照明装置
【課題】 照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットしたときに、HIDタイプのLEDランプからの熱を効率良く放熱することの可能な照明装置を提供する。
【解決手段】 所定の熱伝導率を持つ照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11と、所定の熱伝導率を持つ筐体2と口金3とを有し、照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されるLEDランプ1とを備えた照明装置であって、LEDランプ1と照明器具カバー12との間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具カバー12と当接している。
【解決手段】 所定の熱伝導率を持つ照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11と、所定の熱伝導率を持つ筐体2と口金3とを有し、照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されるLEDランプ1とを備えた照明装置であって、LEDランプ1と照明器具カバー12との間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具カバー12と当接している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は既存のHID(High Intensity Discharge :高輝度放電)ランプと同じ外観形状に設計されているHIDタイプのLEDランプの一例を示す斜視図、図2は図1のA方向から見た平面図、図3は図1のB−B線における一部切欠断面図である。図1、図2、図3を参照すると、このHIDタイプのLEDランプ1は、所定の熱伝導率を持つ筐体2と、電源と接続するための口金3と、複数個(この例では、5個)のLED5(図3では、その内の1個のLED5が図示されている)と、複数個のLED5からの光がそれぞれ出射される出射窓6とを有している。ここで、1個のLED5は例えば4W(ワット)のものであり、従って、5個のLED5が用いられる場合には、20W(ワット)のものとなる。このため、このHIDタイプのLEDランプ1の筐体2には、既存のHIDランプと同等の性能を発揮するためにヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が設けられている。また、筐体2は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウムやマグネシュームなどの金属、あるいは、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂など)で形成されている。
【0003】
このようなHIDタイプのLEDランプ1は、図4に断面図で示すように、所定の熱伝導率を持つ(熱伝導率の高い)照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されて用いられるようになっている。なお、図4において、HIDタイプのLEDランプ1は、図3と同様に、一部が切欠かれて図示されている。
【0004】
ここで、照明器具11としては、既存のHIDランプ用の照明器具を用いることができる。すなわち、HIDタイプのLEDランプ1は、既存のHIDランプと同じ外観形状に設計されているため、既存のHIDランプ用の照明器具11の口金ソケット13に口金3を挿入して、既存のHIDランプと置き換えて使用することができる(すなわち、既存のHIDランプと互換性がある)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来では、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットし、HIDタイプのLEDランプ1に通電してHIDタイプのLEDランプ1を点灯するとき、照明器具11は一般に通気孔がなく、照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空気は外気との入れ替えができにくいため、HIDタイプのLEDランプ1から放出された放射熱が照明器具11内(照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間)にこもってしまうという問題があった。
【0006】
図5には、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1がセットされる前の状態(器具使用なしの状態)においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果と、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果とが示されている。なお、図5において、測定ポイント1はHIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)、測定ポイント2はHIDタイプのLEDランプ1の筐体2、測定ポイント3は照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態において照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空間(空気層)、測定ポイント4は外気である。
【0007】
図5から、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)にすると、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1がセットされる前の状態(器具使用なしの状態)に比べて、例えば測定ポイント1の温度(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度)が15℃上昇してしまうことがわかった。この原因は、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)では、図6に示すように、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(R1)、空気層31(R2)、照明器具カバー12(R3)、空気層(外気)32(R4)の順序で、熱伝導の悪い空気層31(R2)を経由して照明器具カバー12に熱伝導するので、効率良く放熱を行うことができないためと考えられる。なお、R1、R2、R3、R4は熱の経路である。
【0008】
このように、従来では、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱を効率良く放熱を行うことができず、これにより、HIDタイプのLEDランプ1の寿命が短くなったり、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度の上昇によってLED5の発光効率が低下するなどの問題があった。
【0009】
