説明

照明装置

【課題】 伝送路で発生する電磁ノイズを低減し、EMIの発生が抑止された照明装置を提供する。
【解決手段】
調光信号発生回路11、PWM/DC変換回路12、LEDを備えた発光部13、トランジスタ14、電流制御抵抗15、及び、LED駆動回路16を備えた照明装置1であり、調光信号発生回路11が、ちらつきが認識されない程度の比較的周期の長いPWM波形の調光信号PWM1を発生し、第1の伝送路17を介してLED駆動回路16に伝送する。LED駆動回路16内の第2調光信号生成回路23が、デューティ比がノードAの電圧(参照電圧)の時間平均で決まり、且つより周期の短いPWM波形の第2調光信号PWM2を生成する。第2調光信号PWM2に基づいて、トランジスタ14のオンオフが、参照電圧の変動に対してフィードバック制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、発光ダイオード(LED)のような調光可能な発光素子を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは輝度調整が簡単であり、この特徴を利用して、調光機能付きのLED照明が家庭用の照明として使用され始めている。
【0003】
LEDの調光方法として、代表的なものにDC調光とPWM調光を挙げることができる。
【0004】
DC調光では、例えば図7に示すLED照明装置のように、LED駆動回路42が、動トランジスタ14のソースと接続するノードAの電圧を、端子DC_INに入力される直流の調光信号DC1の電圧と等しくなる様にオペアンプ24及び駆動トランジスタ14で制御することで、当該調光信号DC1の電圧と電流制御抵抗15から定まる電流で発光部13内のLEDの点灯を制御する。即ち、LEDに流れる電流量をDC調光信号の電圧値で調整してLED13の発光輝度を調節するものである。
【0005】
これに対し、PWM調光では、例えば図8に示すLED照明装置のように、LED駆動回路44が、駆動トランジスタ14のオン時においてトランジスタ14のソースと接続するノードAの電圧を一定とすることにより、点灯時にLEDに流れる電流が一定となるように制御する。調光はLED駆動回路44の端子PWM_INに入力されるパルス幅変調がされたパルス波形PWM1に従って、トランジスタをオンオフするようにオペアンプ24を制御することにより、LEDの点灯・非点灯の制御を行い、LEDの点滅間隔により発光輝度を調節するものである。
【0006】
PWM調光では高輝度で点灯を行う場合、PWM波形の周期を短くし、オンオフによるちらつきが認識できないようにする必要がある。一方で、周期の短い高周波のPWM信号を使用すると、電磁ノイズの発生が問題となる。
【0007】
このため、下記の特許文献1では、所定のレベルよりも高輝度側で点灯を行う場合にDC調光を行い、低輝度側で点灯を行う場合にPWM調光を行うことで、電磁ノイズの発生が抑えられたLED調光装置が示されている。
【0008】
一方、DC調光では、電流制御抵抗15に電流が流れ続けることによる消費電力の増大が問題となる。下記の特許文献2では、定電流回路の出力をオンオフするスイッチを設け、定電流回路のオフ時にはコイルに発生する逆起電力を用いてLEDを点灯させることで、電力損失を低減できるLED点灯回路が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−123681号公報
【特許文献2】特開平9−74224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
DC調光とPWM調光の切替え時に調光度合いに大きな差があると、段階的に明るさを制御したときに、スムーズな明るさの調整ができない。更に、DC調光とPWM調光ではLEDの駆動方式が異なるため、LEDに流れる電流を調整する定電流回路の制御とLEDのオンオフ制御の双方を行う必要がある。
【0011】
このため、DC調光とPWM調光のための回路制御や、スムーズな切り替えを行うためにマイコン等の複雑な回路が必要になる。
【0012】
特に、複数の照明器具を同時に調光する場合、調光器と複数の照明器具の間を配線で結び、調光信号を各照明器具に伝送する。ここで、調光信号がPWM波形であると、調光信号が交流信号であることにより、当該配線から発生する電磁ノイズが他の電子機器に影響を与える虞がある。
【0013】
本発明は、上記の状況に鑑み、簡単な回路構成で、伝送路で発生する電磁ノイズを低減し、EMI(Electro-Magnetic Interference)の発生が抑止された照明装置を提供することを目的とする。
【0014】
更に、本発明は、電力効率に優れ、省電力の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明に係る照明装置は、
PWM波形の第1調光信号を生成する調光信号発生回路と、発光素子の点灯を制御する発光素子駆動回路と、前記第1調光信号のデューティ比を直流電圧値に変換し、直流電圧信号を生成するPWM/DC変換回路と、前記調光信号発生回路、前記PWM/DC変換回路、及び、前記発光素子駆動回路の間を接続する伝送路と、前記発光素子の駆動のための電流を供給する駆動トランジスタとを備える照明装置であって、
前記発光素子駆動回路は、前記発光素子を介して前記駆動トランジスタに流れる電流量を電圧値に変換した参照電圧に基づき、前記第1調光信号より周期の短いPWM波形の第2調光信号を生成する第2調光信号発生回路と、前記参照電圧の時間変化を平均化する平滑回路を備え、
前記第2調光信号のオフ期間に、前記発光素子に回生電流を流すためのコイルを備え、
