説明

熨斗紙貼着装置

【目的】熨斗紙の左右両側部に位置ズレを生じさせることなく見栄え良く胴巻きすることができる熨斗紙貼着装置を提供する。
【解決手段】被貼着物6をエレベータ12で上方に押し上げながらその上面に熨斗紙4を胴巻きして貼着する熨斗紙貼着手段10と、該熨斗紙貼着手段の直下に熨斗紙を張設状態にして側方から供給する熨斗紙供給手段11とを備え、該熨斗紙供給手段が、該貼着機構部の直下に搬送端を臨まされて側方に延設された搬送ガイド24と、該搬送ガイドの延設端に設けられて、ストッカー部26に収納された熨斗紙を1枚ずつ繰り出して該搬送ガイド上に供給する給紙機構部28と、該搬送ガイド上に給紙された熨斗紙の搬送方向後端縁両側部に当接して搬送端側に向けて押送する押送機構部30と、該搬送端側に押送されてきた熨斗紙の搬送方向両側部を吸着して張設状態で該貼着機構部の直下に供給する吸着搬送機構部32とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熨斗紙をその貼着対象である箱状の被貼着物に自動的に胴巻きして貼り付ける熨斗紙貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熨斗紙をその被貼着物たる箱状体に自動的に胴巻きして貼着する装置として、特開平6−32324号公報に示されるものが知られている。この装置は、熨斗紙の貼着対象である箱状体をエレベータで上昇移動させ、その昇降路の途中にこれに直交させて熨斗紙の供給路を配置し、箱状体を上昇させながらその上面に熨斗紙を突き当てて胴巻きしていくようになっている。即ち、熨斗紙はストッカー部に積層収納されて給紙機構によって1枚ずつ供給路上に繰り出されていき、繰り出された熨斗紙は供給路に沿って横設されたサクションコンベヤによって昇降路まで運ばれるようになっている。サクションコンベヤの吸引ベルトには、熨斗紙の先端を挟んで保持する熨斗紙保持手段が連設されていて、当該熨斗紙保持手段はサクションコンベヤの作動開始時に供給路上に繰り出された熨斗紙の先端と対向して待機されるようになっている。そして供給路上に繰り出された熨斗紙の先端を当該熨斗紙保持手段で挟んで保持してから、サクションコンベヤを熨斗紙供給方向に作動させて、当該熨斗紙を昇降路まで引き出してから吸引ベルトに吸着させ、熨斗紙保持手段を解放するようにしている。
【0003】
また、サンクションベルトで昇降路に向けて熨斗紙を供給する途中で、熨斗紙の両側部に噴射ノズルから糊を噴射して塗布する様にしている。
【0004】
また、昇降路には箱状体の側面に当接する垂直片と底面に摺接する水平片とを有した一対の逆L字状の折り込みガイドを二段伸縮する駆動部に連接して設けて、箱状体の側面が上記垂直片と対向位置に上昇したときに1段目の突出を行わせて熨斗紙を箱状体の側面に沿わせて折り込み、爾後、箱状体の下面が水平片の高さに上昇した時に更に2段目の突出を行わせて、熨斗紙の両側部を箱状体の下面に沿わせて折り込んで貼着するようになっている。
【特許文献1】特開平6−32324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報における熨斗紙貼着装置では、吸引ベルトで熨斗紙を吸着した際に、熨斗紙の左右にズレが生じてしまい、箱状体に胴巻きしたときに斜めに巻回されてしまう虞があった。
【0006】
即ち、ストッカーに平積み状態に積層収納されている熨斗紙を多数のローラー等で構成される給紙機構によって繰り出して供給路上に給紙すると、熨斗紙にはその左右両側部に供給方向の前後に微妙なズレが生じてしまい易いのであるが、当該公報の装置のように、その繰り出された熨斗紙の先端をサクションコンベアの吸引ベルトに連設した熨斗紙保持手段で挟んで昇降路の途中の所定位置まで引き出し、その所定位置において吸引ベルトで吸着して係止するようにすると、その微妙なズレを修正できないままに当該熨斗紙を箱状体に対して斜めに胴巻きしてしまうことになってしまう。そして、この様に熨斗紙に左右のズレがあるまま胴巻きしてしまうと、そのズレがたとえ微妙なものであってもかなり目立ってしまい、見栄えが著しく損なわれてしまうことになる。
【0007】
