説明

照明装置

【課題】波長変換された波長変換光の光取り出し効率を向上させること。
【解決手段】励起光射出端210を有する光源部200と、波長変換ユニット300と、を有する照明装置100は、波長変換ユニット300を、励起光射出端210と接続され、光源部200から射出された励起光が入射する入射部304と、該入射部304に入射した励起光を所望の波長変換光に波長変換する波長変換部材302と、励起光と波長変換光とを透過する機能を有する光透過部材308と、波長変換部材302からの少なくとも一部の波長変換光を反射させる機能を有する反射部316と、該反射部316が反射した少なくとも一部の波長変換光のうちの少なくとも一部を外部に射出する射出部306と、により構成し、光透過部材308を、入射部304から射出部306まで少なくとも一部は連続して形成し、且つ、その外表面の一部には反射部316を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、小型固体光源と光ファイバとを組み合わせたファイバ光源が開発されている。このファイバ光源は、細い構造物の先端から光を照射する照明装置として用いられる。
【0003】
このような照明装置として、たとえば、特許文献1では、固体光源を用いたファイバ光源装置(発光装置)が提案されている。図6は、上記特許文献1に開示されている従来の照明装置を示すもので、(A)は波長変換部材周辺の概略構成を示す図、(B)は該照明装置に用いるスペーサの正面図、(C)は該スペーサの斜視図である。
【0004】
上記特許文献1に開示のファイバ光源装置では、小型固体光源(図示せず)に導光部材(光ファイバ)920が接続され、その導光部材920の先端に波長変換部材(蛍光体)940が設置されている。導光部材920は、保持部材930に取り付けられており、導光部材920と波長変換部材940との間には、スペーサ950が設置されている。このスペーサ950は、貫通孔950cを有し、表面には金属薄膜950aが形成されている。このファイバ光源装置では、波長変換部材940から導光部材920側に射出された後方射出光を、スペーサ950の貫通孔950cの内面に設けた金属薄膜950aからなる反射部により反射させることで導光部材920側への射出光を波長変換部材940側へ戻し、波長変換光の照明光量を上げている。
【0005】
このような特許文献1に開示のファイバ光源装置は、発光素子と、発光素子からの光を導く導光部材と、導光部材の少なくとも射出側端部に取り付けられる保持部材と、導光部材の射出側に設けられ、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長の光に変換する波長変換部材、とを有し、保持部材または導光部材と、波長変換部材と、の間に、波長変換部材からの後方射出光を反射するスペーサが取り付けられた構成を備え、この構成により、波長変換部材で反射や発生した光が保持部材の端面に入射することにより生じる光の損失を低減できるため、光出力を向上させることができる。したがって、それまでは有効に使われなかった後方射出光を、光出力すべき方向に反射する手段を設けることで、明るさを向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−3228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のファイバ光源装置では、スペーサ950の射出側開口の全面を波長変換部材940で覆うように構成されている。このため、スペーサ950の貫通孔950cの内面である反射部で反射された後方射出光は、波長変換部材940を通過して外部に出力される。しかし、波長変換部材940は、一般に、自己吸収性を有するため、自らが波長変換した波長変換光の一部を吸収してしまい、これにより、外部に射出される波長変換光の光量が低下してしまう。したがって、上述のファイバ光源装置の構成では、波長変換部材940からの波長変換光が十分利用できず、期待されたほど光取り出し効率が向上されないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、波長変換された波長変換光の光取り出し効率を向上させた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置の一態様は、
光源光を射出する光源と、
前記光源光を所望の波長の波長変換光に変換し、前記波長変換光を前記光源側に射出する第1光学部材と、
前記波長変換光を再び第1光学部材側に射出する第2光学部材と、
を備え、
前記第1光学部材は、
前記第2光学部材から射出された波長変換光が入射する領域を構成する第1部位と、
前記第2光学部材から射出された波長変換光が入射する領域と入射しない領域との境界を構成する第2部位と、
からなる、
ことを特徴とする。
また、本発明の照明装置の別の態様は、
励起光射出端を有する励起光源と、波長変換ユニットと、を有する照明装置において、
前記波長変換ユニットは、