前記第2調光信号のデューティ比が、前記参照電圧が前記平滑回路により平均化されたフィードバック電圧により決定され、
前記第2調光信号に基づいて前記駆動トランジスタがオンオフ制御されるとともに、
予め設定された所定の調光度合いより低輝度では、前記第1調光信号に基づいて前記発光素子の点灯が行われ、
前記所定の調光度合いより高輝度では、前記伝送路を介して伝送された前記直流電圧信号に基づき前記参照電圧を変更し、前記第2調光信号のオン期間に前記参照電圧により定まる電流量で発光素子の点灯が行われることを第1の特徴とする。
【0016】
上記第1の特徴の照明装置は、更に、
前記伝送路が、第1の伝送路と第2の伝送路とで構成され、
前記第1調光信号が、前記第1の伝送路を介して前記発光素子駆動回路に伝送され、
前記直流電圧信号が、前記第2の伝送路を介して前記発光素子駆動回路に伝送されることが好ましい。
【0017】
尚、ここで、PWM波形とは、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)がされたパルス波形を意味する。
【0018】
上記特徴の照明装置に依れば、調光信号発生回路が、ちらつきが認識されない程度の比較的周期の長いPWM波形の第1調光信号を生成し、低輝度での点灯では、当該第1調光信号を発光素子駆動回路に伝送してPWM調光を行う。一方、高輝度での点灯では、調光信号発生回路が発生した調光信号を、PWM/DC変換回路により直流電圧信号に変換したうえで発光素子駆動回路に伝送し、当該直流電圧信号に基づいて定電流制御される発光素子の駆動電流量の基準となる参照電圧を変更して調光制御を行う。
【0019】
このような構成とすることで、調光信号発生回路と発光素子駆動回路間の伝送路には、周期の短い高周波のPWM信号が伝送されないため、電磁ノイズの発生を低減することができる。
【0020】
尚、低輝度での点灯では、PWM調光を行うため、PWM/DC変換回路により変換された直流電圧信号は、伝送路を介して伝送されないか、参照電圧の制御に使用されないように設定しておく。
【0021】
更に、第2調光信号発生回路が、第1調光信号より周期が短いPWM波形の第2調光信号を生成し、当該第2調光信号に基づいて駆動トランジスタのオンオフ制御を行う構成とする。ここで、第2調光信号のデューティ比は、駆動トランジスタに流れる電流の時間平均に基づき制御される。この結果、駆動トランジスタのオンオフが、参照電圧、および参照電圧の時間平均を介してフィードバック制御され、外部ノイズ等による電源電圧の変動や発光素子のVf(順方向電圧)の変動に対して安定な発光素子の駆動を実現できる。
【0022】
このとき、第2調光信号のオフ期間は、駆動トランジスタがオフ制御されるが、コイルの逆起電力による回生電流を発光素子に供給することで、発光素子の点灯は維持されている。
【0023】
また、第2調光信号のオフ期間は、参照電圧の生成に必要な回路(例えば、抵抗)に電流を流す必要がないので、第2調光信号のオフ期間における無駄な電力消費を削減でき、電源エネルギーの有効利用を図れる。
【0024】
上記第1の特徴の照明装置は、更に、
前記発光素子駆動回路は、
一方端が前記参照電圧と接続し、他方端が前記第2調光信号発生回路の入力と接続するスイッチ素子と、前記スイッチ素子の前記他方端側に設けられ、前記スイッチ素子がオフ状態の場合に前記第2調光信号発生回路の入力を所定の基準電位に固定する抵抗を備え、
前記駆動トランジスタがオン状態のとき、前記スイッチ素子がオン状態となることで、前記第2調光信号発生回路の入力に前記参照電圧が入力され、
前記駆動トランジスタがオフ状態のとき、前記スイッチ素子がオフ状態となることで、前記第2調光信号発生回路の入力に前記基準電位が入力されることを第2の特徴とする。
【0025】
上記第2の特徴の照明装置に依れば、調光信号発生回路が発生した第1調光信号の伝送と、直流電圧信号の伝送が、夫々別の伝送線を介して伝送される場合に、低輝度時のPWM調光において、第2調光信号発生回路に入力される参照電圧の、直流電圧信号が伝送される伝送線の寄生容量により生じる立ち下がりの遅れを防止でき、立ち下がりの遅延による駆動電流の変動を防止できる。
【0026】
上記第1又は第2の特徴の照明装置は、更に、
前記発光素子駆動回路は、
一方端が前記参照電圧と接続し、他方端が前記伝送路と接続する第2のスイッチ素子を備え、
前記所定の調光度合いより高輝度において、前記駆動トランジスタがオフ状態のとき、前記第2のスイッチ素子をオフ状態とすることで、前記伝送路を介した前記直流電圧信号の供給を停止することを第3の特徴とする。
【0027】
上記第3の特徴の照明装置に依れば、高輝度時において、駆動トランジスタのオフ時(第2調光信号のオフ期間)に、直流電圧信号が参照電圧の生成に必要な回路(例えば、抵抗)に入力されないようにすることで、当該回路による無駄な電力消費を削減し、省電力化・電源エネルギーの有効利用を図れる。
【0028】
上記第1乃至第3の何れかの特徴の照明装置は、更に、前記第2調光信号発生回路は、前記フィードバック電圧を、三角波と比較することにより、前記第2調光信号を生成することが好ましい。
【0029】
上記第1乃至第3の何れかの特徴の照明装置は、更に、前記PWM/DC変換回路が、ローパスフィルタにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に依れば、調光信号発生回路と発光素子駆動回路間の伝送路には、周期の短い高周波のPWM信号が伝送されないため、伝送路における電磁ノイズの発生が低減され、EMIの発生が抑止された照明装置を実現できる。
【0031】
更に、駆動トランジスタのオンオフ期間の制御が、フィードバック制御により行われることにより、外部ノイズ等による電源電圧の変動や発光素子のVf(順方向電圧)の変動に対して安定であり、輝度の揺らぎを防止できる。
