説明

照明装置

【課題】発光ダイオード32を用いつつ、構成を複雑化することなく広配光化できるLEDランプ11を提供する。
【解決手段】LEDランプ11は、発光ダイオード32を実装した発光モジュール13を有する。LEDランプ11は、透光性を有する部材により形成したグローブ16を有する。グローブ16は、放物面状の反射面46を形成する凹部45を備え、凹部45の背面側から発光ダイオード32の出射光が照射するように設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオードを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギ化などを目的として発光ダイオード(LED)を用いた照明装置が普及してきている。しかしながら、発光ダイオードは光の指向性が強いため、配光角が狭い。したがって、用途に適した配光角へと広げるために、発光ダイオードからの光の出射方向に対向してレンズなどを配置することで、光を拡散するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−305923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、発光ダイオードを用いつつ、構成を複雑化することなく広配光化できる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の照明装置は、発光ダイオードを実装した発光モジュールを有する。また、この照明装置は、透光性を有する部材により形成されたグローブを有する。このグローブは、放物面状の反射面を形成する凹部を備え、この凹部の背面側から発光ダイオードの出射光が照射されるように設置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、反射面を形成する凹部を備えたグローブを、この凹部の背面側から発光ダイオードの出射光が照射されるように設置することにより、反射面によって発光ダイオードからの発光を広範囲に反射させることができ、別途レンズなどを用いて構造を複雑化することなく広配光化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の照明装置を示す縦断面図である。
【図2】第2の実施形態の照明装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を、図1を参照して説明する。
【0009】
図1において、11は照明装置としての電球形ランプであるLEDランプで、このLEDランプ11は、放熱を目的としたアルミニウム筐体などの基体12、この基体12の一端側(LEDランプ11のランプ軸の一端側)に取り付けられた発光モジュール13、基体12の他端側に取り付けられた絶縁性を有する収容ケース14、この収容ケース14および基体12に亘って収容された点灯回路15、収容ケース14の外部を覆って取り付けられた図示しない口金、発光モジュール13を覆って基体12の一端側に取り付けられた透光性を有するグローブ16を備えている。
【0010】
基体12は、熱伝導性が優れた部材によって一体形成されており、中央域に、発光モジュール13を支持する平面視円形状の平面部である支持部21が形成され、この支持部21の周囲を囲んで、グローブ16と嵌合する嵌合部22が一端側へと拡開状に突出して形成され、内部に、点灯回路15の一端側を収容する収容凹部23がランプ軸方向に沿って形成され、かつ、支持部21と収容凹部23内とを連通し発光モジュール13と点灯回路15とを電気的に接続するための配線孔24がランプ軸方向に沿って形成されている。
【0011】
また、発光モジュール13は、例えば、アルミニウムなどの金属材料、あるいはセラミックスやエポキシ樹脂などの絶縁材料で形成された四角形平板状の基板31を有し、この基板31の一端側の面である実装面に配線パターンが形成されているとともに、実装面の中央域に複数の発光ダイオード(LED)32が例えばマトリクス状に密集配置されて実装されている。すなわち、発光モジュール13は、COB(Chip On Board)モジュールである。
【0012】
基板31は、実装面と反対側の面が基体12の支持部21上に面接触するように支持されており、例えばねじ止めなどによって基体12に固定されている。したがって、発光ダイオード32は、グローブ16側である前方に向けて発光するように配置されている。このとき、基板31と支持部21との間には、熱伝導性に優れたシートやグリスなどの熱伝導材が介在されており、基板31が基体12に対して熱的に接続されるように構成されている。
