説明

照明装置

【課題】発光材料の劣化を抑制し、所期の発光寿命が得られる照明装置を提供すること。
【解決手段】照明パネル100の発光領域7内には、当該パネルを貫通する開口部14が形成されているため、開口部14からの放熱により、従来の照明装置(パネル)よりも、放熱効果を高めることができる。さらに、熱がこもり易い中央部近傍に開口部14が形成されているため、高温になり易い領域を効果的に放熱することができる。よって、発光層に用いられている発光材料の劣化を効果的に抑制(低減)することができる。従って、所期の発光寿命を確保した照明装置110を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として有機EL(Electro Luminescence)などの固体光源を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光性を有する有機ELは、バックライトなどの別光源を必要とする液晶表示装置よりも、簡便な構成とすることができるため、表示装置への適用が進められている。
また、自発光性であることを活かして、室内照明用などの照明装置の光源(発光層)としての用途も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、有機EL層を光源とした照明装置が開示されている。図5(a)は当該照明装置に用いられている有機EL層を備えた照明パネルの正面図であり、(b)は(a)のf−f断面における側断面図を示している。
この照明パネル90は、素子基板71と封止基板78との間に、有機EL層を含む機能層67を挟持した構成となっており、素子基板71の背面71aから有機EL層が放つ光を出射するボトムエミッション型のパネル構成となっていた。
また、当該文献によれば、封止基板78の略全面に形成された反射性の陰極電極79に対して、有機EL層を介して対となる陽極電極66a〜66cを環状に区画したことにより、陽極電極をベタ状に形成した場合に比べて、輝度ムラを低減することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−173520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に代表される従来の照明装置(照明パネル90)では、発熱によって、有機EL層の発光材料が劣化してしまうという課題があった。
詳しくは、機能層67(有機EL層)の発光にともなって発生する熱は、照明パネル90の周縁部、素子基板71の背面71a、および封止基板78の表面などの外気や、外部構造体に接する部分から放熱されるが、十分な放熱効果が得られるとは言い難かった。特に、パネル中央部分(陽極電極66a周辺)では、熱の逃げ場が乏しいため、熱がこもり易く、発光材料の許容温度を超えた温度となってしまうことがあり、これが、発光材料の劣化を招いていた。
また、この現象は、照明パネル90のサイズが大きくなるほど、また、点灯時間が長くなるほど顕著となることが解っている。
つまり、従来の照明装置では、発光材料が劣化してしまうため、所期の発光寿命を確保することが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例に係る照明装置は、基板と、基板上に形成された発光層を含む機能層と、を少なくとも備え、平面的に機能層が形成された発光領域内に、基板を貫通する開口部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、発光領域内に、基板を貫通する開口部が形成されているため、当該開口部からの放熱により、従来の照明装置(パネル)よりも、放熱効果を高めることができる。
よって、発光層に用いられている発光材料の劣化を抑制(低減)することができる。
従って、所期の発光寿命を確保した照明装置を提供することができる。
【0009】
[適用例2]
本適用例に係る照明装置によれば、開口部は、発光領域における中央を含んだ部分に形成されていることが好ましい。
【0010】
本適用例によれば、熱がこもり易い中央部近傍に開口部が形成されているため、高温になり易い領域を効果的に放熱することができる。
従って、より効果的に発光材料の劣化を低減することができる。
【0011】
[適用例3]
本適用例に係る照明装置によれば、開口部が複数形成されていることが好ましい。
【0012】
本適用例によれば、複数の熱がこもり易い部分に選択的に開口部を形成しておくことが可能となるため、より効率的な放熱を行なうことができる。例えば、対角20インチ以上の大型の照明パネルに好適である。
【0013】
[適用例4]
本適用例に係る照明装置によれば、発光層は、有機EL層であり、機能層を覆う無機材料からなる封止層をさらに備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る照明装置の平面図。
【図2】図1のP−P断面における側断面図。
【図3】図2におけるQ部の拡大図。
【図4】実施形態2に係る照明装置の平面図。
