説明

照明装置

【課題】 安価な製造費で、高さ方向寸法を抑え、かつその高さの調整が可能な照明装置を提供する。
【解決手段】 照明装置は、基板7の出光部分とは反対側に向けて発光するように基板7に設けられた光源8と、基板7の裏側に配置された出光部分12a、基板7の貫通孔7aを貫通した状態で基板7の表側、裏側に分かれて配置された屈曲部分12bを有する導光体12を備える。屈曲部分12bは、基板7の裏側で入光面Aから基板7に略垂直方向奥側に入射した光を全反射して基板7に略平行となるように略90°方向変換する第1外周曲面Bと、この第1外周曲面Bからの光を全反射して基板7に略垂直な方向で表側へ略90°方向変換する第2外周曲面Cと、この第2外周曲面Cからの光を全反射して基板7の表側で基板7に略平行になるように略90°方向変換して出光部側へ向ける第3外周曲面Dと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から発した光を導いて車両用メータ類の目盛盤や液晶ディスプレイ等を照明可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような照明装置としては、たとえば車載の表示装置に設けられており、光源と導光体受光部との位置関係に応じて、いわゆるトップ発光型の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いるもの(例えば、特許文献1および特許文献2参照)と、いわゆるサイド発光型の発光ダイオードを用いるもの(例えば、特許文献3参照)と、が知られている。
【0003】
前者のトップ発光型LEDでは、プリント基板の上側(表面側、すなわちドライバー側)に発光源としてのLEDが設けられて光を上方に向へて発する。この光は、自動車用コンビネーションメータの液晶ディスプレイの下方(裏側、すなわちドライバーとは反対側)で、かつLEDの上方位置でこのLEDと対向する位置に設けた断面L字状の導光板の受光部分に入り、導光体の受光部上方側に形成された屈曲部の外周曲面で全反射されて、プリント基板の上方側位置でこれと平行に形成された導光体のフラット部分内部へ進み、このフラット部分全体にわたってこの上方にある液晶(LCD:Liquid Crystal Display)をこの下面から照射するようにしている。
【0004】
一方、後者のサイド発光型LEDは、1列に並べられた複数のLEDが導光体の側面に対向して配置され、これらの間にシリンダ・レンズが設けられるとともに、LED側とは反対側の導光体の側面側に反射鏡が設けられている。LEDから出た光は、シリンダ・レンズを通ることで広がって導光体の内部に入り、ここで全体的に広がる。なお、最奥部分の側端部分まで行った光は反射鏡にて再度導光体内へ戻される。導光体は、この下面側(裏面側)に光拡散部材が設けられており、下面にて光を導光体の内部で全反射するとともに、上面側(ドライバー側)がフラットな面とされていて、ここから光が導光体の上方に配置された液晶パネルの下面部を照明するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−156180号公報
【特許文献2】特開2002−222605号公報
【特許文献3】特開2006−031941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の照明装置には以下に説明するような問題がある。
すなわち、たとえばスピードメータやタコメータ等の隣合う表示装置と一部重ねた状態で、あるいは近傍で液晶画面を配置するコンビネーション表示装置などに照明装置を用いる場合、メータ類の表示部と液晶ディスプレイの表示面との間で差ができるだけない方が、視認性や美的感覚上からも望ましい。
【0007】
このような要望に合わせるべく、前者のトップ発光型LEDを用いる場合、前記導光体の屈曲部の曲面でLEDから受光した光を全反射させる場合、その曲面を導光体の材質が有する光の臨界角を超えない形状に保つ必要がある。ここで、臨界角とは、光が屈折率の大きい所から小さい所に入る場合に、光の全反射が起きる最も小さい角度であって、(入射先の物質の屈折率)/(入射元の物質の屈折率)のarcsinの値で表される。
したがって、トップ発光型LEDを用いた照明装置では、屈曲部の曲面は急峻に折り曲げることはできず、また曲面がLEDの上側に配置された受光部より上側の位置から始まるため、装置全体の高さが高くなり、他の表示装置との高さを合わせることができず、照明装置を薄型化できないという問題がある。また、屈曲部を特許文献2に記載されているような複数の曲面で構成する場合には、高さを抑えることができるものの、形状が複雑となって製造費が高くなるといった問題がある。
【0008】