【0032】
また、定電流回路による無駄な電力消費を削減し、省電力化・電源エネルギーの有効利用を図れる。
【0033】
また、発光素子駆動回路はPWM調光用の制御回路のみでよく、回路構成を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置を示す回路構成図。
【図2】高輝度時と低輝度時における、調光制御のための各信号の時間変化を示すタイミングチャート。
【図3】DC/PWM変換回路の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】フィードバック電圧の立ち下がりの遅れによる、第2調光信号発生回路が生成する第2PWM波形の変化を示すタイミングチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る照明装置を示す回路構成図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る照明装置を示す回路構成図。
【図7】従来構成の照明装置の一例を示す回路構成図。
【図8】従来構成の照明装置の一例を示す回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〈第1実施形態〉
本発明の一実施形態に係る照明装置(LED照明装置)1の構成例を図1に示す。図1の回路構成図に示されるように、照明装置1は、調光信号発生回路11、PWM/DC変換回路12、発光素子(LED)を備えた発光部13、駆動トランジスタ14、電流制御抵抗15、発光素子の点灯を制御する発光素子駆動回路(LED駆動回路)16、及び、回生電流発生用のコイル19とダイオード20を備えてなる。尚、図1において、発光部13は複数(5個)のLEDを直列に接続してなるが、これに限られるものではない。発光部13は、任意の数のLEDが直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。調光信号発生回路11とLED駆動回路16とは、第1の伝送路17、及び、第2の伝送路18の2本の伝送線を介して接続されている。
【0036】
調光信号発生回路11は、調光度合いを示すPWM波形の第1調光信号PWM1を生成する回路(不図示)を備え、論理回路21、22による第1調光信号PWM1の演算結果を、伝送路を介してLED駆動回路16へ出力する。具体的には、調光信号発生回路11は、当該第1調光信号PWM1と、調光度合いが予め設定された所定の調光度合いより低輝度側であるか高輝度側であるかを示す選択信号SELに基づき、2種類の調光信号CHO1とCHO2を、夫々、第1の伝送路17と第2の伝送路18を介して出力する。ここで、選択信号SELは、調光度合いが低輝度側であるとき低レベル(“L”)、高輝度側であるとき高レベル(“H”)となる信号とする。
【0037】
図2に各信号PWM1、SEL、CHO1、CHO2、CHO2’のタイミングチャート図を示す。選択信号SELが低レベルである期間T1(低輝度側で照明を行う場合)では、調光信号発生回路11内の論理回路21の働きにより、第1調光信号PWM1が、調光信号CHO1として、第1の伝送路17に伝送される。このとき、選択信号SELにより論理回路22とPWM/DC変換回路12との接続が切り離され、調光信号CHO2、CHO2’はハイインピーダンス状態になっている。
【0038】
一方、選択信号SELが高レベルの期間T2(高輝度側で照明を行う場合)では、第1の伝送路17に伝送される調光信号は、調光信号発生回路11内の論理回路21の働きにより高レベルに固定され、調光信号CHO1として伝送される。このとき、調光信号発生回路11内の論理回路22の働きにより、第1調光信号PWM1が、調光信号CHO2として、第2の伝送路18に伝送される。
【0039】
そして、調光信号CHO2は、PWM/DC変換回路12により、第1調光信号PWM1のデューティ比に応じた電圧値を持つ直流の調光信号CHO2’に変換され、当該調光信号CHO2’が、第2の伝送路18を介して、駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAの電圧(参照電圧)として伝送される。尚、PWM/DC変換回路12は、例えば、図1に示すように、ローパスフィルタで構成することができる。
【0040】
調光信号CHO1は、LED駆動回路16の端子PWM_INに入力され、直流変換された調光信号CHO2’は、駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAに入力されるとともに、当該ノードAを介してLED駆動回路16の端子VOP_SENSEにも入力される。
【0041】
LED駆動回路16は、第2調光信号発生回路23、駆動トランジスタ14をオンオフ制御するための制御信号を出力するオペアンプ24、及び、当該制御信号を切り替えるための信号をオペアンプ24に出力する論理回路(AND回路)25を、その内部に備えてなる。オペアンプ24の出力が、出力端子VOUTに接続されている。そして、LED駆動回路16の出力端子VOUTが駆動トランジスタ14のゲートと接続している。
【0042】
尚、本実施形態では、オペアンプ24を、オペアンプ24の入力端子対の双方に基準電圧源26からの電圧が入力されることで、一定電圧を出力するバッファとして機能させている。論理回路25の出力信号を、オペアンプ24を介さずに直接、出力端子VOUTへ入力し、駆動トランジスタ14のゲートへの入力とする構成も可能である。
【0043】
