説明

照明装置

【課題】 製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきに起因する入出力特性のばらつきを低減することができる照明装置を提供する。
【解決手段】 照明装置1は、光出力を指示する入力指示値Crが入力される指示入力部2と、指示入力部2に入力された入力指示値Crを所定の変換関数に代入することで制御指示値Ctに変換して出力する指示変換部4と、指示変換部4が出力した制御指示値Ctに応じた光出力で電気的な光源を点灯させる点灯部3と、変換関数の変更の指示が入力される設定入力部5とを備える。指示変換部4は、設定入力部5への入力に応じて変換関数を変更する。照明装置1毎に設定入力部5への入力で変換関数を適宜変更することにより、複数個の照明装置1間での製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきに起因する入出力特性のばらつきを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図5に示すように、光出力を指示する指示値が入力される指示入力部2と、指示入力部2に入力された指示値に応じた光出力(すなわち見た目の明るさであり、単位時間当りの光量)で電気的な光源LAを点灯させる点灯部3とを備える照明装置1が提供されている。
【0003】
この種の照明装置1は、指示値を出力する調光器CTに対して複数個を接続して用いられる。指示値は、例えば信号レベルがHレベルとLレベルとの間で周期的に変化するPWM信号と呼ばれる電気信号を媒体として伝送され、この場合、指示値はオンデューティ(すなわち1周期中にHレベルが占める割合)として表現される。上記のようなPWM信号に対応した指示入力部2は、例えば、周知のインピーダンス整合回路(図示せず)と、調光器CTから入力されたPWM信号を平滑化することで上記のオンデューティに応じた直流電圧に変換する周知の平滑回路(図示せず)と、この平滑回路が出力した直流電圧をA/D変換して後段に出力する周知のA/D変換回路(図示せず)とを備える。
【0004】
光源LAとしては例えば発光ダイオードアレイや放電灯を用いることができる。光源LAとして発光ダイオードアレイが用いられる場合には、点灯部3としては周知の直流電源回路を用いることができ、光源LAの光出力の変化は例えば間欠点灯において1周期中の点灯時間の割合(オンデューティ)を変化させるというオンデューティ制御によって実現することができる。上記のオンデューティ制御では、間欠点灯の周波数は、人の目に点滅として認識できない程度に十分に高い周波数とされる。また、光源LAとして一般的な熱陰極型の放電灯が用いられる場合には、点灯部3としては光源LAに対して交流電力を出力する周知のインバータ回路を用いることができ、光源LAの光出力の変化は例えば点灯部3が光源LAに出力する交流電力の周波数を変化させることによって実現することができる。いずれの場合にも、点灯部3は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0005】
ここで、一般に、点灯部3に入力される指示値と光出力との関係は、光源LAや点灯部3の種別によって異なる。このため、調光器CTが出力した指示値が点灯部3に直接入力される場合には、調光器CTから複数個の照明装置1に対して共通の指示値が入力されていても、光源LAの光出力が照明装置1毎に異なってしまう可能性があった。
【0006】
そこで、図5の例では、調光器CTから指示入力部2に入力された指示値(以下、「入力指示値」と呼ぶ。)Crを適宜変換して制御指示値Ctとして点灯部3に入力する指示変換部4が、各照明装置1にそれぞれ設けられている(例えば、特許文献1参照)。この構成を採用すれば、光源LAや点灯部3の種別に応じた変換を指示変換部4で行うことにより、一定の指示値に対する光源LAの光出力を照明装置1間で揃えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−231491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光源LAや点灯部3が互いに同種である照明装置1間にも、製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきにより、入力される指示値Ctと光源LAの光出力との対応関係(以下、「入出力特性」と呼ぶ。)のばらつきが生じることがある。しかしながら、製造後において指示変換部4での変換の内容を変更不可能とした場合には、上記のような入出力特性のばらつきを解消することができなかった。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきに起因する入出力特性のばらつきを低減することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、光出力を指示する入力指示値が入力される指示入力部と、前記指示入力部に入力された入力指示値を所定の変換関数に代入することで制御指示値に変換して出力する指示変換部と、前記指示変換部が出力した制御指示値に応じた光出力で電気的な光源を点灯させる点灯部と、前記変換関数の変更の指示が入力される設定入力部とを備え、前記指示変換部は、前記設定入力部への入力に応じて前記変換関数を変更することを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記指示入力部が前記設定入力部を兼ねていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、前記設定入力部として、前記変換関数の変更を指示するワイヤレス信号を受信する受信手段を備えることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記設定入力部として、前記変換関数の変更を指示する操作入