説明

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

【課題】芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを含み、耐熱性に優れ、透明性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を製造する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂5〜55重量部と、芳香族ポリサルホン樹脂95〜45重量部とを、1000〜9000/secのせん断下で溶融混練することにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する。芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂との溶融混錬は、帰還型スクリュウを備えた混練機により行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性や溶融流動性と、芳香族ポリサルホン樹脂が有する耐薬品性とを兼ね備える優れた樹脂材料として検討されており、例えば特許文献1〜4に開示されている。しかしながら、特許文献1〜4に開示の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリサルホン樹脂が有する耐熱性が芳香族ポリカーボネート樹脂により阻害されて、耐熱性が十分でないことがある。このため、前記熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を向上させることが検討されており、例えば特許文献5には、溶融粘度の比が所定範囲内となる芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを含む熱可塑性樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭45−39181号公報
【特許文献2】特公昭49−13855号公報
【特許文献3】特開昭54−28361号公報
【特許文献4】特開昭60−51739号公報
【特許文献5】特開平10−212403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献5に開示の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性に優れるものの、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とが相溶し難いため、透明になり難く、透明性が求められる用途に適用し難い。そこで、本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを含み、耐熱性に優れ、透明性にも優れる熱可塑性樹脂組成物を製造しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂5〜55重量部と、芳香族ポリサルホン樹脂95〜45重量部とを、1000〜9000/secのせん断下で溶融混練することにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式(I)で示される繰返し単位(以下、「繰返し単位(I)」ということがある。)を有するものである。
【0007】
−A−O−CO−O− (I)
【0008】
(Aは、二価フェノールに由来する基を表す。)
【0009】
芳香族ポリカーボネート樹脂における繰返し単位(I)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常50モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、実質的に全ての繰返し単位が繰返し単位(I)であることがより好ましい。なお、芳香族ポリカーボネート樹脂は、繰返し単位(I)として2種以上のものを有していてもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂として、2種以上の混合物を用いてもよい。
【0010】
式(I)中、Aで表される二価フェノールに由来する基は、二価フェノールから2つの水酸基の各水素原子を除いてなる残基であり、また、二価フェノールは、芳香環の炭素原子に直接結合している2つの水酸基を有する単環又は多環の芳香族化合物である。二価フェノールの例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニルが挙げられる。
【0011】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAに由来する基を有するものであることが好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂におけるビスフェノールAに由来する基の含有量は、二価フェノールに由来する基の合計量に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、実質的に全ての二価フェノールに由来する基が二価フェノールに由来する基であることが特に好ましい。なお、芳香族ポリカーボネートの末端基は、その製法により適宜選択することができ、その例としては、−OHや−OC(CH33が挙げられる。
【0012】
また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、340℃、せん断速度1216/secで測定される溶融粘度が200〜1000Pa・sであることが好ましく、200〜600Pa・sであることがより好ましい。この溶融粘度があまり高いと、得られる組成物の溶融粘度も高くなり、成形加工し難くなり、あまり低いと、得られる組成物の耐熱性や機械強度が低下し易くなり、好ましくない。
【0013】
芳香族ポリサルホン樹脂は、アリーレン単位、エーテル結合(−O−)及びサルホン結合(−SO2−)を必須とし、アリーレン単位がエーテル結合及びサルホン結合により無秩序に又は秩序正しく位置するポリアリーレン化合物である。
【0014】
芳香族ポリサルホン樹脂は、下記式(1)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(1)」ということがある)を有するものであることが好ましく、さらに下記式(2)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(2)」ということがある)及び/又は下記式(3)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(3)」ということがある)を有していてもよい。
【0015】
−Ph1−SO2−Ph2−O− (1)
【0016】
(Ph1及びPh2は、それぞれ独立に、下記式(4)で表される基を表す。)
【0017】
−Ph3−R−Ph4−O− (2)
【0018】
(Ph3及びPh4は、それぞれ独立に、下記式(4)で表される基を表し、Rは、炭素数1〜5のアルキリデン基を表す。)
【0019】
−(Ph5)n−O− (3)
【0020】
(Ph5は、下記式(4)で表される基を表し、nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPh5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0021】
【化1】

