説明

熱源解除機構付き消色装置

【課題】消色動作中の用紙ジャムや停電等の障害発生時に熱源からの熱輻射を瞬時に解除して熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避する熱源解除機構付き消色装置を提供する。
【解決手段】ヒータユニット47は熱輻射ヒータ110と、これを保持するヒータカバー111と、断熱カバー113と、光源ユニット48から照射される消色光109の光路に配置された耐熱ガラス板114とで、熱輻射ヒータ110の熱輻射空間116と外部との対流を遮断され熱効率の良い消色部を形成している。ヒータカバー111にはこれを支持するヒータ部支持軸112が配設されている。用紙ジャム、停電、予期せぬ電源切断スイッチの作動などの不具合が発生すると制御部によりヒータ部支持軸112が回転駆動され、熱輻射ヒータ110はその熱輻射面115が用紙搬送経路45に対し反対側を向くように回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源解除機構付き消色装置に係わり、更に詳しくは消色動作中のジャムや停電等の障害発生時に熱源からの熱輻射を瞬時に解除して熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避する熱源解除機構付き消色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の一環として紙資源の節減が叫ばれている。画像形成装置等の紙資源の節減と再利用では、片面印刷した用紙の裏面の有効活用などは既に社会一般になされている。
【0003】
また、使用済み用紙を回収し用紙の原料とし、再生紙として再度用いることも一般に行われている。しかし片面印刷の用紙の再利用では、再使用の回数が通常1回に限られてしまう。
また、原料として再利用する際には回収自体にエネルギーとコストがかかり、原料として加工する際にもエネルギーが掛かってしまう。そこで、オフィス内において用紙を複数回使用できるようにする取組みが種々為されている。
【0004】
トナー像により一度画像が形成された用紙を紙資源として再利用するには、トナーにより形成された用紙上の画像を物理的に除去または光で消色して再利用可能な用紙とすることが考えられている。
【0005】
画像を物理的に除去して用紙を再利用するためには、用紙の画像形成面にトナーを除去する処理液を塗布し、加熱してトナーを溶解させて画像を除去する方法や、用紙の画像形成面を研摩してトナー画像を削り落とす方法などがあるが、これらの方法は、手数がかかると共に、再利用する用紙に損傷が発生し易いため問題がある。
【0006】
光を用いる消色方法としては、最初に用紙に画像形成するに際し、近赤外線吸収色素および消色剤を含む消色性トナーにより用紙に画像を記録し、この画像を近赤外線等の特殊な光源による光照射によって消色して用紙の再利用を図るという考えは既に論文で公開されている。(例えば、非特許文献1参照。)
【0007】
この非特許文献1の方法において、近赤外線吸収色素は照射された近赤外線を吸収して励起し、消色剤と反応して無色化する。但し、色材がトナー化されていることもあって、トナー結着剤樹脂中の色素は近赤外線を吸収しても常温においてはほとんど消色反応が見られない。
【0008】
そこで、消色性トナー画像の消色には事前に消色性トナー画像を加熱しておいてから消色光を照射すると消色作用が有効に働くという一般に行われている技術に基づいて、画像形成時に用いる定着装置の熱ローラ対を、消色時の加熱器として兼用し定着装置内において熱ローラ対の下流側に消色光照射用の光源を配置した構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−049634号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】細田喜一著、「機能性色素のトナーへの応用」電子写真学会誌、第31号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に示される従来技術では、加熱ローラにより加熱されたトナー像に消色光が照射されるまでにトナー像の温度が下がって消色効果が薄れるという問題に加えて、加熱ローラ面にトナー像がオフセットするという問題があった。
【0012】
これらの問題を解決する方法として、用紙に対し、非接触で加熱するようにヒータを配置し、トナー像を加熱し、消色に適した温度の位置に消色光を照射する消色構造が考えられており、一定の効果を得ている。
【0013】
ところで、用紙表面温度が200℃程度の時に消色光を照射するのがトナー画像の消色に効果的であるが、用紙に200℃程度の温度を長時間加熱すると、用紙が変色するという問題がある。
【0014】
用紙の搬送速度と加熱範囲の設定により、用紙の変色を抑えてトナー画像の消色を行うことは可能であるが、その消色動作中に、例えば用紙ジャム、停電、装置電源のオフ・スイッチの作動等の障害が発生することがある。
【0015】
そのような障害が発生して、消色動作中の加熱部に用紙が停止したままの状態で一定時間放置された場合、用紙が変色し、更には発煙に至る危険性がある。
【0016】
したがって、加熱部に用紙が停止したままとなるような障害が発生したときには、用紙への加熱を直ちに中止する必要がある。一般的には、熱源であるヒータの電源を切る方法が考えられる。
【0017】
ところが、搬送されている用紙の表面温度を200℃程度にするために、ヒータの設定温度は更に高い温度に設定されている。したがって、ヒータの電源を切っても直ちにヒータからの熱輻射の温度が下がるということはなく、むしろ用紙の表面温度は上昇して用紙の変色は進んでしまう。
