説明

熱画像を解析するための方法、装置、およびシステム

身体部分の熱画像を解析する方法が開示される。この方法は、熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し前記熱データと関連付けられる空間データを有する熱空間表現を得るステップと、前記表面全体の前記熱データの表面積分を計算するステップと、前記表面積分の値に基づいて熱的に区別可能な領域が前記身体部分に存在する可能性を決定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の実施形態では熱画像に関し、さらに詳しくは熱画像の解析に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
診断医学における撮像の使用は1900年代初期に遡る。現在、医師の自由裁量により、硬組織および軟組織の撮像ならびに正常組織および病理組織両方の特徴付けを可能にする、多数の異なる撮像モダリティが存在する。
【0003】
赤外線撮像は、炎症を識別する目的で、人体における熱的に区別可能な部位を特徴付けるために利用される。赤外線カメラはサーモグラフィ画像として知られる2次元画像を生成する。サーモグラフィ画像は典型的には、対象者の身体から幾つかの赤外線波長範囲のいずれか1つの放射を受け、かつ放射を解析して表面の2次元温度マップを生成することによって得られる。サーモグラフィ画像は、ビジュアル画像および対応する温度データのいずれか一方または両方の形を取ることができる。赤外線サーモグラフィに使用される赤外線カメラからの出力は典型的に、複数の画素データ点を含む画像を提供し、各画素は、カラーコードまたはグレースケールコードを用いて視覚的に表示される温度情報を提供する。温度情報はさらにコンピュータソフトウェアで処理して、全画素またはその部分集合に関連付けられる温度データを平均することによって、例えば画像の平均温度または画像の離散エリアを生成することができる。
【0004】
サーモグラフィ画像に基づき、医師は部位を診断し、経験および直観に大きく依存しながら、例えば部位に炎症が含まれるか否かを決定する。
【0005】
米国特許第7072504号は、2つの可視光カメラ(左右)と組み合わせて2つの赤外線カメラ(左右)を利用する手法を開示している。赤外線カメラは3次元サーモグラフィ画像を提供するために使用され、可視光カメラは3次元可視光画像を提供するために使用される。3次元サーモグラフィ画像および3次元可視光画像は、重畳方式でユーザに対して表示される。
【0006】
国際特許公開第2006/003658号は、非サーモグラフィ画像データ取得機能およびサーモグラフィ画像データ取得機能を含むシステムを開示しており、その内容を参照によって本明細書に援用する。非サーモグラフィ画像データ取得機能は非サーモグラフィ画像データを取得し、サーモグラフィ画像データ取得機能はサーモグラフィ画像データを取得する。
【0007】
米国特許第7292719号は、生体における1つ以上の熱的に区別可能な物体の有無を決定するためのシステムを開示しており、その内容を参照によって本明細書に援用する。構成された合成画像生成器は、生体の3次元組織領域の非サーモグラフィ3次元データを組織領域のサーモグラフィ2次元データと合成して、3次元組織領域に関連付けられる3次元温度データを生成する。
【0008】
同じく興味深いのは、物体から360゜のデータ抽出を実行する赤外線検出機構と、赤外線検出機構から電気信号を受け取って該信号を3次元プロファイル湾曲面のデータおよび物体の対応する温度分布に統合する信号復号機構とを含む、走査システムを開示している米国特許第6442419号である。
【0009】
追加的背景技術は、温度分布の3次元マップの生成を開示している米国特許第6850862号、および皮膚の様々なエリアにおける体温調節周波数の分布の変化を検出するために解析される、高速時系列の赤外線画像からの乳癌の検出を開示している米国特許第5961466号を含む。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一部の実施形態の態様では、身体部分の熱画像を解析する方法を提供する。該方法は、熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し熱データと関連付けられる空間データを有する熱空間表現(thermospatial representation)を得るステップと、表面全体の熱データの表面積分を計算するステップと、表面積分の値に基づいて熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性を決定するステップとを含む。
【0011】
本発明の一部の実施形態の態様では、身体部分における腫瘍の進展を監視する方法を提供する。該方法は、(a)各々が熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し熱データと関連付けられる空間データを有する、一連の熱空間表現を生成するステップと、(b)各熱空間表現に対し、それぞれの表面全体にわたってそれぞれの熱データの表面積分を計算し、それによって一連の表面積分値をもたらすステップと、(c)表面積分値の少なくとも2つを比較し、かつ腫瘍の大きさが変化しているか否かを評価するために該比較を使用し、それによって腫瘍の進展を監視するステップとを含む。
【0012】
本発明の一部の実施形態によると、該方法はさらに、腫瘍に破壊処置を適用するステップを含み、比較が、腫瘍の大きさが安定しているかまたは縮小しているかを評価するために使用される。
【0013】
本発明の一部の実施形態によると、可能性の決定は、表面積分値を基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値と比較することを含む。
【0014】
記載した好適な実施形態のさらに別の特徴によると、該方法はさらに、身体部分からの熱発散の量または率を計算するために表面積分値を使用するステップを含む。
【0015】
