説明

熱成型用不織布

【課題】高融点の第一熱可塑性短繊維と、少なくとも熱成型に際して溶融接着(接合)作用を奏する低融点の第二熱可塑性短繊維とで形成される成型用不織布において、熱成型の際、収縮がほとんど発生せず、自由な熱成型加工を可能とすること。
【解決手段】PET等の高融点の第一熱可塑性短繊維と、少なくとも熱成型に際して溶融接着(接合)作用を奏するPP等の低融点の第二熱可塑性短繊維とが実質的に均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布。PP等の第二熱可塑性短繊維として、熱収縮率(JIS−L1015)約2%以下、望ましくは1.5%以下を示すものを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成型に際して収縮がほとんど発生しない熱成型用不織布に関し、さらに詳しくは、高融点の第一熱可塑性短繊維と熱成型に際して溶融する低融点の第二熱可塑性短繊維とが均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布に係る。
【0002】
ここでは、主として、低融点の第二熱可塑性単繊維としてPP短繊維を使用し、フェンダーライナー(図1参照)やフロアマット等の自動車用成型品を熱成型(熱圧成型を含む。)をする場合を例に採り説明するがこれに限られるものはない。
【背景技術】
【0003】
自動車成型品等を熱成型する場合の成型用材料としては、防音性、干渉性等の見地から、主として熱可塑性短繊維からなる不織布が多用されてきた。
【0004】
不織布としては、熱可塑性繊維を、SBR(スチレンゴム)ラテックスやNBR(アクリルゴム)ラテックス等の水性のエマルション接着剤(バインダー)を用いて加熱架橋(加硫を含む。)して接合させたものが多用されている。そして、当該不織布は、熱成型(加工)工程に供給して、フロア−カーペット、フェンダーライナー等の自動車用成型品としていた。
【0005】
熱成型加工には、上記主として熱可塑性短繊維の熱可塑性を利用する。バインダーはゴム成分であるため、接合部の剛直性が小さく成型用材料である不織布は容易に熱賦形できる。
【0006】
それらの自動車成型品は、耐用期間が経過後において、昨今は、廃棄されるのではなく、リサイクル化が要請されている。
【0007】
そして、リサイクル化は、他のプラスチック廃棄物と同様、通常、不織布を形成する短繊維(骨格繊維)の溶融温度まで加熱させて、リペレット(再生ペレット)とすることにより行う。この加熱の際に、接着剤成分である架橋SBR・NBRは熱溶融せずに、熱分解・炭化して、溶融物中にカス(煤:カーボン)として残る。この炭化物は、着色性や物性に悪影響を与えてリサイクル性を低下させる。
【0008】
本発明の特許性に影響を与えるものではないが、例えば特許文献1(ポリプロピレン系不織布に関する技術が記載されている。)、特許文献2(熱収縮の小さなポリエステル系不織布に関する技術が記載されている。)等がある。また、成型品不織布に関する先行技術文献として、本願出願人同一人の出願に係る特許文献3がある。
【特許文献1】特開2004−44030号公報(要約等)
【特許文献2】再表2002−07805号公報(要約等)
【特許文献3】特開平2004−270089号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、上記問題点を解決するために、熱成型の際におけるエマルション接着剤による接合方式に代わって、ゴムラテックスを使用しない仕様、例えば、ポリエステル繊維を第一熱可塑性繊維(骨格繊維)とし、PP短繊維を第二熱可塑性繊維(接着繊維)とした構成で、最終的にPP短繊維を接着繊維として使用するものが考えられる。
【0010】
すなわち、PP短繊維を含む不織布を使用して熱成型を行う際に、熱成型加工に際して、PP短繊維を溶融させ、不織布を形成する繊維間に浸透させて不織布の中で繊維同士を接着(接合)させ、さらに、不織布に付与された形態を保持する機能を発揮させる。
【0011】
しかし、通常のPP短繊維を使用した不織布では、成型工程において過度の収縮が該不織布成型品に発生することが分かった。すなわち、PP短繊維を含む不織布は、熱収縮を強制的に制限することができる特殊な成型方法でしか成型用材料としては使用することができないことが分かった。
