説明

熱湯殺虫方法及び熱湯殺虫器

【課題】室内を汚染することなく、ゴキブリ等は勿論のこと、ムカデや毛虫、トカゲ等の比較的大きくて生命力の強い微小生をも容易かつ確実に抹殺することができる簡易な熱湯殺虫器を提供する。
【解決手段】除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫器であって、熱湯を収納する熱湯収納部1と、該熱湯収納部1と連通接続され、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけるための噴射口11を備えた噴射部3と、前記噴射口11に熱湯を吐出供給するために前記噴射部3に設けられるポンプ13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムカデや毛虫、ヤモリ、トカゲ、ゴキブリ、その他の虫類等の除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫方法及び熱湯殺虫器に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の住環境には、室内に進入して欲しくない虫類等の微小生物が多く生息しており、時折、これらの闖入によって思わぬ迷惑を被ることがある。また、ゴキブリ等は、室内で繁殖して室内を汚染することが多い。このようなことから、多くの殺虫剤や殺菌装置が提案されている。例えば、ゴキブリを即効的かつ強力に殺虫することができるゴキブリ用毒餌剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、水溶性殺虫剤を水に溶解させた殺虫液を蒸散または噴霧させるようにした超音波霧化装置等も提案されている(例えば、特許文献2参照)。その超音波霧化装置は、殺虫液を収容した容器と、この容器の上部開口から上部を突出させて下部が容器内の前記殺虫液に浸漬された吸液芯と、この吸液芯の上端部に接触または直接接触することなく近接した超音波振動子とを備えている。このような装置により、殺虫液を蒸散または噴霧させることにより高い害虫駆除効果が得られ、特にゴキブリの駆除効果に優れると記載されている。
【特許文献1】特開2003−238320号公報
【特許文献2】特開2006−104126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自然環境に恵まれた郊外の住環境には、人体に危険を及ぼすムカデや気味の悪い毛虫、トカゲやヤモリ等も存在する。このような比較的大きくて生命力の強い微小生物は、ゴキブリ等を駆除する殺虫剤や殺菌装置によっては駆除することはできない。また、例えば、清潔さが求められる食堂等では、衛生上、殺虫剤や殺菌装置を多用することは禁物である。そのため、室内に薬害を及ぼすことなく、比較的大きな微小生物をも効果的に除去することができる簡易な駆除方法、装置が待望されていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされ、室内を汚染することなく、ゴキブリ等は勿論のこと、ムカデや毛虫等ムカデや毛虫、トカゲ等の比較的大きくて生命力の強い微小生をも容易かつ確実に抹殺することができる簡易な熱湯殺虫方法及び熱湯殺虫器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱湯殺虫方法は、除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫方法であって、
熱湯又は熱蒸気を噴射可能な噴射口から、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけることによって、微小生物を抹殺処理することを特徴とする。
【0007】
熱湯の温度は80℃以上であるのが好ましい。
【0008】
本発明の熱湯殺器は、除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫器であって、
熱湯を収納する熱湯収納部と、該熱湯収納部と連通接続され、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけるための噴射口を備えた噴射部と、前記噴射口に熱湯を吐出供給するためのポンプと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記ポンプは、前記噴射部に設けた操作手段の操作によって作動するようにしてもよい 。
【0010】
前記噴射部は、可撓性かつ耐熱性のチューブを介して、前記熱湯収納部と連通接続されるようにしてもよい。
【0011】
前記熱湯収納部には、ヒータが設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱湯殺虫方法は、噴射口から熱湯又は熱蒸気を微小生物に対して吹きつけるので、微小生物の細胞を高温に熱して瞬時に破壊し死滅させることができる。また、その熱湯又は熱蒸気は毒性がなく、室内を汚染することがない。
【0013】
熱湯の温度が80℃以上であれば、ゴキブリ等は勿論のこと、ムカデや毛虫等をも確実に抹殺できることが確認されている。
【0014】
本発明の熱湯殺虫器は、熱湯を収納する熱湯収納部と、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけるために前記熱湯収納部に連通接続される噴射口と、を備えるので、噴射口を微小生物に向けて熱湯又は熱蒸気を吹きつけることで、微小生物の細胞を高温に熱して瞬時に破壊し死滅させることができる。その熱湯又は熱蒸気は毒性がなく、室内を汚染することがない。また、このような装置は、簡易に構成することができる。
【0015】
前記ポンプを、前記噴射部に設けた操作手段の操作によって作動させるようにすれば、前記噴射部を把持した作業者が、微小生物に噴射口を向けた状態で操作手段を操作できるので、取り扱い作業性が良好になる。
