけるC3−C4面の構造を示す端面図である。
【図14】図12におけるC5−C6面の構造を示す端面図である。
【図15】本発明の実施の形態5に係る照明装置301の外観を示す平面図である。
【図16】図15のD1方向から見た照明装置301の平面図である。
【図17】図16におけるD3−D4面の構造を示す端面図である。
【図18】図16におけるD5−D6面の構造を示す端面図である。
【図19】本発明の実施の形態6に係る照明装置401の外観を示す平面図である。
【図20】図19のE1方向から見た照明装置401の平面図である。
【図21】図20におけるE3−E4面の構造を示す端面図である。
【図22】図20におけるE5−E6面の構造を示す端面図である。
【図23】本発明の実施の形態7に係る照明装置501の外観を示す平面図である。
【図24】図23のF1方向から見た照明装置501の平面図である。
【図25】図24におけるF3−F4面の構造を示す端面図である。
【図26】図24におけるF5−F6面の構造を示す端面図である。
【図27】筐体503のそりの緩和に関して説明する図である。
【図28】本発明の実施の形態8に係る照明装置701の外観を示す平面図である。
【図29】図28のH1方向から見た照明装置701の平面図である。
【図30】図28のH2方向から見た照明装置701の平面図である。
【図31】図29におけるH3−H4面の構造を示す端面図である。
【図32】図29におけるH5−H6面の構造を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る照明装置1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、照明装置1の外観を示す平面図である。図2は、図1のA1方向から見た照明装置1の平面図である。図3は、図1のA2方向から見た照明装置1の平面図である。図4は、図2におけるA3−A4面の構造を示す端面図であり、図5は、図2におけるA5−A6面の構造を示す端面図である。
【0024】
なお、ここでX方向とは、照明装置1の長手方向に沿った方向であるとする。また、Y方向は、端子4aと端子4bとを結ぶ直線(端子4cと端子4dとを結ぶ直線)に垂直な方向であるとする。また、Z方向は、端子4aと端子4bとを結ぶ直線(端子4cと端子4dとを結ぶ直線)に平行な方向であるとする。
【0025】
照明装置1は、キャップ2a、2bと、筐体3と、端子4a、4b、4c、4d(これらを特に識別する必要がないときは、端子4としてあらわす)と、弾性体5a、5bと、ネジ13とにより構成される。
【0026】
また、キャップ2a、2bと、筐体3とにより構成される内部には、支持体21と、基板22と、支持ブロック23a、23bと、ネジ24と、制御基板25a、25bと、固体発光素子26とが配置される。また筐体3の内壁面には支持プレート31a、31b、32a、32bが設けられる。
【0027】
照明装置1は、図1〜3に示すとおり、直管型の蛍光ランプを模した形状となっている。したがって使用する際は、直管型の蛍光ランプ用器具同様の器具にて点灯することができる。すなわち、照明装置1は、利用者にとって、従来からの照明である直管型の蛍光ランプと同様に使用することができ、違和感を当該利用者に覚えさせないという特徴を有する。
【0028】
キャップ2a、2bは、互いに同一に構成される、筐体3の両端を封止するキャップである。材質は任意であってよいが、耐候性、絶縁性、難燃性等を鑑み、発明者らは、難燃性ポリカーボネートにより、キャップ2a、2bを構成した。勿論必要に応じて、キャップ2a、2bを構成する材料は任意に選択してよい。
【0029】
筐体3は、透光性を有する材料により構成することが必要であるが、少なくとも固体発光素子26から発せられる光が照射される部分に透光性を有していればよい。
【0030】
発明者らは、耐候性、耐久性、難燃性等を鑑み、透光性を有する難燃性ポリカーボネートにより、筐体3を構成したが、目的用途に鑑み、透光性を有することを条件に任意にその構成する材料を選択してよい。
【0031】
なお、上記透光性の程度であるが、透明に近いものであってもよく、乳白色等に着色されたものであってもよい。透明に近いものとすることには、固体発光素子26から発せられた光のロスを最小化して、照明装置1の外部に取り出すことができるという点でメリットがある。
【0032】
一方、乳白色等に着色することは、固体発光素子26から発せられる光の指向性を緩和できるというメリットがある。すなわち、照明装置1の照明領域内の明るさの均一性を高めることにつながるというメリットがある。
【0033】
上記説明したことに基づき、筐体3の透光性の程度は、照明装置1の使用目的等に応じて設定してよい。
【0034】
また、筐体3には、支持プレート31a、31b、32a、32bが設けられている。これは、支持体21を、筐体3内に嵌合保持するために設けられている。このことについては、後ほど詳しく説明する。
【0035】
端子4は、キャップ2a、2bに夫々設けられる。直管型の蛍光ランプに設けられる端子に相当する形状として構成してよく、またそれ以外の形状としてもよい。直管型の蛍光ランプに設けられる端子に相当する形状とすることは、直管型の蛍光ランプ用の点灯器具のソケットをそのまま利用して照明装置1を使用できるというメリットがある。またそれ以外の形状とすることは、直管型の蛍光ランプの点灯器具に取り付けることが不可能となるため、直管型の蛍光ランプとの取り違え(誤使用)を容易に防ぐことができるという面でメリットがある。
【0036】
弾性体5a、5bは、互いに同一に構成される。キャップ2a、2bと、筐体3との間に配されるものであり、一方の端部が、キャップ2a、2bに挿入され、他方の端部が筐体3に挿入される。この挿入の際には、キャップ2a、2b、及び筐体3の内壁面と、弾性体5aとが気密性を有し、密着するように配置がなされる。また、キャップ2a、2b、筐体3、及び弾性体5a、5bは、防水性を有するため、キャップ2a、2b、及び筐体3から構成される照明装置1の内部空間に、水等が侵入することを防止することができる。
【0037】
なお、弾性体5a、5bについては、発明者らは安全性等を鑑み、難燃性のゴム材料にて構成した。
【0038】
