説明

熱アシスト記録(TAR)ディスクドライブ用のヘッド構造

【課題】熱アシスト記録(TAR)ディスクドライブ用のヘッド構造を提供する。
【解決手段】熱アシスト記録(TAR)ヘッド構造は、前面に垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)、VCSELに直接形成されたTARヘッド、および後面に高い反射性能を有する第3の鏡を備えた半導体基板を有している。半導体基板はVCSELの拡張空洞として機能する。TARヘッドは、従来のスライダに設けられたTARヘッドの加工で提案された方法と同様にVCSELの外面に加工される。TARヘッドは、従来の読み出しヘッドおよび書き込みヘッド、および格子カプラと近接場トランスデューサ(NFT)を備えた光導波管を含んでいる。レーザー放射は、VCSELの部分反射出力鏡から前面を通って格子カプラへ出力され、格子カプラが入射したレーザー放射を90度回転させて導波管へ誘導し、そこからNFTへ誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ディスク上の磁気記録層が高温である間にデータが書き込まれる熱アシスト記録(TAR)ディスクドライブに関し、より具体的にはレーザー、光導波管、ヘッドキャリアと一体化された磁気書き込みヘッドおよび磁気抵抗読み出しヘッドを含むTARヘッドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱アシスト磁気記録(HAMR)とも呼ばれる熱アシスト記録(TAR)が提案されている。TARディスクドライブにおいて、近接場トランスデューサ(NFT)を備えた光導波管が、レーザーからの放射を導いて、ディスク上の磁気記録層の局所領域を加熱する。放射は、書き込みヘッドからの磁場により、書き込みが生起するのに充分な程度に保磁力を低下させるために磁気材料をそのキュリー温度付近まで、またはより高く、局所的に加熱する。記録データは、従来の磁気抵抗読み出しヘッドにより読み出される。光導波管、書き込みヘッドおよび読み出しヘッドが、回転しているディスクの表面上方の空気の薄い膜にスライダを乗せることができるエアベアリング面(ABS)を有するスライダ等のヘッドキャリアの後続表面(トレーリング面)上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第20080002298A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20090310459A1号明細書
【特許文献3】米国特許第6,778,582B1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20090310459A1号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20090258186A1号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Van Laereら「Compact Focusing Grating Couplers for Silicon−on−Insulator Integrated Circuits」,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS、VOL.19,NO.23,DECEMBER 1,2007,pp.1919−1921
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TARにおける課題の一つは、レーザー光が光導波管に誘導されるようにレーザーをヘッドキャリアと一体化させることである。垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)が、その高い信頼性および低コストのために提案されている。VCSELを取り付けるための各種の手段を備えたTARスライダが、特許文献1および特許文献2に記述されている。しかし、典型的なVCSELは、現在提案されているTARディスクドライブ用には充分な出力電力を有していない。
【0006】
VCSEL半導体基板の裏面に第3の鏡を備えた拡張空洞VCSELが提案されている。半導体基板の厚さがVCSELの拡張空洞を形成することにより、外部キャビティおよび第3の鏡を備えていない典型的なVCSELで実現できるよりも高いシングルモード出力が可能になる。拡張空洞VCSELは特許文献3に記述されている。
