説明

照明装置

【課題】光源部が発光した照明光を透過する光学部材の温度を、照明光の光路を遮ることなく、精度よく測定することができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明光を発光する光源部(140)と、前記光源部から発光された照明光を透過させる光学部材(160)と、前記光学部材上に設定された第1測定点の温度を測定する温度測定部(190)と、前記第1測定点の温度と、前記光学部材上の前記第1測定点から離れた位置に設定された第2測定点の温度との相関関係を表すプロファイル情報を記憶した記憶部(167)と、前記温度測定部により測定された前記第1測定点の温度と前記記憶部に記憶された前記プロファイル情報とに基づいて、前記第2測定点の温度を決定する温度決定部(166)と、を備える照明装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱素子の発熱温度を推定して閃光の発光を制御する閃光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、発熱素子の温度を接触型温度センサにより測定する閃光装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−216096号公報
【特許文献2】特開平5−333408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源部が発光した照明光を透過する光学部材の温度を、照明光の光路を遮ることなく、精度よく測定することができる照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、照明光を発光する光源部(140)と、前記光源部から発光された照明光を透過させる光学部材(160)と、前記光学部材上に設定された第1測定点の温度を測定する温度測定部(190)と、前記第1測定点の温度と、前記光学部材上の前記第1測定点から離れた位置に設定された第2測定点の温度との相関関係を表すプロファイル情報を記憶した記憶部(167)と、前記温度測定部により測定された前記第1測定点の温度と前記記憶部に記憶された前記プロファイル情報とに基づいて、前記第2測定点の温度を決定する温度決定部(166)と、を備える照明装置(100)を提供する。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源部が発光した照明光を透過する光学部材の温度を、照明光の光路を遮ることなく精度よく測定可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】照明装置100を示す斜視図である。
【図2】照明装置100を示す斜視図である。
【図3】照明装置100を示す側断面図である。
【図4】可動筐体130を示す側断面図である。
【図5】フレネルレンズ160における上下方向の位置と温度と放電管142の光軸L1方向の位置との関係を示すグラフである。
【図6】フレネルレンズ160における上下方向の位置と温度と放電管142の発光量との関係を示すグラフである。
【図7】照明装置100を装着した撮像装置200の構造を模式的に示す縦断面図である。
【図8】他の実施形態に係る撮像装置300の構造を模式的に示す斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る可動筐体600を示す側断面図である。
【図10】他の実施形態に係る可動筐体600の温度測定部を示す側断面図である。
【図11】他の実施形態に係る可動筐体600の温度測定部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。この図に示すように、照明装置100は、相互に連結された固定筐体110と可動筐体130とを備えている。
【0011】
固定筐体110は、下端面に配された取付部120と、前面に配された補助光光源111及びリモート用レディライト113とを備えている。取付部120は、カメラボディのホットシューに嵌合する取付脚122と、ホットシューにおいて信号を伝達する連動接点124とを備えている。取付脚122をホットシューに嵌合させた状態で、固定筐体110が、カメラボディに固定される。
【0012】
補助光光源111は、透明なカバー115に覆われており、動作モードに応じて発光する。例えば、補助光光源111は、暗い撮影環境下でオートフォーカス動作が実行される場合に、被写体を照明する。また、リモート用レディライト113は、照明装置100から離れた位置で操作する場合に、後述するメインキャパシタへの充電完了を通知する。