【図5】(a);従来の照明パネルの正面図、(b);(a)のf−f断面における側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0016】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る照明装置の平面図であり、図5(a)に対応している。図2は、図1のP−P断面における側断面図であり、図5(b)に対応している。
まず、実施形態1に係る照明装置110の概略構成について、図1,2を用いて説明する。
【0017】
「照明装置の概要」
照明装置110は、照明パネル100、電源部25、調光部20などから構成されている。照明パネル100は、素子基板1と封止基板18との間に、有機EL層を含む機能層17を挟持した構成となっており、素子基板1の背面1aから有機EL層が放つ略白色光を出射するボトムエミッション型のパネル構成を採用している。
ここで、照明パネル100には、その略中央に開口部14(貫通穴)が形成されている。この特徴ある構成により、従来の照明装置よりも優れた放熱性を実現している。
以下、開口部14を含む照明パネル100の構成を詳細に説明する。
【0018】
「照明パネルの平面構成」
図1に示すように、照明パネル100の外形は、横長の略長方形をなしている。なお、図1を含む各図においては、横長の長方形における横方向をX軸方向とし、横方向よりも短い縦方向をY軸方向と定義している。また、以下、開口部14を基点として、Y軸(+)側を上側、(−)側を下側とし、X軸(+)側を右側、(−)側を左側として説明する。
照明パネル100は、その外形を規定する横長の長方形の素子基板1と、当該素子基板1よりも一回り小さい封止基板18とから構成されている。このため、封止基板18の周囲には、素子基板1の各辺が封止基板18から張出した張出し領域が形成されている。
照明パネル100の上側の一辺(上辺)における張出し領域には、複数の陽極電極に電力を供給するための複数の端子30〜32が形成されている。また、下辺における張出し領域には、陰極電極に電力を供給するための端子35が形成されている。
【0019】
基板としての素子基板1は、矩形の平板状の部材であり、有機EL層で発光する光の波長に対して透明な材料、例えば透明な無機ガラス等で構成される。なお、本実施形態では、好適例として無アルカリガラスを用いている。
ここで、素子基板1の略中央部が開口部14になっており、その外周には、複数の陽極電極6a〜6cが一定の間隙を空けて環状に形成されている。
最内周に形成された陽極電極6aは、開口部14よりも一回り大きな開口が形成された中空の矩形をなしている。また、陽極電極6aには、その上辺から端子30に伸びる配線が接続されている。
陽極電極6bは、配線を含む陽極電極6aの外周から一定の間隙を空けて、陽極電極6aの形状に沿って形成された環状配線である。また、その両端は、それぞれが端子31aに接続されている。
【0020】
最外周に形成された陽極電極6cは、陽極電極6bの外周から一定の間隙を空けて、陽極電極6bの形状に沿って形成された環状配線である。また、その両端は、それぞれが端子32bに接続されている。
ここで、本実施形態では、陽極電極6cの最外形で規定される横長の長方形領域を発光領域7としている。なお、発光領域7は、平面的に機能層17が形成されている領域と略同等のサイズである。
なお、本実施形態では、好適例として環状の陽極電極の数を3個(分割)としているが、これに限定するものではなく、その数は、任意であり、照明パネル100のサイズや、発光量等を考慮して、適宜、設定すれば良い。
また、陰極電極9は、平面的に陽極電極6c(発光領域7)よりも一回り大きな反射電極であり、その下辺と端子35とが電気的に接続されている。
【0021】
「照明パネルの断面構成」
図3は、図2におけるQ部の拡大図である。
続いて、図2,3を用いて、照明パネルの断面構成について詳細に説明する。
図2に示すように、照明パネル100は、素子基板1上に形成(積層)された、陽極電極6、機能層17、充填材13、封止基板18などから構成されている。
陽極電極6は、素子基板1上に形成された透明電極であり、好適例として、ITO(Indium Tin Oxide)を用いている。なお、導電性の透明電極であれば良く、例えば、ZnO(Zinc oxide)を用いても良い。
【0022】
図3に示すように、機能層17は、発光層としての有機EL層8、陰極電極9、電極保護層10、緩衝層11、封止層としてのガスバリア層12などから構成されている。
有機EL層8は、陽極電極6aを覆って形成されている。また、図3においては実線で示すように一層の構成としているが、実際は破線で示すように、それぞれが有機物の薄膜からなる正孔輸送層、発光層、電子注入層などから構成されており、陽極電極6a上にこの順番に積層されている。
【0023】
正孔輸送層は、芳香族ジアミン(TPAB2Me−TPD,α−NPD)などの昇華性の材料から構成されている。
発光層は、好適例として、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層を含む多層構成となっている。なお、この構成に限定するものではなく、略白色光を合成可能な複数の発光層を含む積層構造および材料であれば良い。