また、上述したようなHIDタイプのLEDランプ1は、筐体2にヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が採用されているので、既存のHIDランプよりも重さが5割程、重くなってしまう。具体的には、既存のHIDランプの重さが220gであるのに対し、HIDタイプのLEDランプ1は重さが340gとなってしまう。このため、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットし、重力の作用する方向Gに対して、例えば図7のように傾けて使用する場合に、既存のHIDランプに比べてHIDタイプのLEDランプ1は重いために、図7に示すようにHIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向Gにずれた装着状態となりやすく、目的の方向に対して正しい照射ができなくなるなどの問題もあった。
【0010】
本発明は、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットしたときに、HIDタイプのLEDランプからの熱を効率良く放熱することの可能な照明装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、本発明は、さらに、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットしたときに、HIDタイプのLEDランプが照明器具の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することをも可能な照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接していることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接しているので、照明器具にLEDランプをセットしたときに、LEDランプからの熱を効率良く放熱することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有しているので、照明器具にLEDランプをセットしたときに、LEDランプからの熱を効率良く放熱することができるとともに、LEDランプが照明器具の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】既存のHIDランプと同じ外観形状に設計されているHIDタイプのLEDランプの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA方向から見た平面図である。
【図3】図2のB−B線における一部切欠断面図である。
【図4】所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具の口金ソケットにHIDタイプのLEDランプの口金が装着された状態を示す図である。
【図5】照明器具にHIDタイプのLEDランプがセットされる前の状態(器具使用なしの状態)においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果と、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットした後の状態(器具使用ありの状態)においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果とを示す図である。
【図6】図4の構成において、HIDタイプのLEDランプのLEDからの熱の熱伝導を示す図である。
【図7】照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットし、重力の作用する方向に対して、傾けて使用する場合を示す図である。
【図8】本発明の照明装置に用いられる支持部材(放熱ステー)の構成例を示す図である。
【図9】HIDタイプのLEDランプの筐体(フィン構造を有する筐体)に支持部材(放熱ステー)の円環状の本体部が嵌められた(当接した)状態を示す図である。
【図10】HIDタイプのLEDランプが照明器具にセットされた状態を示す図である。
【図11】HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着せずに照明器具にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果と、HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着して照明器具にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果とを示す図である。
【図12】HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着した状態にしたときの、HIDタイプのLEDランプのLEDからの熱の熱伝導を示す図である。
【図13】支持部材(放熱ステー)の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の照明装置においても、基本的には、図1、図2、図3に示したと同様のHIDタイプのLEDランプ1と、図4に示したような、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11とが用いられ、HIDタイプのLEDランプ1は、照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されて使用されるようになっている。なお、以下では、HIDタイプのLEDランプ1、および、照明器具11の構成および材料などは、前述の背景技術において説明したものと同じであるとする。
【0019】
すなわち、このHIDタイプのLEDランプ1も、図1、図2、図3に示したと同様に、所定の熱伝導率を持つ筐体2と、電源と接続するための口金3と、複数個(いま例では、5個)のLED5と、複数個のLED5からの光がそれぞれ出射される出射窓6とを有している。ここで、1個のLED5は例えば4W(ワット)のものであり、従って、5個のLED5が用いられる場合には、20W(ワット)のものとなる。このため、このHIDタイプのLEDランプ1の筐体2には、既存のHIDランプと同等の性能を発揮するためにヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が設けられている。また、筐体2は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウムやマグネシュームなどの金属、あるいは、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂など)で形成されている。
【0020】
また、照明器具カバー12は、熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウム等)などで形成されている。
【0021】
ところで、本発明では、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2と照明器具11の照明器具カバー12との間に、所定の熱伝導率を持つ環状の支持部材(放熱ステー)が設けられるようになっている。図8(a),(b)は本発明の照明装置に用いられる支持部材(放熱ステー)の構成例を示す図である。なお、図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。
【0022】
図8(a),(b)を参照すると、この支持部材(放熱ステー)21は、所定の熱伝導率を持つ材料(例えば、金属製の導電性材料や、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂などの、熱伝導率の高い材料)で形成されている。
【0023】