【0022】
(R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基、フェニル基又はハロゲン原子を表す。n1は、0〜4の整数を表し、n1が2以上である場合、複数存在するR1は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0023】
芳香族ポリサルホン樹脂が繰返し単位(1)を有する場合、式(1)中のPh1及びPh2を表す式(4)中のn1は、0であることが好ましく、この式(4)で表される基は、p−フェニレン基であることが好ましい。また、繰返し単位(1)の含有量は、芳香族ポリサルホン樹脂を構成する全繰返し単位の合計量に対して、80モル%以上であることが好ましい。よって、芳香族ポリサルホン樹脂は、それが有する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(1a)で示される繰返し単位を80モル%以上有するものであることが好ましい。
【0024】
−pC64−SO2−pC64−O− (1a)
【0025】
(pC64は、p−フェニレン基を表す。)
【0026】
芳香族ポリサルホン樹脂が繰返し単位(1)及び(2)を有する場合、式(1)中のPh1及びPh2並びに式(2)中のPh3及びPh4を表す式(4)中のn1は、0であることが好ましく、この式(4)で表される基は、p−フェニレン基であることが好ましく、式(2)中のRは、イソプロピリデン基であることが好ましい。また、繰返し単位(1)/[繰返し単位(1)+繰返し単位(2)]のモル比は、0.8以上であることが好ましい。
【0027】
芳香族ポリサルホン樹脂が繰返し単位(1)及び(3)を有する場合、式(1)中のPh1及びPh2並びに式(3)中のPh5を表す式(4)中のn1は、0であることが好ましく、この式(4)で表される基は、p−フェニレン基であることが好ましく、式(3)中のnは、1又は2であることが好ましい。また、繰返し単位(1)/[繰返し単位(1)+繰返し単位(3)]のモル比は、0.8以上であることが好ましい。
【0028】
芳香族ポリサルホン樹脂としては、実質的に繰返し単位(1)のみからなるものや、実質的に繰返し単位(1)及び(2)のみからなるものが好ましく、実質的に繰返し単位(1)のみからなるものがより好ましい。
【0029】
芳香族ポリサルホン樹脂の市販品の例としては、住友化学(株)製の「スミカエクセルPES3600P」や「スミカエクセルPES4100P」(繰返し単位(1)を有する芳香族ポリサルホン樹脂)、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製の「UDEL P−1700」(繰返し単位(1)及び(2)を有する芳香族ポリサルホン樹脂)が挙げられる。なお、芳香族ポリサルホン樹脂の末端基は、その製法により適宜選択することができ、その例としては、−Cl、−OH、−OR(R:アルキル基)が挙げられる。
【0030】
また、芳香族ポリサルホン樹脂は、340℃、せん断速度1216/secで測定される溶融粘度が100〜600Pa・sであることが好ましく、100〜400Pa・sであることがより好ましい。この溶融粘度があまり高いと、得られる組成物の溶融粘度も高くなり、成形加工し難くなり、あまり低いと、得られる組成物の耐熱性や機械強度が低下し易くなり、好ましくない。
【0031】
そして、340℃、せん断速度1216/secで測定される芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηa)と芳香族ポリサルホン樹脂の溶融粘度(ηb)との比(ηa /ηb )は、0.5〜2.0であることが好ましく、0.8〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.6であることがさらに好ましい。この比があまり小さいと、得られる組成物の耐熱性が低下し易くなり、あまり大きいと、芳香族ポリカーボネート樹脂が分散し難くなるため、得られる組成物の透明性が低下し易くなり、好ましくない。
【0032】
本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを溶融混練することにより、熱可塑性樹脂組成物を製造する。芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂との使用割合は、両者の合計量を100重量部として、芳香族ポリカーボネート樹脂が5〜55重量部、芳香族ポリサルホン樹脂が45〜95重量部であり、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂が25〜45重量部、芳香族ポリサルホン樹脂が55〜75重量部である。芳香族ポリカーボネート樹脂があまり多く、芳香族ポリサルホン樹脂があまり少ないと、得られる組成物の耐熱性が不十分になり、芳香族ポリカーボネート樹脂があまり少なく、芳香族ポリサルホン樹脂があまり多いと、得られる組成物の成形加工性が不十分になる。
【0033】
なお、本発明では、得られる組成物の透明性を損なわない範囲で、必要に応じて、芳香族ポリカーボネート樹脂及び芳香族ポリサルホン樹脂以外の成分を原料として用いてもよく、その例としては、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカー等の繊維状又は針状の補強剤;、タルク、マイカ、クレー、ガラスビーズ等の無機充填剤;、フッ素樹脂、金属石鹸類等の離型改良材;、染料、顔料等の着色剤;酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。また、少量の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル及びその変成物、ポリエーテルイミドや、少量の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂や、少量のゴム成分を、1種又は2種以上用いてもよい。
【0034】
そして、本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂との溶融混錬を、1000/sec〜9000/secのせん断下で行う。このように所定範囲の高せん断速度で溶融混錬を行うことにより、透明性に優れる組成物を得ることができる。このせん断速度は、好ましくは1000/sec〜5000/sec、より好ましくは1000/sec〜3000/secである。このせん断速度があまり小さいと、相溶不十分により、得られる組成物の透明性が不十分になり、あまり大きいと、熱劣化により、得られる組成物の透明性が不十分になる。
【0035】
前記溶融混練は、従来の2軸押出機では不可能であったナノコンパウンディング等の押出成形を可能にする高せん断型の混練機、例えば、完全噛合型同方向回転平行4軸押出機(例えば(株)テクノベル製の「KZW FR」)や帰還型スクリュウを備えた高せん断成形加工機(例えばニイガタマシンテクノ(株)製の「NHSS2−28」)を用いて行うことができ、特に帰還型スクリュウを備えた高せん断成形加工機を用いて行うことが好ましい。
【0036】
