説明

熱交換器用接続装置

【課題】軽量化を図ることができるとともに、コストを安くすることができる熱交換器用接続装置を提供する。
【解決手段】熱交換器用接続装置6は、鍛造品からなる第1接続部材46と、プレス成形品からなる第2接続部材47とよりなる。第1接続部材46は、2つの冷媒通路48,49およびねじ穴51を有する。第2接続部材47は、第1接続部材46にろう付され、かつ第1接続部材46の冷媒通路48,49に通じる2つの冷媒通路54,55および第1接続部材46のねじ穴51の開口端を囲む貫通穴56を有する。第1接続部材46のねじ穴51を、第1接続部材46の両冷媒通路48,49の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に間隔をおいて複数形成する。第1接続部材46のねじ穴51を両冷媒通路48,49間の部分に形成し、第2接続部材47の貫通穴56を第2接続部材47の両冷媒通路54,55間に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータや、コンデンサなどの熱交換器に用いられる熱交換器用接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、エバポレータに、被接続具である膨張弁を接続するための接続装置として、アルミニウム押出成形品に切削加工を施すことにより形成されたものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載の接続部材は、エバポレータにろう付されて用いられている。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の接続装置においては、重量が大きくなるとともに、コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−94488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、上記問題を解決し、軽量化を図ることができるとともに、コストを安くすることができる熱交換器用接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0007】
1)鍛造品からなりかつ2つの冷媒通路およびねじ穴を有する第1接続部材と、プレス成形品からなるとともに第1接続部材にろう付され、かつ第1接続部材の冷媒通路に通じる2つの冷媒通路および第1接続部材のねじ穴の開口端を囲む貫通穴を有する第2接続部材とよりなる熱交換器用接続装置。
【0008】
2)第1接続部材のねじ穴が、第1接続部材の両冷媒通路の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に間隔をおいて複数形成されている上記1)記載の熱交換器用接続装置。
【0009】
3)第1接続部材の両冷媒通路間の部分にねじ穴が形成されており、第2接続部材の貫通穴が、第2接続部材の両冷媒通路間に形成されている上記1)または2)記載の熱交換器用接続装置。
【0010】
4)第2接続部材の貫通穴が、第2接続部材の両冷媒通路の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に長い長穴となっており、当該貫通穴の長さが、第1接続部材の両冷媒通路および第2接続部材の両冷媒通路の内径よりも長くなっている上記3)記載の熱交換器用接続装置。
【0011】
5)第2接続部材に、第1接続部材の厚み方向の少なくとも一部分が全体に嵌る凹所が形成されており、第1接続部材が第2接続部材の凹所内に嵌め入れられた状態で第2接続部材にろう付されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱交換器用接続装置。
【0012】
6)第2接続部材の第1接続部材とは反対側を向いた面における冷媒通路の周囲の部分に、熱交換器に接続される被接続具の雌部内に挿入される雄部が設けられている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器用接続装置。
【発明の効果】
【0013】
上記1)および2)の接続装置によれば、鍛造品からなる第1接続部材と、プレス成形品からなる第2接続部材とよりなるので、特許文献1記載の押出成形品に切削加工を施されることにより形成された接続装置に比べて、材料の無駄がなくなってコストが安くなるとともに、軽量化を図ることができる。また、第2接続部材が、第1接続部材のねじ穴の開口端を囲む貫通穴を有するので、第1接続部材と第2接続部材とをろう付するろう材が、貫通穴の周縁部に溜まることになり、ろう材が第1接続部材のねじ穴内に浸入することが防止される。
【0014】
上記3)の接続装置によれば、第1および第2接続部材における一方の冷媒通路から他方の冷媒通路への冷媒の短絡を防止することができる。
【0015】
上記4)の接続装置によれば、第1および第2接続部材における一方の冷媒通路から他方の冷媒通路への冷媒の短絡を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態の熱交換器の全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線拡大断面図である。
【図4】冷媒入出部材の第1プレートの部分で切断した右側方から見た垂直断面図である。
