説明

熱機関

【課題】出力効率に優れた熱機関を提供する。
【解決手段】作動液14を溜める液溜め部111、および液溜め部111から供給される作動液14を外部熱源3から供給される熱で蒸発させる蒸発部112を有するボイラー部11と、蒸発部112で発生した蒸気が流通し、蒸気のエネルギーを機械的エネルギーに変換して取り出す出力部12と、出力部12を通過した蒸気を凝縮させ、凝縮した作動液14を液溜め部111に還流させる凝縮部13とを備え、ボイラー部11は、液溜め部111の作動液14を毛管力で吸引して蒸発部112に導く作動液導入用部材16を有し、作動液導入用部材16は筒状に形成され、液溜め部111は、作動液導入用部材16の内側および外側のうちいずれか一方側に形成され、蒸発部112は、作動液導入用部材16の内周面および外周面のうち液溜め部111と反対側の面の近傍に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動液を加熱して蒸発させ、蒸発した蒸気のエネルギーを機械的エネルギーとして取り出した後に蒸気を凝縮させて送還する熱機関に関し、排熱回収装置に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱機関は、作動液を蒸発させる蒸発部(蒸発室)が高圧になるのに対し、蒸気を凝縮(復液)させる凝縮部が低圧になるので、凝縮部で凝縮した作動液を蒸発部に送還するためにポンプ等の装置を用いるのが一般的である(例えば特許文献1)。すなわち、ポンプ等の装置を外部エネルギーを用いて駆動することよって、凝縮部の作動液を圧送して蒸発部に送還する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−338207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のごとく、凝縮部で凝縮した作動液をポンプ等の機構で蒸発部に送還する熱機関においては、作動液を加熱して蒸発させる外部エネルギー(熱エネルギー)に加えてポンプ等の装置を駆動するための外部エネルギーも必要であるので、出力効率の向上に限界がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて成されたものであり、出力効率に優れた熱機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、作動液(14)を溜める液溜め部(111)、および液溜め部(111)から供給される作動液(14)を外部熱源(3)から供給される熱で蒸発させる蒸発部(112)を有するボイラー部(11)と、
蒸発部(112)で発生した蒸気が流通し、蒸気のエネルギーを機械的エネルギーに変換して取り出す出力部(12)と、
出力部(12)を通過した蒸気を凝縮させ、凝縮した作動液(14)を液溜め部(111)に還流させる凝縮部(13)とを備え、
ボイラー部(11)は、液溜め部(111)の作動液(14)を毛管力で吸引して蒸発部(112)に導く作動液導入用部材(16)を有し、
作動液導入用部材(16)は筒状に形成され、
液溜め部(111)は、作動液導入用部材(16)の内側および外側のうちいずれか一方側に形成され、
蒸発部(112)は、作動液導入用部材(16)の内周面および外周面のうち液溜め部(111)と反対側の面の近傍に形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによると、作動液導入用部材(16)が、液溜め部(111)の作動液(14)を毛管力で吸引して蒸発部(112)に導くので、外部エネルギーを極力用いることなく、凝縮部(13)で凝縮した作動液(14)を高圧の蒸発部(112)へ送還することができる。
【0008】
さらに、作動液導入用部材(16)は筒状に形成され、作動液導入用部材(16)の内周面および外周面のうち液溜め部(111)と反対側の面の近傍に蒸発部(112)が形成されているので、蒸発部(112)を広く確保して伝熱性を向上でき、ひいては作動液(14)の蒸発を促進できる。
【0009】
以上のことから、出力効率に優れた熱機関を実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の熱機関において、ボイラー部(11)は、作動液導入用部材(16)の内周面および外周面のうち液溜め部(111)と反対側の面に到達した作動液(14)を、作動液導入用部材(16)の毛管力よりも弱い毛管力で吸引して、外部熱源(3)から供給される熱で蒸発させる作動液蒸発用部材(20)を有していることを特徴とする。
【0011】
これにより、作動液(14)の蒸発を一層促進させて出力効率を一層向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の熱機関において、作動液蒸発用部材(20)の内部の空隙率は、作動液導入用部材(16)の内部の空隙率よりも高くなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の熱機関において、作動液蒸発用部材(20)の熱伝導率は、作動液導入用部材(16)の熱伝導率よりも高くなっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の熱機関において、ボイラー部(11)は、外部熱源(3)の熱を作動液蒸発用部材(20)に伝える伝熱部材(115)を有し、
