説明

熱圧着クッション構造

【課題】軽量で使い易く、ユーザに加わる圧力を減らして痛みを軽減させることができる熱圧着クッション構造を提供する。
【解決手段】熱圧着クッション構造は、上層緩衝材3、下層緩衝材9及び少なくとも1つの充填体4を備える。上層緩衝材3は、第1の表面31及び第2の表面32を有する。下層緩衝材9は、第1の表面91及び第2の表面92を有する。充填体4は、上層緩衝材3の第2の表面32と、下層緩衝材9の第2の表面92との間の所定の箇所に結合される。上層緩衝材3には、熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕により、上層緩衝材3と下層緩衝材9とを密着させ、充填体4を収納する緩衝スペースが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱圧着クッション構造に関し、特に、熱圧着方式により、上層緩衝材と下層緩衝材との間に設けた緩衝スペースに、少なくとも1つの充填体を結合させ、床用クッション、睡眠用クッション、シートクッション、背中クッションなどの様々なクッションに応用し、人体の各部を適宜支えて体にかかる圧力を低減させることができる熱圧着クッション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市販されているシートクッション又は背凭れ用クッションは、織布層内に1つの発泡体が包まれ、熱圧着方式により、全体の発泡体層と織布層とが密着されるが、使用する発泡体層が硬すぎる場合、その緩衝効果は好ましくなく、ユーザが使用する際に痛みを感じることがある。また、反対に発泡体が軟らかすぎる場合、好ましい弾性緩衝機能を得ることができるが、ユーザの身体各部が発泡体中に落ち込んで、体を動かすことが不便なことがある。
【0003】
そのため、メーカの一部には、緩衝材料と織布層とをステッチ方式により結合し、高い緩衝・防振効果を得る製品がある。しかし、このような結合方式では、衝撃力を弱めて防振効果を高めることができるが、織布層と緩衝材料とがステッチ方式により結合されているため、織布層の表面にミシン目が残っている場合、ユーザの皮膚に針糸が接触して擦れ、皮膚が痛くなったり腫れたりすることがあり、最悪の場合、傷口が炎症を起こすこともある。それ以外に、織布層の表面のミシン目は、見た目にも悪影響を及ぼし、ユーザの購買意欲を減退させる虞がある。
【0004】
ステッチ方式により緩衝材料を固定させる場合、上述の欠点以外に、針糸が外れたり切れたりし、緩衝材料が揺れたりずれたりするため、ユーザが使用する際不便となる上、緩衝材料がずれたり滑ったりすると、ユーザの身体の特定箇所に加わる力を緩衝材料により弱める効果が大幅に低減する虞がある。
【0005】
そのため、熱圧着方式を利用し、振動吸収・圧力分散又は成形効果を有する材料を熱圧着構造に結合することにより、結合が強固になり、快適に使用することができる上、凸出した緩衝クッションにより人体の各部を支えることができる熱圧着クッション構造が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、熱圧着方式により、振動吸収・圧力分散効果又は成形効果を有する数個の材料を、上層緩衝材と下層緩衝材との間に設けた緩衝スペース内に結合し、軽量で使い易く、ユーザに加わる圧力を低減させて痛みを和らげることができる熱圧着クッション構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上層緩衝材上に、織物である表面層が結合されているため、熱圧着クッションを直接販売したり使用したりすることができる熱圧着クッション構造を提供することにある。
本発明の第3の目的は、内部に配置された上層緩衝材及び下層緩衝材の上を覆う被覆体を取り外して洗浄することができるため、清潔に使用することができる熱圧着クッション構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、上層緩衝材、下層緩衝材及び少なくとも1つの充填体を備える熱圧着クッション構造であって、前記上層緩衝材は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記下層緩衝材は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記充填体は、前記上層緩衝材の前記第2の表面と、前記下層緩衝材の前記第2の表面との間の所定の箇所に結合され、前記上層緩衝材には、熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕により、前記上層緩衝材と前記下層緩衝材とを密着させ、前記充填体を収納する緩衝スペースが設けられていることを特徴とする熱圧着クッション構造が提供される。