ネジ13は、キャップ2aと支持ブロック23aとの接続、キャップ2bと支持ブロック23bとの接続に供されるものであり、キャップ2a、2b、及び筐体3から構成される照明装置1の内部空間に水等が侵入することを防止するため、ゴムパッキン付きの物を採用することが好ましい。なお、上記接続は、ピンなどネジ13以外のもので行っても良い。
【0039】
支持体21は、固体発光素子26を、基板22を介して支持(保持)するものであり、筐体3の中空構造内に配置される。照明装置1における、固体発光素子26の位置を規定する役割を担う。あわせて、固体発光素子26の駆動ロスとして発生する熱の処理にも利用される。この熱の処理については、後ほど詳しく述べるが、このことに対応するため、熱伝導率の高い材料(例えば金属であり、発明者らは加工の容易性、比重等を鑑みアルミニウムを採用)により構成する。
【0040】
基板22は、固体発光素子26が実装される基板である。支持体21同様、固体発光素子26の駆動ロスとして発生する熱の処理にも利用される。
【0041】
放熱に利用するため、基板22の固体発光素子26が実装される面の裏面は、支持体21と密着配置される。このようにすることにより、固体発光素子26の駆動ロスとして発生した熱は、基板22を介して支持体21に効率よく伝熱されることになる。
【0042】
ここで、基板22の材質であるが、上記のように固体発光素子26の駆動ロスとして発生した熱の伝熱に供されるため、熱伝導率の高い材料により構成することが好ましい。例えば、金属基板、チッ化アルミニウム基板、アルミナセラミック基板等は熱伝導率の高い基板であり、本目的に好適であるといえる。
【0043】
ただし、基板22は、上記基板と比較して、熱伝導率の低い基板であるガラスエポキシ基板により構成したとしても、十分に本目的に使用可能であることは、発明者らの試験で明らかとなっている。したがって、基板22をガラスエポキシ基板により構成してもよい。また、ガラスエポキシ基板とすることはコストの削減につながるというメリットもある。
【0044】
支持ブロック23a、23bは、互いに同一に構成される。支持ブロック23a、23bは、キャップ2a、2bと、支持体21との接続に供される。構成する材質は、金属であっても、樹脂であってもよいが、樹脂にて構成する場合は安全性等を鑑み、難燃性の材料にて構成することが好ましい。
【0045】
なお、支持ブロック23a、23bと、支持体21との接続は、任意の方法であってよいが、例えば図示するようにネジ24による固定を行ってよい。その他、ピン等により固定してもよい。
【0046】
制御基板25a、25bは、端子4と電気的に接続されると共に、基板22とも電気的に接続される。また、ヒューズ(不図示)等が実装されている。このヒューズ等は、例えば端子4aと基板22とを結ぶ電気回路経路上に配置され、照明装置1の外部から供給される電力に異常(過電流等)があった場合の対応として備えられる。
【0047】
また、制御基板25a、25bには、端子4から供給される電力が交流電力である場合に対応して、整流回路(ダイオードブリッジ回路:不図示)を実装してもよい。固体発光素子26は直流電力駆動であるため、前記整流回路(不図示)を制御基板25a、25bに実装することにより、端子4から供給される電力が交流電力であっても、適切に固体発光素子26を駆動することができる。
【0048】
また、制御基板25a、25bは、キャップ2a、2bの中空構造内に配置される。さらに、図4において、図示するようにY方向(Z方向)に沿って、配置することにより、X方向の占有領域が最小化される。このことは、X方向の固体発光素子26の配置可能領域が広がることにつながり、よって照明装置1の照明可能領域の拡大につながるというメリットがある。
【0049】
固体発光素子26は、例えばLEDであり、発明者らは、照明装置1を照明用途に使用することを鑑み投入電力が1WクラスのハイパワーLEDを採用した。また、採用した前記ハイパワーLEDは表面実装型である。電極の面積が大きく、それ故基板22との接する面積が大きくなり、その駆動ロスとして発生した熱の効果的な放熱を実現できるものである。
【0050】
以上のような構成要素により、照明装置1は構成される。
【0051】
ここで、照明装置1においては、キャップ2a、2bは、支持体21と、支持ブロック23a、23bを介して固定されるが、筐体3とは固定されない。
【0052】
この理由であるが、環境温度の変動に伴う、照明装置1のX方向の長さの変動を最小限に抑えるためである。筐体3を難燃性ポリカーボネート、支持体21をアルミニウムにより構成した場合において、難燃性ポリカーボネート、及びアルミニウムの線膨張係数を比較すると、難燃性ポリカーボネートのほうが大幅に大きくなる。そのため、もし、キャップ2a、2bを、支持体21ではなく、筐体3に固定したのであれば、難燃性ポリカーボネートの線膨張係数に基づき、環境温度の変動に伴う、照明装置1のX方向の長さの変動が発生してしまう。
【0053】
上記のように、難燃性ポリカーボネートの線膨張係数は、アルミニウムのそれと比較して大きいため、環境温度の変動に伴う、照明装置1のX方向の長さの変動は大きくなってしまう。このことは、最悪の場合、照明装置1が取り付けられる器具(不図示)より、照明装置1が落下してしまうことにつながりかねない。
【0054】
一方上記のように、本発明の照明装置1においては、キャップ2a、2bは、支持体21と、支持ブロック23a、23bを介して固定しているため、アルミニウムの線膨張係数に基づき、環境温度の変動に伴う、照明装置1のX方向の長さの変動が発生する。
【0055】
アルミニウムの線膨張係数は小さいため、環境温度の変動に伴う、照明装置1のX方向の長さの変動は小さくなる。よって、上記のような落下のリスクの発生を回避することができる。
【0056】
なお、筐体3のX方向の長さが、環境温度の変化により変動した場合においても、弾性体5a、5bによる、キャップ2a、2b、及び筐体3より構成される内部空間の気密性は確保することができる。すなわち、環境温度の変化が発生しても、照明装置1は防水性を発揮した照明装置として機能する。
【0057】
また、上記に加え、筐体3と支持体21とは固定されない。もし固定された場合、それらを構成する材質の線膨張係数の違いにより、環境温度が変化した際に、それらにストレスがかかることに基づき、破損等が生じる可能性があるためである。
【0058】
