説明

熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置

【課題】 本発明は発電所の復水器から捨てられる熱エネルギーの一部を吸収し発電所の電力生産の効率を増大させる熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は水蒸気が水に凝縮されるよう冷却水の入口(1a)から冷却水の出口(1b)に冷却水が流れる復水器(1)から凝縮された凝縮水を複数の凝縮水ポンプ(2)を通じて給水加熱機(3)に送る発電所の熱回収装置において、上記の凝縮水ポンプ(2)と給水加熱機(3)の間には復水器(1)の凝縮水と冷却水が入って行く熱ポンプ(4)が設置されていて、同時に、この熱ポンプ(4)を通った冷却水は復水器(1)の冷却水の入口(1a)に循環させ、凝縮水は給水加熱機(3)に供給し、上記の給水加熱機(3)に供給された凝縮水は給水加熱機(3)から加熱蒸気が供給される三方バルブ(5)によって加熱、供給され、加熱蒸気の一部は燃焼用空気加熱機(6)を通って凝縮され復水器(1)の凝縮水に直接回収される構造になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置に関するもので、より詳しくは、本発明は発電所の復水器(コンデンサ)から捨てられる熱エネルギーの一部を吸収し発電所のエネルギー生産効率を増大させる熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱ポンプ(Heat pump)はよく知られているように、冷蔵庫、冷凍機のみならず、産業現場の生産設備などに幅広く適用されており、高い成績係数(COP、Coefficient of Performance)を有し、効果的な熱の交換が行われることによって、大気、河川、又は産業現場の廃熱発生設備から効果的に熱エネルギーが吸収できる設備であり、大部分の場合冷却用に利用されているが、一部は加熱用に使用されたりもし、最近はエネルギー効率に関心が増加するに伴って、冷却と加熱を同時に利用し熱の効率を向上させる技術が段々増加する傾向である。
【0003】
本発明はこのようなヒートポンプを利用し、発電所のコンデンサから放出される膨大なエネルギーの一部を吸収し、発電所の効率を向上させる熱回収装置である。
一方で、本出願人によって特許出願された大韓民国特許出願第2009-58580号は熱電素子を用いる発電所の熱効率装置で、これは熱電素子を利用する機械的な駆動部がなく、適用が簡単で騒音がないといった長所がある反面、その成績係数(COP)が低温部―高温部の温度差および電流比に敏感すぎるため、 成績係数(COP)を高めるに限界がありながら大形の設備に適用するには困難であるといった短所を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許出願第2009-58580号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明は上記のように従来の問題を解決するために案出されたもので、大型発電所に適用可能で、発電所の 復水器から冷却水による放熱損失の一部の熱を回収し発電所の効率を増加させられる熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような目的を達成するための本発明は水蒸気が水に凝縮されるように冷却水の入口から冷却水の出口に冷却水が流れる復水器で凝縮された凝縮水を複数の凝縮水ポンプを通じ給水加熱機に送る発電所の復水器装置において、上記の凝縮水ポンプと給水加熱機の間には複数の凝縮水と冷却水が入って行く熱ポンプが設置されていて、同時に、この熱ポンプを通した凝縮水と冷却水の一部は復水器の冷却水の入口に循環させ、その残りは給水加熱機に供給し、上記の給水加熱機で供給された凝縮水は給水加熱機から復水器の凝縮水と加熱用蒸気が供給される三方バルブによって加熱され、供給される蒸気の一部は燃焼用空気加熱機を通って凝縮され復水器の凝縮水に直接回収される構造になっている。
【発明の効果】
【0007】
上記のような本発明による熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置は復水器の冷却水によって放熱損失から一部の熱を熱ポンプに回収し再使用することによる発電所の効率向上で燃料節減による二酸化炭素の排出と温排水低減の効果を持つ。