本発明の一部の実施形態によると、可能性の決定は、熱発散の量または率を、基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値を使用して計算された熱発散の量または率と比較するステップを含む。
【0016】
記載した好適な実施形態のさらに別の特徴によると、該方法はさらに、表面全体の熱データの統計学的モーメントを計算するために表面積分値を使用するステップを含む。
【0017】
本発明の一部の実施形態によると、可能性の決定は、該統計学的モーメントを基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値を使用して計算された統計学的モーメントと比較するステップを含む。
【0018】
記載した好適な実施形態のさらに別の特徴によると、該方法はさらに、表面内の関心領域を画定するステップを含み、関心領域全体で表面積分が計算される。
【0019】
記載した好適な実施形態のさらに別の特徴によると、該方法はさらに、表面を複数の薄切片にスライスするステップを含み、表面積分は各薄切片に対し個別に計算される。
【0020】
記載した好適な実施形態のさらに別の特徴によると、該方法はさらに、スライス作業および表面積分の計算を反復的に繰り返すステップを含む。
【0021】
本発明の一部の実施形態によると、可能性の決定は、様々な薄切片の間の表面積分の値の変化量を計算するステップを含む。
【0022】
本発明の一部の実施形態によると、可能性の決定は、該変化量を基準熱空間表現全体の少なくとも1つの基準表面積分の変化量と比較するステップを含む。
【0023】
本発明の一部の実施形態によると、基準熱空間表現は、身体部分と形状が類似している身体部分以外の基準身体部分を記述する。
【0024】
本発明の一部の実施形態によると、基準熱空間表現は身体部分の履歴データを含む。
【0025】
本発明の一部の実施形態によると、基準表面積分は、その中に熱的に区別可能な領域が全く無い、身体部分以外の基準身体部分に対応する。
【0026】
本発明の一部の実施形態によると、身体部分は女性の第1乳房であり、基準身体部分は女性の第2乳房である。
【0027】
本発明の一部の実施形態によると、身体部分は女性の第1乳房の一部であり、基準身体部分は女性の第2乳房の一部である。
【0028】
本発明の一部の実施形態によると、空間データは身体部分の近辺組織の表面を表すデータを含み、該方法は、身体部分の表面と近辺組織の表面との間の空間的境界を画定するステップを含む。
【0029】
本発明の一部の実施形態の態様では、身体部分の熱画像を解析するための装置を提供する。該装置は、熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し熱データに関連付けられる空間データを有する熱空間表現を受け取るための入力ユニットと、表面全体の熱データの表面積分を計算するための積分ユニットと、表面積分の値に関するレポートを発行するための出力ユニットとを備える。
【0030】
本発明の一部の実施形態の態様では、撮像および処理システムを提供する。該撮像および処理システムは、身体部分の熱空間表現を提供するように動作する熱空間撮像システムと、本明細書に記載する装置とを備える。
【0031】
本発明の一部の実施形態によると、装置はさらに、表面積分の値を使用して身体部分からの熱発散の量または率を計算するための熱計算器を備える。
【0032】
本発明の一部の実施形態によると、装置はさらに、表面積分の値を使用して表面全体の熱データの統計学的モーメントを計算するための統計学的モーメント計算器を備える。
【0033】
本発明の一部の実施形態によると、装置はさらに、表面を複数の薄切片にスライスするためのスライシングユニットを備え、表面積分は各薄切片に対し個別に計算される。
【0034】
本発明の一部の実施形態によると、空間データは身体部分の近辺組織の表面を表すデータを含み、装置は、身体部分の表面と近辺組織の表面との間の空間的境界を画定するための境界画定ユニットを備える。
【0035】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0036】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムを実行することは、選択されたタスクを、手動操作で、自動的にまたはそれらを組み合わせて実行または完了することを含んでいる。さらに、本発明の装置、方法および/またはシステムの実施形態の実際の機器や装置によって、いくつもの選択されたステップを、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、あるいはオペレーティングシステムを用いるそれらの組合せによって実行できる。
【0037】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施されることができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態により選択されたタスクは、コンピュータが適切なオペレーティングシステムを使って実行する複数のソフトウェアの命令のようなソフトウェアとして実施されることができる。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載される方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、データプロセッサ、例えば複数の命令を実行する計算プラットフォームで実行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令および/またはデータを格納するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを格納するための不揮発性記憶装置(例えば、磁気ハードディスク、および/または取り外し可能な記録媒体)を含む。任意選択的に、ネットワーク接続もさらに提供される。ディスプレイおよび/またはユーザ入力装置(例えば、キーボードまたはマウス)も、任意選択的にさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0039】