作動液蒸発用部材(20)は、作動液導入用部材(16)および伝熱部材(115)の両方に接触していることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱機関において、作動液導入用部材(16)は、外部熱源(3)から液溜め部(111)の作動液(14)への伝熱を抑制する断熱素材で形成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、液溜め部(111)の作動液(14)が外部熱源(3)からの熱によって蒸発して出力効率の低下を招くことを抑制できる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱機関において、作動液導入用部材(16)の軸方向両端側には、外部熱源(3)から液溜め部(111)の作動液(14)への伝熱を抑制する断熱材(17)が配置されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、上記した請求項3に記載の発明と同様の作用効果を発揮できる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱機関において、作動液導入用部材(16)は、水平方向に延びる筒状の部材であり、
液溜め部(111)は、作動液導入用部材(16)の内側に位置し、
蒸発部(112)は、作動液導入用部材(16)の外周面の近傍に形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱機関において、作動液導入用部材(16)は、鉛直方向に延びる筒状の部材であり、
液溜め部(111)は、作動液導入用部材(16)の外側に位置し、
蒸発部(112)は、作動液導入用部材(16)の内周面の近傍に形成されていることを特徴とする。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態における排熱回収装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における排熱回収装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における排熱回収装置のエンジンを示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるウィックの製造方法を説明する説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における排熱回収装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の熱機関を排熱回収装置に適用している。図1、図2は、排熱回収装置の全体構成を示す断面図であり、図1、図2中の上下の矢印は、排熱回収装置の設置状態における上下方向(天地方向)を示している。なお、図1と図2とでは切断面が90度異なっている。
【0024】
本実施形態の排熱回収装置10は、ボイラー部11、出力部12、および凝縮部13に大別される。本例では、排熱回収装置10で取り出された機械的エネルギーを発電に用いるために、排熱回収装置10に発電機1が取り付けられている。なお、図2では発電機1の図示を省略している。
【0025】
ボイラー部11は、外部熱源から供給される熱(排熱)で作動液14(本例では、水)を加熱して蒸発させ、作動液14の蒸気を出力部12に供給する。出力部12は、ボイラー部11から供給された蒸気のエネルギーを機械的エネルギーに変換して出力する。
【0026】
凝縮部13は、出力部12通過後の蒸気を凝縮して作動液14に復液させ、復液した作動液14をボイラー部11に還流する。したがって、凝縮部13を還流部と表現することもできる。
【0027】
ボイラー部11は、ブロック状に形成されたケース110を有している。本例では、作動液14として水を用いているので、ケース110を、耐水性に優れたステンレスで形成するのが好ましい。
【0028】
ケース110は、外部熱源をなす発熱体3の上に載せられている。本例では、発熱体3は、工場から出る排熱によって発熱するようになっている。ケース110の側壁部は、断熱材15によって覆われている。
【0029】
ケース110は、複数の部材を締結固定することによって構成されており、その内部には、作動液導入用部材に相当するウィック16が収容されている。具体的には、ケース110の内部に、3つのウィック収容穴が、水平方向に延びる柱状に形成され、この3つのウィック収容穴のそれぞれに筒状のウィック16が収容されている。
【0030】
ここで、作動液導入用部材とは、作動液14を吸引する毛管力を発生する部材(毛管力発生部材)のことを定義しており、例えば繊維を編み込んだ構造体や、多孔質セラミックや金属焼結体のような多孔質体である。
【0031】
本例では、ウィック収容穴が円柱状に形成され、ウィック16が円筒状に形成されている。ウィック16は、1つの円筒状の部材で構成されていてもよいし、複数個の円筒状の部材で構成されていてもよい。換言すれば、ウィック16全体を一体成形してもよいし、ウィック16を軸方向に分割して成形してもよい。
【0032】
ウィック16は、互いに積層された複数の繊維層を有する繊維集合体(繊維層積層体)であり、本例では熱可塑性樹脂繊維であるアラミド繊維とロックウール粒子の混合体になっている。また、ウィック16は、アラミド繊維とグラスウール粒子の混合体になっていてもよい。ここで、アラミド繊維とロックウール粒子の混合体や、アラミド繊維とグラスウール粒子の混合体は、断熱素材としても用いることのできるものである。