前記励起光射出端と接続され、前記励起光源から射出された励起光が入射する入射部と、
前記入射部に入射した前記励起光を所望の波長変換光に波長変換する波長変換部材と、
前記励起光と前記波長変換光とを透過する機能を有する光透過部材と、
前記波長変換部材からの少なくとも一部の波長変換光を反射させる機能を有する反射部と、
前記反射部が反射した前記少なくとも一部の波長変換光のうちの少なくとも一部を外部に射出する射出部と、
により構成され、
前記光透過部材は、前記入射部から前記射出部まで少なくとも一部は連続して形成されており、且つ、その外表面の一部には前記反射部を有している、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、波長変換された波長変換光の光取り出し効率を向上させた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る照明装置の概略構成を示す図であり、図1(B)は、図1(A)の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す斜視図であり、図1(C)は、図1(A)の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図であり、図1(D)は、図1(A)の波長変換ユニットを射出端側から見た正面図である。
【図2】図2は、第1実施形態の変形例に係る照明装置の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、本発明の第2実施形態に係る照明装置の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す斜視図であり、図3(B)は、図3(A)の波長変換ユニットを射出端側から見た正面図であり、図3(C)は、図3(B)のC−C線断面での波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図であり、図3(D)は、図3(B)のD−D線断面での波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図である。
【図4】図4(A)は、第2実施形態に係る照明装置の変形例の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す斜視図であり、図4(B)は、図4(A)の波長変換ユニットを射出端側から見た正面図であり、図4(C)は、図4(B)のC−C線断面での波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図であり、図4(D)は、図4(B)のD−D線断面での波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係る照明装置の波長変換ユニット及び導光部材を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、従来の照明装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る照明装置について、図1を用いて説明する。なお、図1(A)及び図1(B)では一部の部材の図示を省略している。また、図1(B)では、説明のために導光部材と波長変換ユニットの入射部とを離間させて表示している。
【0014】
図1(A)に示すように、第1実施形態に係る照明装置100は、主に、光源部200と波長変換ユニット300とに分けられ、光源部200から射出された励起光を、波長変換ユニット300内にある第1光学部材である波長変換部材302に照射する構成である。各部の詳細な構造を次に説明する。
【0015】
光源部200は、半導体レーザ光源202と、集光レンズ204と、導光部材206と、を備える。半導体レーザ光源202は励起光を射出し、集光レンズ204は該励起光を導光部材206の励起光入射端208に集光する。導光部材206には、例えば、コア径50μm、開口数FNA=0.2を有するマルチモード光ファイバを用いる。導光部材206の励起光射出端210からは、上記励起光が光源光として出射される。
【0016】
波長変換ユニット300は、光源部200の導光部材206の励起光射出端210からの励起光を入射する入射部304と、所望の照明光を照射対象物400に射出する機能を持つ射出部306を有している。また、波長変換ユニット300は、第1光学部材である波長変換部材302と、光透過部材308とを備え、導光部材206により導光された励起光L1を所望の波長変換光L2に波長変換する。
【0017】
波長変換部材302は、円柱形状を有しており、導光部材206の励起光射出端210に面した底面310と、該底面310と対向する上面312と、これら底面310及び上面312に挟まれた側面314と、を有している。また、底面310は、励起光射出端210から離間している。
【0018】