以下では、照明装置1の放熱機構について説明する。なお、照明装置1において放熱機構を設けることが必要な理由であるが、固体発光素子26の長寿命性等を発揮させるためである。固体発光素子26は、内部のジャンクション温度が所定の温度(種類によって異なるが、例えば80度)を超えると、劣化が進みその長寿命性等の優れた性能が発揮できなくなる。したがって、固体発光素子26のジャンクション温度が、上記所定の温度を超えないよう放熱機構を設ける必要がある。
【0059】
まず、照明装置1において放熱に供する各部品についての熱伝導性について説明する。
【0060】
筐体3は、発明者らが採用した難燃性ポリカーボネートをはじめ、一般に熱伝導率が低い材料により構成される(ただし、これらの熱伝導率は、空気の熱伝導率より高い)。しかしながら、筐体3の壁面の厚みは薄く(発明者らの試作においては1[mm]以下)、そのため熱伝導性を確保することができる。
【0061】
支持体21については、熱伝導率の高い材料(金属:発明者らはアルミニウムを採用)により構成しており、当然に熱伝導性が高い。
【0062】
基板22は、金属等熱伝導率の高い材料により構成した場合には、当然に熱伝導性を高く構成することができる。また、筐体3の壁面と同様に、厚みは薄い(発明者らの試作においては2[mm]以下)。したがって、ガラスエポキシ等熱伝導率の低い材料により構成しても、熱伝導性を確保することができる。
【0063】
ここで、照明装置1においては、支持体21と基板22とを、接着剤等により密着配置の上、固定している。これは、上記のように熱伝導率の低い空気の影響を避けるためであり、このように密着及び固定することで、支持体21と基板22との界面に空気が侵入することを防いでいる。
【0064】
一方、筐体3と支持体21とも、同様に密着させることが空気の影響を避ける意味で必要であるが、上記のように筐体3と支持体21とは、接着剤等により固定することは好ましくない。そこで、筐体3の内壁面、かつ固体発光素子26の発光方向の両側面に設けられ、筐体3の長手方向(X方向)に沿って筐体3と一体に形成される支持プレート31a、31bと、筐体3の内壁面に設けられ、かつ固体発光素子26の非発光方向に設けられ、筐体3の長手方向(X方向)に沿って筐体3と一体に形成される支持プレート32a、32bとの間に、支持体21を嵌合配置することで、筐体3と支持体21との密着配置を実現している。
【0065】
特に、支持体21の筐体3の内壁面に面する面の形状を、その内壁面の形状に対応する形状とすることで、より確実な筐体3と支持体21との密着配置を実現することができる。
【0066】
ここで、照明装置1に投入する電力や、照明装置1の大きさ、支持体21、基板22、及び筐体3の材質、基板22の支持体21への固定具合(密着具合)等前提条件が同一の場合においては、筐体3と支持体21との密着具合(すなわち、それらの間に存在する空気の量)により、照明装置1の放熱性能が定まる。
【0067】
これは、筐体3と支持体21との間に存在する空気の量の増加に伴い、支持体21から筐体3へ伝わる熱の伝熱速度が低下するからである。
【0068】
伝熱速度が低下した場合、支持体21に滞在する熱量が大きくなってしまう。このことは、それに密着配置される基板22の温度上昇につながり、さらに基板22に実装される固体発光素子26(それのジャンクション温度)の温度上昇につながるため問題である。
【0069】
そこで、発明者らは、上記にも説明したように、支持プレート31a、31bと、支持プレート32a、32bとの間に、支持体21を嵌合配置した。
【0070】
以上のことにより、長期にわたり、筐体3と支持体21との密着配置を実現及び維持することができる。すなわち、照明装置1の製造直後だけでなく、長期にわたりその密着配置を実現及び維持することができる。
【0071】
このことにより、照明装置1の使用期間全てにわたり、筐体3と支持体21との間に存在する空気の量をできるだけ少なくし、支持体21から筐体3へ伝わる熱の伝熱速度が低下することを防止した。このことにより、この問題の発生そのものを回避することができる(すなわち、固体発光素子26(それのジャンクション温度)の過剰な温度上昇をさけることができる)。
【0072】
ここで、上記伝熱速度の問題に対する別の対応方法としては、支持体21の熱容量を増加させるということが挙げられる。支持体21の熱容量を増加させることにより、たとえ使用期間中に、筐体3と支持体21との密着配置が解かれ、それらの間に存在する空気の量が多くなり、支持体21に滞在する熱量が大きくなった場合においても、支持体21の温度上昇を低減することができ、これにより固体発光素子26の温度上昇も低減することができる。
【0073】
しかしながら、支持体21の熱容量を大きくするということは、支持体21の重量を大きくすることにつながる。そのため、いたずらに支持体21の熱容量を大きくすることは、支持体21の重量増加、すなわち照明装置1そのものの重量増加につながってしまう。
【0074】
したがって、上記支持体21の熱容量を増加させるということによる、この問題への対応は、必ずしも適切ではない。
【0075】
一方、照明装置1が備える放熱機構は、上記の通り、この問題の発生そのものを回避し、熱容量を大きくする必要がない。したがって、支持体21を軽量化(すなわち支持体21の熱容量を削減)しても、所望の放熱性能を得られることができることを確認している。
【0076】
なお、支持体21を使用せず、基板22を直接筐体3に密着配置することも考えられるが、支持体21は上記のように熱容量を削減(軽量化)したとしても、照明装置1における放熱機構等に一定の役割を果たしている。
【0077】
したがって、基板22を直接筐体3に密着配置したとしても、支持体21の構成を含むものとして基板22を構成する必要がある。そのように構成しなければ、固体発光素子26に悪影響を及ぼす温度上昇が生じてしまう等、問題が生じる。
【0078】
ここで、照明装置1の長手方向(X方向)の長さが長い場合においては、筐体3の長手方向の長さも当然に長くなる。そのため、筐体3がそりやすいという問題がある。発明者らは筐体3を構成する材料として、上記のごとくポリカーボネートを採用しているが、その長さが長くなるとそりやすいという傾向がある。
【0079】
特に、照明装置1においては、筐体3の内壁面の一部に支持体21を密着させることで放熱機構を構成している。すなわち、筐体3が局所的に熱せられることになり、熱せられた部分のみに伸びが生じることに基づき、そりが発生してしまうことが危惧される。
