説明

照明装置

【課題】ソケットに装着したランプが回転することを防止する。
【解決手段】口金22aに回転防止用穴部24を設け、本体部11におけるランプを正規の装着位置に装着したときに回転防止用穴部24に対向する位置に、回転防止用穴部24に挿入される回転防止部材13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプを装着するためのソケットを備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ソケットを備えた灯具と、ソケットに装着されるランプとを備え、ランプに設けられたランプピンをソケットに設けられた溝部に挿入した後、ランプを回転させることによりランプをソケットに装着する構成の照明装置が用いられている。
【0003】
この種の照明装置としては、例えば、日本電球工業会規格JEL801に準拠したランプソケットを有する灯具と、同規格JEL907に準拠したGX16t−5口金を有するランプとを備えた照明装置などが挙げられる。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、直管形の蛍光ランプが装着されるソケットであって、ランプピンが下方から鉛直方向上方に向けて挿入される溝部にランプピンの外径よりも狭い狭窄部を設けたソケットが開示されている。この特許文献1の技術では、ランプの装着動作時には、ランプピンを狭窄部を乗り越えて溝部に挿入させ、その状態で水平方向を軸としてランプを回転させることで溝部の方向を水平方向にしてランプをソケットに装着するようになっている。また、装着後にランプから手を離した状態では、たとえランプが回転して溝部の方向が鉛直方向になった場合であっても、ランプピンが狭窄部に引っ掛かることにより、ランプが落下しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4488649号公報(公開日:平成14年11月29日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような、ランプをソケットに挿入した後、ランプを回転させることによってソケットにランプを保持させる構成の照明装置では、一般に、ソケットにおける回転部と非回転部とにノッチを設け、ノッチのかみ合わせによってランプの回転防止が図られている。
【0007】
しかしながら、このような構成からなる従来の照明装置では、ランプ取付時あるいはランプ交換時に生じるノッチの摩耗、あるいはノッチのかみ合わせ状態のばらつきに起因するランプの回転開始トルクのばらつきなどにより、振動等によってソケットに挿入されたランプが回転してしまう場合があった。
【0008】
なお、上記特許文献1の技術は、ランプが回転してしまって溝部の方向が鉛直方向になった状態においてランプが落下することを防止するための技術であり、ランプが回転すること自体を防止することはできない。また、上記特許文献1の技術では、狭窄部の磨耗や変形等により狭窄部によるランプの保持力が低下した場合、ランプの回転によって溝部の方向が鉛直方向になると、ランプピンがランプの自重によって狭窄部を通過し、ランプが落下してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ランプに設けられた突出部をソケットに設けられた溝部に挿入した後、ランプを回転させることによりランプをソケットに装着する構成の照明装置において、装着後にランプが回転してしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の照明装置は、上記の課題を解決するために、本体部と上記本体部に取り付けられたソケットとを有する灯具と、上記ソケットに着脱可能に装着されるランプとを備え、上記ランプに設けられた突出部を上記ソケットに設けられた溝部に挿入した状態で上記ランプを所定角度回転させることにより上記ランプを上記ソケットに装着する照明装置であって、上記ソケットは、上記溝部を有し、当該溝部に上記突出部が挿入された上記ランプとともに回転する回転支持部と、上記回転支持部を回転可能に支持する、上記本体部に固定されるソケット筐体部とを備えており、上記ランプおよび上記回転支持部を回転部材、上記本体部および上記ソケット筐体部を非回転部材とすると、上記回転部材および上記非回転部材のうちの一方の部材に、上記ランプを上記ソケットに装着した状態から上記ランプが回転することを防止するための回転防止部材が挿入される回転防止用穴部を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、ランプを所定角度回転させてソケットに装着した状態において回転防止部材が回転防止用穴部に挿入されるので、ランプが本体部に対して回転することを防止できる。したがって、ランプを灯具に装着した後にランプが回転してしまうことを防止できる。
【0012】
また、上記回転防止部材は、上記回転部材および上記非回転部材のうちの上記回転防止用穴部が設けられていない方の部材における上記ランプを上記ソケットに装着したときに上記回転防止用穴部に対向する対向位置に設けられており、上記回転防止部材に対して当該回転防止部材を上記回転防止用穴部に挿入する方向に押す力を付与する付勢部材を備えており、上記回転防止部材は、上記ランプに設けられた突出部を上記ソケットに設けられた溝部に挿入した状態で上記ランプを所定角度回転させたときに上記付勢部材によって付与される力により上記回転防止用穴部に挿入される構成としてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、ランプが所定角度回転したときに上記付勢手段によって付与される力により回転防止部材が回転防止用穴部に挿入されるので、ランプを灯具に装着する操作を容易に行うことができる。
【0014】
また、上記回転防止部材は、当該回転防止部材を上記回転防止用穴部から抜き出す際に工具または指を当接させて当該回転防止部材に上記回転防止部材から抜き出す方向への力を付与するための、当該方向に対して非平行な面を有する被当接部を備えている構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、ランプを灯具から取り外すために回転防止部材を回転防止用穴部から抜き出す際の操作を容易に行うことができる。
【0016】
また、上記回転防止部材は、当該回転防止部材の上記回転防止用穴部に対する挿入方向に対して垂直な方向に突出する突出部を備えており、上記突出部は上記灯具内に収容されており、上記灯具には、上記回転防止部材を上記回転防止部材から抜き出す際に工具を挿入して上記突出部を操作するための工具挿入穴が設けられている構成としてもよい。また、上記灯具には上記突出部に当接する偏心カムが回転可能に備えられており、上記工具挿入穴から工具を挿入して上記偏心カムを回転させることにより、上記回転防止部材に対して上記回転防止用穴部から抜き出す方向への力が付与される構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、ランプを灯具から取り外す際、工具挿入穴から工具を挿入して突出部あるいは偏心カムを操作することにより、回転防止部材を回転防止用穴部から抜き出すことができる。また、突出部が灯具内に収容されているので、誤操作等によって回転防止部材が回転防止用穴部から抜き出されることを防止できる。