一方、後者のサイド発光型LEDを用いる場合、LEDと基板とからなる光源パッケージに装置の高さ(基板から液晶ディスプレイまでの距離)が数ミリメートルと規定されてしまい、この結果、液晶ディスプレイの表示面とスピードメータやタコメータ等の表示面との高さを合わせようとすると、これら間で別の基板を用いなければならず、材料費が高価となり、製造工数も増えてしまうといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、製造費を安価に抑えながら、その高さ方向の寸法を小さく抑え、かつその高さの調整が可能となる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、請求項1に記載の本発明による照明装置は、
基板と、
この基板に取付けられた光源と、
外周に曲面を有する屈曲部分および該屈曲部分に連続形成されて光を外部に出す出光部分を有し、光源からの光を前記光源と対向する入光面から内部に取り入れて屈曲部分の内部で全反射させて光の経路の方向を変え、出光部分に導く導光体と、
を備えた照明装置において、
光源は、基板に対し出光部分とは反対側に向けて発光するように設けられ、
基板は、貫通孔を有し、
導光体を、入光部分が基板の裏側に、また出光部分が基板の表側に、また屈曲部分が基板の貫通孔を貫通した状態で基板の表側と裏側に分かれてそれぞれ配置し、
導光体の屈曲部分が、基板の裏側で入光面から基板に対し略垂直方向かつ出光部分とは反対側方向に入光する光を全反射して基板に略平行となるように略90°方向変換する第1外周曲面と、この第1外周曲面からの光を全反射して基板に略垂直な方向でこの基板の表側方向へ略90°方向変換する第2外周曲面と、この第2外周曲面からの光を全反射して基板の表側で基板に略平行になるように略90°方向変換して出光部側へ向ける第3外周曲面と、を有する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明による照明装置は、
請求項1に記載の照明装置において、
第1外周曲面と第3外周曲面とでは、反射光が逆方向になる、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明による照明装置は、
請求項1に記載の照明装置において、
第1外周曲面と第3外周曲面とでは、反射光が同一方向になる、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明による照明装置は、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の照明装置において、
第1外周曲面および第2外周曲面の間と、この第2外周曲面および第3外周曲面の間とには、入光面から取り入れた光を導光体の内部へ反射する外周面を有する延長部分が設けられている、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明による照明装置は、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の照明装置において、
基板の貫通孔が、透光体の屈曲部分の基板への投影寸法より大きな寸法に形成されている、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明による照明装置は、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置において、
導光体の出光部分の前記入光部分とは反対側に第1表示器および第2表示器があって、かつこの第2表示器が第1表示器の隣にあるように配置され、
基板が、出光部分に対し第1表示器および第2表示器とは反対側に配置されて第1表示器と第2表示器との駆動用に共通に使用される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明の照明装置にあっては、製造費を安価に抑えながら、その高さ方向の寸法を小さく抑え、かつその高さの調整を可能にすることができる。
【0017】
請求項2に記載の本発明の照明装置にあっては、導光体の屈曲部分をU字状にして出光部分と一部重ね合わせるように折り返すことが可能となり、導光体の長さ方向の寸法を短くすることができる。
【0018】
請求項3に記載の本発明の照明装置にあっては、導光体がS字状となり、屈曲部分と出光部分との重なりがなくなるので、導光体の製造時に行う型抜きが容易に行え、また型もシンプルにすることができる。
【0019】
請求項4に記載の本発明の照明装置にあっては、延長部分を変更することで第1〜第3外周曲面に影響を与えることなく、照明装置の高さを、延長部分を変えることで、調整することができる。
【0020】