【0080】
ここで、照明装置1においては、支持プレート31a、31b、32a、32bにより、筐体3の内部に支持体21を嵌合の上配置している。このことは、上記説明した長期にわたり、筐体3と支持体21との密着配置を実現及び維持することができることによる、照明装置1の放熱性の使用期間全てにわたる維持だけでなく、筐体3のそりを矯正するという効果もある。
【0081】
ただし、上記説明したことに基づき、支持体21を軽量化することは、その剛性を低下させることにつながる。支持体21の剛性が低下した場合には、筐体3のそりを矯正する能力が低下することになり、支持プレート31a、31b、32a、32bにより、筐体3の内部に支持体21を嵌合の上配置した場合においても、筐体3のそり(すなわち照明装置1自体のそり)が発生してしまうことが考えられる。
【0082】
ここで、筐体3と支持体21との密着配置は、支持プレート31a、31b、32a、32bを用いて、筐体3の内部に支持体21を嵌合の上配置することにより、たとえ照明装置1自体にそりが発生しても維持される。したがって、このように照明装置1自体にそりが発生しても、照明装置1の放熱性は低下しない。
【0083】
しかしながら、照明装置1にそりが発生することは、別の問題を生じることになる。この別の問題とは、照明装置1の外観上の美観を損ない、よって利用者の利便性を損なうことである。したがって、照明装置1にそりが発生することは避けるべきである。
【0084】
そりの問題への対応方法の一つとしては、筐体3の内壁面のうち、支持体21と密着する部分を選択的に設定するということが挙げられる。図6、図7はこのことを説明する図であり、図6は、筐体3の一方向のみが熱せられた場合(支持体21との密着する部分が、筐体3の一方向のみであった場合)を示すものである。
【0085】
また、図7は、筐体3の中心軸(図7(b)参照)に対称に両側面が熱せられた場合(支持体21との密着する筐体3の内壁面の領域が、筐体3の中心軸に対称な両側面であった場合であり、本発明の照明装置1はこのように構成される)を示すものである。
【0086】
まず図6の場合においては、図6(a)、図6(b)に示すとおり、一方向のみ熱せられる。この場合においては、図面下方向のみが熱せられている。
【0087】
熱せられた部分は、筐体3を構成する材質(発明者らは、難燃性ポリカーボネートを採用)の線膨張係数に従い伸びてしまう。一方、熱せられない部分については、当然に伸びない。このことに基づき、図6(b)に示すように、図面下方向にそりを発生させようとする力が働く。その結果、図6(c)に示すように図面下方向に凸状にそってしまうこととなる。
【0088】
次に図7の場合(本発明の照明装置1の場合)においては、図7(a)、図7(b)に示すとおり、筐体3の中心軸に対称に両側面が熱せられる。この場合においては、図7(b)における図面左右方向が熱せられる。
【0089】
その結果、図7(b)に示すように、高温領域71aには、図面左方向にそりを発生させようとする力が働き、高温領域71bには、図面右方向にそりを発生させようとする力が働く。すなわち、これらのそりを発生させようとする力は互いに逆方向となり、キャンセルされることになる。したがって、図7(c)のように、この場合においては筐体3にそりは殆ど発生しない。
【0090】
なお、図7に示すように、高温領域71a、71bは、筐体3の水平中心軸上(図7(b)参照)には無いため、厳密にはそりを発生させようとする力は、高温領域71aにおいては図面左斜め下方向、高温領域71bにおいては図面右斜め下方向となる。したがって、完全には逆方向にはならないが、それらそりを発生させようとする力のかなりの部分がキャンセルされるためそりの発生を抑制することができる。
【0091】
このように、筐体3で発生するそりを抑制することにより、支持体21の軽量化に伴う剛性の低下の影響を避けることができ、結果として照明装置1の長手方向(X方向)の長さが長い場合であっても、照明装置1に発生するそりを抑制することができる。
【0092】
さらに、照明装置1における支持体21は、図5に示すように、端面(断面)が略H字形状に構成される。このことにより、支持体21の軽量化を図ったとしても、剛性の低下を抑制することができる。すなわちこのことによっても、照明装置1に発生するそりを抑制することができる。
【0093】
以上の効果が相俟って、照明装置1自体のそりは抑制される。
【0094】
ここで、特許文献1には、直管型のLED照明装置である防水照明装置が開示されている。
【0095】
この防水照明装置においては、直管型の透明円筒部内に挿入されたLEDからロスとして発生した熱は、具備する放熱プレートにより放熱することができるとされている。
【0096】
しかしながら、特許文献1に開示される防水照明装置は、長手方向に長いLED照明装置として実現することは困難であると考えられる。
【0097】
この理由であるが、特許文献1に開示される防水照明装置の長手方向の長さが長い場合においては、その直管に相当する円筒部も当然に長くなる。この場合において、円筒部は長くなることに基づき、そりやすくなる。ここで、特許文献1に開示される防水照明装置には、このそりに対する対応は示唆されていない。したがって上記そりが発生した場合には、そりが発生した状態が当該防水照明装置の外観上の形状となってしまう。このことは、外観上の美観を損ない、よって利用者の利便性を損なうことにつながりかねない。したがって、特許文献1に開示される防水照明装置は、長手方向に長いLED照明装置として実現することは困難であると考える。
【0098】
一方、本発明の照明装置1においては、支持プレート31a、31b、32a、32bにより、筐体3の内部に支持体21を嵌合の上配置している。このことは、長期にわたり、筐体3と支持体21との密着配置を実現及び維持することができることによる、照明装置1の放熱性の使用期間全てにわたる維持だけでなく、筐体3のそりを矯正するという効果もある。
【0099】
また、筐体3のそりを矯正する効果は、支持体21を軽量化するに従ってその剛性が低下するため、減少する可能性がある。しかしながら、支持体21は、図5に示すように、端面(断面)が略H字形状に構成することにより、その軽量化を図っても、剛性の低下を抑制することが可能である。
【0100】