力を受け付ける操作手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記変換関数は対応する指示値の範囲と傾きとがそれぞれ異なる複数個の一次関数の組み合わせからなり、前記設定入力部には前記各一次関数の傾きがそれぞれ入力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各照明装置についてそれぞれ設定入力部への入力により変換関数を適宜変更させることで、照明装置間での製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきに起因する入出力特性のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の使用状態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作の一例を示す説明図であり、(a)は点灯部の入出力特性を示し、(b)は変換関数を示し、(c)は照明装置全体としての入出力特性を示す。
【図3】同上の動作の別の例を示す説明図であり、(a)は点灯部の入出力特性を示し、(b)は変換関数を示し、(c)は照明装置全体としての入出力特性を示す。
【図4】同上の動作の更に別の例を示す説明図であり、(a)は点灯部の入出力特性を示し、(b)は図2(b)の変換関数が採用された場合における照明装置全体としての入出力特性を示し、(c)は変換関数を示し、(d)は(c)の変換関数が採用された場合における照明装置全体としての入出力特性を示す。
【図5】従来の照明装置の使用状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の基本構成は図5で説明した従来例と共通であるので、共通する部分についての説明は省略する。
【0019】
本実施形態において、指示変換部4は、予め記憶された変換関数に対して入力指示値Crを代入することで制御指示値Ctを演算するものである。
【0020】
また、本実施形態は、変換関数の変更の指示が入力される設定入力部5と、例えば周知の不揮発性メモリからなり設定入力部5に入力された内容が保存される記憶部6とを備える。具体的に設定入力部5に入力される内容としては、変換関数に含まれる係数、指数、乗数などのパラメータが考えられる。そして、指示変換部4は、設定入力部5への入力に従い、変換関数のパラメータを変更する。
【0021】
設定入力部5は、上記のようなパラメータを入力する操作入力を受け付ける操作手段を備えていてもよいし、上記のようなパラメータの情報を含む信号を受信する受信手段を備えていてもよいし、上記の操作手段と上記の受信手段との両方を備えていてもよい。
【0022】
設定入力部5が備える操作手段としては、例えば押釦やタッチパネルや可変抵抗器や切替スイッチといった周知の入力装置を用いることができる。さらに、操作手段として、ボリュームやスライダーやフェーダなどの可変抵抗器や、ロータリスイッチなどの切替スイッチが用いられる場合、入力された内容が設定入力部5の操作手段自体に保存されることになるので、記憶部6は不要となる。
【0023】
受信手段としては、さらに、電波や赤外光を媒体とするワイヤレス信号を受信するものや、有線で伝送される電気信号を受信するものが考えられる。いずれの場合であっても設定入力部5は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0024】
さらに、入力指示値Crを示す信号と、変換関数の変更を指示する信号とが、多重伝送技術により互いに共通の媒体(伝送線路や電波など)を用いて伝送される構成を採用してもよい。この場合、指示入力部2が設定入力部5を兼ねることになるので、既に説明したような各種の設定入力部5は省略することもできるが、省略せずに指示入力部2とは別途の設定入力部5を設けてもよい。上記のように多重伝送技術が用いられる場合、複数個の照明装置1に対して一括して共通の指示を入力するといったことが容易である。上記のような多重伝送技術に対応した指示入力部2は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0025】
変換関数は具体的には例えば一次関数である。以下、入力指示値Crと制御指示値Ctとのそれぞれについて、上限値を1と表現し、光源LAの点灯を維持する範囲内で取りうる範囲の下限値を0と表現する。なお、各指示値Cr,Ctを伝送する信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0026】
例えば、照明装置1全体として実現したい入出力特性(以下、「目標特性」と呼ぶ。)が図2(c)に示すような一次関数である場合であって、点灯部3の入出力特性(すなわち制御指示値Ctと光源LAの光出力Pとの関係。以下、「原特性」と呼ぶ。)が図2(a)に示すように目標特性の一次関数よりも傾きが急な一次関数である場合を考える。すなわち、点灯部3によって実現可能な光出力Pの最高値(以下、「限界光出力」と呼ぶ。)Ptが、目標特性での光出力Pの最高値(以下、「目標上限光出力」と呼ぶ。)P1よりも高い場合である。以下では、原特性と目標特性とはともに単調増加関数であるとし、指示値Ct,Crの最低値0に対応する光出力(すなわち光出力の最低値)P0については、目標特性と原特性とで互いに一致するものとする。この場合、入力指示値Crが1であるときに、制御指示値Ctが、目標上限光出力P1を達成するような値(以下、「上限達成指示値」と呼ぶ。)Ct1(=(P1−P0)/(Pt−P0))となるようにすればよい。つまり、変換関数を、図2(b)に示すように上限達成指示値Ct1を比例係数として入力指示値Crに乗じるという一次関数とすれば、図2(c)に示すように目標特性が実現される。
【0027】