【0033】
ウィック16は、積層された多数の環板状素材が一体的に接合されることによって形成されている。図2では、図示の都合上、環板状素材同士の界面部を実線で示している。また、ウィック16の環板状素材同士の界面部は、ウィック16の径方向(軸方向と直交する方向)に延びている。
【0034】
図示を省略しているが、ウィック16の各繊維層は、環板状素材同士の界面部と平行に延びている。したがって、ウィック16の各繊維層も、ウィック16の径方向(軸方向と直交する方向)に延びている。
【0035】
ウィック16の内側空間は、作動液14を溜める液溜め部111を構成している。液溜め部111の作動液14は、ウィック16の毛管力によってウィック16の内周面から吸引される。
【0036】
図2に示すように、ウィック16の軸方向両端側には断熱材17が配置されている。本例では、断熱材17は、ケース110に締結固定されるようになっており、断熱材17によってケース110のウィック収容穴が塞がれる構造になっている。すなわち、ケース110と断熱材17とで、ウィック16を収容する収容部材が構成されるようになっている。
【0037】
断熱材17およびウィック16は、発熱体3から液溜め部111の作動液14への伝熱を遮断する役割を果たす。すなわち、本例のウィック16は断熱性に優れた断熱素材で形成されているので、ウィック16が断熱材としても機能する。
【0038】
ウィック16の外周面とケース110のウィック収容穴の内壁面との間には排気通路形成部材18が挟み込まれている。排気通路形成部材18は、作動液14の蒸気を排気するための排気通路18aを形成している。
【0039】
排気通路形成部材18は、伝熱性に優れた金属等で形成されており、ケース110からウィック16の外周面への伝熱をも担う。すなわち、ウィック16の外周面(液溜め部111と反対側の面)では、発熱体3からの熱がケース110および排気通路形成部材18を介して受熱される。そして、ウィック16の外周面近傍では、ウィック16に吸引された作動液14が加熱されて蒸発する。したがって、ウィック16の外周面近傍は、作動液14を蒸発させる蒸発部112を構成している。
【0040】
図1、図2の例では、排気通路形成部材18として複数の玉状部材が用いられている。玉状部材としては、例えば径φ3のベアリング玉を用いることができる。排気通路形成部材18として複数の玉状部材を用いることによって、ウィック16の外周面とケース110のウィック収容穴の内壁面との間に、蒸気が流通可能な空隙が形成され、この空隙が排気通路18aとして機能することとなる。
【0041】
また、排気通路形成部材18として網状部材を用いてもよい。網状部材としては織金網が好適であり、例えば線形0.5mmのステンレスメッシュを用いることができる。織金網とは、縦線と横線が一定の間隔を保ち、1本ずつ交互に交わって織られている金網のことである。織金網の縦線および横線は波状に屈曲している。したがって、織金網をウィック16の外周面に巻くことによって、ウィック16の外周面とケース110のウィック収容穴の内壁面との間に、蒸気が流通可能な空隙が形成され、この空隙が排気通路として機能することとなる。
【0042】
ウィック16は、ボイラー部11に組み付けられた状態では断熱材17から軸方向に荷重を受けて圧縮されている。また、ウィック16は作動液14によって膨潤する。これにより、ウィック16の空隙が一層縮められる。
【0043】
ウィック16の内部には、毛管現象によって圧力差が生じる。この毛管現象による圧力差を以下、ウィック16の毛管力による圧力ΔPと言う。ウィック16の毛管力による圧力ΔPは次の数式(1)で表される。
【0044】
ΔP=(2σ/r)・cosθ …(1)
但し、rはウィック16内の空隙の円相当半径(細管半径)、σは表面張力、θは濡れ角である。円相当半径とは、対象とする断面と同じ面積を持つ円の半径のことである。
【0045】
上述のごとくウィック16の空隙が縮められることによって、上記数式1におけるウィック16内の空隙の円相当半径rを小さくして、ウィック16の毛管力による圧力ΔPが、蒸発部112(ウィック16の外周面近傍部位)での圧力PHと液溜め部111の圧力PLとの圧力差(PH−PL)よりも大きくなるようにしている(ΔP>PH−PL)。
【0046】
換言すれば、ウィック16は、次の数式(2)の関係を満たすように構成されている。
【0047】
(2σ/r)・cosθ>PH−PL …(2)
図1に示すように、ボイラー部ケース110の内部には、蒸気通路110a、110bが形成されている。蒸気通路110a、110bは、排気通路18aの蒸気を出力部12へと導くためのものである。
【0048】
蒸気通路110aは、3つのウィック収容穴の上部同士を繋ぐように水平方向に延びている。蒸気通路110bは、一端が蒸気通路110aと連通し、他端が鉛直方向上方側に向かって延びてケース110の上面に開口している。
【0049】
ボイラー部ケース110の上には、出力部12のケース120が載せられている。これにより、発熱体3からの熱がボイラー部11を介して出力部12に伝えられることとなる。本例では、作動液14として水を用いているので、出力部ケース120を、耐水性に優れたステンレスで形成するのが好ましい。
【0050】
本例では、出力部ケース120の下面が、ボイラー部ケース110の上壁部によって塞がれるように構造になっている。出力部ケース120とボイラー部ケース110との固定には、図示しないシール部材等が用いられている。これにより、出力部ケース120の内部空間の気密性が確保されるようになっている。出力部ケース120の側壁部および上壁部は、断熱材15によって覆われている。
