説明

熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有するフレーク

熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有するフレークは、圧縮後に撥水性を有した。該フレークは、天然ゴム及び合成ゴム製品において使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有するフレーク、それらの製造方法、及びそれらの使用に関する。
【0002】
フレークは、低減された大気圧によって、より高いアグロメレートさせた粒子のナノスケールのばらばらの塊(loose heap)として存在する熱分解により製造した二酸化ケイ素を部分的に脱気すること、前記二酸化ケイ素を機械的に前圧縮すること、及びフレークを得るために加圧することによって該二酸化ケイ素を最終的に圧縮することによって熱分化により製造された二酸化ケイ素から製造されうることが公知である。そして、前記フレークを破砕することができ、かつその断片は場合により分類される(EP 1 813 574号A1)。
【0003】
親水性の、及びまた疎水性の、熱分解により製造した二酸化ケイ素粒子は、出発材料として使用されうる。前記二酸化ケイ素は、特に、
【化1】

のタイプのシラザンを用いて疎水性にされてよい。
【0004】
公知の方法の欠点は、窒素吸収によって測定された高い比表面積(BET)、及び同時に、段階的なメタノール含有率のメタノール−水混合物を用いて湿らすことによって測定された高い疎水性(コーニンググラス(Corning Glass))を有する粒子の場合において見出され、それらの粒子は、非常に高い流動性を有し、その結果、EP 1 813 574号A1による方法が、かかる粒子を圧縮するために実に不経済である。
【0005】
流動性は、より高いアグリゲート粒子のアグロメレーションによって形成され、かつその体積の95パーセントより多くの空気、及びその体積の5パーセントより少ないだけの固体からなるばらばらの塊が、外側から適用される圧縮力の作用下で直交してそらされることを意味すると理解するべきであり、その際前記の塊に関して、低粘度の液体として同様の方法で非常に小さな溝を通って逃れることも可能である。従って、疎水性二酸化ケイ素のフレークは、EP 1 813 574号A1において記載されている方法によって辛うじて製造されうる。
【0006】
多くの場合に、非常に高い圧力、非常に長い保圧時間及びしばしば多数の圧縮サイクルが、疎水性二酸化ケイ素の圧縮において実行されるべきである。非常に細かい粒子からなり、かつ従ってさらに強い疎水性である二酸化ケイ素は、公知の方法によって経済的に圧縮させて圧縮材料を得ることができない。
【0007】
従って、熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有する疎水性フレークを、それらの欠点を有さない方法によって製造することが目的であった。
【0008】
本発明は、熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有するフレークに関し、該フレークが、圧縮することによって撥水性を有することを特徴とする。
【0009】
撥水性の付与は、以下の群からの1つ以上の化合物を使用して実施されうる:
a)(RO)3Si(Cn2n+1)及び(RO)3Si(Cn2n-1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、ブチル−
n=1〜20
b)R’x(RO)ySi(Cn2n+1)及びR’x(RO)ySi(Cn2n-1)のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、ブチル−
R’=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、ブチル−
R’=シクロアルキル
n=1〜20
x+y=3
x=1.2
y=1.2
c)X3Si(Cn2n+1)及びX3Si(Cn2n-1)のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
n=1〜20
d)X2(R’)Si(Cn2n+1)及びX2(R’)Si(Cn2n-1)のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R’=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、ブチル−
R’=シクロアルキル
n=1〜20
e)X(R’)2Si(Cn2n+1)及びX(R’)2Si(Cn2n-1)のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R’=アルキル、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、ブチル−
R’=シクロアルキル
n=1〜20
f)(RO)Si(CH−R’のタイプのオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−
m=0.1〜20
R’=メチル-、アリール(例えば−C65、置換されたフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、その際X=1〜10、及びRはアルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−SH
−NR’R’’R’’’(R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル、C24NR’’’’R’’’’’、ここで、R’’’’=A、アルキル及びR’’’’’=H、アルキル)
g)(R’’)x(RO)ySi(CH2m−R’のタイプのオルガノシラン
R’’=アルキル、シクロアルキル
x+y=2
x=1.2
y=1.2
m=0.1〜20
R’=メチル−、アリール(例えば−C65、置換されたフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、その際X=1〜10、及びRはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−SH
−NR’R’’R’’’(R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル、C24NR’’’’R’’’’’、ここで、R’’’’=A、アルキル及びR’’’’’=H、アルキル)
h)X3Si(CH2m−R’のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
m=0.1〜20
R’=メチル−、アリール(例えば−C65、置換されたフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2
−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、その際X=1〜10、及びRはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−SH
i)(R)X2Si(CH2m−R’のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−
m=0.1〜20
R’=メチル−、アリール(例えば−C65、置換されたフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
その際Rはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよく、
−Sx−(CH23Si(OR)3、その際Rはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよく、かつXは1〜10であってよい、
−SH
j)(R)2XSi(CH2m−R’のタイプのハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R=アルキル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−
m=0.1〜20
R’=メチル−、アリール(例えば−C65、置換されたフェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、その際X=1〜10、及びRはメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−であってよい、
−SH
k)次のタイプのシラザン
【化2】