【0012】
このような特殊な成型方法では、特殊な成型機械が必要であるばかりではなく、自由な形状に成型することが困難となる(複雑な形状になると特に)。このような問題はPP繊維が固有に有する熱的特性に起因するために避けられないものとして考えられる。
【0013】
本発明の課題(目的)は、上記にかんがみて、高融点の第一熱可塑性短繊維と、少なくとも熱成型に際して溶融接着(接合)作用を奏する低融点の第二熱可塑性短繊維とで形成される成型用不織布において、熱成型の際、収縮がほとんど発生せず、自由な熱成型加工を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る熱成型用不織布は、上記課題(目的)を、下記構成により解決するものである。
【0015】
なお、数値限定の前に付している「約」は、特許請求の範囲も含めて、当該数値範囲を不明確とするものではなく、当業者なら、それに接したとき、発明の構成(発明特定事項)を明瞭なものと認識できる。なぜなら、発明(特許請求の範囲)における数値限定は、実施可能性のある技術上の範囲の指標を示すものに過ぎず、数学的な意味での厳密性を要求されるものではない。
【0016】
高融点の第一熱可塑性短繊維と、少なくとも熱成型に際して溶融接着(接合)作用を奏する低融点の第二熱可塑性短繊維とが実質的に均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布であって、
前記第二熱可塑性短繊維が、熱収縮率(JIS−L1015)約2%(望ましくは、約1.5%)以下を示すものであることを特徴とする。
【0017】
第二熱可塑性短繊維(溶融繊維)として所定収縮率以下のものを使用することにより、熱成型(加工)工程において、後述の実施例の如く、成型品にほとんど熱収縮が発生しない。
【0018】
上記において、第一熱可塑性短繊維(骨格繊維)と第二熱可塑性短繊維(溶融繊維)との融点差を20℃(望ましくは25℃)以上とすることが、熱成型性が良好となる。すなわち、融点差が小さいと、それぞれ骨格繊維および溶融繊維として作用の峻別が困難となり、熱成型に際して、厳格な温度制御が必要となる。
【0019】
通常、第二熱可塑性短繊維(溶融繊維)をポリプロピレン(PP)短繊維とすることが望ましい。通常(汎用)のPPは、相対的に融点が低い(165〜173℃)とともに、耐熱接着性も有し、バランスが採れているためである。
【0020】
上記、第二熱可塑性短繊維をPP短繊維とした場合、組み合わせる第一熱可塑性短繊維はポリエステル短繊維が望ましい。ポリエステル短繊維は軟化点と溶融点に所定の温度差(約20℃)を有して、熱成型性に優れているためである。
【0021】
第一熱可塑性短繊維と前記第二熱可塑性短繊維との混合質量比は、前者/後者≒10/90〜80/20とすることが望ましい。接着繊維となる第二熱可塑性短繊維が過少では、熱成型品に形態保持性を確保し難い。骨格繊維である第一熱可塑性短繊維間に、接着繊維(第二熱可塑性短繊維)の不足による接合(bonding)不良が発生するためである。一方、第二熱可塑性過剰では不織布の特性(断熱性・防音性等)・風合いを確保し難い。骨格繊維の割合が少なくなり、溶融して樹脂化した接着繊維の熱成型品における占有比率が高くなって、風合いがプラスチック成型品(樹脂成型品)のそれに近くなる。
【0022】
この成型用不織布は、短繊維相互の接合をニードルロック(ニードルパンチング)接合とすることが望ましい。他の機械的接合(例えば、ウォーターニードル:水交絡法、スピンレース法)でもよいが、ニードルロックの方が、針密度・打ち込み数を制御することにより、熱成型加工に適した伸び度及び熱成型時の取り扱い性に適した形態保持性を備えた成型用不織布を得易い。
【0023】
本発明の成型用不織布は、第二熱可塑短繊維を部分溶融されて接着された予備溶融接着処理物であってもよい。
【0024】
そして、本発明の技術的範囲は、上記各構成の熱成型用不織布で熱成型されてなる、フェンダーライナーやフロアカーペット等の熱成型品(自動車用部品)に及ぶ。
【0025】
また、同じく、上記各構成の熱成型用不織布を使用して熱成型により成型品を製造する成型品の製造方法にも及ぶ。
【0026】