【0051】
出力部ケース120の内部空間にはエンジン121が配置されている。本例では、エンジン121は、板状のベース部材19を介してボイラー部ケース110の上壁部に固定されている。
【0052】
出力部12のエンジン121は、本例では、ピストンおよびシリンダが振り子のように揺動する振り子式エンジンが用いられている。なお、エンジン121の代わりに蒸気タービン等を用いてもよい。
【0053】
図3は、エンジン121を示す断面図である。エンジン121は、ピストン122およびシリンダ123を有している。シリンダ123は、ベース部材19に固定されたシリンダベース124に対して、揺動軸125を中心に揺動可能に支持されている。
【0054】
ベース部材19およびシリンダベース124には、ボイラー部11の蒸気通路110a、110bと連通する吸気路19a、124aが形成されている。吸気路19a、124aは、シリンダ123に吸入される蒸気が流れる流路である。また、シリンダベース124には排気路124bが形成されている。排気路124bは、シリンダ123から排出される蒸気が流れる流路である。吸気路19a、124aの出口部および排気路124bの入口部は、シリンダベース124の上面に開口している。排気路124bの出口部は、出力部ケース120の内部空間に開放されている。
【0055】
本例では、ピストン122およびシリンダ123は水平方向に配置されており、揺動軸125は上下方向に配置されている。したがって、ピストン122およびシリンダ123は水平面内で揺動する。
【0056】
シリンダ123の下面には、蒸気を吸入・排気するポート123aが開口している。シリンダ123が揺動方向の一端側に位置している状態では、ポート123aが吸気路19a、124aと連通する。シリンダ123が揺動方向の他端側に位置している状態では、ポート123aが排気路124bと連通する。
【0057】
シリンダ123が揺動方向の一端側に位置してポート123aが吸気路19a、124aと連通していると、ボイラー部11の蒸気通路110a、110bの蒸気がシリンダ123内に流入してピストン122が押し出されて往動する。
【0058】
ピストン122の先端部は、ロッド126を介してホイールギア127に連結されている。図1、図2に示すように、ホイールギア127は、センターギア128に連結されている。センターギア128の中心には、出力軸129が固定されている。これにより、ピストン122が押し出されるとホイールギア127およびセンターギア128を介して出力軸129が回転する。
【0059】
また、ピストン122が押し出されてホイールギア127が回転することで、シリンダ123が揺動方向の他端側に向かって揺動してポート123aがシリンダベース124の上面によって閉塞される。
【0060】
ポート123aが閉塞されると、ホイールギア127は慣性力によって回転を継続し、ホイールギア127の慣性力によってピストン122が押し戻されて復動する。この際もシリンダ123の揺動は継続される。そして、シリンダ123が揺動方向の他端側に位置してポート123aが排気路124bと連通すると、シリンダ123内の蒸気が出力部ケース120の内部空間に排出される。
【0061】
図1、図2の例では、エンジン121は、シリンダ123が複数個設けられた複気筒エンジンを構成しているが、シリンダ123が1個のみ設けられた単気筒エンジンを構成していてもよい。
【0062】
出力部12の出力軸129と発電機1の回転軸1aとの連結は、出力部ケース120の上壁部を介して、マグネットカップリングによってなされている。回転軸1aの回転によって発電機1で発電される。発電された電力は、発電機1に接続された任意の電気機器(図示せず)に供給される。
【0063】
図2に示すように、凝縮部13は、ボイラー部ケース110および出力部ケース120の外部に配置された凝縮容器130を有している。凝縮容器130は、縦長の容器で構成され、ボイラー部ケース110および出力部ケース120の側方側に配置されている。本例では、作動液14として水を用いているので、凝縮容器130を、耐水性に優れたステンレスで形成するのが好ましい。
【0064】
凝縮容器130の上部には、出力部12を通過した蒸気の入口部130aが形成されている。この入口部130aは、出力部ケース120の上部に形成された蒸気出口部120aに、入口側配管131を介して接続されている。これにより、エンジン121から出力部ケース120の内部空間に排出された蒸気を凝縮容器130に流入させることができる。凝縮容器130では、流入した蒸気が大気中に放熱して凝縮(復液)する。
【0065】
凝縮容器130の下部には、凝縮した作動液14の出口部130bが形成されている。この出口部130bは、ボイラー部11の断熱材17に形成された導入路113に、出口側配管132を介して接続されている。導入路113は、液溜め部111と連通しているので、凝縮容器130で凝縮した作動液14を、出口側配管132および導入路113を介して液溜め部111に導入することができる。
【0066】
本例では、導入路113は、断熱材17のうち液溜め部111の水平方向延長上の部位に、液溜め部111から水平方向に延びるように形成されており、凝縮容器130の出口部130bは、導入路113の延長上に配置されており、出口側配管132は、出口部130bと導入路113との間で水平方向に延びている。これにより、液溜め部111と凝縮容器130の出口部130bとが直線状に連通することとなる。