【0018】
特に障害が用紙ジャムの場合は、ジャム状になった用紙が部分的に盛り上がってヒータの熱輻射面に近接又は接触する場合もあるので、そのような場合は容易に用紙の発煙を招くことになる。
【0019】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、消色動作中の用紙ジャムや停電その他の障害発生時に熱源からの熱輻射を瞬時に解除して熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避する熱源解除機構付き消色装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の熱源解除機構付き消色装置は、用紙の搬送経路に近接し該搬送経路に対し一端をより近く他端をより遠く用紙搬送方向に対し斜めに配置されて上記用紙の消色性トナー像の印字面を加熱する熱輻射ヒータと、該熱輻射ヒータの上記他端に近接し且つ上記搬送経路に近接して配置され上記熱輻射ヒータにより加熱中の上記用紙の上記消色性トナー像の上記印字面に上記熱輻射ヒータの上記他端側から斜めに消色光を照射する消色光源と、上記熱輻射ヒータを支持する支持軸と、上記搬送経路において上記用紙が上記熱輻射ヒータによる加熱中に消色処理の続行が不可能となる不具合が発生したとき上記支持軸を回転制御して上記熱輻射ヒータの熱輻射面を少なくとも上記搬送経路の面とは異なる方向に向くように上記熱輻射ヒータを回動させる支持軸回動部と、を有するように構成される。
【0021】
上記不具合は、例えば、用紙ジャム、停電、電源切断スイッチの作動などを含む不具合である。また、上記支持軸は、例えば、上記熱輻射ヒータを中央よりも上記他端寄りの位置で上記熱輻射ヒータを支持し、上記支持軸回動部は、例えば、上記不具合が発生したとき上記熱輻射ヒータの上記他端の回動軌跡が上記搬送経路に沿って円弧を描くように且つ上記熱輻射面が上記搬送経路に対し反対側を向くように上記支持軸を回動させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれは、消色動作中のジャムや停電等の障害発生時に熱源からの熱輻射を瞬時に解除して熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避する熱源解除機構付き消色装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る熱源解除機構付き消色装置とその消色装置を連結したカラー画像形成装置(プリンタ)の内部構成を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1に係る熱源解除機構付き消色装置を連結したプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】実施例1に係る熱源解除機構付き消色装置の消色ユニットの搬送機構の一部を構成する用紙両側端搬送装置を示す斜視図である。
【図4】実施例1に係る熱源解除機構付き消色装置の消色ユニットの搬送機構の平面図である。
【図5】(a)は実施例1の消色ユニットの消色光源に使用される高輝度反射型LEDランプの斜視図、(b)はその平面図、(c)はそのA−A断面矢視図、(d)は比較のため従来からある砲弾型のLEDランプを示す図である。
【図6】(a)は実施例1の消色ユニットの消色光源の構成を示す斜視図、(b)はその側断面図、(c)はその消色光の照射態様を示す図である。
【図7】(a)は実施例1の消色ユニットの構成を示す側断面図、(b)はその熱輻射ヒータの熱輻射解除時における回動軌跡を示す図、(c)はその回動結果を示す図である。
【図8】(a)は実施例1の消色ユニットの平面図、(b)はその図1に示した紙面奥行き方向の手前側から見た側面図、(c)は紙面奥行き方向の向こう側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。尚、以下で説明する消色性トナーは、特には詳述しないが、近赤外線吸収色素および消色剤を樹脂に混練し、平均粒径が9μmになるように作成したものである。また、以下の説明では「印字」と「印刷」は同意語として区別なく用いられる。
【実施例1】
【0025】
<消色装置が連結されるプリンタの構成>
図1は、実施例1に係る熱源解除機構付き消色装置とその消色装置を連結したカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を模式的に示す断面図である。
【0026】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0027】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成からなる。
【0028】
上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0029】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0030】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面を取り巻いて、その周面に接し又は近接して、クリーナ8、帯電ローラ9、光書込ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0031】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかの現像剤(トナー)を収容し、中間部には下部へのトナー補給機構10を備えている。