第2調光信号発生回路23は、コンパレータ27と三角波を発生する発振器28を備え、駆動トランジスタ14に流れる平均の電流量に応じたデューティ比で、調光信号発生回路11が発生した調光信号PWM1より周期の短いPWM波形の第2調光信号PWM2を生成し、論理回路(AND回路)25の入力端子の一方へ入力する。
【0044】
より具体的には、第2調光信号発生回路23は、端子VOP_SENSEから駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAの電圧(参照電圧)が入力されると、当該電圧をアンプ29aを介して増幅し、増幅された電圧を、端子C_OUTを介して接続する平滑回路30に保持する。端子VOP_SENSEからPWM駆動により変動する参照電圧が入力される結果、端子C_OUTの電圧は、参照電圧の時間変化が平均化され、参照電圧の時間平均値(長期的には、第2調光信号の一周期における時間平均値に近似する)を反映したものとなる。端子C_OUTの電圧は、更にアンプ29bにより増幅された上で、コンパレータ27の入力端子の一方に入力され、発振器28が発生する三角波の電圧と比較される。これにより、コンパレータ27の出力に第2調光信号PWM2が得られる。
【0045】
以下に、図3のタイミングチャートを参照し、第2調光信号発生回路23の動作を説明する。ここで、平滑回30により時間平均化され、アンプ29bにより増幅されたフィードバック電圧が、図3(a)に示すように変化しているとする。この電圧が、コンパレータ27の入力端子の一方に入力される。
【0046】
一方、コンパレータ27の入力端子の他方端には、発振器28からの三角波が入力される。図3(b)に発振器28が発生する三角波の波形を、図3(a)のフィードバック電圧と重ねて示す。ここで、三角波の周期をNとする。尚、実際には、調光信号PWM1の周期は、周波数に換算して1kHz程度であるのに対し、発振器28が発生する三角波の周波数は、好ましくは300kHz程度であり、周期が1/300程度短くなっている。
【0047】
コンパレータ27により、参照電圧の時間平均(フィードバック電圧)と、三角波の電圧値が比較され、三角波の電圧値がフィードバック電圧の時間平均よりも高い場合コンパレータ27の出力が高レベル(“H”)になり、逆に低い場合低レベル(“L”)になる。
【0048】
この結果、コンパレータ27の出力は、図3(c)に示すように、周期が発振器28が発生する三角波の周期で定まり、デューティ比がフィードバック電圧で定まるPWM波形となる。当該PWM波形が、第2調光信号PWM2として論理回路25に入力され、駆動トランジスタ14のオンオフ制御に用いられる。
【0049】
尚、本実施形態では、駆動トランジスタ14がオン時における当該駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAの電圧が、発振器が発生する三角波の最大電圧振幅に対して1/10程度であるため、図1に示すように、端子VOP_SENSEとコンパレータ27の入力との間にアンプ29a、29bを設け、ノードAの電圧を10倍に増幅したうえでコンパレータ27の入力としている。本実施形態では、2倍に増幅するアンプ29aの出力に平滑回路30を設け、更に5倍に増幅するアンプ29bにより、ノードAの電圧を10倍に増幅している。
【0050】
図3から分かるように、参照電圧の時間平均が上昇すると、コンパレータ27の出力である第2調光信号PWM2のパルス幅が短くなり、デューティ比は減少する。当該デューティ比の減少した第2調光信号PWM2により駆動トランジスタ14がオンオフ制御されることで、参照電圧の時間平均は減少する方向に変化する。一方、参照電圧の時間平均が減少すると、コンパレータ27の出力である第2調光信号PWM2のパルス幅が長くなり、デューティ比は増加する。当該デューティ比の増加した第2調光信号PWM2により駆動トランジスタ14がオンオフ制御されることで、参照電圧の時間平均は増加する方向に変化する。
【0051】
この結果、第2調光信号PWM2のデューティ比は、第1調光信号PWM1のデューティ比に依らず、ある一定のデューティ比で安定する。
【0052】
即ち、照明装置1では、第2調光信号PWM2に基づく駆動トランジスタ14のオンオフが、参照電圧(ノードAの電圧)の時間平均に基づきフィードバック制御される構成となっている。これにより、外部ノイズ等による電源電圧の変動や発光素子のVf(順方向電圧)の変動により、参照電圧が変動しても、これに応じて第2調光信号PWM2のデューティ比が調整され、一定の輝度を維持するように制御される。
【0053】
再び図1及び図2に戻って、図2の期間T1、即ち低輝度側で照明を行う場合、駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAと、調光信号発生回路11内の論理回路22との間の第2の伝送路18を介した接続が切り離されるため、直流電圧信号がノードAに入力されることはなく、第1の伝送線17を介して、第1調光信号PWM1が、調光信号CHO1として伝送される。
【0054】
調光信号CHO1が高レベルの期間では、論理回路(AND回路)25のPWM_IN側の入力が高レベルであることにより、オペアンプ24の制御はコンパレータ27から出力される第2調光信号PWM2に基づき行われる。第2調光信号PWM2が高レベルの期間、オペアンプ24は駆動トランジスタ14をオン状態に制御し、ゲート電圧とソース‐ドレイン間の電圧で決まる電流量で駆動トランジスタ14に電流を流し、発光部13のLEDを点灯させる。一方、第2調光信号PWM2が低レベルの期間、オペアンプ24は駆動トランジスタ14を非導通状態に制御し、駆動トランジスタ14に電流を流さない。しかしながら、この期間はコイル19の働きによる回生電流により発光部13のLEDの点灯が行われている。