【0067】
入口側配管131および出口側配管132には蒸気抜き配管133が接続されている。蒸気抜き配管133は、液溜め部111で生じた蒸気を出口側配管132へ抜くために設けられている。
【0068】
凝縮容器130の上端部には、真空引き配管134が接続されている。排熱回収装置の起動前に真空引き配管134を通じて真空引きをすることによって排熱回収装置の内圧を減圧することができる。排熱回収装置の作動時には真空引き配管134が閉じられて減圧状態が維持される。
【0069】
次に、ウィック16の製造方法の概要を図4に基づいて説明する。まず図4(a)に示すように板状素材W1を用意する。
【0070】
板状素材W1は、互いに積層された複数の繊維層を有する繊維集合体(繊維層積層体)であり、紙すきの手法を繰り返すことで所定の厚さに形成されている。本例では、板状素材W1は、熱可塑性樹脂繊維であるアラミド繊維とロックウール粒子の混合体になっている。また、本例では、板状素材W1として厚さ4mm程度の薄いものを用いている。
【0071】
図4(b)は、図4(a)のA部拡大図である。図4(b)では、図示の都合上、繊維層相互間の界面を細実線で示している。図4(b)に示すように、板状素材W1を構成する複数の繊維層は、板状素材W1の厚さ方向に積層されている。換言すれば、板状素材W1を構成する複数の繊維層は板状素材W1の板面と平行に延びている。
【0072】
次いで、図4(c)に示すように、板状素材W1を切断して多数の環板状素材W2を得る。このとき、多数の環板状素材W2の内径寸法および外径寸法を同一寸法に揃えるようにする。
【0073】
次いで、図4(d)に示すように、多数の環板状素材W2を、その厚さ方向に積層して筒状の配列体W3を得る。このようにして得られた筒状の配列体W3では、その径方向(軸方向と直交する方向)に繊維層が延びることとなる。
【0074】
次いで、図4(e)に示すように、筒状の配列体W3を治具J1、J2、J3にセットして熱プレスすることにより、配列体W3の環板状素材W2同士を接合させて筒状のウィック16を得ることができる。
【0075】
このようにして得られたウィック16では、その径方向(軸方向と直交する方向)に繊維層が延びることとなる。そして、ウィック16の繊維層同士の界面部では、残余の部位(繊維層を構成する部位)よりも空隙の連続性が高くなる。このため、ウィック16は、空隙の連続性が高い部位が径方向(軸方向と直交する方向)に延びる構造を有することとなる。
【0076】
本例では、治具J1、J2、J3は、ステンレス製のリングJ1、ステンレス製の円形プレートJ2およびステンレス製の円柱J3で構成されている。熱プレスの加工条件としては、例えば温度:300℃、加圧力:50トン、プレス時間:20分が好ましい。すなわち、各環板状素材W2のアラミド繊維(熱可塑性樹脂)が軟化する温度で熱プレスすることによって、環板状素材W2同士を接合させることができる。
【0077】
プレス時間経過後、加圧力を加えて圧縮したまま冷却することによって、繊維間の空隙を縮めることができる。また、加圧力を加えて圧縮したまま冷却することによって、繊維同士の密着力を高めることができるので、ウィック16の強度を高めることができる。
【0078】
次に、上記構成における作動を説明する。ボイラー部11において、発熱体3の熱は、ボイラー部ケース110および排気通路形成部材18を介してウィック16の外周面に伝わり、液溜め部111の作動液14は、ウィック16の内周面から吸引されてウィック16の外周面に向かって浸透する。
【0079】
このため、ウィック16の外周面近傍にて作動液14が加熱されて蒸発する。ウィック16の外周面近傍で発生した蒸気は、排気通路18aおよび蒸気通路110a、110bを通じて出力部12のエンジン121に供給される。
【0080】
エンジン121に供給された蒸気はピストン122を駆動する。これにより、蒸気のエネルギーが機械的エネルギーに変換される。ピストン122の駆動により出力軸129が回転し、発電機1で発電が行われる。このようにして、発熱体3の排熱エネルギーが電気エネルギーとして回収される。
【0081】
エンジン121内の蒸気はピストン122を駆動した後に排気路124bを通じて出力部ケース120の内部空間に排出される。エンジン121から出力部ケース120の内部空間に排出された蒸気は、入口側配管131を通じて凝縮部13の凝縮容器130に流入し、凝縮容器130で凝縮されて作動液14に復液する。凝縮容器130で復液した作動液14は、出口側配管132を通じてボイラー部11の液溜め部111に還流する。
【0082】
上述のごとく、液溜め部111に溜まった作動液14は、ウィック16の内周面から吸引されてウィック16の外周面近傍(蒸発部112)に供給されて蒸発する。すなわち、ウィック16には、液溜め部111の作動液14を吸引する毛管力が発生するので、この毛管力を利用して、低圧の液溜め部111から高圧の蒸発部112に作動液14を供給する。
【0083】
より具体的には、ボイラー部11において、低温低圧の液溜め部111の還流作動液14をウィック16の毛管力で高圧の蒸発部112へ引っ張り込み、蒸発部112に到達した作動液14のしずくを連続的に蒸発させる。
【0084】
ここで、上述の数式2を満たすように、ウィック16内の空隙を小さくしてウィック16内の空隙の円相当半径rを十分に小さくしているので、ウィック16の毛管力による圧力ΔPが、蒸発部112の圧力PHと液溜め部111の圧力PLとの圧力差(PH−PL)よりも大きくなる(ΔP>PH−PL)。
