説明

熱収縮性筒状ラベル、その製造方法およびプラスチックボトル

【課題】腰のある、かつ熱によって腰砕けにならないように改良された熱収縮性筒状ラベルを提供することを目的とする。
【解決手段】容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベル5は、左端部と右端部を有する熱収縮性基材フィルムを備え、左端部と右端部は、熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わされてシールされている。2はシール部である。チューブの表面には、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目5aが長手方向に延びるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に熱収縮性筒状ラベルに関するものであり、より特定的には、フィルムの圧縮強度及びラベル開口性が上がり、ラベラーでの薄膜熱収縮性ラベルの装着性が向上するように改良された熱収縮性筒状ラベルに関する。この発明は、またそのような熱収縮性筒状ラベルの製造方法に関する。この発明はさらに、そのような熱収縮性筒状ラベルが胴部外周に装着されたプラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の印刷ラベルは、一般に熱収縮性筒状ラベルが使用されるが、この使用形態は、一般に次の通りである。
【0003】
まず、主として横方向に延伸された熱収縮性フラットフィルムに所望する絵柄を印刷する。次に、図8(A)を参照して、熱収縮性フラットフィルム1を、両端面をセンター2で重ね合わせて、接着手段(例えば有機溶剤、接着剤等)を介してニップロールにて圧着(シール)して筒状に成形する。このロール圧着により成形された筒状フィルムには、シール部分を挟んで両端に折り目1a(2本)が付く。一旦ここで圧着し、そのままフラット状でロール巻きにして巻き取る。
【0004】
次に該ロールから巻き出しつつ、PETボトル等に嵌着装填する1本分のサイズにカットする。カットしたらそのラベルを外側から、例えば吸引パットで引っ張って開口し、図8(B)を参照して、そこにPETボトル3等を挿入する。そして加熱トンネル中を通過させて該ラベルを熱収縮させる。該ラベルは、図8(C)を参照して、主として横方向に収縮してPETボトル3の胴部を中心にて締着固定され、一連の工程を終了する。
【0005】
ところで、上記ラベルは以下の点が要求される。即ち、コストの点からPETボトル等の外径にできるだけ近い直径であること、そしてPETボトル等が迅速に容易に挿入されるように開口できること、さらには種々の形状の該ボトル等に対しても迅速に容易に挿入できることである。以上のことを成形・開口・挿入の3条件と呼ぶ。
【0006】
しかしながら、上記従来からの2本折り目の該ラベルに関しては、上記成形・開口・挿入の3条件のクリアーは、不満足なものに終始していた。ましてや最近の飲料等のPETボトルに対しての要望は、多様化し、従来の形態での対応は困難になってきた。そこで最近では従来の2本の折り目に、更に2本の折り目を積極的に付け、合計4本(90度間隔)の折り目の付けられたものに変え、これを吸引パット等で開口して、該ボトル等を挿入する方法に変わってきている。
【0007】
上記4本折り目を持つ熱収縮性筒状ラベルは、上記2本折り目のものの場合よりも上記成形・開口・挿入の3条件をクリアーするのに有効ではある。しかしながら、この4本折り目でも、なお十分に満足できるレベルにはない。しかも最近の傾向の1つとして該ラベルの厚さをより薄くして、コストを下げることにある。しかしこの薄くすることは、上記成形・開口・挿入の3条件の達成がより困難になる。もう1つの傾向として、PET等ボトルに被せるラベルの長さを長くする傾向にある。より長くすることはラベル厚さが厚くても開口・挿入は難しくなる。ましてや薄くなれば更に困難になる。
【0008】
そこで、出願人は、従来の4本折り目の熱収縮性筒状ラベルよりも高いレベルで上記の成形・開口・挿入の3条件をクリアーすることができ、且つラベルのPET等ボトルヘの被せ長さが長くなって、更にはラベルの厚さがより薄くなっても、開口・挿入のし易い手段を見出すことを課題として、先に、図9に示すような、PETボトル3に装着される、長手方向に延びるように形成された折り目4aが、6本、8本又は10本、設けられているラベル用熱収縮性筒状フィルム4を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-77948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ラベルの厚みがさらに薄くなり、20μm〜40μm程度になると、このような熱収縮性筒状フィルムは腰がなくなり、また熱によって腰砕けになりPETボトル等への装着が綺麗に仕上がらないという課題が生じ、さらなる改善が求められていた。
【0011】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、腰のある、かつ収縮時の熱によって腰砕けにならないように改良された熱収縮性筒状ラベルを提供することを目的とする。
【0012】
この発明のさらに他の目的は、そのような熱収縮性筒状ラベルの製造方法を提供することにある。
【0013】