さらに、筐体3と支持体21とが、密着配置される部分が、筐体3の中心軸(図7(b)参照)に対称になるよう構成されている。このような構成により、図7(b)に示すように、高温領域71aには、図面左方向にそりを発生させようとする力が働き、高温領域71bには、図面右方向にそりを発生させようとする力が働く。
【0101】
すなわち、これらのそりを発生させようとする力は互いに逆方向となり、キャンセルされることになる。したがって、図7(c)のように、この場合においては筐体3にそりは殆ど発生しない。
【0102】
以上のような構成により、本発明の照明装置1においては、照明装置1の長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0103】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る照明装置101について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0104】
図8は、照明装置101の外観を示す平面図である。図9は、図8におけるB1方向から見た照明装置101の平面図である。図10Aは、図9におけるB5−B6面の構造を示す端面図である。
【0105】
照明装置101が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体103に変更される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0106】
筐体103には、筐体3に設けられていた支持プレート31a、31bに変わり、支持プレート131a、131bが設けられる。
【0107】
この、支持プレート131a、131bも、支持プレート31a、31b同様に、筐体103の内壁面、かつ固体発光素子26の発光方向の両側面に設けられ、筐体103の長手方向(X方向)に沿って筐体103と一体に形成される。
【0108】
そしてやはり、支持プレート32a、32bとの間に支持体21を嵌合配置することで、筐体103と支持体21との密着配置を実現している。
【0109】
さらに、支持プレート131a、131bには、基板22を、支持体21を介して、支持プレート32a、32bとの間に嵌合配置できるよう段が設けられている。
【0110】
このように基板22を嵌合配置することで、支持体21からの基板22の浮き上がり(剥がれ)を防止できるという効果がある。
【0111】
ここで、支持体21と基板22とは、接着剤等により密着配置の上、固定している。したがって、通常であれば、支持体21からの基板22の浮き上がりは想定されない。したがって、支持プレート131a、131bによる基板22の嵌合配置は万が一に備えたものではあるが、このように構成することにより、もし支持体21からの基板22の浮き上がりが発生した場合にも、照明装置101の放熱性を維持できるという効果がある。
【0112】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る照明装置151について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0113】
図10Bは、照明装置151の外観を示す平面図である。図10Cは、図10BにおけるB7方向から見た照明装置151の平面図である。図10Dは図10CにおけるB8−B9面における構造を示す端面図である。
【0114】
照明装置151が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体153に変更される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0115】
筐体153には、支持プレート31a、31b、32a、32bに加え、基板支持プレート161a、161bが設けられる。
【0116】
この、基板支持プレート161a、161bも、支持プレート31a、31b同様に、筐体153の内壁面、かつ固体発光素子26の発光方向の両側面に設けられ、筐体153の長手方向(X方向)に沿って筐体153と一体に形成される。
【0117】
基板支持プレート161a、161bは、基板22を、支持体21を介して、支持プレート32a、32bとの間に嵌合配置する役割を担う。
【0118】
したがって、基板支持プレート161a、161bが設けられる筐体153が用いられる照明装置151は、照明装置101同様に、もし支持体21からの基板22の浮き上がりが発生した場合にも、放熱性を維持できるという効果がある。
【0119】
また、ここで、基板支持プレート161a、161bの別の利用方法として以下のことが挙げられる。
【0120】
別の利用方法とは、固体発光素子26から発せられた光の反射材として、基板支持プレート161a、161bを利用するものである。このように、基板支持プレート161a、161bを反射材として利用することで、固体発光素子26から発せられた光の広がりを抑えることができる。
【0121】
したがって、光の広がりを抑えた照明として照明装置151を使用する場合には、上記のように基板支持プレート161a、161bを反射材として利用することにメリットがある。
【0122】
なお、基板支持プレート161a、161bを反射材として使用する場合には、それらの表面の反射率を高めることが必要である。これは、例えば、基板支持プレート161a、161bを白色に着色したり、アルミニウムコートすることにより実現できる。
【0123】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る照明装置201について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0124】
図11は、照明装置201の外観を示す平面図である。図12は、図11におけるC1方向から見た照明装置201の外観を示す平面図である。図13は、図12におけるC5−C6面における構造を示す端面図である。
【0125】
照明装置201が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体203に、支持体21が支持体221に、基板22が基板222a、222bに、支持ブロック23a、23bが支持ブロック223a、223bに、ネジ24がネジ224に変更される点である。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0126】
