説明

照明装置

【課題】使用状況、状態によって最適な照明装置設置を可能とする照明装置を提供する。
【解決手段】高輝度で拡散範囲が広い表面実装型発光ダイオード(SMD型LED)3を光源とする照明装置において、該SMD型LED3を1ないし複数列配置した長尺フレキシブル基板2裏面に天然ゴム又は合成ゴム又はポリマー樹脂にフェライトマグネット粉末を混ぜた柔軟性のあるマグネットテープ7あるいは固形マグネットの小片を間隔を置いて取り付けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を利用した照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、白熱電球や蛍光灯に替えて発光ダイオード(以下、「LED」と省略表記する。)を光源とした照明装置が使用されてきている。このような照明装置に用いられるLEDは、高輝度で拡散範囲が広い表面実装型LED(以下、「SMD型LED」と省略表記する。)が多い。
【0003】
このような照明装置は、製造の容易さ、応用の広さから「非特許文献1」の如く、長尺の基板上に複数のSMD型LEDを配置し、蛍光灯と同様な照明装置としたり、基板をフレキシブルとし看板のバックライト、足元灯、室内装飾、イルミネーション、間接照明等に広く応用されてきている。
【0004】
また、「非特許文献2」の如く、RGB(赤、緑、青)の3原色のチップが1個のSMDに実装されたLEDを使用したものもあり、専用のコントローラを使用して調光することも可能である。
【0005】
この様な照明装置においては、照明装置を設置するに当り、「特許文献1」のようにフレキシブル基板の特性を有効に活用するため基板の裏面に両面テープを接着し、このテープの粘着力によって壁面や天井に設置していた。
【0006】
上記のような照明装置は、そのフレキシビリティ(柔軟性)を活用して、設置場所の形状や、位置にあまり拘束されないため、恒久的な固定照明よりイベント時の照明や自動車の装飾照明等、一時的な照明に活用される場合が多い。
【0007】
しかし、一時的な照明に使用された後、次の使用に供する場合、両面テープを剥がす際に基板からテープが剥がれてしまったり、設置場所に両面テープの接着剤が残ってしまう等の事故や不具合が発生する場合がある。さらに、両面テープは何度か接着―剥離を繰り返しているとテープ自体の接着力が劣化してしまう。
【0008】
また、湿気の多い設置場所では設置箇所に水蒸気が付いていたり水濡れがある場合はテープの接着力が効かずしっかり設置できない場合がある。
【0009】
一般的に、LEDの輝度を上げるためにはLEDに流す電流を増大してやれば良いのであるが、電流増大によりLEDの発熱量も増大し、最終的にはLEDは熱破壊してしまうため電流増大には限界すなわち輝度向上には熱的限界がある。
【0010】
上記の熱問題を解決し適度を向上させるため、基板を熱伝導率の良い金属の放熱器の上に設置する手段が用いられるが、照明装置のフレキシビリティは失われてしまい応用分野が限られてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−21123号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】http://www.neo-w.co.jp/LED_tape.html
【非特許文献2】http://www.xmas-deco-lights.com/shop/LEDTapeLight.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、同一平面状に実装されたSMD型LEDの基板をフレキシブルとした照明装置において、基板裏面に両面テープを接着し、その接着力で照明装置を設置していたのがこれまでの構成であった。このような構成では照明装置の設置は大変容易であるが、照明装置を剥がして移動する場合に接着テープが剥がれないようにすること、また、設置場所に接着テープの接着剤のような設置痕が残らないようにすることが課題である。
【0014】
さらに、該照明装置の輝度を向上させるため、照明装置設置時のフレキシビリティ(柔軟性)を保ちながらLEDの温度上昇を抑える放熱対策を行うことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような各課題を解決するため、本発明に係る照明装置は、請求項1の如く、高輝度で拡散範囲が広い表面実装型LEDをフレキシブル基板に実装し、基板裏面に天然ゴム又は合成ゴム又はポリマー樹脂にフェライトマグネット粉末を混ぜた柔軟性のあるマグネットテープを接着する構成とする。
【0016】
上記マグネットテープとしては、上記ゴム等にフェライトマグネット粉末を混ぜて圧延成形することにより、フェライトマグネット粉末の結晶配向を一方向に機械配向させた磁力の強い異方性フェライトマグネットテープを採用することが望ましい。また、フレキシブル基板とマグネットテープの接着には熱伝導性の良い接着剤を用いることが好適である。
【0017】
上記説明においては、フレキシブル基板裏面にマグネットテープを接着した場合を挙げたが、柔軟性は無いが磁力の強力なネオジウム磁石のような固形マグネットの小片を間隔を置いて接着しても良い。このようにすれば、照明装置の設置柔軟性はマグネットテープより若干劣るが設置強さは強力となる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように表面実装型LEDを実装したフレキシブル基板にマグネットテープを接着した本発明の照明装置によれば、設置箇所はスチール(鉄)のような金属磁性体部分に限られるが、マグネットテープを用いるため照明装置の柔軟性は失われず、設置には磁力を用いて磁気接着するため接着剤の剥がれや残渣が残るという不具合は生じない。また、接着―剥離の繰り返しや水濡れ箇所によって磁気接着の磁気力が減少したりすることは無い。