光透過部材308は、波長変換部材302の側面314と底面310とを取り囲むように形成されている。別言すれば、光透過部材308は、入射部304を円錐台の小径の第1面、射出部306を大径の第2面、側面をテーパー面とする、円錐台形状を有している。また、光透過部材308は、励起光L1と、波長変換部材302から射出される波長変換光L2の両方を透過する性質を有している。光透過部材308の側面、すなわち、円錐台形状の傾斜面には、第2光学部材である反射部316が形成されている。
【0019】
反射部316は、該反射部316に入射した入射光を正反射または拡散反射して反射光に変換する機能を有している。本実施形態においては、入射光は、波長変換部材302により波長変換された波長変換光L2であり、反射光は反射部316により正反射または拡散反射されることでその進行方向が変換された波長変換光L2である。なお、理想的な反射面では、純粋な正反射や拡散反射を実現可能であるが、多くの場合、正反射する成分と拡散反射する成分とが混在する。本発明では、純粋な正反射から純粋な拡散反射までを含めた様々な反射部を利用することが可能である。純粋な正反射に近い反射部は、金属等の薄膜を成膜することで実現できる。これにより、テーパー形状を活かし、より多くの反射光を射出部306側に導き易い反射部316を実現できる。また、純粋な拡散反射に近い反射部は、酸化物や樹脂の粉末を塗布することで実現できる。これにより、反射部316の形状の影響を受けにくい反射部316を実現できる。このような反射部316は、光透過部材308の側面全面ではなく、一部のみに形成する構成でもよいが、本実施形態は、光透過部材308の側面の全面に形成した例である。
【0020】
円柱状の波長変換部材302の上面312は、射出部306よりも面積が小さく、且つ、射出部306とほぼ同心で配置されている。このように配置することで、波長変換部材302は、その全周にわたって反射部316と離間して配置されている。また上面312は、射出部306の開口面の一部を形成している。ここで、波長変換部材302の厚さは、励起光L1を十分波長変換光L2に変換するように設定される。
【0021】
本実施形態では、光透過部材308は、波長変換部材302と反射部316の間に充填されるため、光透過部材308は、波長変換部材302の側方全周に渡って入射部304から射出部306まで連続して形成されていることになる。
【0022】
導光部材206の励起光射出端210は、入射部304に励起光L1が入射するように接続されている。より具体的には、励起光射出端210は、光透過部材308の円錐台の第1面である入射部304の中央付近に接続されている。
【0023】
励起光射出端210と波長変換部材302との相対位置は、励起光射出端210より射出される励起光L1が略全て波長変換部材302の底面310上に照射されるように光透過部材のサイズおよび波長変換部材302のサイズを設定する。このとき、導光部材206から射出された励起光L1が、波長変換部材302の底面310を含む平面上に形成するビームスポットは、波長変換部材302の底面310よりも小さくなるように構成している。ここで、ビームスポットとは、励起光の最大強度に対し、1/eより大きな光強度を有する領域と定義し、eは自然体数の底としてのネイピア数である。
【0024】
ここで、各部材の形状及び材質の好ましい例について説明する。
光透過部材308のテーパー角は、導光部材206の中心軸206Cに対し20degが好ましい。波長変換部材302は、0.17mmの半径と、0.5mmの厚さを有する円柱形状が良い。このような構造とすることにより、入射部304から波長変換部材302の底面310までの距離が約0.6mmとなる。なお、導光部材206には、先のマルチモード光ファイバを用いている。
【0025】
光透過部材308は、透明な樹脂、一般的なガラスや石英ガラスなど、透明な材料で構成することが好ましい。そのような材料を選択することで、励起光、もしくは波長変換光が効率よく透過し、射出部306より多くの照明光を射出することができる。
【0026】
また、光透過部材308の側面に反射部316を形成するためには、まず光透過部材308の上下面をマスキングしたサンプルに反射材料を蒸着もしくはメッキすることが望ましい。反射材料としては、光透過部材308の側面に形成し易く、また、可視光に対し高い反射率を有する金属膜が望ましい。より望ましくは、アルミニウムか銀を選択されたい。なお、アルミニウムや銀などの反射材料は、空気中に放置すると、曇りや変色を生じるため、反射率が低下する。ひどい場合には光透過部材308まで到達し、反射面としての機能が低下する恐れがある。このため、蒸着もしくはメッキにより形成した反射材料の上面に、保護膜を設けることが望ましい。保護膜は、SiO、銅などが望ましい。波長変換部材302は、平均粒径8μmの粉末蛍光体を10wt%の濃度でシリコーン樹脂に分散し、樹脂をキュアして固ためたものが例として挙げられる。
【0027】
[動作]
次に、光源部200からの励起光L1の挙動について説明する。
【0028】