【0013】
また、発光ダイオード32は、チップ状に形成されており、例えばワイヤボンディングによって互いに直列に接続されている。また、基板31には、この基板31と点灯回路15とを電気的に接続する図示しないコネクタ部が形成されている。このコネクタ部は、発光ダイオード32からの発光の妨げにならない位置に配置されている。
【0014】
そして、発光ダイオード32としては、例えば、青色光を発するLEDチップが用いられる。基板31に実装された複数の発光ダイオード32上には、例えばシリコーン樹脂など透明樹脂である封止樹脂が塗布形成されている。この封止樹脂には、発光ダイオード32からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する黄色の蛍光体が混入されている。したがって、発光ダイオード32および封止樹脂によって発光部が構成され、この発光部の表面である封止樹脂の表面が発光面となり、この発光面から白色系もしくは橙色系などの照明光が放射される。
【0015】
また、収容ケース14は、例えばPBT樹脂などの絶縁材料により円筒状に形成されている。さらに、この収容ケース14の軸方向の中心域の外周部には、基体12と口金との間に介在して互いの間を絶縁する環状の鍔部35が形成されている。
【0016】
また、点灯回路15は、例えば、発光モジュール13の発光ダイオード32に対して定電流を供給する回路であり、回路を構成する複数の回路素子が実装された回路基板38を有し、この回路基板38が収容ケース14および基体12内に亘ってランプ軸方向に沿って収納されて固定されている。点灯回路15の入力側には、口金のシェルおよびアイレットが接続線で電気的に接続されている。また、点灯回路15の出力側には、図示しない配線を介してコネクタが接続されており、このコネクタおよび配線が基体12の配線孔24を通じて基体12の一端側に引き出されて、基板31のコネクタ部に接続されている。
【0017】
また、口金は、例えば、E26形などの一般照明電球用のソケットに接続可能なもので、収容ケース14に固定されるシェルと、このシェルの他端側に設けられる絶縁部と、この絶縁部の頂部に設けられるアイレットとを有している。
【0018】
そして、グローブ16は、透光性を有する合成樹脂、例えばアクリル樹脂、あるいはポリカーボネートなどの部材により、発光モジュール13を覆い他端側から一端側へと拡径状となる截頭円錐状(円錐台状)に形成されている。すなわち、グローブ16は、一端側に平面状のトップ部である一端側出射面41を有し、他端側にこの一端側出射面41に対して略平行な平面状の入射面42を有し、これら一端側出射面41と入射面42との間に、円錐面状の外周面である側部出射面43を有している。また、このグローブ16の一端側の中心域には溝部である凹部45が形成されており、この凹部45の背面側、すなわち発光モジュール13(発光ダイオード32)に対向するグローブ16内側の面が、グローブ16の内部に放物面状に窪んだ反射面46となっている。
【0019】
一端側出射面41は、ランプ軸方向へと光が出射する面であり、凹部45の周囲に円環状に形成されている。また、この一端側出射面41は、発光ダイオード32からの光を透過させつつ、発光モジュール13(発光ダイオード32)が外部から目視できないように表面処理されている。すなわち、この一端側出射面41の表面は、半透明となっているか、または、乳白色状の表面処理、例えばシボ加工、あるいは塗装などが施されている。
【0020】
また、入射面42は、発光モジュール13の発光ダイオード32に対向して位置する円形状の平面部であり、グローブ16を基体12に取り付けた状態で例えば支持部21と略平行に位置している。
【0021】
また、側部出射面43は、反射面46により反射された光が外周方向、および、発光ダイオード32の発光方向と反対方向(後方向)などへと出射する面である。なお、この側部出射面43は、透明であるものの、この側部出射面43の外部から発光モジュール13(発光ダイオード32)が目視されないように、グローブ16を所定の屈折率を備える一パーツで構成することが好ましい。さらに、この側部出射面43の他端側の周囲には、基体12の嵌合部22が嵌合されるとともに接着剤などで固定される嵌合凹部48が形成されている。
【0022】