【0013】
可動筐体130は、図示の状態において前面に配される閃光発生部140と、側面に配されるロック解除ボタン136とを備えている。また、可動筐体130は、閃光発生部140の前面側に、広角拡散板141とキャッチライト反射板143とを備えている。広角拡散板141とキャッチライト反射板143とは、可動筐体130の内部に収容可能であり、必要に応じて閃光発生部140の前面に配したり、可動筐体130の内部に収容したりされる。
【0014】
可動筐体130は、後端近傍に配された水平回動部132と垂直回動部134とを備えている。水平回動部132の下端は、固定筐体110の上端面に結合され、水平回動部132の上端は、垂直回動部134を介して可動筐体130に結合されている。即ち、可動筐体130は、水平回動部132及び垂直回動部134を介して水平方向及び垂直方向に回動可能に固定筐体110に結合されている。従って、閃光発生部140を被写体に向けて直接に被写体を照明することができる他、閃光発生部140を被写体から外れた方向に向けて、間接光により被写体を照明することもできる。
【0015】
水平回動部132及び垂直回動部134は、ロック機構により係止されることによって所定の回動位置で停止される一方、ロック解除ボタン136がユーザにより操作された場合には、回動する。これにより、可動筐体130が不用意に向きを変えることが防止されている。
【0016】
閃光発生部140は、可動筐体130の前面に配されたフレネルレンズ160を備えている。また、閃光発生部140は、可動筐体130の内部に配された後述の光源部を備えており、光源部から発光された閃光を当該フレネルレンズ160に対して直交する方向へ照射させる。
【0017】
図2は、照明装置100を背面側から示す斜視図である。この図に示すように、固定筐体110の背面には、表示部202と操作部204とが配されている。表示部202は、液晶表示パネル114とレディライト116とを含む。操作部204は、複数のボタン118とダイアル119とを含む。
【0018】
図3は、照明装置100を示す側断面図である。この図に示すように、固定筐体110は、電池室112と、該電池室112に収容された電池180と、電池180により電力を供給されて動作する電子回路182とを内蔵している。電子回路182は、照明装置100を制御する後述のCPU、カメラボディとの通信を司る通信装置等の他、閃光発生部140に供給する高電圧を発生する昇圧回路等も含む。
【0019】
可動筐体130は、閃光発生部140の他に、閃光発生部140に電力を供給するメインキャパシタ138も内蔵する。メインキャパシタ138は、電子回路182の昇圧回路から印加される高電圧により迅速に充電される。また、電子回路182から閃光発生の指令を受けた場合に急速に放電する。
【0020】
閃光発生部140は、閃光を発生する放電管142、例えばキセノン管と、放電管142が発生した閃光を反射する反射傘144とを備えている。放電管142は、メインキャパシタ138から高電圧を印加された場合に放電して閃光を発生させる。また、反射傘144は、閃光発生部140の前方側に向けて開口しており、放電管142から発光された閃光を、閃光発生部140の前方側へ向けて出射させる。なお、閃光の光軸L1は、フレネルレンズ160の中央部を通過する。
【0021】
また、可動筐体130には、閃光発生部140を閃光の光軸L1の方向に移動させる移動機構150が内蔵されている。移動機構150は、モータ152と、モータ152より回転されるボールネジ154と、閃光発生部140をボールネジ154に支持する支持部156とを備えている。
【0022】
モータ152は、閃光発生部140の移動領域151より後方上側に配されている。モータ152の回転軸は、光軸L1と平行に配されており、当該回転軸とボールネジ154とが一体的に形成されている。即ち、ボールネジ154は、移動領域151の後方上側から光軸L1と平行に前方側へ延在している。
【0023】
支持部156は、板材であって、支持部156の上端はボールネジ154に螺合され、支持部156の下端は反射傘144の上面に結合されている。また、支持部156は、ボールネジ154と平行に配されたガイドバーと摺動自在に嵌合している。このため、ボールネジ154がモータ152により回転された場合には、支持部156及び閃光発生部140は、光軸L1の方向へ移動する。