この発明のさらに他の目的は、そのような熱収縮性筒状ラベルを装着したプラスチックボトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、容器の側面に装着される熱収縮性筒状ラベルであって、左端部と右端部を有する熱収縮性基材フィルムを備える。上記左端部と上記右端部は、上記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わされてシールされている。上記チューブの表面には、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目が長手方向に延びるように形成されている。
【0015】
本発明の熱収縮性筒状フィルムとしては特に限定するものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等によりなる単層又は多層のフィルムが例示できる。
【0016】
より好ましくは、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれかの樹脂によりなるフィルムである。
【0017】
なお該フィルムには紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、抗菌剤、安定剤等、各種公知の添加剤や異なる樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0018】
ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー、スチレン−共役ジエンブロックエラストマー等、スチレンを構成要素の一つとする樹脂全般をいう。
【0019】
ポリスチレンとは、スチレンやα−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体からなる単独重合体、相互共重合体はもとより、スチレンやスチレン誘導体と共重合可能な単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族不飽和カルボン酸やその誘導体との共重合体も含む。
【0020】
また、耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリスチレンと、例えばポリブタジエンやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物、あるいは、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにポリスチレンをグラフト重合させたものをいう。
【0021】
また、グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレンとは、ポリスチレンからなる連続相に、ポリスチレンを内部に包含し、且つ、ポリスチレンがポリブタジエン等ゴム成分にグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本としたものをいう。
【0022】
また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマーとは、スチレンブロックと、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロック及び/又はスチレンと共役ジエンとのランダムブロックとを含み、スチレン含有量51〜99質量%、共役ジエン含有量49〜1質量%のコポリマーをいう。なお、スチレン−ブタジエンブロックコポリマーに他の成分を含めた3元、4元コポリマーも本発明の中に入る。他の成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらの金属塩(例えば、Na、K、Li、Mg、Ca、Zn、Fe等の金属塩)、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の脂肪族カルボン酸やその誘導体が例示できる。
【0023】
さらには共役ジエンに基づく二重結合残基の一部を水添したものも例示できる。
【0024】
また、スチレン−共役ジエンブロックエラストマーとは、スチレンブロックと、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンのブロック及び/又はスチレンと共役ジエンとのランダムブロックとを含み、スチレン含有量1〜50質量%、共役ジエン含有量99〜50質量%のエラストマーをいう。
【0025】
ポリスチレン系樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
【0026】
ポリエステル系樹脂としては、好ましくは一般に共重合ポリエステル樹脂と呼ばれる樹脂が挙げられる。共重合ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては公知のものでよく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4’−ジカルボン酸ジフェニール等のジカルボキシビフェニール類、5−t−ブチルイソフタル酸等の置換フタル酸類、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の置換ジカルボキシルビフェニル類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸及びその置換体等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメル酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タブシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその置換体、4,4’−ジカルボキシシクロヘキサン等の脂環族ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられる。そしてジオール成分としては公知のものでよく、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコール等の芳香族系のジオール類、あるいはジエチレングリコール等が挙げられる。