請求項5に記載の本発明の照明装置にあっては、導光体の屈曲部分を基板の貫通孔に挿入して取り付ける際、これらのうちの一方を他方に対し回転させながら取り付ける必要がないので、その取り付け作業を容易にすることができる。
【0021】
請求項6に記載の本発明の照明装置にあっては、第1表示器および第2表示器の表示面の高さの差をゼロあるいは小さく抑えることができ、これら表示器の視認性が向上するとともに、これらの美観を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の照明装置を用いた車載のコンビネーション表示装置をドライバー側からみた正面図である。
【図2】図1のコンビネーション表示装置のうち左側のメータを省略してみた斜視図である。
【図3】図1中S3−S3線に沿って切断してその矢印方向にみた図1のコンビネーション表示装置の断面図である。
【図4】図1中のS4−S4線に沿って切断してその矢印方向にみた図1のコンビネーション表示装置の側面図である。
【図5】実施例1の照明装置における光の経路を示した側面図である。
【図6】実施例1の照明装置における光の経路を示した斜視図である。
【図7】本発明の実施例1の照明装置における導光体の変形例を示す側面図である。
【図8】本発明の実施例2の照明装置の側面図である。
【図9】本発明の実施例2の照明装置で用いる導光体の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。なお、各実施例にあっては、同じ構成・作用を有するものは、同じ番号を付し、それらの説明を省略する。また、下記の説明にあっては、「表側」は、照明装置をユーザー(ドライバー等)が使用する場合にユーザーに近くなる方の側を、また「裏側」は、ユーザーから遠くなる方向の側を意味するものとする。
【実施例1】
【0024】
まず、実施例1の照明装置を用いた車載のコンビネーション表示装置の全体構成を図面に基づき説明する。
【0025】
この実施例1の照明装置を用いたコンビネーション表示装置は、図1〜図4に示すように、中央に配置した液晶(LCD)装置1と、この液晶装置1の左側にその一部を重ね、液晶装置1の上方(ドライバー側)位置に配置したアナログ式のスピードメータ2と、液晶装置1の右側にその一部重ね、液晶装置1の上方(ドライバー側)位置に配置したアナログ式のタコメータ3と、を備えている。なお、図2では、見やすくするため、スピードメータ2の図示を省略している。
また、液晶(LCD)装置1は、本発明の第1表示器に、またスピードメータ2とタコメータ3は本発明の第2表示器に相当する。
【0026】
まず、液晶装置1は、種々の車両情報や車載機器の情報を表示するためのものであって、表示面10aを有し長方形をしてドライバー側に配置された液晶ディスプレイ10と、液晶ガイドライト(照明装置に相当)11と、を備えている。液晶ディスプレイ10は、その下方部分がドライバーに近く、またその上方部分がドライバーから離れる方向に傾斜され、インストールメントパネルの一部に配置されている。なお、液晶ガイドライト11は本発明の照明装置に、またドライバーは本発明のユーザーにそれぞれ相当する。
【0027】
液晶ガイドライト11は、LED8と、液晶ディスプレイ10より若干幅方向および高さ方向に大きく形成されて液晶ディスプレイ10の裏側に配置された導光体12と、を備え、液晶ディスプレイ10の裏面へ向けて光を発するようにしてある。液晶ディスプレイ10は、図示しないコントローラにより、表示内容を表示可能に制御される。なお、液晶ガイドライト11の構成については、後で説明する。
また、液晶ガイドライト11の裏側には断面コ字状のハウジング6が配置され、液晶ガイドライト11を保持する。ハウジング6は、この裏側が基板7上に固定されている。
【0028】
基板7には、液晶ディスプレイ10等への光を発する複数個のLED8(図4に示す) やこれらLED8へ供給する電力を制御駆動する電子部品(図示せず)が取り付けられている。なお、LED8は、導光体12の幅方向(紙面に垂直方向)に並べられている。また、基板7には、図示は省略するが、スピードメータ2およびタコメータ3の照明用LEDやこれらを駆動する電子部品も設けられている。
【0029】
さらに、基板7には、図4に示すように、液晶ガイドライト11の導光体12の屈曲部分12bが出し入れ可能な大きさ、すなわち屈曲部分12bの縦方向、横方向の寸法(透光体12の屈曲部分12bの基板7への投影寸法)より大きな寸法の貫通孔7aが形成されている。
【0030】
スピードメータ2およびタコメータ3は、それらの目盛表示は異なっているものの、実質的な構造は同じである。これらは、液晶ディスプレイ10によるデジタル表示とは、異なり、図1に示すように、それぞれ表示針21、31をスピンドル20、30周りに回転させることで、車両スピード、エンジンの回転速度を表示する。
