熱交換器
【課題】複数の熱交換器モジュール2を含む熱交換器1において、当該熱交換器モジュール2の交換を容易に行い得る構成を実現する。
【解決手段】熱交換器1は、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュール2と、所定方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4と、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部333と、熱交換器モジュール2と排気ダクト4との間に介在する第2連通部45と、を備える。各熱交換器モジュール2と第1及び第2連通部333,45とはそれぞれ着脱可能に接続されており、各熱交換器モジュール2は、第1及び第2連通部333,45の接続を解除することによって、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成される。
【解決手段】熱交換器1は、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュール2と、所定方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4と、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部333と、熱交換器モジュール2と排気ダクト4との間に介在する第2連通部45と、を備える。各熱交換器モジュール2と第1及び第2連通部333,45とはそれぞれ着脱可能に接続されており、各熱交換器モジュール2は、第1及び第2連通部333,45の接続を解除することによって、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、特に複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
要求される熱交換容量が大きく、一つの熱交換器でそれを満たそうとしたときに熱交換器本体が巨大化してしまうような場合等においては、例えば特許文献1に記載されているように、熱交換器本体を複数の熱交換器モジュールに分割することが知られている。この文献に記載されている熱交換器は、複数の熱交換器モジュールを上下方向に積層して配置すると共に、上下方向に延びる熱交換器モジュールの積層体を間に挟んだ両側のそれぞれに、上下方向に延びる給気ダクト及び排気ダクトを配置して構成されており、多数の連絡管が、各熱交換器モジュールと各ダクトとを互いに連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−178092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したような大型の熱交換器においては、例えば長期間の使用に伴い熱交換器モジュールが劣化することにより、劣化した熱交換器モジュールのみを交換したいという要求が生まれる。
【0005】
ところが、前述した特許文献1には、複数の熱交換器モジュールを上下に積層する熱交換器の構成が、概念的に示されているだけであり、特定の熱交換器モジュールのみを交換可能にするような構成については何ら記載されていない。例えば特許文献1に記載されているような熱交換器を実際に構成しようとすれば、積層した複数の熱交換器モジュールそれぞれを支持する支持体(例えば、筋交いを含むフレーム等の、所定の支持剛性を有する構造体)が必要であると共に、給気ダクト及び排気ダクトを支持する支持体もまた必要である。そのため、特定の熱交換器モジュールを取り出そうとしたときには、連絡管の取り外し作業のための作業口や、熱交換器モジュールの取り出し口を空けるために、例えば支持体の分解等をしなければならない場合が起こり得る。また、特許文献1の図1に示されるように、前記の連絡管は、それに隣り合う熱交換器モジュールに対して上下方向に位置が重なっていることから、例えば上下方向の中間位置に位置する熱交換器モジュールを取り出そうとしたときには、その熱交換器モジュールに接続される連絡管を取り外すだけでなく、当該熱交換器モジュールに干渉する連絡管をも取り外さなければならない。このように特定の熱交換器モジュールのみを取り出そうとしても、それに隣り合う熱交換器モジュールにも影響が及ぶことになる。さらに場合によっては、給気ダクトや排気ダクトの位置をずらさなければ、熱交換器モジュールを取り出すスペースが得られないことも想定され、その場合は、一つの熱交換器モジュールを交換するだけであっても、給気ダクト又は排気ダクトに接続されている連絡管を全て取り外さなければならない。
【0006】
このように複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器において、特定の熱交換器モジュールを交換しようとしても、その作業工数が増大すると共に、作業時間が長時間に及んでしまうのである。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器において、当該熱交換器モジュールの交換を容易に行い得る構成を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、所定方向に並列配置した複数の熱交換器モジュールのそれぞれを、給気及び排気ダクトとを連通する第1及び第2連通部に対し着脱可能に接続する構成を採用すると共に、熱交換器モジュールのそれぞれについて、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成することによって、熱交換器モジュールの交換を個別にかつ容易に行い得るようにした。
【0009】
具体的に、ここに開示する熱交換器は、各々コアを含みかつ、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュールと、前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールに供給する流体が流れる給気ダクトと、前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールを通過した前記流体が流れる排気ダクトと、前記熱交換器モジュールと前記給気ダクトとの間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部と、前記熱交換器モジュールと前記排気ダクトとの間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる第2連通部と、を備える。
【0010】
そして、前記各熱交換器モジュールと前記第1及び第2連通部とはそれぞれ、着脱可能に接続されており、前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部の接続を解除した状態で、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている。
【0011】
この構成によると、熱交換器は、複数の熱交換器モジュールを含んで構成されるため、熱交換器モジュール一つ一つは小型であっても、大きな熱交換容量を達成し得る。
【0012】
各熱交換器モジュールは、第1及び第2連通部を介して給気及び排気ダクトに連通していると共に、第1及び第2連通部は、熱交換器モジュールに対して着脱可能に接続されている。このため、熱交換器モジュールに対する第1及び第2連通部の接続を解除することによって、当該熱交換器モジュールは、給気及び排気ダクトから縁が切れて、そこから引き出し得る状態となる。つまり、熱交換器モジュールを個別に、給気及び排気ダクトから切り離し得る。
【0013】
そうして、前記の構成では、各熱交換器モジュールが、複数の熱交換器モジュールを並列配置した列の方向(所定方向)に直交する方向に引き出し可能に構成していることで、例えばそれに隣り合う熱交換器モジュールに何ら影響を及ぼすことなく、特定の熱交換器モジュールのみを引き出すことが可能になる。つまり、熱交換器モジュールを個別に引き出して、新たな熱交換器モジュールに交換することが容易になり得る。尚、新たな熱交換器モジュールを取り付ける場合には、前記とは逆に、前記所定方向に直交する方向に熱交換器モジュールを押し入れて所定の配設位置に位置付けた後に、当該熱交換器モジュールと第1及び第2連通部とをそれぞれ接続すればよい。
【0014】
前記給気及び排気ダクトは、前記熱交換器モジュールの列を間に挟んだ両側のそれぞれに配置されており、それによって前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部に挟まれており、前記熱交換器は、前記熱交換器モジュールとの接続を解除した前記第1及び第2連通部の少なくとも一方と前記熱交換器モジュールとの隙間を広げる機構をさらに備え、前記熱交換器モジュールは、前記機構によって前記第1及び第2連通部の少なくとも一方との隙間を広げた後に、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている、としてもよい。
【0015】
この構成によると、熱交換器が、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部の少なくと
も一方との隙間を広げる機構を備えているため、当該隙間を広げることによって、その隙間の分だけ熱交換器モジュールの位置を、(第1及び第2連通部による熱交換器モジュールの挟み方向に)ずらすことが可能になる。このことは、熱交換器モジュールを第1及び第2連通部の双方から確実に切り離すことを可能にし、熱交換器モジュールを確実にかつ容易に引き出し得る上で有利になる。例えば、長期間の使用によって、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部との接続部分が互いに貼り付いてしまい、単に接続を解除しただけでは熱交換器モジュールを引き出すことができないことも起こり得るが、前述したように、熱交換器モジュールの位置をずらして、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部とを確実に切り離すことで、熱交換器モジュールの確実な引き出しが保証される。
【0016】
前記第1及び第2連通部の少なくとも一方は、前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように動く可動構造を有しており、前記可動構造を有する連通部が動くことによって当該連通部と前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように構成されている、としてもよい。
【0017】
こうすることで、熱交換器モジュールと連通部との隙間は、可動構造を有する連通部が動くことによって広がり、所定方向に延びる給気ダクト及び排気ダクトを動かす必要がない。このことは、熱交換器モジュールの交換を個別に行う際の作業を、さらに容易化する。
【0018】
前記各熱交換器モジュールは、水平方向に引き出し可能に構成されており、前記熱交換器は、前記熱交換器モジュールの引き出しを案内すると共に、引き出した熱交換器モジュールを支持する引き出し機構をさらに備えている、としてもよい。
【0019】
引き出し機構を利用することで、熱交換器モジュールを水平方向に引き出すと共に、その引き出した熱交換器モジュールをそのまま支持することが可能になるため、熱交換器モジュールの交換作業の効率がさらに向上し得る。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、前記の熱交換器によると、各熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの連通が、熱交換器モジュールに対して着脱可能に接続されている第1及び第2連通部を介して行われているため、交換対象の熱交換器モジュールに対する第1及び第2連通部の接続を解除することによって、熱交換器モジュールを個別に、給気及び排気ダクトから切り離し得ると共に、各熱交換器モジュールが、モジュールの並列方向に直交する方向に引き出し可能に構成されていることで、熱交換器モジュールを個別に引き出し可能であり、モジュールの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】熱交換器の正面図である。
【図2】熱交換器の側面図である。
【図3】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの連結部分を拡大して示す拡大側面図(一部断面図)である。
【図4】給気ダクト同士の連結部分を拡大して示す拡大正面図である。
【図5】排気ダクト同士の連結部分を拡大して示す正面図である。
【図6】熱交換器モジュールをジャッキアップした状態を示す図3対応図である。
【図7】図6に示す状態での正面図である。
【図8】熱交換器モジュールを引き出した状態を示す図2対応図である。
【図9】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置の別の構成と、熱交換器モジュールの引き出し方向と、を概略的に示す側面図である。
【図10】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置のさらに別の構成と、熱交換器モジュールの引き出し方向と、を概略的に示す側面図である。