【図5】冷媒入出部材の第2プレートの部分で切断した右側方から見た垂直断面図である。
【図6】冷媒入出部材の中間プレートの部分で切断した右側方から見た垂直断面図である。
【図7】図4のC−C線矢視図である
【図8】図1のエバポレータの冷媒入出部材の部分の部分拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による接続装置を、エバポレータへの膨張弁の接続に適用したものである。
【0018】
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0019】
また、以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向、図4〜図6の右側)を前、これと反対側を後といい、後方から前方を見た際の上下、左右(図1の上下、左右)を上下、左右というものとする。
【0020】
図1はエバポレータの全体構成を示し、図2〜図8エバポレータの要部の構成を示す。
【0021】
図1〜図4において、フロン系冷媒を使用するカーエアコンに用いられるエバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)と、第1ヘッダタンク(2)の右端部に接合された冷媒入出部材(5)と、冷媒入出部材(5)に接合されかつ膨張弁(E)(被接続具)(図4鎖線参照)を取り付けるのに用いられる膨張弁接続装置(6)(熱交換器用接続装置)とを備えている。
【0022】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(7)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ冷媒入口ヘッダ部(7)に一体化された冷媒出口ヘッダ部(8)とを備えている。冷媒入口ヘッダ部(7)の右端部に冷媒入口(9)が設けられ、冷媒出口ヘッダ部(8)の右端部に冷媒出口(11)が設けられている。冷媒出口ヘッダ部(8)の頂壁(8a)の右端部には、平面から見て略U字形の切り欠き(12)が形成されている(図8参照)。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置する第1中間ヘッダ部(13)と、後側に位置しかつ第1中間ヘッダ部(13)に一体化された第2中間ヘッダ部(14)とを備えている。第1中間ヘッダ部(13)と第2中間ヘッダ部(14)とは、第2ヘッダタンク(5)内を仕切部材(15)により前後2つの空間に分割することにより形成されている。第1中間ヘッダ部(13)内と第2中間ヘッダ部(14)内とは、仕切部材(15)に左右方向に間隔をおいて形成された複数の連通口(16)を介して通じさせられている。
【0023】
熱交換コア部(4)は、幅方向を前後方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(17)からなる熱交換管列(18)(19)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管列(18)(19)の隣接する熱交換管(17)どうしの間の通風間隙および左右両端の熱交換管(17)の外側に、それぞれ前後両熱交換管列(18)(19)の熱交換管(17)に跨るようにアルミニウム製コルゲートフィン(21)が配置されて熱交換管(17)にろう付され、左右両端のコルゲートフィン(21)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(22)が配置されてコルゲートフィン(21)にろう付されることにより構成されている。
【0024】
前側熱交換管列(18)の熱交換管(17)は第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(7)と第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(13)との間に配置され、その上下両端部は冷媒入口ヘッダ部(7)および第1中間ヘッダ部(13)に接続されている。後側熱交換管列(19)の熱交換管(17)は第1ヘッダタンク(2)の冷媒出口ヘッダ部(8)と第2ヘッダタンク(3)の第2中間ヘッダ部(14)との間に配置され、その上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(8)および第2中間ヘッダ部(14)接続されている。そして、前後両熱交換管列(18)(19)の熱交換管(17)と、第1および第2中間ヘッダ部(13)(14)とによって、冷媒入口ヘッダ部(7)および冷媒出口ヘッダ部(8)を通じさせる冷媒循環経路が形成されている。
【0025】
図2〜図8に示すように、冷媒入出部材(5)は、左側(第1ヘッダタンク(2)側)に位置する垂直状のアルミニウム製第1プレート(23)、右側に位置する垂直状のアルミニウム製第2プレート(24)および第1プレート(23)と第2プレート(24)との間の位置する垂直状のアルミニウム製中間プレート(25)を積層して接合することにより形成されており、第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(7)および冷媒出口ヘッダ部(8)の右端部に跨って接合されている。冷媒入出部材(5)には、一端が冷媒入口ヘッダ部(7)の冷媒入口(9)に通じるとともに他端が冷媒入出部材(5)の後側縁に開口した流入路(26)と、一端が冷媒出口ヘッダ部(8)の冷媒出口(11)に通じるとともに他端が冷媒入出部材(5)の後側縁に開口した流出路(27)とが設けられている。流入路(26)の冷媒入出部材(5)の後側縁への開口を入口(26a)といい、流出路(27)の冷媒入出部材(5)の後側縁への開口を出口(27a)というものとする。