筐体203には、支持プレート231a、231b、232a、232bが設けられる。支持プレート231a、231bは、筐体203の内壁面、かつ基板222aに実装される固体発光素子26の発光方向の両側面に設けられ、筐体203の長手方向(X方向)に沿って筐体203と一体に形成される。
【0127】
また、支持プレート232a、232bは、筐体203の内壁面、かつ基板222bに実装される固体発光素子26の発光方向の両側面に設けられ、筐体203の長手方向(X方向)に沿って筐体203と一体に形成される。
【0128】
このように構成される支持プレート231a、231bと、支持プレート232a、232bとの間に支持体221を嵌合配置する。
【0129】
支持体221は、照明装置201の発光方向を2方向にするために、支持体21を変更したものであり、材質等は支持体21と同様である。
【0130】
また、基板222a、222b、支持ブロック223a、223b、ネジ224の変更についても同様に、照明装置201の発光方向を2方向にするために、基板22、支持ブロック23a、23b、ネジ24を変更したものであり、材質等は変更前と同様である。
【0131】
以上のように構成される照明装置201は、発光方向が2方向になる。さらに、照明装置1と同様に、支持プレート231a、231b、232a、232bにより、筐体203の内部に支持体221を嵌合の上配置している。このことは、長期にわたり、筐体203と支持体221との密着配置を実現及び維持することができることによる、照明装置201の放熱性の使用期間全てにわたる維持だけでなく、筐体203のそりを矯正するという効果もある。
【0132】
また、筐体203のそりを矯正する効果は、支持体221を軽量化するに基づきその剛性が低下するため、減少する可能性がある。しかしながら、支持体221は、図14に示すように、端面(断面)が略H字形状に構成することにより、その軽量化を図っても、剛性の低下を抑制することが可能である。
【0133】
さらに、筐体203と支持体221とが、密着配置される部分が、筐体203の中心軸(図14参照)に対称になるよう構成されている。
【0134】
このような構成により、支持プレート231a、232a付近が熱せられることに基づく、図14における図面左方向にそりを発生させようとする力と、支持プレート231b、232b付近が熱せられることに基づく、図14における図面右方向にそりを発生させようとする力とが、互いに逆方向になり、キャンセルされることになる。したがって、筐体203にそりは殆ど発生しない。
【0135】
以上のような構成により、本発明の照明装置201においては、照明装置1同様、照明装置1の長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0136】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5に係る照明装置301について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0137】
図15は、照明装置301の外観を示す平面図である。図16は、図15におけるD1方向から見た照明装置301の平面図である。図17は、図16におけるD3−D4面の構造を示す端面図である。図18は、図16におけるD5−D6面の構造を示す端面図である。
【0138】
照明装置301が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体303に変更される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0139】
混入部303bは、固体発光素子26の非発光方向に設けられ、支持体21がその内壁面に密着配置される領域を含み構成される。一方、通常部303aは、それ以外の領域であり、固体発光素子26の発光方向を含み構成される。
【0140】
ここで、混入部303bの線膨張係数は、通常部303aの線膨張係数より小さい。混入部303bの線膨張係数を小さくすることにより、支持体21より伝熱される熱による伸びは低減される。したがって、それに基づく混入部303bのそりを発生させようとする力を低減することができ、よって筐体303のそりを抑制することができるという効果を発揮する。
【0141】
なお、混入部303bの線膨張係数を通常部303aと比較して小さくすることは、例えば、通常部303aを構成する難燃性ポリカーボネート(これは、筐体3を構成する材料と同一である)に、ガラスパウダー、ガラス繊維等を混入した材料により、混入部303bを構成することにより実現できる。ガラス繊維を混入する場合において、ガラス含有率10[%]とすることで、ガラス繊維を混入しない場合と比較して、約40[%]線膨張係数を低減することができる。
【0142】
勿論、これ以外の方法により、混入部303bの線膨張係数を、通常部303aの線膨張係数より小さくしてもよい。
【0143】
ここで、混入部303bのみならず通常部303aにもガラス繊維を混入する(すなわち筐体303全体を、ガラス繊維を混入した難燃性ポリカーボネートにより構成する)ことは、その製造が簡単となるため、一見製造に係るコストを低減する意味で、効果的であるかと思える。
【0144】
しかしながら、ガラス繊維等を混入することにより、透光性が低下する。そのため固体発光素子26から発せられる光の経路上に、このガラス繊維等が混入した難燃性ポリカーボネートが配されることは適切ではない。
【0145】
一方、混入部303bについては、固体発光素子26から発せられる光の経路にはあたらず、ガラス繊維等を混入することによる透光性の低下は、問題とならない。したがって、本照明装置301に係る筐体303のように、固体発光素子26から発せられる光の経路となる通常部303aについては、ガラス繊維を混入せずに(すなわち、通常の難燃性ポリカーボネートにより)構成し、混入部303bについては、ガラス繊維を混入し、その線膨張係数を小さくすることが効果的である。
【0146】
また、通常部303aと混入部303bとは、一体に形成することが可能である。したがって、筐体303全体を、ガラス繊維を混入した難燃性ポリカーボネートにより構成する場合と比較しても、製造コストに大差は生じない。
【0147】