そして、本発明のより望ましい実施態様の熱成型品用不織布の構成は、下記の如くになる。
【0027】
ポリエステル短繊維と熱収縮率約1.5%以下のPP短繊維とが実質的に均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布であって、
それらの混合質量比が前者/後者≒10/90〜80/20であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
本明細書で、「成型用不織布」とは、不織布を用いて成型工程に供給して熱成型加工を行う際に使用される不織布をいう。そして、該不織布自体は、形態保持性を有し、かつ、成型により自在な形に熱セット(形態固定)される必要がある。
【0030】
このような不織布における骨格繊維として使用する第一熱可塑性短繊維(骨格繊維)としては、熱成型時における熱により熱セットされるが完全熱溶融しない熱特性を有すれば、特に限定されない。例えば、熱成型温度(型温)160〜200℃の場合、ポリエステル、ナイロン、高融点PP、レーヨン等の人造繊維(特に合成繊維)やジュート、ケナフ、サイザル等の天然繊維を挙げることができる。なお、短繊維断面の少なくとも外側の一部を接着繊維と同様な熱可塑性樹脂材料で形成した、バイメタル型、さや−芯型、キドニー型などの複合繊維(複合糸)も使用可能である。
【0031】
特に、これらの内で、熱成型性に優れ、リサイクルの際の熱劣化も相対的に小さいポリエステル繊維(PET、PBT)が好ましい。
【0032】
また、接着短繊維(溶融短繊維)を形成する第二熱可塑性短繊維としては、熱成型に際して、略完全溶融して、骨格短繊維相互を接着する作用を奏して、熱収縮率(JIS−L1015)が約2%以下、望ましくは約1.5%以下であれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、低融点ポリエステル(設計溶融温度:110℃、120℃、130℃)を挙げることができる。ここで、PPが望ましい。PEの場合は、耐熱性に乏しく、また、低融点ポリエステルの場合は、高価である。なお、汎用のPP繊維は、熱収縮率(JIS−L1015)で、3.0%前後である。
【0033】
そして、骨格短繊維と接着(溶融)短繊維との混合比(質量比)は、選択繊維及び要求される形態保持性・不織布性(風合い及び機能性(断熱性・防音・クッション性等))により異なる。すなわち、形態保持性(剛性)の見地からは、接着短繊維が多目とし、不織布性の観点からは、骨格短繊維を多目とする。
【0034】
第二熱可塑性短繊維(接着短繊維)/第一熱可塑性短繊維(骨格短繊維)の質量混合比において、接着短繊維をPP、骨格短繊維をPETとした場合、一般的には約10/90〜80/20、さらに一般的には、約20/80〜70/30、最も一般的には、約30/70〜60/40の範囲から適宜選択する。実際の使用に当っては、不織布の目付の大きさや、骨格短繊維の熱的特性を考慮してその混合率を決定すればよい。
【0035】
PP短繊維が過少では、得られる成型加工品の形態保持性が低下し本発明の目的を達成することができない。一方、該PP短繊維が過多では成型加工して得られる成型加工品が不織布としての風合いを損ねて樹脂成型加工品のようになるおそれがある。
【0036】
また、本発明で使用する前記のPP短繊維には、熱収縮率が約2.0%以下、望ましくは、約1.5%以下、さらには望ましくは約1.3%以下であるものを使用する必要がある。該PP短繊維の熱収縮率が、約1.5%(特に約2.0%)を超える場合には、従来の不織布のように成型加工の際に不織布自体が大きく収縮するので成型加工が困難となり本発明の目的を達成することが困難となる。
【0037】
このような物性を有するPP短繊維は、ポリマーとしては従来から公知のPPのポリマーを使用することができるが、このポリマーを溶融紡糸して延伸加工を施す際して、延伸倍率を通常のそれより大幅に低くすることにより製造することができる。すなわち、延伸倍率を約130〜180%、望ましくは約140〜160%の範囲で設定する。低熱収縮率の見地からは、延伸倍率は相対的に低い方が望ましいが、低すぎると、繊維に所定の強度を得難くなって、混綿工程やカード工程において、繊維切れが発生しやすくなる。このため、熱収縮率は、要求繊維強度のバランスから、上記範囲内で適宜設定する。