まず、半導体レーザ光源202から射出された励起光L1は、集光レンズ204を通して、励起光入射端208から導光部材206に高効率に入射する。
【0029】
導光部材206に入射した励起光L1は、導光部材206の内部を導光し、導光部材206の励起光射出端210から光透過部材308に向かって射出される。このとき、導光部材206が有する開口数(NA)と光透過部材308の屈折率などに応じた広がり角で射出される。
【0030】
励起光L1は、光透過部材308を透過して波長変換部材302の底面310に照射される。このとき、波長変換部材302の底面310の大きさは、励起光が波長変換部材302の底面310を含む平面上に形成するビームスポットより大きくなるように構成されているため、励起光L1は、その大部分が波長変換部材302に照射される。この結果、波長変換部材302を経由せず直接外部に射出される励起光はほとんどない。
【0031】
励起光L1は、波長変換部材302に照射され、波長変換部材302の内部を透過、散乱しながら励起光L1と異なる波長の波長変換光L2に変換される。このとき波長変換光L2は、励起光L1の入射方向に依らず、あらゆる方向に射出される。一部は、波長変換部材302の上面312から、または側面314と上面312との境界部分から、直接、外部の照射対象物400に照射され、別の一部は、波長変換部材302の側面314から光透過部材308を介して射出部306より外部の照射対象物400に照射される。以下、波長変換部材302の底面310と側面314を第1光学部材の第1部位318、側面314と上面312との境界部分を第1光学部材の第2部位320と称するものとする。
【0032】
また、波長変換光L2の別の一部は、波長変換部材302の第1部位318又は第2部位320から、光透過部材308に向かって射出する。この第1部位318又は第2部位320から光透過部材308に向かって射出された波長変換光L2は、光透過部材308を透過した後、該光透過部材308の側面に形成された反射部316によって一部反射される。反射部316は、射出部306側すなわち照射対象物400側に開いたテーパー面となっているため、反射部316で反射された波長変換光L2は、もとの進行方向と比べ、射出部306側に向かって進行する成分が増加する。
【0033】
詳細には、反射部316で反射された波長変換光L2は、その一部は再び反射部316に向かい、また別の一部は波長変換部材302に向かい、残りの一部は光透過部材308を経由して、射出部306から外部の照射対象物400に照射される。
【0034】
反射部316で一度反射され、再び反射部316に向かって射出した波長変換光L2は、一部は、再び上述の工程を繰り返してさらに反射部316に向かい、別の一部は、波長変換部材302に向かい、残りの一部は、射出部306から外部に射出される。
【0035】
反射部316や波長変換部材302に向かった波長変換光L2は、以降、上述の過程を繰り返す。
【0036】
なお、反射部316から波長変換部材302に向かう波長変換光L2の一部のうち、第1部位318に向かう波長変換光L2は波長変換部材302に入射するが、第2部位320に向かう波長変換光L2は波長変換部材302には入射せずに、射出部306から外部に射出される。つまり、波長変換部材302の第1部位318である底面310と側面314は、第2光学部材である反射部316から射出された波長変換光が入射する第1領域を構成するが、波長変換部材302の第2部位320である側面31と上面312との境界部分は、波長変換部材302の上面312と共に、波長変換光が入射しない第2領域を構成する。
【0037】
[作用・効果]
上述のように、波長変換部材302の側面314および底面310である第1部位318と、上面312と光透過部材308との境界部分である第2部位320と、から射出した波長変換光の一部は、波長変換部材302に再入射することなく、光透過部材308を通って射出部306から外部に射出される。この光は、波長変換部材302の自己吸収による光量低下が少ないため、波長変換光の取出し効率の高い照明装置100を実現することが可能となる。特に、励起光が直接照射される底面310からは他の面に比べて高い割合で波長変換光が射出される。底面310から射出された波長変換光L2の一部は、波長変換部材302よりも光源部200側に配されている光透過部材308に射出し、そこから反射部316と光透過部材308を経由して射出部306まで波長変換部材302に入射することなく、光の利用効率高く外部の照射対象物400に照射できる。
【0038】
また、反射部316と波長変換部材302は、波長変換部材302の側方全周に渡って離間しているため、波長変換光が波長変換部材302に再び入射せず射出部306より射出する割合が高いため、より光の利用効率が高くなる。
【0039】
また、光透過部材308を、励起光及び波長変換光に対する透過率の高いガラスまたは樹脂で作製しているため、励起光及び波長変換光の光透過部材308によるロスが少なく、より光の利用効率が高い。