【0016】
前記噴射部を、可撓性かつ耐熱性のチューブを介して、前記熱湯収納部と連通接続すれば、前記噴射部を、任意の位置に移動させることができるため、微小生物に対する照準を定めやすくなり利便性が向上する。
【0017】
前記熱湯収納部に、ヒータを設けると、別途、熱湯を用意することなく、必要に応じて、冷水から、適宜、熱湯を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の熱湯殺虫方法及び熱湯殺虫器の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の熱湯殺虫器の全体の構成を示す説明図、図2は、その使用時の説明図である。これらの図に示すように、この熱湯殺虫器は、熱湯を収納する熱湯収納部1と、この熱湯収納部1に可撓性かつ耐熱性のチューブ2を介して連通接続される噴射装置(本発明の噴射部)3と、を備えている。その熱湯収納部1は、把手付きの蓋体4、ヒータ5、保温材6、着脱自在な電源コード7を備え、その内部に注入した水を加熱して保温することができると共に、その容器本体8には、容器底部に垂下される吸引パイプ9が設けられ、そのチューブ接続口10には、チューブ2の一端(上流側)を着脱自在に装着できるようになっている。この熱湯収納部1は、据え置き可能であり、かつ随時、持ち歩くことができる程度に形成されている。
【0020】
一方、噴射装置3は、耐熱性の硬質樹脂材の型成形等によって手で把持できる程度の大きさに形成され、熱湯を噴出させる噴射口11と、指で操作が可能なレバー式の操作手段12と、該操作手段12の操作で連動動作するポンプ13と、手で把持するための把持部14と、を備えている。そのポンプ13の吸引口15は、吸引パイプ16を介して把持部14下部のチューブ接続口17に連通接続され、ポンプ13の吐出口18は、吐出パイプ19を介して噴射口11に連通接続されている。そのチューブ接続口17は、チューブ2の他端(下流側)を着脱自在に装着できるようになっている。このような熱湯殺虫器は、簡易に構成することができ、安価に提供することができる。
【0021】
このような熱湯殺虫器を使用する際には、例えば、図2に示すように、作業者30は、容器本体8から電源コード7を抜いて、熱湯収納部1を片手に下げ、もう一方の手で噴射装置3を把持し、その噴射口11をムカデ等の微小生物40に狙いを定めて操作手段12を握り操作することによって、熱湯を直接微小生物40に吹き付ける。そうすると、微小生物40の細胞が熱湯によって高温に熱されることで瞬時に破壊されるため、微小生物40は即死する。その熱湯の温度が80℃以上であれば、ゴキブリ等は勿論のこと、ムカデ等をも確実に即死させることができる。このような熱湯は毒性がなく、室内を汚染することがない。また、水道水等を使用するので、ランニングコストが安価でもある。
【0022】
尚、本実施の形態では、熱湯を微小生物40に吹き付ける場合について説明したが、本発明は、これに限定されることなく、熱湯を霧化した熱蒸気を微小生物40に吹き付けるようにしても同等の作用効果を得ることができる。また、図示は省略するが、熱湯収納部1を噴射装置3に一体化してコンパクト化を図ることもできる。その場合、例えば、円筒ボンベ状に形成した蓋付きの熱湯収納部1を噴射装置3の上部に載設し、その熱湯収納部1に、電動ポット等から熱湯を注入するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の熱湯殺虫方法及び熱湯殺虫器によれば、熱湯又は熱蒸気を微小生物に吹き付けるので、室内を汚染することなく、ゴキブリ等は勿論のこと、ムカデや毛虫、トカゲ等の比較的大きくて生命力の強い微小生物をも容易かつ確実に抹殺できるので、例えば、自然環境に恵まれた地域の食堂等で好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る熱湯殺虫器の全体構成を示す説明図である。
【図2】同使用状態の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 熱湯収納部
2 チューブ
3 噴射装置
4 蓋体
5 ヒータ
6 保温材
7 電源コード
8 容器本体
9 吸引パイプ
10 チューブ接続口
11 噴射口
12 操作手段
13 ポンプ
14 把持部
15 吸引口
16 吸引パイ
17 チューブ接続口
18 吐出口
19 パイプ
30 作業者
40 微小生物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫方法であって、
熱湯又は熱蒸気を噴射可能な噴射口から、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけることによって、微小生物を抹殺処理することを特徴とする熱湯殺虫方法。
【請求項2】
熱湯の温度は80℃以上である請求項1に記載の熱湯殺虫方法。
【請求項3】
除去したい微小生物を抹殺処理するための熱湯殺虫器であって、
熱湯を収納する熱湯収納部と、該熱湯収納部と連通接続され、微小生物に対して熱湯又は熱蒸気を吹きつけるための噴射口を備えた噴射部と、前記噴射口に熱湯を吐出供給するためのポンプと、を備えたことを特徴とする熱湯殺虫器。
【請求項4】
前記ポンプは、前記噴射部に設けた操作手段の操作によって作動する請求項3に記載の熱湯殺虫器。
【請求項5】
前記噴射部は、可撓性かつ耐熱性のチューブを介して、前記熱湯収納部と連通接続される請求項3又は4に記載の熱湯殺虫器。
【請求項6】
前記熱湯収納部には、ヒータが設けられる請求項3乃至5の何れか1項に記載の熱湯殺虫器。

【図1】
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【図2】
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