R=アルキル
R’=アルキル、ビニル
l)D3、D4、D5タイプの環式ポリシロキサン、その際D3、D4、及びD5は、3、4又は5ユニットの−O−Si(CH32−タイプを有する環式ポリシロキサン、
例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン=D4
【化3】

であると解される
m)次のタイプのポリシロキサン又はシリコーン油
【化4】

m=0、1、2、3、...∞
n=0、1、2、3、...∞
u=0、1、2、3、...∞
Y=CH3、H、Cn2n+1 n=1〜20
Y=Si(CH33、Si(CH32H、Si(CH32OH、Si(CH32(OCH3)、Si(CH32(Cn2n+1) n=1〜20
R=アルキル、例えばC2n+1、その際n=1〜20、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H
R’=アルキル、例えばC2n+1、その際n=1〜20、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H
R’’=アルキル、例えばC2n+1、その際n=1〜20、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H
R’’’=アルキル、例えばCn2n+1(その際n=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換したフェニル残基、(CH2n−NH2、H。
【0010】
本発明の好ましい一実施態様において、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)は、前記フレークに撥水性を付与するために使用されうる。
【0011】
親水性の、次の物理化学特性を有する熱分解により製造した二酸化ケイ素は、出発材料として使用されうる:
BET表面積: 30〜400m2/g
突き固め密度: 40〜200g/l
平均一次粒子サイズ: 5〜50nm。
【0012】
本発明は、さらに、疎水性フレークの製造方法に関し、親水性の、熱分解により製造した二酸化ケイ素を圧縮してフレークを得て、そしてそのフレークを場合により微粉砕し、かつ篩い分けによって分類し、そしてそのフレークを、場合により水又は触媒又は反応助剤、例えば希釈酸又は塩基溶液、例えば塩酸又はアンモニアを用いて噴霧し、そして撥水剤を用いて噴霧し、その混合物を、10〜80℃の温度で熟成し、そして0.5〜8時間、80〜140℃、有利には100〜130℃の温度で、焼なましさせることを特徴とする。
【0013】
熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有する本発明による疎水性フレークは、次の利点を有する。
【0014】
前記フレークは、疎水性二酸化ケイ素の少ない塵〜無塵の投与量形で存在する。本発明によるフレークは、少ない充填量に関する、実質的に増加された突き固め密度によっても区別される。
【0015】
実施例
親水性の、熱分解により製造したシリカAEROSIL(登録商標)300を、出発材料として使用した。
【0016】
AEROSIL(登録商標)300は、次の物理化学特性を有する:
【表1】

【0017】
AEROSIL(登録商標)300を、EP 1 813 574号によって圧縮し、フレークを得た。
【0018】
そのフレークを、濾過を用いて篩い分けし、そして分類した。
【0019】
そして、そのフレークを、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)を用いて噴霧した。
【0020】
そしてその混合物を、3週間まで、温度10〜50℃で熟成させた。
【0021】
そしてその混合物を、5時間、130℃で焼なましした。
【0022】
第1表は、製造条件を要約する。
【0023】
第2表は、得られたフレークの物理化学データを示す。
【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有するフレークであって、該フレークが圧縮後に撥水性を有することを特徴とするフレーク。
【請求項2】
請求項1に記載のフレークの製造方法であって、親水性の熱分解により製造した二酸化ケイ素を圧縮してフレークを得て、該フレークを、撥水剤を用いて噴霧し、その混合物を温度10〜80℃で熟成し、そして0.5〜8時間、80〜140℃、有利には100〜130℃の温度で焼なましすることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
熱分解により製造した二酸化ケイ素を含有する疎水性フレークの、天然ゴム及び合成ゴム製品における使用。

【公表番号】特表2011−506243(P2011−506243A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537359(P2010−537359)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065775
【国際公開番号】WO2009/074432
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】