【0040】
また、光透過部材308は、入射部304から射出部306にかけて広がる円錐台形状をしているため、波長変換光が側面全面に形成された反射部316により反射を行う毎に、射出方向が射出部306方向に向かうため、より光の利用効率が高くなる。
【0041】
また、波長変換部材302の底面310と側面314が光透過部材308と接しているため、底面310と側面314の界面での屈折率差が小さく波長変換部材302の内部で発生した波長変換光が光透過部材308に射出し易いため、波長変換光が波長変換部材302内部に留まることが少なく、より光の利用効率が高くなる。
【0042】
また、波長変換部材302は、円柱形状であり、底面310は励起光の照射するビームスポットより大きいので、励起光が効率よく波長変換部材302に照射され波長変換光に変換されるため、より光の利用効率が高くなる。
【0043】
また、反射部316は、光透過部材308の側面全面に形成しているので、射出部306以外から波長変換光が外部に射出されたり、他部材に吸収されたりしてしまうことがないため、射出部306からの光の利用効率が高い。
【0044】
また、反射部316は、可視光に対する反射率の高い金属を用いているため、反射部316による反射の際の吸収が少なく、光の利用効率が高い。
【0045】
また、反射部316は、光透過部材308の側面に直接形成しているため、波長変換光L2は、光透過部材308の外部に漏れ出すことが無く、反射の際に反射部316の外側の構造の影響を受けることが無い。この結果、反射部316を光透過部材308と別体で作製し、光透過部材308に接着するような構成と比較して、接着剤などを透過せず高効率に反射されるため、光のロスが少なく利用効率が高い。
【0046】
また、本実施形態では、光透過部材308と波長変換部材302とを、第1部位318、第2部位320の二つと接する構造としたため、波長変換部材302が脱落することが無く、信頼性が高い照明装置100を提供することができる。
【0047】
以上のように構成することで、励起光L1の利用効率が高く、且つ、波長変換光L2の取出し効率の高い照明装置100を提供することが可能となる。
【0048】
[変形例]
なお、光透過部材308は、入射部304を円錐台の小径の第1面、射出部306を大径の第2面、側面をテーパー面とする、円錐台形状を有しているものとしたが、図2に示すように、第1面と第2面を同サイズとした円柱形状として構成しても、円錐台形に構成した場合と同様に動作し、同様の効果を奏することができる。
【0049】
なお、図2では、説明のために、導光部材206と波長変換ユニット300の入射部304とを離間させて表示している。
【0050】
この場合、光透過部材308の側面に加えて、入射部304を除いた第1面にも、反射部316が直接形成されることは言うまでもない。
【0051】
[第2実施形態]
上記第1実施形態は、波長変換部材302の側方全周に渡って光透過部材308を設置した例であるが、光透過部材308は、波長変換部材302の側方のうち一部に設置され、結果、入射部304から射出部306まで光透過部材308の一部が連続して形成されていれば、上記第1実施形態よりは得られる効果が小さいが、同様の効果を奏することができる。
【0052】
図3および図4は、それぞれ、そのような、波長変換ユニット300の入射部304から射出部306まで連続した光透過部材308の領域が波長変換部材302を取り囲んでいる例を示している。
【0053】
この場合、射出部306は、連続して形成された光透過部材308のうち波長変換部材302の上面312と同一面の外表面すべてであり、この面全てから反射部316で反射された波長変換光の一部が外部に射出される。
【0054】
なお、これらの例では、反射部316は、波長変換ユニット300の入射部304を除いた第1面と、波長変換部材302の側面と光透過部材308とが接する部分を除いた波長変換部材302および光透過部材308の側面全面と、に形成されているが、波長変換部材302のその他の側面には形成しなくても良いことは勿論である。
【0055】
さらに、光透過部材308の側面前面に渡って形成しているエリアについても、その全てに反射部316を設けずとも、少なくともその一部に反射部316が形成されていれば、効果が得られる。
【0056】
[第3実施形態]
また、上記第1および第2実施形態では、波長変換部材302は、その上面312を光透過部材308の射出部306側の面に接して設置したものとしているが、底面310を光透過部材308の射出部306側の面に接して設置しても構わない。
【0057】
図5は、そのような、波長変換部材302を、円錐台形状の光透過部材308の射出部306側の面に接して設置した例を示している。
【0058】
この場合、射出部306は、円錐台形状の光透過部材308の射出部側の面のうち波長変換部材302に接していないエリア、及び波長変換部材302の励起光射出端210に面している面以外の外表面すべてである。この面全てから波長変換光が外部に射出される。