【0024】
また、可動筐体130の内部には、閃光発生部140とメインキャパシタ138との間を仕切る隔壁139が配されている。該隔壁139は、移動領域151の下方側においてフレネルレンズ160の下端部まで延在している。
【0025】
ここで、隔壁139における移動領域151の下側の部位は、移動領域151の後端から前後方向の中央まで光軸L1を平行に延びる後部146と、移動領域151の前後方向の中央から前端まで光軸L1に対して離間する側へ傾斜して延びる前部145とで構成されている。前部145には、光軸Lから離間する側へ凹んだ凹部147が形成されており、該凹部147には、温度センサ190が配されている。該温度センサ190は、計測対象物から放射された赤外光を受光して、その受光量から計測対象物の温度を計測する赤外放射温度計である。
【0026】
温度センサ190の受光面191は、フレネルレンズ160の中央部に向けられる。即ち、温度センサ190の受光面191の中央部から法線方向へ延びる測定光軸L2が、フレネルレンズ160の中央部に到達し、且つ光軸L1と交差する。このため、温度センサ190は、フレネルレンズ160の中央部から放射された赤外光を受光する。そして、温度センサ190は、その受光量からフレネルレンズ160の中央部の温度を計測する。
【0027】
図4は、可動筐体130を示す側断面図である。この図に示すように、フレネルレンズ160は、その中央部を中心とした矩形状の領域である集光領域162と、集光領域162の周囲を囲む拡散領域164とを備えている。集光領域162は、反射傘144の前端と、同等の面積、同等の形状をしており、放電管142が発光した閃光を集光させる。一方、拡散領域164は、放電管142が発光した閃光を拡散させる。
【0028】
ここで、温度センサ190は、その測定光軸L2が、フレネルレンズ160の集光領域162と拡散領域164との境界部に到達するように配されている。なお、測定光軸L2とフレネルレンズ160との交点が、後述の第1測定点P1に相当する。
【0029】
また、前部145における凹部147は、閃光の光路149より下側に配されており、当該凹部147に配された温度センサ190の受光部は、閃光の光路149の外側に存する。また、温度センサ190の受光部は、閃光発生部140の移動領域151の下方、即ち移動領域151の外側に存する。
【0030】
上述の電子回路182は、CPU166と、メモリ167と、発光制御回路168と、モータドライバ170とを備えている。CPU166は、照明装置100全体の制御を司る。また、CPU166は、フレネルレンズ160の最高温度を検出する温度検出回路を備えている。また、メモリ167は、上記温度検出回路が、フレネルレンズ160の最高温度(即ち、後述の測定点P2の温度)を算出するに際して用いる、第1測定点P1の測定温度と最高温度との相関関係を示す演算式を記憶している。
【0031】
また、発光制御回路168は、メインキャパシタ138の放電及び充電を制御する昇圧回路と、放電管142の発光のオン/オフの切替、発光量の調整等を実施する光源制御回路とを含んでいる。また、モータドライバ170は、モータ152のオン/オフの切替、回転方向の切替等を実施する。
【0032】
温度センサ190は、CPU166に接続されており、温度の測定値をCPU166へ出力する。CPU166の温度検出回路は、温度センサ190による第1測定点P1の測定値及びメモリ167に記憶された演算式から、フレネルレンズ160の最高温度を決定する。なお、この最高温度の決定方法については後述する。
【0033】
そして、CPU166は、フレネルレンズ160の最高温度が閾値以上である場合に、発光制御回路168へ、放電管142の発光禁止、及びメインキャパシタ138の放電禁止の指令を出力する。また、CPU166は、温度センサ190による計測値が閾値以上である場合に、表示部202へ警告表示を表示させたり、スピーカーから警告音を発生させたりする。
【0034】
図5は、フレネルレンズ160における上下方向の位置Xと温度F(X)と放電管142とフレネルレンズ160との距離との関係を示すグラフである。なお、放電管142の発光量は一定である。また、Z1は、放電管142が移動領域151における前端(以下、ワイド端という)まで移動した状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。一方、Z5は、放電管142が移動領域151における後端(以下、テレ端という)まで移動した状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。