【図1A−B】図1A−Bは、本発明の一部の実施形態に係る熱空間表現の概略図である。
【図1C】図1Cは、本発明の一部の実施形態に係る熱空間表現の概略図である。
【0040】
【図2】図2は、本発明の一部の実施形態に係る身体部分の熱画像を解析するのに適した方法の流れ図である。
【0041】
【図3A】図3Aは、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性を決定する方法の一部の実施形態を示す部分流れ図である。
【図3B】図3Bは、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性を決定する方法の一部の実施形態を示す部分流れ図である。
【図3C】図3Cは、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性を決定する方法の一部の実施形態を示す部分流れ図である。
【0042】
【図4A−F】図4A−Fは、本発明の一部の実施形態に係るスライシング動作の概略図である。
【0043】
【図5】図5は、本発明の一部の実施形態に係る、身体部分の熱画像を解析するための装置の概略図である。
【0044】
【図6】図6は、本発明の一部の実施形態に係る撮像および処理システムの概略図である。
【0045】
【図7A】図7Aは、本発明の1つの例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図7B】図7Bは、本発明の別の例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図7C】図7Cは、本発明の別の例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図7D】図7Dは、本発明の別の例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図7E】図7Eは、本発明の別の例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図7F】図7Fは、本発明の別の例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図8A】図8Aは、本発明のさらなる例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図8B】図8Bは、本発明のさらなる例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図8C】図8Cは、本発明のさらなる例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図8D】図8Dは、本発明のさらなる例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【図8E】図8Eは、本発明のさらなる例示的実施形態に係る熱空間撮像システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、その一部の実施形態では熱画像に関し、さらに詳しくは熱画像の解析に関するが、それに限定されない。
【0047】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0048】
本発明の発明者らは、例えば画像が熱的に区別可能な領域の存在を示す可能性を決定する目的で、熱画像の解析を可能にする手法を考案した。熱画像が女性の乳房のような身体部分のものである場合、本実施形態の解析は、下にある組織の特性を抽出するために使用することができる。例えば、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性の決定は、身体部分が腫瘍のような病理を有するか否かを評価するために使用することができる。
【0049】
本発明の一部の実施形態に係る解析は、身体部分の表面から得られる表面情報に基づく。一般的に、表面情報は、本明細書でさらに後述する通り、表面積分を計算するために使用される。本発明の一部の実施形態では、表面積分は、熱的に区別可能な領域、例えば腫瘍または炎症が身体部分に存在する可能性に関係する。
【0050】
体温上昇は一般的に、腫瘍の代謝異常および腫瘍の位置またはその付近の血管の増殖(血管新生)のため、腫瘍に関連付けられる。癌性腫瘍では細胞が早く倍増し、したがってより活発であり、より多くの熱を発生する。これは腫瘍自体と周囲温度との間の温度差を増大させる傾向がある。本実施形態はしたがって癌の診断、特に、限定するわけではないが乳癌の診断に使用することができる。
【0051】
熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性の決定は表面積分の値に基づいており、2つ以上の方法で行うことができる。例えば表面積分の値を1つ以上の基準表面積分の値と比較することができ、あるいは表面積分の値を、身体部分からの熱発散の量または率の計算、標準偏差のような種々のモーメントの計算等のようなさらなる計算に使用することができる。表面積分を用いる種々の計算の代表例を本明細書で以下に提示する。
【0052】
解析に使用される表面情報は、熱情報のみならず空間情報をも含む。
【0053】
空間情報は、3次元ボリュームを少なくとも部分的に取り囲む非平面状表面の幾何学的特性に関するデータを含む。一般的に非平面状表面は、3次元空間に埋め込まれた2次元物体である。形式的には、非平面状表面は、平滑に連結されたコンパクトリーマン2次元多様体によって誘起される距離空間である。理想的には、非平面状表面の幾何学的特性が、例えば勾配および曲率(もしくは他の空間微分またはそれらの組合せ)が、非平面状表面の全ての点に対して明確に提供される。しかしながら、そのような情報にはめったに到達できず、空間情報は、リーマン2次元多様体上の1組の点でありかつ2次元多様体のトポロジーを記載するのに充分な非平面状表面の標本抽出バージョンに対してもたらされる。典型的には、非平面状表面の空間情報は3D空間表現の縮小バージョンであり、それはポイントクラウドまたはポイントクラウドに基づく3D再構成(例えば多角形メッシュまたは曲線メッシュ)のいずれかとすることができる。3D空間表現は、デカルト、球、楕円面、3D放物、または放物面3D座標系のような、しかしそれに限定されない3D座標系を介して表される。