【図11】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置のさらに別の構成を概略的に示す、(a)正面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、熱交換器の実施形態を図面を参照しながら説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1,2は、熱交換器1の全体構成を示している。この熱交換器1は、例えばガスタービンの再生器として利用され得る熱交換器であり、この熱交換器1は、要求される熱交換容量を達成する上で、所定容量の熱交換器モジュール2を複数個(図例では6個)備えるように構成されている。6個の熱交換器モジュール2は、水平方向に一列に並んで配置されている。以下、説明の便宜上、この熱交換器モジュール2の並び方向を、左右方向(つまり、図1の左右方向)と呼び、それに直交する方向、つまり図2における左右方向を、前後方向と呼ぶ。熱交換器1はまた、複数の熱交換器モジュール2の他に、ガスタービンの排ガスの給排に係る給気ダクト3及び排気ダクト4と、排ガスとの熱交換を行うコンプレッサからの圧縮空気の給排に係る入側ヘッダー配管5及び出側ヘッダー配管6とを、主要部品として備えて構成されている。
【0023】
各熱交換器モジュール2は、この例では、その本体部が、左右方向の寸法(幅)、及び、上下方向の寸法(長さ)に比べて、前後方向の寸法(高さ)が高い、全体として概ね直方体形状を有している。本体部の詳細な内部構成の図示は省略するが、この熱交換器モジュール2は、プレートフィン型の熱交換器コアを2つ備え(第1コア21及び第2コア22)、図3に示すように、その2つのコア21,22が前後方向に並んだ状態で内蔵されている。このように各熱交換器モジュール2は、いわゆる、二個一に構成されている。プレートフィン型である各コア21,22の、流路の積層方向は、図示は省略するが前後方向に設定されている。尚、熱交換器モジュール2の構成としてはこれに限定されるものではなく、コアは一つであってもよいし、三個以上のコアを含んでいてもよい。また、熱交換器モジュール2のコアは、プレートフィン型に限定されるものではなく、その他の形式のコアを採用することも可能である。また、プレートフィン型のコアにおいて、2次伝熱面(拡大伝熱面)となるコルゲートフィンの形式も特に限定されるものではなく、例えばプレーン型、パーホレート型、ルーバー型、ヘリンボーン型及びセレート型等から、要求性能に応じて適宜の形式を採用すればよい。
【0024】
図3に示すように、各熱交換器モジュール2は、その下端部に、当該熱交換器モジュール2を給気ダクト3の載置面に固定するためのフランジ25が設けられていると共に、その下面には、給気ダクト3からのガスタービン排ガスが流入するための流入口211,221が、2つのコア21,22に対応して、前後方向に2つ並んで開口している。また、各熱交換器モジュール2の上端部は、詳しくは後述するが、当該熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを、流体の流通可能に連結する連通部材45が取付可能に構成されていると共に、その上面には、各コア21,22からのガスタービン排ガスを排気ダクト4に排出するための流出口212,222が、2つのコア21,22に対応して、前後方向に2つ並んで開口している。この構成により、ガスタービンの排ガスは、熱交換器モジュール2の下面からその内部に流入して、各コア21,22内を上向きに流れた後に、熱交換器モジュール2の上面から排気されることになる。
【0025】
また、熱交換器モジュール2には、前記圧縮空気が前記各コア21,22内に流入する
ための空気流入管23と、その圧縮空気が各コア21,22から流出するための、空気流入管23よりも径の大きい空気流出管24と、のそれぞれが取り付けられている。空気流入管23は、第1及び第2の2つの空気流入管231,232を含んでおり、第1及び第2空気流入管231,232の基端はそれぞれ、前記第1及び第2コア21,22に連通するように、熱交換器モジュール2の本体部の左右一方の側面における相対的に前側の位置と、後側の位置とに固定されている。第1及び第2空気流入管231,232はそれぞれ、当該一方の側面に沿って前方に延びており、第1及び第2空気流入管231,232の先端に設けられたフランジ233,234は、それぞれ前向きとなるように配置されていると共に、上下方向に並んで配置されている。
【0026】
空気流出管24もまた、第1及び第2の2つの空気流出管241,242を含んでおり、第1及び第2空気流出管241,242の基端はそれぞれ、前記空気流入管23とは逆側の、前記熱交換器モジュール2の本体部の他方の側面において、前記第1及び第2コア21,22に連通するように相対的に前側の位置と、後側の位置とに固定されている(図3参照)。第1及び第2空気流出管241,242もまた、それぞれ当該他方の側面に沿って前方に延びており、第1及び第2空気流出管241,242の先端に設けられたフランジ243,244は、それぞれ前向きとなるように配置されていると共に、上下方向に並んで配置されている。
【0027】
ここで、図1に端的に示されるように、6個の熱交換器モジュール2は、左右方向の中央位置で左右対称となるように構成されており、正面に向かって左側に配置される3つの熱交換器モジュール2は、空気流入管23が、熱交換器モジュール2の本体部の右側面に取り付けられ、空気流出管24が、左側面に取り付けられるのに対し、正面に向かって右側に配置される3つの熱交換器モジュール2は、空気流入管23が、本体部の左側面に取り付けられ、空気流出管24が、右側面に取り付けられる。尚、6個の熱交換器モジュール2を、全て同一の構成としてもよい。
【0028】
従って圧縮空気は、熱交換器モジュール2に対して、その側面からモジュール2の内部に流入して、各コア21,22内を左右方向に流れた後に、反対側の側面から排気されることになる。
【0029】
このような熱交換器モジュール2は、例えば工場において製造されて、圧力容器として必要な検査乃至認証を受けた状態で、熱交換器1の設置場所に運搬されることになる。後述するように熱交換器モジュール2は、現地においてボルト・ナットの締結によりダクト等に連結されるだけであるため、熱交換器1の現地組み立て後に、圧力容器として必要な検査乃至認証を再度受ける必要はない。
【0030】
各熱交換器モジュール2の各空気流入管231,232は、図2に示すように、入側ヘッダー配管5に対してそれぞれ接続されている。入側ヘッダー配管5は、熱交換器1の前面における上部に配置され(具体的には、フレーム72上に配置され)かつ、左右方向に延びて配設されている。入側ヘッダー配管5にはまた、その左右方向の中央位置に、空気流入口51が前向きに開口して形成されていると共に、左右方向の途中位置には、前記各熱交換器モジュール2の各空気流入管231,232に対応して、複数の(図例では12個)の、フランジ付き分岐管52が一体に設けられている。尚、図例ではフランジは下向きであるが、フランジの向きは適宜設定すればよい。各分岐管52と、各空気流入管231,232とは、連通管53を介して互いに連通される(尚、図1では理解容易のため、連通管53の図示を省略する)。ここで、各空気流入管231,232のフランジ233,234と連通管53のフランジとは、前後方向に対向する。
【0031】
また、各熱交換器モジュール2の各空気流出管241,242は、出側ヘッダー配管6に対してそれぞれ接続されており、出側ヘッダー配管6は、熱交換器1の前面における下部に配置され(具体的には、基礎71上に配置され)かつ、左右方向に延びて配設されている。出側ヘッダー配管6にはまた、入側ヘッダー配管5と同様に、その左右方向の中央位置に、空気流出口61が前向きに開口して形成されていると共に、左右方向の途中位置には、前記各熱交換器モジュール2の各空気流出管241,242に対応して、複数の(図例では12個)の、フランジ付き分岐管62が一体に設けられている。尚、図例ではフランジは上向きであるが、フランジの向きは適宜設定すればよい。各分岐管62と、各空気流出管241,242とは、連通管63を介して互いに連通される(尚、図1では、連通管53と同様に、連通管63の図示を省略する)。ここで、各空気流出管241,242のフランジ243,244と連通管63のフランジとは、前記各空気流入管231,232のフランジ233,234と連通管53のフランジとの向きと同様に、前後方向に対向する。
【0032】
尚、連通管53,63と、熱交換器モジュール2の空気流入管231,232及び空気流出管241,242との接続は、その端部のフランジ同士を、図示は省略するがボルト・ナットによって締結することによって行われる。従って、連通管53,63と、熱交換器モジュール2の空気流入管231,232及び空気流出管241,242とは、ボルト・ナットを取り外すことによって、その接続を容易に解除することが可能である。
【0033】
ここで、入側ヘッダー配管5の流入口、出側ヘッダー配管6の流出口の位置は、左右方向に中央位置に限定されるものではなく、例えば各ヘッダー配管5,6の、左右いずれかの端部に形成してもよい。また、流入口及び流出口を複数個形成してもよく、この場合、複数の熱交換器モジュール2に対する空気の供給及び排出の均一化を図る上で、複数の流入口又は流出口は、左右方向に均等配置としてもよい。
【0034】
給気ダクト3は、図3等に示すように、断面矩形状の中空ダクトであり、詳しくは後述するが、予め構築された基礎71の上に固定されかつ、左右方向に延びて配設されている。給気ダクト3の一端(図1の左端)には、ガスタービンの排ガスが流入する流入口(図示省略)が開口した流入口部材31が配置されていると共に、他端(図1の右端)の開口は、蓋部材32によって閉塞されている。
【0035】
給気ダクト3は、左右方向に複数に分割された分割ダクト33から構成されており、この例では給気ダクト3は、熱交換器モジュール2の一つ一つに対応するように、6個の分割ダクト33に分割されている。尚、分割ダクト33は、熱交換器モジュール2に対して1対1対応としなくてもよく、例えば2個の熱交換器モジュール2に対して1個の分割ダクト33となるように2対1対応としたり、3対1対応としたりしてもよい。分割ダクト33の分割数は、例えばそれの運搬を考慮して、分割ダクト33の一つ当たりの長さが所定長さ以下となるように設定してもよい。
【0036】
各分割ダクト33には、図4に拡大して示すように、その左右の両端部にフランジ331が一体形成されており、分割ダクト33同士(前記流入口部材31及び蓋部材32を含む)は、フランジ331同士をボルト・ナット332によって締結することによって、互いに連結されている。従って、分割ダクト33同士の連結は、現地において極めて容易に行い得る。
【0037】
各分割ダクト33は、その上面に、図3,4等に示すように、前記熱交換器モジュール2が載置されて固定される載置面333を有しており、熱交換器モジュール2(その下端部のフランジ25)と前記載置面333とは、ボルト・ナット335による締結によって互いに固定される。従って、この熱交換器モジュール2と、給気ダクト3との連結もまた、現地において極めて容易に行い得る。それと共に、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との連結解除を、ボルト・ナット335の取り外しにより容易に行い得る。載置面333にはまた、給気ダクト3の内部空間に連通する連通孔34,34が、前後方向に2つ並んで形成されており、熱交換器モジュール2を載置面333に対して固定したときには、連通孔34,34及び流入口211,221が連続することによって、この連通孔34,34及び流入口211,221を通じて、熱交換器モジュール2(第1及び第2コア21,22)と給気ダクト3とが互いに連通することになる。こうして、この載置面333を含む分割ダクト33の上面部が、給気ダクト3と各熱交換器モジュール2との間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる(第1)連通部を構成する。尚、給気ダクト3と各熱交換器モジュール2との間に、伸縮管(ベローズ)を介在させるようにして、例えば熱膨張の吸収や、熱交換器1の組み立ての際の寸法調整を行うようにしてもよい。
【0038】
このように熱交換器モジュール2が載置される各分割ダクト33は、その熱交換器モジュール2を支持するように構成されている。具体的には、各分割ダクト33には、熱交換器モジュール2の支持に必要な強度を得るために、例えば図4等に示すように、補強部材334が適宜取り付けられている。各分割ダクト33及びそれらを連結した給気ダクト3は、各熱交換器モジュール2にガスタービン排ガスを分配供給するためのダクトとしての機能と、各熱交換器モジュール2を支持する支持構造体としての機能とを有している。
【0039】
排気ダクト4は、給気ダクト3と同様に、図3等に示すように断面矩形状の中空ダクトであり、左右方向に延びて配設されている。この排気ダクト4は、熱交換器モジュール2及び給気ダクト3を囲むように構築されたフレーム72上に固定されており、これにより排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の上方に配置されている。このように排気ダクトは、フレーム72に固定されているため、熱交換器モジュール2とは異なり、給気ダクト3には支持されていない。逆に言うと、給気ダクト3は、熱交換器モジュール2のみを支持するように構成され、それに必要な程度の強度を有していればよく、給気ダクト3の強度を、無駄に高める必要はない。
【0040】
排気ダクト4の一端(図1の左端)の開口は、蓋部材42によって閉塞されている一方、他端(図1の右端)には、熱交換器モジュール2を通過した後の、ガスタービン排ガスが流出する流出口(図2参照)が開口した流出口部材41が配置されている。そうしてこの排気ダクト4も、左右方向に複数に分割された分割ダクト43から構成されており、この例では排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の一つ一つに対応するように、6個の分割ダクト43に分割されている。これにより、この熱交換器1では、熱交換器モジュール2、給気ダクト3の分割ダクト33及び排気ダクト4の分割ダクト43が、1対1対1に対応している。尚、排気ダクト4の分割ダクト43は、熱交換器モジュール2に対して1対1対応としなくてもよい点は、給気ダクト3の場合と同じである。図5に示すように、各分割ダクト43には、その左右の両端部にフランジ431が一体形成されており、分割ダクト43同士(前記流出口部材41及び蓋部材42を含む)は、フランジ431同士をボルト・ナット432によって締結することによって、互いに連結されている。従って、分割ダクト43同士の連結は、現地において極めて容易に行い得る。尚、排気ダクト4を分割構成とせずに、一体構成としてもよい。