【0008】
前記充填体がそれぞれ結合された前記上層緩衝材及び前記下層緩衝材を覆う被覆体をさらに備えることが好ましい。
【0009】
前記充填体は振動吸収・圧力分散体であることが好ましい。
【0010】
前記充填体は成形体であることが好ましい。
【0011】
前記充填体は、互いに積層された振動吸収・圧力分散体と成形体とから構成されることが好ましい。
【0012】
前記上層緩衝材と前記充填体との間には、前記充填体を覆う薄膜が設けられていることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するために、表面層、上層緩衝材、滑り止め層、下層緩衝材及び少なくとも1つの充填体を備える熱圧着クッション構造であって、前記表面層は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記上層緩衝材は、第2の表面と、前記表面層の前記第2の表面と結合される第1の表面と、を有し、前記滑り止め層は、第2の表面と、滑り止め表面である第1の表面と、を有し、前記下層緩衝材は、第2の表面と、前記滑り止め層の前記第2の表面と結合される第1の表面と、を有し、前記充填体は、前記上層緩衝材の前記第2の表面と、前記下層緩衝材の前記第1の表面との間の所定の箇所に結合され、前記表面層及び前記上層緩衝材上には、熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕により、前記表面層、前記上層緩衝材、前記下層緩衝材及び前記滑り止め層を密着させて一体成形するとともに、前記充填体を収納する緩衝スペースが設けられていることを特徴とする熱圧着クッション構造が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱圧着クッション構造は、以下(1)〜(5)の効果を有する。
(1)熱圧着方式により、振動吸収・圧力分散機能又は成形機能を有する材料を、上層緩衝材及び下層緩衝材の緩衝スペース内に結合することにより、軽量で携帯し易い上、ユーザに加わる圧力を低減し、痛みを和らげることができる。
(2)上層緩衝材上に結合する表面層を織物にすることにより、熱圧着クッションを直接販売したり使用したりすることができる。
(3)上層緩衝材及び下層緩衝材を内部に配置し、その上を覆う被覆体は、取り外して洗浄することができるため、清潔に使用することができる。
(4)熱圧着方式により結合させるため、2層の緩衝材と充填体との間の密着レベルを高めることにより、充填体がずれたり外れたりすることを防ぐことができる。
(5)床用クッション、シートクッション、背凭れ用クッションなどに適用し、様々なクッション構造に当たる人体の各部に応じ、充填体の位置及び数を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態による熱圧着クッション構造を示す断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態による熱圧着クッション構造を示す分解斜視図である。
【図2B】本発明の第1実施形態による熱圧着クッション構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による熱圧着クッション構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による熱圧着クッション構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による熱圧着クッション構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態による熱圧着クッション構造を示す斜視図である。
【図7A】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造をシートクッションに応用したときの状態を示す斜視図である。
【図7B】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造をシートクッションに応用したときの状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を座椅子用クッションに応用したときの状態を示す斜視図である。
【図9A】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を背凭れ用クッションに応用したときの状態を示す正面図である。
【図9B】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を背凭れ用クッションに応用したときの状態を示す正面図である。