【0035】
そして、Z2、Z3、Z4は、放電管142がワイド端とテレ端との中間地点に位置する状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。なお、Z2、Z3、Z4の記載順に、放電管142とフレネルレンズ160との距離が拡大する。
【0036】
このグラフに示すように、フレネルレンズ160における上下方向の中央部において、フレネルレンズ160の温度F(X)が最高となる。また、放電管142とフレネルレンズ160との距離が短くなるほど、フレネルレンズ160の温度F(X)が上昇する。また、放電管142とフレネルレンズ160との距離が短くなるほど、フレネルレンズ160の上下端から中央にかけての温度上昇の勾配が拡大する。
【0037】
図6は、フレネルレンズ160における上下方向の位置Xと温度F(X)と放電管142の発光量との関係を示すグラフである。なお、放電管142とフレネルレンズ160との距離は一定である。また、V1は、放電管142の発光量を最大にした状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。一方、V5は、放電管142の発光量を最小にした状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。
【0038】
そして、V2、V3、V4は、放電管142の発光量が最大と最小との中間値である状態でのフレネルレンズ160の温度F(X)を示している。なお、V2、V3、V4の記載順に、放電管142の発光量が減少する。
【0039】
ここで、メモリ167に記憶された下記(数1)の演算式は、図5及び図6のプロファイルを近似した数式である。
【数1】

【0040】
Aは、放電管142の発光量に比例して変化する定数であり、CPU166は、発光制御回路168から受信した放電管142の発光量に基づいて算出する。また、Bは、第1測定点P1の測定温度であり、CPU166は、温度センサ190から受信する。また、σは、フレネルレンズ160と放電管142との距離に比例して変化する定数であり、CPU166は、モータドライバ170から受信した放電管142の位置情報に基づいて算出する。また、Xは、フレネルレンズ160の下端からの距離であり、定数である。さらに、μは、フレネルレンズ160の下端から中央部までの距離である。
【0041】
即ち、本実施形態に係る照明装置100では、温度センサ190によりフレネルレンズ160の中央部の温度を直接測定するのではなく、当該中央部から下側に外れた第1測定点P1の温度Bを測定する。この第1測定点P1は、ワイド端に存する閃光発生部140により塞がれることはない。そして、照明装置100では、当該測定値Bとフレネルレンズ160の中央部(第2測定点P2)の温度との相関関係式から、フレネルレンズ160における中央部の温度、即ち、第1測定点P1より閃光の熱による影響が大きい地点の温度であり、フレネルレンズ160の全範囲における最高温度を算出する。これにより、放電管142から発光された閃光の光路を遮ることなく、フレネルレンズ160の最高温度を検出できる。なお、第2測定点P2をフレネルレンズ160における中央部、及び最高温度となる地点に設定することは必須ではない。
【0042】
また、本実施形態に係る照明装置100では、予め試験により取得したフレネルレンズ160の熱伝導率を用いて、フレネルレンズ160の上記第1測定点P1の温度から、フレネルレンズ160の中央部(第2測定点P2)の温度、即ち最高温度を算出する。即ち、照明装置100では、測定対象物であるフレネルレンズ160の最高温度を直接測定する。よって、互いに離れた位置に設定された測定点間に存する誤差成分を減少でき、フレネルレンズ160の最高温度をより高精度に検出できる。
【0043】
また、フレネルレンズ160と放電管142との距離、及び放電管142の発光量の大小により、第1測定点P1とフレネルレンズ160の中央部に設定された第2測定点P2との相関関係が変化するところ、照明装置100では、これらをパラメータとする熱伝導率の演算式を用いている。よって、放電管142の光軸L1方向の位置、及び放電管142の発光量を変化させた場合でも、フレネルレンズ160の最高温度を高精度に検出できる。
【0044】