【0085】
このため、ウィック16の毛管力が蒸発部112の圧力PHと液溜め部111の圧力PLとの圧力差(PH−PL)に打ち勝って、低圧の液溜め部111に溜まった作動液14を高圧の蒸発部112に良好に吸引することができる。
【0086】
換言すれば、液溜め部111と蒸発部112との間に圧力差が生じている状態において、ウィック16を使って圧力差(PH−PL)に負けない毛管力を与えることにより低圧の液溜め部111から高圧の蒸発部112へ作動液14を引っ張り込むことができる。したがって、液溜め部111の作動液14を高圧の蒸発部112へ外部エネルギーを用いることなく送還することができる。
【0087】
また、蒸発部112における作動液14の蒸発量と液溜め部111からの作動液14の移動量とが同一であるため、作動液14の還流量制御は自律的になる。このため、作動液14の還流量を制御するための制御機構が不要であるので、装置体格の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0088】
また、ウィック16内の空隙を小さくしているので、蒸発部112で発生した蒸気がウィック16を通じて液溜め部111に逆流してしまうことを防止できる。
【0089】
ここで、作動液14の沸点は作動液14の材料と出力部ケース120内の圧力で決まるため、例えば作動液14にアルコールを用い、出力部ケース120内を真空にすれば外部熱源の温度が零度以下でも適用可能である。外部熱源の温度が低い場合には、ウィック16やボイラー部11の構造体(出力部ケース120等)に耐熱性を持たせる必要はないので、ウィック16やボイラー部11の材料として耐熱性の低い材料(樹脂等)を用いることができる。
【0090】
本実施形態によると、ウィック16の繊維層が内周面側から外周面側に向かって径方向に延びているので、繊維層相互間に、内周面側から外周面側に向かって連続的に延びる空隙が形成されることとなる。このため、内周面から外周面への作動液14の流通性を向上できるので、液溜め部111から蒸発部112への作動液14の供給性を向上できる。
【0091】
特に、本実施形態では、ウィック16は、繊維層の延びる方向を径方向とする筒状に形成されているので、ウィック16内における作動液14の流路長を極力短くすることができる。このため、内周面から外周面への作動液14の流通性をより向上できるので、液溜め部111から蒸発部112への作動液14の供給性をより向上できる。
【0092】
また、ウィック16は、円筒状に形成されているので、液溜め部111から蒸発部112の各部位へ作動液14を均等に供給できる。
【0093】
また、ウィック16が、断熱素材で形成され且つ発熱体3から液溜め部111に至る熱伝達経路中に介在しており、さらにウィック16の軸方向両端側に断熱材17が配置されているので、発熱体3から液溜め部111の作動液14への伝熱をウィック16によって抑制することができる。このため、液溜め部111の断熱性を向上できるので、液溜め部111の作動液14が蒸発して出力効率の低下を招くことを抑制できる。
【0094】
また、ウィック16および断熱材17が、液溜め部111からエンジン121に至る熱伝達経路中に介在しているので、液溜め部111の作動液14によってエンジン121の温度が低下してしまうことを抑制できる。このため、エンジン121における蒸気圧力が低下して出力効率の低下を招くことを抑制できる。
【0095】
また、ウィック16は筒状に形成され、その外周面で受熱するので、ウィック16の受熱面積を大きく確保できる。換言すれば、蒸発部112を広く確保できる。このため、伝熱性を向上できるので、出力を向上できる。また、伝熱性が向上されることで、加熱の低温化が可能になる。加熱の低温化を図ることでウィック16の熱変質を抑制できる。
【0096】
また、ウィック16は、製造過程において圧縮(熱プレス)され、ボイラー部11に組み付けられた状態ではボイラー部ケース110から荷重を受けてさらに圧縮されている。さらに、ウィック16は作動液14によって膨潤する。それらの結果、ウィック16の空隙が極小化されることとなるので、蒸発部112で発生した蒸気がウィック16の空隙を通じて液溜め部111に逆流してしまうことを防止できる。つまり、蒸気の封止性を確保できる。
【0097】
また、本実施形態では、ウィック16の外周側に排気通路18aが形成されているので、ウィック16の外周部で蒸発した作動液14の蒸気は排気通路18aを経て蒸気通路110a、110bに排気される。
【0098】
このため、ウィック16の外周部で蒸発した蒸気を蒸気通路110a、110bへ逃げ易くすることができるので、作動液14の蒸気の放出が良くなり、ひいては出力を向上できる。
【0099】
しかも、蒸気は排気通路18aを通る間にさらに加熱されて過熱蒸気となり、蒸気圧力が増えるのでエンジン推力が増す。換言すれば、出力エネルギーが増加する。ただし、排気通路18aが増えると伝熱面積が減るので、排気性と伝熱性とはトレードオフの関係にある。
【0100】
また、本実施形態では、凝縮部13の凝縮容器130がボイラー部ケース110および出力部ケース120の外部に配置されているので、ボイラー部ケース110および出力部ケース120を断熱材15で覆うことができる。
【0101】
すなわち、凝縮容器130については、断熱材で覆うことなく大気への放熱性を確保することで作動液14を良好に凝縮できるようにするとともに、ボイラー部11および出力部12については断熱材15で覆うことによって大気への放熱を抑制することができる。