【0018】
また、上記回転部材および上記非回転部材のうちの上記回転防止用穴部が設けられていない方の部材における上記ランプを上記ソケットに装着したときに上記回転防止用穴部に対向する対向位置に上記回転防止部材が貫挿される貫挿穴部が設けられており、上記回転防止部材は、上記貫挿穴部に貫挿されて上記回転防止用穴部に挿入される部材である構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、回転防止部材を、貫挿穴部を介して回転防止用穴部に挿入することにより、ランプが本体部に対して回転することを防止できる。
【0020】
また、上記貫挿穴部、および上記回転防止用穴部のうちの少なくとも一方はネジ溝が切られた雌ネジであり、上記回転防止部材は上記ネジ溝に応じたネジ山を有する雄ネジであり、上記回転防止部材の頭部頂面に、当該回転防止部材を回すために工具の先端が挿入される凹部または凸部が設けられており、上記凹部または凸部の形状は、プラスドライバー、マイナスドライバー、および六角レンチとは異なる工具である特殊工具の先端形状に応じた形状である構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、悪戯等によってランプが取り外されることを防止できる。また、一般消費者が安易にランプの交換を行うことを防止できるので、灯具の特性に適合しないランプが誤装着されることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の照明装置によれば、ランプを灯具に装着した後にランプが回転してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかる照明装置におけるランプと灯具との接続部分の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる照明装置の構成を示す説明図である。
【図3】図2の照明装置に備えられるランプの断面図である。
【図4】図2の照明装置に備えられるランプの口金の構成を示す説明図である。
【図5】図2の照明装置に備えられるソケットの構成を示す説明図である。
【図6】図2の照明装置に備えられるランプの口金の構成を示す説明図である。
【図7】図2の照明装置に備えられるソケットの構成を示す説明図である。
【図8】図2に示した照明装置においてランプを灯具に装着する際の回転防止部材の動きを示す説明図である。
【図9】図2に示した照明装置においてランプを灯具から取り外す際の操作方法を示す説明図である。
【図10】(a)および(b)は、図2に示した照明装置に備えられる回転防止部材の変形例を示す説明図である。
【図11】図2に示した照明装置の変形例を示す説明図である。
【図12】図2に示した照明装置の変形例を示す説明図である。
【図13】図2に示した照明装置の変形例を示す説明図である。
【図14】本発明の他の実施形態にかかる照明装置の構成を示す説明図である。
【図15】図14に示した照明装置に備えられるソケットの構成を示す説明図である。
【図16】図14に示した照明装置に備えられるソケットに回転防止部材を装着した状態を示す説明図である。
【図17】図16に示した回転防止部材の構成を示す説明図である。
【図18】(a)〜(c)は、図14に示した照明装置の天井に対する設置状態の例を示す説明図である。
【図19】図14に示した照明装置の変形例を示す説明図である。
【図20】(a)〜(d)は、図14に示した照明装置の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。
【0025】
図2は、本実施形態にかかる照明装置100の構成を示す説明図である。この図に示すように、照明装置100は、灯具10とランプ20とを備えている。
【0026】
灯具10は、一方向に延伸する形状を有する本体部11と、本体部11における延伸方向の両端部近傍に設けられたソケット12a,12bとを備えている。また、本体部11におけるソケット12aの近傍には回転防止部材13が設けられている。なお、ソケット12aとソケット12bとの間隔は、ランプ20の長さに応じた間隔になっている。
【0027】
ランプ20は、一方向に延伸する直管部21と、直管部21の両端部に設けられた口金22aおよび22bとを備えている。また、口金22aにおけるランプ20の延伸方向外側にはランプピン23a,23bが設けられており、口金22bにおけるランプ20の延伸方向外側にはランプピン23cが設けられている。
【0028】
これにより、口金22aに設けられたランプピン23a,23bがソケット12aに挿入され、口金22bに設けられたランプピン23cがソケット12bに挿入されてランプ20が灯具10に装着されるようになっている。また、ランプピン23a,23bは灯具10に備えられる電源回路(図示せず)からの電力をランプ20に給電するための給電端子としての機能を有しており、ランプピン23cはランプ20を接地するための接地端子としての機能を有している。
【0029】
なお、本実施形態では、ソケット12a,12bとして日本電球工業会規格JEL801に準拠したソケットを用いた。また、ランプ20の口金22a,22bとして、日本電球工業会規格JEL907のGX16t−5に準拠した口金を用いた。
【0030】
図3は、ランプ20における直管部21の延伸方向に垂直な断面の断面図である。この図に示すように、直管部21は、円筒状の管体部31と、管体部31における内周面の一部に沿って配置された放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35を備えている。
【0031】
管体部31の材質は特に限定されるものではないが、LED35から出射された光を管体部31の外部に透過させる光透過性と、LED35の点灯に伴う発熱によって大幅な変形・変質等が生じない程度の耐熱性とを有する材料であることが好ましい。管体部31の材料としては、例えば合成樹脂あるいはガラスを用いることができる。本実施形態では、耐衝撃性、耐熱性、光拡散性(光拡散機能)を有する材料である、乳白色のポリカーボネート樹脂からなる管体部31を用いた。
【0032】
放熱部保持部材32は、管体部31の延伸方向に沿って延伸し、かつ管体部31の内周面に沿った形状を有しており、管体部31の内周面の一部に対向するように管体部31の内周面に取り付けられている。放熱部保持部材32の材質は、耐熱性が高い材質であれば特に限定されるものではなく、例えば、耐熱性樹脂等の合成樹脂を用いることができる。本実施形態ではポリブチレンテレフタレート樹脂からなる放熱部保持部材32を用いた。なお、本実施形態では、円筒状の管体部31の内部に放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35が備えられている構成について説明するが、これに限るものではない。例えば、管体部31における周面の一部に外周面から内周面に貫通する切欠部が設けられており、放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35の一部または全部が上記切欠部に備えられている構成としてもよい。
【0033】