【0031】
タコメータ3の表示針31の奥側には、環形で下方を一部切り欠いた導光体32が配置されている(図2にはタコメータ3のみ示し、スピードメータ2は図示を省略してある)。導光体32の表面には、エンジン回転速度を表示するための数字がその周上に配置されるとともに、その単位等が併せて表示されている。導光体32の切り欠かれた両下端部が曲面を持って裏側へ折り曲げられて、図示しないLEDから発光された光を受け、この光を上記曲面で内部反射させて環状の上方部分へ導くようにしてある。光は、さらに環状部分を内部反射しながらその全体部分に導かれるとともに、導光体32の表面側からドライバーに向けて全面にわたって透過し、暗い所でもドライバーが上記表示を見ることができるようにしている。
【0032】
また、図3に示すように、タコメータ3の導光体32は、この裏側および両側面を覆う断面コ字状のハウジング33が、また、導光体32の表側(手前側)には表パネル5がそれぞれ設けられている。
一方、スピードメータ2も、タコメータ3と実質同じ構造を有しており、車両スピードを表す表示が設けられた導光体22、ハウジング23、表パネル4、図示を省略したLED等を備えている。
【0033】
次に、上記液晶装置1で用いる導光体12の詳細構成およびその周辺部品との関係につき、説明する。
【0034】
図2および図5に示すように、導光体12は、液晶ディスプレイ10も裏側でこれに沿って延びるフラットな面を有するフラット部分12aと、このフラット部分12aの下端側で曲面を有して奥側に断面U字に曲がる屈曲部分12bと、から構成されている。
なお、屈曲部分12bの下半部分は、基板7の貫通孔7aを貫通して基板7の裏側に突出して折り返される。一方、屈曲部分12bの上半部分およびフラット部分12aは、基板7の表側に位置するように配置される。また、フラット部分12aは、本発明の出光部分に相当する。
【0035】
フラット部分12aは、表側がフラットな面で液晶ディスプレイ10の下面に沿い、その裏面がフラットな面で上方(先端側)へ向かうにしたがってフラット部分12aの厚さが薄くなるように傾斜させて形成されている。フラット部分12aの裏側にはギザギザ形状や反射材などのいずれかで形成されて反射面が設けられて、ここに当たった光を表側へ反射した光がフラット部分12aの表側から液晶ディスプレイ10の下面に向けて通過可能としてある。
【0036】
屈曲部分12bは、この外周側が曲面で構成された断面U字状に形成されて、基板7の一端部分およびLED8がU字の間に入り込むように配置されている。基板7の裏側には、複数のトップ発光型LED8が設けられてそれぞれ光を奥側に向け発し、この光が屈曲部分12bの奥側部分内側に設けたフラットな入光面Aに当たるようにされている。LED8は、基板7上に設けられた図示しない電子部品により電力が供給制御される。なお、LED8は、本発明の発光源に相当する。
【0037】
屈曲部分12bの外周曲面は、LED8から入光面Aに入った光(図5に細線で示す)のうち入光面Aに垂直また垂直近くの角度で入って光は、たとえば屈曲部分12bの外周曲面Bで全反射され、90°内側に曲げられて基板7に沿って平行に同図中右側へ進み、この右側の外周曲面Cで全反射され、さらに90°内側に曲げられて基板7に垂直な方向で同図中上方へ進み、この上方の外周曲面Dで全反射され、さらに90°内側に曲げられて基板7に平行に同図中左側、すなわちフラット部分12aへ向かうような曲面に形成される。なお、外周曲面B、C、Dは、それぞれ本発明の第1外周曲面、第2外周曲面、第3外周曲面に相当する。
【0038】
図5から分かるように、LED8から入光面Aに入った光は、上記すべてB→C→D→フラット部分12aの経路を通るわけではなく、一部(特にLED8から入光面Aに斜め方向入射する光)は外周曲面Bからずれた周辺部分と入光面A等で内部反射を繰り返して(ここでは必ずしも90°の曲げとは限られず、入射角=反射角の関係が保たれるだけである)外周曲面B、Cの間の外周曲面Eで全反射し、さらに外周曲面C、Dの間の外周曲面Fで全反射して外周曲面Dの上方部分やフラット部分12aの上方部分へ向かう光もある。これら光のさまざまな経路を図5に示してある。なお、図5では、フラット部分12aは、シミュレーションのしやすさを考慮して、一定の厚さにしてあるが、屈曲部分12bにおける光の経路は変わらない。なお、外周曲面E、Fは、本発明の延長部分に相当する。なお、延長部分は位置によっては必ずしも外周曲面を有する必要はない。
【0039】
上記のように構成した実施例1の照明装置を備えたコンビネーション表示装置の作用につき、以下に説明する。
