説明

熱交換器

【課題】ヘッダ内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制し、性能が向上する熱交換器を提供する。
【解決手段】冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器10であって、ヘッダ15と、複数の扁平管11とを備える。ヘッダ15は、上下に延び、冷媒が流れる。複数の扁平管11は、ヘッダ15に交差する方向に延び、異なる高さ位置でヘッダ15の外面から内面へと貫通し、端面がヘッダ15内に位置する。一の扁平管11の端面である第1端面の高さ位置が、他の扁平管11の端面である第2端面の高さ位置に近づくように、あるいは、同じになるように、ヘッダ15内にある一の扁平管11および/または他の扁平管11が曲げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛直方向に延びる1対のヘッダと、そのヘッダの長手に直交する方向に延び、ヘッダを貫通する複数の扁平管とを備える、いわゆる積層型の熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1)。この熱交換器を空調機に用いる場合であって、蒸発器として機能させるとき、ガス冷媒と液冷媒とが混合した状態の冷媒がヘッダの外方からヘッダ内へ流入し、ヘッダを介して、下部に位置する扁平管から上部に位置する扁平管へと冷媒が流れる。
【特許文献1】特開平7−55377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような熱交換器においては、ガス冷媒の密度よりも液冷媒の密度のほうが高いので、鉛直方向に延びるヘッダの内部では、液冷媒が下方に多く分布する恐れがある。このため、上方に位置する扁平管には、液冷媒が流れにくいといったことが考えられる。このような状況下においては、熱交換器の性能に影響することが想定されるので、熱交換器の性能を向上させることが好ましい。
【0004】
そこで、本発明の課題は、ヘッダ内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制し、性能が向上する熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る熱交換器は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器であって、ヘッダと、複数の扁平管とを備える。ヘッダは、上下に延び、冷媒が流れる。複数の扁平管は、ヘッダに交差する方向に延び、異なる高さ位置でヘッダの外面から内面へと貫通し、端面がヘッダ内に位置する。一の扁平管の端面である第1端面の高さ位置が、他の扁平管の端面である第2端面の高さ位置に近づくように、あるいは、同じになるように、ヘッダ内にある一の扁平管および/または他の扁平管が曲げられる。
【0006】
ここで、例えば、冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とが混合した冷媒である。
【0007】
また、例えば、上下に延びるとは、鉛直方向に延びることをいう。また、ヘッダに交差する方向に延びるとは、例えば、ヘッダの長手に直交する方向に延びることをいう。
【0008】
第1発明に係る熱交換器では、端面の高さ位置が揃うように複数の扁平管が曲げられることで、または、1本の扁平管が曲げられることで、より多くの液冷媒を扁平管の内部に流入させることができ、上方に位置する扁平管にも液冷媒を流すことができる。よって、ヘッダ内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制することができ、熱交換器の性能が向上する。
【0009】
第2発明に係る熱交換器は、第1発明に係る熱交換器であって、第1端面および/または第2端面が、上または下を向いている。
【0010】
第2発明に係る熱交換器では、第1端面および/または第2端面が上または下を向いていることで、液冷媒が扁平管の内部へ流入しやすい。
【0011】
第3発明に係る熱交換器は、第1発明または第2発明に係る熱交換器であって、多孔部材または発泡部材をさらに備える。多孔部材および発泡部材には、第1端面および/または第2端面の近傍に配置され、多数の孔が形成されている。
【0012】
第3発明に係る熱交換器では、多孔部材または発泡部材をさらに備えることにより、に分離されやすいガス冷媒と液冷媒との混合を促進させることができる。