放熱部33は、管体部31の延伸方向に沿って延伸する形状を有しており、放熱部保持部材32に取り付けられている。なお、放熱部33は、LED35から出射された光を管体部31における発光面(放熱部保持部材32が配置されていない面)に向けて反射する機能を有している。放熱部33の材質は特に限定されるものではなく、LED35から出射された光を反射する反射性と、LED35の点灯に伴う熱を放熱するための熱伝導性とを有する材質であればよい。本実施形態では、アルミニウム(Al)からなる放熱部33を用いた。
【0034】
LED基板34は、管体部31の延伸方向に沿って延伸する形状を有しており、放熱部33に取り付けられている。また、LED基板34は、配線および制御回路(いずれも図示せず)を有するプリント基板であり、LED基板34における放熱部33に対する取付面と反対側の面には、管体部31の延伸方向に沿って複数のLED35が所定のピッチで配置されている。これにより、LED基板34は、ランプピン23a,23bを介して灯具10の電源回路(図示せず)から供給される電力を用いて各LED35を点灯させる。
【0035】
なお、LED基板34は、放熱性を高めるために、アルミニウム等の熱伝導性の良好な金属で構成されることが好ましい。ただし、LED基板34の材質はこれに限るものではなく、例えば、ガラスエポキシ材等の非金属性の部材、あるいはセラミックスからなる基板を用いてもよい。
【0036】
各LED35の発光色は特に限定されるものではなく、例えば電球色、白色、あるいは他の色であってもよい。また、複数色のLEDを備えていてもよく、それら複数色のLEDの発光状態を制御することによりランプ20から出射される光の色を調光できる構成としてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、光源としてLEDを備えたランプ20を用いる場合について説明するが、ランプ20の構成はこれに限るものではなく、蛍光体、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の他の光源を備えたランプを用いてもよい。
【0038】
図4は、ランプ20における口金22bの構成を示す斜視図である。また、図5は、灯具10におけるソケット12bの構成を示す説明図である。
【0039】
図4に示したように、口金22bにおける直管部21の延伸方向外側の面には、先端が略T字形であるランプピン(突出部)23cが設けられている。また、図5に示したように、ソケット12bにおけるランプ20との対向面には、下方が開口した溝部41が設けられており、溝部41の内部にはランプピン23cの先端形状に応じた形状を有する支持部(回転支持部)42が設けられている。支持部42は、ランプピン23cの先端を保持した状態でランプ20の延伸方向を軸として所定角度(本実施形態では90度)回転可能に設けられている。
【0040】
図6は、ランプ20における口金22aの構成を示す斜視図である。また、図7は、灯具10におけるソケット12aの構成を示す説明図である。
【0041】
図6に示したように、口金22aにおける直管部21の延伸方向外側の面には、先端が略L字形であるランプピン(突出部)23a,23bが口金22aにおける上記面が成す円の直径方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられている。また、口金22aにおける灯具10に装着されたときに灯具10の本体部11側となる面、すなわち直管部21における放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35が設けられている側の面には、回転防止用穴部24が設けられている。なお、回転防止用穴部24は、ランプ20を灯具10に装着したときに灯具10に設けられた回転防止部材13に対向する位置に設けられている。また、回転防止用穴部24の開口部の形状は回転防止部材13の回転防止用穴部24に挿入される部分における当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な断面の形状に応じた形状を有しており、回転防止用穴部24の開口部の開口面積は、回転防止部材13における上記断面の断面積よりもわずかに大きく設定されている。
【0042】
また、図7に示したように、ソケット12aにおけるランプ20との対向面には、下方が開口した溝部51と、溝部51に連通して設けられた円形の切欠部52と、切欠部52内に回転可能に収容された回転支持部53とが設けられている。また、回転支持部53には、ランプ20との対向面の一端部から直径方向に沿って他端部まで形成された溝部54が形成されている。なお、溝部51,54の幅は、当該溝部51,54にランプピン23a、23bを挿入可能な幅になっている。
【0043】
これにより、ランプ20を灯具10に装着する際には、(i)ランプピン23cをソケット12bの溝部41に挿入して支持部42に支持させ、(ii)ランプピン23a,23bをソケット12aの溝部51,54に挿入し、(iii)ランプ20を当該ランプ20の延伸方向を軸として所定角度(本実施形態では90度)回転させることにより、ランプ20をソケット12a,12bに保持させてランプ20を灯具10に装着するようになっている。
【0044】
図1は、灯具10のソケット12aとランプ20の口金22aとの接続部周辺の構成を示す説明図である。この図に示すように、灯具10におけるランプ20が装着されたときに口金22aと対向する位置には回転防止部材13が設けられており、口金22aにおけるランプ20が灯具10に装着されたときに回転防止部材13に対応する位置には回転防止用穴部24が設けられている。
【0045】
回転防止部材13は長さL(cm)の棒状の部材である。また、回転防止部材13の一部には、当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な面を有する板状部材14が固定されている。また、板状部材14における天井側の面(ランプ20が備えられる側とは反対側の面)には、回転防止部材13が挿通されたコイルバネ(つるまきバネ)からなるバネ(付勢部材)15の一端側が当接している。なお、板状部材14は回転防止部材13と一体的に形成されていてもよく、回転防止部材13とは別体に形成されて回転防止部材13に固定されていてもよい。また、バネ15の一端側は板状部材14に取り付けられていてもよく、板状部材14に当接するだけであってもよい。
【0046】
灯具10におけるランプ20が装着されたときに口金22aと対向する位置には、第1収容部16と第2収容部17とが設けられている。
【0047】
第1収容部16は、回転防止部材13の一部、板状部材14、およびバネ15を収容するための灯具10の本体部11に設けられた空洞部である。また、第2収容部17は、回転防止部材13の一端側の端部を収容する空洞部であり、第1収容部16に連通して設けられている。
【0048】
第1収容部16におけるランプ20側の面には蓋部19が設けられている。また、蓋部19には、回転防止部材13における当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な断面の断面形状よりも大きく、板状部材14におけるランプ20側の面の形状よりも小さい穴(図示せず)が設けられおり、この穴に回転防止部材13が挿通されている。