【0026】
冷媒入出部材(5)の第1プレート(23)に、冷媒入口ヘッダ部(7)の冷媒入口(9)に通じる第1連通口(28)、冷媒出口ヘッダ部(8)の冷媒出口(11)に通じる第2連通口(29)、一端が第1および第2連通口(28)(29)から離れた位置にあるとともに他端が第1プレート(23)の後側縁に開口した流入路用第1外方膨出部(31)、ならびに一端が第1および第2連通口(28)(29)から離れた位置にあるとともに他端が第1プレート(23)の後側縁における流入路用第1外方膨出部(31)の他端開口よりも上部に開口した流出路用第1外方膨出部(32)が形成されている。
【0027】
冷媒入出部材(5)の第2プレート(24)に、一端が第1プレート(23)の第1および第2連通口(28)(29)から離れた位置にあるとともに他端が第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)の他端と同一高さ位置において第2プレート(24)の後側縁に開口した流入路用第2外方膨出部(33)、一端が第1プレート(23)の第1連通口(28)に対応する位置にあるとともに他端が第1プレート(23)の第2連通口(29)および流入路用第2外方膨出部(33)から離れた位置にある流入路用第3外方膨出部(34)、ならびに一端が第1プレート(23)の第2連通口(29)に対応する位置にあるとともに他端が第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)と同一位置において第2プレート(24)の後側縁に開口した流出路用第2外方膨出部(35)が形成されている。
【0028】
冷媒入出部材(5)の中間プレート(25)に、一端が第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)と同一位置において中間プレート(25)の後側縁に開口し、かつ第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)内と第2プレート(24)の流入路用第2外方膨出部(33)内とを通じさせる第1の切り欠き(36)、第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)内と第2プレート(24)の流入路用第3外方膨出部(34)内とを通じさせる第1の貫通穴(37)、第1プレート(23)の第1連通口(28)と第2プレート(24)の流入路用第3外方膨出部(34)内とを通じさせる第2の貫通穴(38)、一端が第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)と同一位置において中間プレート(25)の後側縁に開口し、かつ第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)内と第2プレート(24)の流出路用第2外方膨出部(35)内とを通じさせる第2の切り欠き(39)、および第1プレート(23)の第2連通口(29)と第2プレート(24)の流出路用第2外方膨出部(35)内とを通じさせる第3の貫通穴(41)が形成されている。
【0029】
第1プレート(23)の第1連通口(28)の周囲の部分には、冷媒入口(9)を通して第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(7)内に挿入される左方突出部(23a)が全周にわたって一体に形成されている。第1プレート(23)の第2連通口(29)の周囲の部分における上端部を除いた部分には、冷媒出口(11)を通して第1ヘッダタンク(2)の冷媒出口ヘッダ部(8)内に挿入される左方突出部(23b)が一体に形成されている。第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)は、第1連通口(28)の若干上方の位置から上方にのびる垂直部(31a)と、垂直部(31a)の上端に円弧状部を介して連なって後方にのびかつ第1プレート(23)の後側縁に至る水平部(31b)とからなる。第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)は、流入路用第1外方膨出部(31)の水平部(31b)の上方において、第1プレート(23)の後側縁における流入路用第1外方膨出部(31)よりも上方の位置から前方に水平にのびかつ前端寄りの部分が前斜め下方に傾斜している。流出路用第1外方膨出部(32)の前端部は流入路用第1外方膨出部(31)の水平部(31b)の前後方向の中央部に位置している。また、第1プレート(23)に、第2連通口(29)に連なって上方にのびた垂直状の流出路用第3外方膨出部(42)が形成されている。流出路用第3外方膨出部(42)の上端は流入路用第1外方膨出部(31)の水平部(31b)よりも若干下方の高さ位置にある。流出路用第3外方膨出部(42)の下縁の形状は、第1ヘッダタンク(2)の冷媒出口ヘッダ部(8)の切り欠き(12)の形状に合致するような形状となっている。また、流出路用第3外方膨出部(42)の下端外周面には、第1プレート(23)の第2連通口(29)の周囲の左方突出部(23b)と連なりかつ切り欠き(12)を通して冷媒出口ヘッダ部(8)内に挿入される左方突出部(42a)が一体に形成されている。