また、吸引ベルト自体にも弾性があるため、この弾性に起因する左右の微妙なずれも、その搬送作動時に生じてしまう懸念があり、さらに経時劣化等に起因する耐久性の面でも改善の余地を残したものとなっている。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストッカーから繰り出した熨斗紙の左右両側部に位置ズレが生じていても、そのズレを矯正して昇降路の途中の所定位置に張設状態に吸着係止して供給することができ、もって熨斗紙を見栄え良く胴巻きすることができる、熨斗紙貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本出願の請求項1に係る発明は、熨斗紙の貼着対象である箱状の被貼着物を搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアから供給される被貼着物をエレベータで上方に押し上げながら貼着機構部を通過させて該被貼着物の上面に熨斗紙を胴巻き状態に貼着し、上部のスタッカー部にて保持する熨斗紙貼着手段と、該熨斗紙貼着手段の貼着機構部の直下に、熨斗紙を張設状態に保持して側方から供給する熨斗紙供給手段とを備えた熨斗紙貼着装置であって、該熨斗紙供給手段が、該貼着機構部の直下に搬送端を臨まされて側方に延設された搬送ガイドと、該搬送ガイドの延設端に設けられて、ストッカー部に積層収納された熨斗紙を1枚ずつ繰り出して該搬送ガイド上の所定位置に供給する給紙機構部と、該搬送ガイド上の所定位置に給紙された熨斗紙に、その搬送方向の後端縁両側部に当接して該搬送ガイドの搬送端側に向けて押送する押送機構部と、該搬送ガイドの搬送端側に押送されてきた熨斗紙の搬送方向両側部を吸着して張設状態で該貼着機構部の直下に供給する吸着搬送機構部と、から構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明では、前記押送機構部と吸着搬送機構部とが、前記搬送ガイドに沿ってその上方を往復移動される支持バーを共有し、該押送機構部は該支持バーの前記給紙機構部側端に下方に向けて出没自在に設けられ、搬送端側への往路で下方に突出して熨斗紙の後端縁に当接する一方、給紙機構部側への復路で上方に待避するプッシャーを有し、該吸着搬送機構部は該支持バーの前記貼着機構部側端に固定されて往復移動方向に突出して延びる吸着バーを有していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明では、前記吸着搬送機構に吸着されて前記貼着機構部の直下に搬送供給される熨斗紙の下面両側部に、その搬送途中で液状糊を噴射して塗布する糊塗布手段が設けられ、該糊塗布手段には熨斗紙の貼着作動休止時にその噴射ノズルの先端を覆って湿潤状態を維持する一方、貼着作動時に側方に待避移動する蓋手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明では、下方から押し上げられてくる被貼着物の側面に倣わせて前記熨斗紙の両側部を折り込んで密着させる側面折り込み手段を有すると共に、該側面折り込み手段の上方で該熨斗紙の両側端を該被貼着物の下面に倣わせて折り込む下面折り込み手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成に係る発明によれば、給紙機構によってストッカー部から繰り出されて搬送ガイド上の所定位置に供給された熨斗紙は、その搬送方向の後端縁両側部に当接する押送機構部によって所定位置に押送されてから吸着機構部によって吸引吸着されて貼着機構部の直下に張設状態に保持されて供給されるので、ストッカーから繰り出した熨斗紙の左右両側部に位置ズレが生じていても、押送機構部による押送によってそのズレを矯正して昇降路の途中の所定位置に張設状態に吸着係止して供給することができ、もって熨斗紙を見栄え良く胴巻きすることができる。
【0014】
また、搬送ガイドに沿ってその上方を往復移動される支持バーの給紙機構部側端に、搬送端側への往路で下方に突出して熨斗紙の後端縁に当接する一方、給紙機構部側への復路で上方に待避する下方に向けて出没自在な押送機構部のプッシャーを設けるとともに、は該支持バーの前記貼着機構部側端に往復移動方向に突出して延びる吸着搬送機構部の吸着バーを固定して設けるようにして、押送機構部と吸着搬送機構部とで支持バーを共有させることで、両機構の駆動部の共通化を図ることができ、もって駆動機構部の簡素化と部品点数の削減化を達成して、製造コストを低減するさせことができる。