そして、図8(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21は、円環状の本体部22と、円環状の本体部22の円環に沿って、外側にU字形状に曲げられた複数のU字形状部23とを有している。なお、円環状の本体部22は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2自体に接する部分25と、筐体2のフィン構造7に嵌る(接する)部分26とを有している。
【0024】
このような構成により、支持部材(放熱ステー)21の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に嵌る(当接する)ようになっている。すなわち、図8(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分が、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に嵌る(当接する)ようになっている。図9(a),(b)には、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に支持部材(放熱ステー)21が嵌められた(当接した)状態が示されている。なお、図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。ここで、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)にできる限り広い接触面積で接するのが良く、図8(a),(b)、図9(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2のフィン構造7の側面と、隣接するフィン構造7間の筐体2表面とにも接するようになっている。
【0025】
また、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11にセットされたとき(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1の口金3が照明器具11の口金ソケット13に装着されたとき)、支持部材(放熱ステー)21の外側部分は、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっている。すなわち、図8(a),(b)、図9(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23が、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっている。図10(a),(b)には、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11にセットされたときの状態が示されている。なお、図10(a)は斜視図、図10(b)は図10(a)のB−B線における一部切欠断面図である。ここで、支持部材(放熱ステー)21の外側部分は、照明器具11の照明器具カバー12にできる限り広い接触面積で接するのが良い。具体的に、図8(a),(b)、図9(a),(b)、図10(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23は、できる限り多く分割されているのが良く、また、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23の全てが、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっているのが良い。
【0026】
図10(b)からわかるように(後述の図12に詳細に示すように)、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(T1)、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21(T2)、照明器具カバー12(T3)、空気層(外気)32(T4)の順序で、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21(T2)を経由して照明器具カバー12に熱伝導するので、非常に効率良く放熱を行うことが可能となる。なお、T1、T2、T3、T4は熱の経路である。
【0027】
図11には、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着せずに照明器具11にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果と、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着して照明器具11にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果とが示されている。なお、図11において、測定ポイント1はHIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)、測定ポイント2はHIDタイプのLEDランプ1の筐体2、測定ポイント3は照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態において照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空間(空気層)、測定ポイント4は外気である。
【0028】
図11から、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着した状態にすると、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着しない場合に比べて、例えば測定ポイント1の温度(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度)を15℃と大幅に低下させることができることがわかった。これは、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着した状態にすると、図12に示すように、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21、照明器具カバー12、空気層(外気)32の順序で、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を経由して照明器具カバー12に直接的に熱伝導するので、効率良く放熱を行うことができるためである。
【0029】
このように、本発明によれば、HIDタイプのLEDランプ1と照明器具カバー12との間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でHIDタイプのLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具カバー12と当接しているので、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができる。これによって、HIDタイプのLEDランプ1の寿命を長くすることができ、また、LED5の発光効率の低下を防止することができる。
【0030】