【図9C】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を背凭れ用クッションに応用したときの状態を示す正面図である。
【図9D】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を背凭れ用クッションに応用したときの状態を示す正面図である。
【図10】本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造を床用クッションに応用したときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0017】
本発明の熱圧着クッション構造は、少なくとも上層緩衝材、下層緩衝材及び少なくとも1つの充填体から構成される。充填体は、上層緩衝材と下層緩衝材との間の所定箇所に結合され、上層緩衝材及び下層緩衝材のそれぞれの表面の所定箇所に対し熱圧着を行う。熱圧着は、充填体の周囲で行われるため、熱圧着を行う際、充填体が押されることがない。この熱圧着は、上層緩衝材と下層緩衝材とが熱圧着される箇所が熔融状態となり、上層緩衝材の表面に熱圧着痕が凹設され、凝固された後、上層緩衝材と下層緩衝材との熱圧着箇所が密着されて一体成形し、緩衝スペースが形成される。充填体は、緩衝スペース内に位置決めされる。熱圧着クッション構造を床用クッション、睡眠用クッション、座椅子用クッション、背凭れ用クッションなどに応用した場合、人体の各部が当たる箇所に配置した充填体により、ユーザに加わる圧力を低減し、痛みを和らげることができる上、衝撃を低減させ、体型に合わせて変形する。
【0018】
(第1実施形態)
図1、図2A、図2B及び図3を参照する。図1、図2A、図2B及び図3に示すように、本発明の第1実施形態による熱熱圧着クッション構造は、少なくとも表面層1、上層緩衝材3、滑り止め層2、下層緩衝材9及び少なくとも1つの充填体4から構成される。
【0019】
表面層1は、第1の表面11及び第2の表面12を有する。表面層1の第1の表面11は、毛面(起毛された面)でもよい。
【0020】
上層緩衝材3は、第1の表面31及び第2の表面32を有する。表面層1の第2の表面12は、上層緩衝材3の第1の表面31に結合される。
【0021】
滑り止め層2は、第1の表面21及び第2の表面22を有する。滑り止め層2の第1の表面21は、滑り止め機能を有してもよい。
【0022】
下層緩衝材9は、第1の表面91及び第2の表面92を有する。滑り止め層2の第2の表面22は、下層緩衝材9の第1の表面91に結合される。
【0023】
充填体4は、上層緩衝材3の第2の表面32と、下層緩衝材9の第2の表面92とが結合される所定の箇所に結合されている。
【0024】
表面層1、上層緩衝材3、滑り止め層2及び下層緩衝材9は、充填体4を利用して熱圧着方式により結合させる際、熱圧着機構5を利用し、表面層1の第1の表面11及び滑り止め層2の第1の表面21上において、充填体4の周囲領域で熱圧着を行い、上層緩衝材3と下層緩衝材9とが熱圧着される箇所を熔融結合状態にしてから冷却した後、表面層1と上層緩衝材3とが熱圧着された箇所に、幾何学的形状の熱圧着痕111が凹設され、緩衝スペース112が形成される。これにより、緩衝スペース112中に充填体4を収納することができる。
【0025】
ここで、表面層1は、織布、弾性メリヤス布地、合成皮、PU皮又はPVC皮からなってもよい。
【0026】
ここで、滑り止め層2は、滑り止め機能を得るために、織布、弾性メリヤス布地、合成皮、PU皮、PVC皮又は滑り止め材料からなってもよい。
【0027】
また、上層緩衝材3及び下層緩衝材9は、ポリウレタンフォームからなってもよい。このポリウレタンフォームは、熱に溶けると粘度が増し、上層緩衝材3と下層緩衝材9とが熱圧着される箇所に、熱圧着痕111が凹設され、凝固した後、熱圧着痕111が密着して元の状態に回復することがない。
【0028】
ここで、充填体4は、ゲル材、ラテックス材料、シリコーンゲル又は他の弾性材料からなってもよく、これにより、受けた圧力を分散させ、支えたり、振動を吸収したり、圧力を分散させたり、衝撃を弱める機能を得る。ゲル材、ラテックス材料又はシリコーンゲル材料は、必要に応じ、網状、格子状又は中実体に形成したり、或いは、穿孔を設けたり、表面に突出部又はバンプを設けたりしてもよい。
【0029】
ここで、充填体4は、形状記憶発泡体からなり、人体の体温により変形可能となり、支持物に当たると、支持物の表面形状が成形され、快適な支持機能を得ることができる。
【0030】