【0041】
そうしてこの排気ダクト4は、給気ダクト3とは異なり、熱交換器モジュール2を支持する構成を有しておらず、各熱交換器モジュール2からの排気を集合して排気するダクトとしての機能のみを有し、支持構造体としての機能は有していない。しかも、熱交換器モジュール2を通過した比較的低温のガスタービン排ガスが流れるのみであるため、排気ダクト4及びその分割ダクト43は、給気ダクト3及びその分割ダクト33と比較して、補強部材等を有しない簡易な構造にすることが可能である。
【0042】
このように排気ダクト4の構成が簡略化していることから、それを支持するフレーム72の構造もまた簡略化している。具体的には、フレーム72において前記熱交換器モジュール2の配置高さに相当する部分の、前側及び後側には、筋交い等の補強部材が不要となり、このことは、前側においては、各熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24に接続される連通管53,63と筋交いとが干渉してしまうことを回避して、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とのレイアウトの自由度を高めると共に、それらの接続及び切り離し(ボルト・ナットの締結及び取り外し)を容易にし得る。一方、後側においては、後述するように、各熱交換器モジュール2が通過し得る開口が形成されていることと等価であり、熱交換器モジュール2の引き出し及び押し入れを容易に実現し得る。尚、図示は省略するが、フレーム72において前記給気ダクト3の配置高さに相当する部分の前側及び後側には、必要に応じて、筋交い等の補強部材を設けてもよい。
【0043】
排気ダクト4と各熱交換器モジュール2とは、図3等に示すように、連通部材45を介して互いに連通している。連通部材45の内部には、排気ダクト4に連通すると共に、下端に開口する連通孔453が形成されている。連通部材45は、各熱交換器モジュール2の第1及び第2コア21,22に対応して、分割ダクト43毎に2つ設けられており、2つの連通部材45,45は、分割ダクト43の下面に対して、前後方向に並んで配置されている。各連通部材45はまた、下向きに延びて配設されており、その下端部に、各熱交換器モジュール2の上面に固定するためのフランジ451が一体形成されている。そうして、熱交換器モジュール2と前記連通部材45とは、ボルト452による締結によって、互いに固定されるように構成されており、これによって、熱交換器モジュール2と、排気ダクト4との連結もまた、現地において極めて容易に行い得ることになる。それと共に、熱交換器モジュール2と連通部材45(排気ダクト4)との連結解除を、ボルト452の取り外しにより容易に行い得る。熱交換器モジュール2に対して、連通部材45を固定することによって、連通孔453,453及び熱交換器モジュール2の流出口212,222が連続することになり、この連通孔453,453及び流出口212,222を通じて、熱交換器モジュール2(第1及び第2コア21,22)と排気ダクト4とが互いに連通することになる。この連通部材45が、排気ダクト4と各熱交換器モジュール2との間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる(第2)連通部を構成する。尚、この連通部材45は可動式に構成されているが、このことについての詳細は後述する。
【0044】
この構成の熱交換器1では、給気ダクト3(分割ダクト33)が、支持構造体としての機能を有していることで、熱交換器1の設置面積を可及的に小さくし得る点で有利である。また、この熱交換器1は、熱交換器モジュール2を水平方向に並べて配置しているため、例えば熱交換器モジュール2を鉛直方向に並べる配置とは異なり、一つの分割ダクト33は一つの熱交換器モジュール2のみを支持すればよい。つまり、熱交換器モジュール2の横並べ構造は、熱交換器1の設置に係る単位面積当たりの重量を小さくし、その支持構造を比較的簡略化し得るという利点がある。
【0045】
さらに、熱交換器モジュール2の並列構成は、熱交換器モジュール2の数の増減によって熱交換器1の能力調整が可能であるため、要求される熱交換容量を満たすように、熱交換器モジュール2の1個単位で能力調整を行い得る。また、水平に並んで配置される熱交換器モジュール2の数に応じて、給気ダクト3及び排気ダクト4の全長を変える必要があるところ、前述したように、給気ダクト3及び排気ダクト4は、熱交換器モジュール2に対して1対1となるように分割されているため、熱交換器モジュール2の数に応じて、給気ダクト3及び排気ダクト4の分割ダクト33,43の必要数を決めればよく、具体的に、給気ダクト3及び排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の数と同数の分割ダクト33,43によって構成すればよい。このことは、様々な要求容量に対する、熱交換器1の設計を容易にするという利点がある。特に、前述したように、この熱交換器1は、熱交換器
モジュール2の横並べ構造を採用しているため、熱交換器モジュール2の数が増減しても、その支持構造自体の変更はほとんど必要ない。このこともまた、熱交換器1の設計を容易にする上で有利である。
【0046】
この熱交換器1は、例えば劣化等によって熱交換器モジュール2の交換が必要となった場合に、熱交換器モジュール2を個別に、しかも容易に交換可能に構成されていることを特徴とする。以下、そのモジュール交換に関係する構成について、図面を参照しながら説明する。
【0047】
前記排気ダクト4と各熱交換器モジュール2とを互いに連通させる各連通部材45は、図3,6に示すように、排気ダクト4に対して上下方向にスライド移動可能に取り付けられている。すなわち、排気ダクト4は、その下面に、各連通部材45を上下方向にスライド移動可能に支持する支持部44を有しており、支持部44に対し支持された各連通部材45は、相対的に下方に位置して熱交換器モジュール2に当接した状態と、相対的に上方に位置して熱交換器モジュール2から離れた状態と、に状態を変化させることが可能に構成されている。各連通部材45と支持部44との間には、例えばグランドパッキンのようなシール部材46が介在しており、これによって、各連通部材45はスライド移動可能でありながら、各連通部材45と支持部44との間のシール性が確保されている。このように、各連通部材45が可動構造を有していることで、図6に示すように、ボルト452を取り外して連通部材45を上方に移動させることにより、熱交換器モジュール2と連通部材45(つまり排気ダクト4)との接続が、確実に切り離されると共に、熱交換器モジュール2の上方には、連通部材45との間に所定の隙間が形成されることになる。
【0048】
一方、各熱交換器モジュール2の前面及び後面にはそれぞれ、図3,6,7に示すように、油圧ジャッキ83のピストンが当接する一対の受け部26が一体に設けられている。ここで油圧ジャッキ83は、熱交換器モジュール2の交換の際に、熱交換器モジュールの前側及び後側のそれぞれにおいて、左右に一つずつの合計4個が、給気ダクト3の上面に設置されるものである。尚、ここでは、油圧ジャッキ83を熱交換器モジュール2の交換の際にのみ給気ダクト3上に設置し、熱交換器1の通常の運転時にはこれを取り外すようにしているが、ジャッキアップ機構を、各熱交換器モジュール2に対応するように予め熱交換器1に(例えば給気ダクト3に)設けておいてもよい。
【0049】
前述したように連通部材45を上方にスライド移動させて、熱交換器モジュール2の上方に所定の隙間が形成されることによって、各油圧ジャッキ83に油圧を供給したときには、熱交換器モジュール2を上方に持ち上げることが可能になる。これによって、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との接続が、確実に切り離されると共に、熱交換器モジュール2の下方には、載置面333との間に所定の隙間が形成されることになる(図6,7参照)。
【0050】
熱交換器モジュール2の交換の際には、図7,8に示す交換用サブフレーム8が用いられる。このサブフレーム8は、左右方向に所定幅を空けて、互いに平行にかつ前後方向に延びる一対のレール81,81と、各レール81の後端部を支持する脚部82とを備えて構成されている。各レール81には、図7に示すように、左右方向に延びる回転軸を有する多数のローラ811がレールに沿って並んで配置されており、各レール81は、いわゆるローラコンベアと同様の構成を有している。従って、このサブフレーム8は、熱交換器モジュール2を、レール81に沿って前後方向に移動させる(つまり、前後方向に案内する)機能を有している。
【0051】
サブフレーム8は、熱交換器モジュール2の交換の際には、熱交換器1の後側において、交換対象の熱交換器モジュール2に対応する左右方向の位置に配置される。そうして、
ジャッキアップによって形成された熱交換器モジュール2の下面と載置面333との間の隙間に、一対のレール81,81が熱交換器1の後側から前方に向かって挿入されて、レール81の前部が、給気ダクト3の載置面333に支持される一方、図8に示すように、レール81の後部は、脚部82が支持することによって、一対のレール81が前後方向にかつ水平に配設されることになる。
【0052】
次に、熱交換器モジュール2の交換手順について説明する。先ず、交換対象の熱交換器モジュール2について、ボルト・ナット335を取り外して給気ダクト3との連結解除を行うと共に、ボルト452の取り外しによって連通部材45との連結解除を行う。また、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63との接続解除も、ボルト・ナットを取り外すことによって行う。ここで、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63との接続箇所は全て、熱交換器1の前側に設定されているため、そのボルト・ナットの取り外し作業を、容易にかつ作業性良く行い得る。
【0053】
そうして、全ての締結を取り外せば、前述したように、各連通部材45を上方へとスライド移動させ、それによって、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離す(図6参照)。このように、連通部材45が可動構成を有していることで、排気ダクト4を動かさなくても、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離すことが可能になると共に、熱交換器モジュール2と連通部材45との隙間を広げることが可能になる。換言すれば、交換対象の熱交換器モジュール2のみを、排気ダクト4及び連通部材45から切り離して、その上方に空間を形成することが可能になる。尚、長期間の使用によって、熱交換器モジュール2と連通部材45とが互いに貼り付いた状態になっていても、連通部材45が可動構成を有しているため、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離すことは容易に行い得る。
【0054】
次に、油圧ジャッキ83を、給気ダクト3の上面の所定の位置に設置し、図6,7に示すように、当該油圧ジャッキ83により熱交換器モジュール2を上方に持ち上げる。こうして、交換対象の熱交換器モジュール2のみを、給気ダクト3(載置面333)から完全に切り離す。尚、熱交換器モジュール2と載置面333とが互いに貼り付いた状態になっていても、互いに完全に切り離すことは容易に行い得る。このときに、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とは、前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、図6に示すように、熱交換器モジュール2をジャッキアップしたときに、両フランジが干渉し合うことがない。尚、連通管53,63と分岐管52,62との接続も解除して、連通管53,63を完全に取り外しておいてもよい。
【0055】
こうして熱交換器モジュール2をジャッキアップした状態で、前述したように、サブフレーム8のレール81を、熱交換器モジュール2の下面と載置面333との間の隙間に挿入すると共に、油圧ジャッキ83の油圧を抜いて、ジャッキアップした熱交換器モジュール2を降ろす。こうして、熱交換器モジュール2はレール81上に載置されることになる。レール81に設けられたローラ811が転動することによって、熱交換器モジュール2は、レール81に沿って容易に熱交換器1の後方に移動させることができる。このときに、フレーム72の後側には、筋交い等が存在していないため、後方に移動する熱交換器モジュール2の障害はなく、また、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とは、前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、熱交換器モジュール2を後方に移動させるときにも、両フランジが干渉し合うことがない。従って、図8に仮想的に示すように、熱交換器モジュール2を、フレーム72の外へと容易に引き出すことができる。
【0056】
尚、こうして交換対象の熱交換器モジュール2を引き出した後に、新しい熱交換器モジュール2を取り付けるときには、前記とは逆の手順を踏めばよい。つまり、レール81上に載置した新たな熱交換器モジュール2を、そのレール81に沿って前方へと移動させて、当該熱交換器モジュール2を所定位置に位置付けると共に、油圧ジャッキ83を用いて熱交換器モジュール2を、一旦ジャッキアップして、サブフレーム8を取り外した後に、熱交換器モジュール2を載置面333上に載置すればよい。その後は、ボルト・ナット335及びボルト452により、熱交換器モジュール2と、給気ダクト3及び連通部材45とを互いに連結すると共に、同じくボルト・ナットを通じて、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とを互いに接続する。こうして、熱交換器モジュール2の交換が完了する。