【0055】
駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAの電圧(参照電圧)は、駆動トランジスタ14がオン時の電圧(発光部13のLEDによる電圧降下量と駆動トランジスタ14のオン抵抗と電流制御抵抗15の抵抗値で決まる)と、駆動トランジスタ14がオフ時の基準電位(ここでは、接地電位GND)の電圧を繰り返す。駆動トランジスタ14のオフ時は、電流制御抵抗15に電流は流れない。
【0056】
ノードAの電圧は、平滑回路30により平均化され、コンパレータ27が出力する第2調光信号PWM2のデューティ比の決定に使用され、駆動トランジスタ14のオンオフ期間の制御に使用される。
【0057】
ここで、LEDの駆動電流は、第2調光信号PWM2に基づき、駆動トランジスタ14がオン時に流れる電流と、駆動トランジスタ14がオフ時にコイル19の働きにより流れる回生電流とを平均したものとなる。この平均駆動電流により点灯するLEDの輝度は、第2調光信号PWM2による駆動トランジスタ14のオンオフ制御を行わない場合(PWM_INの入力を常に高レベルとした場合)の輝度と等しくなるように、発光部13の電源電圧、電流制御抵抗15、及び、コイル19等により調整されている。
【0058】
電源電圧が変動すると、ノードAの電圧も変動し、コンパレータ27から出力される第2調光信号PWM2の波形も変動するため、駆動トランジスタ14のオンオフ期間も変動するが、上記駆動電流は一定に保たれ、LEDの輝度が保持される。
【0059】
一方、調光信号CHO1が低レベルの期間は、論理回路(AND回路)25の出力が低レベルであることにより、駆動トランジスタ14は非導通状態である。また、調光信号CHO1のPWM周期はコンパレータ27から出力される第2調光信号PWM2の周期よりも十分長く、コイル19による回生電流を考慮してもLEDが消灯する値に設定されている。
【0060】
調光信号CHO1が高レベルの期間と低レベルの期間を繰り返すことにより、LEDは点灯と消灯を繰り返すが、LEDの点滅周期は人が感知できないほど短いため、LEDの点滅は明暗の変化として認識される。
【0061】
このようにして、低輝度側では、第1調光信号PWM1(CHO1)のデューティ比に応じたLEDの輝度調整が行われる。
【0062】
これに対し、図2の期間T2、即ち高輝度側で照明を行う場合、調光信号CHO1が常に高レベルであるので、論理回路(AND回路)25のPWM_IN側の入力が常に高レベルである。従って、LED駆動回路16の動作は上述した図2の期間T1において、調光信号CHO1が高レベルの場合と同様となるが、選択信号SELが高レベルであるため、第1調光信号PWM1がそのデューティ比に応じてPWM/DC変換回路12により直流電圧に変換された直流の調光信号CHO2’が、第2の伝送路18を介して、ノードAに接続されている。
【0063】
当該直流電圧は、第2調光信号発生回路内のアンプ29a、29bにより増幅され、コンパレータ27により発振器28が発生する三角波と比較される。そして、コンパレータ27から出力される第2調光信号PWM2に基づき、オペアンプ24の制御が行われる。上述したように、第2調光信号PWM2のデューティ比は、参照電圧(ノードAの電圧)の時間平均値で定まるが、この場合、調光信号CHO2’の直流電圧に応じた値となる。
【0064】
第2調光信号PWM2が高レベルの期間、オペアンプ24は駆動トランジスタ14をオン状態に制御し、ゲート電圧とソース‐ドレイン間の電圧で決まる電流量で駆動トランジスタ14に電流を流し、発光部13のLEDを点灯させる。一方、第2調光信号PWM2が低レベルの期間、オペアンプ24は駆動トランジスタ14を非導通状態に制御し、駆動トランジスタ14に電流を流さないが、この期間はコイル19の働きによる回生電流により発光部13のLEDの点灯が行われる。
【0065】
このように、高輝度側では、第2調光信号PWM2のオン期間において、第1調光信号PWM1を直流電圧に変換した調光信号CHO2’の電圧値に基づいたDC調光によりLEDの輝度調整が行われる。
【0066】
尚、本実施形態では、駆動トランジスタ14のゲートに入力される電圧を一定としているため、調光信号CHO2’の直流電圧値が高いと、ゲート‐ソース間の電圧差が低下することにより駆動トランジスタ14の電流駆動能力が低下し、LEDの駆動に必要な電流を供給できなくなる。そこで、調光信号CHO2’の直流電圧値が高くなりすぎないように、高輝度時における調光信号CHO2のデューティ比を、(例えば、輝度100%に対してデューティ比50%程度となるように)輝度テーブルを用いて調光信号発生回路11側で設定しておく。
【0067】
以上、本実施形態の照明装置1では、調光信号発生回路11が生成した第1調光信号PWM1を、高輝度時は直流電圧に変換し、第2調光信号PWM2のオン期間にLED駆動回路16でDC調光を行い、低輝度時には、第1調光信号PWM1に基づいたPWM調光を行うので、低輝度時の高輝度時の切替を簡単に行うことができる。また、周期の短い高周波のPWM信号を使用する必要がないため、ノイズ等によるEMIの発生を防止することが可能になる。
【0068】
更に、駆動トランジスタ14のオンオフが、第2調光信号PWM2に基づいてフィードバック制御されることにより、外部ノイズ等による電源電圧の変動や発光素子のVf(順方向電圧)の変動に対して安定な発光素子の駆動を実現できる。
【0069】
〈第2実施形態〉