また、図9(a),(b)、図10において、照明器具11は、照明器具カバー12の開口径(もしくは開口幅)が口金ソケット13の方向に向かって狭くなっている。ここで、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23が口金ソケット13の方向に向くように支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22がHIDタイプのLEDランプ1に装着され、このとき、複数のU字形状部22は、照明器具カバー12に当接し、照明器具カバー12を外側方向(図10の矢印Hの方向)に押圧する弾性部材(バネ部材)として働く。このように、弾性部材(バネ部材)としての複数のU字形状部22が設けられていることにより、HIDタイプのLEDランプ1を中心方向に向けさせる(セルフアライメント)効果が働き、図7のように傾けて使用する場合にも、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向Gにずれるのを有効に防止することができる。
【0031】
なお、上述の例では、支持部材(放熱ステー)21は、円環状の本体部22と、円環状の本体部22の円環に沿って、外側にU字形状に曲げられた複数のU字形状部23とを有しているとしたが(また、照明器具カバー12も円環状のものとして図示されているが)、支持部材(放熱ステー)21および照明器具カバー12は、円環状のものに限らず、四角、五角、六角などの角環状のものであってもよい。すなわち、支持部材(放熱ステー)21および照明器具カバー12は、環状形状のものであればよい。ここで、本発明において、環状形状とは、完全に環状につながった形状のみならず、例えば図13(a),(b)に示すように、環状の一部が途切れたもの(図13(a),(b)には、途切れた箇所が符号40で図示されている)をも含むものとする。なお、図13(a)は斜視図、図13(b)は図13(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。
【0032】
換言すれば、本発明は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2と照明器具11の照明器具カバー12との間に、所定の熱伝導率を持つ(熱伝導率の高い)支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でHIDタイプのLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具11の照明器具カバー12と当接している構成であればよく、これによって、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができるという効果が得られる。
【0033】
また、上述の例では、弾性部材(バネ部材)を複数のU字形状部22として構成したが、支持部材21は、照明器具カバー12と当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していればよく、弾性構造としては、複数のU字形状部22に限らず、照明器具カバー12を外側方向(図10の矢印Hの方向)に押圧するものであれば、任意の弾性構造体を使用することができる。
【0034】
換言すれば、本発明は、支持部材21が、照明器具カバー12と当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることにより、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができるとともに、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することができる。
【0035】
また、上述した本発明の照明装置は、例えばスポットライトやダウンライトなどに使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スポットライトやダウンライトなどの照明一般に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 HIDタイプのLEDランプ
2 筐体
3 口金
5 LED
6 出射窓
7 フィン構造
11 照明器具
12 照明器具カバー
13 口金ソケット
21 支持部材(放熱ステー)
22 円環状の本体部
23 複数のU字形状部
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は既存のHID(High Intensity Discharge :高輝度放電)ランプと同じ外観形状に設計されているHIDタイプのLEDランプの一例を示す斜視図、図2は図1のA方向から見た平面図、図3は図1のB−B線における一部切欠断面図である。図1、図2、図3を参照すると、このHIDタイプのLEDランプ1は、所定の熱伝導率を持つ筐体2と、電源と接続するための口金3と、複数個(この例では、5個)のLED5(図3では、その内の1個のLED5が図示されている)と、複数個のLED5からの光がそれぞれ出射される出射窓6とを有している。ここで、1個のLED5は例えば4W(ワット)のものであり、従って、5個のLED5が用いられる場合には、20W(ワット)のものとなる。このため、このHIDタイプのLEDランプ1の筐体2には、既存のHIDランプと同等の性能を発揮するためにヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が設けられている。また、筐体2は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウムやマグネシュームなどの金属、あるいは、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂など)で形成されている。
【0003】
このようなHIDタイプのLEDランプ1は、図4に断面図で示すように、所定の熱伝導率を持つ(熱伝導率の高い)照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されて用いられるようになっている。なお、図4において、HIDタイプのLEDランプ1は、図3と同様に、一部が切欠かれて図示されている。
【0004】
ここで、照明器具11としては、既存のHIDランプ用の照明器具を用いることができる。すなわち、HIDタイプのLEDランプ1は、既存のHIDランプと同じ外観形状に設計されているため、既存のHIDランプ用の照明器具11の口金ソケット13に口金3を挿入して、既存のHIDランプと置き換えて使用することができる(すなわち、既存のHIDランプと互換性がある)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来では、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットし、HIDタイプのLEDランプ1に通電してHIDタイプのLEDランプ1を点灯するとき、照明器具11は一般に通気孔がなく、照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空気は外気との入れ替えができにくいため、HIDタイプのLEDランプ1から放出された放射熱が照明器具11内(照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間)にこもってしまうという問題があった。
【0006】
図5には、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1がセットされる前の状態(器具使用なしの状態)においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果と、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果とが示されている。なお、図5において、測定ポイント1はHIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)、測定ポイント2はHIDタイプのLEDランプ1の筐体2、測定ポイント3は照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態において照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空間(空気層)、測定ポイント4は外気である。