【0007】
ヘッドキャリアと一体化された拡張空洞VCSELを備えたTARヘッド構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヘッドキャリアが拡張空洞VCSELを含むTARヘッドに関し、TARヘッドはVCSELの外面に加工される。ヘッドキャリアは、前面と後面、および前面と後面に実質的に垂直なABSとして機能する表面を有する半導体基板である。VCSELは半導体基板の前面に形成されていて、半導体基板が拡張空洞として機能するように高い反射性能を有する第3の鏡が半導体基板の後面に形成されている。レーザー放射は、前面を通って部分反射出力鏡から出力される。TARヘッドは、従来のスライダに設けられたTARヘッドの加工で提案された方法と同様にVCSELの外面に加工される。TARヘッドは、半導体基板のABSと実質的に同一平面であるABSを有している。TARヘッドは、従来の磁気抵抗読み出しヘッド、書き込み極および導電コイルを有する書き込みヘッド、格子カプラおよびABSに配置されたNFTを備えた光導波管、および通常はアルミナであって各種のTARヘッド要素を囲んで電気的に絶縁する従来の絶縁層、を含んでいる。TARヘッドをVCSELに直接加工する間、読み出しヘッドおよび書き込みヘッドのコイルまで電気接続を提供するのと同じ方法でTARヘッドの外面上のパッドからVCSELへの電気接続を提供するように絶縁層にビア孔が形成されている。拡張空洞VCSELからのレーザー放射は、TARヘッドの放射透過性絶縁層を通って格子カプラへ出力され、入射するレーザー放射を90度回転させて導波管へ誘導し、そこからABSにおけるNFTへ誘導される。
【0009】
本発明の特性および利点をより完全に理解できるように、以下の詳細を添付図面と合わせて参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】先行技術の拡張空洞垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)の断面図である。
【図2】ディスクの一部および先行技術による熱アシスト記録(TAR)ヘッドに対応したエアベアリングスライダに沿った断面図である。
【図3】ヘッド構造のディスクに対向する面の近くに保持された垂直磁気記録ディスクの一部の断面図を示す、本発明によるTARヘッド構造の断面図である。
【図4】VCSELの外面に垂直な方向から見た場合の、本発明による格子カプラおよびTARヘッド構造の導波管部分である。
【図5】本発明の個々のTARヘッド構造にウェハを切断する前の、各々がパターン形成されたVCSELおよびTARヘッドの概ね矩形の領域を有する半導体ウェハの一部の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、先行技術による、且つ特許文献3に記述されているような、モノリシックな拡張空洞VCSELの断面図である。拡張空洞VCSELは、前面10a、後面10b、および厚さLを有する半導体基板10を備えている。有効領域1を有するVCSELが前面10aに形成されていて、部分反射中間ブラッグ反射器(部分反射中間鏡)14と底部ブラッグ鏡18の間に配置されたゲイン層16、および開口部22aを画定する酸化物層22を含んでいる。部分反射出力鏡28が半導体基板10の後面10bに形成されていて、第3の鏡として機能する。レーザー放射は、第3の鏡28を通って発光される。厚さLを有する半導体基板10は、VCSELの拡張空洞として機能する。拡張空洞により、拡張空洞と第3の鏡を備えていない典型的なVCSELが実現できるよりも高いシングルモードの出力が可能になる。拡張空洞がGaAsで構成されている場合、拡張空洞VCSELは約920nmを超える波長のレーザー放射を生成するために設計されていてもよい。例えば、波長は920nm〜1000nmの間であってもよい。より短い波長ではGaAs内の光学損失により異なる基板の使用が求められる。図1に示す拡張空洞VCSELは、公知の半導体リソグラフィおよび加工方法を用いて各種の層を構成する材料が堆積およびパターン形成された半導体ウェハから切り出された単一の素子である。従って、単一ウェハ上に多数の素子が形成される。図1に示す拡張空洞VCSEL用の材料、寸法、および加工方法が特許文献3に詳述されている。
【0012】