【0027】
共重合ポリエステル樹脂は1種類でもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。また、 ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等を含むものであってもよい。
【0028】
ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくは、エチレン又はプロピレンを主成分とし、それらと共重合可能な他の単量体(オレフィン、ビニル化合物等)とのランダム共重合体、或いは環状オレフィンを含む重合体が挙げられる。
【0029】
環状オレフィンを含む重合体としては、例えば、(a)エチレンまたはプロピレンと環状オレフィン(例えばノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体など)とのランダム共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体またはα−オレフィンとの共重合体、(c)上記(b)の重合体の水素添加物、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による上記(a)〜(c)のグラフト変性物などが挙げられる。
【0030】
ポリオレフィン系樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
【0031】
上記Z折れ目は、少なくとも2本設けられている。2本設けることにより、2箇所で安定して立たせることができる。
【0032】
上記熱収縮性基材フィルムの厚みは、20μm〜40μmである。この程度の厚みになると、本発明によらなければ、腰砕けになるが、本発明によれば、腰砕けにはならない。
【0033】
本発明の他の局面に従う、容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベル製造方法は、容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベル製造方法であって、左端部と右端部を有する長尺の熱収縮性基材フィルムを準備する工程と、上記左端部と上記右端部を、上記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わせてシールする工程と、上記チューブを雄型と雌型の間に挟んで、上記チューブの表面に、長手方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目を形成する工程とを備える。
【0034】
本発明のさらに他の局面に従う、容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベル製造方法であって、左端部と右端部を有する長尺の熱収縮性基材フィルムを準備する工程と、上記左端部と上記右端部を、上記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わせてシールする工程と、上記チューブの中に雄型を入れて、かつチューブの外側から雌型で押さえて、上記チューブの表面に、長手方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目を形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0035】
上記チューブの表面には、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目が長手方向に延びるように形成されているので、このZ折れ目が柱のように作用し、腰のある、かつ熱によって腰砕けにならない熱収縮性筒状ラベルになる。また、PETボトル等への装着が綺麗に仕上がる。また、従来の4本折り目を有する熱収縮性筒状ラベルよりも、より容易に迅速に開口ができて、PETボトル等ヘの挿入がし易くなった。特に熱収縮性筒状ラベルの厚さが薄くなっても、上記開口・挿入がし難くなるようなこともなく、厚さに対する対応がし易くなった。又、特にラベルのPETボトル等ヘの被せ長さがより長くなっても上記開口・挿入し難くなるようなこともなく、被せ長さに対する対応がし易くなった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1に係る熱収縮性筒状ラベルの斜視図である。
【図2】実施例1に係る熱収縮性筒状ラベルの中にPET等ボトルを挿入して立てた時の、上方から見た平面図である。
【図3】Z折れ目を付与した熱収縮性筒状ラベルの経時圧縮強度変化を示す図である。