明るい所や明るい時間帯では、スピードメータ2やタコメータ3のLEDは消灯されている。そして、検出した車両スピードやエンジンの回転速度に応じてそれらの表示針21、31がそれぞれ対応するメータの表示位置まで回転し、ドライバーにそれらの情報を提示する。なお、これらのスピードメータ2やタコメータ3のLEDは、明るい場所・時間帯であっても必ずしも消灯する必要はなく、車両によっては弱い光等で照明するようにしても良い。
【0040】
暗い所や暗い時間帯になり、車両のフロント・ランプ・スイッチをONにすると、フロント・ランプの点灯と連動してスピードメータ2やタコメータ3のLEDにも通電が開始され、導光体22、32を介して光が導光体22、32の環状部分全体に導かれて手前側に光が透過し、導光体22、32に設けられた表示(車両スピードやエンジン回転速度を表す数字や単位など)を照明する結果、ドライバーがそれらの表示を認識できるようにする。
【0041】
一方、スピードメータ2とタコメータ3との間に配置した液晶装置1では、イグニッション・キーがONにされると、明るい所、暗い所に限らず、液晶装置1のLED8も光を発するようになる。この光は、奥側に向けて発せられ、LED8に対向してさらに奥側に配置された導光体12の入光面Aへ向かう。入光面Aから入った光は、屈曲部分12bの外周曲面B、C、Dで順次全反射されて略270°方向が変えられてフラット部分12aに向かう。また入光面Aから入った光の一部は、外周曲面B付近、外周曲面E、F等で順次全反射されて、図5に示すように導光体12の内部において様々な経路で全反射されながら屈曲部分12bで270°前後方向が変えられてフラット部分12aへ向かう。フラット部分12aでは、光が広がりながらフラット部分12aの先端側部分へ進みながら、その間フラット部分12aの表側面を全体にわたって透過して液晶ディスプレイ10の下面に当たる。
【0042】
このフラット部分12aでの光の種々の経路は、図5および図6中に細線で示す。同図から分かるように、光は、導光体12内部で全反射を繰り返しながら、フラット部分12a全般にわたって駆け巡り、表側面から出ていることが分かる。
【0043】
液晶ディスプレイ10は、図示しないコントローラにより表示内容を表示可能に制御されるとともに、液晶ディスプレイ10の裏側に配置した導光体12のフラット部分12aから手前側に透過して来た光を偏光してドライバーへ上記表示内容を表示する。
【0044】
以上、説明したように、実施例1の照明装置は、以下の効果を有する。
(1)すなわち、実施例1の照明装置では、LED8を基板の裏側に取り付けて奥側に向けて発光させるとともに、導光体12を、この屈曲部分12bでLED8と基板7の一部を挟み込み、LED8からの光を入光面Aから取り入れ、この光を外周曲面(B〜Fのいずれか複数)で270°あるいはその前後で全反射させる屈曲部分12bと、この屈曲部分12bからの光を受けて液晶ディスプレイ10の下面全体に向けて照射可能にするフラット部分12aと、を有するように形成した。
【0045】
したがって、この場合、従来技術、すなわち、LEDが基板上に設けられてユーザー側へ向けて発光し、その上側の導光体の入光面で光を取り入れ、取り入れた光のほぼ全部を屈曲部分で順次全反射させて90°方向を変えてフラット部分へ向かわせるようにしたものに比べて、実施例1の照明装置は、基板7とLED8と高さ方向にオーバーラップした部分でも屈曲部分12bに曲面を形成できるので、その基板7からの高さ方向を従来技術のものに比べて小さく設定でき、薄型化できる。このため、スピードメータ2やタコメータ3の表示部と液晶ディスプレイ10の表示面10aとを同じ高さに合わせることができ、これらの美観を保ちながらドライバーにとって見やすい表示を提供することが可能となる。
【0046】
(2)また、サイド発光型LEDタイプの従来技術では、液晶側の基板をスピードメータ2やタコメータ3の基板と別個に設ける必要があり、製造費が高価になるが、実施例1の照明装置では、同じ基板を利用することが可能となり、材料費、組立工数が減ることで、より安価にすることができる。
【0047】
(3)また、実施例1の照明装置では、LED8から入光面Aに垂直また垂直近くで入って来る光を、導光体12の屈曲部分12bにその内部でそれぞれ90°ずつ順次全反射させるようにした3つの外周曲面B、C、Dを設けて、LED8の発光方向に対しこの光を270°方向変換させてフラット部12aへ向かうようにした。
このため、基板7から屈曲部分12bの上端まで、したがってフラット部分12aの上端までの距離(高さ)を低く抑えることができる。しかも、この場合、外周曲面B、C、Dにあっては、光の変える向き(入射方向に対する反射方向)が基板7に平行方向、次いで垂直方向、最後に平行方向となるようにしたため、高さ方向のみならず、導光体12の縦方向長さ(基板7に平行な方向の長さ)をも短くすることができる。