例えば、オレンジ色発光層と青色発光層との2層を含む積層構造であっても良いし、発光層間に中間層を介在させた構成であっても良い。または、各発光層間に中間電荷発生層を挟んで配置した構成、いわゆるタンデム型有機EL層構成であっても良い。
電子注入層は、LiF(フッ化リチウム)などから構成されている。
また、有機EL層8を構成する各層は、好適例として、真空蒸着法などの蒸着法を用いて、昇華性の材料を積層して形成されている。なお、この方法に限定するものではなく、例えば、高分子材料をインクジェット方式で塗布して発光層を形成する塗布法を用いても良い。
また、有機ELに限定するものではなく、陽極電極6と陰極電極9との間に形成可能な固体光源(発光層)であれば良く、例えば、無機ELや、LED(Light Emitting Diode)を用いても良い。
【0024】
陰極電極9は、有機EL層8を覆って形成された反射性を有する金属からなる金属層である。本実施形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、好適例としてアルミニウムを用いている。なお、アルミニウムに限定するものではなく、アルミリチウム(Al:Li)や、マグネシウム銀(Mg:Ag)などの合金を用いても良い。また、その端部の一部は素子基板1に面しており、前述したように、端子35と接続されている。
電極保護層10は、SiO2や、Si34、SiOxNyなどの透明、かつ、高密度で、水分を遮断する機能を有する材質から構成されている。
緩衝層11は、熱硬化性のエポキシ樹脂などの透明な有機緩衝層である。
ガスバリア層12は、SiO2や、Si34、SiOxNyなどの透明、かつ、高密度で、水分を遮断する機能を有する無機材料からなる封止層であり、有機EL層8への水分の浸入を防止する機能を担う。
充填材13は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂などからなる透明な接着層であり、ガスバリア層12と封止基板18との間を充填するとともに、両者を接着する。また、外部から、有機EL層8への水分の浸入を防ぐ機能も果たす。
【0025】
封止基板18は、好適例として素子基板1と同様な無機ガラスを用いている。また、透明性は要求されないため、金属製の基板を用いても良い。
なお、本実施形態では、ガスバリア性(特に、水分)を高めるために、ガスバリア層12を形成した上で、さらに、封止基板18で密閉する構成を採用しているが、封止基板18を省いた構成であっても良い。換言すれば、2枚のガラス基板を用いた構成に限定するものではなく、ガラス基板(素子基板1)1枚のみの構成としても良い。この場合、封止基板18は設けずに、陰極電極9、およびガスバリア層12の厚さを封止基板18を用いる場合よりも、厚くしたり、ガスバリア層を2重に形成することにより、2枚のガラス基板を用いた場合と同等なガスバリア性を確保することができる。
【0026】
また、封止基板18と素子基板1とは、開口部14の周囲に沿って形成(塗布)されたシール剤15bによって接着および封止されている。シール剤15としては、エポキシ系の接着剤や、紫外線硬化樹脂などを用いる。なお、図2に示すように、照明パネル100の外周においても、封止基板18と素子基板1とは、封止基板18の外形に沿って形成(塗布)されたシール剤15aによって接着および封止されている。
【0027】
なお、照明パネル100の構成は、ボトムエミッション型に限定するものではなく、トップエミッション型であっても良い。トップエミッション型とする場合には、封止基板18側から照明光が出射されるため、パネルの天地を反転させる必要がある。
また、陽極電極6の下層(素子基板1側)に反射層を設けるとともに、陰極電極9を構成する金属層の厚さを光透過性が得られるまで薄くする。
【0028】
「開口部の形成方法」
続いて、図2を用いて、開口部14の形成方法について説明する。
開口部14の形成方法としては、エッチング法、またはレーザーを用いる方法が好適である。または、これらを併用しても良い。
エッチング法の場合、照明パネル100の開口部14以外の部分を、レジストやマスキングテープでマスキングした状態で、フッ酸(フッ化水素酸)をエッチング溶液(水溶液)として用いてエッチングする。好適例としては、フッ酸の濃度を10〜50wt%範囲内とし、25℃を中心値として、20±10℃の範囲内で温度管理された状態でエッチングを行なう。
【0029】
また、レーザー法の場合、炭酸ガスレーザー(CO2)光を開口部14の形状に沿って照射することによって、素子基板1および封止基板18を切断する。好適例としては、まず、薄い封止基板18側にレーザー照射して開口部を形成した後、照明パネル100を裏返して素子基板1側にレーザー照射することにより、開口部14を貫通させる。レーザー照射の条件は、基板の厚さや使用するレーザー照射装置の性能によって異なる。レーザー照射装置は、連続発振、パルス発振などの照射条件や、照射強度などを設定可能な装置が好ましい。