【0013】
第4発明に係る熱交換器は、第1発明または第2発明に係る熱交換器であって、第1部材をさらに備える。冷媒は、ガス冷媒および液冷媒からなる。第1部材は、ヘッダ内に配置され、冷媒を第1端面および/または第2端面に案内し、かつ、ガス冷媒と液冷媒との混合を促進する。
【0014】
第4発明に係る熱交換器では、ガス冷媒と液冷媒との混合を促進させることができ、かつ、扁平管の内部により多くの冷媒を導くことができる。
【発明の効果】
【0015】
第1発明に係る熱交換器では、端面の高さ位置が揃うように複数の扁平管が曲げられることで、または、1本の扁平管が曲げられることで、より多くの液冷媒を扁平管の内部に流入させることができ、上方に位置する扁平管にも液冷媒を流すことができる。よって、ヘッダ内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制することができ、熱交換器の性能が向上する。
【0016】
第2発明に係る熱交換器では、第1端面および/または第2端面が上または下を向いていることで、液冷媒が扁平管の内部へ流入しやすい。
【0017】
第3発明に係る熱交換器では、多孔部材または発泡部材をさらに備えることにより、分離されやすいガス冷媒と液冷媒との混合を促進させることができる。
【0018】
第4発明に係る熱交換器では、ガス冷媒と液冷媒との混合を促進させることができ、かつ、扁平管の内部により多くの冷媒を導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
<第1実施形態>
<熱交換器10の構成>
まず、熱交換器10の構成について説明する。
【0022】
熱交換器10は、空調機に用いられ、熱交換器10内を流れる冷媒と、熱交換器10を通り抜ける空気との間で熱交換を行わせるものである。
【0023】
図1に示すように、熱交換器10は、扁平管11、波形フィン12およびヘッダ15を備える。
【0024】
(扁平管11)
図2は、図1のII部の拡大斜視図である。
【0025】
扁平管11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成形されており、図2に示すように、伝熱面となる平面部113を有する。また、扁平管11には、冷媒が流れる冷媒流路となる複数の穴114が形成されている。扁平管11は、平面部113を上下に向けた状態で、鉛直方向に、複数段配列されている。ここで、隣接する扁平管11の間の距離は、例えば、13mmである。
【0026】
なお、本実施形態での扁平管11の総本数は18本であるが、これに限られるものではない。
【0027】
(波形フィン12)
波形フィン12は、波形に折り曲げられたアルミニウム製またはアルミニウム合金製のフィンである。波形フィン12は、隣接する扁平管11に挟まれた空間に配置され、谷部および山部が扁平管11の平面部113と接触している。なお、谷部と山部と平面部113とはロウ付け溶接されている。
【0028】
波形フィン12の伝熱面12aは、隣接する扁平管11に挟まれた空間を通過する空気と熱交換する面であり、効率よく熱交換を行うためのルーバー12cが形成されている。
【0029】
(ヘッダ15)
ヘッダ15は、鉛直方向に延びる円筒形状をした管である。図1に示すように、ヘッダ15の外面から内面へ、複数の扁平管11がそれぞれ異なる高さ位置で、ヘッダ15の長手に直交する方向から貫通している。ヘッダ15は、扁平管11を支持する機能と、冷媒を扁平管11に形成される複数の穴114に導く機能と、複数の穴114から出てきた冷媒を集合させる機能とを有している。
【0030】
ヘッダ15は、互いに離間した第1ヘッダ151と第2ヘッダ152とを有する。第1ヘッダ151は、図1の正面視右側のヘッダである。第2ヘッダ152は、図1の正面視左側のヘッダである。
【0031】
第1ヘッダ151の上部には、冷媒の、第1ヘッダ151から外方への出口となる冷媒出口部151aが形成されている。
【0032】
第2ヘッダ152の下部には、冷媒の、外方から第2ヘッダ152への入口となる冷媒入口部152aが形成されている。
【0033】
第1ヘッダ151の内部および第2ヘッダ152の内部には、バッフル板18が設けられている。バッフル板18は、冷媒の流れ方向を決定するための金属製の板部材である。
【0034】
(ヘッダ15の内部における扁平管11)