【0048】
(4)また、屈曲部分12bの外周曲面Bと外周曲面Dとで光の反射される方向が逆向きになるようにした。
このため、導光体12の長さが短くでき、かつ導光体12の成形にあって型抜きが容易になり、またひけの発生も抑えることが容易となる。
【0049】
(5)また、屈曲部分12bには、この外周曲面B、Cの間に外周曲面Eが、さらに外周曲面C、Dの間に外周面Fがそれぞれ設けられている。
このため、LED8から導光体12の入光面Aに入る光が入光面Aに対し90°より比較的大きくずれて入射した光をも、導光体12の内部で全反射を繰り返させてフラット部分12aに向かわせることが可能となり、液晶ガイドライトの照明効率が向上する。
また、外周曲面B、C、Dの延長部分としての外周曲面E、Fを設けたため、図7に外周曲面E'、F'で示すように、これらの形状を変えることで、外周曲面B、C、Dでの光の経路を変えることなく、基板7から屈曲部分12bの上端まで、したがってフラット部分11aの上端までの距離(高さ)、すなわち液晶ディスプレイ10のバックライトの高さを変えることが可能(図7ではより高くしている)となり、スピードメータ2、タコメータ3と液晶ディスプレイ10との高さ調整を、これらの種類やサイズが変更になっても、容易に行うことができる。
【0050】
(6)また、基板7には、液晶ガイドライト11の導光体12の屈曲部分12bが出し入れ可能な大きさ、すなわち屈曲部分12bの基板7と平行(な寸法縦方向および横方向の寸法、すなわち基板7への投影寸法)より大きな貫通孔7aが形成されている。
このため、導光体12を基板7に取り付けるとき、基板7も導光体12も相手側に対し回転させながら基板7の貫通孔7aを通すといった面倒な作業が必要なくなる。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の実施例2の照明装置につき、図面に基づき以下に説明する。
実施例2の照明装置を、図8に示す。なお図8は、実施例1の図4に対応する部分の断面図であり、他の図面は省略する。
【0052】
同図に示すように、実施例2の照明装置の導光体13は、実施例1の導光体12と同様に、フラット部分13aと屈曲部分13bを有するものの、実施例1では屈曲部分13bの形状が実施例1の場合のU字状と異なっていたのをS字状に変更した形状に形成されている。
【0053】
すなわち、基板7の貫通孔7aからこの裏側に突出している屈曲部分13bの奥側半部分130の形状は実施例1のものと同じであるが、基板7の貫通孔7a内の部分および基板7の手前側半部分131は、奥側半部分130のフラット部分13a側端部から手前側に延ばされてLED8からさらに遠ざかる方向に曲げられ、同じ方向に先端部分が延びるフラット部分13aに続くように形成されている。図8に、実施例1の外周曲面D〜Fに相当する部分をそれぞれ示してあるが、外周曲面D、Fの曲面の方向が実施例1の場合と反対となっている。また、入光面AおよびLED8が、フラット部分13aとは反対方向の端に設けてある。
【0054】
このように導光体2を構成したので、導光体13の外周曲面Bでは、LED8から入射された光を基板7と平行に同図中左側(実施例1の場合と反対方向)に全反射し、外周曲面Cで基板7に垂直で同図中上方へ(実施例1の場合とは入射方向が逆)全反射し、外周曲面Dにて基板7に平行で同図中左方向(実施例1の場合と同じ)へ全反射してフラット部分13aに向かわせる。実施例1とは一部方向が逆になるが、それぞれの外周曲面B、C、Dで実質同じような90°の方向変更が順次行われ、外周曲面Dでの反射光は、LED8から入射方向に対し90°の方向変換となって、フラット部分13aに導かれる。
【0055】
一方、外周曲面E、Fも実施例1と同様に、上記外周曲面B、C間、上記外周曲面C、D間に設けられて、LED8から入光面Aに対し比較的大きな斜め方向に入射した光を全反射しながら、フラット部分13aへ導くとともに、これらの外周曲面E、Fの形状を変形させることで、外周曲面B、C、Dでの光の経路に実質影響を与えることなく、基板7と屈曲部分13bの上端およびフラット部分13aの上端との間の高さを調整することを可能とする。
【0056】
以上の説明から分かるように、実施例2の照明装置にあっては、実施例1の上記効果(1)〜(3)、(5)、(6)に加え、下記の効果が得られる。
【0057】
(7)すなわち、導光体13を成形する際の型抜きが図8で上下方向に行えるようになるので、型製造が簡単になり、生産工程も少なくて済む。
【0058】
なお、導光体13は、図9に示すように、屈曲部分13bの奥半部分130の入光面Aの内側端から外周曲面B、E、Cに相当する部分の内側面をテーパー状130aおよび曲面130bにして奥側半部分130の肉厚を薄くするようにしても良い。