図1に示す照明装置1では、LEDのVfの変動や、LED電源電圧の変動により、駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAの電圧(参照電圧)が変動すると、駆動トランジスタ14のオンオフ期間を制御してLED駆動電流を一定に保つように制御を行う。つまりオペアンプ24に入力される制御信号に、駆動トランジスタ14のオンオフ期間の変動の影響がフィードバックされることで、安定に駆動トランジスタ14のオンオフ制御を行う構成である。
【0070】
ところで、図1のノードAには、第2の伝送路18を介して調光信号発生回路11が接続されているが、低輝度時(定電流駆動時)には、第2の伝送路18を介した調光信号発生回路11との接続が切り離されているため、第2の伝送路18から直流電圧信号が伝送されることはない。しかし、第2の伝送路18の寄生容量による影響を受ける。第2の伝送路18の寄生容量が大きくなると、駆動トランジスタ14をオフ制御した際のノードAの電圧の立ち下がりが遅くなり、コンパレータ27の出力である第2調光信号PWM2の波形とフィードバック対象のノードAの電圧波形との間で、補正できない差異が発生する虞がある。
【0071】
この現象を図4のタイミングチャートを用いて説明する。図4(a)に、ノードAの電圧を平均化した電圧(コンパレータ27の入力端子の一方の電圧)VAと発振器28が発生する三角波の電圧波形を示す。図4(b)に、電圧VAと三角波を比較することにより得られる、コンパレータ27から出力され、オペアンプ24へ入力される調光信号PWM2の電圧波形を示す。図4(c)に、ノードAの電圧波形(参照電圧の波形)を示す。
【0072】
図4の期間T1では、図4(a)に示す三角波と電圧VAの波形比較により、図4(b)に示すパルス幅HAの波形がオペアンプ24に入力される。ここで、オペアンプ24の入力波形が立ち下がると同時に、ノードAの電圧(参照電圧)も立ち下がるのが理想的であるが、伝送路18の寄生容量の存在により、図4(c)に示すように、ノードAの電圧の立ち下がりが遅延して2xの期間だけ余分にかかるとする。
【0073】
この結果、図4の期間T2では、ノードAの電圧を平均化した電圧VAは、期間T1におけるノードAの電圧の立ち下がりの遅れのため、図4(c)の斜線部を積分したパルス幅xに相当するパルスの分だけ上昇する。当該上昇した電圧VAが、発振器28が発生する三角波と比較されることにより、オペアンプ24の出力波形は、立ち上がり時刻がxに比例する時間だけ遅くなり、立ち下がり時刻がxに比例する時間だけ早まる。ここでは、立ち上がり時刻がxだけ遅くなり、立ち下がり時刻がxだけ早くなるとする。結果、図4(b)のオペアンプ24の出力波形のパルス幅は2x減少したHA−2xになる。
【0074】
上記期間T2におけるオペアンプ24の出力波形に対し、再び、ノードAの電圧の立ち下がりが2xの期間だけ遅れる結果、図4の期間T3では、オペアンプ24の出力波形は、立ち上がり時刻が逆に2xだけ早まり、立ち下がり時刻が2xだけ遅くなり、パルス幅がHA+2xになる。
【0075】
このように、オペアンプ24の出力波形のハイ幅(パルス幅)が一定にならないため、LEDの駆動電流が安定しない不具合が発生しうる。
【0076】
もっとも、図4では説明の都合上、ノードAの電圧の立ち下りの遅れを大きく、誇張して記載したものであるが、一般には立ち下がりの遅れは小さく駆動電流の増減も僅かであり、また、PWM_INから入力される調光信号CHO1が低レベルに変化するに伴って駆動トランジスタ14に流れる駆動電流は0になり、再び高レベルに変化するに伴って駆動電流が流れ始めるので、上記の駆動電流の増減はリセットされる。このため、実際には上述の現象による輝度変化は僅かではあるが、このような現象を防止する方法を図5に示す。
【0077】
本発明の一実施形態に係る照明装置(LED照明装置)2の構成例を図5に示す。図5の回路構成図に示すように、照明装置2は、図1の構成に加え、一方端が駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAと接続し、他方端が第2調光信号発生回路23の端子VOP_SENSEと接続し、両端間の導通・非導通を切り替えるスイッチ素子としてのトランジスタ31、トランジスタ31が非導通のときに端子VOP_SENSEに入力される電圧を低レベルの基準電圧に固定するプルダウン抵抗32、及び、平滑回路33を備える。うち平滑回路33は、LED駆動回路16内の平滑回路30の働きを強化するために付加したものであり、LED駆動回路16内の平滑回路30で十分参照電圧の平均化が可能な場合は除いても構わない。尚、図5では、図面の煩雑化を避けるため、調光信号発生回路11とPWM/DC変換回路12の記載を割愛した。
【0078】
トランジスタ31のゲートは、分圧抵抗34、35を介してオペアンプ24の出力と接続され、オペアンプ24の出力電圧に応じて、駆動トランジスタ14がオン状態となると同時にトランジスタ31もオン状態となり、駆動トランジスタ14がオフ状態となると同時にトランジスタ31もオフ状態となるように構成されている。従って、オペアンプ24の出力電圧が高レベルのとき、トランジスタ31がオン状態であり、ノードAの電圧が端子VOP_SENSEに入力される。オペアンプ24の出力電圧が低レベルに変化し、トランジスタ31がオン状態からオフ状態に切り替わると、端子VOP_SENSEに入力される電圧はプルダウン抵抗32により即時に低レベルに固定され、ノードAの電圧の立ち下がり遅延の影響を受けない。
【0079】
即ち、端子VOP_SENSEに入力される電圧信号は、低レベルから高レベルへの立ち上がり時には駆動トランジスタ14により駆動され、高レベルから低レベルへの立ち下がり時には、伝送路18による大きな負荷容量を除外して、トランジスタ31により駆動される。この結果、立ち上がり及び立ち下がり動作において十分な速度を保持することができ、上述の遅延による駆動電流の変動を防止できる。