また、温度センサ190の受光部を、放電管142から発光された閃光の光路149の外に配置することができることにより、温度センサ190の周辺温度の上昇を抑制できる。よって、温度センサ190の計測値の誤差成分を減少でき、以って、温度センサ190によるフレネルレンズ160の温度測定の精度を向上できる。
【0045】
また、温度センサ190を、閃光発生部140の移動経路の外側に配したことにより、温度センサ190により閃光発生部140の可動範囲が制限されることを防止できる。特に、閃光発生部140のワイド端側への移動範囲が温度センサ190により制限されることを防止できる。
【0046】
なお、本実施形態では、温度センサ190として赤外光を受光してその受光量から測定対象物の温度を計測する赤外放射温度センサを用いた。しかし、温度センサ190としては、可視光を受光してその受光量から測定対象物の温度を計測する他の放射温度センサも適用できる。また、放電管142として照明光としての閃光を発光するキセノン管を用いたが、LEDを用いてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、メモリ167に記憶された第1測定点P1と第2測定点P2との相関関係を示す演算式を用いて、第2測定点P2の温度を決定した。しかし、第1測定点P1と第2測定点P2との相関関係を示すマップ又はテーブルをメモリ167に記憶して、当該マップ又はテーブルから、第2測定点P2の温度を読み出すことにより、第2測定点P2の温度を決定してもよい。
【0048】
例えば、A1〜A2、B1〜B2、σ1〜σ2の場合には、第2測定点P2の温度がF1となり、A2〜A3、B1〜B2、σ3〜σ4の場合には、第2測定点P2の温度がF5となる等の相関データを示すマップ又はテーブルをメモリ167に記憶する。そして、CPU166は、発光制御回路168、温度センサ190、及びモータドライバ170から取得したA、B、σのデータに対応する第2測定点P2の温度F(X)のデータを読み出すことにより、第2測定点P2の温度を決定すればよい。
【0049】
図7は、照明装置100を装着した撮像装置200の構造を模式的に示す縦断面図である。この図に示すように、撮像装置200は、レンズユニット410およびボディ460を含む。
【0050】
レンズユニット410は、マウント450を介して、ボディ460に対して着脱自在に装着される。レンズユニット410は、光学部材420、光学部材420を収容する鏡筒430、および、鏡筒430の内部に設けられて光学部材420を駆動するモータ401を含む。一方、ボディ460は、メインミラー540、ペンタプリズム470、接眼光学系490を含む光学系を有する。
【0051】
メインミラー540は、レンズユニット410を介して入射した入射光の光路上に傾斜して配置される待機位置と、入射光を避けて上昇する撮影位置(図中に点線で示す)との間を移動する。待機位置にあるメインミラー540は、入射光の大半を、上方に配置されたペンタプリズム470に導く。ペンタプリズム470は、入射光の鏡映を接眼光学系490に向かって出射するので、フォーカシングスクリーン472の映像を接眼光学系490から正像として見ることができる。
【0052】
入射光の残りは、ペンタプリズム470により測光ユニット480に導かれる。測光ユニット480は、入射光の強度および強度分布等を測定する。なお、ペンタプリズム470および接眼光学系490の間には、ファインダ液晶494に形成された表示画像を、フォーカシングスクリーン472からの映像に重ねるハーフミラー492が配置される。
【0053】
メインミラー540は、入射光の入射面に対する裏面にサブミラー542を有する。サブミラー542は、メインミラー540を透過した入射光の一部を、下方に配置された測距ユニット530に導く。これにより、メインミラー540が待機位置にある場合は、測距ユニット530が被写体までの距離を測定する。なお、メインミラー540が撮影位置に移動した場合は、サブミラー542も入射光の光路から退避する。
【0054】
更に、入射光に対してメインミラー540の後方には、シャッタ520、光学フィルタ510および撮像素子500が順次配置される。シャッタ520が開放される場合、直前にメインミラー540が撮影位置に移動するので、入射光は直進して撮像素子500に入射される。これにより、入射光の形成する画像が電気信号に変換される。
【0055】
一方、レンズユニット410は、図中で左側にあたる入射端から鏡筒430内に順次配列された、フロントレンズ422、コンペンセータレンズ424、フォーカシングレンズ426およびメインレンズ428を含む光学系を有する。光学系は、鏡筒430に収容される。また、フォーカシングレンズ426およびメインレンズ428の間には、アイリスユニット440が配置される。