【0015】
また、熨斗紙の下面両側部にその搬送途中で液状糊を噴射して塗布する噴射ノズルの先端を、その熨斗紙の貼着作動休止時に覆って湿潤状態を維持する一方、貼着作動時に側方に待避移動する蓋手段を設けることで、噴射ノズル先端で糊が固化して目詰まりを生じてしまうことを防止することができるようになる。
【0016】
また、下方から押し上げられてくる被貼着物の側面に倣わせて熨斗紙の両側部を折り込んで密着させる側面折り込み手段と、側面折り込み手段の上方で該熨斗紙の両側端を該被貼着物の下面に倣わせて折り込む下面折り込み手段とを設けることで、被貼着物の周面に対して熨斗紙の両側端部を側面迄胴巻きして貼着する形態と、下面迄胴巻きして貼着する形態との双方に対応させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る熨斗紙貼着装置の好適な一実施の形態例を、添附図面を参照して詳細に説明する。 図1〜図9は本発明に係る熨斗紙貼着装置を示すものであり、図1は装置内部を移動する被貼着体の箱状物とこれに胴巻きする熨斗紙との流れを概念的に説明する図であり、図2は熨斗紙貼着装置の概略平面図、図3は図2に示す装置の概略正面図、図4は図3の左側面図、図5は内部構造を示す正面図、図6は図5の左側面図である。図7(a)〜(c)は熨斗紙の貼着機構部によって熨斗紙が胴巻き貼着されていく状態を順次に示す図であり、図8(a),(b)はストッカー部から貼着機構部への熨斗紙の供給状態を概略的に示す平面図と側面図、図9は熨斗紙に糊を塗布する糊塗布手段の作動状態を順次に示す図である。
【0018】
図1〜図4に示すように、熨斗紙貼着装置2は、熨斗紙4の貼着対象である箱状の被貼着物6を搬送する搬送コンベア8と、この搬送コンベア8から供給される被貼着体6の上面に熨斗紙を貼着する熨斗紙貼着手段10と、当該熨斗紙貼着手段10に熨斗紙4を側方から供給する熨斗紙供給手段11とを備えてなり、搬送コンベア8と熨斗紙供給手段11とは平面上で互いに直交する方向に指向されて配置されている。
【0019】
上記熨斗紙貼着手段10は、上記搬送コンベア8から供給される被貼着物6を上方に押し上げるエレベータ12と、このエレベータ12の昇降路14の上方部に設けられて、上昇移動されてくる被貼着物6の通過に伴わせてその上面に熨斗紙4を胴巻き状態にして貼着していく貼着機構部16と、この貼着機構部16の上方に設けられて、熨斗紙4が胴巻きされた被貼着物6を保持するスタッカー部18とからなっている。また、このスタッカー部18の上部にはこれに保持した被貼着物6を1つずつ順次に搬出コンベア20上に案内するためのシューター22が傾斜形成されて設けられている。
【0020】
また、上記熨斗紙供給手段11は、上記貼着機構部16の直下に搬送端を臨まされて上記搬出コンベアとは反対側に延設された搬送ガイド24と、この搬送ガイド24の延設端に設けられて、ストッカー部26に積層収納された熨斗紙4を1枚ずつ繰り出して搬送ガイド24上の所定位置に供給する給紙機構部28と、その搬送ガイド24上の所定位置に給紙された熨斗紙4に、その搬送方向の後端縁両側部に当接して搬送ガイド24の搬送端側に向けて押送する押送機構部30と、その搬送ガイド24の搬送端側に押送されてきた熨斗紙4の搬送方向両側部を吸着して張設状態で上記貼着機構部16の直下に供給する吸着搬送機構部32とから構成されている。
【0021】
そして、図5,図6に示すように、上記熨斗紙貼着手段10と熨斗紙供給手段11とは単一の機枠34に組み付けられており、駆動源のモータ38を同一にして共有し、同期駆動される様になっている。即ち、上記機枠34は横長の直方体状を呈して内部にモータ38とこれに付随する駆動機構40とを収納する駆動機構収納部34aと、この駆動機構収納部34aの一側方の上部に上方に延びて設けられ、内部に貼着機構部16とスタッカー部18とを収納する縦長の直方体状を呈した熨斗紙貼着手段収納部34bとを有している。
【0022】