【0007】
図5から、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)にすると、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1がセットされる前の状態(器具使用なしの状態)に比べて、例えば測定ポイント1の温度(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度)が15℃上昇してしまうことがわかった。この原因は、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態(器具使用ありの状態)では、図6に示すように、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(R1)、空気層31(R2)、照明器具カバー12(R3)、空気層(外気)32(R4)の順序で、熱伝導の悪い空気層31(R2)を経由して照明器具カバー12に熱伝導するので、効率良く放熱を行うことができないためと考えられる。なお、R1、R2、R3、R4は熱の経路である。
【0008】
このように、従来では、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱を効率良く放熱を行うことができず、これにより、HIDタイプのLEDランプ1の寿命が短くなったり、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度の上昇によってLED5の発光効率が低下するなどの問題があった。
【0009】
また、上述したようなHIDタイプのLEDランプ1は、筐体2にヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が採用されているので、既存のHIDランプよりも重さが5割程、重くなってしまう。具体的には、既存のHIDランプの重さが220gであるのに対し、HIDタイプのLEDランプ1は重さが340gとなってしまう。このため、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットし、重力の作用する方向Gに対して、例えば図7のように傾けて使用する場合に、既存のHIDランプに比べてHIDタイプのLEDランプ1は重いために、図7に示すようにHIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向Gにずれた装着状態となりやすく、目的の方向に対して正しい照射ができなくなるなどの問題もあった。
【0010】
本発明は、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットしたときに、HIDタイプのLEDランプからの熱を効率良く放熱することの可能な照明装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、本発明は、さらに、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットしたときに、HIDタイプのLEDランプが照明器具の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することをも可能な照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接していることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接しているので、照明器具にLEDランプをセットしたときに、LEDランプからの熱を効率良く放熱することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有しているので、照明器具にLEDランプをセットしたときに、LEDランプからの熱を効率良く放熱することができるとともに、LEDランプが照明器具の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】既存のHIDランプと同じ外観形状に設計されているHIDタイプのLEDランプの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA方向から見た平面図である。
【図3】図2のB−B線における一部切欠断面図である。
【図4】所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具の口金ソケットにHIDタイプのLEDランプの口金が装着された状態を示す図である。
【図5】照明器具にHIDタイプのLEDランプがセットされる前の状態(器具使用なしの状態)においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果と、照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットした後の状態(器具使用ありの状態)においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果とを示す図である。
【図6】図4の構成において、HIDタイプのLEDランプのLEDからの熱の熱伝導を示す図である。
【図7】照明器具にHIDタイプのLEDランプをセットし、重力の作用する方向に対して、傾けて使用する場合を示す図である。
【図8】本発明の照明装置に用いられる支持部材(放熱ステー)の構成例を示す図である。
【図9】HIDタイプのLEDランプの筐体(フィン構造を有する筐体)に支持部材(放熱ステー)の円環状の本体部が嵌められた(当接した)状態を示す図である。
【図10】HIDタイプのLEDランプが照明器具にセットされた状態を示す図である。
【図11】HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着せずに照明器具にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果と、HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着して照明器具にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプを点灯したときのHIDタイプのLEDランプの各部分の温度測定結果とを示す図である。
【図12】HIDタイプのLEDランプに熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)を装着した状態にしたときの、HIDタイプのLEDランプのLEDからの熱の熱伝導を示す図である。
【図13】支持部材(放熱ステー)の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の照明装置においても、基本的には、図1、図2、図3に示したと同様のHIDタイプのLEDランプ1と、図4に示したような、所定の熱伝導率を持つ照明器具カバー12と口金ソケット13とを有する照明器具11とが用いられ、HIDタイプのLEDランプ1は、照明器具11の口金ソケット13に口金3が装着されて使用されるようになっている。なお、以下では、HIDタイプのLEDランプ1、および、照明器具11の構成および材料などは、前述の背景技術において説明したものと同じであるとする。