【0038】
本発明に使用するPP短繊維は、成型加工時には溶融して不織布を形成する他の第一熱可塑性短繊維(ポリエステル短繊維:骨格繊維)の繊維間に浸透し、該骨格繊維同士を接着(接合)せしめる様に機能し、成型加工が完了した後には形態保持のための樹脂として機能する。
【0039】
このためには成型加工温度としてはPPの溶融温度以上の高温で行うことが必要であり、このような高温度加工にもかかわらず不織布自体はPP短繊維に起因して収縮しないことが求められる。低収縮(熱収縮率約2.0%以下、望ましくは約1.5%以下)のPP短繊維はかかる要求を満たすことは、公知ではなく、本発明者が、試行錯誤の結果知見したものである。
【0040】
なお、骨格繊維及び溶融繊維をそれぞれ形成する第一・第二熱可塑性短繊維の各繊度及びカット長は、不織布に対する要求特性により異なるが、不織布を製造する際のカードの通過性を考慮して、繊度:約3.3〜11.0dtexの、カット長(ステープル長):約51〜76mmの、各範囲とする。
【0041】
このようなPP短繊維を含む短繊維混合物(不織布原料)は、通常の方法により混綿工程に供給し、さらに流綿工程を経てウェブに形成する。こうして、PP短繊維をウェブ中に均一に分散される。次いでクロスレイヤー工程により短繊維シートを形成し、該短繊維シートを用いて不織布を製造することができる。
【0042】
不織布を製造するには、ウォーターニードル(流水交絡法、スピンレースプロセス)を用いて加工する方法や金属のニードル(ニードル針)を用いて加工する方法等の公知の方法が例示される。
【0043】
ウォーターニードルを用いた加工方法による不織布では、成型加工時に不織布の伸度を得難く、成型加工品の形状(曲率半径が小さいような場合)によっては成型が困難となることがある。
【0044】
一方、ニードル針を用いた加工方法による不織布は適度の伸度と形態保持性が得られるので特に成型用不織布としては好ましい態様である。
【0045】
こうして調製した熱成型用不織布12は、下記熱成型工程(図2参照)を経て、図1に示すような成形品(フェンダーライナー)2とする。なお、図1において、4は補強リブ、6は車体取付けようボルト孔である。
【0046】
熱赤外ヒータ(電熱ヒータ)14等により、表面温度を設定温度になるまで加熱後、連続的に、雌・雄型16、18の間に供給して型閉し、所定時間、加圧・冷却後、型開・離型する。
【0047】
上記において各作業条件は、第一・第二熱可塑性短繊維の種類、混合比率、成形品の厚み等により異なる。例えば、第一熱可塑性繊維/第二熱可塑性繊維=汎用PET/PP(50/50)のとき、繊維表面加熱温度:170〜200℃、型閉時間:30〜60s、型内水冷とする。
【0048】
なお、成形用不織布12は、電熱ヒータ、マイクロ波加熱、又は熱風加熱を、適宜、単独又は組み合わせて加熱処理をして放置したもの、いわゆる、予備溶融接着処理物であってもよい。この予備溶融接着処理の作業条件は、例えば、前述のPET/PPの組み合わせの場合、加熱手段、繊維の種類/混合比率により異なるが、雰囲気温度:約180〜200℃×処理時間:約30s〜5minとする。この予備溶融接着処理により、すなわち、不織布に含まれるPP短繊維をある程度溶融させ不織布を構成する短繊維同士が接着することにより、成型用不織布の取り扱い性が向上するとともに、加熱成型工程の時間の短縮も図ることができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
なお、本発明で云う熱収縮率の測定方法は、JIS−L1015に記載された方法に準拠して行い、このとき試験条件は、つかみ間隔:25mm、処理温度:145℃×5minとした。
【0051】
<実施例1>
不織布の原料となる短繊維として、市販で得られるポリエステル短繊維(PET:6.6dtex×64mm)を全短繊維の60質量%の割合で用い、熱収縮率(JIS−L)1.3%である低熱収縮性のPP短繊維(6.6dtex×64mm)を全短繊維の40質量%の割合で用いて、混綿工程に供給して両繊維を混合した後、次いで該短繊維をカードに供給してウェブを作り、該ウェブをクロスレイヤーで積層させて短繊維シートにした後、通常のニードルパンチ加工を施した不織布を、雰囲気温度:200℃×時間:4minの条件下で予備接合処理をして成型用不織布とした。