駆動機構収納部34a内には、上記モータ38によって回転駆動される円筒カム401が設けられており、この円筒カム401はエレベータ12の駆動用カム、及び押送機構部30と吸着搬送機構部32との駆動用カムとが並設一体化形成されている。
【0023】
エレベータ駆動用カムの外周面には、一端を回転中芯として往復揺動する第1揺動アーム402の中間部が力点として下方から摺接し、この第1揺動アーム402の作用点となる他端には連接棒403の下端が繋がれている。そして、この連接棒403の上端はその上方に配設された第2揺動アーム404の中間部に繋がれている。この第2揺動アーム404は一端が円筒カム401の回転軸心と同軸に軸支されて支点となっており、他端は熨斗紙貼着手段収納部34aの下方に延びていて、機枠34に固定係止された2本のコイルスプリング405,406が中間部に連結されて吊り下げられた状態で常時上方に向けて回動するように付勢されている。また、第1揺動アーム402は連接棒403を介して上方に付勢されてエレベータ駆動用カムに常時摺接されるようになっている。そして、第2揺動アーム404の揺動端となる他端には連接棒406が連結され、この連接棒406はエレベータ12を構成する昇降ブロック121に連結されている。
【0024】
上記昇降ブロック121は、機枠34に鉛直に固定支持されたリニアガイドレール122に沿って摺動自在に係合されて昇降可能になっており、第2揺動アーム404の上下への往復揺動に伴って所定のストロークで昇降駆動される。そして、その昇降ブロック121には上方に延びる支持板123が設けられいて、その上端には昇降テーブル124が取り付けられており、この昇降テーブル124は上記所定ストローク長に亘って鉛直に形成された昇降路14内を往復上下動するようになっている。
【0025】
また、上記昇降テーブル124の下降端位置の側方には搬送コンベア8が設けられていて、この搬送コンベア8の搬送端と昇降テーブル124の下降端位置とを繋いで被貼着物6の移載コンベア125が設けられている。この移載コンベア125は搬送方向の両側部に一対のエンドレスベルトが配されて中央部が開放された形態をなす。その搬送終端は昇降テーブル124の下降端位置まで延び、昇降テーブル124を挟むように配設されていて、その搬送終端のベルト面の高さは下降端位置の昇降テーブル124の上面よりも若干高くなっている。また、この移載コンベア125は昇降テーブル124の往復上下動に同期して間欠駆動されるモータ126によって作動されるようになっており、昇降テーブル124が下降端位置にある時に被貼着体6をその終端まで移送して、昇降テーブル124の上昇によって被貼着体6が当該昇降テーブル124上に移載されるようになっている。
【0026】
一方、上記昇降テーブル124が往復移動する昇降路14の途中には、被貼着物6の上面に熨斗紙4を胴巻き状に貼着する貼着機構部16が設けられるとともに、この貼着機構部16の側方には、当該貼着機構部16の直下に熨斗紙4を張設状態にして供給する熨斗紙供給手段11が機枠34の駆動機構収納部34aの上部と側部とに支持されて設けられている。
【0027】
上記熨斗紙供給手段11は、貼着機構部16の直下に搬送端を臨まされて側方に延設された熨斗紙4の搬送ガイド24と、この搬送ガイド24の延設端に設けられてストッカー部26に積層収納された熨斗紙4を1枚ずつ繰り出して搬送ガイド24上の所定位置に供給する給紙機構部 と、搬送ガイド24上の所定位置に給紙された熨斗紙4に対してその搬送方向の後端縁両側部に当接して搬送ガイド24の搬送端側に向けて当該熨斗紙4を押送する押送機構部 と、搬送ガイド24の搬送端側に押送されてきた熨斗紙4の搬送方向両側部を吸着して張設状態で貼着機構部16の直下に供給する吸着搬送機構部 とから構成されている。
【0028】