【0057】
このように、この熱交換器1では、左右方向に並んだ複数の熱交換器モジュール2の内の、特定の熱交換器モジュール2のみをダクト等から切り離して後方に引き出すこと、及び、熱交換器モジュール2を前方に押し入れて所定位置に設置することが可能に構成されている。つまり、複数の熱交換器モジュール2を左右方向に並べて配置する一方で、同じく左右方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4は、その熱交換器モジュール2の列を挟むように、熱交換器モジュール2の列の下側及び上側のそれぞれに配置しているため、熱交換器モジュール2を配置した高さ位置においては、少なくとも熱交換機1の後側が開放されることになり、熱交換器モジュール2の引き出し及び押し入れが容易に行い得る。
【0058】
また、図1に端的に示されるように、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24は、その隣り合う熱交換器モジュール2(空気流入管23及び空気流出管24を含む)に対して、所定の間隔を空けて配置されており、熱交換器モジュール2は、互いに干渉し合わない。従って、特定の熱交換器モジュール2を後方に引き出す際に、他の熱交換器モジュール2との関係において何ら支障はなく、このこともまた、熱交換器モジュール2の個別の交換を容易にする上で、有利な構成である。
【0059】
さらに、熱交換器モジュール2を左右方向に並べることによって、熱交換器モジュール2が配設される高さ位置は互いに同じになる。このことは、熱交換器モジュール2の交換に用いられる前記サブフレーム8の構成が簡略化、つまりレール81の高さ位置を一定にできる点で有利であると共に、そのサブフレーム8の設置位置を左右方向に移動させるだけで全ての熱交換器モジュール2の交換を行い得るため、熱交換器モジュール2の交換作業のさらなる容易化が図られる。尚、サブフレーム8を左右方向に案内して、交換対象の熱交換器モジュール2の位置に容易に移動し得るように、図示は省略するが、熱交換器1の後側に左右方向に延びる案内レールを予め敷設しておき、サブフレーム8を案内レールに沿って左右方向に移動させてもよい。
【0060】
またさらに、熱交換器モジュール2の上側に配置される排気ダクト4は、前述の通り、簡易な構成であり、それに伴いこの排気ダクト4を支持するフレーム72もまた、簡易な構成にすることが可能になる。このことにより、複数の熱交換器モジュール2はフレーム72の内部に配設されるものの、熱交換器モジュール2を配置した高さ位置においては、筋交い等の補強部材を省略して、熱交換器モジュール2を出し入れする開口とすることが可能になり、このこともまた、熱交換器モジュール2の引き出す及び押し入れを容易にし得る構成である。つまり、ダクトを支持するフレーム72は、熱交換器モジュール2が通過する開口を有している、ということができる。
【0061】
加えて、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24と、それに接続される連通管53,63とは、熱交換器1の前側において前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、熱交換器モジュール2をジャッキアップする際にも、また、熱交換器モジュール2を後方に及び前方に移動させるときにも、両フランジが干渉し合うことがなく、このこともまた、熱交換器モジュール2の交換作業性を高める上で有利な構成である。
【0062】
さらに、熱交換器モジュール2は、個別にダクト3,4やヘッダー配管5,6に接続されているため、そのダクト3,4やヘッダー配管5,6から個別に切り離すことが可能であると共に、その接続箇所にはボルト・ナット等の締結手段を採用しているため、締結手段の締結及び取り外しによって、熱交換器モジュール2の接続及び切り離しは容易かつ簡易である。このことは交換作業の作業性を向上させる。
【0063】
そうして、前記の熱交換器1では、熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを連通させる連通部材45が可動構成を有していることで、排気ダクト4を動かさなくても、交換対象の熱交換器モジュール2と連通部材45との間の隙間を広げることが可能になる。このことは、熱交換器モジュール2をジャッキアップして、熱交換器モジュール2の下側にレール81の挿入を可能にする上で有利であると共に、前述したように熱交換器モジュール2と連通部材45とが互いに貼り付いていたり、熱交換器モジュール2と給気ダクト3の載置面333とが互いに貼り付いていたりしたときに、これらを完全に切り離すことを容易に行い得る点で有利である。ここで連通部材45の可動構成としては、連通部材45を伸縮可能なベローズによって構成することで実現してもよい。この構成では、連通部材45を縮めることによって、当該連通部材45と熱交換器モジュール2との隙間が広がるようになる。
【0064】
尚、前記の構成では、熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを連通させる連通部材45が可動構成を有しているが、例えば熱交換器モジュール2と給気ダクト3とを連通させる連通部である、載置面333を含む分割ダクト33の上面部を可動構成として、熱交換器モジュール2の下面と載置面333との隙間を広げるようにしてもよい。その場合に可動構成の具体例としては特に限定されるものではなく、前述したように、分割ダクト33の上面部を上下に変位可能に構成してもよいし、ベローズを採用してもよい。また、両方を可動構成として、熱交換器モジュール2の上側及び下側のそれぞれの隙間を広げるようにしてもよい。さらに、連通部材45の可動構成を省略してもよく、この場合は、排気ダクト4が、複数の分割ダクト43から構成されていることを利用して、熱交換器モジュール2、連通部材45及び分割ダクト43(但し、隣接する分割ダクト43との接続は解除している)を一体として、油圧ジャッキ83により持ち上げるようにしてもよい。
【0065】
また、前記の構成では、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24と、それに接続される連通管53,63との接続部分を熱交換器1の前側に設定しているが、それを、熱交換器1の後側にしてもよい。但しこの場合、熱交換器モジュール2を後方又は前方に移動させる際の干渉を回避すべく、それらの接続部分は、熱交換器モジュール2の設置高さに対して上下方向にずらすことが望ましい。
【0066】
さらに、前記の熱交換器1は、給気ダクト3、熱交換器モジュール2、排気ダクト4の順に、これらを下から上に積層配置しているが、給気ダクト3、熱交換器モジュール2及び排気ダクト4の配置はこれに限らず、その順番を逆にしてもよい。また、上下方向に並べるのではなく、例えば図9に示すように、熱交換器モジュール2に対して、給気ダクト3を下側に、排気ダクト4を側方にそれぞれ配置して、側面視で逆L字型となるようにしてもよい。この場合においては、同図に仮想線で示すように、熱交換器モジュール2は、例えば後方に引き出すようにしてもよいし、上方に引き出すようにしてもよい。尚、図9において給気ダクト3及び排気ダクト4を入れ替えてもよく、さらに、側面視で例えばL字型となるように、例えば熱交換器モジュール2に対して、給気ダクト3を側方に、排気ダクト4を上方にそれぞれ配置してもよい。この場合においては、熱交換器モジュール2は、例えば前方又は後方に引き出すようにすればよい。
【0067】
また、例えば図10に、側面視で示すように、給気ダクト3、熱交換器モジュール2及
び排気ダクト4をそれぞれ、前後方向に、水平に並べて配置してもよい。給気ダクト3、熱交換器モジュール2及び排気ダクト4の配置の順番に特に制限はない。この場合は、同図に仮想線で示すように、熱交換器モジュール2は、例えば上方に引き出すようにしてもよい。
【0068】
さらに、図11に概略的に示すように、熱交換器モジュール2を上下方向に並べて配置すると共に、その熱交換器モジュール2の列を間に挟んだ両側のそれぞれに、上下方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4を配置して、熱交換器10を構成してもよい。ここで、同図に示す熱交換器10では、各熱交換器モジュール2と給気ダクト3とを互いに連通する第1連通部91、及び、各熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを互いに連通する第2連通部92をそれぞれ、水平方向に延びて配設している。このことにより、各連通部91,92は、それに隣接する熱交換器モジュール2及び連通部91,92とは干渉しない。また、第1及び第2連通部91,92の内、第1連通部91を伸縮可能なベローズによって構成しており、このベローズによって熱膨張を吸収すると共に、各熱交換器モジュール2の交換の際には、前記と同様に、熱交換器1と第1及び第2連通部91,92との隙間を広げることを可能にしている。この場合、各熱交換器モジュール2は、同図(b)に仮想線で示すように水平方向に引き出すようにすれば、給気ダクト3、排気ダクト
4及び各連通部91,92とは干渉することなしに、熱交換器モジュール2を引き出すことが可能である。そのために、熱交換器モジュール2の引き出し側は、例えば熱交換器モジュール2を支持するフレーム等に、熱交換器モジュール2の通過可能な開口を、予め設けておくことが望ましい。また、引き出した熱交換器モジュール2を支持するサブフレーム9は、上下方向に並んだ熱交換器モジュール2の配置高さのそれぞれに対応するように、上下方向に昇降可能に構成してもよい。
【0069】
また、熱交換器1において、給気ダクト3及び/又は排気ダクト4を、分割ダクトとせずに、所定方向に延びる、一体のダクトとしてもよい。
【0070】
サブフレーム8を、折りたたみ可能に構成することによって、例えば不使用時には、所定の収納場所に収納可能にしてもよい。またサブフレームの構成としては、熱交換器モジュール2の移動を案内する機能と、引き出した熱交換器モジュール2を支持する機能とを分離すべく、案内する機能としてのレールを例えば給気ダクト3の上面に予め配設しておく一方で、引き出した熱交換器モジュール2を支持するための支持台を、熱交換器1に隣接して設置するようにしてもよい。さらに、サブフレームとしては、給気ダクト3の上面に配置して熱交換器モジュールを載置した台(前記のレールに対応する)ごと引き出すようにし、その引き出しに伴い折り畳んだ脚部が自動的に展開するようにして、台及びそこに載置した熱交換器モジュール2を支持するような構成を採用してもよい。
【0071】
さらに、熱交換器1の組み立てに係る締結手段としては、ボルト・ナットに限定されるものではなく、例えばクランプやクリップ等の部材同士を挟み込むことにより、分割ダクト同士や、分割ダクトと熱交換器モジュールとを締結するような手段を採用してもよい。この場合も、熱交換器モジュール2の交換作業の効率化が図られる。また、熱交換器1における締結箇所に応じて、ボルト・ナット、クランプ、クリップ等を使い分けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、ここに開示した熱交換器は、特に熱交換器モジュールの交換に係る作業性を向上させることができるから、複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器について有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 熱交換器
2 熱交換器モジュール
21 第1コア
22 第2コア
3 給気ダクト(第1ダクト)
33 分割ダクト(給気ダクト)
332 ボルト・ナット(締結手段)
333 載置面(第1連通部)
4 排気ダクト(第2ダクト)
43 分割ダクト(排気ダクト)
432 ボルト・ナット(締結手段)
442 ボルト・ナット(締結手段)
45 連通部材(第2連通部)
452 ボルト(締結手段)
8 サブフレーム(引き出し機構)
9 サブフレーム(引き出し機構)
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、特に複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
要求される熱交換容量が大きく、一つの熱交換器でそれを満たそうとしたときに熱交換器本体が巨大化してしまうような場合等においては、例えば特許文献1に記載されているように、熱交換器本体を複数の熱交換器モジュールに分割することが知られている。この文献に記載されている熱交換器は、複数の熱交換器モジュールを上下方向に積層して配置すると共に、上下方向に延びる熱交換器モジュールの積層体を間に挟んだ両側のそれぞれに、上下方向に延びる給気ダクト及び排気ダクトを配置して構成されており、多数の連絡管が、各熱交換器モジュールと各ダクトとを互いに連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−178092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したような大型の熱交換器においては、例えば長期間の使用に伴い熱交換器モジュールが劣化することにより、劣化した熱交換器モジュールのみを交換したいという要求が生まれる。
【0005】