以上説明したことに基づき、筐体303のそりを抑制することができる。したがって、照明装置301は、長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0148】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6に係る照明装置401について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0149】
図19は、照明装置401の外観を示す平面図である。図20は、図19におけるE1方向から見た照明装置401の平面図である。図21は、図20におけるE3−E4面の構造を示す端面図である。図22は、図20におけるE5−E6面の構造を示す端面図である。
【0150】
照明装置401が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体403に変更される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0151】
筐体403には、筐体3に対し、内部筐体411が設けられる。内部筐体411は、筐体403と一体に形成され、筐体403の長手方向(X方向)に沿って、固体発光素子26の発光方向側に形成される。
【0152】
この内部筐体411は、筐体403の剛性を高めるために設けられるものである。すなわち、内部筐体411が存在することにより、長手方向(X方向)の長さが長い場合におけるそりの発生をさらに抑制することができ、より利用者の利便性を向上させるという効果を発揮する。
【0153】
なお、内部筐体411は、図22にあらわれるようにアーチ状に構成することは、図22下方向にそりを発生させようとする力に対する、筐体403の耐性を向上する意味で効果的である。
【0154】
また、内部筐体411は、固体発光素子26から発せられる光の経路上に存在するため、透光性を有することが必要である。例えば、略透明として構成することにより、固体発光素子26から発せられる光に対する影響を低減することができる。
【0155】
以上のような構成により、本発明の照明装置401においては、照明装置401の長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0156】
なお、筐体403については、図6にて説明したように、仮に一方向のみが熱せられる場合においても内部筐体411の存在による剛性の増加により、筐体3とくらべて発生するそりを抑制することができることも確認している。
【0157】
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態7に係る照明装置501について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0158】
図23は、照明装置501の外観を示す平面図である。図24は、図23におけるF1方向から見た照明装置501の平面図である。図25は、図24におけるF3−F4面の構造を示す端面図である。図26は、図24におけるF5−F6面の構造を示す端面図である。
【0159】
照明装置501が、照明装置1と異なる点は、筐体3が筐体503に変更される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0160】
筐体503には、筐体3に対し、内部筐体511が設けられる。内部筐体511は、筐体503と一体に形成され、筐体503の長手方向(X方向)に沿って、固体発光素子26の非発光方向に形成される(非発光方向に形成される点で、内部筐体411と異なる)。
【0161】
この内部筐体511は、筐体503の剛性を高めるために設けられるものである。この点で、内部筐体411と同様の機能を有するものであり、その存在により、長手方向(X方向)の長さが長い場合におけるそりの発生をさらに抑制することができる。
【0162】
以上のような構成により、本発明の照明装置501においては、照明装置501の長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0163】
なお、内部筐体511は、仮に、図27(a)、図27(b)に示すように、内部筐体511を含む筐体503の一方向が熱せられた場合にもそりを抑制する機能を有する。
【0164】
すなわち、高温領域561の存在に基づく高温領域561内の外周部562の伸びにより図27(b)図面下方向にそりを発生しようとする力と、高温領域561内の内部筐体511の伸びにより図27(b)図面上方向にそりを発生させようとする力とが、逆方向となり、キャンセルされることになる。したがって、図27(c)のように、内部筐体511を含む筐体503の一方向が熱せられた場合にも、筐体503には、そりが殆ど発生しない。
【0165】
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8に係る照明装置701について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0166】
図28は、照明装置701の外観を示す平面図である。図29は、図28におけるH1方向から見た照明装置701の平面図である。図30は、図28におけるH2方向から見た照明装置701の平面図である。図31は、図29におけるH3−H4面における構造を示す端面図である。図32は、図29におけるH5−H6面における構造を示す端面図である。
【0167】
照明装置701が、照明装置1と異なる点は、強化筐体711が追加される点のみである。その他の構成要素については、照明装置1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0168】
強化筐体711は、剛性の高い材料、例えば金属(発明者らは、ステンレスを採用)により構成され、固体発光素子26から発せられる光の経路と干渉しない範囲内で、筐体3の表面に取り付けられる。
【0169】
この強化筐体711は、上記のように剛性が強いため、仮に筐体3(照明装置1)にそりが発生しようとしても、そのそりを矯正することができる。
【0170】
したがって、本発明の照明装置701においては、照明装置701の長手方向(X方向)の長さが長い場合においてもそりの発生を抑制することができ、外観上の美観を損なうことや、利用者の利便性を損なうことが発生しない。