【0056】
更に、レンズユニット410は、鏡筒430の内部に、モータ401を備える。モータ401は、光軸方向について鏡筒430の中程にあって相対的に小径なフォーカシングレンズ426の下方に配置される。これにより、鏡筒430の径を拡大することなく鏡筒430内に収容され、フォーカシングレンズ426を光軸方向に前進または後退させる。
【0057】
ボディ460は、ボディ460の内部であって、上記光学系の光路を外れた位置に制御部550を備える。制御部550は、ボディ460内部の各部の動作を制御するに留まらず、マウント450を介して電気信号を送受信することにより、レンズユニット410内部のモータ401の動作も制御する。
【0058】
照明装置100は、ボディ460の頂部に設けられたアクセサリーシュー560に、取付脚122を嵌合させることにより装着される。これにより、取付部120と一体的に形成された固定筐体110は、ボディ460に対して固定される。また、照明装置100の連動接点124を介して、ボディ460側の制御部550と通信できる状態になる。
【0059】
制御部550は、ボディ460側の測距ユニット530が検出した被写体までの距離、露出等の情報を、連動接点124を介して照明装置100にも通知する。これにより、照明装置100は、ボディ460の動作と連動して、発光のタイミングの他、発光量等の制御をする。
【0060】
図8は、他の撮像装置300の構造を模式的に示す斜視図である。この図に示すように、撮像装置300は、シャッタ462、モードダイアル464、鏡筒430等を備えたボディ460に、更に、照明装置100を備える。照明装置100は、ボディ460内における鏡筒430の上側に配されている。
【0061】
図9は、他の温度測定部602を示す側断面図である。図10は、温度測定部602の拡大図である。図9および図10において、図4に示した可動筐体130と共通の要素には同じ参照番号を付して説明を省略する。図9および図10に示す温度測定部602は、図3等に示した温度センサ190に加えて、遮断壁604を有する。
【0062】
遮断壁604は、測定光軸L2に沿って開口した形状を有する円筒形状の部材であり、例えばアルミ、銅等の金属で形成される。この遮断壁604の円筒形状の底面部分に、温度センサ190が配される。遮断壁604の内面及び外面には黒い塗装が施されており、遮断壁604に到達した赤外光は、遮断壁604によって吸収される。これにより、温度センサ190には、当該温度センサ190と遮断壁604の開口側の先端とを結んでできる立体角の範囲内から到達した赤外線が照射される。したがって、フレネルレンズ160の第1測定点P1の周囲、すなわち上記立体角の範囲からの赤外光を計測することにより、温度測定部602の指向性を向上させて、第1測定点P1での温度測定の精度を向上することができる。
【0063】
遮断壁604の開口側の先端は、光路149を遮らない範囲でできるだけ長く伸びている。図10のように、遮断壁604の長さ方向と光路149とが垂直に交わらない場合は、遮断壁604の形状は上側面よりも下側面が長い。これにより、遮断壁604は光路149を遮ることなく、温度測定部602の指向性をより向上させることができる。
【0064】
温度センサ190は、サーモパイル192およびサーミスタ193を備える。サーモパイル192は、赤外光吸収体に覆われた温接点、および、赤外光が直接当たらない位置に配された冷接点を有する。温接点に赤外光が当たって熱に変換されることにより、冷接点と温接点の間に温度差が生じて、その差に応じた起電力が発生する。温度センサ190は、発生した起電力に応じた温度測定値T1を出力する。
【0065】
サーミスタ193は、温度によって抵抗の値が変化する酸化物半導体材料で形成される。当該サーミスタ193は、サーモパイル192の冷接点に接触しており、その抵抗値に基づいた温度測定値T2を出力する。すなわち、サーミスタ193は、サーモパイル192の冷接点の温度を計測して出力する。
【0066】
周囲温度センサ606はサーミスタ193と同様の構造を有する。周囲温度センサ606は、遮断壁604の先端に設置される。これにより、周囲温度センサ606は、閃光発生部140の熱の影響を受けやすい遮断壁604の先端部分の温度を測定して、温度測定値T3を出力する。
【0067】