【0019】
設置場所が木材やコンクリートのような磁性体以外の場所では、設置場所にスチールテープを張った後に本発明の照明装置を磁気接着することもできる。
【0020】
一方、フレキシブル基板の裏に接着したマグネットテープは、前述のようにゴム等にフェライトマグネット粉末を混ぜたものであり、基板単体より熱容量が大きく、LEDが発生する熱を、基板〜マグネットテープ〜設置金属体と伝送放熱するためLEDへの電流を増大、すなわちLEDの輝度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の一実施例における全体平面図を示す図である。
【図2】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の一実施例における全体側面図を示す図である。
【図3】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の一実施例における基板の断面を示す図である。
【図4】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の一実施例をオフィス什器に一時取り付けした図である。
【図5】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の一実施例を自動車の装飾照明として応用した図である。
【図6】本発明に係るSMD型LEDを用いた照明装置の別の一実施例における全体側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を主略する箇所については公知技術によるものとする。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る照明装置1の概要を示す平面図であり、図2は該実施形態の側面図であり、図3は該実施形態の断面図である。同図に示すようにフレキシブル基盤2上には1ないし数列のSMD型LED3及び抵抗等の回路素子4及びコネクター5が実装されている。この基板2の裏面には熱伝導の良い接着剤8によってマグネットテープ7が接着されている。また、防水のために基板2の上部を透明なエポキシ樹脂のような防水コーティング材6で覆っても良い。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に係る照明装置をクリスマス等の祝祭装飾の照明として応用した場合の図である。本発明による照明を一時的にオフィスのファイルキャビネットのような什器に設置すれば普段と異なった景観となる。祝祭が終われば簡単に本発明の照明装置を取り外すことができ、什器に傷や痕を残すことが無い。
【0025】
図5は、本発明の一実施形態に係る照明装置を自動車の装飾照明として取り付けた場合の概要図である。基板上を防水コーティングした本発明の照明装置は自動車のような鉄板構成の車体への取り付けに最適で、取付部の車体カーブに沿ってフレキシブルの取り付けることができ、多少の埃や水分によって接着力が減少することは少ない。
【0026】
図6は本発明の一実施形態に係る照明装置10の概要を示す側面図であり、フレキシブル基板2の裏面に固形のマグネット9を間隔をあけて取り付けた図である。固形マグネット9は間隔をあけて取り付けてあるので、照明装置設置の柔軟性は保たれる。また、固形マグネット9はゴムを混ぜないため柔軟性は無いが、磁力はマグネットテープより強力で、照明装置設置はより強固となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上述してきたように、本願による発明によれば、照明対象を広く照明できる一方、照明方向を変えることにより使用環境、状況に応じた照明装置とすることができ、省エネルギーにも寄与することができる。このような照明装置は室内照明灯に限らず、前述した自動車室内灯、美術館の展示照明装置等の他分野への利用が期待できる。
【0028】
さらに、冷凍食品や冷蔵食品の展示ケースのような水濡れの可能性のある場所での照明装置には最適であり、同様箇所への広い応用が期待できる。
【0029】
また、照明用途はもちろんLEDの高速点滅応答特性、前述の調光特性、設置の柔軟性を利用してウインドウディスプレイや方向案内照明装置として活用できる等、照明装置としてばかりでなく各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0030】
1…本願照明装置、2…長尺フレキシブル基板、3…SMD型LED、4…LED駆動用回路素子、5…コネクター、6…防水コーティング、7…マグネットテープ、8…接着剤、9…固形マグネット、10…本願照明装置の別の形態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装型発光ダイオード(SMD型LED)を光源とする照明装置において、前記SMD型LEDを1ないし複数列配置した長尺フレキシブル基板裏面にマグネットテープを取り付けたことを特徴とした照明装置。
【請求項2】
表面実装型発光ダイオード(SMD型LED)を光源とする照明装置において、前記SMD型LEDを1ないし複数列配置した長尺フレキシブル基板裏面に固形マグネットを間隔をあけて取り付けたことを特徴とした照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−43756(P2012−43756A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186659(P2010−186659)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(510203809)株式会社エクスプロア (8)
【Fターム(参考)】