以下、説明の便宜上、図1における最上段目の扁平管11、上から2段目の扁平管11、・・・最下段目の扁平管11を扁平管11a、11b、・・・11rと呼ぶ。
【0035】
図3は、第1ヘッダ151を、中心軸を通る面で切断した場合の断面図である。
【0036】
図3に示すように、図1における下から4段目(最下段目)〜9段目の扁平管11o〜11jがヘッダ15に貫通した後、扁平管11o〜11jの冷媒が流入する入口となる方の端部(第1ヘッダ151に貫通する方の端部)の端面110の高さ位置が全て同じになるように、第1ヘッダ151の内部にある扁平管11o〜11jの一部が曲げられる。このとき、端面110は、下を向いている。
【0037】
なお、図3では、扁平管11o〜11jの端部についてのみ示しているが、扁平管11o〜11jと同様に、図1における下から1段目(最下段目)〜3段目の扁平管11r〜11pも、第2ヘッダ152の内部にある扁平管11r〜11pの端部の近傍部分が曲げられ、扁平管11r〜11pの端面110の高さ位置が全て同じになっている。また、図1における下から10段目〜18段目(最上段目)の扁平管11i〜11aも、第2ヘッダ152の内部にある扁平管11i〜11aの端部の近傍部分が曲げられ、第2ヘッダ152の内部にある扁平管11i〜11aの端面110の高さ位置が全て同じになっている。そして、このときも、それぞれの端面110は全て下を向いている。
【0038】
所定数の扁平管11のそれぞれの、冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が同じになるように、ヘッダ15の内部にある所定数の扁平管11の端部の近傍部分が曲げられることで、より多くの液冷媒を扁平管11に形成された複数の穴114へ流入させることができる構成となっている。
【0039】
<冷媒の流れ>
次に、熱交換器10が蒸発器として機能するときの冷媒の流れについて説明する。
【0040】
図1において、第2ヘッダ152の外方から、冷媒入口部152aを介して第2ヘッダ152の内部へ流入した冷媒(矢印A1参照)は、扁平管11r〜11pに形成される複数の穴114へほぼ均等に分流され、第1ヘッダ151へ向かって流れる。第1ヘッダ151に達した冷媒は、扁平管11o〜11jに形成される複数の穴114へほぼ均等に分流され、第2ヘッダ152へ向かって流れる。第2ヘッダ152に達した冷媒は、扁平管11i〜11aに形成される複数の穴114へほぼ均等に分流され、第1ヘッダ151へ向かって流れる。そして、第1ヘッダ151に到達した冷媒は、合流して、冷媒出口部151aから第1ヘッダ151の外方へ流出する(矢印A2参照)。
【0041】
なお、第2ヘッダ152の内部には、扁平管11pと扁平管11oとの間にバッフル板18が設けられ、冷媒がバッフル板18の下から上に流れないようになっている。また、第1ヘッダ151の内部では、扁平管11jと扁平管11iとの間にバッフル板18が設けられ、冷媒がバッフル板18の下から上に流れないようになっている。このバッフル板18により、熱交換器10の内部を冷媒が蛇行するように流れる。
【0042】
<第1実施形態に係る熱交換器10の特徴>
従来、提案されている積層型熱交換器では、鉛直方向に延びるヘッダに、ヘッダの長手に直交する方向に延びる複数の扁平管が異なる高さ位置からそれぞれ貫通している。そして、この熱交換器が蒸発器として機能するとき、熱交換器の内部には、ガス冷媒と液冷媒とが混合した状態の冷媒が流れる。
【0043】
この熱交換器においては、鉛直方向に延びるヘッダから、それぞれ異なる高さ位置からヘッダに貫通する複数の扁平管に、均等に冷媒を分流させなければならないが、重力による影響や、液冷媒の密度がガス冷媒の密度よりも高いことにより、液冷媒がヘッダ内の下方に多く分布することが考えられる。
【0044】
このとき、冷媒が流入していく所定数の扁平管のうち上方に位置する扁平管の内部では、熱交換器が蒸発させようとする液冷媒が減少するといったことが考えられ、熱交換器の蒸発器としての機能を無駄にしてしまうことが想定される。
【0045】
そこで、本実施形態に係る熱交換器10では、複数の扁平管11がヘッダ15に貫通した後、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように、ヘッダ15内におけるその所定数の扁平管11の端部の近傍部分を曲げる。
【0046】