また、上記とは逆に、図3(a)に示すように原特性が目標特性の一次関数よりも傾きが緩やかな一次関数である場合を考える。すなわち、限界光出力Ptが目標上限光出力P1よりも低い場合である。この場合、可能な範囲内、つまり、光源LAの光出力Pが限界光出力Pt以下である範囲内で目標特性を実現する。具体的には、図3(b)に示すように、目標特性において限界光出力Ptに対応する値(以下、「限界指示値」と呼ぶ。)Crt(=(Pt−P0)/(P1−P0))に対して入力指示値Crが高いか低いかに応じて、変換関数の傾きを異ならせる。すなわち、限界指示値Crt以下の入力指示値Crに関しては、限界指示値Crtの逆数を入力指示値Crに乗じた値が制御指示値Ctとされ、限界指示値Crt以上の入力指示値Crに関しては、制御指示値Ctが1に固定される。これにより、図3(c)に示すように、限界指示値Crt以下の入力指示値Crに関しては、入出力特性を目標特性の一次関数に一致させる(つまり、目標特性を実現する)ことができる。なお、目標特性を決定する際、その目標特性が適用される複数個の照明装置1の限界光出力Ptのうち最も低いものを目標上限光出力P1とするように目標特性を決定すれば、図3(c)のような動作は発生しない。
【0028】
さらに、図4(a)に示すように、原特性が上に凸の曲線状である場合を考える。この場合、変換関数を図2(b)と同様の一次関数としたのでは、図4(b)に示すように入力指示値Crが0と1との中間であるときに破線Ftで示す一次関数である目標特性との差が大きくなってしまう。そこで、目標特性における光出力Pの最高値(目標上限光出力)P1と最低値P0との間の、所定の光出力(以下、「中間光出力」と呼ぶ。)Pmについても目標特性を実現することを考える。中間光出力Pmは例えば目標上限光出力P1の2分の1とする。具体的には、原特性において中間光出力Pmを実現する制御指示値Ctを中間制御指示値Ctmとおき、目標特性において中間光出力Pmを実現する入力指示値Crを中間入力指示値Crmとおく。そして、変換関数は、中間入力指示値Crm未満の範囲内の入力指示値Crについては、中間入力指示値Crmに対する中間制御指示値Ctmの比Ctm/Crmを入力指示値Crに対して乗じる一次関数とする。また、中間入力指示値Crm以上の範囲内の入力指示値Crについては、変換関数は次式のように(Crm,Ctm)と(1,Ct1)との2点を通る一次関数とする。
【0029】
【数1】

【0030】
この結果、変換関数は、図4(c)に示すように、0から中間入力指示値Crmまでの入力指示値Crの範囲に対応する一次関数と、中間入力指示値Crmから1までの入力指示値Crの範囲に対応し前記一次関数とは傾きが異なる一次関数との、2種類の一次関数が組み合わされたものとなる。上記のように、原特性と目標特性とでグラフの形状が異なる場合であっても、変換関数を複数個の一次関数の組み合わせで構成すれば、図4(b)の例のように変換関数を単一の一次関数で構成する場合に比べ、図4(d)の例のようにより目標特性に近い入出力特性を実現することができる。なお、中間光出力Pmは1個に限られず、2個以上の中間光出力Pmについてそれぞれ目標特性が実現されるように変換関数を3個以上の一次関数で構成すれば、さらに目標特性に近い入出力特性を実現することができる。
【0031】
上記各種の変換関数について、設定入力部5に入力されるパラメータとしては、変換関数を構成する各一次関数の傾きが考えられる。
【0032】
上記構成によれば、照明装置1毎に設定入力部5への入力で変換関数を適宜変更することにより、複数個の照明装置1間での製造時のばらつきや経年劣化の程度のばらつきに起因する入出力特性のばらつきを低減することができる。
【0033】
なお、上記の例では原特性と目標特性とで光出力Pの最低値P0を互いに一致させたが、変換関数を適宜選択すれば、目標特性において、入力指示値Crの最低値0に対して原特性での光出力Pの最低値P0よりも高い光出力Pを対応付けることもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 照明装置
2 指示入力部
3 点灯部
4 指示変換部
5 設定入力部
6 記憶部
Cr 入力指示値
Ct 制御指示値
LA 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出力を指示する入力指示値が入力される指示入力部と、
前記指示入力部に入力された入力指示値を所定の変換関数に代入することで制御指示値に変換して出力する指示変換部と、
前記指示変換部が出力した制御指示値に応じた光出力で電気的な光源を点灯させる点灯部と、
前記変換関数の変更の指示が入力される設定入力部とを備え、
前記指示変換部は、前記設定入力部への入力に応じて前記変換関数を変更することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記指示入力部が前記設定入力部を兼ねていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記設定入力部として、前記変換関数の変更を指示するワイヤレス信号を受信する受信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記設定入力部として、前記変換関数の変更を指示する操作入力を受け付ける操作手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記変換関数は対応する指示値の範囲と傾きとがそれぞれ異なる複数個の一次関数の組み合わせからなり、前記設定入力部には前記各一次関数の傾きがそれぞれ入力されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175803(P2011−175803A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37915(P2010−37915)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】