【0059】
このような構造とすることで、光透過部材308の形状がより単純になり、作製し易い。
【0060】
また、本実施形態では、上記第1実施形態の効果に加えて、光透過部材308と波長変換部材302とを、波長変換部材302の底面310部分のみで接している構造としたため、作製が簡便な照明装置100を提供することができるという格別の効果を奏する。
【0061】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
100…照明装置、 200…光源部、 202…半導体レーザ光源、 204…集光レンズ、 206…導光部材、 206C…中心軸、 208…励起光入射端、 210…励起光射出端、 300…波長変換ユニット、 302…波長変換部材、 304…入射部、 306…射出部、 308…光透過部材、 310…底面、 312…上面、 314…側面、 316…反射部、 318…第1部位、 320…第2部位、 400…照射対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源光を射出する光源と、
前記光源光を所望の波長の波長変換光に変換し、前記波長変換光を前記光源側に射出する第1光学部材と、
前記波長変換光を再び第1光学部材側に射出する第2光学部材と、
を備え、
前記第1光学部材は、
前記第2光学部材から射出された波長変換光が入射する領域を構成する第1部位と、
前記第2光学部材から射出された波長変換光が入射する領域と入射しない領域との境界を構成する第2部位と、
からなる、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
励起光射出端を有する励起光源と、波長変換ユニットと、を有する照明装置において、
前記波長変換ユニットは、
前記励起光射出端と接続され、前記励起光源から射出された励起光が入射する入射部と、
前記入射部に入射した前記励起光を所望の波長変換光に波長変換する波長変換部材と、
前記励起光と前記波長変換光とを透過する機能を有する光透過部材と、
前記波長変換部材からの少なくとも一部の波長変換光を反射させる機能を有する反射部と、
前記反射部が反射した前記少なくとも一部の波長変換光のうちの少なくとも一部を外部に射出する射出部と、
により構成され、
前記光透過部材は、前記入射部から前記射出部まで少なくとも一部は連続して形成されており、且つ、その外表面の一部には前記反射部を有している、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記反射部と前記波長変換部材とは、互いに離間して配置されており、両者の間には、前記光透過部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光透過部材は、ガラスまたは樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光透過部材は、円柱形状、もしくは前記入射部から前記射出部に向かって広がる円錐台形であることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記波長変換部材は、
少なくとも一部が前記励起光射出端に面した第1領域を有しており、
前記第1領域が前記光透過部材と接して配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記波長変換部材の前記第1領域は、前記励起光射出端に面した前記波長変換部材の底面と、該底面に接した前記波長変換部材の側面と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記波長変換部材は、前記底面が略円形である円柱形状であり、
前記波長変換部材の底面の大きさは、前記励起光射出端から射出された励起光が、前記波長変換部材の底面を含む平面上に形成するビームスポットより大きい、
ことを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光透過部材は、外表面のうち、前記入射部、及び前記射出部を除いた面の少なくとも一部に、前記反射部が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記反射部は、金属製であることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
前記反射部の外表面は、さらに保護膜を有していることを特徴とする請求項9に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−4207(P2013−4207A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131483(P2011−131483)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】