この場合、奥半部分130が肉薄化することで、導光体13の製造時におけるひけの発生を防止することが可能となる。
【0059】
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0060】
たとえば、各実施例の照明装置は、スピードメータ2とタコメータ3とが液晶装置1にそれぞれ一部重なった上記コンビネーション表示装置に限られず、重なりがなく隣接するもの、第2表示器が1個だけのものであってもよい。このように他の装置であって、高さが制限を受ける照明装置にも用いることができる。
【0061】
また、導光体12、13の出光部分は、実施例のように必ずしもフラットでなくてもよく、厚さも先薄でなくてもよい。さらに、出光部分の表示は異なっていても、またそれらの表示を必ずしも設ける必要はない。
【0062】
また、第1〜第3外周曲面B、C、Dも正確に90°の光方向変換ではなく略90°の変換であればよい。さらに、それら外周曲面間に設けた延長部分の外周面は、光の方向を適切に変更できれば曲面でもフラットな面でもよい。
【符号の説明】
【0063】
A 入光面
B、C、D 外周曲面
E、F 外周曲面(延長部分)
1 液晶装置
2 スピードメータ
3 タコメータ
4 表パネル
5 表パネル
6 ハウジング
7 基板
7a 貫通孔
8 LED(光源)
10 液晶
10a 表示面
11 液晶ガイドライト
12 導光体
12a フラット部分(出光部分)
12b 屈曲部分
13 導光体
13a フラット部分(出光部分)
13b 屈曲部分
130 奥半部分
131 手前側部分
21 表示針
22 導光体
23 ハウジング
31 表示針
32 導光体
33 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板に取付けられた光源と、
外周に曲面を有する屈曲部分および該屈曲部分に連続形成されて光を外部に出す出光部分を有し、前記光源からの光を前記光源と対向する入光面から内部に取り入れて前記屈曲部分の内部で全反射させて光の経路の方向を変え、前記出光部分に導く導光体と、
を備えた照明装置において、
前記光源は、前記基板に対し前記出光部分とは反対側に向けて発光するように設けられ、
前記基板は、貫通孔を有し、
前記導光体は、前記入光部分が前記基板の裏側に、また前記出光部分が前記基板の表側に、また前記屈曲部分が前記基板の貫通孔を貫通した状態で前記基板の前記表側と裏側に分かれてそれぞれ配置され、
前記導光体の前記屈曲部分は、前記基板の裏側で前記入光面から前記基板に略垂直方向かつ出光部分とは反対側方向に入光する光を全反射して前記基板に略平行となるように略90°方向変換する第1外周曲面と、該第1外周曲面からの光を全反射して前記基板に対し略垂直な方向で該基板の表側へ略90°方向変換する第2外周曲面と、該第2外周曲面からの光を全反射して前記基板の表側で前記基板に略平行になるように略90°方向変換して出光部側へ向ける第3外周曲面と、を有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1外周曲面と前記第3外周曲面とは、反射光が逆方向になる、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1外周曲面と前記第3外周曲面とは、反射光が同一方向になる、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記第1外周曲面および前記第2外周曲面の間と、該第2外周曲面および前記第3外周曲面の間とには、前記入光面から取り入れた光を前記導光体の内部へ反射する外周面を有する延長部分が設けられている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記基板の貫通孔は、前記透光体の屈曲部分の前記基板への投影寸法より大きな寸法に形成されている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記導光体の出光部分の前記入光部分とは反対側に第1表示器および第2表示器があって、該第2表示器が前記第1表示器の隣に配置され、
前記基板は、前記出光部分に対し前記第1表示器および前記第2表示器とは反対側に配置されて前記第1表示器と前記第2表示器との駆動用に共通に使用される、
ことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−79877(P2013−79877A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220313(P2011−220313)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】