また、レーザー照射の前処理として、予め各基板の表面に開口部14の形状に沿ってスクライブライン(割断ガイド溝)を形成しておくことが好ましい。スクライブラインの幅および深さは、基板の厚さに応じて、数μmから100μmの範囲内で定め、好適には、フォトリソ法を用いて形成する。なお、機械加工によって形成しても良い。
【0030】
また、ここまで、照明パネル100が略完成した状態で、開口部14を形成する場合について説明したが、このタイミングに限定するものではない。
例えば、素子基板1および封止基板18が単品の状態で、開口部14を形成しておいても良い。または、製造工程において、複数の照明パネル100が略完成した状態で面付けされた大判基板(パネル)の状態(単品パネルへの切分け前段階)で、開口部14を形成しても良い。
【0031】
「照明パネルの駆動方法」
続いて、図1を用いて、照明パネル100の駆動方法について説明する。
照明パネル100には、電源部25、および調光部20から駆動電力が供給される。
電源部25は、直流電源である。照明装置110は、住居や、会社などにおける室内照明用途を想定しているため、好適例として、安定化電源を用いている。詳しくは、交流電源を電源とし、整流回路、平滑コンデンサー、およびシリーズレギュレータやスイッチングレギュレータを用いた安定化電源回路を備えた安定化電源を用いている。
【0032】
調光部20は、3つのスイッチS1〜S3、制御部21などから構成されている。
スイッチS1は、端子30へのプラス電位の供給をオン/オフするスイッチであり、陽極電極6aに重なる有機EL層8の点灯/消灯を行なう。
スイッチS2は、2ヶ所の端子31aへのプラス電位の供給をオン/オフするスイッチであり、陽極電極6bに重なる有機EL層8の点灯/消灯を行なう。
スイッチS3は、端子32bへのプラス電位の供給をオン/オフするスイッチであり、陽極電極6cに重なる有機EL層8の点灯/消灯を行なう。スイッチS1〜S3は、好適例として、MOSトランジスターや、バイポーラトランジスターなどを用いたアナログスイッチを用いている。
制御部21は、スイッチS1〜S3のオン/オフをそれぞれ制御する制御回路であり、好適例としては、MCU(Micro Control Unit)を用いている。
【0033】
以上述べたように、本実施形態に係る照明装置110によれば、以下の効果を得ることができる。
発光領域7内に、照明パネル100を貫通する開口部14が形成されているため、開口部14からの放熱により、従来の照明装置(パネル)よりも、放熱効果を高めることができる。
さらに、熱がこもり易い中央部近傍に開口部14が形成されているため、高温になり易い領域を効果的に放熱することができる。
よって、発光層(有機EL層8)に用いられている発光材料の劣化を効果的に抑制(低減)することができる。
従って、所期の発光寿命を確保した照明装置110を提供することができる。
【0034】
また、照明パネル100をガラス基板(素子基板1)1枚のみの構成とした場合には、封止基板18の加工が不要となるため、2枚の基板を用いた構成よりも、開口部14を容易に形成することができる。また、2つの基板を接合する必要もなくなるため、シール剤15も不要となり、部材(封止基板18、およびシール剤15)および工数を低減することができる。
【0035】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る照明装置の平面図であり、図1に対応している。
本実施形態に係る照明装置210について、図4を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0036】
「照明装置の概要」
照明装置210は、照明パネル200、電源部25などから構成されている。
本実施形態の照明装置210では、実施形態1の調光部20は省かれている。
また、照明パネル200の外形が略円形となっていること、および発光領域47の略中心に形成された開口部24を含む開口部が5ヶ所形成されていることなどが実施形態1の照明パネル100と異なる。
以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0037】
照明パネル200は、その外形を規定する略円形の素子基板41と、素子基板41よりも一回り小さい封止基板48とから構成されている。このため、封止基板48の周囲には、素子基板41の外形が封止基板48から張出した張出し領域が形成されている。
張出し領域には、開口部24の中心を基準として、左上側に端子33a、右上側に端子33b、右下側に端子33c、左下側に端子33dの4つの端子が形成されている。4つの端子33a〜33dは、開口部24の中心を基準として、略90°置きに配置されている。4つの端子33a〜33dは、それぞれが電源部25のプラス端子に接続されている。
【0038】
ここで、4つの端子33a〜33dは、1つの陽極電極46に接続されている。本実施形態では、陽極電極を分割しておらず、素子基板41上には、1つの陽極電極46のみが形成されている。このため、調光部20(図1)は省かれている。