図2は、TARディスク100および先行技術で提案されたようにTARヘッドを支持するヘッドキャリアとして機能するエアベアリングスライダ110の一部に沿った断面図である。図2は、極めて小さい特徴を示すのが困難なため原寸大では描画していない。TARディスク100は、ディスク基板118、離散的な磁気島130および非磁性領域132を有するパターン形成された媒体ディスクとして描かれている。島130は、非磁性領域132により互いに間隔が空けられていて、ディスク100を平坦化する高分子材料で形成されている。島130は垂直に磁化されている結果、記録されたビットが島130の記録層に実質的に垂直(面外方向)に格納される。島130は、パターン形成ビットとして機能する離散的な磁気島である。島130および非磁性領域132の下側にヒートシンク層121が配置されていてもよい。TARディスク100はまた、記録層がパターン形成されずに連続的な層である従来の連続媒体磁気記録ディスクであってもよい。
【0013】
また、ディスクに対向するエアベアリング面(ABS)を有するスライダ110上に読み出しヘッド60および書き込みヘッド50(書き込み極52と戻り極54を接続するヨークを有する)を示す。スライダ110のABSは、ディスク100に対向する面であって、通常は実際のスライダに存在する薄い保護膜を除いて示されている。ABSとは、薄い保護膜で覆われたヘッドキャリアの表面を意味し、保護膜が存在しない場合はヘッドキャリアの実際の外面、または保護膜の外面である。書き込み電流が書き込みヘッド50のコイル56を通って書き込み極52において磁場(矢印42)を生成する。ディスク100が矢印123の方向に書き込みヘッド50を越えて移動するにつれてこの磁場が書き込み極52の下の島130上の記録層を磁化する。記録されたビットの検出(読み出し)は、ABSにおいて検知端60aを有する読み出しヘッド60により行なわれる。読み出しヘッドは通常、磁気抵抗(MR)読み出しヘッド、例えばセンス電流がヘッドを構成する層を通って垂直に通過するトンネル効果MR(TMR)読み出しヘッドである。一対の磁気透過性シールドS1、S2が読み出しヘッド60の両側に配置されていて、読み出し中であるビット以外のビットからの磁束が読み出しヘッド60に到達するのを防止する。書き込みコイル56は、書き込み極52を戻り極54に接続するヨークの回りに巻かれた従来の平坦な「パンケーキ」状コイルとして示されていて、電流方向は「X」印を付けられたコイル断面により紙面に入り、塗りつぶされた丸印が付けられたコイル断面により紙面から出るように示されている。しかし、コイルはまた、書き込み極52を直接支持するヨークの部分に巻き付けられた従来の螺旋コイルであってもよい。TARヘッドは、絶縁層113を通って読み出しヘッド60および書き込みヘッド50のコイル56に接続する導電パッド(図示せず)を有する外面115を有している。
【0014】
スライダ110はまた、レーザー70、鏡71、光チャネル(導波管)72、およびABSに出力端を有する近接場トランスデューサ(NFT)74を支持する。光導波管72は図2において、書き込みヘッド50のヨークを通って延びて、書き込み極52と戻り極54の間に配置された状態で示されている。しかし、光導波管72は、シールドS2と戻り極54の間に、あるいは書き込み極52とスライダ110の外面の間等、他の位置にあってもよい。導波管72は、Taまたはレーザー波長の放射に対して透過的な別の高屈折率誘電体材料等のコア材料で形成されて、コア材料よりも屈折率が低い誘電クラッド層73(例:SiOまたはAl)に囲まれている。図2のスライダ110では、レーザー70からのレーザー放射を導波管72に誘導する支持鏡71が描かれているが、例えば特許文献4に記述されているように導波管に結合された格子カプラの利用も知られている。
【0015】
NFT74はスライダ110のABSにおいて導波管72の出力端に配置されている。レーザー放射がNFT74に当たって、ディスクがスライダ110を通過して方向123に回転する際に島130に対して集中した近接場放射を生成する。本明細書で用いる「近接場」トランスデューサは、光の経路がサブ波長特徴を有する要素へ向かう、から出る、内部を通る、または近傍にある「近接場光学機器」を指し、光は第1の要素からサブ波長距離に位置する第2の要素に結合される。NFTは通常、主な頂点または先端として成形された表面特徴に表面電荷の運動を集中させるように成形された低損失金属(例:Au、Ag、AlまたはCu)を使用する。発振する先端の電荷が強い近接場パターンを生成する。時折、金属構造は、表面プラスモンまたは局所プラスモンと呼ばれる共鳴電荷移動を生起させて更に強度を増すことができる。次いで発振する先端の電荷の電磁場により近接場内に光学出力が生起されてディスク上のデータ島へ誘導される。NFT74は、レーザー放射の波長より小さい特徴を有し、NFT74と島の間隔はレーザー放射の波長より短い。