【0019】
すなわち、このHIDタイプのLEDランプ1も、図1、図2、図3に示したと同様に、所定の熱伝導率を持つ筐体2と、電源と接続するための口金3と、複数個(いま例では、5個)のLED5と、複数個のLED5からの光がそれぞれ出射される出射窓6とを有している。ここで、1個のLED5は例えば4W(ワット)のものであり、従って、5個のLED5が用いられる場合には、20W(ワット)のものとなる。このため、このHIDタイプのLEDランプ1の筐体2には、既存のHIDランプと同等の性能を発揮するためにヒートシンク放熱構造(具体的にはフィン構造7)が設けられている。また、筐体2は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウムやマグネシュームなどの金属、あるいは、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂など)で形成されている。
【0020】
また、照明器具カバー12は、熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウム等)などで形成されている。
【0021】
ところで、本発明では、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2と照明器具11の照明器具カバー12との間に、所定の熱伝導率を持つ環状の支持部材(放熱ステー)が設けられるようになっている。図8(a),(b)は本発明の照明装置に用いられる支持部材(放熱ステー)の構成例を示す図である。なお、図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。
【0022】
図8(a),(b)を参照すると、この支持部材(放熱ステー)21は、所定の熱伝導率を持つ材料(例えば、金属製の導電性材料や、樹脂中に例えばカーボンなどを含有する熱伝導樹脂などの、熱伝導率の高い材料)で形成されている。
【0023】
そして、図8(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21は、円環状の本体部22と、円環状の本体部22の円環に沿って、外側にU字形状に曲げられた複数のU字形状部23とを有している。なお、円環状の本体部22は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2自体に接する部分25と、筐体2のフィン構造7に嵌る(接する)部分26とを有している。
【0024】
このような構成により、支持部材(放熱ステー)21の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に嵌る(当接する)ようになっている。すなわち、図8(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分が、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に嵌る(当接する)ようになっている。図9(a),(b)には、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)に支持部材(放熱ステー)21が嵌められた(当接した)状態が示されている。なお、図9(a)は斜視図、図9(b)は図9(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。ここで、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(フィン構造7を有する筐体2)にできる限り広い接触面積で接するのが良く、図8(a),(b)、図9(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22の内側部分は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2のフィン構造7の側面と、隣接するフィン構造7間の筐体2表面とにも接するようになっている。
【0025】
また、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11にセットされたとき(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1の口金3が照明器具11の口金ソケット13に装着されたとき)、支持部材(放熱ステー)21の外側部分は、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっている。すなわち、図8(a),(b)、図9(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23が、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっている。図10(a),(b)には、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11にセットされたときの状態が示されている。なお、図10(a)は斜視図、図10(b)は図10(a)のB−B線における一部切欠断面図である。ここで、支持部材(放熱ステー)21の外側部分は、照明器具11の照明器具カバー12にできる限り広い接触面積で接するのが良い。具体的に、図8(a),(b)、図9(a),(b)、図10(a),(b)の例では、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23は、できる限り多く分割されているのが良く、また、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23の全てが、照明器具11の照明器具カバー12に当接するようになっているのが良い。
【0026】
図10(b)からわかるように(後述の図12に詳細に示すように)、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2(T1)、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21(T2)、照明器具カバー12(T3)、空気層(外気)32(T4)の順序で、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21(T2)を経由して照明器具カバー12に熱伝導するので、非常に効率良く放熱を行うことが可能となる。なお、T1、T2、T3、T4は熱の経路である。
【0027】
図11には、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着せずに照明器具11にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果と、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着して照明器具11にセットした状態においてHIDタイプのLEDランプ1を点灯したときのHIDタイプのLEDランプ1の各部分の温度測定結果とが示されている。なお、図11において、測定ポイント1はHIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)、測定ポイント2はHIDタイプのLEDランプ1の筐体2、測定ポイント3は照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットした後の状態において照明器具11とHIDタイプのLEDランプ1との間の空間(空気層)、測定ポイント4は外気である。