ところが、前述した特許文献1には、複数の熱交換器モジュールを上下に積層する熱交換器の構成が、概念的に示されているだけであり、特定の熱交換器モジュールのみを交換可能にするような構成については何ら記載されていない。例えば特許文献1に記載されているような熱交換器を実際に構成しようとすれば、積層した複数の熱交換器モジュールそれぞれを支持する支持体(例えば、筋交いを含むフレーム等の、所定の支持剛性を有する構造体)が必要であると共に、給気ダクト及び排気ダクトを支持する支持体もまた必要である。そのため、特定の熱交換器モジュールを取り出そうとしたときには、連絡管の取り外し作業のための作業口や、熱交換器モジュールの取り出し口を空けるために、例えば支持体の分解等をしなければならない場合が起こり得る。また、特許文献1の図1に示されるように、前記の連絡管は、それに隣り合う熱交換器モジュールに対して上下方向に位置が重なっていることから、例えば上下方向の中間位置に位置する熱交換器モジュールを取り出そうとしたときには、その熱交換器モジュールに接続される連絡管を取り外すだけでなく、当該熱交換器モジュールに干渉する連絡管をも取り外さなければならない。このように特定の熱交換器モジュールのみを取り出そうとしても、それに隣り合う熱交換器モジュールにも影響が及ぶことになる。さらに場合によっては、給気ダクトや排気ダクトの位置をずらさなければ、熱交換器モジュールを取り出すスペースが得られないことも想定され、その場合は、一つの熱交換器モジュールを交換するだけであっても、給気ダクト又は排気ダクトに接続されている連絡管を全て取り外さなければならない。
【0006】
このように複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器において、特定の熱交換器モジュールを交換しようとしても、その作業工数が増大すると共に、作業時間が長時間に及んでしまうのである。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器において、当該熱交換器モジュールの交換を容易に行い得る構成を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、所定方向に並列配置した複数の熱交換器モジュールのそれぞれを、給気及び排気ダクトとを連通する第1及び第2連通部に対し着脱可能に接続する構成を採用すると共に、熱交換器モジュールのそれぞれについて、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成することによって、熱交換器モジュールの交換を個別にかつ容易に行い得るようにした。
【0009】
具体的に、ここに開示する熱交換器は、各々コアを含みかつ、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュールと、前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールに供給する流体が流れる給気ダクトと、前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールを通過した前記流体が流れる排気ダクトと、前記熱交換器モジュールと前記給気ダクトとの間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部と、前記熱交換器モジュールと前記排気ダクトとの間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる第2連通部と、を備える。
【0010】
そして、前記各熱交換器モジュールと前記第1及び第2連通部とはそれぞれ、着脱可能に接続されており、前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部の接続を解除した状態で、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている。
【0011】
この構成によると、熱交換器は、複数の熱交換器モジュールを含んで構成されるため、熱交換器モジュール一つ一つは小型であっても、大きな熱交換容量を達成し得る。
【0012】
各熱交換器モジュールは、第1及び第2連通部を介して給気及び排気ダクトに連通していると共に、第1及び第2連通部は、熱交換器モジュールに対して着脱可能に接続されている。このため、熱交換器モジュールに対する第1及び第2連通部の接続を解除することによって、当該熱交換器モジュールは、給気及び排気ダクトから縁が切れて、そこから引き出し得る状態となる。つまり、熱交換器モジュールを個別に、給気及び排気ダクトから切り離し得る。
【0013】
そうして、前記の構成では、各熱交換器モジュールが、複数の熱交換器モジュールを並列配置した列の方向(所定方向)に直交する方向に引き出し可能に構成していることで、例えばそれに隣り合う熱交換器モジュールに何ら影響を及ぼすことなく、特定の熱交換器モジュールのみを引き出すことが可能になる。つまり、熱交換器モジュールを個別に引き出して、新たな熱交換器モジュールに交換することが容易になり得る。尚、新たな熱交換器モジュールを取り付ける場合には、前記とは逆に、前記所定方向に直交する方向に熱交換器モジュールを押し入れて所定の配設位置に位置付けた後に、当該熱交換器モジュールと第1及び第2連通部とをそれぞれ接続すればよい。
【0014】
前記給気及び排気ダクトは、前記熱交換器モジュールの列を間に挟んだ両側のそれぞれに配置されており、それによって前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部に挟まれており、前記熱交換器は、前記熱交換器モジュールとの接続を解除した前記第1及び第2連通部の少なくとも一方と前記熱交換器モジュールとの隙間を広げる機構をさらに備え、前記熱交換器モジュールは、前記機構によって前記第1及び第2連通部の少なくとも一方との隙間を広げた後に、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている、としてもよい。
【0015】
この構成によると、熱交換器が、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部の少なくと
も一方との隙間を広げる機構を備えているため、当該隙間を広げることによって、その隙間の分だけ熱交換器モジュールの位置を、(第1及び第2連通部による熱交換器モジュールの挟み方向に)ずらすことが可能になる。このことは、熱交換器モジュールを第1及び第2連通部の双方から確実に切り離すことを可能にし、熱交換器モジュールを確実にかつ容易に引き出し得る上で有利になる。例えば、長期間の使用によって、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部との接続部分が互いに貼り付いてしまい、単に接続を解除しただけでは熱交換器モジュールを引き出すことができないことも起こり得るが、前述したように、熱交換器モジュールの位置をずらして、熱交換器モジュールと第1及び第2連通部とを確実に切り離すことで、熱交換器モジュールの確実な引き出しが保証される。
【0016】
前記第1及び第2連通部の少なくとも一方は、前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように動く可動構造を有しており、前記可動構造を有する連通部が動くことによって当該連通部と前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように構成されている、としてもよい。
【0017】
こうすることで、熱交換器モジュールと連通部との隙間は、可動構造を有する連通部が動くことによって広がり、所定方向に延びる給気ダクト及び排気ダクトを動かす必要がない。このことは、熱交換器モジュールの交換を個別に行う際の作業を、さらに容易化する。
【0018】
前記各熱交換器モジュールは、水平方向に引き出し可能に構成されており、前記熱交換器は、前記熱交換器モジュールの引き出しを案内すると共に、引き出した熱交換器モジュールを支持する引き出し機構をさらに備えている、としてもよい。
【0019】
引き出し機構を利用することで、熱交換器モジュールを水平方向に引き出すと共に、その引き出した熱交換器モジュールをそのまま支持することが可能になるため、熱交換器モジュールの交換作業の効率がさらに向上し得る。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、前記の熱交換器によると、各熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの連通が、熱交換器モジュールに対して着脱可能に接続されている第1及び第2連通部を介して行われているため、交換対象の熱交換器モジュールに対する第1及び第2連通部の接続を解除することによって、熱交換器モジュールを個別に、給気及び排気ダクトから切り離し得ると共に、各熱交換器モジュールが、モジュールの並列方向に直交する方向に引き出し可能に構成されていることで、熱交換器モジュールを個別に引き出し可能であり、モジュールの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】熱交換器の正面図である。
【図2】熱交換器の側面図である。
【図3】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの連結部分を拡大して示す拡大側面図(一部断面図)である。
【図4】給気ダクト同士の連結部分を拡大して示す拡大正面図である。
【図5】排気ダクト同士の連結部分を拡大して示す正面図である。
【図6】熱交換器モジュールをジャッキアップした状態を示す図3対応図である。
【図7】図6に示す状態での正面図である。
【図8】熱交換器モジュールを引き出した状態を示す図2対応図である。
【図9】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置の別の構成と、熱交換器モジュールの引き出し方向と、を概略的に示す側面図である。
【図10】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置のさらに別の構成と、熱交換器モジュールの引き出し方向と、を概略的に示す側面図である。
【図11】熱交換器モジュールと給気及び排気ダクトとの配置のさらに別の構成を概略的に示す、(a)正面図、(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、熱交換器の実施形態を図面を参照しながら説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1,2は、熱交換器1の全体構成を示している。この熱交換器1は、例えばガスタービンの再生器として利用され得る熱交換器であり、この熱交換器1は、要求される熱交換容量を達成する上で、所定容量の熱交換器モジュール2を複数個(図例では6個)備えるように構成されている。6個の熱交換器モジュール2は、水平方向に一列に並んで配置されている。以下、説明の便宜上、この熱交換器モジュール2の並び方向を、左右方向(つまり、図1の左右方向)と呼び、それに直交する方向、つまり図2における左右方向を、前後方向と呼ぶ。熱交換器1はまた、複数の熱交換器モジュール2の他に、ガスタービンの排ガスの給排に係る給気ダクト3及び排気ダクト4と、排ガスとの熱交換を行うコンプレッサからの圧縮空気の給排に係る入側ヘッダー配管5及び出側ヘッダー配管6とを、主要部品として備えて構成されている。
【0023】
各熱交換器モジュール2は、この例では、その本体部が、左右方向の寸法(幅)、及び、上下方向の寸法(長さ)に比べて、前後方向の寸法(高さ)が高い、全体として概ね直方体形状を有している。本体部の詳細な内部構成の図示は省略するが、この熱交換器モジュール2は、プレートフィン型の熱交換器コアを2つ備え(第1コア21及び第2コア22)、図3に示すように、その2つのコア21,22が前後方向に並んだ状態で内蔵されている。このように各熱交換器モジュール2は、いわゆる、二個一に構成されている。プレートフィン型である各コア21,22の、流路の積層方向は、図示は省略するが前後方向に設定されている。尚、熱交換器モジュール2の構成としてはこれに限定されるものではなく、コアは一つであってもよいし、三個以上のコアを含んでいてもよい。また、熱交換器モジュール2のコアは、プレートフィン型に限定されるものではなく、その他の形式のコアを採用することも可能である。また、プレートフィン型のコアにおいて、2次伝熱面(拡大伝熱面)となるコルゲートフィンの形式も特に限定されるものではなく、例えばプレーン型、パーホレート型、ルーバー型、ヘリンボーン型及びセレート型等から、要求性能に応じて適宜の形式を採用すればよい。
【0024】
図3に示すように、各熱交換器モジュール2は、その下端部に、当該熱交換器モジュール2を給気ダクト3の載置面に固定するためのフランジ25が設けられていると共に、その下面には、給気ダクト3からのガスタービン排ガスが流入するための流入口211,221が、2つのコア21,22に対応して、前後方向に2つ並んで開口している。また、各熱交換器モジュール2の上端部は、詳しくは後述するが、当該熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを、流体の流通可能に連結する連通部材45が取付可能に構成されていると共に、その上面には、各コア21,22からのガスタービン排ガスを排気ダクト4に排出するための流出口212,222が、2つのコア21,22に対応して、前後方向に2つ並んで開口している。この構成により、ガスタービンの排ガスは、熱交換器モジュール2の下面からその内部に流入して、各コア21,22内を上向きに流れた後に、熱交換器モジュール2の上面から排気されることになる。
【0025】
また、熱交換器モジュール2には、前記圧縮空気が前記各コア21,22内に流入する