【0171】
なお、強化筐体711を金属により構成した場合は、金属が外部に露出する。このことは、感電の可能性等安全性の側面から見れば、一見好ましく無いようにも思える。
【0172】
しかしながら、筐体3は絶縁体(上記のごとく、発明者らは難燃性ポリカーボネートを採用)であり、それを介して、強化筐体711が取り付けられるため安全性に問題は生じない。
【0173】
なお、本発明の照明装置1、101、151、201、301、401、501、701は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変形して実施することができる。
【0174】
例えば、強化筐体711を、照明装置101、151等に取り付けてもよい。また、支持プレート231a、231b、232a、232bを、支持プレート131a、131bに相当する形状とすることも効果的である。支持プレート131a、131bに相当する形状とした支持プレート231a、231bと、支持プレート232a、232bとの間に、支持体221、基板222a、222bを嵌合配置することにより、基板222a、222bの支持体221からの浮き上がりを防止ことができる。
【0175】
また、筐体3等のその内壁面が、支持体21等と密着配置される部分の厚みを、当該密着配置がされない部分の厚みと比較して薄くすることも、照明装置1等のそりの発生を抑制する意味で、効果的である。
【0176】
支持体21等と密着配置される部分の厚みが薄いため、その部分が伸びることによりそりを発生させようとする力は相対的に弱くなり、剛性の強い当該密着配置がなされない部分(すなわち、そりを発生させようとする力が働かない部分)の存在により、そりの発生は抑制される。
【0177】
また、筐体3等を長手方向(X方向)に複数に分割することも、照明装置1等のそりの発生を抑制する意味で、効果的である。分割された各個体のX方向の長さは短くなるため、そりの発生が抑制されるからである。
【0178】
なお、分割された各個体は、互いに柔軟性を有するコネクタ(不図示)で接続し、さらに、照明装置1等に防水性を持たせる場合には、当該コネクタにより接続される部分から水等が侵入しないように構成する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明は、照明装置に適用でき、特に、光源にLEDなどの固体発光素子を用いた照明装置に適用できる。
【符号の説明】
【0180】
1、101、151、201、301、401、501、701 照明装置
2a、2b キャップ
3、103、153、203、303、403、503、 筐体
4、4a、4b、4c、4d 端子
5a、5b 弾性体
13、24、224 ネジ
21、221 支持体
22、222a、222b 基板
23a、23b、223a、223b 支持ブロック
25a、25b 制御基板
26 固体発光素子
31a、31b、32a、32b、131a、131b、231a、231b、232a、232b、331a、331b、332a、332b 支持プレート
61、71a、71b、561 高温領域
161a、161b 基板支持プレート
303a 通常部
303b 混入部
411、511 内部筐体
562 外周部
711 強化筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子を用いた照明装置であって、
前記固体発光素子を支持する支持手段と、
長手方向に沿った中空構造内に前記支持手段が配置され、少なくとも前記固体発光素子の発光方向に透光性を有する筐体手段と
を備え、
前記支持手段と前記中空構造の内壁面の所定の領域とは密着配置され、
前記筐体手段の長手方向に垂直な任意の端面において、前記所定の領域は前記任意の端面の中心軸に対称な両側面に位置する
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記筐体手段は、さらに、
前記中空構造の内壁面、かつ前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第1支持プレートと、
前記中空構造の内壁面、かつ前記固体発光素子の非発光方向に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第2支持プレートと
を備え、
前記支持手段は、
前記第1支持プレートと、前記第2支持プレートとの間に位置することで、前記筐体手段と嵌合配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記筐体手段は、
前記所定の領域を含み、前記固体発光素子の非発光方向に設けられる第1領域と、
前記第1領域以外の領域を構成する第2領域と
により構成され、
前記第1領域は、前記第2領域より線膨張係数が低減された材料により構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2領域は、難燃性ポリカーボネートにより構成され、
前記第1領域は、前記第2領域を構成する難燃性ポリカーボネートに、ガラス繊維又はガラスパウダーが混入された材料により構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記筐体手段は、さらに、
前記中空構造の内壁面、かつ前記支持手段の一方の面に支持される前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第3支持プレートと、
前記中空構造の内壁面、かつ前記支持手段の他方の面に支持される前記固体発光素子の発光方向の両側面に設けられ、該筐体手段の長手方向に沿って該筐体手段と一体に形成される第4支持プレートと
を備え、
前記支持手段は、
前記第3支持プレートと、前記第4支持プレートとの間に位置することで、前記筐体手段と嵌合配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−165647(P2010−165647A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9290(P2009−9290)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(300085037)株式会社モモ・アライアンス (34)
【Fターム(参考)】