図9および図10に示す温度測定部602において、サーモパイル192には、第1測定点P1の周囲から放射された赤外光に加えて、遮断壁604自体から放射された赤外光も到達する。よって、第1測定点P1の温度をより正確に測定するには、遮断壁604からの赤外光の寄与分を補正することが好ましい。
【0068】
当該補正をすべく、まず、CPU166は、サーミスタ193による温度測定値T2をサーモパイル192の冷接点の温度として、周囲温度センサ606による温度測定値T3を遮断壁604の温度として取得する。そしてCPU166は、温度測定値T1に対して、温度測定値T2を加算するとともに、温度測定値T3を減算することにより、第1測定点P1の温度を算出する。温度測定部602が周囲温度センサ606を有するので、温度センサ190による遮断壁604の温度の影響を軽減でき、より精確に第1測定点P1の温度を測定できる。
【0069】
なお、温度センサ190が、サーモパイル192の温度測定値に対してサーミスタ193の温度測定値を加算した値を出力する場合には、温度センサ190の出力値に対して温度測定値T3を減算することで、第1測定点P1の温度を測定できる。
【0070】
また上記実施形態では周囲温度センサ606を1つ設けた場合を例に挙げて説明したが、周囲温度センサを遮断壁604に複数設けてもよい。この場合に、複数の周囲温度センサの温度計測値の平均値を用いて第1測定点P1の温度を補正してもよい。複数の周囲温度センサの温度計測値の平均値を用いることにより、遮断壁604の位置の違いによる温度ムラの影響を軽減できる。
【0071】
また上記実施形態では、遮断壁604は円筒形状であるが、他の形状でもよい。遮断壁604の他の形状の例は、半円筒形状、平板形状である。遮断壁604が半円筒形状、板形状である場合、当該遮断壁604は、温度センサ190と閃光発生部140の間に配される。温度センサ190と閃光発生部140との間に配されることにより、閃光発生部140から放射される赤外光が温度センサ190に到達するのを防止して、温度センサ190によるフレネルレンズ160の温度測定の精度を向上できる。
【0072】
図11は、他の温度測定部620を示す。図11において、図10に示した温度測定部602と共通の要素には同じ参照番号を付して説明を省略する。温度測定部620は、温度センサ190に加えて、赤外線集光レンズ610および把持部612を備える。
【0073】
把持部612は、凹部147に設置され、赤外線集光レンズ610を把持する。赤外線集光レンズ610は、赤外光を集光するレンズであり、例えば、凸レンズである。赤外線集光レンズ610は、第1測定点P1の周囲から発した赤外光を、温度センサ190の受光面191に集光する。これにより、赤外線集光レンズ610は第1測定点P1の周囲から発した赤外光以外の赤外光が温度センサ190に到達するのを防いで、温度測定部620の指向性を向上させることができる。
【0074】
把持部612による把持の代わりに、図10の遮断壁604で赤外線集光レンズ610を保持してもよい。遮断壁604に赤外線集光レンズ610を設置することにより、温度測定部620の指向性をより向上させることができる。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 照明装置、110 固定筐体、111 補助光光源、112 電池室、113 リモート用レディライト、114 液晶表示パネル、115 カバー、116 レディライト、118 ボタン、119 ダイアル、120 取付部、122 取付脚、124 連動接点、130 可動筐体、132 水平回動部、134 垂直回動部、136 ロック解除ボタン、138 メインキャパシタ、139 隔壁、140 閃光発生部、141 広角拡散板、142 放電管、143 キャッチライト反射板、144 反射傘、145 前部、146 後部、147 凹部、149 光路、150 移動機構、151 移動領域、152 モータ、154 ボールネジ、156 支持部、160 フレネルレンズ、162 集光領域、164 拡散領域、166 CPU、167 メモリ、168 発光制御回路、170 モータドライバ、180 電池、182 電子回路、190 温度センサ、191 受光面、192 サーモパイル、193 サーミスタ、200 撮像装置、202 表示部、204 操作部、300 撮像装置、401 モータ、410 レンズユニット、420 光学部材、422 フロントレンズ、424 コンペンセータレンズ、426 フォーカシングレンズ、428 メインレンズ、430 