ための空気流入管23と、その圧縮空気が各コア21,22から流出するための、空気流入管23よりも径の大きい空気流出管24と、のそれぞれが取り付けられている。空気流入管23は、第1及び第2の2つの空気流入管231,232を含んでおり、第1及び第2空気流入管231,232の基端はそれぞれ、前記第1及び第2コア21,22に連通するように、熱交換器モジュール2の本体部の左右一方の側面における相対的に前側の位置と、後側の位置とに固定されている。第1及び第2空気流入管231,232はそれぞれ、当該一方の側面に沿って前方に延びており、第1及び第2空気流入管231,232の先端に設けられたフランジ233,234は、それぞれ前向きとなるように配置されていると共に、上下方向に並んで配置されている。
【0026】
空気流出管24もまた、第1及び第2の2つの空気流出管241,242を含んでおり、第1及び第2空気流出管241,242の基端はそれぞれ、前記空気流入管23とは逆側の、前記熱交換器モジュール2の本体部の他方の側面において、前記第1及び第2コア21,22に連通するように相対的に前側の位置と、後側の位置とに固定されている(図3参照)。第1及び第2空気流出管241,242もまた、それぞれ当該他方の側面に沿って前方に延びており、第1及び第2空気流出管241,242の先端に設けられたフランジ243,244は、それぞれ前向きとなるように配置されていると共に、上下方向に並んで配置されている。
【0027】
ここで、図1に端的に示されるように、6個の熱交換器モジュール2は、左右方向の中央位置で左右対称となるように構成されており、正面に向かって左側に配置される3つの熱交換器モジュール2は、空気流入管23が、熱交換器モジュール2の本体部の右側面に取り付けられ、空気流出管24が、左側面に取り付けられるのに対し、正面に向かって右側に配置される3つの熱交換器モジュール2は、空気流入管23が、本体部の左側面に取り付けられ、空気流出管24が、右側面に取り付けられる。尚、6個の熱交換器モジュール2を、全て同一の構成としてもよい。
【0028】
従って圧縮空気は、熱交換器モジュール2に対して、その側面からモジュール2の内部に流入して、各コア21,22内を左右方向に流れた後に、反対側の側面から排気されることになる。
【0029】
このような熱交換器モジュール2は、例えば工場において製造されて、圧力容器として必要な検査乃至認証を受けた状態で、熱交換器1の設置場所に運搬されることになる。後述するように熱交換器モジュール2は、現地においてボルト・ナットの締結によりダクト等に連結されるだけであるため、熱交換器1の現地組み立て後に、圧力容器として必要な検査乃至認証を再度受ける必要はない。
【0030】
各熱交換器モジュール2の各空気流入管231,232は、図2に示すように、入側ヘッダー配管5に対してそれぞれ接続されている。入側ヘッダー配管5は、熱交換器1の前面における上部に配置され(具体的には、フレーム72上に配置され)かつ、左右方向に延びて配設されている。入側ヘッダー配管5にはまた、その左右方向の中央位置に、空気流入口51が前向きに開口して形成されていると共に、左右方向の途中位置には、前記各熱交換器モジュール2の各空気流入管231,232に対応して、複数の(図例では12個)の、フランジ付き分岐管52が一体に設けられている。尚、図例ではフランジは下向きであるが、フランジの向きは適宜設定すればよい。各分岐管52と、各空気流入管231,232とは、連通管53を介して互いに連通される(尚、図1では理解容易のため、連通管53の図示を省略する)。ここで、各空気流入管231,232のフランジ233,234と連通管53のフランジとは、前後方向に対向する。
【0031】
また、各熱交換器モジュール2の各空気流出管241,242は、出側ヘッダー配管6に対してそれぞれ接続されており、出側ヘッダー配管6は、熱交換器1の前面における下部に配置され(具体的には、基礎71上に配置され)かつ、左右方向に延びて配設されている。出側ヘッダー配管6にはまた、入側ヘッダー配管5と同様に、その左右方向の中央位置に、空気流出口61が前向きに開口して形成されていると共に、左右方向の途中位置には、前記各熱交換器モジュール2の各空気流出管241,242に対応して、複数の(図例では12個)の、フランジ付き分岐管62が一体に設けられている。尚、図例ではフランジは上向きであるが、フランジの向きは適宜設定すればよい。各分岐管62と、各空気流出管241,242とは、連通管63を介して互いに連通される(尚、図1では、連通管53と同様に、連通管63の図示を省略する)。ここで、各空気流出管241,242のフランジ243,244と連通管63のフランジとは、前記各空気流入管231,232のフランジ233,234と連通管53のフランジとの向きと同様に、前後方向に対向する。
【0032】
尚、連通管53,63と、熱交換器モジュール2の空気流入管231,232及び空気流出管241,242との接続は、その端部のフランジ同士を、図示は省略するがボルト・ナットによって締結することによって行われる。従って、連通管53,63と、熱交換器モジュール2の空気流入管231,232及び空気流出管241,242とは、ボルト・ナットを取り外すことによって、その接続を容易に解除することが可能である。
【0033】
ここで、入側ヘッダー配管5の流入口、出側ヘッダー配管6の流出口の位置は、左右方向に中央位置に限定されるものではなく、例えば各ヘッダー配管5,6の、左右いずれかの端部に形成してもよい。また、流入口及び流出口を複数個形成してもよく、この場合、複数の熱交換器モジュール2に対する空気の供給及び排出の均一化を図る上で、複数の流入口又は流出口は、左右方向に均等配置としてもよい。
【0034】
給気ダクト3は、図3等に示すように、断面矩形状の中空ダクトであり、詳しくは後述するが、予め構築された基礎71の上に固定されかつ、左右方向に延びて配設されている。給気ダクト3の一端(図1の左端)には、ガスタービンの排ガスが流入する流入口(図示省略)が開口した流入口部材31が配置されていると共に、他端(図1の右端)の開口は、蓋部材32によって閉塞されている。
【0035】
給気ダクト3は、左右方向に複数に分割された分割ダクト33から構成されており、この例では給気ダクト3は、熱交換器モジュール2の一つ一つに対応するように、6個の分割ダクト33に分割されている。尚、分割ダクト33は、熱交換器モジュール2に対して1対1対応としなくてもよく、例えば2個の熱交換器モジュール2に対して1個の分割ダクト33となるように2対1対応としたり、3対1対応としたりしてもよい。分割ダクト33の分割数は、例えばそれの運搬を考慮して、分割ダクト33の一つ当たりの長さが所定長さ以下となるように設定してもよい。
【0036】
各分割ダクト33には、図4に拡大して示すように、その左右の両端部にフランジ331が一体形成されており、分割ダクト33同士(前記流入口部材31及び蓋部材32を含む)は、フランジ331同士をボルト・ナット332によって締結することによって、互いに連結されている。従って、分割ダクト33同士の連結は、現地において極めて容易に行い得る。
【0037】
各分割ダクト33は、その上面に、図3,4等に示すように、前記熱交換器モジュール2が載置されて固定される載置面333を有しており、熱交換器モジュール2(その下端部のフランジ25)と前記載置面333とは、ボルト・ナット335による締結によって互いに固定される。従って、この熱交換器モジュール2と、給気ダクト3との連結もまた、現地において極めて容易に行い得る。それと共に、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との連結解除を、ボルト・ナット335の取り外しにより容易に行い得る。載置面333にはまた、給気ダクト3の内部空間に連通する連通孔34,34が、前後方向に2つ並んで形成されており、熱交換器モジュール2を載置面333に対して固定したときには、連通孔34,34及び流入口211,221が連続することによって、この連通孔34,34及び流入口211,221を通じて、熱交換器モジュール2(第1及び第2コア21,22)と給気ダクト3とが互いに連通することになる。こうして、この載置面333を含む分割ダクト33の上面部が、給気ダクト3と各熱交換器モジュール2との間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる(第1)連通部を構成する。尚、給気ダクト3と各熱交換器モジュール2との間に、伸縮管(ベローズ)を介在させるようにして、例えば熱膨張の吸収や、熱交換器1の組み立ての際の寸法調整を行うようにしてもよい。
【0038】
このように熱交換器モジュール2が載置される各分割ダクト33は、その熱交換器モジュール2を支持するように構成されている。具体的には、各分割ダクト33には、熱交換器モジュール2の支持に必要な強度を得るために、例えば図4等に示すように、補強部材334が適宜取り付けられている。各分割ダクト33及びそれらを連結した給気ダクト3は、各熱交換器モジュール2にガスタービン排ガスを分配供給するためのダクトとしての機能と、各熱交換器モジュール2を支持する支持構造体としての機能とを有している。
【0039】
排気ダクト4は、給気ダクト3と同様に、図3等に示すように断面矩形状の中空ダクトであり、左右方向に延びて配設されている。この排気ダクト4は、熱交換器モジュール2及び給気ダクト3を囲むように構築されたフレーム72上に固定されており、これにより排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の上方に配置されている。このように排気ダクトは、フレーム72に固定されているため、熱交換器モジュール2とは異なり、給気ダクト3には支持されていない。逆に言うと、給気ダクト3は、熱交換器モジュール2のみを支持するように構成され、それに必要な程度の強度を有していればよく、給気ダクト3の強度を、無駄に高める必要はない。
【0040】
排気ダクト4の一端(図1の左端)の開口は、蓋部材42によって閉塞されている一方、他端(図1の右端)には、熱交換器モジュール2を通過した後の、ガスタービン排ガスが流出する流出口(図2参照)が開口した流出口部材41が配置されている。そうしてこの排気ダクト4も、左右方向に複数に分割された分割ダクト43から構成されており、この例では排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の一つ一つに対応するように、6個の分割ダクト43に分割されている。これにより、この熱交換器1では、熱交換器モジュール2、給気ダクト3の分割ダクト33及び排気ダクト4の分割ダクト43が、1対1対1に対応している。尚、排気ダクト4の分割ダクト43は、熱交換器モジュール2に対して1対1対応としなくてもよい点は、給気ダクト3の場合と同じである。図5に示すように、各分割ダクト43には、その左右の両端部にフランジ431が一体形成されており、分割ダクト43同士(前記流出口部材41及び蓋部材42を含む)は、フランジ431同士をボルト・ナット432によって締結することによって、互いに連結されている。従って、分割ダクト43同士の連結は、現地において極めて容易に行い得る。尚、排気ダクト4を分割構成とせずに、一体構成としてもよい。
【0041】
そうしてこの排気ダクト4は、給気ダクト3とは異なり、熱交換器モジュール2を支持する構成を有しておらず、各熱交換器モジュール2からの排気を集合して排気するダクトとしての機能のみを有し、支持構造体としての機能は有していない。しかも、熱交換器モジュール2を通過した比較的低温のガスタービン排ガスが流れるのみであるため、排気ダクト4及びその分割ダクト43は、給気ダクト3及びその分割ダクト33と比較して、補強部材等を有しない簡易な構造にすることが可能である。
【0042】
このように排気ダクト4の構成が簡略化していることから、それを支持するフレーム72の構造もまた簡略化している。具体的には、フレーム72において前記熱交換器モジュール2の配置高さに相当する部分の、前側及び後側には、筋交い等の補強部材が不要となり、このことは、前側においては、各熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24に接続される連通管53,63と筋交いとが干渉してしまうことを回避して、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とのレイアウトの自由度を高めると共に、それらの接続及び切り離し(ボルト・ナットの締結及び取り外し)を容易にし得る。一方、後側においては、後述するように、各熱交換器モジュール2が通過し得る開口が形成されていることと等価であり、熱交換器モジュール2の引き出し及び押し入れを容易に実現し得る。尚、図示は省略するが、フレーム72において前記給気ダクト3の配置高さに相当する部分の前側及び後側には、必要に応じて、筋交い等の補強部材を設けてもよい。
【0043】
排気ダクト4と各熱交換器モジュール2とは、図3等に示すように、連通部材45を介して互いに連通している。連通部材45の内部には、排気ダクト4に連通すると共に、下端に開口する連通孔453が形成されている。連通部材45は、各熱交換器モジュール2の第1及び第2コア21,22に対応して、分割ダクト43毎に2つ設けられており、2つの連通部材45,45は、分割ダクト43の下面に対して、前後方向に並んで配置されている。各連通部材45はまた、下向きに延びて配設されており、その下端部に、各熱交換器モジュール2の上面に固定するためのフランジ451が一体形成されている。そうして、熱交換器モジュール2と前記連通部材45とは、ボルト452による締結によって、互いに固定されるように構成されており、これによって、熱交換器モジュール2と、排気ダクト4との連結もまた、現地において極めて容易に行い得ることになる。それと共に、熱交換器モジュール2と連通部材45(排気ダクト4)との連結解除を、ボルト452の取り外しにより容易に行い得る。熱交換器モジュール2に対して、連通部材45を固定することによって、連通孔453,453及び熱交換器モジュール2の流出口212,222が連続することになり、この連通孔453,453及び流出口212,222を通じて、熱交換器モジュール2(第1及び第2コア21,22)と排気ダクト4とが互いに連通することになる。この連通部材45が、排気ダクト4と各熱交換器モジュール2との間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる(第2)連通部を構成する。尚、この連通部材45は可動式に構成されているが、このことについての詳細は後述する。