【0102】
このため、発熱体3からボイラー部11および出力部12への伝熱によって、ボイラー部11で作動液14を効率的に蒸発させることができ、且つエンジン121での蒸気温度(蒸気圧力)を高めることができるので、出力の向上を図ることができる。
【0103】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、筒状のウィック16が水平方向に延びるように配置され、液溜め部111がウィック16の内側に形成され、蒸発部112がウィック16の内周面近傍に形成されているが、本第2実施形態では図5に示すように、筒状のウィック16が鉛直方向に延びるように配置され、液溜め部111がウィック16の外側に形成され、蒸発部112がウィック16の内周面近傍に形成されている。
【0104】
具体的には、ボイラー部ケース110が、複数の部材を締結固定することによって中空円筒状に形成され、その軸方向が上下方向になるように配置されている。ボイラー部ケース110の内部空間には、円筒状のウィック16が同軸状に収容されている。
【0105】
ボイラー部ケース110の内径は、ウィック16の外径よりも大きくされている。これにより、ボイラー部ケース110の内周面とウィック16の外周面との間に、液溜め部111をなす環状空間が形成されている。
【0106】
本例では、凝縮部13で凝縮した作動液14を液溜め部111に導入するための導入路113が、ボイラー部ケース110の底壁部に形成されている。
【0107】
ウィック16の中心孔には、伝熱部材としての芯棒115が挿入されている。芯棒115は、鉛直方向に延びる円柱状の部材であり、熱伝導性に優れた材料(金属材料等)で形成されている。芯棒115の下端部はボイラー部ケース110の底壁部を貫通しており、発熱体3から伝熱されるようになっている。芯棒115の上端部はボイラー部ケース110の上壁部を貫通して、出力部12のベース部材19に接触するように配置されている。
【0108】
芯棒115の外周面とウィック16の内周面との間には、作動液蒸発用部材に相当する蒸発用ウィック20が挟み込まれている。
【0109】
ここで、作動液蒸発用部材とは、ウィック16の毛管力よりも弱い毛管力を発生し且つ熱伝導性に優れた部材のことを定義しており、例えば金属繊維を編み込んだ構造体や、金属焼結体のような多孔質体である。本例では、蒸発用ウィック20として平編金属線を用いている。
【0110】
換言すれば、本実施形態では、作動液14を導入するための導入用ウィック16と、作動液14を蒸発させるための蒸発用ウィック20とで、2重構造ウィックを構成している。本例では、蒸発用ウィック20の内部の空隙率をウィック16の内部の空隙率よりも大きくすることで、蒸発用ウィック20の毛管力をウィック16の毛管力よりも弱くしているとともに、蒸発用ウィック20の内部表面積を拡大している。また、蒸発用ウィック20の熱伝導率をウィック16の熱伝導率よりも高くしている。
【0111】
蒸発用ウィック20は、ウィック16の内周面に接触しているので、ウィック16の内周面に到達した作動液14は、蒸発用ウィック20に吸引されて蒸発用ウィック20内の空隙に拡散浸透する。また、蒸発用ウィック20は、芯棒115の外周面に接触しているので、発熱体3の熱が芯棒115を介して蒸発用ウィック20に伝えられる。
【0112】
蒸発用ウィック20が挟み込まれている空間(環状空間)は、ボイラー部ケース110の上壁部に形成された蒸気通路110bを介して出力部12の吸気路19a、124a(図3を参照)に連通している。
【0113】
本実施形態によると、ボイラー部11において、発熱体3の熱は、芯棒115を介して蒸発用ウィック20に伝わり、液溜め部111の作動液14は、導入用ウィック16の外周面から吸引されて導入用ウィック16の内周面に到達し、さらに蒸発用ウィック20に吸引されて蒸発する。
【0114】
蒸発用ウィック20で発生した蒸気は、ボイラー部ケース110の蒸気通路110bおよび出力部12の吸気路19a、124aを通じてエンジン121に供給される。
【0115】
エンジン121に供給された蒸気はピストン122を駆動する。これにより、蒸気のエネルギーが機械的エネルギーに変換される。ピストン122の駆動により出力軸129が回転し、発電機1で発電が行われる。
【0116】
このように、本実施形態においても、上記第1、第2実施形態と同様に、発熱体3の排熱エネルギーを電気エネルギーとして回収することができる。
【0117】
ここで、蒸発用ウィック20による作用効果について説明する。導入用ウィック16の外周面から吸引されて導入用ウィック16の内周面に到達した作動液14は、蒸発用ウィック20に吸引されて蒸発用ウィック20内の空隙に拡散浸透する。蒸発用ウィック20には、発熱体3の熱が芯棒115を介して伝えられるので、蒸発用ウィック20内の空隙に拡散浸透した作動液14が加熱されて蒸発する。
【0118】
すなわち、蒸発用ウィック20は、伝熱表面積を拡大させて作動液14の蒸発を促進させる役割を果たす。このため、出力の向上を図ることができる。
【0119】
また、蒸発用ウィック20は、導入用ウィック16の外周面に満遍なく当たるので、導入用ウィック16が膨潤しても導入用ウィック16の外周面に局所的な潰れが生じることを防止できる。
【0120】
なお、本実施形態では、芯棒115の上端部が出力部12のベース部材19に接触しているので、発熱体3から出力部12への熱伝導によってエンジン121での蒸気温度(蒸気圧力)を高めることができ、ひいては出力の向上を図ることができる。