【0028】
図11から、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着した状態にすると、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着しない場合に比べて、例えば測定ポイント1の温度(すなわち、HIDタイプのLEDランプ1のLED5のジャンクション(p−nジャンクション)の温度)を15℃と大幅に低下させることができることがわかった。これは、HIDタイプのLEDランプ1に熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を装着した状態にすると、図12に示すように、HIDタイプのLEDランプ1のLED5からの熱は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21、照明器具カバー12、空気層(外気)32の順序で、熱伝導率の高い支持部材(放熱ステー)21を経由して照明器具カバー12に直接的に熱伝導するので、効率良く放熱を行うことができるためである。
【0029】
このように、本発明によれば、HIDタイプのLEDランプ1と照明器具カバー12との間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でHIDタイプのLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具カバー12と当接しているので、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができる。これによって、HIDタイプのLEDランプ1の寿命を長くすることができ、また、LED5の発光効率の低下を防止することができる。
【0030】
また、図9(a),(b)、図10において、照明器具11は、照明器具カバー12の開口径(もしくは開口幅)が口金ソケット13の方向に向かって狭くなっている。ここで、支持部材(放熱ステー)21の複数のU字形状部23が口金ソケット13の方向に向くように支持部材(放熱ステー)21の円環状の本体部22がHIDタイプのLEDランプ1に装着され、このとき、複数のU字形状部22は、照明器具カバー12に当接し、照明器具カバー12を外側方向(図10の矢印Hの方向)に押圧する弾性部材(バネ部材)として働く。このように、弾性部材(バネ部材)としての複数のU字形状部22が設けられていることにより、HIDタイプのLEDランプ1を中心方向に向けさせる(セルフアライメント)効果が働き、図7のように傾けて使用する場合にも、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向Gにずれるのを有効に防止することができる。
【0031】
なお、上述の例では、支持部材(放熱ステー)21は、円環状の本体部22と、円環状の本体部22の円環に沿って、外側にU字形状に曲げられた複数のU字形状部23とを有しているとしたが(また、照明器具カバー12も円環状のものとして図示されているが)、支持部材(放熱ステー)21および照明器具カバー12は、円環状のものに限らず、四角、五角、六角などの角環状のものであってもよい。すなわち、支持部材(放熱ステー)21および照明器具カバー12は、環状形状のものであればよい。ここで、本発明において、環状形状とは、完全に環状につながった形状のみならず、例えば図13(a),(b)に示すように、環状の一部が途切れたもの(図13(a),(b)には、途切れた箇所が符号40で図示されている)をも含むものとする。なお、図13(a)は斜視図、図13(b)は図13(a)の矢印Cの方向から見た平面図である。
【0032】
換言すれば、本発明は、HIDタイプのLEDランプ1の筐体2と照明器具11の照明器具カバー12との間に、所定の熱伝導率を持つ(熱伝導率の高い)支持部材21が設けられ、該支持部材21は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分でHIDタイプのLEDランプ1の筐体2と当接し、環状形状の外側部分で照明器具11の照明器具カバー12と当接している構成であればよく、これによって、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができるという効果が得られる。
【0033】
また、上述の例では、弾性部材(バネ部材)を複数のU字形状部22として構成したが、支持部材21は、照明器具カバー12と当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していればよく、弾性構造としては、複数のU字形状部22に限らず、照明器具カバー12を外側方向(図10の矢印Hの方向)に押圧するものであれば、任意の弾性構造体を使用することができる。
【0034】
換言すれば、本発明は、支持部材21が、照明器具カバー12と当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることにより、照明器具11にHIDタイプのLEDランプ1をセットしたときに、HIDタイプのLEDランプ1からの熱を効率良く放熱することができるとともに、HIDタイプのLEDランプ1が照明器具11の中心から重力の作用する方向にずれるのを有効に防止することができる。
【0035】
また、上述した本発明の照明装置は、例えばスポットライトやダウンライトなどに使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スポットライトやダウンライトなどの照明一般に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 HIDタイプのLEDランプ
2 筐体
3 口金
5 LED
6 出射窓
7 フィン構造
11 照明器具
12 照明器具カバー
13 口金ソケット
21 支持部材(放熱ステー)
22 円環状の本体部
23 複数のU字形状部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることを特徴とする照明装置。
【請求項1】
所定の熱伝導率を持つ照明器具カバーと口金ソケットとを有する照明器具と、所定の熱伝導率を持つ筐体と口金とを有し、前記照明器具の口金ソケットに口金が装着されるLEDランプとを備えた照明装置であって、前記LEDランプと前記照明器具カバーとの間には、所定の熱伝導率を持つ支持部材が設けられ、該支持部材は、環状形状のものであって、環状形状の内側部分で前記LEDランプの前記筐体と当接し、環状形状の外側部分で前記照明器具カバーと当接していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、前記支持部材は、照明器具カバーと当接する環状形状の外側部分に弾性構造を有していることを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−14900(P2012−14900A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148700(P2010−148700)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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