なお、前記溶融混練は、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂及び必要に応じて他の成分を、予めヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、この混合物を混練機に供給することにより行ってもよい。また、他の成分を用いる場合は、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリサルホン樹脂とを予め混合した後、この混合物と他の成分とを別々に混練機に供給することにより行ってもよい。また、ハンドリングの観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂及び必要に応じて他の成分を、通常の押出機で低せん断下に溶融混練してペレット化した後、このペレットを1000/sec〜9000/secの高せん断下に溶融混練してもよい。
【0037】
こうして得られる熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性や溶融流動性と、芳香族ポリサルホン樹脂が有する耐薬品性とを兼ね備えつつ、耐熱性に優れ、透明性にも優れることから、各種成形体を製造するための成形材料として好適に用いられる。成形方法としては、樹脂を溶融・賦型・固化させうる各種方法が採用でき、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形が挙げられ、中でも射出成形が好ましく用いられる。得られた成形体は、さらに切削やプレスにより加工してもよい。
【0038】
成形体としては、例えば、自動車や航空機の部品、産業用機器、家電製品、食器、医療機器、食品容器、OA・AV機器、電気・電子部品、半導体製造プロセス関連部品、家庭日用品、包装・容器資材が挙げられるが、特に耐熱性と透明性が必要とされる製品・部品、例えば、ランプ部品、継ぎ手、バルブ類、電子レンジ容器、コーヒーサーバ容器、ウエハーキャリヤー、センサー類部品、エンジンルーム内部品の材料として、本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は好適に用いられる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、溶融粘度、ガラス転移温度(耐熱性の指標)及びヘーズ(透明性の指標)の測定は、それぞれ次の方法で行った。
【0040】
[溶融粘度]
(株)東洋精機製作所製の「キャピログラフ1B」により、内径1mm、長さ10mmのオリフィスを用いて、温度340℃、せん断速度1216/secで測定した。
【0041】
[ガラス転移温度]
(株)島津製作所製の「DSC50」を用いて、JIS K7121に準拠して測定した。
【0042】
[ヘーズ(曇価)]
スガ試験機(株)製の「HGM−2DP」を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
【0043】
実施例1
溶融粘度350Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂(住友ダウ(株)製の「カリバー200−3」)10重量部と、溶融粘度366Pa・sの芳香族ポリサルホン樹脂(住友化学(株)製の「スミカエクセルPES 3600P」)90重量部とを、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製の「PCM−30」)を用いて、シリンダー温度340℃で、100/secのせん断下で混練して造粒し、不透明な樹脂組成物を得た。この組成物を、帰還型スクリュウを備えた高せん断成形加工機(ニイガタマシンテクノ(株)の「NHSS2−28」、スクリュウ径28mm、スクリュウ帰還部の内径φ2mm)に投入し、ギャップを2mmに設定し、可塑化部温度300℃、混錬部温度230℃にて加熱溶融し、スクリュウ回転数を1000rpmとして、1470/secのせん断下で30秒間混錬し、その後、T−ダイから押し出して、透明な樹脂組成物を得た。その際、せん断発熱を低減するため、冷却機構を用いて、混錬部の温度が230℃を超えないように温度制御した。得られた樹脂組成物のガラス転移温度を測定し、結果を表1に示した。また、得られた樹脂組成物を、プレス機((株)神藤金属工業所製の「NP−37])を用いて、280℃で、50mm×50mm×1mmtの成形体に成形し、この成形体のヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0044】
実施例2
スクリュウ回転数を3000rpmとして、4400/secのせん断下で混練した以外は、実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。
【0045】
比較例1
実施例1と同様に、溶融粘度350Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂(住友ダウ(株)製の「カリバー200−3」)10重量部と、溶融粘度366Pa・sの芳香族ポリサルホン樹脂(住友化学(株)製の「スミカエクセルPES 3600P」)90重量部とを、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製の「PCM−30」)を用いて、シリンダー温度340℃で、100/secのせん断下で混練して造粒し、不透明な樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のガラス転移温度を測定し、結果を表1に示した。また、この樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製の「PS40E5ASE」)を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度120℃で、50mm×50mm×1mmtの成形体に成形し、この成形体のヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0046】
実施例3
スクリュウ帰還部の内径φを4mmとして混練した以外は、実施例2と同様の操作を行い、結果を表1に示した。
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリカーボネート樹脂5〜55重量部と、芳香族ポリサルホン樹脂95〜45重量部とを、1000〜9000/secのせん断下で溶融混練する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂と前記芳香族ポリサルホン樹脂との溶融混錬を、帰還型スクリュウを備えた混練機により行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記芳香族ポリカーボネート樹脂が、それが有する二価フェノールに由来する基の合計量に対して、ビスフェノールAに由来する基を30モル%以上有するものである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記芳香族ポリサルホン樹脂が、それが有する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(1a)で示される繰返し単位を80モル%以上有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
−pC64−SO2−pC64−O− (1a)
(pC64は、p−フェニレン基を表す。)

【公開番号】特開2011−225832(P2011−225832A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65388(P2011−65388)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】