ここで、熱圧着機構5は、下圧構造51及び上圧構造52を有する。上圧構造52の表面には、平面521が設けられている。下圧構造51の表面には、充填体4の形状に対応した複数の凹溝511が設けられている。そのため、下圧構造51が表面層1の第1の表面11に位置し、上圧構造52が滑り止め層2の第1の表面21に位置するときに、互いを熱圧着させると、表面層1の第1の表面11上に、充填体4の幾何学的形状に対応した熱圧着痕111が複数形成される。そのため、充填体4により、表面層1及び上層緩衝材3を上方へ押し付けて突出させると、第2の表面12の範囲内に緩衝スペース112が凸設される。
【0031】
また、上述の充填体4は、上層緩衝材3と下層緩衝材9との間に配置されるため、重量が軽く、持ち運びし易い。
【0032】
また、上述の構造は、加工されて床用クッション、シートクッション、背中クッションなどの製品に用いることができる。
【0033】
(第2実施形態)
図4を参照する。図4に示すように、本発明の第2実施形態による熱圧着クッション構造は、第1実施形態と異なり、充填体4がゲルであるか、それ自体に油脂が含まれる製品である場合、充填体4から油脂が自然に滲み出て、上層緩衝材3に染み、上層緩衝材3の表面に油汚れが起きる虞がある。そのため、図4に示すように、充填体4と上層緩衝材3との間に薄膜30を設けて熱圧着を行い、充填体4を薄膜30により覆い、充填体4自体に含まれる油脂が上層緩衝材3に滲み出ることを防ぐ。
【0034】
また、薄膜30は、充填体4を密封した後、緩衝スペース112中に収納される。
【0035】
この薄膜30は、TPU薄膜又はPE薄膜である。
【0036】
(第3実施形態)
図5を参照する。図5に示すように、本発明の第3実施形態による熱圧着クッション構造は、第1実施形態と異なり、充填体4に含まれる互いに積層された振動吸収・圧力分散体41と成形体42とにより支えることにより、振動を吸収したり、圧力を分散させたり、熱により成形させたりする。
【0037】
また、振動吸収・圧力分散体41は、ゲル、ラテックス、シリコーンゲルなどからなってもよい。成形体42は形状記憶発泡体でもよい。振動吸収・圧力分散体41により、圧力を吸収したり分散・伝達したりし、成形体42が熱により成形され、体が快適に支えられる。この熱圧着クッション構造は、床用クッション、シートクッション又は背中クッションに応用すると、ユーザの首部、背中、腰部及び足部を快適に支えたり、圧力を分散させたりすることができる。
【0038】
また、振動吸収・圧力分散体41及び成形体42の上下位置は、本実施形態の態様だけに限定されるわけではなく、必要に応じて変えてもよい。
【0039】
(第4実施形態)
図6を参照する。図6に示すように、本発明の第4実施形態による熱圧着クッション構造は、第1実施形態〜第3実施形態と異なり、上層緩衝材3の第1の表面31が、表面層1と結合されておらず、下層緩衝材9の第2の表面92は、滑り止め層2に結合されていない。そのため、上層緩衝材3と下層緩衝材9とを熱圧着させた後、上層緩衝材3の第1の表面31上に、少なくとも1つの略幾何学的形状の熱圧着痕311が凹設され、熱圧着痕311の範囲内で緩衝クッション312が凸設され、緩衝クッション312中に充填体4が位置決めされ、上層緩衝材3、下層緩衝材9及び充填体4を内部に配置し、最後に、被覆体10内に、充填体4がそれぞれ結合された上層緩衝材3及び下層緩衝材9を配置し、被覆体10の底面に滑り止め層を設けて滑り止め機能を得る。
【0040】
ここで、被覆体10は、織布、弾性メリヤス布地、合成皮、PU皮又はPVC皮からなってもよい。
【0041】
図4、図5、図7A及び図7Bを同時に参照する。本実施形態による熱圧着クッション構造は、図7A及び図7Bに示すように、クッション構造6に応用する場合、クッション構造6の表面と、充填体4の周囲とには、熱圧着により略幾何学的形状の熱圧着痕111が1つ凹設されたり(図7A参照)、略幾何学的形状の熱圧着痕111が複数凹設されたり(図7B参照)し、クッション構造6の表面層1上に、1つ又は複数の緩衝スペース112を形成させ、各緩衝スペース112内に充填体4を配置させる。充填体4は、ユーザの太股の付け根部分(大腿骨)及びユーザの臀部(骨盤)の位置に対応するため、ユーザが座ると、ユーザの体重が上層緩衝材3及び下層緩衝材9により支えられるとともに、1つ又は複数の充填体4と、緩衝スペース112とにより、ユーザの太股の付け根及び臀部に加わる衝撃及び圧力を低減させることができる。
【0042】
図4、図5及び図8を参照する。本実施形態による熱圧着クッション構造は、図4、図5及び図8に示すように、シートクッションに応用する場合、本実施形態の熱圧着クッション構造のシートクッション構造7は、クッション領域71及び背凭れクッション領域72を有する。クッション領域71は、充填体4の周囲に熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕111を複数有する複数の緩衝スペース112が設けられている。各緩衝スペース112内には、充填体4が結合されている。充填体4は、ユーザの2つの太股の付け根の大腿骨と、ユーザの臀部の骨盤とにそれぞれ対応する。また、背凭れクッション領域72の充填体4は、熱圧着方式により略幾何学的形状の熱圧着痕111が周囲に複数配置され、複数の緩衝スペース112を有する。各緩衝スペース112内には、充填体4が結合されている。この充填体4は、ユーザの後首部、腰部及び背中に対応するように配置されている。