【0054】
用語「表面」は本明細書では、用語「非平面状表面」の略語として使用される。
【0055】
空間データは、本発明の一部の実施形態では、画像の形を取ることができる。空間データは表面を表すので、そのような画像は典型的には、身体部位の横方向の広がりを示すことに加えてさらに、撮像装置の位置のような何らかの基準点からの身体部位の相対距離もしくは絶対距離またはそれらの一部分を示す、2次元画像である。したがって、画像は典型的に、必ずしもバルクにではなく、3次元体の非平面状表面に存在する情報を含む。それにもかかわらず、非平面状表面は3次元座標系上に画定することが便利であるので、そのような画像を「3次元画像」と呼ぶことが一般的に受け入れられている。したがって、本明細書全体を通して、かつその後に続く特許請求の範囲において、用語「3次元画像」および「3次元表現」は主として表面エンティティに関係する。
【0056】
熱情報は、表面から排出される熱または表面によって吸収される熱に関係するデータを含む。表面の異なる部分は通常は異なる量の熱を排出または吸収するので、熱情報は、各々が表面上の領域または点の座標および点または領域に関連付けられる熱的数値(例えば温度、熱エネルギ)を含む1組のタプルを含む。熱情報は可視信号に変換することができ、その場合、熱情報はサーモグラフィ画像の形を取る。用語「サーモグラフィ画像」および熱情報は、本発明の範囲をいかなる形であれ制限することなく、明細書全体を通して互換可能に使用される。特に、異なることを明記しない限り、用語「サーモグラフィ画像」の使用は、熱情報の可視信号への変換に限定されるとみなすべきものではない。例えば、サーモグラフィ画像は、上述した1組のタプルとしてコンピュータ可読媒体のメモリに格納することができる。
【0057】
身体の表面情報(熱および空間)は典型的には、熱画像を表す熱データおよび表面を表す空間データの両方を含む合成表現の形を取り、熱データは空間データに関連付けられる(すなわち空間データのタプルは熱データの熱関連値に関連付けられる)。そのような表現は熱空間表現と呼ばれる。熱空間表現はデジタルデータ(例えば熱的数量を記載するデジタルデータに関連付けられるタプルのリスト)の形、または画像(例えば熱データに応じてカラーコード化またはグレーレベルコード化された3次元画像)の形を取ることができる。画像の形の熱空間表現を以下、熱空間画像と呼ぶ。
【0058】
熱空間画像は身体の3D空間表現上に画定され、3D空間表現の表面に関連付けられかつ各々が格子上の強度値またはグレーレベルによって表される複数のピクチャエレメント(例えば画素または画素の配列)単位で表面全体に格子状に配列された熱データを有する。異なる強度値の数がグレーレベルの数とは異なることができることは理解される。例えば8ビットディスプレイは256の異なるグレーレベルを生成することができる。しかし、原則的に、熱情報に対応する異なる強度値の数はずっと大きくすることができる。代表例として、熱情報が37℃の範囲に及び、かつ0.1℃の分解能でデジタル化されると仮定する。この場合、370の異なる強度値が存在し、グレーレベルを使用すると精度が約1.4分の1に低下する。本発明の一部の実施形態では、熱データの処理は強度値を用いて実行され、本発明の一部の実施形態では、熱データの処理はグレーレベルを用いて実行される。(2重処理のような)2つの組合せも考えられる。
【0059】
用語「画素」は本明細書では時々、ピクチャエレメントを指す略語として用いられる。しかしこれは、画像の組成の単位を指す用語「ピクチャエレメント」の意味を限定することを意図するものではない。
【0060】
熱空間表現がデジタルデータの形を取る場合、熱的性質を記述するデジタルデータは、上述の通り、強度に関してまたはグレーレベルに関してどちらでも表現することもできる。デジタル熱空間表現は熱空間画像にも対応することができ、それによって各タプルは画像のピクチャエレメントに対応する。
【0061】
典型的には、1つ以上のサーモグラフィ画像が3D空間表現の表面上にマッピングされ、熱空間表現が形成される。3D空間表現の表面上にマッピングされるサーモグラフィ画像は、3D空間表現と同一座標系で表現される熱データを含むことが好ましい。任意のタイプの熱データを使用することができる。一実施形態では、熱データは絶対温度値を含み、別の実施形態では、熱データは、各々が例えば表面のそれぞれの点と何らかの基準点との間の温度差に対応する、相対温度値を含む。追加の実施形態では、熱データは局所的温度差を含む。また、上記タイプの温度データの組合せも考えられる。例えば熱データは、絶対温度値および相対温度値などの両方を含むことができる。
【0062】
典型的には、サーモグラフィ画像の情報は1つ以上の基準マーカにおける熱的状態(例えば温度)をも含むが、それは必須ではない。
【0063】
3D空間表現の表面へのサーモグラフィ画像のマッピングは、例えば基準マーカを配置することによって、(例えばサーモグラフィ画像におけるそれらの座標を3D空間表現におけるそれらの座標と比較することによって)行われ、それによって他の点もマッチングされ、したがって合成熱空間表現が形成される。
【0064】
任意選択的に、かつ好ましくは、サーモグラフィ画像のマッピングは、熱放射率を考慮する補正手順を伴う。
【0065】
身体部位の熱放射率は、身体部位の表面から放出される熱放射の量と、身体部位と同一温度を有する黒体から放出される熱放射の量との間の比として定義される無次元量である。したがって、理想化された黒体の熱放射率は1であり、他の全ての物体の熱放射率は0から1の間である。一般的に、物体の熱放射率はその熱吸収率に略等しいと想定される。
【0066】