【0032】
また現像器12の下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部には特には図示しないがトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0033】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の中間転写ベルト14と、この中間転写ベルト14を掛け渡されて中間転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させるベルト駆動ローラ15と従動ローラ16を備えている。
【0034】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の中間転写ベルト14のループ内に特には図示しないが、ベルト位置制御機構を備えている。ベルト位置制御機構は、中間転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0035】
ベルト位置制御機構は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0036】
そして、ベルト位置制御機構は、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて中間転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させる。
【0037】
すなわち、ベルト位置制御機構は、中間転写ベルトユニット3の中間転写ベルト14の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が中間転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが中間転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が中間転写ベルト14から離れる)に切換えることができる。
【0038】
上記の中間転写ベルト14はトナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に記録媒体(以下、用紙ともいう)に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットと言っている。
【0039】
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット21を備え、2個の給紙カセット21の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。
【0040】
待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、中間転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0041】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式定着装置27が配置されている。ベルト式定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。
【0042】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32cを備えている。
【0043】
更に、両面印刷用搬送ユニット5は、それらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0044】
このプリンタ1の下部に連結されている本発明の熱源解除機構付き消色装置35は、給紙部36、消色ユニット37、及び消色済み用紙給紙部38を備えている。給紙部36は給紙カセット39を備えている。
【0045】
給紙カセット39には、既に紙面に消色性トナー像を形成されている用紙41が複数枚載置されている。給紙カセット39の右下端部の給紙口には、用紙取出ローラ42、給送ローラ43、捌きローラ44からなる給紙部が配置されている。
【0046】
この給紙部により、給紙カセット39から一枚ごとに取り出された用紙41は消色ユニット37に給送される。消色ユニット37には、用紙搬送経路45を中心とする搬送機構が配置されている。
【0047】
用紙搬送経路45の用紙搬送方向の前後には、用紙41を消色ユニット37に搬入し搬出する2組の用紙搬送コロ対46(46a、46b)が配置されている。そして、用紙搬送経路45の上下には、ヒータユニット47と光源ユニット48が配設されている。光源ユニット48は、詳しくは後述するが、光源49とレンズ51を備えている。
【0048】
この消色ユニット37の用紙排出口には、排出ローラ対52が配設され、その下流に消色済み用紙収容カセット53が着脱自在に配置されている。消色済み用紙収容カセット53には、多枚数の消色済み用紙54が収用される。
【0049】
この消色済み用紙54は、消色済み用紙収容カセット53の上右端部の給紙口には、用紙取出ローラ55、給送ローラ56、捌きローラ57からなる給紙部が配置され、その下流側には2組の搬送ローラ対58及び59が配設されている。これらのローラ群で消色済み用紙給紙部38が構成されている。
【0050】