【0043】
そのため、ユーザが座ってシートクッション構造7に寄りかかると、ユーザの首部、背中、腰部、臀部及び太股の付け根の位置に対応した充填体4により同時に支え、ユーザが座って寄りかかるときに発生する圧力及び衝撃を充填体4及び緩衝スペース112により吸収したり分散させたりし、快適に座ることができる。
【0044】
ここで、シートクッション構造7は、熱圧着処理された後、中央部に折り曲げ部73がプレス成形され、クッション領域71及び背凭れクッション領域72に区分けされる。そのため、ユーザは、2つ折りにしてL字状に形成し、クッション領域71にユーザが座ると、背凭れクッション領域72にユーザの背中を寄りかからせることができる。
【0045】
図4、図5及び図9A〜Dを参照する。図4、図5及び図9A〜Dに示すように、本実施形態による熱圧着クッション構造は、背凭れ用クッションに製作される。図4、図5及び図9A〜Dに示すように、本実施形態の熱圧着クッション構造の背凭れ用クッション構造8は、充填体4の周囲に、熱圧着方式により略幾何学的形状の熱圧着痕111が1つ又は複数凹設され、複数の緩衝スペース112が設けられる。各緩衝スペース112内には、充填体4が結合される。図9Aに示すように、背凭れ用クッション構造8には、腰部が対応した箇所に、充填体4を収納するために用いる緩衝スペース112が熱プレス成形されている。そのため、ユーザが座ると、充填体4及び緩衝スペース112により、ユーザの後腰部に加わる衝撃及び圧力を低減させることができる。
【0046】
図9Bを参照する。図9Bに示すように、ユーザの腰後部及び背中上部が当たる箇所には、充填体4を収納するために用いる緩衝スペース112が設けられている。そのため、ユーザが座って凭れる際、充填体4及び緩衝スペース112により、ユーザの腰後部及び背中上部に発生する衝撃及び圧力を低減させることができる。
【0047】
図9Cを参照する。図9Cに示すように、ユーザの脊椎の両側と頚椎部とに対応した箇所には、充填体4を収納するために用いる緩衝スペース112が熱プレス成形されている。そのため、ユーザが座って凭れる際、ユーザの脊椎両側及び頚椎部に成形された充填体4及び緩衝スペース112により、ユーザの身体に加わる衝撃及び圧力を低減させることができる。
【0048】
図9Dを参照する。図9Dに示すように、ユーザの脊椎両側に対応した箇所には、充填体4を収納するために用いる緩衝スペース112が熱プレス成形されている。そのため、ユーザが座って凭れる際、ユーザの脊椎両側に成形された充填体4及び緩衝スペース112により、ユーザの身体に加わる衝撃及び圧力を低減させることができる。
【0049】
図4、図5及び図10を参照する。図4、図5及び図10に示すように、本発明の一実施形態による熱圧着クッション構造は、床用クッションに応用することもできる。図4、図5及び図10に示すように、熱圧着クッション構造の床用クッション構造20は、充填体4の周囲に、熱圧着方式により、略幾何学的形状の熱圧着痕111が1つ又は複数凹設され、複数の緩衝スペース112が形成されている。各緩衝スペース112内には、充填体4が結合されている。充填体4は、ユーザの頚椎、脊椎の両側、腰部及び足部に対応した位置に配置されている。そのため、ユーザが横たわったときに、ユーザの頚椎、脊椎の両側、腰部及び足部に加わる衝撃及び圧力を、充填体4及び緩衝スペース112により低減させることができる。
【0050】
図7A、図7B、図8A〜D、図9及び図10を参照する。図7A、図7B、図8A〜D、図9及び図10に示すように、充填体4は、ゲル、シリコーンゲル、ラテックスなどからなる振動吸収・圧力分散体41を単独で用いてもよいし、形状記憶発泡体などからなる成形体42を単独で用いてもよいし、振動吸収・圧力分散体41と成形体42とを積層させたものでもよい。
【0051】
また、図1〜図10の上層緩衝材3上に、略幾何学的形状に凹設された熱圧着痕111の数は、1〜30であることが好ましい。
【0052】
上述したことから分かるように、本発明の熱圧着クッション構造は、従来技術と異なり、以下(1)〜(5)の長所を有する。
(1)熱圧着方式により、振動吸収・圧力分散機能又は成形機能を有する材料を、上層緩衝材及び下層緩衝材の緩衝スペース内に結合させることにより、軽量で携帯し易い上、ユーザに加わる圧力を低減し、痛みを和らげることができる。