【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例による熱ポンプを利用した発電所熱回収装置の構成図である。
【図2】図1の熱の流れを見せる図面である。
【図3】本発明の第2実施例による構成図である。
【図4】本発明の第3実施例による構成図である。
【図5】(A)は熱ポンプを適用する前発電所各部分のエネルギー入出力の状態を見せる図式図であって、(B)は本発明に適用された熱ポンプを適用した後、発電所の各部分のエネルギー入出力状態を見せるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を添付された例示図面によって詳細に説明しよう。
【0010】
図1は本発明の第1実施例による熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置を見せる構成図であって、図2は図1での熱の流れを見せた図面である。
【0011】
本発明は水蒸気が水に凝縮されるよう冷却水の入口(1a)から冷却水の出口(1b)に冷却水が流れる復水器(1)から凝縮された凝縮水を複数の凝縮水ポンプ(2)を通じて給水加熱機(3)に送る発電所の熱回収装置において、上記の凝縮水ポンプ(2)と給水加熱機(3)の間には復水器(1)の凝縮水と冷却水が入って行く熱ポンプ(4)が設置されていて、同時に、この熱ポンプ(4)を通った冷却水は復水器(1)の冷却水の入口(1a)に循環させ、凝縮水は給水加熱機(3)に供給し、上記の給水加熱機(3)に供給された凝縮水は給水加熱機(3)から加熱蒸気が供給される三方バルブ(5)によって加熱、供給され、加熱蒸気の一部は燃焼用空気加熱機(6)を通って凝縮され復水器(1)の凝縮水に直接回収される構造になっている。
【0012】
このような構造を有する本発明は復水器(1)から水蒸気が水に凝縮される過程で膨大な量の熱エネルギーが捨てられるため、熱ポンプ(4)からその捨てられる熱エネルギーの一部を吸収し、その熱エネルギーを利用し復水器(1)の給水を加熱できるが、その際、上記の熱ポンプ(4)の成績係数(COP)によって給水を加熱する熱量が変わるようになる。
【0013】
近来、既に商用化されている熱ポンプの場合、2〜10程度の成績係数(COP)を有し、熱源が充分で加熱温度が15℃程度である場合熱ポンプの成績係数は9である。(Mcquay会社製品)
【0014】
従って、成績係数(COP)が9程度の熱ポンプを適用すれば、熱ポンプに投入する電力量の9倍に該当する熱量で給水を加熱することができる。
【0015】
このように給水が既に加熱されれば、給水加熱用蒸気が残ることになるが、その蒸気は相対的に温度が高く(約60℃以上)、燃焼用空気予熱に使用した後復水器(1)に回収することで別途の燃料増加がなくボイラーの入熱量を増加させ発電所効率を増加させる。
【0016】
一方で、図3は本発明の第2実施例を図示したもので、それは復水器(1)に供給される蒸気を直接熱源とする熱ポンプ(4)を構成したもので、それを除けば、先に説明した本発明の第1実施例と同一である。
【0017】
図4は熱ポンプ(4)を利用し復水器(1)から回収した熱で給水を加熱せず、直接燃焼用空気で加熱しボイラーに供給できるが、その時空気の比熱が水の比熱より小さいため、同一の熱量で温度差を大きくさせなければならないが、温度差があまりにも大きくなると、熱ポンプの成績係数(COP)が低くなるため、給水を加熱する場合に比べ発電所の効率向上は先の実施例に比べ小さくなると予想される。
【0018】
図5(A)と(B)は熱ポンプを適用する前と適用した後発電機各部分の入出力状態を見せる図式図である。
【0019】
例えば、ボイラー効率90%、タービン効率46%、発電機効率94%である実際の発電所に本発明を適用し効率向上を予測してみれば、図5 (A)と同じように熱ポンプ適用前の発電所の総合効率=ボイラー効率xタービン効率x発電機効率=出力/入力=498.923/1282.051=38.916%の反面、図5(B)のように熱ポンプ適用後の発電所の総合効率は出力/入力=504.248/1282.051=39.331%として約0.415%の効率上昇が期待され、それは大型発電所の立場から見ると相当なエネルギーが節減される量である。
【0020】
それは回収された熱量を全てボイラー入熱量として投入できる時に可能なことであり、空気予熱器が既に設置されているプラントの場合、燃焼用の空気加熱時に排気ガスの温度上昇で排ガス損失が増加し効率上昇の効果が微々たる量であるため、このような場合には大体117度から143度に上昇した排ガスから直接に熱を回収し、プロセスの中で利用しなければならない。プロセスでこの熱を利用する方法といえば、地域暖房の需要がある場合、地域暖房用の給水加熱に利用し、重油の場合、発電所では燃料予熱に利用することで、プラント効率が向上できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気が水に凝縮されるように冷却水入口(1a)から冷却水出口(1b)に冷却水が流れる復水器(1)で凝縮された凝縮水を複数の凝縮水ポンプ(2)を通じて給水加熱機(3)に送る発電所の熱回収装置において、
上記凝縮水ポンプ(2)と給水加熱機(3)の間には復水器(1)の凝縮水と冷却水が入って行く熱ポンプが設置(4)されていて、同時に、この熱ポンプを通った冷却水を復水器(1)の冷却水の入口(1a)に循環させ、凝縮水は給水加熱機(3)に供給し、上記給水加熱機(3)に供給された凝縮水は給水加熱機(3)から加熱蒸気が供給される三方バルブ(5)によって、供給され、加熱蒸気の一部は燃焼用の空気加熱機(6)を通って加熱され、加熱蒸気は復水器(1)の凝縮水に直接回収される構造になっていることを特徴とする発電所の熱回収装置。
【請求項2】
上記の熱ポンプ(4)は復水器(1)の蒸気を直接に供給され熱を回収するようになっていることを特徴とする、請求項1の熱ポンプを利用した 発電所の熱回収装置。
【請求項3】
上記の熱ポンプ(4)は燃焼用空気を加熱しボイラーで供給するようになっていることを特徴とする、請求項1の熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置。
【請求項4】
上記の熱ポンプ(4)は温度が上昇した排ガスから熱エネルギーを回収し、それを地域暖房の水の加熱や燃料系統の加熱に利用するようになっていることを特徴とする、請求項1の熱ポンプを利用した発電所の熱回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−58486(P2011−58486A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287551(P2009−287551)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(591144268)コリア・エレクトリック・パワー・コーポレーション (16)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRIC POWER CORPORATION