【0080】
〈第3実施形態〉
図1に示す照明装置1では、高輝度時において、第2調光信号PWM2のオフ期間では、駆動トランジスタ14がオフ状態であるが、コイル19による回生電流によりLEDの駆動がなされている。一方、駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAには、直流の調光信号CHO2’が入力されているため、駆動トランジスタ14がオフ状態であっても、電流制御抵抗15に電流が流れ続ける。しかし、この駆動トランジスタ14のオフ時に電流制御抵抗15に流れる電流は、本来流す必要のない電流であり、流すことで無駄な電力を消費している。
【0081】
本発明の一実施形態に係る照明装置(LED照明装置)3の構成例を図6に示す。図6の回路構成図に示すように、照明装置3は、図1の構成に加え、一方端が駆動トランジスタ14のソースと電流制御抵抗15の接続ノードAと接続し、他方端が第2の伝送路18と接続し、両端間の導通・非導通を切り替えるスイッチ素子としてのトランジスタ36を備える。尚、図6では、図面の煩雑化を避けるため、調光信号発生回路11とPWM/DC変換回路12の記載を割愛した。
【0082】
トランジスタ36のゲートは、分圧抵抗34、35を介してオペアンプ24の出力と接続され、オペアンプ24の出力電圧に応じて、駆動トランジスタ14がオン状態となると同時にトランジスタ36もオン状態となり、駆動トランジスタ14がオフ状態となると同時にトランジスタ36もオフ状態となるように構成されている。従って、オペアンプ24の出力電圧が高レベルのとき、トランジスタ36がオン状態であり、ノードAには調光信号CHO2’が入力される。一方、オペアンプ24の出力電圧が低レベルのとき、トランジスタ36がオフ状態であり、調光信号CHO2’による直流電圧信号の供給は停止される。
【0083】
これにより、駆動トランジスタ14のオフ期間では、ノードAに直流の調光信号CHO2’が入力されないため、電流制御抵抗15に電流は流れず、無駄な電力消費を削減でき、省電力化・電源エネルギーの有効利用が可能になる。
【0084】
更に、低輝度時において、オペアンプ24の出力電圧が高レベルから低レベルに変化し、駆動トランジスタ14がオン状態からオフ状態に切り替わるとき、トランジスタ36がオフ状態となることで、ノードAの電圧は、第2の伝送路18の寄生容量の影響を受けず、即時に低レベルに立ち下がる。
【0085】
つまり、第2実施形態の照明装置2と同様、照明装置3は、ノードAの電圧(参照電圧)の立ち上がり及び立ち下がり動作において十分な速度を保持することができ、遅延による駆動電流の変動を防止できる。
【0086】
〈別実施形態〉
以下に、別実施形態について説明する。
【0087】
〈1〉上記実施形態では、調光信号発生回路11が、2つの論理回路21と22を用いて、第1及び第2の伝送路17、18への調光信号の伝送を制御する場合を例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、種々の回路構成が考えられる。
【0088】
〈2〉特に、上記実施形態では、調光信号発生回路11が生成した比較的PWM周期の長い第1調光信号PWM1を、低輝度時には、調光信号CHO1として、第1の伝送路17を介して伝送後、LED駆動回路16内でより周期の短いPWM波形の第2調光信号PWM2を生成し、PWM調光を行う構成となっている。一方、高輝度時には、第1調光信号PWM1を直流の調光信号CHO2’に変換したうえで、第2の伝送路18を介して伝送し、第2調光信号のオン期間にDC調光を行う構成である。
【0089】
しかしながら、本発明はこのような構成に限られるものではない。例えば、低輝度時における比較的PWM周期の長い第1調光信号PWM1、及び、高輝度時における直流の調光信号CHO2’の何れか一方を、調光度合いが高輝度であるか低輝度であるかを示す選択信号SELに応じて選択し、第1の伝送路17を介して伝送する構成も可能である。この場合、第2の伝送路18には選択信号SELを伝送することとし、LED駆動回路16は、選択信号SELに応じて、低輝度の場合には論理回路25の入力端の一方に調光信号PWM1を入力し、高輝度の場合には論理回路25の入力端の一方に高レベルの信号を入力した状態で当該直流の調光信号CHO2’をノードAに入力すればよい。
【0090】
更に、選択信号SELを第1の伝送路17を介して伝送後に、当該選択信号SELに応じた第1調光信号PWM1または直流の調光信号CHO2’の何れかを第1の伝送路17を介して伝送するようにすれば、伝送路は1本で足りる。
【0091】
〈3〉上記実施形態では、低輝度時における第1調光信号PWM1は、波高値が高レベルのパルス信号であり、高輝度時における調光信号CHO2’は、中間レベルの直流電圧信号であるので、両者は判別回路を設けることにより、選択信号SELに依らなくとも判別可能である。つまり、当該判別回路により、調光度合いが高輝度であるか低輝度であるかを判別できるので、LED駆動回路16が、低輝度と判別された場合には論理回路25の入力端の一方に第1調光信号PWM1を入力し、高輝度と判別された場合には論理回路25の入力端の一方に高レベルの信号を入力した状態で調光信号CHO2’をノードAに入力するように構成できる。このように、別途判別回路を設けることで、選択信号SELは必要なく、伝送路は1本で足りる。
【0092】