これにより、できるだけ多くの液冷媒を、扁平管11に形成される複数の穴114へ分流させることができるので、冷媒が流入していく所定数の扁平管11のうち上方に位置する扁平管11にも液冷媒を多く流すことができる。
【0047】
よって、ヘッダ15内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制でき、液冷媒の不足による熱交換器10の性能への悪影響を緩和することができる。
【0048】
したがって、熱交換器10の性能が向上する。
【0049】
<第1実施形態に係る熱交換器10の変形例>
(A)
上記実施形態では、端面110は、下を向いていると説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、図4に示すように、端面110は、上を向いていてもよい。
【0050】
この場合であっても、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置を全て同じにすることができるので、多くの液冷媒を扁平管11に形成される複数の穴114へ略均等に流入させることができる。
【0051】
また、この場合、バッフル板18の近傍まで、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置を近付けることで、バッフル板18に衝突した冷媒を、扁平管11に形成された複数の穴114に流入させることもできる。
【0052】
(B)
上記実施形態では、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように、ヘッダ15内にあるそれらの所定数の扁平管11の一部を曲げると説明した。しかし、本発明は、端面110の高さ位置が同じになることだけに限られず、各扁平管11の端面110の高さ位置が同じに近づくように、ヘッダ15内にある所定数の扁平管11の一部を曲げる構成としてもよい。
【0053】
この場合であっても、できるだけ多くの液冷媒を扁平管11に形成される複数の穴114へ流すことができるので、扁平管11の高さ位置の違いによって生じる液冷媒のヘッダ15内の下方への分布を抑制することができる。
【0054】
(C)
上記実施形態では、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように、ヘッダ15の内部にあるその所定数の扁平管11(例えば、図3に示す扁平管11o〜11j)の端部の近傍部分が曲げられると説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じにならなくてもよい。つまり、必ずしも全ての所定数の扁平管11の冷媒が流入する入口となる方の端部の近傍部分を曲げなくてもよい。
【0055】
例えば、上記実施形態の11o〜11jでいうと、1本の扁平管11jのみを曲げて、その扁平管11jの端面110の高さ位置と、他の扁平管11oの端面110の高さ位置を同じにする、または、近付けるような構成をとるだけでもよい。
【0056】
(D)
上記実施形態では、第1ヘッダ151の上部に冷媒出口部151aが形成されていると説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、第2ヘッダ152の上部に冷媒出口部151aが形成される構成としてもよい。また、上記実施形態におけるバッフル板18の本数や位置は、変更されてもよい。
【0057】
冷媒が第1ヘッダ151と第2ヘッダ152との間を1往復、2往復、・・・するようにバッフル板18を設けてもよいし、冷媒が第1ヘッダ151と第2ヘッダ152との間を1往復半、2往復半、・・・するようにバッフル板18を設けてもよい。冷媒が第1ヘッダ151と第2ヘッダ152との間を1往復、2往復、・・・する場合は、第2ヘッダ152の上部に冷媒出口部151aが形成され、冷媒が第1ヘッダ151と第2ヘッダ152との間を1往復半、2往復半、・・・する場合は、第1ヘッダ151の上部に冷媒出口部151aが形成される。
【0058】
(E)
上記実施形態では、熱交換器10は、空調機に用いられると説明したが、この熱交換器10は、他の機器に用いられてもよい。他の機器とは、例えば、ヒートポンプ式の給湯器である。
【0059】
(F)
上記実施形態では、ヘッダ15は鉛直方向に延びると説明したが、ヘッダ15は、鉛直方向に延びるものに限られず、上下に延びていればよい。また、扁平管11は、ヘッダ15の長手に直交する方向に延びると説明したが、これに限られず、ヘッダ15に交差する方向に延びていればよい。