【0016】
書き込み電流がコイル56内を通っている場合、書き込み極52は磁束をデータ島130に誘導する。矢印付破線117は、戻り極54へ戻る磁束帰還経路を示す。NFT74は、TARディスク100がスライダ110に対して方向123に移動するにつれて波形矢印82で示すように近接場放射をデータ島130へ誘導する。NFT74内の電荷振動がデータ島130を加熱する。これによりデータ島の磁気記録材料の温度がそのキュリー温度付近まで、またはより高く上がるため、材料の保磁力が低下して書き込み極52からの書き込み磁場によりデータ島の磁化を切り替えることが可能になる。
【0017】
読み出しヘッド60、シールドS1、S2、戻り極54、書き込み極52、コイル56および導波管72は公知の従来方式の薄膜堆積およびパターン形成技術を用いてスライダ110の後続表面112に加工される。加工処理中の様々な時点で、通常はアルミナである絶縁材料が堆積されて、各種のTARヘッド要素を分離し、絶縁層113に示すように凹部領域を補充する。絶縁材料は一般に、TARヘッド要素を囲むとともにABSの一部を提供する。スライダ110は通常、アルミナ/炭化チタン(Al/TiC)複合材料で形成されている。後続表面112は、多数のTARヘッドがパターン形成されたウェハの表面である。ウェハは次いで、個々のスライダにダイシングされ、各スライダの長さ(後続表面112に垂直な方向)が概ねウェハの厚さに対応している。本出願と同じ譲受人に譲渡されている特許文献5に、薄膜導波管およびNFTを有するTARヘッドを加工するウェハレベルの処理を記述している。
【0018】
本発明は、TARヘッド構造に関し、ヘッドキャリアは拡張空洞VCSELを含み、TARヘッドはVCSELの外面に加工されている。本発明の実施形態を図3の断面図に示すが原寸大ではない。ヘッドキャリアは、前面210a、後面210b、および厚さL1を有する半導体基板210である。基板は、前面210aおよび後面210bに実質的に垂直なABSを有している。VCSELは、前面210aに形成されていて、外面218aを有している。VCSELは、部分反射中間ブラッグ反射器または鏡214と出力ブラッグ鏡218の間に配置されたゲイン層216を含んでいる。開口222aを画定する酸化物層222は、ゲイン層216のいずれかの側で中間鏡214と出力ブラッグ鏡218の間に、または出力鏡218上にあってもよい。ヘッドキャリアは、第3の鏡、すなわち後面210b上の反射器(鏡)228が極めて高い反射率を有し、且つ出力鏡218が鏡218(図1)よりも反射率が低く、その結果レーザー放射が出力鏡218を通って出力されることを除いて図1の先行技術による拡張空洞VCSELに類似している。また、基板210と同じ材料で形成されていてもよい環状絶縁トレンチ223が鏡218を領域210cから分離する。絶縁トレンチ223は、開口部222a内に電流を強制的に流れるようにする。電極層224aが外面218aにパターン形成されていて、領域210cとの電気的接触を与える。電極層224bが鏡218にパターン形成されていて鏡218との電気的接触を与える。電極224a、224bにより電流が開口部222a内を流れることができるようになる。厚さL1を有する半導体基板210は、VCSELの拡張空洞として機能する。半導体基板はGaAsまたはAlGaAsで形成することができ、L1は約500〜1500μmの範囲内にある。高反射率を有する第3の鏡または反射器228は金属で形成されていてよく、あるいは分散ブラッグ反射積層部(DBR)を用いてもよい。鏡228の反射率は約99%〜99.9%であってよく、スライダ前縁の限られた領域または領域全体を覆うことができる。中間のブラッグ鏡214の反射率は約50〜90%であってもよい。出力ブラッグ鏡218の反射率は約50〜90%であってよく、VCSELの外面である外面218aを有している。
【0019】
TARヘッドは、図2の先行技術によるTARヘッドと類似しているが、従来のスライダ110(図2)の後続表面112ではなく、電極224a、224b上でVCSELの外面218aに加工されている。TARヘッドは、TARヘッド要素を実質的に囲んでABSの一部を提供する、典型的にはアルミナの絶縁層113を含んでいる。TARヘッドを加工する前に、オプションのシード層または保護層が外面218aに堆積されていてもよい。TARヘッドを加工する間、読み出しヘッド60および書き込みヘッド50のコイル56に電気接続を与えたのと同様に、電極224a、224bの電気接続を各々外面115にある接続パッド114a、114bへ出すようにビア孔(図示せず)が絶縁層113に形成されている。