【0044】
この構成の熱交換器1では、給気ダクト3(分割ダクト33)が、支持構造体としての機能を有していることで、熱交換器1の設置面積を可及的に小さくし得る点で有利である。また、この熱交換器1は、熱交換器モジュール2を水平方向に並べて配置しているため、例えば熱交換器モジュール2を鉛直方向に並べる配置とは異なり、一つの分割ダクト33は一つの熱交換器モジュール2のみを支持すればよい。つまり、熱交換器モジュール2の横並べ構造は、熱交換器1の設置に係る単位面積当たりの重量を小さくし、その支持構造を比較的簡略化し得るという利点がある。
【0045】
さらに、熱交換器モジュール2の並列構成は、熱交換器モジュール2の数の増減によって熱交換器1の能力調整が可能であるため、要求される熱交換容量を満たすように、熱交換器モジュール2の1個単位で能力調整を行い得る。また、水平に並んで配置される熱交換器モジュール2の数に応じて、給気ダクト3及び排気ダクト4の全長を変える必要があるところ、前述したように、給気ダクト3及び排気ダクト4は、熱交換器モジュール2に対して1対1となるように分割されているため、熱交換器モジュール2の数に応じて、給気ダクト3及び排気ダクト4の分割ダクト33,43の必要数を決めればよく、具体的に、給気ダクト3及び排気ダクト4は、熱交換器モジュール2の数と同数の分割ダクト33,43によって構成すればよい。このことは、様々な要求容量に対する、熱交換器1の設計を容易にするという利点がある。特に、前述したように、この熱交換器1は、熱交換器
モジュール2の横並べ構造を採用しているため、熱交換器モジュール2の数が増減しても、その支持構造自体の変更はほとんど必要ない。このこともまた、熱交換器1の設計を容易にする上で有利である。
【0046】
この熱交換器1は、例えば劣化等によって熱交換器モジュール2の交換が必要となった場合に、熱交換器モジュール2を個別に、しかも容易に交換可能に構成されていることを特徴とする。以下、そのモジュール交換に関係する構成について、図面を参照しながら説明する。
【0047】
前記排気ダクト4と各熱交換器モジュール2とを互いに連通させる各連通部材45は、図3,6に示すように、排気ダクト4に対して上下方向にスライド移動可能に取り付けられている。すなわち、排気ダクト4は、その下面に、各連通部材45を上下方向にスライド移動可能に支持する支持部44を有しており、支持部44に対し支持された各連通部材45は、相対的に下方に位置して熱交換器モジュール2に当接した状態と、相対的に上方に位置して熱交換器モジュール2から離れた状態と、に状態を変化させることが可能に構成されている。各連通部材45と支持部44との間には、例えばグランドパッキンのようなシール部材46が介在しており、これによって、各連通部材45はスライド移動可能でありながら、各連通部材45と支持部44との間のシール性が確保されている。このように、各連通部材45が可動構造を有していることで、図6に示すように、ボルト452を取り外して連通部材45を上方に移動させることにより、熱交換器モジュール2と連通部材45(つまり排気ダクト4)との接続が、確実に切り離されると共に、熱交換器モジュール2の上方には、連通部材45との間に所定の隙間が形成されることになる。
【0048】
一方、各熱交換器モジュール2の前面及び後面にはそれぞれ、図3,6,7に示すように、油圧ジャッキ83のピストンが当接する一対の受け部26が一体に設けられている。ここで油圧ジャッキ83は、熱交換器モジュール2の交換の際に、熱交換器モジュールの前側及び後側のそれぞれにおいて、左右に一つずつの合計4個が、給気ダクト3の上面に設置されるものである。尚、ここでは、油圧ジャッキ83を熱交換器モジュール2の交換の際にのみ給気ダクト3上に設置し、熱交換器1の通常の運転時にはこれを取り外すようにしているが、ジャッキアップ機構を、各熱交換器モジュール2に対応するように予め熱交換器1に(例えば給気ダクト3に)設けておいてもよい。
【0049】
前述したように連通部材45を上方にスライド移動させて、熱交換器モジュール2の上方に所定の隙間が形成されることによって、各油圧ジャッキ83に油圧を供給したときには、熱交換器モジュール2を上方に持ち上げることが可能になる。これによって、熱交換器モジュール2と給気ダクト3との接続が、確実に切り離されると共に、熱交換器モジュール2の下方には、載置面333との間に所定の隙間が形成されることになる(図6,7参照)。
【0050】
熱交換器モジュール2の交換の際には、図7,8に示す交換用サブフレーム8が用いられる。このサブフレーム8は、左右方向に所定幅を空けて、互いに平行にかつ前後方向に延びる一対のレール81,81と、各レール81の後端部を支持する脚部82とを備えて構成されている。各レール81には、図7に示すように、左右方向に延びる回転軸を有する多数のローラ811がレールに沿って並んで配置されており、各レール81は、いわゆるローラコンベアと同様の構成を有している。従って、このサブフレーム8は、熱交換器モジュール2を、レール81に沿って前後方向に移動させる(つまり、前後方向に案内する)機能を有している。
【0051】
サブフレーム8は、熱交換器モジュール2の交換の際には、熱交換器1の後側において、交換対象の熱交換器モジュール2に対応する左右方向の位置に配置される。そうして、
ジャッキアップによって形成された熱交換器モジュール2の下面と載置面333との間の隙間に、一対のレール81,81が熱交換器1の後側から前方に向かって挿入されて、レール81の前部が、給気ダクト3の載置面333に支持される一方、図8に示すように、レール81の後部は、脚部82が支持することによって、一対のレール81が前後方向にかつ水平に配設されることになる。
【0052】
次に、熱交換器モジュール2の交換手順について説明する。先ず、交換対象の熱交換器モジュール2について、ボルト・ナット335を取り外して給気ダクト3との連結解除を行うと共に、ボルト452の取り外しによって連通部材45との連結解除を行う。また、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63との接続解除も、ボルト・ナットを取り外すことによって行う。ここで、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63との接続箇所は全て、熱交換器1の前側に設定されているため、そのボルト・ナットの取り外し作業を、容易にかつ作業性良く行い得る。
【0053】
そうして、全ての締結を取り外せば、前述したように、各連通部材45を上方へとスライド移動させ、それによって、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離す(図6参照)。このように、連通部材45が可動構成を有していることで、排気ダクト4を動かさなくても、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離すことが可能になると共に、熱交換器モジュール2と連通部材45との隙間を広げることが可能になる。換言すれば、交換対象の熱交換器モジュール2のみを、排気ダクト4及び連通部材45から切り離して、その上方に空間を形成することが可能になる。尚、長期間の使用によって、熱交換器モジュール2と連通部材45とが互いに貼り付いた状態になっていても、連通部材45が可動構成を有しているため、熱交換器モジュール2と連通部材45とを完全に切り離すことは容易に行い得る。
【0054】
次に、油圧ジャッキ83を、給気ダクト3の上面の所定の位置に設置し、図6,7に示すように、当該油圧ジャッキ83により熱交換器モジュール2を上方に持ち上げる。こうして、交換対象の熱交換器モジュール2のみを、給気ダクト3(載置面333)から完全に切り離す。尚、熱交換器モジュール2と載置面333とが互いに貼り付いた状態になっていても、互いに完全に切り離すことは容易に行い得る。このときに、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とは、前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、図6に示すように、熱交換器モジュール2をジャッキアップしたときに、両フランジが干渉し合うことがない。尚、連通管53,63と分岐管52,62との接続も解除して、連通管53,63を完全に取り外しておいてもよい。
【0055】
こうして熱交換器モジュール2をジャッキアップした状態で、前述したように、サブフレーム8のレール81を、熱交換器モジュール2の下面と載置面333との間の隙間に挿入すると共に、油圧ジャッキ83の油圧を抜いて、ジャッキアップした熱交換器モジュール2を降ろす。こうして、熱交換器モジュール2はレール81上に載置されることになる。レール81に設けられたローラ811が転動することによって、熱交換器モジュール2は、レール81に沿って容易に熱交換器1の後方に移動させることができる。このときに、フレーム72の後側には、筋交い等が存在していないため、後方に移動する熱交換器モジュール2の障害はなく、また、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とは、前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、熱交換器モジュール2を後方に移動させるときにも、両フランジが干渉し合うことがない。従って、図8に仮想的に示すように、熱交換器モジュール2を、フレーム72の外へと容易に引き出すことができる。
【0056】
尚、こうして交換対象の熱交換器モジュール2を引き出した後に、新しい熱交換器モジュール2を取り付けるときには、前記とは逆の手順を踏めばよい。つまり、レール81上に載置した新たな熱交換器モジュール2を、そのレール81に沿って前方へと移動させて、当該熱交換器モジュール2を所定位置に位置付けると共に、油圧ジャッキ83を用いて熱交換器モジュール2を、一旦ジャッキアップして、サブフレーム8を取り外した後に、熱交換器モジュール2を載置面333上に載置すればよい。その後は、ボルト・ナット335及びボルト452により、熱交換器モジュール2と、給気ダクト3及び連通部材45とを互いに連結すると共に、同じくボルト・ナットを通じて、空気流入管23及び空気流出管24と連通管53,63とを互いに接続する。こうして、熱交換器モジュール2の交換が完了する。
【0057】
このように、この熱交換器1では、左右方向に並んだ複数の熱交換器モジュール2の内の、特定の熱交換器モジュール2のみをダクト等から切り離して後方に引き出すこと、及び、熱交換器モジュール2を前方に押し入れて所定位置に設置することが可能に構成されている。つまり、複数の熱交換器モジュール2を左右方向に並べて配置する一方で、同じく左右方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4は、その熱交換器モジュール2の列を挟むように、熱交換器モジュール2の列の下側及び上側のそれぞれに配置しているため、熱交換器モジュール2を配置した高さ位置においては、少なくとも熱交換機1の後側が開放されることになり、熱交換器モジュール2の引き出し及び押し入れが容易に行い得る。
【0058】
また、図1に端的に示されるように、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24は、その隣り合う熱交換器モジュール2(空気流入管23及び空気流出管24を含む)に対して、所定の間隔を空けて配置されており、熱交換器モジュール2は、互いに干渉し合わない。従って、特定の熱交換器モジュール2を後方に引き出す際に、他の熱交換器モジュール2との関係において何ら支障はなく、このこともまた、熱交換器モジュール2の個別の交換を容易にする上で、有利な構成である。
【0059】
さらに、熱交換器モジュール2を左右方向に並べることによって、熱交換器モジュール2が配設される高さ位置は互いに同じになる。このことは、熱交換器モジュール2の交換に用いられる前記サブフレーム8の構成が簡略化、つまりレール81の高さ位置を一定にできる点で有利であると共に、そのサブフレーム8の設置位置を左右方向に移動させるだけで全ての熱交換器モジュール2の交換を行い得るため、熱交換器モジュール2の交換作業のさらなる容易化が図られる。尚、サブフレーム8を左右方向に案内して、交換対象の熱交換器モジュール2の位置に容易に移動し得るように、図示は省略するが、熱交換器1の後側に左右方向に延びる案内レールを予め敷設しておき、サブフレーム8を案内レールに沿って左右方向に移動させてもよい。
【0060】
またさらに、熱交換器モジュール2の上側に配置される排気ダクト4は、前述の通り、簡易な構成であり、それに伴いこの排気ダクト4を支持するフレーム72もまた、簡易な構成にすることが可能になる。このことにより、複数の熱交換器モジュール2はフレーム72の内部に配設されるものの、熱交換器モジュール2を配置した高さ位置においては、筋交い等の補強部材を省略して、熱交換器モジュール2を出し入れする開口とすることが可能になり、このこともまた、熱交換器モジュール2の引き出す及び押し入れを容易にし得る構成である。つまり、ダクトを支持するフレーム72は、熱交換器モジュール2が通過する開口を有している、ということができる。
【0061】
加えて、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24と、それに接続される連通管53,63とは、熱交換器1の前側において前後方向に対向するフランジによって互いに接続されているため、熱交換器モジュール2をジャッキアップする際にも、また、熱交換器モジュール2を後方に及び前方に移動させるときにも、両フランジが干渉し合うことがなく、このこともまた、熱交換器モジュール2の交換作業性を高める上で有利な構成である。