補正手順は、関心物体の推定される熱的特性を用いて実行することができる。特に、サーモグラフィ画像は、身体の表面の領域の放射率の差を考慮に入れて、身体を記述する非平面状表面上にマッピングされる。周囲と比較して異なる放射率の値を持つ領域は、例えば瘢痕領域、着色領域、乳房の乳頭領域、母斑とすることができる。加えて、皮膚の色が異なる対象者の放射率値は異なり得る。
【0067】
本発明の一部の実施形態では、サーモグラフィ画像は、表面の異なる放射率値に従って加重される。例えば熱撮像装置によって取得した情報が温度値またはエネルギ値を含む場合、温度値またはエネルギ値の少なくとも一部分を、身体の表面のそれぞれの領域の放射率値によって割ることができる。当業者は、そのような手順の結果、熱撮像装置によって取得した値より高い有効な温度値またはエネルギ値が得られることを理解されるであろう。異なる領域は異なる放射率値によって特徴付けられるので、加重サーモグラフィ画像は、身体の表面から放出される熱に関してより優れた推定をもたらす。
【0068】
身体が女性の乳房を含む場合の合成熱空間画像の代表例を図1a〜図1cに示し、
非平面状表面として図示する3D空間表現(図1a)、平面等温線として図示するサーモグラフィ画像(図1b)、およびサーモグラフィ画像を3D空間表現の表面上にマッピングすることによって形成された合成熱空間画像(図1c)を示す。図示する通り、熱空間画像の熱データは、一般的に102に示す格子上にグレーレベル値として表現される。グレーレベル値による表現は例証を目的とするものであって、制限とみなすべきではないことを理解されたい。上で説明した通り、熱データの処理は強度値を用いて実行することもできる。また、図1a〜図1cには、任意選択的にマッピングのために使用することができるが必須ではない基準マーカ101も示される。
【0069】
3D空間表現、サーモグラフィ画像、および合成熱空間画像は、国際特許公開第WO2006/003658号、米国特許出願公開第20010046316号、および米国特許第6442419号、第6765607号、第6965690号、第6701081号、第6801257号、第6201541号、第6167151号、第6167151号、第6094198号、および第7292719号に開示されている技術のような、当業界で公知のいずれかの技術で得ることができる。
【0070】
本発明の一部の実施形態は、方法ステップを実行するためのコンピュータのような有形媒体上に具現することができる。本発明の一部の実施形態は、方法ステップを実行するためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータ可読媒体上に具現することができる。本発明の一部の実施形態はまた、有形媒体上のコンピュータプログラムを実行するように、またはコンピュータ可読媒体上の命令を実行するように構成されたデジタルコンピュータ能力を有する電子装置に具現することもできる。本実施形態の方法ステップを実現するコンピュータプログラムは通常、有形配布媒体でユーザに配布することができる。配布媒体から、コンピュータプログラムはハードディスクまたは同様の中間記憶媒体にコピーすることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータ命令をそれらの配布媒体またはそれらの中間記憶媒体のいずれかからコンピュータの実行メモリにロードし、本発明の方法に従って作動するようにコンピュータを構成することによって、実行することができる。これらの操作は全てコンピュータシステム技術の熟練者には周知である。
【0071】
図2は、本発明の一部の実施形態に係る、身体部分の熱画像を解析するのに適した方法の流れ図である。以下の説明または図2の流れ図に現れる幾つかの方法ステップは随意であって、実行しなくてもよいことを理解されたい。
【0072】
方法はステップ10で開始され、ステップ12に続き、そこで身体部分の熱空間表現が得られる。熱空間表現は、記載の通り、熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表す空間データを含み、熱データは空間データに関連付けられる。熱空間表現は当該方法によって生成することができ、あるいは熱空間表現を当該方法によってそこから読み出すことのできる別の方法またはシステムによって生成することができる。
【0073】
任意選択的に、方法はステップ14に続き、そこで熱空間表現のデータは前処理される。前処理は熱データ、空間データ、または空間データおよび熱データの両方に対して行うことができる。
【0074】
熱データの前処理は、制限することなく、累乗(例えば2乗)、正規化、エンハンシング、平滑化等を含むことができる。空間データの前処理は、モルフォロジ演算(例えばエロージョン、ディレーション、オープニング、クロージング)、リサイジング演算(拡張、縮小)、パディング演算、等化処理(例えば累積密度等化、ヒストグラム等化を介する)、およびエッジ検出(例えば勾配エッジ検出)のような、しかしそれらに限らない種々の処理演算を用いて、ピクチャエレメントを除去、交換、および補間することを、制限することなく、含むことができる。前処理動作の代表例は後で本明細書に提示する。
【0075】

【0076】

【0077】

【0078】
本発明の種々の例示的実施形態で、表面積分は身体部分のボリュームによって正規化される。このボリュームは熱空間表現の空間データから計算することができる。
【0079】

【0080】

【0081】
ひとたび表面積分が計算されると、方法は任意選択的にステップ18に続き、そこで熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性が、表面積分の値に基づいて決定される。熱的に区別可能な領域は、バルクにまたは身体部分の表面上に存在する3次元領域であり、その熱的性質によってその周囲組織から区別することができる。大まかに言うと、熱的に区別可能な領域は、その空間位置に基づいて予想されるより高いかあるいは低い温度を有する。例えば熱的に区別可能な領域は、その直近の周囲の温度より高いかあるいは低い温度を有することができる。それにもかかわらず、状況によっては、領域はその温度がその周囲組織の温度と同じである場合でも、熱的に区別することができるので、この要件は必ずしも当てはまらない。例えば、周囲組織の温度とは異なる温度を有することが予想される特定の領域について検討する。そのような領域の代表例は、正常な対象者ではその直近の周囲より低い温度を有する乳房の乳頭である。そのような特定の領域がその周囲組織と同一温度を有する場合、その温度が予想温度とは異なるため、熱的に区別可能な領域と宣言される。