上記消色済み用紙給紙部38の終端の搬送ローラ対59の搬送先は、プリンタ1本体装置側の用紙取り込み口61に連絡している。用紙取り込み口61は、両面印刷用搬送ユニット5の終端返送路32cと共に下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に合流している。
【0051】
<制御装置の回路構成>
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)62を中心にして、このCPU62に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)63及びプリンタコントローラ(PR_CONT)64が接続されている。PR_CONT64にはプリンタ印字部65が接続されている。
【0052】
また、CPU62には、ROM(read only memory)66、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)67、本体操作部の操作パネル68、及び各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部69が接続されている。
【0053】
ROM66には、システムプログラムが記憶され、CPU62は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0054】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT63は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ71に展開する。
【0055】
フレームメモリ71は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。フレームメモリ71に展開されたデータはPR_CONT64に出力され、PR_CONT64からプリンタ印字部65に出力される。
【0056】
プリンタ印字部65は、エンジン部であり、PR_CONT64からの制御の下で、図1に示した感光体ドラム7、一次転写ローラ18等を含む不図示の回転駆動系、帯電ローラ9、光書込ヘッド11等の被駆動部を有する画像形成部、中間転写ユニット3の上下移動や転写ベルト14の回転を駆動する不図示の駆動部を備えている。
【0057】
更に、プリンタ印字部65は、ベルト式定着装置27のベルト駆動を行うベルト駆動部72や、消色ユニット37の後述する熱輻射ヒータを回動させる支持軸回動部73を備えている。支持軸回動部73は、特には図示しないが、機械的および電磁的な機構ならびに位置センサからなる駆動ユニットを備えている。
【0058】
更に、プリンタ印字部65は、用紙取出ローラ22〜排紙ローラ対31、消色装置35の消色済み用紙給紙部38の各ローラ等の回転駆動される搬送機構、発熱駆動及び回転駆動されるベルト式定着装置27などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
【0059】
そして、PR_CONT64から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のデータは、プリンタ印字部65からそれぞれ対応する図1に示した光書込ヘッド11に供給される。
【0060】
<消色ユニットの用紙搬送機構>
ところで、用紙41に消色性トナー画像が両面印字されている場合、用紙41を通常行われているようにベルト搬送機構によって消色ユニット37内を搬送すると、消色用の熱で溶融した裏側のトナーがベルトに付着する。
【0061】
また、用紙への加熱が高温であるため、用紙に丸まりが発生し、熱輻射ヒータへの接触も懸念される。また、用紙の丸まりにより用紙が下流の搬送コロ対46bに侵入せずに外れてしまう懸念もある。従って、これらのことを考慮した搬送機構が必要とされる。
【0062】
図3は、本例の消色ユニット37の搬送機構の一部を構成する用紙両側端搬送装置を示す斜視図である。尚、同図には搬送方向上流側の搬送コロ対46aと下流側の搬送コロ対46bの図示を省略している。
【0063】
図3に示すように、用紙搬送経路45の両側には、駆動ローラ74と従動ローラ75に掛け渡され、内部中央に押さえローラ76を有する細ベルト77が上下二段に配置された用紙両側端搬送装置78が配置されている。この用紙両側端搬送装置78は、同図に示すように用紙41に対し、用紙41の両側端部を挟持して図の矢印d方向に搬送する。
【0064】
図4は、上記の消色ユニット37の搬送機構の平面図である。図4に示すように、搬送コロ対46a、46b及び用紙両側端搬送装置78によって搬送される図3に示した用紙41の上下には、それぞれ6本のヒータ接触防止ワイヤ79(79a、79b)が張設されている(図では上方のワイヤを実線、下方のワイヤを破線で示している)。
【0065】
これらのヒータ接触防止ワイヤ79a及び79bは、それぞれワイヤ保持部81(81a、81b)に保持されて、ヒータ接触防止機構82を構成し消色ユニット37内に固定して配置されている。
【0066】
これらのヒータ接触防止ワイヤ79(79a、79b)は、用紙41が後述する熱輻射ヒータに接触するのを防止するとともに、用紙41の丸まりを上下から押さえて、用紙41が用紙両側端搬送装置78から脱落するのを防止している。
【0067】
これらのヒータ接触防止ワイヤ79は、用紙41の搬送方向に対して斜めに張設されていると共に広い間隔で配置されているので、後述する熱輻射ヒータからの消色用輻射加熱とこれも後述するLED光源からの消色用照射光を遮ることは全く無いといって良い。
【0068】
<消色光源に使用される反射型LEDランプの構成と機能>