【図4】実施例2に係る熱収縮性筒状ラベルの製造方法の概略を示す図である。
【図5】(A)はZ折れ目を付与するジグとピンチロールの概念図である。(B)は得られた熱収縮性筒状ラベル用チューブの断面図である。
【図6】(A)はZ折れ目を付与する他のジグとピンチロールの概念図である。(B)は得られた熱収縮性筒状ラベル用チューブの断面図である。
【図7】(A)は実施例3に係る方法の要部を示す図であり、Z折れ目を付与する雄型と雌型で、チューブの表面にZ折れ目を付与している様子を示す図であり、(B)は得られたチューブの断面図である。
【図8】従来の熱収縮性筒状ラベルをPETボトルに装着する態様を示す図である。
【図9】他の従来の熱収縮性筒状ラベルをPETボトルに装着する態様を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
腰のある、かつ熱によって腰砕けにならないように改良された熱収縮性筒状ラベルを得るという目的を、チューブの表面に、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目を長手方向に延びるように形成することによって、実現した。以下、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0038】
図1は、実施例1に係る熱収縮性筒状ラベルの斜視図である。
【0039】
図1を参照して、容器の側面に装着される熱収縮性筒状ラベル5は、左端部と右端部を有する熱収縮性基材フィルムを備える。該左端部と右端部は、熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わされてシールされている。2はシール部である。チューブの表面には、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目5aが、4箇所に長手方向に延びるように形成されている。折れ目5bは、図8中の折れ目1aに相当するもので、これについては後述する。
【0040】
チューブの表面に、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目5aが長手方向に延びるように形成されているので、図2に示す平面図のように、PETボトル3を挿入して立てた場合、Z折れ目5aが柱の役割を果たし、腰がしっかりとして、立ち形状を維持させることができる。また、加熱炉を通過させて熱収縮させる場合でも、Z折れ目5aが柱の役割を果たし、熱によってチューブが腰砕けにならない。また、PETボトルの上部にあるテーパ部分においても、Z折れ目5aが柱の役割をするので、収縮時に折れ込みの発生がなく、綺麗に収縮する。ひいては、PETボトルへの装着が綺麗に仕上がる。
【0041】
図3は、上記のようにZ折れ目5aを付与した熱収縮性筒状ラベルの圧縮強度が、時間によってどれだけ変化するかを調べた結果を示したものである。4週間を経ても、圧縮強度は低下しなかった。Z折れ目5aが柱の役割を果たし腰がしっかりとして、立ち形状を維持させたのである。
【実施例2】
【0042】
熱収縮性フィルムの製造は、次のようにして行なわれる。
【0043】
まずTダイからの溶融押出法によって上記樹脂をフィルム状に押し出す。そしてこれを所定温度(樹脂の種類によって異なる)の下で、テンターを使って主として横方向に延伸する。そして弛緩させながら熱固定(アニール)し、冷却して巻き取る。
【0044】
ここで横方向(TD方向)の延伸倍率は、一般には3〜10倍、好ましくは3〜7倍である。縦方向(MD方向)には延伸しなくてもよく、場合によっては1.8倍程度以下の延伸があっても良い。
【0045】
尚、多層のフィルムの場合は、複数の押出機に繋がれてなる1台のマルチTダイから同時に溶融押出しを行ない、同様に延伸、熱固定を行なう。
【0046】
そして、上記得たフィルムに所望する絵柄で、内面又は外面となる部分に印刷を行ない原反フィルムを得る。
【0047】
尚、この印刷に先行して、印刷性良化のための表面処理(例えばコロナ放電処理)を行なってもよい。中でもポリオレフィン系樹脂による場合は、これを行なうのが望ましい。
【0048】
図4は工程の概念図である。12は、原反フィルム11の巻き出し軸である。ガイドローラ14及びニップローラ15により、原反フィルム11は、巻き取り軸13まで巻き取られる。その途中で、以下の加工がなされる。塗布ノズル16により、原反フィルム11の例えば左端部に溶剤が供給される。ニップローラ15によって、溶剤が塗布された上記左端部に右端部が重ね合わされて、シールされ、長尺のチューブが形成されていく。この時に、前述した折れ目5bも形成される。次に、本願発明の特徴であるZ折れ目を付与する、ジグ17とピンチロール18の間に送られて、原反フィルム11の表面に、長尺方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目が形成される。これについては後述する。その後、巻き取り軸13に巻き取られる。巻き取り軸13に巻き取られた原反フィルム11は、ユーザで該ロールから巻き出されつつ、PETボトル等に嵌着装填する1本分のサイズにカットされる。カットしたらそのラベルをPETボトルを挿入する。そして加熱トンネル中を通過させて該ラベルを熱収縮させる。
【0049】