【0030】
第2プレート(24)の流入路用第2外方膨出部(33)は、第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)の水平部(31b)と同一高さ位置において、第2プレート(24)の後側縁から前方に水平にのびており、その前端部は流出路用第2外方膨出部(35)よりも若干後方に位置している。第2プレート(24)の流入路用第3外方膨出部(34)は、第1プレート(23)の第1連通口(28)と対応する位置から上方にのびた垂直状である。流入路用第3外方膨出部(34)の上端部は、第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)の垂直部(31a)の下端よりも上方に位置している。第2プレート(24)の流出路用第2外方膨出部(35)は、第1プレート(23)の第2連通口(29)と対応する位置から上方にのびて流入路用第2外方膨出部(33)よりも上方に至る垂直部(35a)と、垂直部(35a)の上端に連なって後方にのびかつ第1プレート(23)の後側縁に至る水平部(35b)とからなる。垂直部(35a)の上部の前側縁部は、流路面積を増大させるために前方に拡がっている。水平部(35b)の前端寄りの部分の上側縁部は、第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)の前端よりの部分の上側縁部に合わせて前斜め下方に傾斜している。
【0031】
中間プレート(25)の第1切り欠き(36)は、中間プレート(25)の後側縁から前方に水平に伸びており、その前端部は第2プレート(24)の流入路用第2外方膨出部(33)の前端部と同一位置にある。第1切り欠き(36)の形状は、流入路用第2外方膨出部(33)を側方から見た形状と合致している。中間プレート(25)の第1貫通穴(37)は、第1プレート(23)の流入路用第1外方膨出部(31)の垂直部(31a)の下端部および第2プレート(24)の流入路用第3外方膨出部(34)の上端部が側方から見て重なり合った位置にある。中間プレート(25)の第2貫通穴(38)は第1プレート(23)の第1連通口(28)と対応する位置にある。そして、中間プレート(25)における第1貫通穴(37)と第2貫通穴(38)との間の部分が切除されており、当該切除部(43)を介して両貫通穴(37)(38)が通じさせられ、これにより第2貫通穴(38)が第1貫通穴(37)と一体化されている。第1貫通穴(37)、第2貫通穴(38)および切除部(43)を合わせた形状は、第2プレート(24)の流入路用第3外方膨出部(34)を右側方から見た形状と合致している。中間プレート(25)の第2切り欠き(39)は、第1プレート(23)の流出路用第1外方膨出部(32)の後端部と同一の高さ位置から前方に水平にのびかつ前端寄りの部分が前斜め下方に傾斜しており、第2切り欠き(39)の前端部は流出路用第1外方膨出部(32)の前端部と同一位置にある。第2切り欠き(39)の形状は、流出路用第1外方膨出部(32)を側方から見た形状と合致している。中間プレート(25)の第3貫通穴(41)は、第1プレート(23)の第2連通口(29)と対応する位置にある。また、中間プレート(25)には、第1プレート(23)の流出路用第3外方膨出部(42)の上端部内と第2プレート(24)の流出路用第2外方膨出部(35)における垂直部(35a)の上下方向の中間部とを通じさせる第4の貫通穴(44)が形成されている。そして、中間プレート(25)における第3貫通穴(41)と第4貫通穴(44)との間の部分が切除されており、当該切除部(45)を介して両貫通穴が通じさせられ、これにより第4貫通穴(44)が第3貫通穴(41)と一体化されている。
【0032】
そして、第1プレート(23)の第1連通口(28)および流入路用第1外方膨出部(31)と、第2プレート(24)の流入路用第2外方膨出部(33)および流入路用第3外方膨出部(34)と、中間プレート(25)の第1切り欠き(36)、第1貫通穴(37)、第2貫通穴(38)および切除部(43)とによって冷媒入出部材(5)に流入路(26)が形成され、第1プレート(23)の第2連通口(29)、流出路用第1外方膨出部(32)および流出路用第3外方膨出部(42)と、第2プレート(24)の流出路用第2外方膨出部(35)と、中間プレート(25)の第2切り欠き(39)、第3貫通穴(41)、第4貫通穴(44)および切除部(45)とによって冷媒入出部材(5)に流出路(27)が形成されており、流入路(26)と流出路(27)とは、その内部が通じることなく交差している。
【0033】
冷媒入出部材(5)は、第1プレート(23)の第1連通口(28)の周囲の左方突出部(23a)が冷媒入口(9)を通して冷媒入口ヘッダ部(7)内に挿入されるとともに、第1プレート(23)の第2連通口(29)の周囲の左方突出部(23b)が冷媒出口(11)を通して冷媒出口ヘッダ部(8)内に挿入され、さらに第1プレート(23)の流出路用第3外方膨出部(42)の下端縁の左方突出部(42a)が、切り欠き(12)を通して冷媒出口ヘッダ部(8)内に挿入された状態で、第1ヘッダタンク(2)にろう付されている。
【0034】