図5(a)は、本例の消色光源に使用される高輝度反射型LEDランプの斜視図であり、同図(b)はその平面図、同図(c)はそのA−A断面矢視図、同図(d)は比較のため従来からある砲弾型のLEDランプを示す図である。
【0069】
図5(a),(b),(c)に示す高輝度反射型LEDランプ83は、図1に示した光源49である。高輝度反射型LEDランプ83は、箱体84の開口部の対向する2側縁から細く中央に伸びだす駆動電極端子85と接地電極端子86と、接地電極端子86の先端部に固定されたLED素子87、このLED素子87と駆動電極端子85とを接続するAu細線88と、箱体84の底面に配置された反射鏡89から成る。
【0070】
高輝度反射型LEDランプ83は、接地電極端子86のLED素子87が固定された端部とは反対側端部と一体なランプ保持部91を備えている。ランプ保持部91には、高輝度反射型LEDランプ83を後述する光源基台にネジでネジ止め固定するためのネジ孔92が形成されている。
【0071】
この高輝度反射型LEDランプ83は、駆動電極端子85と接地電極端子86の両電極により発光駆動されると、LED素子87から箱体84の底面方向に広がって照射される光を、反射鏡91により箱体84の開口部方向へ平行光93として照射する。
【0072】
図5(c)に示す砲弾型のLEDランプ94は、二本のリード線95(95a、95b)の一方のリード線95aに繋がる接地電極96と、接地電極96に電導性接着剤97を介して一方の電極を固定されたLED素子98を備えている。
【0073】
更にLEDランプ94は、LED素子98の他方の電極に一方の端部を接続され、他方の端部を駆動極極99に接続されたAu(金)線101を備えている。駆動極極99は他方のリード線95bと一体に形成されている。
【0074】
LEDランプ94は、上記各部の構成の内、二本のリード線95(95a、95b)を除く部分がエポキシ樹脂102に埋め込まれて全体として砲弾型のLEDランプを構成している。
【0075】
一般に砲弾型のLEDランプ94は、広い照射角度をもつLEDランプであり、LED素子98の発光による照射光は、エポキシ樹脂102の放射面103から、広がり幅104(104a、104b)の鈍角を成す照射角度の範囲で照射される。このような砲弾型のLEDランプ94の光の利用効率は30〜94%とされている。
【0076】
これに対して、高輝度反射型LEDランプ83は、LED素子87から放射された殆ど全ての光を箱体84の底面にある反射鏡89で反射させ、平行な軸状に制御された光として外部へ照射する。これにより、90%以上の光利用効率を得ることができる。ここに本例の消色用光源として高輝度反射型LEDランプ83を採用した理由がある。
【0077】
<消色ユニットの消色光源>
図6(a)は本例の消色ユニット37の図1に示した光源ユニット48の構成をより詳細に示す斜視図であり、同図(b)はその側断面図、同図(c)はその消色光の照射態様を示す図である。
【0078】
図6(a),(b)に示すように光源ユニット48は、図では断面がコの字形となる筐体105の前方開口部の上下に保持部106が形成されている。その保持部106に保持されて、図1に示したレンズ51が筐体105の開口部全面を塞ぐにように配置されている。
【0079】
レンズ51は、リニアフレネルレンズからなり、リニアフレネルレンズのプリズム溝107は、光源ユニット48の筐体105の長手方向に平行に形成されている。
【0080】
なお、レンズ51としてのリニアフレネルレンズは、本例ではアクリル樹脂タイプのものを使用しているが、これに限ることなく、ポリカーボネート等のほか、フレネルレンズに使用可能な素材であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0081】
図6(a),(b)において、筐体105の開口部を塞ぐレンズ51に対向する内壁面には、光源基台108が筐体105の長手方向に沿って配設されている。光源基台108の上面には筐体105の長手方向に沿って、複数の図1に示した光源49(図5(a),(b),(c)に示した高輝度反射型LEDランプ83)が並設されている。
【0082】
なお、筐体105は、光源ユニット48を熱輻射ヒータ37のそばで使用するため、高温になる光源ユニット48外部の温度の影響で光源ユニット48内部が高温化するのを避けるための断熱壁として配置されている。
【0083】
また、光源基台108がヒートシンクを兼ねるのは、外部からの高輝度反射型LEDランプ83への熱影響をより確実に避けるようにするためと、本例の光源が高輝度高発光出力型のLEDであるため、自己発生熱を拡散するために用いられている。勿論、使用するLEDが熱に比較的余裕があるLEDの場合であればヒートシンクを用いる必要はない。
【0084】
本例に用いられる高輝度反射型LEDランプ83は、図5(d)に示した砲弾型のLEDランプ94と比較して、図5(c)に示したように、ほとんどの光を箱体底面の反射鏡89に当ててその反射光を取り出すものであるため、光の取り出し効率が良いだけでなく良質な平行光が得られる。
【0085】
図6(a)に示す矢印eは平行光の射出方向を示している。とはいっても、図6(c)に示すように、高輝度反射型LEDランプ83から照射される平行光93は、全て平行というわけでもなく、やや広がりのある光も含まれている。
【0086】
しかし全ての照射光はレンズ51(リニアフレネルレンズ)を通過したのちは集束した消色光109となって、消色ユニット37の用紙搬送経路45を搬送される用紙41の消色性トナー像が形成されている紙面に対しほぼ30°の傾きを持って斜めに照射される。
【0087】