図5(A)は、Z折れ目を付与するジグ17とピンチロール18の概念図である。ピンチロール18には、チューブの表面に2本のZ折れ目5aを形成するための、突起物18aが2組設けられている。図5(A)を参照して、ジグ17とピンチロール18の間に原反フィルム11が挟まれて、ピンチロール18が矢印の方向に回転することにより、図5(B)に示すように、原反フィルム11の表面に、長尺方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目5aが形成される。2組の突起物18aを、図5(A)のようにハの字型に配置すると、得られた熱収縮性筒状ラベルにおいて、2本のZ折れ目5aに挟まれた、ラベルの表面部分は、凹んだ形状になる。
【0050】
図6(A)は、Z折れ目を付与する、他のジグ17とピンチロール18の概念図である。2組の突起物18aを、図6(A)のように、上とは逆さまの「ハ」の字型に配置すると、図6(B)に示すように、得られた熱収縮性筒状ラベルにおいて、2本のZ折れ目5aに挟まれた、ラベルの表面部分は、膨出した形状になる。
【0051】
ラベルの表面にZ折れ目5aを付けることで開口し易くなり、又これを開口した場合に、それ自身の強度(例えば圧縮強度)が増すことになり、該フィルムの厚さがより薄くなるとか、該ラベルの長さ(被せる長さ)が長くなるような場合でも、PETボトル等への挿入時にラベルが折れ曲がるようなことなく挿入できる。
【実施例3】
【0052】
本実施例は、Z折れ目5aを形成する方法が実施例2とは異なるものである。左端部と右端部を有する長尺の熱収縮性基材フィルムを準備し、上記左端部と上記右端部を、上記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わせてシールすることまでは、実施例2と同じである。本実施例では、図7(A)を参照して、得られた原反フィルム11のチューブの中に、Z折れ目5aを4本付与する雄型21を入れて、かつチューブの外側から、上記雄型に嵌り込む雌型22で両側から押さえる。これによって、図7(B)を参照して、原反フィルム11のチューブの表面に、長手方向に延びる、Z折れ目5aが4本形成される。
【0053】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、腰のある、かつ熱によって腰砕けにならないように改良された熱収縮性筒状ラベルが得られる。
【符号の説明】
【0055】
1 熱収縮性フラットフィルム
1a 折り目
2 シール
3 PETボトル
4 ラベル用熱収縮性筒状フィルム
4a 折り目
5 熱収縮性筒状ラベル
5a Z折れ目
11 原反フィルム
12 巻き出し軸
13 巻き取り軸
14 ガイドローラ
15 ニップローラ
16 塗布ノズル
17 ジグ
18 ピンチロール
18a 突起物
21 雄型
22 雌型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベルであって、
左端部と右端部を有する熱収縮性基材フィルムを備え、
前記左端部と前記右端部は、前記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わされてシールされており、
前記チューブの表面には、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目が長手方向に延びるように形成されている熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
前記Z折れ目は、少なくとも2本設けられている請求項1に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
前記熱収縮性基材フィルムの厚みは、20μm〜40μmである、請求項1又は2に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱収縮性筒状ラベルが容器の胴部外周に装着されてなるプラスチックボトル。
【請求項5】
容器の胴部外周に装着される熱収縮性筒状ラベル製造方法であって、
左端部と右端部を有する長尺の熱収縮性基材フィルムを準備する工程と、
前記左端部と前記右端部を、前記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わせてシールする工程と、
前記チューブを雄型と雌型の間に挟んで、前記チューブの表面に、長手方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目を形成する工程とを備えた熱収縮性筒状ラベル製造方法。
【請求項6】
容器の側面に装着される熱収縮性筒状ラベル製造方法であって、
左端部と右端部を有する長尺の熱収縮性基材フィルムを準備する工程と、
前記左端部と前記右端部を、前記熱収縮性基材フィルムがチューブを形成するように、重ね合わせてシールする工程と、
前記チューブの中に凸型もしくは凹型を入れて、かつチューブの外側から凹型もしくは凸型で押さえて、前記チューブの表面に、長手方向に延びる、Zの字のように2回折られてなるZ折れ目を形成する工程とを備えた熱収縮性筒状ラベル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133294(P2012−133294A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287482(P2010−287482)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】