鏡筒、440 アイリスユニット、450 マウント、460 ボディ、462 シャッタ、464 モードダイアル、470 ペンタプリズム、472 フォーカシングスクリーン、480 測光ユニット、490 接眼光学系、492 ハーフミラー、494 ファインダ液晶、500 撮像素子、510 光学フィルタ、520 シャッタ、530 測距ユニット、540 メインミラー、542 サブミラー、550 制御部、560 アクセサリーシュー、600 可動筐体、602 温度測定部、604 遮断壁、606 周囲温度センサ、610 赤外線集光レンズ、612 把持部、620 温度測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発光する光源部と、
前記光源部から発光された照明光を透過させる光学部材と、
前記光学部材上に設定された第1測定点の温度を測定する温度測定部と、
前記第1測定点の温度と、前記光学部材上の前記第1測定点から離れた位置に設定された第2測定点の温度との相関関係を表すプロファイル情報を記憶した記憶部と、
前記温度測定部により測定された前記第1測定点の温度と前記記憶部に記憶された前記プロファイル情報とに基づいて、前記第2測定点の温度を決定する温度決定部と、
を備える照明装置。
【請求項2】
前記第2測定点は、前記光学部材の全域の中で前記光源部から発光された照明光による熱の影響が、前記第1測定点よりも大きい位置に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1測定点は、前記光学部材の外周部またはその近傍に設定され、
前記第2測定点は、前記光学部材の中央部またはその近傍に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記温度測定部は、前記光源部が発光した照明光の光路外に配され、前記第1測定点から放射された光を受光する受光部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源部の光軸方向の位置の情報と、前記光源部から発光される照明光の光量の情報とを取得する情報取得部を更に備え、
前記プロファイル情報は、前記第1測定点の温度と、前記第2測定点の温度と、前記光源部の光軸方向の位置と、前記照明光の光量情報との相関関係を表しており、
前記温度決定部は、前記温度測定部により測定された前記第1測定点の温度と、前記情報取得部が取得した情報と、前記記憶部に記憶された前記プロファイル情報とに基づいて前記第2測定点の温度を決定することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記プロファイル情報は、前記第1測定点の温度と前記第2測定点の温度との相関関係を表すテーブル、マップ、又は演算式であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記温度測定部は、前記光学部材から放射された赤外光を受光し、その受光量から前記光学部材の温度を測定する赤外放射温度センサを有する請求項1から請求項6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記温度測定部は、前記赤外放射温度センサに到達する赤外光を前記第1測定点の周囲から発した赤外光に限定する限定部材を有する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記限定部材は、赤外光を遮断する遮断壁を有する請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記温度測定部は、周囲の雰囲気の温度を測定する周囲温度センサをさらに有し、
前記周囲温度センサは、前記遮断壁において前記赤外放射温度センサよりも前記第1測定点に近い側に配される請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記限定部材は、前記赤外放射温度センサに赤外光を集光するレンズを有する請求項8から10のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−28232(P2011−28232A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133259(P2010−133259)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】