【0020】
図3に示すように、TARヘッドは半導体基板210のABSと実質的に同一平面上のABSを有している。図2のTARヘッドとの更なる差異は、導波管72に結合されていて外面218aと略平行であって放射ビーム230に垂直な格子カプラ77である。レーザー放射230は、出力鏡218から、通常は920〜1000nmの波長でレーザー放射を透過する絶縁材料113を通って格子カプラ77へ向かう。格子カプラ77は、入射するレーザー放射を90度回転させて導波管72に誘導する。図4は、外面218aに垂直な方向から見た格子カプラ77、および導波管72の先細入力端72aを示す図である。格子カプラ77は導波管72の先細端72aに結合されている。導波管72は、クラッド層73同士の間に配置されている。格子カプラは公知であり、例えば特許文献4に記述されているようにTARヘッドでの利用に提案されている。集光格子カプラおよび先細導波管に結合された格子カプラは、非特許文献1に記述されている。
【0021】
前面210aは、多数のVCSElおよびTARヘッドがパターン形成された半導体ウェハの表面である。ウェハは次いで、個々のTARヘッド構造にダイシングされる。図5は、半導体ウェハ270の一部の透視図である。ウェハ270は、略平坦な前面210aおよび後面210bを有している。VCSELを形成する材料が前面210aに堆積およびパターン形成され、TARヘッドを形成する材料がVCSELに堆積される。第3の鏡228の材料が後面210bに堆積される。VCSELおよびTARヘッドは、略平行な列290に配置された複数の略矩形領域280上にパターン形成されており、各領域280を破線291、292で囲んで示す。各領域280を、通常はウェハに加工されるTARヘッドの最後の部分である書き込みヘッドを表す輪郭線293で示す。VCSELおよびTARヘッドを形成する全ての処理ステップの後で、破線291で示す平面に沿ってウェハ270を列290に切断し、次いで列290を破線292で示す平面に沿って切断して個々のTARヘッド構造が形成される。これらの構造が破線291で示す平面に平行な平面に沿って列毎にまたは個々のスライダ毎に重ねられてABSを画定する。
【0022】
本発明について、好適な実施形態を参照しながら具体的に図示および記述してきたが、本発明の概念および範囲から逸脱することなくその形式および細部に対して各種の変更が可能であることが当業者には理解されよう。従って、開示した発明は単に説明目的であって、添付の請求項だけがその範囲を限定するものとする。
【符号の説明】
【0023】
ABS エアベアリング面
S1,S2 磁気透過性シールド
L 厚さ
1 有効領域
10 基板
10a 前面
10b 後面
14 部分反射中間ブラッグ反射器または鏡
16 ゲイン層
18 底部ブラッグ鏡
22 酸化物層
22a 開口部
28 部分反射出力鏡
42 矢印
50 書き込みヘッド
52 書き込み極
54 戻り極
56 書き込みコイル
60 読み出しヘッド
60a 検知端
70 レーザー
71 鏡
72 光導波管
73 誘電クラッド層
74 近接場トランスデューサ
77 格子カプラ
82 波形矢印
100 TARディスク
110 エアベアリングスライダ
113 絶縁層
114a 接続パッド
114b 接続パッド
115 外面
118 ディスク基板
121 ヒートシンク層
123 矢印
130 磁気島
132 非磁性領域
210 半導体基板
210a 前面
210b 後面
218 出力鏡
218a 外面
222a 開口
224a 電極層
224b 電極層
230 放射ビーム
270 ウェハ
280 略矩形領域
290 列
291 破線
292 破線
293 輪郭線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面および前記後面と略平行な前面を有する半導体基板と、
前記前面上の垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)であって、前記前面と略平行な出力面を有し、レーザー放射が前記出力面と実質的に垂直な方向に出力されるVCSELと、
前記後面上の後面鏡であって、前記後面鏡と前記VCSELとの間で前記半導体基板が前記VCSELの拡張空洞を形成する後面鏡と、
前記VCSEL出力面に接触して形成されたTARヘッドと、