〈4〉上記実施形態では、選択信号SELは、調光度合いが低輝度側であるとき低レベル(“L”)、高輝度側であるとき高レベル(“H”)となる信号としたが、逆に、低輝度側で高レベル、高輝度側で低レベルとなる信号としても構わない。論理回路21、22の構成を変更すればよいだけである。
【0093】
〈5〉上記実施形態の照明装置では、発光素子がLEDである場合について詳細に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、PWM制御により輝度を制御できる発光素子であれば、本発明のように伝送路間に高周波数のPWM信号が伝送されないようにすることで、EMI低減の効果が得られる。例えば、発光素子として有機EL素子を用いる照明装置に対しても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、照明装置に利用可能であり、特に、LEDを発光素子として用い、調光器と複数の照明器具との間が配線長の長い伝送路で接続される場合に、EMI対策に有用である。
【符号の説明】
【0095】
1〜3: 本発明に係る照明装置
11: 調光信号発生回路
12: PWM/DC変換回路
13: 発光部
14: 駆動トランジスタ
15: 電流制御抵抗
16: LED駆動回路
17: 第1の伝送路
18: 第2の伝送路
19: コイル
20: ダイオード
21、22、25: 論理回路
23: 第2調光信号発生回路
24: オペアンプ
26: 基準電圧源
27: コンパレータ
28: 発振器
29a、29b: アンプ
30、33: 平滑回路
31、36: スイッチ素子(トランジスタ)
32: プルダウン抵抗
34、35: 分圧抵抗
41、43: 従来構成の調光信号発生回路
42、44: 従来構成のLED駆動回路
CHO1、CHO2、CHO2’: 調光信号
C_OUT、PWM_IN、VOP_SENCE、VOUT: LED駆動回路の端子
PWM1: PWM波形の調光信号(第1調光信号)
PWM2: PWM波形の調光信号(第2調光信号)
SEL: 選択信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
PWM波形の第1調光信号を生成する調光信号発生回路と、
発光素子の点灯を制御する発光素子駆動回路と、
前記第1調光信号のデューティ比を直流電圧値に変換し、直流電圧信号を生成するPWM/DC変換回路と、
前記調光信号発生回路、前記PWM/DC変換回路、及び、前記発光素子駆動回路の間を接続する伝送路と、
前記発光素子の駆動のための電流を供給する駆動トランジスタとを備える照明装置であって、
前記発光素子駆動回路は、
前記発光素子を介して前記駆動トランジスタに流れる電流量を電圧値に変換した参照電圧に基づき、前記第1調光信号より周期の短いPWM波形の第2調光信号を生成する第2調光信号発生回路と、
前記参照電圧の時間変化を平均化する平滑回路を備え、
前記第2調光信号のオフ期間に、前記発光素子に回生電流を流すためのコイルを備え、
前記第2調光信号のデューティ比が、前記参照電圧が前記平滑回路により平均化されたフィードバック電圧により決定され、
前記第2調光信号に基づいて前記駆動トランジスタがオンオフ制御されるとともに、
予め設定された所定の調光度合いより低輝度では、前記第1調光信号に基づいて前記発光素子の点灯が行われ、
前記所定の調光度合いより高輝度では、前記伝送路を介して伝送された前記直流電圧信号に基づき前記参照電圧を変更し、前記第2調光信号のオン期間に前記参照電圧により定まる電流量で発光素子の点灯が行われることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記伝送路が、第1の伝送路と第2の伝送路とで構成され、
前記第1調光信号が、前記第1の伝送路を介して前記発光素子駆動回路に伝送され、
前記直流電圧信号が、前記第2の伝送路を介して前記発光素子駆動回路に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光素子駆動回路は、
一方端が前記参照電圧と接続し、他方端が前記第2調光信号発生回路の入力と接続するスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の前記他方端側に設けられ、前記スイッチ素子がオフ状態の場合に前記第2調光信号発生回路の入力を所定の基準電位に固定する抵抗を備え、
前記駆動トランジスタがオン状態のとき、前記スイッチ素子がオン状態となることで、前記第2調光信号発生回路の入力に前記参照電圧が入力され、
前記駆動トランジスタがオフ状態のとき、前記スイッチ素子がオフ状態となることで、前記第2調光信号発生回路の入力に前記基準電位が入力されることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光素子駆動回路は、
一方端が前記参照電圧と接続し、他方端が前記伝送路と接続する第2のスイッチ素子を備え、
前記所定の調光度合いより高輝度において、前記駆動トランジスタがオフ状態のとき、前記第2のスイッチ素子をオフ状態とすることで、前記伝送路を介した前記直流電圧信号の供給を停止することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2調光信号発生回路は、
前記フィードバック電圧を、三角波と比較することにより、前記第2調光信号を生成することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記PWM/DC変換回路が、ローパスフィルタにより構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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