(2)上層緩衝材上に結合する表面層を織物にすることにより、熱圧着クッションを直接販売したり使用したりすることができる。
(3)上層緩衝材及び下層緩衝材を内部に配置し、その上を覆う被覆体は、取り外して洗浄することができるため、清潔に使用することができる。
(4)熱圧着方式により結合させるため、2層の緩衝材と充填体との間の密着レベルを高めることにより、充填体がずれたり外れたりすることを防ぐことができる。
(5)床用クッション、シートクッション、背凭れ用クッションなどに適用し、様々なクッション構造に当たる人体の各部に応じ、充填体の位置及び数を変えることができる。
【0053】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
1 表面層
2 滑り止め層
3 上層緩衝材
4 充填体
5 熱圧着機構
6 クッション構造
7 シートクッション構造
8 背凭れ用クッション構造
9 下層緩衝材
10 被覆体
11 第1の表面
12 第2の表面
20 床用クッション構造
21 第1の表面
22 第2の表面
30 薄膜
31 第1の表面
32 第2の表面
41 振動吸収・圧力分散体
42 成形体
51 下圧構造
52 上圧構造
71 クッション領域
72 背凭れクッション領域
73 折り曲げ部
91 第1の表面
92 第2の表面
111 熱圧着痕
112 緩衝スペース
311 熱圧着痕
312 緩衝クッション
511 凹溝
521 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層緩衝材、下層緩衝材及び少なくとも1つの充填体を備える熱圧着クッション構造であって、
前記上層緩衝材は、第1の表面及び第2の表面を有し、
前記下層緩衝材は、第1の表面及び第2の表面を有し、
前記充填体は、前記上層緩衝材の前記第2の表面と、前記下層緩衝材の前記第2の表面との間の所定の箇所に結合され、
前記上層緩衝材には、熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕により、前記上層緩衝材と前記下層緩衝材とを密着させ、前記充填体を収納する緩衝スペースが設けられていることを特徴とする熱圧着クッション構造。
【請求項2】
前記充填体がそれぞれ結合された前記上層緩衝材及び前記下層緩衝材を覆う被覆体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着クッション構造。
【請求項3】
前記充填体は振動吸収・圧力分散体であることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着クッション構造。
【請求項4】
前記充填体は成形体であることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着クッション構造。
【請求項5】
前記充填体は、互いに積層された振動吸収・圧力分散体と成形体とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着クッション構造。
【請求項6】
前記上層緩衝材と前記充填体との間には、前記充填体を覆う薄膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着クッション構造。
【請求項7】
表面層、上層緩衝材、滑り止め層、下層緩衝材及び少なくとも1つの充填体を備える熱圧着クッション構造であって、
前記表面層は、第1の表面及び第2の表面を有し、
前記上層緩衝材は、第2の表面と、前記表面層の前記第2の表面と結合される第1の表面と、を有し、
前記滑り止め層は、第2の表面と、滑り止め表面である第1の表面と、を有し、
前記下層緩衝材は、第2の表面と、前記滑り止め層の前記第2の表面と結合される第1の表面と、を有し、
前記充填体は、前記上層緩衝材の前記第2の表面と、前記下層緩衝材の前記第1の表面との間の所定の箇所に結合され、
前記表面層及び前記上層緩衝材上には、熱圧着方式により凹設された略幾何学的形状の熱圧着痕により、前記表面層、前記上層緩衝材、前記下層緩衝材及び前記滑り止め層を密着させて一体成形するとともに、前記充填体を収納する緩衝スペースが設けられていることを特徴とする熱圧着クッション構造。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−196404(P2012−196404A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64099(P2011−64099)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(509135980)富聲國際股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】