<消色ユニットの全体構成をヒータユニットを主体にして示す図>
図7(a)は、消色ユニット37の構成を示す側断面図であり、同図(b)はその熱輻射ヒータの熱輻射解除時における回動軌跡を示す図、同図(c)はその回動結果を示す図である。なお、図7(a)には図1、図4又は図5と同一の構成部分には図1、図4又は図5と同一の番号を付与して示している。
【0088】
また、図7(a),(b),(c)において、搬送機構については、図3及び図4に示した用紙両側端搬送装置78の図示を省略している。また、図4の平面図のうち用紙搬送コロ対46(46a、46b)及びヒータ接触防止ワイヤ79(79a、79b)のみを示している。
【0089】
また、図7(a),(b),(c)に示す消色ユニット37のヒータユニット47及び光源ユニット48の構成は、用紙搬送経路45に対し、上下に面対称に配置されているので、ここでは用紙搬送経路45に対し上方に配設されているヒータユニット47と光源ユニット48ユニットについて説明する。
【0090】
なお、光源ユニット48については、詳細は既に図6(a),(b),(c)で説明した通りであるので図7(a),(b),(c)には簡略に図示し、構成上の説明は省略する。ここでは、ヒータユニット47について説明する。
【0091】
ヒータユニット47は、熱輻射ヒータ(本例ではセラミックヒータを使用)110と、ヒータカバー111と、これら熱輻射ヒータ110とヒータカバー111から成るヒータ部を支持する筒状のヒータ部支持軸112とを備えている。
【0092】
更に、ヒータユニット47は、断熱カバー113と、この断熱カバー113の用紙搬送方向に直角な方向に形成された開口部に保持された耐熱ガラス板114を備えている。
【0093】
熱輻射ヒータ110は、用紙搬送経路45に近接し、その搬送経路45に対し一端(図の左方)をより近く他端(図の右方)をより遠く用紙搬送方向に対し斜めの状態で配置され、用紙搬送経路45を上流から下流に搬送される用紙の消色性トナー像の印字面を加熱する。
【0094】
ヒータカバー111は、熱輻射ヒータ110から四方に放射される熱輻射のうち、用紙搬送経路45方向を向く熱輻射面115以外の方向に放射される熱輻射を遮断し且つ反射して、熱輻射ヒータ110からの熱輻射を無駄なく熱輻射面115方向に集約する。
【0095】
断熱カバー113は、図7(a),(b),(c)では断面図のため定かに示されていないが、熱輻射ヒータ110の側面から用紙搬送経路45までの側面間隙にかけて、消色部である熱輻射空間116の全周を覆って空気の対流による外気の影響を遮断し、消色部の熱を外部に逃がさないようにしている。
【0096】
更に、断熱カバー113は、光源ユニット48からの消色光109の照射光路に耐熱ガラス板114を保持する保持部材の働きを兼ねている。
【0097】
耐熱ガラス板114は、素材としては例えば石英ガラスが好ましい。石英ガラスは光源49を構成する高輝度反射型LEDランプ83の本例の発光波長である850nmの波長を含む近赤外線の透過率は95%である。
【0098】
つまり、石英ガラスは近赤外線の透過率を5%の損失に抑えることが出来る好適な素材ということができる。また、石英ガラスの耐熱温度は1200℃である。消色装置では如何なる部分でもこのような高温は発生しないので、熱的には十分な耐性がある。
【0099】
このように、ヒータカバー111と断熱カバー113と耐熱ガラス板114とで取り囲まれた熱輻射ヒータ110の熱輻射空間116は外部との対流を遮断され、熱損失の少ない熱効率の良い消色部を形成している。
【0100】
ヒータカバー111を固定支持するヒータ部支持軸112は、熱輻射ヒータ110を中央よりも他端(搬送経路45に対しより遠く配置された端部すなわち図の左方端)寄りの位置でヒータカバー111を介し熱輻射ヒータ110を支持するように配置されている。
【0101】
ところで、用紙搬送経路45において用紙41が熱輻射ヒータ110による加熱中に、消色処理の続行が不可能となる不具合(又は障害)が発生する場合がある。この不具合とは、例えば用紙ジャム、停電、予期せぬ電源切断スイッチの作動などである。
【0102】
そのような不具合や障害が発生して、消色動作中の加熱部(熱輻射空間116)に用紙41が停止したままの状態で一定時間放置された場合、用紙41が変色し、更には発煙に至る危険性があることは前述した。
【0103】
上記のような不具合が発生すると、本例では、図2に示したセンサ部69から上記のような不具合が発生したことをCPU62に通知される。
【0104】
この通知によりCPU62は、詳しくは後述するように、支持軸回動部73を介してヒータ部支持軸112を回転制御し、熱輻射ヒータ110の熱輻射面115を少なくとも用紙搬送経路45の面とは異なる方向に向くように熱輻射ヒータ110を回動させる。
【0105】
すなわち、支持軸回動部73は、図7(b)に示すように、熱輻射ヒータ110とヒータカバー111から成るヒータ部を、矢印fで示す時計回り方向に回動させるようにヒータ部支持軸112を回動駆動する。
【0106】
このとき、ヒータ部支持軸112が熱輻射ヒータ110(以下、熱輻射面115と同じ意味で用いる)の中央よりも他端115−2側を支持していることにより、熱輻射ヒータ110の一端115−1は用紙搬送経路45とは反対側の空間を回動軌跡117を大きく描いて回動する。
【0107】
一方、熱輻射ヒータ110の他端115−2は、回動軌跡118の円弧がやや小さく、用紙搬送経路45に接触しないように且つ用紙搬送経路45に沿って円弧を描くように回動する。この結果、図7(c)に示すように、熱輻射ヒータ110は、その熱輻射面115が用紙搬送経路45に対し反対側を向くように回動する。