膨張弁接続装置(6)は、アルミニウム製鍛造品からなる縦長円形の第1接続部材(46)と、アルミニウム製プレス成形品からなるとともに第1接続部材(46)にろう付された縦長円形の第2接続部材(47)とよりなる。
【0035】
第1接続部材(46)には、入り側冷媒通路(48)および出側冷媒通路(49)が、前者が下方に位置するように上下方向に間隔をおいて形成されている。なお、両冷媒通路(48)(49)の断面形状は円形となっている。第1接続部材(46)における両冷媒通路(48)(49)間には、第1接続部材(46)の両冷媒通路(48)(49)の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に間隔をおいて複数、ここでは2つの貫通状ねじ穴(51)が形成されている。また、第1接続部材(46)の後面(第2接続部材(47)とは反対側を向いた面)における両冷媒通路(48)(49)の周囲の部分に、冷媒入出部材(5)の流入路(26)の入口(26a)(雌部)内に挿入される入り側雄部(52)および流出路(27)の出口(27a)(雌部)内に挿入される出側雄部(53)が形成されている。
【0036】
第2接続部材(47)には、第1接続部材(46)の入り側冷媒通路(48)および出側冷媒通路(49)に通じる入り側冷媒通路(54)および出側冷媒通路(55)が、前者が下方に位置するように上下方向に間隔をおいて形成されている。第2接続部材(47)における両冷媒通路(54)(55)間には、左右方向(第2接続部材(47)の両冷媒通路(54)(55)の中心どうしを結ぶ線と直交する方向)に長く、かつ第1接続部材(46)の2つのねじ穴(51)を囲む貫通穴(56)が形成されている。貫通穴(56)の左右方向の長さは、第1接続部材(46)の両冷媒通路(48)(49)および第2接続部材(47)の両冷媒通路(54)(55)の内径よりも長くなっている。第2接続部材(47)の前面(片面)には、第1接続部材(46)の厚み方向の一部分が全体に嵌る凹所(57)が形成されており、第1接続部材(46)の後側の略半部が第2接続部材(47)の凹所(57)内に嵌め入れられた状態で第2接続部材(47)にろう付されている。また、第2接続部材(47)の後面(第1接続部材(46)とは反対側を向いた面)における入り側冷媒通路(54)の周囲の部分に、膨張弁(E)の高圧冷媒流路(E1)(雌部)内に挿入される入り側雄部(58)が形成され、同じく出側冷媒通路(55)の周囲の部分に、膨張弁(E)の低圧冷媒流路(E2)(雌部)内に挿入される出側雄部(59)が形成されている。
【0037】
そして、膨張弁接続装置(6)は、第1接続部材(46)の入り側雄部(52)が冷媒入出部材(5)の流入路(26)の入口(26a)内に挿入されて冷媒入出部材(5)にろう付され、同じく出側雄部が流出路(27)の出口(27a)内に挿入されて冷媒入出部材(5)にろう付されることにより冷媒入出部材(5)に固定されている。
【0038】
上述した構成のエバポレータ(1)は、圧縮機、冷媒冷却器としてのコンデンサおよび膨張弁(E)とともにフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。このとき、膨張弁(E)は、低圧冷媒流路(E2)が上、高圧冷媒流路(E1)が下に位置するように膨張弁接続装置(6)に接続される。冷房運転時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁(E)の高圧冷媒流路(E1)を通過した気液混相の2相冷媒が、膨張弁接続装置(6)の両接続部材(47)(46)の入り側冷媒通路(54)(48)を通って冷媒入出部材(5)の後側縁の入口(26a)から流入路(26)内に入り、流入路(26)内を流れて、第1連通口(28)から第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口(9)を通って冷媒入口ヘッダ部(7)内に流入する。冷媒入口ヘッダ部(7)内に流入した冷媒は、分流して前側熱交換管列(18)の熱交換管(17)内に流入する。前側熱交換管列(18)の熱交換管(17)内に流入した冷媒は、熱交換管(17)内を下方に流れて第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(13)内に入る。第1中間ヘッダ部(13)内に入った冷媒は、連通口(16)を通って第2中間ヘッダ部(14)内に入る。第2中間ヘッダ部(14)内に入った冷媒は、分流して後側熱交換管列(19)の熱交換管(17)内に流入する。後側熱交換管列(19)の熱交換管(17)内に流入した冷媒は、熱交換管(4)内を上方に流れて第1ヘッダタンク(2)の冷媒出口ヘッダ部(8)内に入る。冷媒出口ヘッダ部(8)内に入った冷媒は、冷媒出口ヘッダ部(8)内を右方に流れ、第1ヘッダタンク(2)の冷媒出口(11)を通って第2連通口(29)から冷媒入出部材(5)の流出路(27)内に入る。流出路(27)内に入った冷媒は、流出路(27)を流れて冷媒入出部材(5)の後側縁の出口(27a)から流出し、膨張弁接続装置(6)の両接続部材(46)(47)の出側冷媒通路(49)(55)を通って膨張弁(E)の低圧冷媒流路(E2)内に入り、低圧冷媒流路(E2)を通って圧縮機に送られる。
そして、冷媒が熱交換管(17)内を流れる間に、隣り合う熱交換管(17)間の通風間隙を通過する空気(図1矢印X参照)と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0039】