即ち、機枠34の駆動機構収納部34a上には、熨斗紙供給手段11の押送機構部30及び吸着搬送機構部32とを往復運動させるための駆動部を構成するリニアガイドレール302が固定され、このリニアガイドレール302上にはこれに往復摺動移動自在に係合するスライダー304が設けられている。そして、このスライダー304にはその側面に上下に延びる摺動溝306が形成されていて、この摺動溝306には下方から延設された揺動アーム308の揺動端に設けられた摺動子310が上下に摺動自在に係合されている。揺動アーム308は下端部を支点として回動自在に軸支されており、その略中央部には当該部位を力点として連結杆312の一端が結合されている。そして、この連結竿312の他端は円筒カム401に設けられている押送機構部30と吸着搬送機構部32との駆動用カム(図示せず)に摺接して揺動する揺動レバー314の揺動端に結合されていて、円筒カム401の回転に伴って揺動レバー314と揺動アーム308とが揺動してスライダー304が往復直線移動するようになっている。
【0029】
また、スライダー304の上部にはその往復移動方向に沿って、その搬送方向前方に向けて延びる支持バー316が一体的に固定されており、この支持バー316の搬送方向前端部に吸着搬送機構部32の吸着手段322が取り付けられる一方、搬送方向後端部には押送機構部30をなす下方に向けて出没自在なプッシャー324が取り付けられていて、押送機構部30と吸着搬送機構部32とで当該支持バー316を共有している。
【0030】
支持バー316の下方には、図7にも示すように、ストッカー部26から繰り出される熨斗紙4を受けて貼着機構部16の側方部までガイドする搬送ガイド24が設けられている。この搬送ガイド24は上面が滑面に形成されたステンレス鋼板等でなり、支持ステー等(図示せず)を介して機枠34に固定されている。また、この搬送ガイド24はスライダー304及び支持バー316の往復移動範囲を超えてその搬送方向に沿って延びている。
【0031】
ここで、上記ストッカー部26から熨斗紙4を搬送ガイド24上に繰り出して供給する給紙機構28には、コピー機や印刷機等で一般的に用いられているローラー式のものが採用されており、その構造の説明は省略するが給紙機構28によってストッカー部26から繰り出された熨斗紙4は搬送ガイド24上の所定の繰り出し行程終端の位置に供給され、この繰り出し行程の終端は押送行程の始端位置となっている。
【0032】
上記支持バー316の搬送方向後端部に取り付けられているプッシャー324には、当該実施形態では起倒レバーが使用されている。この起倒レバーはモータ等のアクチュエータによって縦方向と横方向とに起倒作動されることで下方に向けて出没自在となっており、支持バー316が搬送終端側(貼着機構部16側)に向けて移動する往路では下方に向けて縦に突出されて熨斗紙4の後端縁に当接する一方、搬送始端側(給紙機構部28側)に向けて移動する復路では上方に向けて横に伏せられて待避するようになっている。また、スライダー304、支持バー316、プッシャー324は搬送ガイド24の両側部に一対で設けられていて、スライダー304同士と支持バー316同士とにはクロスバー(図示せず)が掛け渡されて一体化されている。
【0033】
即ち、押送機構部30は搬送ガイド24上の押送行程始端位置にある熨斗紙4に対して、その搬送方向の後端縁両側部にプッシャー324が当接し、スライダー304及び支持バー316の前方への移動に伴って熨斗紙4を、その往復移動ストローク長分だけ貼着機構部16側に向けて押送して、当該押送行程の終端である吸着搬送行程の始端位置に位置させるようになっており、プッシャー324で吸着搬送行程の始端位置まで熨斗紙4を押送していくことで、給紙機構28によってストッカー部26から搬送ガイド24上に繰り出して供給した熨斗紙4の左右両側部に搬送方向への位置ズレが生じていても、そのズレを矯正して吸着搬送行程の始端位置に供給することができる。
【0034】
一方、支持バー316の搬送方向前端部側に取り付けられている吸着手段322は、下面に多数の吸引口が開口形成された吸着バー330と、この吸着バー330に一端が接続されるとともに他端が機枠34に取り付けられた吸引ポンプ36に接続された可撓性チューブ332とからなる。可撓性チューブ332は途中から2つに分岐されて一対の各支持バー316に取り付けられた吸着バー330に搬送方向の後方側から接続されている。また、吸着バー330は支持バー316の貼着搬送機構部32側端に固定されて当該支持バー316の往復移動方向に延びて突出して設けられている。
【0035】