【0060】
(G)
上記実施形態では、第2ヘッダ152の内部にある扁平管11r〜11pの端部の近傍部分、第1ヘッダ151の内部にある11o〜11jの端部の近傍部分および第2ヘッダ扁平管152の内部にある11i〜11aの端部の近傍部分が曲げられると説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、液冷媒とガス冷媒とが混合した状態の冷媒が多く流れる、扁平管群11のうち少なくとも下方に位置する扁平管であって、冷媒の入口となる方の端部(例えば、第2ヘッダ152の内部に位置する扁平管11r〜11pの端部)の近傍部分だけが曲げられる構成としてもよい。
【0061】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る熱交換器100の構成については、ヘッダ15の内部の構成を除いては、第1実施形態に係る熱交換器10とほぼ同様の構成であるので、説明を省略する。なお、第1実施形態と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
第2実施形態に係る熱交換器100では、図5に示すように、第1ヘッダ151の内部において、全ての端面110の高さ位置が同じになるように一部が曲げられた扁平管11o〜11jのその端面110の近傍に、ガス冷媒と液冷媒とを混合させるための整流板80が設けられている。整流板80は、多数の穴80aが形成される。
【0063】
なお、図示はしないが、第2ヘッダ152の内部においても、全ての端面110の高さ位置が同じになるように一部が曲げられた扁平管11i〜11aおよび扁平管11r〜11pのその端面110の近傍にも整流板80が設けられている。
【0064】
(冷媒の流れ)
以下、図1を参照しながら熱交換器100が蒸発器として機能するときの冷媒の流れについて説明する。
【0065】
第2ヘッダ152の外方から第2ヘッダ152の内部へ流入したガス冷媒および液冷媒(矢印A1参照)は、扁平管11r〜11pの端面110の近傍に配置される整流板80に形成されている多数の穴を通る。そして、整流板80に形成される多数の穴80aを通った冷媒は、扁平管11r〜11pに形成される複数の穴114へ流入し、第1ヘッダ151へと向かって流れる。ここで、第1ヘッダ151に到達した冷媒が、多少、密度の相違によりガス冷媒と液冷媒とに分離されていても、また、同じように、扁平管11o〜11jの端面110の近傍に配置される整流板80に形成されている多数の穴80aを通って、ガス冷媒と液冷媒とが混合された冷媒となることができる。そして、ガス冷媒と液冷媒とが混合された状態の冷媒は、扁平管11o〜11jに形成される複数の穴114を通って、第2ヘッダ152へと向かう。そして、第2ヘッダ152へ到達した冷媒は、扁平管11i〜11aの端面110の近傍に配置される整流板80の多数の穴80aを通って、扁平管11i〜11aに形成される複数の穴114へと流入し、第1ヘッダ151へと向かう。扁平管11i〜11aの複数の穴114から第1ヘッダ151へ流出した冷媒は、合流して、冷媒出口部151aから第1ヘッダ151の外方へと出て行く(矢印A2参照)。
【0066】
<第2実施形態に係る熱交換器100の特徴>
第2実施形態に係る熱交換器100が蒸発器として機能するとき、ガス冷媒と液冷媒とが混合した状態の冷媒が、その内部を通る。しかし、液冷媒の密度がガス冷媒の密度よりも高いために、液冷媒とガス冷媒が分離し、液冷媒がヘッダ15内の下方に多く分布する恐れがある。
【0067】
そこで、本実施形態では、冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように一部が曲げられた所定数の扁平管11のその端面110の近傍に、ガス冷媒と液冷媒とを混合させるための整流板80が設けられている。
【0068】
この整流板80には、多数の穴80aが形成されており、この穴80aを、分離されやすいガス冷媒と液冷媒とが通り抜けることにより、ガス冷媒と液冷媒とが混合される。また、この整流板80は、扁平管11の端面110の近傍に設けられているので、ガス冷媒と液冷媒とが混合した状態の冷媒を、すぐに扁平管11に形成された複数の穴114に流すことができる。これにより、上方に位置する扁平管11にも液冷媒が流れるようになり、液冷媒の不足による熱交換器100の性能の無駄を緩和することができる。
【0069】