を含む磁気記録ディスクドライブ用の熱アシスト記録(TAR)ヘッドであって、
前記TARヘッドが、
電気絶縁材料の層であって、前記半導体基板の後面および前面に略垂直なディスク対向面を有する絶縁層と、
前記出力面と略平行に向けられた光導波管であって、前記レーザー放射を前記出力面から前記光導波管へ誘導する格子カプラを有する光導波管と、
前記光導波管に結合されていて、前記光導波管から前記レーザー放射を受光するように前記ディスク対向面に配置されている近接場トランスデューサ(NFT)と、
前記ディスク対向面に書き込み極を有する書き込みヘッドと、
前記ディスク対向面に検知エッジを有する磁気抵抗読み出しヘッドと、
を含む熱アシスト記録ヘッド。
【請求項2】
前記半導体基板が、前記絶縁層の前記ディスク対向面と実質的に同一平面にあるディスク対向面を有する、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項3】
前記半導体基板が、GaAsおよびAlGaAsから選択される材料を含む、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項4】
前記VCSELが、
部分反射出力鏡と、
前記後面鏡と前記部分反射出力鏡との間に配置される部分反射中間鏡と、
内側に開口を有し、且つ前記部分反射中間鏡と前記部分反射出力鏡との間に配置される酸化物層と、
を含む、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項5】
前記基板に電気接続を提供する第1の電極、および前記出力鏡に電気接続を提供する第2の電極を更に含む、
請求項4に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項6】
前記TARヘッドが更に、磁気透過性材料からなる2個のシールド層を含み、前記読み出しヘッドが前記2個のシールド層の間に配置される、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項7】
前記書き込みヘッドが更に、前記書き込み極に磁気的に結合された戻り極を含む、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項8】
前記書き込みヘッドが更に、前記コイルに電流が通された際に前記書き込み極に磁束を発生させる導電コイルを含む、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項9】
前記コイルが前記書き込み極の周囲に巻かれた螺旋コイルである、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項10】
前記コイルが平坦なコイルである、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項11】
実質的に同一平面にある前記半導体基板のディスク対向面と前記絶縁層のディスク対向面とがエアベアリング面である、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッド。
【請求項12】
ディスク基板および前記ディスク基板上に垂直磁気記録層を含む垂直磁気記録ディスクと、
請求項1に記載の熱アシスト記録ヘッドであって、前記NFTと前記垂直磁気記録層との間隔が前記レーザー放射の波長より狭い状態で、前記垂直磁気記録ディスクの近傍に維持される熱アシスト記録ヘッドと、
を含む熱アシスト垂直磁気記録ディスクドライブ。
【請求項13】
前記垂直磁気記録層が離散的データ島にパターン形成される、
請求項12に記載のディスクドライブ。
【請求項14】
配列する複数の略矩形な領域を有する半導体ウェハであって、
各領域が、
略平坦な前面および略平坦な後面を有する半導体基板と、
前記前面上の垂直空洞面発光レーザー(VCSEL)と、
前記後面上の後面鏡であって、前記後面鏡と前記VCSELとの間で前記半導体基板が前記VCSELの拡張空洞を形成する後面鏡と、
前記VCSELに形成されていて、光導波管、前記光導波管に結合された近接場トランスデューサ(NFT)、書き込みヘッド、および磁気抵抗読み出しヘッドを有する、格子カプラを含む熱アシスト記録(TAR)ヘッドと、
を含む半導体ウェハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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