そして、凹部45(反射面46)は、グローブ16の中心軸の周囲に放物線を回転させた形状、すなわち断面が放物線となっており、グローブ16の一端側すなわち前側から他端側すなわち後側近傍に亘って窪んでいる。すなわち、この凹部45(反射面46)は、グローブ16の一端側でこのグローブ16の外部と連通しており、グローブ16と同軸に形成されている。さらに、この凹部45(反射面46)は、グローブ16を基体12に取り付けた状態で発光モジュール13の発光ダイオード32に対向している。また、この凹部45は、発光ダイオード32からの光を透過させつつ、発光モジュール13(発光ダイオード32)が外部から目視できないように表面処理されている。すなわち、この凹部45の表面は、半透明となっているか、または、乳白色状の表面処理、例えばシボ加工、あるいは塗装などが施されている。したがって、本実施形態において、反射面46は、全反射面ではなく、半透過面となっている。
【0023】
さらに、この凹部45(反射面46)は、グローブ16のアウトライン(外郭)に対して所定量、例えば20%〜50%程度オフセットした大きさとすることが好ましい。ここで、グローブ16のアウトラインとは、凹部45(反射面46)に沿う、入射面42および側部出射面43の表面をいうものとする。なお、この凹部45は、例えば切削加工、あるいは金型などを用いた成形などによりグローブ16に形成される。
【0024】
そして、LEDランプ11は、ダウンライトである図示しない照明器具の器具本体などに取り付けられて用いられる。すなわち、LEDランプ11の口金を照明器具のソケットに装着して通電すると、点灯回路15が動作し、発光モジュール13の複数の発光ダイオード32に電力が供給され、複数の発光ダイオード32が発光する。
【0025】
このとき、発光ダイオード32から出射した光は、一端側出射面41および反射面46へと向かい、一部が一端側出射面41および反射面46を透過して前方へと出射する。また、反射面46へと向かった光の残りの他部は、この反射面46により反射されて側部出射面43から出射する。ここで、反射面46が放物面状に湾曲していることにより、この反射面46の底部46a(最大曲率部分)近傍では光が後方へと反射される。そして、反射面46の底部46aに接近するほど後方への反射角度が大きくなり、基体12によって遮られない角度の範囲で、側部出射面43から後方に向けて傾斜状に出射する(図1中の矢印L)。したがって、LEDランプ11は、前方から斜め後方に亘る広い配光を得ることができる。
【0026】
なお、発光モジュール13の複数の発光ダイオード32の点灯時に発生する熱は、基板31に熱伝導されるとともにこの基板31から基体12に熱伝導され、この基体12から空気中に効率よく放熱される。
【0027】
以上説明した実施形態によれば、反射面46を形成する凹部45を備えたグローブ16を、この凹部45の背面側から発光ダイオード32の出射光が照射するように設置することにより、前方に発光した発光ダイオード32からの光を、反射面46によって特にLEDランプ11の後方を含む広範囲に反射させることができ、指向性が高い発光ダイオード32を用いながら、別途レンズなどを用いて構造を複雑化することなく広配光化できる。
【0028】
また、凹部45(反射面46)の形状を、グローブ16のアウトラインに対して20%〜50%程度オフセットしたサイズとすることにより、反射面46によって反射された光のうち、発光モジュール13(発光ダイオード32)側へと戻ってくる光を抑制し、グローブ16の側部出射面43から効率よく光を出射させることができる。
【0029】
さらに、グローブ16は、一端側出射面41および凹部45(反射面46)に表面処理を施して発光ダイオード32を外部から目視できないようにしているため、指向性が高い発光ダイオード32からの発光が使用者に直接届くことを防止できるとともに、LEDランプ11の見栄えが低下することもない。
【0030】
なお、上記第1の実施形態では、LEDランプ11を、口金を用いる電球形としたが、例えば口金に代えて、図2に示す第2の実施形態のように、電源ケーブル51を用いて天井などの取付面に対して吊り下げる、いわゆるペンダント型の照明装置などとして用いることも可能である。
【0031】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
11 照明装置としてのLEDランプ
13 発光モジュール
16 グローブ
32 発光ダイオード
45 凹部
46 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを実装した発光モジュールと;
透光性を有する部材により形成され、放物面状の反射面を形成する凹部を備え、この凹部の背面側から前記発光ダイオードの出射光が照射されるように設置されたグローブと;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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