【0108】
このように、消色部すなわち熱輻射空間116において、用紙ジャム、停電、予期せぬ電源切断スイッチの作動などの不具合が発生したときは、熱源であるヒータユニット47から熱輻射空間116に対する熱輻射が瞬時に解除される。
【0109】
これにより、用紙ジャム、停電、予期せぬ電源切断スイッチの作動などの不具合が発生しても、熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避することができる。
【0110】
また、特に用紙ジャムの場合は、熱輻射ヒータの電源を落とさずに、消色部への熱輻射を解除することができるため、用紙ジャムの解除後は、直ぐに消色部を適温に戻して、消色動作を行うことができるという効果がある。
【0111】
図8(a)は、実施例1の消色ユニット37の平面図であり、図8(b)はその図1に示した紙面奥行き方向の手前側から見た側面図、図8(c)は紙面奥行き方向の向こう側から見た側面図である。
【0112】
なお、図8(a),(b),(c)には、図1、図4ないし図7に示した構成と同一の構成部分には図1、図4ないし図7と同一の番号を付与して示している。また、図8(b)は図7(a)と同一である。
【0113】
図8(a)に示すように、光源ユニット48の光源49は高輝度反射型LEDランプ83から成る。この高輝度反射型LEDランプ83は、印加電力900mAのものを用い用紙搬送経路45に沿って搬送される用紙の搬送方向に直角な方向に10個並べて配置される。
【0114】
また、高輝度反射型LEDランプ83の消色光の照射方向に配置されるリニアフレネルレンズ51には、焦点距離25mmのものが用いられる。また、同図(a)に示すように、筒状のヒータ部支持軸112の内部には、熱輻射ヒータ110への電源供給用配線119および不図示の熱電対等への配線が挿通されている。
【0115】
図8(c)は、図7(b),(c)に示したヒータ部支持軸112を介して熱輻射ヒータ110及びヒータカバー111を回動駆動する詳細な回動機構を示している。図8(a),(c)に示すように、消色ユニット37の一方の側端部には、モータ121とギヤードモータ122が配設されている。
【0116】
モータ121の回転軸にはギヤ123が固設されている。このギヤ123は、上流側の用紙搬送コロ対46aの回転軸の一方の先端に固設されたギア124に噛合している。上流側の用紙搬送コロ対46aの回転軸には、上記のギア124に隣接しギア124と共に回転するプーリ125が固設されている。
【0117】
このプーリ125と、下流側の用紙搬送コロ対46bの回転軸に固設されたプーリ126との間にタイミングベルト127が掛け渡されている。これにより、モータ121が回転すると、ギア123及び124を介して上流側の用紙搬送コロ対46aの上のコロが回転し、下のコロが従動する。
【0118】
また、これと共に、上流側の用紙搬送コロ対46aのプーリ125、タイミングベルト127、プーリ126を介して下流側の用紙搬送コロ対46bの上のコロが従動して回転する。この回転に従動して下のコロが回転する。これにより図3に示したように用紙41が用紙搬送経路45に沿って搬送される。
【0119】
また、ギヤードモータ122のギア系の最終段には大径ギア128が配設されている。大径ギア128は用紙搬送経路45に対し上方に配設されているヒータユニット47のヒータ部支持軸112に外嵌し固定されているギア129に噛合している。
【0120】
ギア129には上アイドルギア131が噛合し、上アイドルギア131には下アイドルギア132が噛合し、この下アイドルギア132には、用紙搬送経路45に対し下方に配設されているヒータユニット47のヒータ部支持軸112に外嵌し固定されているギア133に噛合している。
【0121】
これにより、ギヤードモータ122が正方向に回転することにより、大径ギア128が図8(c)に矢印で示すように時計回り方向に回転すると、退避位置に在ったヒータカバー111が(図8(b)に示す熱輻射ヒータ110も含めて、以下同様)反時計回り方向に回動して消色動作位置に設定される。
【0122】
また、これと同時に、ギア129、上アイドルギア131、下アイドルギア132を介して、ギア133が駆動され、これに伴い用紙搬送経路45に対し下方に配設されているヒータユニット47の退避位置に在ったヒータカバー111が時計回り方向に回動して消色動作位置に設定される。
【0123】
そして、用紙搬送経路45において、用紙ジャム、停電、又は予期せぬ電源切断スイッチの作動などの不具合が発生したときは、CPU62により、PR−CONT64、プリンタ印字部65、及び支持軸回動部73を介してギヤードモータ122が逆方向に回転するよう回転制御される。
【0124】
これにより、図8(c)に示す各部が図8(c)の矢印とは反対方向に回転し、上下のヒータユニット47のヒータカバー111が、図7(a)に示した消色動作位置から図7(c)に示した退避位置に回動する。
【0125】
ギヤードモータ122のギア系の最終段の大径ギア128はその名の通り大径であり、他のギヤ系のギアはいずれも径が大径ギア128の1/2程度の小径である。これにより、上記の回動は急速に行われて急速に完了する。
【0126】