そして、支持バー316が給紙機構28側に後退移動されていると、その後端側の押送機構部30は押送行程開始位置に臨んでいて、かつ前端側の吸着バー330は吸着搬送行程開始位置に臨んでいる。また、支持バー316が貼着機構部16側に前進移動されていると、その後端側の押送機構部30は吸着搬送行程開始位置に臨んでいて、かつ吸着バー316は貼着機構部16の直下に位置して一対の吸着バー330間に熨斗紙4を張設して保持するようになっている。
【0036】
上記吸着搬送行程の搬送経路には、前記吸着搬送機構32に吸着されて前記貼着機構部16の直下に搬送供給されてくる熨斗紙4の下面両側部に対し、その搬送途中で液状糊を噴射して塗布する糊塗布手段40が設けられている。そして、この糊塗布手段40には、図9に示すように、熨斗紙4の貼着作動が休止される時に、その噴射ノズル42の先端を覆って湿潤状態を維持する一方、貼着作動時には側方に待避移動される蓋手段44が設けられている。糊塗布手段40は機枠34に取り付けられたクロスバー342に取り付けられており、吸着バー330間に張設された熨斗紙4が噴射ノズル42の上方を貼着機構部16の直下に向けて横切る際に、その動作に同期して噴射作動されて熨斗紙4の裏面両側部に向けて上方に所定量の液状糊を塗布するようになっている。また、蓋手段44は噴射ノズル42の側方に設けられている。
【0037】
この蓋手段44は上記クロスバー342に取り付けられて噴射ノズル42の軸方向に沿って上下に伸縮作動する油圧式アクチュエータ442と、このアクチュエータ442の作動ロッド444の先端にベースプレート446を介して取り付けられたモータ448と、このモータ448の回転軸450に取り付けられた旋回アーム452と、この旋回アーム452の先端に下方を向いて取り付けられた蓋部材454と、上記クロスバー342に取り付けられた皿部材456とからなる。蓋部材454は噴射ノズル42が作動されない時には図9(a)に示すように、噴射ノズル42の先端に係合してこれを覆い、噴射ノズル42が作動される時には、図9(d)に示すように皿部材456上に待避されるようになっている。即ち、噴射ノズル42上から皿部材456上に待避される際には、先ず図9(b)に示すように油圧式アクチュエータ442が伸長作動されて蓋部材454がモータ448及び旋回アーム452ごと上方にリフトされ、次に図9(c)に示すようにモータ448が作動されて旋回アーム452が180度は回転されて、蓋部材454が皿部材456の上方に移動された後、図9(d)に示すように油圧式アクチュエータ442が短縮作動されて蓋部材454が皿部材456内に収納される様になっている。皿部材456内には水が貯められており、蓋部材454に形成された噴射ノズル42先端との係合孔454aに水が保持される様になっている。そして、噴射ノズル42の先端を蓋部材454で覆う時には、上記と逆に図9(d)から(c)→(b)→(a)の状態へと順次に作動されていって、蓋部材454の係合孔454aが噴射ノズル42の先端に係合されてこれを覆い、係合孔454a内に保持された水分で噴射ノズル42先端を湿潤させて糊が固化するのを防止する様になっている。
【0038】
一方、貼着機構部16は、図8に示すように、エレベータ12の昇降テーブル124によって昇降路14内を下方から押し上げられてくる被貼着物6の上昇移動に伴わせて、当該被貼着物6の上面及び側面、乃至下面に倣わせて、当該貼着機構部16の直下に張設待機されている熨斗紙4を胴巻きさせていく様になっている。
【0039】
この貼着機構部16は、被貼着物6側面に沿って立ち上がる一対の対向した支持板162と、この支持板162に沿って下方に延びる側面折り込み手段164を有し、この側面折り込み手段164で熨斗紙4の両側部を被貼着物6の側面に倣わせて折り込んで密着させる様になっている。側面折り込み手段164は下端部にローラ166が取り付けられて外方に向けて揺動可能に支持された一対のアーム部材168からなり、両アーム部材168はその先端のローラ166同士が相互に近接するように付勢スプリング(図示せず)で付勢されており、ローラ166,166同士の離間距離は被貼着物6幅寸法よりも若干狭く設定されている。従って、図8(a),(b)に示すように、エレベータの昇降テーブル124上に載置された被貼着物6が上方に移動されてくると、貼着機構部16の直下に張設されている熨斗紙4に被貼着物6の上面が当接するとともに、両ローラ166,166が拡開しながら被貼着物6の側面に熨斗紙4の両側部を折り込みながら密着させていくようになっている。