【0052】
該成型用不織布を、裁断して、フリーの状態にして乾熱190℃×5minの条件下で加熱収縮試験を行ったが収縮は全く見られなかった。
【0053】
また、同じ成型用不織布を用いて、通常の熱成型工程に供給し、遠赤外ヒータで表面加熱温度:190℃になるまで加熱したものを、金型で成型加工を行ったが、収縮等の問題は全く発生せず所定の成型加工品が得られた。ここで、成型加工の条件は、型締め時間:40s、金型内水冷とした。
【0054】
<比較例1>
不織布の原料となる短繊維として、実施例1で使用したと同様のポリエステル短繊維(6.6dtex×64mm)を全短繊維の60質量%の割合で用い、市販で得た通常のPP短繊維(6.6dtex×64mm、熱収縮率:2.5%)を全短繊維の40質量%の割合で用いて行う他は、実施例1と同様に行って成形用不織布を得た。この不織布を用いて実施例1と同様の条件で熱処理を行ったところ、収縮率として約50%の収縮が発生し成型用不織布として使用することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
このようにして得られる本発明の成型用不織布は、車輌用の部材等として広く使用することができ、特にフェンダーライナーやフロアーカーペット等の防音/遮音性が要求される自動車用内外装品への用途展開が期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用するフェンダーライナーの斜視図及びモデル断面図。
【図2】図1のフェンダーライナーを成型する場合のモデル断面図である。
【符号の説明】
【0057】
12・・・熱成型用不織布
14・・・遠赤外ヒータ
16・・・雄型(上型)
18・・・雌型(下型)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高融点の第一熱可塑性短繊維と、少なくとも熱成型に際して溶融接着(接合)作用を奏する低融点の第二熱可塑性短繊維とが実質的に均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布であって、
前記第二熱可塑性短繊維が、熱収縮率(JIS−L1015)約2%以下を示すものであることを特徴とする熱成型用不織布。
【請求項2】
前記第二熱可塑性短繊維が、熱収縮率(JIS−L1015)約1.5%以下を示すものであることを特徴とする請求項1記載の熱成型用不織布。
【請求項3】
前記第一熱可塑性短繊維と前記第二熱可塑性短繊維との融点差が約20℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱成型用不織布。
【請求項4】
前記第二熱可塑性短繊維がポリプロピレン(PP)短繊維であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱成型用不織布。
【請求項5】
前記第一熱可塑性短繊維がポリエステル短繊維であることを特徴とする請求項4記載の熱成型用不織布。
【請求項6】
前記第一熱可塑性短繊維と前記第二熱可塑性短繊維との混合質量比が、前者/後者≒10/90〜80/20であることを特徴とする請求項4又は5記載の熱成型用不織布。
【請求項7】
前記短繊維相互の接合がニードルロック接合であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱成型用不織布。
【請求項8】
前記第二熱可塑短繊維が部分溶融されて予備溶融接着された予備溶融接着処理物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱成型用不織布。
【請求項9】
ポリエステル短繊維と熱収縮率約1.5%以下のPP短繊維とが実質的に均一混合状態で短繊維相互が接合(bonding)されてなる熱成型用不織布であって、
それらの混合質量比が前者/後者≒10/90〜80/20であることを特徴とする熱成型用不織布。


【図1】
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【図2】
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