なお、この発明の接続装置は、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部を通じさせる冷媒循環経路とを備えており、冷媒循環経路が、複数の中間ヘッダ部と複数の熱交換管により構成され、互いに対向して配置された冷媒入口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、互いに対向して配置された冷媒出口ヘッダ部と中間ヘッダ部との間、および互いに対向して配置された中間ヘッダ部どうしの間に、それぞれ間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が少なくとも1列配置され、これらの熱交換管群を構成する熱交換管の両端部が互いに対向するヘッダ部に接続されており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒循環経路を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっているタイプのエバポレータにも適用可能である。
【0040】
また、この発明による接続装置は、1対の皿状プレートを対向させて周縁部どうしをろう付してなる複数の偏平中空体が並列状に配置されてなり、前後方向に並んで配置された冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部と、両ヘッダ部と間隔をおいて配置された冷媒ターン部と、冷媒入口ヘッダ部と冷媒ターン部とを連通させる複数の冷媒往き側冷媒流通部と、冷媒出口ヘッダ部と冷媒ターン部を連通させる複数の冷媒戻り側冷媒流通部とを備えており、冷媒入口ヘッダ部の一端に冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端に冷媒出口が形成され、冷媒入口から冷媒入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、冷媒往き側冷媒流通部を通って冷媒ターン部に至り、ここで流れ方向を変えて冷媒戻り側冷媒流通部を通って冷媒出口ヘッダ部に戻り、冷媒出口から送り出されるようになっている形式の所謂積層型エバポレータにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明による熱交換器用接続装置は、カーエアコンを構成するエバポレータに膨張弁を接続するための接続装置として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0042】
(6):膨張弁接続装置(熱交換器用接続装置)
(46):第1接続部材
(47):第2接続部材
(48):入り側冷媒通路
(49):出側冷媒通路
(51):ねじ穴
(54):入り側冷媒通路
(55):出側冷媒通路
(56):貫通穴
(57):凹所
(58):入り側雄部
(59):出側雄部
(E):膨張弁(E)
(E1):高圧冷媒流路(雌部)
(E2):低圧冷媒流路(雌部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造品からなりかつ2つの冷媒通路およびねじ穴を有する第1継手部材と、プレス成形品からなるとともに第1接続部材にろう付され、かつ第1継手部材の冷媒通路に通じる2つの冷媒通路および第1接続部材のねじ穴の開口端を囲む貫通穴を有する第2接続部材とよりなる熱交換器用接続装置。
【請求項2】
第1接続部材のねじ穴が、第1接続部材の両冷媒通路の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に間隔をおいて複数形成されている請求項1記載の熱交換器用接続装置。
【請求項3】
第1接続部材の両冷媒通路間の部分にねじ穴が形成されており、第2接続部材の貫通穴が、第2接続部材の両冷媒通路間に形成されている請求項1または2記載の熱交換器用接続装置。
【請求項4】
第2接続部材の貫通穴が、第2接続部材の両冷媒通路の中心どうしを結ぶ線と直交する方向に長い長穴となっており、当該貫通穴の長さが、第1接続部材の両冷媒通路および第2接続部材の両冷媒通路の内径よりも長くなっている請求項3記載の熱交換器用接続装置。
【請求項5】
第2接続部材に、第1接続部材の厚み方向の少なくとも一部分が全体に嵌る凹所が形成されており、第1接続部材が第2接続部材の凹所内に嵌め入れられた状態で第2接続部材にろう付されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱交換器用接続装置。
【請求項6】
第2接続部材の第1接続部材とは反対側を向いた面における冷媒通路の周囲の部分に、熱交換器に接続される被接続具の雌部内に挿入される雄部が設けられている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器用接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−196930(P2010−196930A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40193(P2009−40193)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】