【0121】
なお、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、導入用ウィック16の軸方向両端側(上方側および下方側)に、発熱体3から液溜め部111への伝熱を抑制する断熱材を配置することで、発熱体3からの熱で液溜め部111の作動液14が加熱されて蒸発してしまうことを抑制できる。
【0122】
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態では、ウィック16の外周面とボイラー部ケース110のウィック収容穴の内壁面との間に、複数の玉状部材18(排気通路形成部材)が配置されているが、複数の玉状部材18(排気通路形成部材)に代えて、上記第2実施形態で用いた蒸発用ウィック20(作動液蒸発用部材)が配置されていてもよい。
【0123】
また、上記各実施形態では、凝縮部13(凝縮容器130)が出力部ケース120の外部に設けられているが、凝縮部13が出力部ケース120の内部に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0124】
3 外部熱源
11 ボイラー部
12 出力部
13 凝縮部
14 作動液
15 断熱材
16 ウィック(作動液導入用部材)
17 断熱材(収容部材)
20 蒸発用ウィック(作動液蒸発用部材)
110 ボイラー部ケース(収容部材)
111 液溜め部
112 蒸発部
113 導入路
130 凝縮容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液(14)を溜める液溜め部(111)、および前記液溜め部(111)から供給される前記作動液(14)を外部熱源(3)から供給される熱で蒸発させる蒸発部(112)を有するボイラー部(11)と、
前記蒸発部(112)で発生した前記蒸気が流通し、前記蒸気のエネルギーを機械的エネルギーに変換して取り出す出力部(12)と、
前記出力部(12)を通過した前記蒸気を凝縮させ、凝縮した前記作動液(14)を前記液溜め部(111)に還流させる凝縮部(13)とを備え、
前記ボイラー部(11)は、前記液溜め部(111)の前記作動液(14)を毛管力で吸引して前記蒸発部(112)に導く作動液導入用部材(16)を有し、
前記作動液導入用部材(16)は筒状に形成され、
前記液溜め部(111)は、前記作動液導入用部材(16)の内側および外側のうちいずれか一方側に形成され、
前記蒸発部(112)は、前記作動液導入用部材(16)の内周面および外周面のうち前記液溜め部(111)と反対側の面の近傍に形成されていることを特徴とする熱機関。
【請求項2】
前記ボイラー部(11)は、前記作動液導入用部材(16)の前記内周面および前記外周面のうち前記液溜め部(111)と反対側の面に到達した前記作動液(14)を、前記作動液導入用部材(16)の毛管力よりも弱い毛管力で吸引して、前記外部熱源(3)から供給される熱で蒸発させる作動液蒸発用部材(20)を有していることを特徴とする請求項1に記載の熱機関。
【請求項3】
前記作動液蒸発用部材(20)の内部の空隙率は、前記作動液導入用部材(16)の内部の空隙率よりも高くなっていることを特徴とする請求項2に記載の熱機関。
【請求項4】
前記作動液蒸発用部材(20)の熱伝導率は、前記作動液導入用部材(16)の熱伝導率よりも高くなっていることを特徴とする請求項2または3に記載の熱機関。
【請求項5】
前記ボイラー部(11)は、外部熱源(3)の熱を前記作動液蒸発用部材(20)に伝える伝熱部材(115)を有し、
前記作動液蒸発用部材(20)は、前記作動液導入用部材(16)および前記伝熱部材(115)の両方に接触していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の熱機関。
【請求項6】
前記作動液導入用部材(16)は、前記外部熱源(3)から前記液溜め部(111)の前記作動液(14)への伝熱を抑制する断熱素材で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱機関。
【請求項7】
前記作動液導入用部材(16)の軸方向両端側には、前記外部熱源(3)から前記液溜め部(111)の前記作動液(14)への伝熱を抑制する断熱材(17)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱機関。
【請求項8】
前記作動液導入用部材(16)は、水平方向に延びる筒状の部材であり、
前記液溜め部(111)は、前記作動液導入用部材(16)の内側に位置し、
前記蒸発部(112)は、前記作動液導入用部材(16)の外周面の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱機関。
【請求項9】
前記作動液導入用部材(16)は、鉛直方向に延びる筒状の部材であり、
前記液溜め部(111)は、前記作動液導入用部材(16)の外側に位置し、
前記蒸発部(112)は、前記作動液導入用部材(16)の内周面の近傍に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の熱機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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