【0082】
本発明の一部の実施形態では、熱的に区別可能な領域は、別の身体部分の同様の領域の温度と異なる温度を有する。例えば身体部分が女性の乳房である場合、一方の乳房における熱的に区別可能な領域は、別の乳房の同様の領域とは異なる温度を有することがあり得る。
【0083】
熱的に区別可能な領域の存在は、例えば熱的に区別可能な領域の位置における炎症、良性腫瘍、または悪性腫瘍の存在を示すことができる。
【0084】
方法はステップ20で終了する。
【0085】
熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性を決定する方法は複数存在する。ステップ18を実行するための一部の実施形態を図3a〜図3cに示す。
【0086】
一部の実施形態では、表面積分値が1つ以上の基準表面積分の値と比較され、該比較は、熱的に区別可能な領域の存在の可能性を決定するために使用される。典型的には、基準表面積分は熱的に区別可能な領域が存在しない状況を表すが、それは必須ではない。この実施形態を図3aに示す。
【0087】
図3aに示す通り、ステップ18は、表面積分の値を1つ以上の基準表面積分の値と比較するステップ22を含む。ステップ22から方法は決定ステップ24に続き、そこで方法は、表面積分値が基準表面積分の値より高いか否かを決定する。高い場合、方法はステップ26に続き、そこで方法は、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性が高いことを決定する。表面積分値が基準表面積分の値より高くない場合、方法はステップ28に続き、そこで方法は、熱的に区別可能な領域が存在する可能性が低いことを決定する。可能性は、計算された表面積分と基準表面積分との間の差または比に基づいて数量化する(例えば百分率で表す)こともできる。
【0088】
基準表面積分は一般的に、ライブラリから得ることができあるいは本実施形態の方法によって構成することのできる、基準熱空間表現に対応する。
【0089】
基準熱空間表現は、解析される身体部分以外の基準身体部分を記述することができる。例えば基準身体部分は、解析される身体部分と同様の形状の身体部分とすることができる。基準身体部分には熱的に区別可能な領域が欠如していることが好ましいが、必須ではない。身体部分が女性の乳房である場合、基準身体部分は同じ女性の他方の乳房とすることができる。
【0090】
本発明の一部の実施形態では、基準熱空間表現は身体部分の履歴データを含む。例えば特定の対象者の履歴データが彼または彼女の身体部分における熱的に区別可能な領域の存在を示していない場合、該データを基準として使用することができる。熱空間表現に履歴データを含めることは、該方法が実行される日付以前の日付の基準熱空間表現および/または計算された表面積分を記録することによって達成することができる。この実施形態はまた、疾患の経時的進展を監視するのにも役立てることができる。したがって、例えば表面積分の値が以前の日付のその値より高い場合、該方法は、熱的に区別可能な領域が成長したことを決定することができる。この実施形態はまた、治療の効果を監視するのにも役立てることができる。例えば、悪性腫瘍のある対象者を化学療法で治療するときに、治療の効果を評価するために異なる時期の表面積分の値を計算することができる。特に、腫瘍の大きさの減少は、結果的に表面積分の値の低下をもたらすことができる。
【0091】
本発明の一部の実施形態では、基準熱空間表現は医用生体工学を利用して得られる。例えば身体部分の形状はコンピュータプログラムを用いて設計することができ、コンピュータシミュレーションを実行して(例えば有限要素技術等を用いて)、基準として使用すべき閾表面積分を決定することができる。
【0092】
図3bは、方法ステップ18を実行するための別の実施形態を示す。この実施形態では、ステップ18は、表面全体の標準偏差のような、しかしそれに限らず、統計学的モーメントを計算するために表面積分の値を使用するステップ30を含む。ステップ30から方法はステップ32に続き、そこで統計学的モーメントは基準統計学的モーメントと比較される。基準統計学的モーメントは、上で詳述した通り、基準熱空間表現に対応する1つ以上の基準表面積分を使用して計算することができる。
【0093】
ステップ32から、方法は決定ステップ34に続き、そこで方法は、統計学的モーメントが基準統計学的モーメントより高いか否かを決定する。高い場合、方法はステップ36に続き、そこで方法は、身体部分に熱的に区別可能な領域が存在する可能性が高いことを決定する。統計学的モーメントが基準統計学的モーメントより高くない場合、方法はステップ38に続き、そこで方法は、熱的に区別可能な領域が存在する可能性が低いことを決定する。可能性は、統計学的モーメントと基準統計学的モーメントとの間の差または比に基づいて数量化する(例えば百分率で表す)こともできる。
【0094】
図3cは、方法ステップ18を実行するための別の実施形態を示す。この実施形態では、ステップ18は、上述の通り身体部分からの熱発散の量または率を計算するために表面積分の値を使用するステップ40を含む。ステップ40から方法はステップ42に続き、そこで熱発散の量または率は基準と比較される。基準は、上で詳述した通り、基準熱空間表現に対応する1つ以上の基準表面積分を用いて計算された基準熱発散とすることができる。例えば身体部分が女性の乳房である場合、基準は、他方の乳房の熱空間表現から計算される熱流束とすることができる。身体が定常熱状態である場合、両方の乳房の健康な組織の対流熱および代謝熱は、略同一であると推定することができ、一方の乳房の計算熱発散と他方の乳房の熱発散との間の比較は、腫瘍または炎症が乳房の一方に存在する可能性を決定するために使用することができる。特に、かなり高い量または率の熱を排出する乳房は、その中に腫瘍を有する可能性が高い。