陽極電極46は、平面的に、素子基板41上の封止基板48と重なる部分における5つの開口部を除いた略全域に形成されている。また、陽極電極46の外形(円形)が発光領域47となっている。
陰極電極49は、陽極電極46よりも一回り大きいサイズで、陽極電極46を覆うように形成されている。陰極電極49の下側には、電源部25のマイナス端子と接続される端子35が形成されている。
【0039】
開口部24は、略円形であり、発光領域47の略中心に形成されている。換言すれば、発光領域47における中央を含んだ部分に形成されている。4つの開口部44a〜44dは、開口部24と発光領域47の外形との間における略中ほどの同心円に沿って形成されている。
ここで、各開口部の間には、間隙gが形成されている。間隙gの寸法は、当該間に形成されるITOからなる陽極電極46の導電(配線)抵抗を考慮した寸法設定となっている。
詳しくは、照明パネル200を点灯した際に、開口部44a〜44dの内側領域において所期の輝度が得られる寸法設定となっている。換言すれば、開口部44a〜44dの内側領域と外側領域とで、電圧降下による大きな輝度差が生じない寸法(配線幅)設定としている。
【0040】
また、封止基板48と素子基板41とは、開口部24の周囲に沿って形成(塗布)されたシール剤45bによって接着および封止されている。また、4つの開口部44a〜44dについても、同様である。シール剤45としては、エポキシ系の接着剤や、紫外線硬化樹脂などを用いる。
なお、照明パネル200の外周においても、封止基板48と素子基板41とは、封止基板48の外形に沿って形成(塗布)されたシール剤45aによって接着および封止されている。
【0041】
照明パネル200の構成は、上述した構成を除いて実施形態1の照明パネル100と同様である。本実施形態では、素子基板、封止基板、開口部、陽極電極、陰極電極、表示領域などの附番を、平面形状が異なるため実施形態1での附番と変えているが、図2、および図3の断面図において、各部の番号を該当する部位に読み変えることができる。換言すれば、照明パネル200の断面構造、および製造方法は、実施形態1の照明パネル100での説明と同様である。
【0042】
以上述べたように、本実施形態に係る照明装置210によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
照明パネル200によれば、発光領域47の略中心に形成された開口部24に加えて、開口部24と発光領域47の外形との間における略中ほどにも、4つの開口部44a〜44dが形成されている。
これにより、点灯時に最も熱がこもり易い発光領域47の中心部に加えて、その次ぎに熱がこもり易い領域にも、開口部が形成されているため、より効率的な放熱を行なうことができる。
よって、発光層(有機EL層8)に用いられている発光材料の劣化を効果的に抑制(低減)することができる。
従って、所期の発光寿命を確保した照明装置210を提供することができる。
【0043】
さらに、中心の開口部24を囲んで、4つの開口部44a〜44dが配置される態様のため、4つの開口部がデザイン的なアクセントとなり、商品性を高めることができる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0045】
(変形例)
図4を用いて説明する。
上記実施形態2では、開口部24を含む開口部が5ヶ所設けられる構成であるものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、点灯時に熱がこもり易い部位に選択的に配置すれば良い。また、開口部の数も、1つ以上であれば、いくつ形成しても良い。
また、前述したように、開口部がデザイン的なアクセントとなるため、デザイン的な観点のみを目的とした開口部を設けても良い。
【符号の説明】
【0046】
1,41…基板としての素子基板、8…発光層としての有機EL層、12…封止層としてのガスバリア層、17…機能層、14,24,44…開口部、7,47…発光領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された発光層を含む機能層と、を少なくとも備え、
平面的に前記機能層が形成された発光領域内に、前記基板を貫通する開口部が形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記発光領域における中央を含んだ部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記開口部が複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光層は、有機EL層であり、
前記機能層を覆う無機材料からなる封止層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−89240(P2012−89240A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232256(P2010−232256)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】