【0049】
また、第1収容部16におけるランプ20側の面からランプ20とは反対側の面のまでの深さはd(cm)である。
【0050】
また、第1収容部16におけるランプ20側とは反対側の面の中央部には、当該第1収容部16と連通する第2収容部17が設けられている。第2収容部17は、回転防止部材13における当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な直径よりも大きく、バネ15の直径よりも小さい直径を有する円形の開口部を備えている。したがって、バネ15の他端側は第1収容部16におけるランプ20側とは反対側の面に当接している。これにより、バネ15によって板状部材14がランプ20側に押され、回転防止部材13がランプ20側に付勢されている。
【0051】
ただし、板状部材14のランプ20方向への移動は第1収容部16の蓋部19によって規制されている。その結果、回転防止部材13は、当該回転防止部材13の他端側に口金22aが当接していない状態では、第1収容部16の蓋部19から、灯具10と口金22aとの間隔a(cm)に長さb(cm)を加えた長さ分だけランプ20側に突出するようになっている。したがって、図1に示したように、ランプ20を灯具10に装着した状態では、回転防止部材13の他端側の端部から長さb(cm)までの範囲が口金22aに設けられた回転防止用穴部24に挿入される。なお、上記の長さa,bは、ランプ20の交換時に回転防止部材13を回転防止用穴部24から容易に抜き出せるように、a>bの関係を満たすように設定されている。
【0052】
なお、回転防止部材13が第1収容部16の蓋部19からa+b(cm)だけ突出している状態では、回転防止部材13の一端側の端部と第2収容部17におけるランプ20とは反対側の面との間隔はc(cm)である。また、上記間隔cは、c≧bの関係を満たしている。したがって、回転防止部材13に対してバネ15による付勢力に反する方向に当該付勢力よりも強い力を付与することにより、回転防止部材13をバネ15による付勢力に反する方向に移動させ、回転防止部材13の他端側を口金22aに設けられた回転防止用穴部24から抜き出すことができるようになっている。
【0053】
図8は、ランプ20を灯具10に装着する際の回転防止部材13の動きを示す説明図である。まず、口金22aのランプピン23a,23bをソケット12aの溝部51,54に挿入することにより、回転防止部材13の端部が口金22aの外周部に当接して押し上げられる。この状態でランプ20が当該ランプ20の延伸方向を軸として回転されることにより、回転防止部材13の端部は口金22aの外周部を摺動する。そして、ランプ20を灯具10に対する装着位置まで回転させると、回転防止部材13の端部がバネ15の付勢力によって口金22aの外周部に設けられた回転防止用穴部24に挿入される。これにより、ランプ20が当該ランプ20の延伸方向を軸として回転しようとしても、回転防止部材13が回転防止用穴部24の側面に当接して回転が規制(防止)される。
【0054】
図9は、ランプ20の交換等のためにランプ20を灯具10から取り外す方法を示す説明図である。この図に示すように、回転防止部材13の一部にマイナスドライバー等の工具Tの先端を当て、回転防止部材13に対してバネ15の付勢力に反する方向の力を加える。これにより、バネ15が縮んで回転防止部材13が移動し、回転防止部材13の他端側の端部が回転防止用穴部24から抜き出される。これにより、ランプ20を回転させてランプ20を灯具10から取り外すことが可能になる。
【0055】
なお、図10(a)および図10(b)に示すように、回転防止部材13の一部にランプ20を取り外すために回転防止部材13に対してバネ15の付勢力に反する方向の力を加える際にマイナスドライバー等の工具を当接させるための凹部(被当接部)56あるいは凸部(被当接部)57を設けてもよい。すなわち、回転防止部材13の一部に、工具を当接させるための、回転防止部材13の延伸方向(回転防止部材13を回転防止用穴部24から抜き出す方向)に対して非平行な面を有する被当接部を設けてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、回転防止部材13の一部にマイナスドライバー等の工具を当てることにより回転防止部材13に対してバネ15の付勢力に反する方向の力を加えるものとしたが、これに限るものではない。例えば、プライヤー等の工具により回転防止部材13を挟むことにより回転防止部材13に上記力を加えるようにしてもよい。また、作業者が回転防止部材13に直接触れて押し上げたり、回転防止部材13の一部を摘んで押し上げたりすることにより回転防止部材13に上記力を加えるようにしてもよい。
【0057】
また、灯具10の本体部11に工具を挿入するための工具挿入穴を設け、この工具挿入穴から工具を挿入することにより、回転防止部材13、回転防止部材13に取り付けられた部材、あるいは回転防止部材13に直接的または間接的に当接する部材を操作して回転防止部材13に上記力を加えるようにしてもよい。
【0058】
図11は、工具挿入穴を介して回転防止部材13を操作することにより回転防止用穴部24から抜き出す構成の一例を示す説明図である。この図に示す照明装置100は、図1に示した構成に加えて、本体部11内に、第2収容部17に対してこの第2収容部17に収容される回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に連通する第3収容部62と、第3収容部62の一部から回転防止部材13の延伸方向に沿って本体部11の外面まで貫通する工具挿入穴63とを備えている。また、回転防止部材13における第2収容部17に収容される部分には、当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に突出する突出部61が設けられており、この突出部61は第3収容部62内に回転防止部材13の延伸方向に移動可能に収容されている。この構成では、図11に示したように、工具挿入穴63から例えばドライバ等の工具Tを挿入し、回転防止部材13を回転防止用穴部24から抜き出す方向に押すことにより、回転防止部材13を当該方向に移動させて回転防止用穴部24から抜き出すようになっている。
【0059】
図12は、工具挿入穴を介して回転防止部材13を操作することにより回転防止用穴部24から抜き出す構成の他の例を示す説明図である。この図に示す照明装置100は、図1に示した構成に加えて、本体部11内に、第2収容部17に対してこの第2収容部17に収容される回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に連通する第3収容部62と、第3収容部62の一部から回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に沿って本体部11の外面まで貫通する工具挿入穴64とを備えている。また、回転防止部材13における第2収容部17に収容される部分には、当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に突出する突出部61が設けられており、この突出部61は第3収容部62内に回転防止部材13の延伸方向に移動可能に収容されている。この構成では、図12に示したように、工具挿入穴64を介して突出部61と第3収容部62の底面(ランプ20側の面)との間にマイナスドライバー等の工具Tの先端を挿入し、工具Tを回転させることによって突出部61を押し上げて回転防止部材13を回転防止用穴部24から抜き出すようになっている。なお、突出部61を押し上げる方法はこれに限るものではない。例えば、工具挿入穴64の下方側の端部65を支点として工具Tの取手部を下方に押し下げることにより、上記取手部を力点として機能させ、突出部61に当接させた工具Tの先端を作用点として機能させ、梃子の原理を利用して突出部61を押し上げるようにしてもよい。