すなわち、用紙搬送経路45において、用紙ジャム、停電、又は予期せぬ電源切断スイッチの作動などの不具合が発生したときは、ヒータユニット47から用紙搬送経路45を含む熱輻射空間116(図7(a),(c)参照)に対する熱輻射が瞬時に解除される。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、消色動作中のジャムや停電等の障害発生時に熱源からの熱輻射を瞬時に解除して熱輻射継続による用紙の変色や発煙を回避する熱源解除機構付き消色装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 中間転写ベルトユニット
4 給紙部
5 両面印刷用搬送ユニット
6(6M、6C、6Y、6K) 画像形成ユニット
7(7m、7c、7y、7k) 感光体ドラム
8 クリーナ
9 帯電ローラ
10 トナー補給機構
11 光書込ヘッド
12 現像器
13 現像ローラ
14 中間転写ベルト
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
18 一次転写ローラ
21 給紙カセット
22 用紙取出ローラ
23 給送ローラ
24 捌きローラ
25 待機搬送ローラ対
26 二次転写ローラ
27 ベルト式定着装置
28 搬出ローラ対
29 排紙トレー
31 排紙ローラ対
32a 開始返送路
32b 中間返送路
32c 終端返送路
33a、33b、33c、33d 返送ローラ対
35 熱源解除機構付き消色装置
36 給紙部
37 消色ユニット
38 消色済み用紙給紙部
39 給紙カセット
41 用紙
42 用紙取出ローラ
43 給送ローラ
44 捌きローラ
45 用紙搬送経路
46(46a、46b) 用紙搬送コロ対
47 ヒータユニット
48 光源ユニット
49 光源(高輝度反射型LEDランプ)
51 レンズ(リニアフレネルレンズ)
52 排出ローラ対
53 消色済み用紙収容カセット
54 消色済み用紙
55 用紙取出ローラ
56 給送ローラ
57 捌きローラ
58、59 搬送ローラ対
61 用紙取り込み口
62 CPU(central processing unit)
63 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
64 プリンタコントローラ(PR_CONT)
65 プリンタ印字部
66 ROM(read only memory)
67 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
68 操作パネル
69 センサ部
71 フレームメモリ
72 ベルト駆動部
73 支持軸回動部
74 駆動ローラ
75 従動ローラ
76 押さえローラ
77 細ベルト
78 用紙両側端搬送装置
79(79a、79b) ヒータ接触防止ワイヤ
81(81a、81b) ワイヤ保持部
82 ヒータ接触防止機構
83 高輝度反射型LEDランプ
84 箱体
85 駆動電極端子
86 接地電極端子
87 LED素子
88 Au細線
89 反射鏡
91 ランプ保持部
92 ネジ孔
93 平行光
94 砲弾型LEDランプ
95(95a、95b) リード線
96 接地電極
97 電導性接剤着
98 LED素子
99 駆動極極
101 Au(金)線
102 エポキシ樹脂
103 放射面
104(104a、104b) 照射光広がり幅
105 筐体
106 保持部
107 プリズム溝
108 光源基台
109 消色光
110 熱輻射ヒータ(セラミックヒータ)
111 ヒータカバー
112 ヒータ部支持軸
113 断熱カバー
114 耐熱ガラス板
115 熱輻射面
115−1 一端
115−2 他端
116 熱輻射空間
117、118 回動軌跡
119 電源供給用配線
121 モータ
122 ギヤードモータ
123、124 ギヤ
125、126 プーリ
127 タイミングベルト
128 大径ギア
129 ギア
131 上アイドルギア
132 下アイドルギア
133 ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送経路に近接し該搬送経路に対し一端をより近く他端をより遠く用紙搬送方向に対し斜めに配置されて前記用紙の消色性トナー像の印字面を加熱する熱輻射ヒータと、
該熱輻射ヒータの前記他端に近接し且つ前記搬送経路に近接して配置され前記熱輻射ヒータにより加熱中の前記用紙の前記消色性トナー像の前記印字面に前記熱輻射ヒータの前記他端側から斜めに消色光を照射する消色光源と、
前記熱輻射ヒータを支持する支持軸と、
前記搬送経路において前記用紙が前記熱輻射ヒータによる加熱中に消色処理の続行が不可能となる不具合が発生したとき前記支持軸を回転制御して前記熱輻射ヒータの熱輻射面を少なくとも前記搬送経路の面とは異なる方向に向くように前記熱輻射ヒータを回動させる支持軸回動部と、
を有することを特徴とする熱源解除機構付き消色装置。
【請求項2】
前記不具合は、用紙ジャム、停電、電源切断スイッチの作動などを含む不具合である、ことを特徴とする請求項1記載の熱源解除機構付き消色装置。
【請求項3】
前記支持軸は、前記熱輻射ヒータを中央よりも前記他端寄りの位置で前記熱輻射ヒータを支持し、前記支持軸回動部は、前記不具合が発生したとき前記熱輻射ヒータの前記他端の回動軌跡が前記搬送経路に沿って円弧を描くように且つ前記熱輻射面が前記搬送経路に対し反対側を向くように前記支持軸を回動させる、ことを特徴とする請求項1記載の熱源解除機構付き消色装置。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−128062(P2012−128062A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277836(P2010−277836)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】