【0095】
基準は、他の研究から引用した閾値とすることもできる。例えば健康な乳房組織の熱発生率は、癌性組織における約29000W/mと比較して、約450W/mであり、健康な乳房組織の血流速度は、約0.009ml/s/mlと比較して約0.00018ml/s/mlである。したがって、癌性組織の存在は結果的に熱の発生を上昇させ、血流による熱対流を上昇させる。健康な乳房と比較して乳房内の癌性領域の熱発生の変化を特徴付ける典型的な比率はCV/Cによって与えられ、ここでCは癌性領域の熱変化率であり、Cは健康な乳房組織の熱変化率であり、Vは癌性領域のボリュームであり、Vは乳房のボリュームである。0.5リットルの乳房に1cmの悪性腫瘍が存在する場合、この比は、熱発生を考慮した場合約10%であり、血流による熱対流を考慮した場合、約13%である。
【0096】
本明細書で使用する場合、用語「約」は±10%を指す。
【0097】
癌性組織と健康な組織との間のそのような相違は結果的に、健康な乳房と比較して癌性組織を有する乳房からの熱発散に検出可能な変化をもたらす。したがって、本発明の本実施形態では、基準熱流束は、典型的な健康な組織と典型的な癌性組織との間の相違を反映するように選択される予め定められた閾値である。そのような予め定められた閾値の代表例は1000W/m以上である。
【0098】
ステップ42から方法は決定ステップ44に続き、そこで方法は、熱流束が基準熱流束より高いか否かを決定する。高い場合、方法はステップ46に続き、そこで方法は、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在する可能性が高いことを決定する。熱流束が基準より高くない場合、方法はステップ48に続き、そこで方法は、熱的に区別可能な領域が存在する可能性が低いことを決定する。可能性は、熱流束と基準熱流束との間の差または比に基づいて数量化する(例えば百分率で表す)こともできる。
【0099】
上述の通り、表面積分の計算は前処理動作を先行させることができる。
【0100】
本発明の一部の実施形態では、前処理動作は身体部分の表面内の関心領域の画定を含む。これらの実施形態では、表面積分は関心領域に対して計算することができる。2つ以上の関心領域を画定することができ、その場合、表面積分は関心領域毎に別々に計算することが好ましい。関心領域は、例えば高温に関連付けられる表面の一部として画定することができる。そのような関心領域の代表例は、表面上の熱的に区別可能なスポットの周囲の領域である。図1cは、熱的に区別可能なスポット201を概略的に示す。スポット201を取り囲むグレー領域は関心領域と画定することができる。
【0101】
本発明の一部の実施形態では、前処理動作は、空間データによって記述される表面を複数の薄切片にスライスすることを含む。これらの実施形態では、表面積分はスライス毎に別々に計算することができる。スライス作業は希望に応じて法線方向(身体から離れる)、平行方向、またはアジマス方向に沿うことができる。身体部分が乳房である実施形態の場合の幾つかのスライス作業を図4a〜図4fに示す。図4a〜図4fに示すのは、法線方向に沿った2つの薄切片(図4a)、法線方向に沿った3つの薄切片(図4b)、身体に平行な面内の2つの薄切片(図4c〜図4d)、身体に平行な面内の4つの薄切片(図4e)、および身体に平行な面内の6つの薄切片(図4f)である。他のスライス作業を本発明の範囲から除外するものではない。
【0102】
スライス作業は2通り以上の仕方で使用することができる。本発明の一部の実施形態では、スライス作業とその後に続く表面積分の計算が繰返し反復され、各計算の結果は他の計算と比較される。そのような比較は、熱的に区別可能な領域の疑いがある薄切片を突き止めるのに役立つことができる。本発明の一部の実施形態では、異なる薄切片の間の表面積分の値の変化量が、必ずしも反復的にではなく、計算される。ひとたび変化量が計算されると、それらは上で詳述した通り、基準熱空間表現全体の1つ以上の基準表面積分の変化量と比較することができる。
【0103】
本発明の一部の実施形態では、前処理動作は、表面の1つ以上の空間的境界の画定を含む。例えば空間データが身体部分の近辺組織の表面を表すデータを含む場合、該方法の前処理動作は、身体部分の表面と近辺組織の表面との間に空間的境界を画定することを含むことができる。この実施形態では、近辺組織の表面は、表面積分の計算から除外することが好ましい。
【0104】

【0105】
任意選択的に、温度の累乗(例えばTまたはT)を計算し、被積分関数として使用することができる。温度またはその累乗は正規化することもできる。熱量出力表面密度の単位(単位時間当たり単位面積当たりのエネルギ)で被積分関数を提供するために、例えば温度の4乗に身体の放射率εおよびステファン‐ボルツマン定数σを乗算することができる。希望するならば、温度を身体部分のボリュームまたは表面の総面積によって正規化することもできる。
【0106】

【0107】
ここで図5を参照すると、それは、本発明の一部の実施形態に係る、身体部分の熱画像を解析するための装置50の概略図である。装置50はデータ処理装置またはコンピュータシステムに実現することができ、上述した方法ステップの1つ以上を実行するために使用することができる。装置50の種々の構成部品間のデータの流路が図5に矢印で示されている。
【0108】
装置50は、熱空間表現を受け取るための入力ユニット52と、上で詳述した通り、表面に対して熱データの表面積分を計算する積分ユニット54とを備える。本発明の一部の実施形態では、装置50は、上で詳述した通り、表面積分の値を使用して、身体部分からの熱発散の量または率を計算する熱量計算器56を備える。本発明の一部の実施形態では、装置50は、上で詳述した通り、標準偏差等のような熱データの統計学的モーメントを計算する統計学的モーメント計算器58を備える。
【0109】