【0060】
図13は、工具挿入穴を介して回転防止部材13を操作することにより回転防止用穴部24から抜き出す構成のさらに他の例を示す説明図である。この図に示す照明装置100は、図1に示した構成に加えて、本体部11内に、第2収容部17に対してこの第2収容部17に収容される回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に連通する第3収容部62と、第3収容部62の一部から回転防止部材13の延伸方向に連通するカム収容部66と、カム収容部66から回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に沿って本体部11の外面まで貫通する工具挿入穴64とを備えている。また、回転防止部材13における第2収容部17に収容される部分には、当該回転防止部材13の延伸方向に垂直な方向に突出する突出部61が設けられており、この突出部61は第3収容部62内に回転防止部材13の延伸方向に移動可能に収容されている。また、突出部61におけるランプ20側の面には偏心カム67が当接しており、この偏心カム67はカム収容部66内に偏心軸を軸として回転可能に備えられている。また、偏心カム67の偏心軸は工具挿入穴64に対向する位置に配置されており、この偏心軸の工具挿入穴64側の端部には工具Tによって当該偏心カム67を回転させるための工具Tの先端形状に応じた凹部(図示せず)が設けられている。この構成では、図13に示したように、工具挿入穴64を介してドライバ等の工具Tの先端を偏心カム67の上記凹部に挿入し、偏心カム67を回転させることにより、突出部61を偏心カム67によって押し上げて回転防止部材13を回転防止用穴部24から抜き出すようになっている。
【0061】
以上のように、本実施形態にかかる照明装置100は、ソケット12a,12bを有する灯具10と、ソケット12a,12bに装着されるランプ20とを備え、ランプ20の口金22bに設けられたランプピン(突出部)22cをソケット12bに設けられた溝部41に挿入し、口金22aに設けられたランプピン(突出部)22a,22bをソケット12aに設けられた溝部51,54に挿入した後、ランプ20を溝部41および溝部51,54に対する挿入方向に垂直な方向を軸として所定角度(本実施形態では90度)回転させることによりランプ20を灯具10に装着する照明装置であって、ランプ20に設けられた回転防止用穴部24と、灯具10におけるランプ20を所定角度回転させて装着したときにランプ20の回転防止用穴部24に対向する位置に設けられた回転防止部材13とを備えている。そして、ランプ20が正規の装着位置に装着されたときに回転防止部材13の一部が回転防止用穴部24に挿入されるようになっている。これにより、ランプ20を正規の装着位置に装着した状態からランプ20が回転することを防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、ランプ20として直管形のLEDランプを用いている。直管形のLEDランプは、図3に示したように、放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35が直管部21の内周面における一部の領域に対向するように配置されているので、直管部21の延伸方向に垂直な断面における重心が当該断面のなす円の中心に対して偏心している。また、ランプ20は、直管部21における放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35が備えられる側、すなわち重い側が天井側になるように灯具10に装着される。このため、ランプ20を正規の装着位置に設置している状態では、ランプ20の自重によりランプ20が常に回転しやすい状態、すなわち直管部21における放熱部保持部材32、放熱部33、LED基板34、およびLED(光源)35が備えられる側が床面側を向くように回転しようとする力が作用している状態になっている。したがって、振動やソケットの磨耗等が生じた場合に、ランプ20が正規の装着位置から回転してしまう虞がある。そして、ランプ20の回転によりソケット12a,12bの溝部41,52の開口部が鉛直下方を向くと、ランプ20が灯具10から落下する虞がある。これに対して、本実施形態によれば、回転防止用穴部24に回転防止部材13を挿入することにより、ランプ20として直管形のLEDランプを用いる場合であってもランプ20の回転を適切に防止できるので、ランプ20が落下することを防止できる。
【0063】
また、本実施形態では、回転防止用穴部24が、ランプ20を正規の装着位置に装着したときに回転防止部材13に対向する位置に設けられている。したがって、ランプ20の装着作業を行う作業者は、回転防止部材13が回転防止用穴部24に挿入されるようにランプ20を回転させればよいので、ランプ20が上下反対の状態で装着されることを防止できる。
【0064】
また、本実施形態にかかる灯具10は日本電球工業会規格JEL801に準拠したソケットを有しており、同規格JEL907に準拠したGX16t−5口金を有するランプであれば物理的に装着できるようになっている。しかしながら、灯具およびランプは製造メーカ毎あるいは製品の型番毎に異なる特性を有しており、灯具の特性に合致したランプを装着する必要がある。
【0065】
例えば、ユーザー要望に応じたランプ性能を実現するようにランプおよび灯具が個別に設計された照明装置の場合、他社製品や同社製品であっても設計の異なる製品との互換性が十分に確保されていない場合がある。このため、例えば、灯具への給電を行ったままランプ交換がなされたときに、ソケットへのオープン時電圧制限保護回路が無いものでは、ランプ接続時にランプが突入電流のダメージを受ける虞がある。また、ランプの給電端子から見た容量成分が電源負荷の許容範囲外にあった場合、電源からの雑音や高調波の発生などにより、他の機器へ悪影響を及ぼす虞がある。
【0066】
したがって、灯具に対する互換性を有さないランプが誤って装着されることを防止する機構を備えることが好ましいが、従来は、電気的特性に関する互換性を有さないランプであってもソケットの規格に対応する物理的寸法を有する口金を備えたランプであれば電気的特性に関係なく灯具に容易に装着されてしまうという問題があった。また、ランプが灯具に対する電気的特性に関する互換性を有しているかを一般消費者に判断させることは実際上困難であり、互換性を有さないランプが装着される虞があった。
【0067】
これに対して、本実施形態にかかる照明装置100では、回転防止部材13が回転防止用穴部24に挿入されるか否かにより、ランプ20が灯具10に対する互換性を有するランプであるか否かを容易に判断することができるので、互換性を有さないランプが誤って装着されることを抑制できる。