【0062】
さらに、熱交換器モジュール2は、個別にダクト3,4やヘッダー配管5,6に接続されているため、そのダクト3,4やヘッダー配管5,6から個別に切り離すことが可能であると共に、その接続箇所にはボルト・ナット等の締結手段を採用しているため、締結手段の締結及び取り外しによって、熱交換器モジュール2の接続及び切り離しは容易かつ簡易である。このことは交換作業の作業性を向上させる。
【0063】
そうして、前記の熱交換器1では、熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを連通させる連通部材45が可動構成を有していることで、排気ダクト4を動かさなくても、交換対象の熱交換器モジュール2と連通部材45との間の隙間を広げることが可能になる。このことは、熱交換器モジュール2をジャッキアップして、熱交換器モジュール2の下側にレール81の挿入を可能にする上で有利であると共に、前述したように熱交換器モジュール2と連通部材45とが互いに貼り付いていたり、熱交換器モジュール2と給気ダクト3の載置面333とが互いに貼り付いていたりしたときに、これらを完全に切り離すことを容易に行い得る点で有利である。ここで連通部材45の可動構成としては、連通部材45を伸縮可能なベローズによって構成することで実現してもよい。この構成では、連通部材45を縮めることによって、当該連通部材45と熱交換器モジュール2との隙間が広がるようになる。
【0064】
尚、前記の構成では、熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを連通させる連通部材45が可動構成を有しているが、例えば熱交換器モジュール2と給気ダクト3とを連通させる連通部である、載置面333を含む分割ダクト33の上面部を可動構成として、熱交換器モジュール2の下面と載置面333との隙間を広げるようにしてもよい。その場合に可動構成の具体例としては特に限定されるものではなく、前述したように、分割ダクト33の上面部を上下に変位可能に構成してもよいし、ベローズを採用してもよい。また、両方を可動構成として、熱交換器モジュール2の上側及び下側のそれぞれの隙間を広げるようにしてもよい。さらに、連通部材45の可動構成を省略してもよく、この場合は、排気ダクト4が、複数の分割ダクト43から構成されていることを利用して、熱交換器モジュール2、連通部材45及び分割ダクト43(但し、隣接する分割ダクト43との接続は解除している)を一体として、油圧ジャッキ83により持ち上げるようにしてもよい。
【0065】
また、前記の構成では、熱交換器モジュール2の空気流入管23及び空気流出管24と、それに接続される連通管53,63との接続部分を熱交換器1の前側に設定しているが、それを、熱交換器1の後側にしてもよい。但しこの場合、熱交換器モジュール2を後方又は前方に移動させる際の干渉を回避すべく、それらの接続部分は、熱交換器モジュール2の設置高さに対して上下方向にずらすことが望ましい。
【0066】
さらに、前記の熱交換器1は、給気ダクト3、熱交換器モジュール2、排気ダクト4の順に、これらを下から上に積層配置しているが、給気ダクト3、熱交換器モジュール2及び排気ダクト4の配置はこれに限らず、その順番を逆にしてもよい。また、上下方向に並べるのではなく、例えば図9に示すように、熱交換器モジュール2に対して、給気ダクト3を下側に、排気ダクト4を側方にそれぞれ配置して、側面視で逆L字型となるようにしてもよい。この場合においては、同図に仮想線で示すように、熱交換器モジュール2は、例えば後方に引き出すようにしてもよいし、上方に引き出すようにしてもよい。尚、図9において給気ダクト3及び排気ダクト4を入れ替えてもよく、さらに、側面視で例えばL字型となるように、例えば熱交換器モジュール2に対して、給気ダクト3を側方に、排気ダクト4を上方にそれぞれ配置してもよい。この場合においては、熱交換器モジュール2は、例えば前方又は後方に引き出すようにすればよい。
【0067】
また、例えば図10に、側面視で示すように、給気ダクト3、熱交換器モジュール2及
び排気ダクト4をそれぞれ、前後方向に、水平に並べて配置してもよい。給気ダクト3、熱交換器モジュール2及び排気ダクト4の配置の順番に特に制限はない。この場合は、同図に仮想線で示すように、熱交換器モジュール2は、例えば上方に引き出すようにしてもよい。
【0068】
さらに、図11に概略的に示すように、熱交換器モジュール2を上下方向に並べて配置すると共に、その熱交換器モジュール2の列を間に挟んだ両側のそれぞれに、上下方向に延びる給気ダクト3及び排気ダクト4を配置して、熱交換器10を構成してもよい。ここで、同図に示す熱交換器10では、各熱交換器モジュール2と給気ダクト3とを互いに連通する第1連通部91、及び、各熱交換器モジュール2と排気ダクト4とを互いに連通する第2連通部92をそれぞれ、水平方向に延びて配設している。このことにより、各連通部91,92は、それに隣接する熱交換器モジュール2及び連通部91,92とは干渉しない。また、第1及び第2連通部91,92の内、第1連通部91を伸縮可能なベローズによって構成しており、このベローズによって熱膨張を吸収すると共に、各熱交換器モジュール2の交換の際には、前記と同様に、熱交換器1と第1及び第2連通部91,92との隙間を広げることを可能にしている。この場合、各熱交換器モジュール2は、同図(b)に仮想線で示すように水平方向に引き出すようにすれば、給気ダクト3、排気ダクト
4及び各連通部91,92とは干渉することなしに、熱交換器モジュール2を引き出すことが可能である。そのために、熱交換器モジュール2の引き出し側は、例えば熱交換器モジュール2を支持するフレーム等に、熱交換器モジュール2の通過可能な開口を、予め設けておくことが望ましい。また、引き出した熱交換器モジュール2を支持するサブフレーム9は、上下方向に並んだ熱交換器モジュール2の配置高さのそれぞれに対応するように、上下方向に昇降可能に構成してもよい。
【0069】
また、熱交換器1において、給気ダクト3及び/又は排気ダクト4を、分割ダクトとせずに、所定方向に延びる、一体のダクトとしてもよい。
【0070】
サブフレーム8を、折りたたみ可能に構成することによって、例えば不使用時には、所定の収納場所に収納可能にしてもよい。またサブフレームの構成としては、熱交換器モジュール2の移動を案内する機能と、引き出した熱交換器モジュール2を支持する機能とを分離すべく、案内する機能としてのレールを例えば給気ダクト3の上面に予め配設しておく一方で、引き出した熱交換器モジュール2を支持するための支持台を、熱交換器1に隣接して設置するようにしてもよい。さらに、サブフレームとしては、給気ダクト3の上面に配置して熱交換器モジュールを載置した台(前記のレールに対応する)ごと引き出すようにし、その引き出しに伴い折り畳んだ脚部が自動的に展開するようにして、台及びそこに載置した熱交換器モジュール2を支持するような構成を採用してもよい。
【0071】
さらに、熱交換器1の組み立てに係る締結手段としては、ボルト・ナットに限定されるものではなく、例えばクランプやクリップ等の部材同士を挟み込むことにより、分割ダクト同士や、分割ダクトと熱交換器モジュールとを締結するような手段を採用してもよい。この場合も、熱交換器モジュール2の交換作業の効率化が図られる。また、熱交換器1における締結箇所に応じて、ボルト・ナット、クランプ、クリップ等を使い分けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、ここに開示した熱交換器は、特に熱交換器モジュールの交換に係る作業性を向上させることができるから、複数の熱交換器モジュールを含む熱交換器について有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 熱交換器
2 熱交換器モジュール
21 第1コア
22 第2コア
3 給気ダクト(第1ダクト)
33 分割ダクト(給気ダクト)
332 ボルト・ナット(締結手段)
333 載置面(第1連通部)
4 排気ダクト(第2ダクト)
43 分割ダクト(排気ダクト)
432 ボルト・ナット(締結手段)
442 ボルト・ナット(締結手段)
45 連通部材(第2連通部)
452 ボルト(締結手段)
8 サブフレーム(引き出し機構)
9 サブフレーム(引き出し機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々コアを含みかつ、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュールと、
前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールに供給する流体が流れる給気ダクトと、
前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールを通過した前記流体が流れる排気ダクトと、
前記熱交換器モジュールと前記給気ダクトとの間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部と、前記熱交換器モジュールと前記排気ダクトとの間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる第2連通部と、を備え、
前記各熱交換器モジュールと前記第1及び第2連通部とはそれぞれ、着脱可能に接続されており、前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部の接続を解除した状態で、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記給気及び排気ダクトは、前記熱交換器モジュールの列を間に挟んだ両側のそれぞれに配置されており、それによって前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部に挟まれており、
前記熱交換器モジュールとの接続を解除した前記第1及び第2連通部の少なくとも一方と前記熱交換器モジュールとの隙間を広げる機構をさらに備え、
前記熱交換器モジュールは、前記機構によって前記第1及び第2連通部の少なくとも一方との隙間を広げた後に、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器において、
前記第1及び第2連通部の少なくとも一方は、前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように動く可動構造を有しており、
前記可動構造を有する連通部が動くことによって当該連通部と前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように構成されている熱交換器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器において、
前記各熱交換器モジュールは、水平方向に引き出し可能に構成されており、
前記熱交換器モジュールの引き出しを案内すると共に、引き出した熱交換器モジュールを支持する引き出し機構をさらに備えている熱交換器。
【請求項1】
各々コアを含みかつ、所定方向に並列配置された複数の熱交換器モジュールと、
前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールに供給する流体が流れる給気ダクトと、
前記所定方向に延びると共に、前記各熱交換器モジュールを通過した前記流体が流れる排気ダクトと、
前記熱交換器モジュールと前記給気ダクトとの間に介在して、流体の流通可能に両者を連通させる第1連通部と、前記熱交換器モジュールと前記排気ダクトとの間に介在して流体の流通可能に両者を連通させる第2連通部と、を備え、
前記各熱交換器モジュールと前記第1及び第2連通部とはそれぞれ、着脱可能に接続されており、前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部の接続を解除した状態で、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記給気及び排気ダクトは、前記熱交換器モジュールの列を間に挟んだ両側のそれぞれに配置されており、それによって前記各熱交換器モジュールは、前記第1及び第2連通部に挟まれており、
前記熱交換器モジュールとの接続を解除した前記第1及び第2連通部の少なくとも一方と前記熱交換器モジュールとの隙間を広げる機構をさらに備え、
前記熱交換器モジュールは、前記機構によって前記第1及び第2連通部の少なくとも一方との隙間を広げた後に、前記所定方向に直交する方向に引き出し可能に構成されている熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器において、
前記第1及び第2連通部の少なくとも一方は、前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように動く可動構造を有しており、
前記可動構造を有する連通部が動くことによって当該連通部と前記熱交換器モジュールとの隙間が広がるように構成されている熱交換器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器において、
前記各熱交換器モジュールは、水平方向に引き出し可能に構成されており、
前記熱交換器モジュールの引き出しを案内すると共に、引き出した熱交換器モジュールを支持する引き出し機構をさらに備えている熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−37069(P2012−37069A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174675(P2010−174675)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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