よって、熱交換器100の性能が向上する。
【0070】
<第2実施形態に係る熱交換器100の変形例>
(A)
上記実施形態では、冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように一部が曲げられた所定数の扁平管11のその端面110の近傍に整流板80が設けられていると説明したが、本発明は整流板80を設ける代わりに、多数の穴が形成されている金属製のポーラス材を設けた構成としてもよい。この金属製のポーラス材は、例えば、発泡アルミ二ウムである。
【0071】
端面110の近傍に、整流板80の代わりに金属製のポーラス材が設けられた場合であっても、密度の相違により分離されやすいガス冷媒と液冷媒とが混合されるので、液冷媒がヘッダ15内の下方に多く分布することを抑制でき、その結果、熱交換器100の性能が向上する。
【0072】
(B)
また、上記実施形態において、冷媒が流入する入口となる方の端部の端面110の高さ位置が全て同じになるように一部が曲げられた所定数の扁平管11のその端面110の近傍に設けた整流板80の代わりに、図6に示すように、ノズル17を設けた構成としてもよい。このノズル17は、冷媒を端面110に案内する機能と、液冷媒を散乱させることにより、ガス冷媒と液冷媒との混合を促進させる機能をもつ。
【0073】
端面110の近傍に、整流板80の代わりにノズル17が設けられた場合であっても、密度の相違により分離されやすいガス冷媒と液冷媒とが混合されるので、液冷媒がヘッダ15内の下方に多く分布することを抑制でき、その結果、熱交換器100の性能が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明では、ヘッダ内の下方に液冷媒が多く分布することを抑制し、熱交換器の性能が向上するので、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】熱交換器の概略構成図。
【図2】図1のII部の拡大斜視図。
【図3】第1実施形態に係る第1ヘッダを、中心軸を通る面で切断した場合の断面図。
【図4】第1実施形態の変形例(A)に係る第1ヘッダを、中心軸を通る面で切断した場合の断面図。
【図5】第2実施形態に係る第1ヘッダを、中心軸を通る面で切断した場合の断面図。
【図6】第2実施形態の変形例(B)に係る第1ヘッダを、中心軸を通る面で切断した場合の断面図。
【符号の説明】
【0076】
10 熱交換器
11 扁平管
15 ヘッダ
17 ノズル(第1部材)
80 整流板(多孔部材)
110 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(10)であって、
上下に延び、前記冷媒が流れるヘッダ(15)と、
前記ヘッダ(15)に交差する方向に延び、異なる高さ位置で前記ヘッダ(15)の外面から内面へと貫通し、端面(110)が前記ヘッダ(15)内に位置する複数の扁平管(11)と、
を備え、
一の前記扁平管(11)の端面(110)である第1端面の高さ位置が、他の前記扁平管(11)の端面(110)である第2端面の高さ位置に近づくように、あるいは、同じになるように、前記ヘッダ(15)内にある一の前記扁平管(11)および/または他の前記扁平管(11)が曲げられる、
熱交換器(10)。
【請求項2】
前記第1端面および/または前記第2端面が、上または下を向いている、
請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項3】
前記第1端面および/または前記第2端面の近傍に配置される、多数の孔が形成された多孔部材(80)または発泡部材をさらに備える、
請求項1または2に記載の熱交換器(10)。
【請求項4】
前記冷媒は、ガス冷媒および液冷媒からなり、
前記ヘッダ(15)内に配置され、前記冷媒を前記第1端面および/または前記第2端面に案内し、かつ、前記ガス冷媒と前記液冷媒との混合を促進する第1部材(17)をさらに備える、
請求項1または2に記載の熱交換器(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−107068(P2010−107068A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277154(P2008−277154)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】