【0068】
なお、ランプ20がソケット12a,12bに挿入されているにもかかわらず回転防止部材13が回転防止用穴部24に挿入されていない場合、すなわち回転防止部材13がランプ20の口金22a等によって上方に押し上げられたままの状態である場合に、ランプ20への通電を遮断する保護回路を備える構成としたり、ランプ20が正常に装着されていないことを示す警告(警告音の出力、あるいは警告灯の点灯など)を行ったりする構成としてもよい。これにより、ランプ20が誤装着された状態で照明装置100が使用されたり、灯具10に対応していないランプが装着された状態で照明装置100が使用されたりすることを防止できる。
【0069】
また、本実施形態では、回転防止用穴部24をランプ20の口金22aにおける灯具10の本体部11に対向する位置に設け、灯具10の本体部11に回転防止部材13を設けているが、これに限るものではない。すなわち、回転防止用穴部24または回転防止部材13の一方を、ランプ20を装着するためにランプ20を回転させる際に灯具10の本体部11に対して相対的に回転する回転部材(ランプ20の口金22a、口金22b、直管部21、ソケット12aの回転支持部53、またはソケット12bの支持部42)に設け、他方を灯具10の本体部11に対して相対的に回転しない非回転部材(本体部11、ソケット12aにおける回転支持部53以外の部材(ソケット筐体部)、またはソケット12bにおける支持部42以外の部材(ソケット筐体部))に設ければよい。
【0070】
例えば、回転防止用穴部24をランプ20の口金22aにおけるソケット12aに対向する位置に設け、灯具10のソケット12aにおけるランプ20が正規の装着位置に装着されたときに回転防止用穴部24に対向する位置に回転防止部材13を設けてもよい。また、回転防止用穴部24をランプ20の口金22bに設け、灯具10のソケット12bまたは本体部11におけるランプ20が正規の装着位置に装着されたときに回転防止用穴部24に対向する位置に回転防止部材13を設けてもよい。また、回転防止用穴部24を口金22aおよび口金22bの両方に設け、灯具10におけるランプ20が正規の装着位置に装着されたときにそれら各回転防止用穴部24に対向する位置にそれぞれ回転防止部材13を設けてもよい。
【0071】
また、回転防止用穴部24を灯具10の本体部11、ソケット12a、またはソケット12bのいずれか1つ以上に設け、回転防止部材13をランプ20における当該ランプ20が正規の装着位置に装着されたときに回転防止用穴部24に対向する位置に設けてもよい。
【0072】
また、回転防止用穴部24は、従来から用いられているランプ20あるいは灯具10に既存のネジ挿入穴等の穴部であってもよい。これにより、灯具10あるいはランプ20のうち、回転防止用穴部24として用いる穴部が設けられていない方に回転防止部材13を設けるだけでランプ20の回転を防止できる。したがって、灯具10あるいはランプ20のうち、回転防止用穴部24として用いる穴部が設けられている方については、従来から用いられている灯具10またはランプ20を用いることができる。
【0073】
また、回転防止用穴部24は、回転防止部材13の挿入方向に窪んだ形状であればよく、例えば回転防止部材13の挿入方向に垂直な方向の一部が外部に開放された溝状の穴部であってもよい。
【0074】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材には実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
実施形態1では、回転防止部材13をランプ20の方向に付勢するバネ15を備え、ランプ20が正規の装着位置に装着されたときにバネ15の付勢力によって回転防止部材13が回転防止用穴部24に自動的に挿入される構成について説明した。これに対して、本実施形態では、ランプ20の装着作業を行う作業者が手動により回転防止部材を取り付ける構成について説明する。
【0076】
図14は、本実施形態にかかる照明装置100bの構成を示す説明図である。この図に示すように、照明装置100bは、灯具10bとランプ20とを備えている。
【0077】
ランプ20としては、実施形態1で用いたランプ20と同様のものを用いることができる。なお、実施形態1のランプ20から回転防止用穴部24を省いた構成のランプを用いてもよい。
【0078】
本実施形態における灯具10bと実施形態1で用いた灯具10との相違点は、本体部11bには回転防止部材13が備えられておらず、回転防止部材13bによってランプ20の回転防止が図られている点、およびソケット12aに代えてソケット12cが用いられている点である。
【0079】
図15はソケット12cの構成を示す説明図であり、回転支持部53がランプ20の正規の装着位置にある状態であって、回転防止部材13bが取り付けられる前の状態を示している。この図に示すように、ソケット12cの回転支持部53bは、実施形態1におけるソケット12aの回転支持部53に対し、ランプ20が正規の装着位置に装着されたときにソケット12cの溝51と連通する位置に回転防止用穴部55が設けた構成である。なお、回転防止部材13bはネジ山を有する雄ネジであり、回転防止用穴部55には、回転防止部材13bに設けられたネジ山に対応するネジ溝が切られている。回転防止用穴部55に加えて、溝部51における回転防止用穴部55に対応する位置(貫挿穴部)にネジ溝が切られていてもよい。あるいは、回転防止用穴部55にはネジ溝を切らず、溝部51における回転防止用穴部55に対応する位置にネジ溝を切ってもよい。すなわち、回転防止用穴部55および貫挿穴部のうちの少なくとも一方が回転防止部材13bのネジ山に対応するネジ溝を有する雌ネジであればよい。
【0080】
図16はソケット12cの構成を示す説明図であり、回転支持部53がランプ20の正規の装着位置にある状態であって、回転防止部材13bが取り付けられた後の状態を示している。この図に示すように、本実施形態では、ランプ20を灯具10に装着する際、(i)ランプピン23cをソケット12bの溝部41に挿入して支持部42に支持させ、(ii)ランプピン23a,23bをソケット12cの溝部51,54に挿入し、(iii)ランプ20を当該ランプ20の延伸方向を軸として所定角度(本実施形態では90度)回転させた後、(iv)ソケット12cの溝部51を介して回転支持部53の回転防止用穴部55に回転防止部材13bを取り付けることにより、ランプ20が回転することを防止するようになっている。
【0081】
図17は、回転防止部材13bの構成を示す説明図である。この図に示すように、回転防止部材13bは、ネジ山が設けられたネジ部71と頭部72とを備えており、頭部頂部73には、この回転防止部材13bを回すための工具の先端形状に応じた凹部74が形成されている。
【0082】
なお、本実施形態では、凹部74の形状を、市販されている汎用工具(例えば、プラスドライバー、マイナスドライバー、および六角レンチ)では回すことのできない特殊形状としている。すなわち、本実施形態では、回転防止部材13bとして、凹部74が回転防止部材13bを回すための特殊工具(先端形状がプラスドライバー、マイナスドライバー、および六角レンチとは異なる特殊形状である工具)の先端形状に応じた形状である特殊ネジ(いじり止めネジ、悪戯防止ネジ)を用いている。