【0040】
また、上記側面折り込み手段164の上方には、熨斗紙4の両側端部を更に被貼着物6の下面に倣わせて折り込む一対の下面折り込み手段170が設けられている。この下面折り込み手段170は、水平方向に向けて往復駆動される作動ロッド174を有したアクチュエータ172と、このアクチュエータ172の作動ロッド174の先端に取り付けられたブラケット176と、このブラケット176の上側部にピン結合されて揺動自在に設けられるとともに下端部が内方に屈曲形成されたL字形アーム178と、このL字型アーム178の上端を外方に引っ張って下端部を内方に向けて回動させるように付勢するスプリング180とを有している。また、さらに上記L字型アーム178の下端部は2枚の折り曲げ片182が内方に向けて平行に折り曲げられて2股状に形成されていて、当該折り曲げ片182間に被貼着物6の下面に当接する当接ピース184が設けられている。そして、この当接ピース184もL字形に屈曲形成されていて、その角部は円弧面に形成されている。そして、上記折り曲げ片182の突出端側にその円弧状の角部がピンを介して回動自在に設けられていて、その当接ピース184の一側面が被貼着物6の下面に当接して他側面が内方に向いて対向するように取り付けられている。そして、さらに当接ピース184の他側面の下部には付勢スプリング186が設けられていて、一側面の外側部が上方に向けて回動するように付勢されている。なお、その一側面の外側部の回動量はストッパー部(図示せず)によって所定値に規制されている。
【0041】
また、貼着機構部16の上記支持板162には、上方に押し上げられてくる被貼着物6を係止して保持するストッパー片188が設けられている。このストッパー片188は縦断面がL字形をした板ばね材で形成され、その下端部が櫛歯状に形成されて支持板162に形成された係合孔(図示省略)に係合されて取り付けられている。このストッパー片188はその上部側L字状の角部が一対の支持板162の内方に突出し、当該上部側の屈曲した端部は支持板162に形成された通孔(図示省略)から外方に突出している。そして、被貼着物6が下方から上昇移動してくると、当該ストッパー片188は外方に弾性変形してその被貼着物6の上方への通過を許容し、その通過後に内方に弾性復帰して被貼着物6の下面に係合し、当該被貼着物6を保持するようになっている。即ち、当該ストッパー片188よりも上方部がスタッカー部18とされている。
【0042】
そして、上記貼着機構部16の下面折り込み手段170は、そのL字形アーム178における下端部の折り曲げ片182の上面が、上記ストッパー片188の上部側の角部の高さに一致されて設けられている。即ち、被貼着物6が当該ストッパー片188に係止された状態で下面折り込み手段170のアクチュエータ172が作動されて作動ロッド174が内方に向けて伸長され、L字形アーム176の下端部の折り曲げ片182に回動自在に支持された当接ピース184が被貼着物6の下面に当接されて、熨斗紙4の両側端部を被貼着物6の下面に倣わせて折り曲げながら圧接させて密着させ、そこに塗布されている液状糊で貼着する様になっている。この際、作動ロッド174が伸長されるとL字型アーム178と当接ピース184とが共に回動しつつ、当該当接ピース184が被貼着物6の下面にソフトに密着するようになっている。
【0043】
そして、下方から順次に被貼着物6が上昇されてくるのに同期されて、逐次に貼着機構部16の直下に熨斗紙4張設状態で供給され、当該熨斗紙4が被貼着物6に胴巻きされつつスタッカー部18に貯められていく。また、所定数の被貼着物6がスタッカー部18に蓄えられると、上端部のものから逐次にシュータ22を介して搬出コンベア20上に移載されて行く。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る熨斗紙貼着装置を示すもので、装置内部を移動する被貼着体の箱状物と熨斗紙との流れを概念的に説明する概略説明図である。