【0083】
以上のように、本実施形態にかかる照明装置100bは、ソケット12cの回転支持部53bにおける、ランプ20が正規の装着位置に装着されたときに溝部51と連通する位置に回転防止用穴部55が設けられている。そして、ランプ20を正規の装着位置に装着した後、溝部51を介して回転防止用穴部55に回転防止部材13bを挿入して取り付けることにより、回転支持部53bの回転を拘束するようになっている。これにより、ランプ20を正規の装着位置に装着した状態からランプ20が回転することを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では、回転防止部材13bとして、頭部頂部73に特殊工具(特殊ネジ用工具)の先端形状に応じた凹部74を有する、汎用工具では回すことのできない特殊ネジを用いている。これにより、一般消費者によってランプ20が安易に取り外されることを防止し、灯具10bに対する電気的特性に関する互換性を有さないランプに誤って交換されることを防止できる。
【0085】
なお、従来、照明装置のランプは、使用時間の経過と共に明るさが低下したり、ちらつきが生じたり、発光しなくなったりする場合があり、ランプを灯具から取り外して交換できる構造が必須であった。近年では、ランプとして寿命が非常に長いLEDランプが登場し、ランプの寿命による交換の必要性は減ったものの、LEDランプの性能向上等により、より省電力で点灯できるランプに随時交換して消費電力の低減を図りたいといった要望はある。このため、一般消費者であっても必要に応じてランプ20の交換を行えるようにしてもよい。例えば、灯具10に対する互換性を有する交換用のランプ20と回転防止部材13bを回すための特殊工具とをセットで販売するようにしてもよい。これにより、ランプ20の交換作業を必ずしも専門の工事業者が行う必要がなくなるとともに、灯具10に対する互換性を有さないランプに誤って交換されることを防止できる。
【0086】
また、本実施形態では、ソケット12cに対するランプ20の挿入方向と同じ方向に回転防止部材13bを挿入するように回転防止部材13bの取り付け位置を設定している。これにより、図18(a)に示すように照明装置100bを壁際に設置する場合、図18(b)に示すように複数の照明装置100bを当該照明装置100bの延伸方向に並べて設置する場合、あるいは図18(c)に示すように複数の照明装置100bを当該照明装置100bの延伸方向に垂直な方向に並べて設置する場合であっても、回転防止部材13bを容易に取り付けることができ、ランプ20の装着作業時の作業性を向上させることができる。
【0087】
すなわち、ソケット12cの背面側から回転防止部材13bを挿入する構成では、照明装置100bを壁際に設置する場合や、複数の照明装置100bを当該照明装置100bの延伸方向に並べて設置する場合などに、壁や他の照明装置100bが邪魔になって作業性が低下する場合がある(図18(a)の矢印A、および図18(b)の矢印C参照)。また、ソケット12cの側面側から回転防止部材13bを挿入する構成では、照明装置100bを壁際に設置する場合や、複数の照明装置100bを当該照明装置100bの延伸方向に垂直な方向に並べて設置する場合などに、壁や他の照明装置100bが邪魔になって作業性が低下する場合がある(図18(a)の矢印B、および図18(c)の矢印D参照)。これに対して、ソケット12cに対するランプ20の挿入方向と同じ方向(床面側から天井面側に向かう方向)に回転防止部材13bを挿入するように回転防止部材13bの取り付け位置を設定することにより、壁や他の照明装置が干渉することを防止し、作業性を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、回転防止部材13bとして特殊ネジを用いているが、これに限るものではない。例えば、マイナスドライバー、プラスドライバー、あるいは六角レンチなどの汎用工具で回すことのできる汎用ネジを用いてもよい。また、回転防止部材13bはネジに限るものではなく、回転防止用穴部55に挿入可能であり、かつ回転防止用穴部55から抜き出すための操作をしない限り通常の使用状態では回転防止用穴部55から脱落しない構成であればよい。
【0089】
図19は、回転防止部材13bの変形例を示す説明図である。この図に示すソケット12cは、ランプ20の装着後に溝部51を覆うように設けられた化粧部材81を備えている。化粧部材81は、柔軟性を有する材料からなり、一端部がソケット12cの一部に取り付けられており、溝部51を覆う位置と溝部51を開放する位置とに変形可能になっている。化粧部材81の材質は特に限定されるものではなく、例えば、柔軟性を有する樹脂、ゴム、あるいは金属などを用いることができる。
【0090】
また、化粧部材81における溝部51を覆う位置に移動したときに溝部51を介して回転支持部53に設けられた回転防止用穴部55に対向する位置には、この回転防止用穴部55の開口部の形状に応じた断面形状を有する回転防止部材13bが取り付けられている。これにより、ソケット12b,12cにランプ20が挿入され、ランプ20を回転させることによってランプ20を正規の装着位置に装着させた後、回転防止部材13bが回転防止用穴部55に挿入されてランプ20の回転が防止される。
【0091】
なお、回転防止部材13bの材質および形状は特に限定されるものではなく、回転防止用穴部55に挿入可能であり、回転防止用穴部55から抜き出すための操作をしない限り通常の使用状態では回転防止用穴部55から脱落せず、回転防止用穴部55に挿入されることによって回転支持部53が回転することを防止できる程度の強度を有する材質および形状であればよい。
【0092】
また、本実施形態では、回転防止用穴部24をソケット12cの回転支持部53に設け、回転防止部材13bをソケット12cの溝部51を介して回転防止用穴部24に挿入する構成について説明したが、これに限るものではない。すなわち、回転防止用穴部24を、ランプ20を装着するためにランプ20を回転させる際に灯具10の本体部11bに対して相対的に回転する回転部材(ランプ20の口金22a、口金22b、直管部21、ソケット12cの回転支持部53b、またはソケット12bの支持部42)、または灯具10の本体部11bに対して相対的に回転しない非回転部材(本体部11、ソケット12cにおける回転支持部53b以外の部材(ソケット筐体部)、またはソケット12bにおける支持部42以外の部材(ソケット筐体部))の一方に設け、他方に設けられた貫挿穴部を介して回転防止部材13bを回転防止用穴部24に挿入する構成であればよい。
【0093】
例えば、図20(a)に示したように、ソケット12cの背面側に設けた貫挿穴部(図示せず)を介して、回転支持部53bにおける上記貫挿穴部に対向する位置に設けられた回転防止用穴部(図示せず)に回転防止部材13bを挿入する構成としてもよい。
【0094】
また、図20(b)に示したように、ソケット12cの側面側に設けた貫挿穴部(図示せず)を介して、回転支持部53bにおける上記貫挿穴部に対向する位置に設けられた回転防止用穴部(図示せず)に回転防止部材13bを挿入する構成としてもよい。
【0095】