【図2】本発明に係る熨斗紙貼着装置を示す平面図である。
【図3】図2に示す装置の正面図である。
【図4】図3の左側面図である。
【図5】内部構造を示す正面図、
【図6】図5の左側面図である。
【図7】(a)〜(c)は熨斗紙の貼着機構部によって熨斗紙が胴巻き貼着されていく状態を順次に示す図であり、
【図8】(a),(b)はストッカー部から貼着機構部への熨斗紙の供給状態を概略的に示す平面図と側面図である。
【図9】熨斗紙に糊を塗布する糊塗布手段の作動状態を順次に示す図である。
【符号の説明】
【0045】
2 熨斗紙貼着装置
4 熨斗紙
6 被貼着物
8 搬送コンベア
10 熨斗紙貼着手段
11 熨斗紙供給手段
12 エレベータ
14 昇降路
16 貼着機構部
164 側面折り込み手段
170 下面折り込み手段
18 スタッカー部
20 搬出コンベア
24 搬送ガイド
26 ストッカー部
28 給紙機構部
30 押送機構部
32 吸着搬送機構部
316 支持バー
324 プッシャー
330 吸着バー
40 糊塗布手段
42 噴射ノズル
44 蓋手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熨斗紙の貼着対象である箱状の被貼着物を搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアから供給される被貼着物をエレベータで上方に押し上げながら貼着機構部を通過させて該被貼着物の上面に熨斗紙を胴巻き状態に貼着し、上部のスタッカー部にて保持する熨斗紙貼着手段と、該熨斗紙貼着手段の貼着機構部の直下に、熨斗紙を張設状態に保持して側方から供給する熨斗紙供給手段とを備えた熨斗紙貼着装置であって、
該熨斗紙供給手段が、
該貼着機構部の直下に搬送端を臨まされて側方に延設された搬送ガイドと、
該搬送ガイドの延設端に設けられて、ストッカー部に積層収納された熨斗紙を1枚ずつ繰り出して該搬送ガイド上の所定位置に供給する給紙機構部と、
該搬送ガイド上の所定位置に給紙された熨斗紙に、その搬送方向の後端縁両側部に当接して該搬送ガイドの搬送端側に向けて押送する押送機構部と、
該搬送ガイドの搬送端側に押送されてきた熨斗紙の搬送方向両側部を吸着して張設状態で該貼着機構部の直下に供給する吸着搬送機構部と、
から構成されていることを特徴とする熨斗紙貼着装置。
【請求項2】
前記押送機構部と吸着搬送機構部とが、前記搬送ガイドに沿ってその上方を往復移動される支持バーを共有し、
該押送機構部は該支持バーの前記給紙機構部側端に下方に向けて出没自在に設けられ、搬送端側への往路で下方に突出して熨斗紙の後端縁に当接する一方、給紙機構部側への復路で上方に待避するプッシャーを有し、
該吸着搬送機構部は該支持バーの前記貼着機構部側端に固定されて往復移動方向に突出して延びる吸着バーを有していることを特徴とする請求項1に記載の熨斗紙貼着装置。
【請求項3】
前記吸着搬送機構に吸着されて前記貼着機構部の直下に搬送供給される熨斗紙の下面両側部に、その搬送途中で液状糊を噴射して塗布する糊塗布手段が設けられ、該糊塗布手段には熨斗紙の貼着作動休止時にその噴射ノズルの先端を覆って湿潤状態を維持する一方、貼着作動時に側方に待避移動する蓋手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熨斗紙貼着装置。
【請求項4】
前記貼着機構部は、下方から押し上げられてくる被貼着物の側面に倣わせて前記熨斗紙の両側部を折り込んで密着させる側面折り込み手段を有すると共に、該側面折り込み手段の上方で該熨斗紙の両側端を該被貼着物の下面に倣わせて折り込む下面折り込み手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熨斗紙貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−118974(P2007−118974A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311322(P2005−311322)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】