また、図20(c)に示したように、ソケット12cの側面側に設けた貫挿穴部(図示せず)を介して、口金22aにおける上記貫挿穴部に対向する位置に設けられた回転防止用穴部(図示せず)に回転防止部材13bを挿入する構成としてもよい。
【0096】
また、図20(d)に示したように、口金22aの周面に設けた貫挿穴部(図示せず)を介して、本体部11bにおける上記貫挿穴部に対向する位置に設けられた回転防止用穴部(図示せず)に回転防止部材13bを挿入する構成としてもよい。
【0097】
また、ソケット12bに備えられている支持部42に回転防止用穴部(図示せず)を設け、ソケット12bに設けられた貫挿穴部(図示せず)を介して回転防止部材13bを挿入することにより、ランプ20の回転を防止する構成としてもよい。また、口金22bに設けられた貫挿穴部(図示せず)を介して本体部11bに設けられた回転防止用穴部(図示せず)に回転防止部材13bを挿入することにより、ランプ20の回転を防止する構成としてもよい。
【0098】
また、上記貫挿穴部は、回転防止部材13bの挿入方向に貫通した形状であればよく、例えば回転防止部材13bの挿入方向に垂直な方向の一部が外部に開放された溝状の穴部であってもよい。
【0099】
また、上記各実施形態では、本発明を直管形のLEDランプを備えた照明装置に適用する場合について説明したが、ランプの形状は直管形に限るものではなく、ソケットを備えた灯具と、ソケットに装着されるランプとを備え、ランプに設けられたランプピン(突出部)をソケットに設けられた溝部に挿入した後、ランプを回転させることによりランプをソケットに装着する構成の照明装置であれば適用できる。また、光源はLEDに限るものではなく、蛍光体、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の他の光源を用いてもよい。
【0100】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ソケットを備えた灯具と、ソケットに装着されるランプとを備え、ランプに設けられたランプピン(突出部)をソケットに設けられた溝部に挿入した後、ランプを回転させることによりランプをソケットに装着する構成の照明装置に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
10,10b 灯具
12a,12b,12c ソケット
13,13b 回転防止部材
14 板状部材
15 バネ(付勢部材)
16 第1収容部
17 第2収容部
19 蓋部
20 ランプ
21 直管部
22a,22b 口金
23a,23b,23c ランプピン
24,55 回転防止用穴部
31 管体部
32 放熱板
33 反射板
34 LED基板
35 LED
41 溝部
42 支持部
51 溝部(貫挿穴部)
52 切欠部
53,53b 回転支持部
54 溝部
61 突出部
62 第3収容部
63,64 工具挿入穴
66 カム収容部
67 偏心カム
81 化粧部材
100,100b 照明装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と上記本体部に取り付けられたソケットとを有する灯具と、上記ソケットに着脱可能に装着されるランプとを備え、上記ランプに設けられた突出部を上記ソケットに設けられた溝部に挿入した状態で上記ランプを所定角度回転させることにより上記ランプを上記ソケットに装着する照明装置であって、
上記ソケットは、上記溝部を有し、当該溝部に上記突出部が挿入された上記ランプとともに回転する回転支持部と、上記回転支持部を回転可能に支持する、上記本体部に固定されるソケット筐体部とを備えており、
上記ランプおよび上記回転支持部を回転部材、上記本体部および上記ソケット筐体部を非回転部材とすると、
上記回転部材および上記非回転部材のうちの一方の部材に、上記ランプを上記ソケットに装着した状態から上記ランプが回転することを防止するための回転防止部材が挿入される回転防止用穴部を備えていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
上記回転防止部材は、上記回転部材および上記非回転部材のうちの上記回転防止用穴部が設けられていない方の部材における上記ランプを上記ソケットに装着したときに上記回転防止用穴部に対向する対向位置に設けられており、
上記回転防止部材に対して当該回転防止部材を上記回転防止用穴部に挿入する方向に押す力を付与する付勢部材を備えており、
上記回転防止部材は、上記ランプに設けられた突出部を上記ソケットに設けられた溝部に挿入した状態で上記ランプを所定角度回転させたときに上記付勢部材によって付与される力により上記回転防止用穴部に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
上記回転防止部材は、当該回転防止部材を上記回転防止用穴部から抜き出す際に工具または指を当接させて当該回転防止部材に上記回転防止部材から抜き出す方向への力を付与するための、当該方向に対して非平行な面を有する被当接部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
上記回転防止部材は、当該回転防止部材の上記回転防止用穴部に対する挿入方向に対して垂直な方向に突出する突出部を備えており、
上記突出部は上記灯具内に収容されており、
上記灯具には、上記回転防止部材を上記回転防止部材から抜き出す際に工具を挿入して上記突出部を操作するための工具挿入穴が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
上記灯具には上記突出部に当接する偏心カムが回転可能に備えられており、
上記工具挿入穴から工具を挿入して上記偏心カムを回転させることにより、上記回転防止部材に対して上記回転防止用穴部から抜き出す方向への力が付与されることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
上記回転部材および上記非回転部材のうちの上記回転防止用穴部が設けられていない方の部材における上記ランプを上記ソケットに装着したときに上記回転防止用穴部に対向する対向位置に上記回転防止部材が貫挿される貫挿穴部が設けられており、
上記回転防止部材は、上記貫挿穴部に貫挿されて上記回転防止用穴部に挿入される部材であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
上記貫挿穴部、および上記回転防止用穴部のうちの少なくとも一方はネジ溝が切られた雌ネジであり、上記回転防止部材は上記ネジ溝に応じたネジ山を有する雄ネジであり、
上記回転防止部材の頭部頂面に、当該回転防止部材を回すために工具の先端が挿入される凹部または凸部が設けられており、上記凹部または上記凸部の形状は、プラスドライバー、マイナスドライバー、および六角レンチとは異なる工具である特殊工具の先端形状に応じた形状であることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−84527(P2013−84527A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225293(P2011−225293)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】