本発明の一部の実施形態では、装置50は、表面を複数の薄切片にスライスするためのスライシングユニットを備える。これらの実施形態では、積分ユニット54は、上で詳述した通り、スライシングユニット60から薄切片を受け取り、各スライス毎に別々に表面積分を計算することが好ましい。
【0110】
本発明の一部の実施形態では、装置50は、身体部分の表面と近辺組織の表面との間に空間的境界を画定する、境界画定ユニット62を備える。これらの実施形態では、積分ユニット54は、ユニット62から薄切片を受け取り、表面積分の計算から近辺組織の表面を除外することが好ましい。
【0111】
装置50は、表面積分の値に関するレポートを発行する出力ユニット64を備えることが好ましい。任意選択的に、かつ好ましくは、装置50は、種々の構成部品(積分ユニット54、熱量計算器56、および/または統計学的モーメント計算器58)から得られた結果を解析する、解析ユニット66を備える。提示を明確にするために、解析ユニット66へのデータの流れは示されていない。解析ユニット66は解析の結果を出力ユニット64に提供し、それはレポートにおける解析の結果を含む。ユニット66によって実行される解析は、上で詳述した通り、熱的に区別可能な領域が身体部分に存在するという可能性の決定を含むことができる。
【0112】
ここで図6を参照すると、それは本発明の一部の実施形態に係る撮像および処理システム70の概略図である。システム70は身体部分の熱空間表現を提供する熱空間撮像システム72と、熱空間表現を解析するための解析装置74とを備える。解析装置74の原理および動作は、上述した装置50の原理および動作と同様である。本発明の一部の実施形態では、装置74は装置50である。
【0113】
以下の説明は、本発明の種々の例示的実施形態に係る、熱空間表現を得るための技術に関するものである。下述する技術は、上記の方法および装置のいずれによっても使用することができる。
【0114】
熱空間表現または画像は、1つ以上のサーモグラフィ画像を取得し、サーモグラフィ画像を3D空間表現上にマッピングすることによって生成し、得ることができる。
【0115】
ここで図7aを参照すると、それは、本発明の好適な実施形態に係る、熱空間撮像システム120の概略図である。図7aに示す通り、人間212の生体210またはその一部は、撮像装置214の前に位置付けられる。人間212は撮像装置214に対して立位、座位、または任意の他の適切な姿勢を取ることができる。人間212は、エンジンの力によってまたはいずれかの他の適切な力によって典型的にはレール上を移動するプラットフォームを含む位置決め装置215によって、撮像装置214に対して最初に位置決めされる、後で再位置決めされる。加えて、腫瘍のような熱的に区別可能な物体216が、人間212の身体210内に存在し得る。例えば身体210が乳房を含む場合、物体216は癌性腫瘍のような乳腺腫瘍であり得る。
【0116】
本発明の好適な実施形態では、人間212はシャツのような衣服218を着用しているかもしれない。好ましくは、衣服218は400〜700ナノメートルのような可視波長を透過不能であるかまたは部分的に透過可能であるかもしれず、赤外線波長のような可視波長より長い波長を透過可能であるかもしれない。加えて、基準マーク220を人間212の近くに、好ましくは人間212の身体上に直接、かつ身体210に近接して配置することができる。任意選択的に、かつ好ましくは、基準マーク220は身体210に直接取り付けられる。基準マーク220は典型的には、以下で記載するように、1片の材料、人間212に描かれるマーク、またはいずれかの他のマークを含むことができる。
【0117】
撮像装置214は典型的には、少なくとも可視波長を感知することのできる少なくとも1つの可視光撮像装置222と、赤外線波長、典型的には3〜5マイクロメートルおよび/または8〜12マイクロメートルの範囲の赤外波長に感応する少なくとも1つのサーモグラフィ撮像装置224とを備える。典型的に撮像装置222および224は上述した基準マーク220を感知することができる。
【0118】
任意選択的に、可視光撮像装置222の前に偏光器225を配置することができる。さらなる代替例として、可視波長の少なくとも一部分を遮断することのできるカラーフィルタ226を、可視光撮像装置222の前に配置することができる。
【0119】
典型的に、少なくとも1つの可視光撮像装置222は、白黒もしくはカラー静止撮像装置、またはCCDもしくはCMOSのようなデジタル撮像装置を含むことができる。加えて、少なくとも1つの可視光撮像装置222は複数の撮像素子を含むことができ、それらは各々3次元撮像素子とすることができる。
【0120】
任意選択的に、かつ好ましくは、撮像装置214は、位置決め装置227によって人間212に対して再配置することができる。さらなる代替例として、撮像装置222および224の各々も、少なくとも1つの位置決め装置228によって人間212に対して再配置することができる。位置決め装置227は、エンジン、レバー、またはいずれかの他の適切な力を含むことができ、また撮像装置214を移動させるためのレールを含むこともできる。好ましくは、再位置決め装置228は同様に構成することができる。
【0121】
可視光撮像装置222およびサーモグラフィ撮像装置224によって取得したデータは、通信ネットワーク232を介してデータ処理装置230に出力され、典型的にはデータ処理装置上で実行されるアルゴリズムによって解析され処理される。結果的に得られたデータは、好ましくは通信ネットワーク236を介してデータ処理装置230に接続された少なくとも1つのディスプレイ装置234に表示することができる。データ処理装置230は典型的にはPC、PDA、またはいずれかの他の適切なデータ処理装置を含む。通信ネットワーク232および236は典型的に、インターネットまたはイントラネットのような物理的通信ネットワークを含み、あるいは代替的に、セルラネットワーク、赤外線通信ネットワーク、無線周波数(RF)通信ネットワーク、ブルートゥース(BT)通信ネットワーク、またはいずれかの他の適切な通信ネットワークのようなワイヤレスネットワークを含むことができる。
【0122】
本発明の好適な実施形態では、ディスプレイ234は典型的には、LCDスクリーン、CRTスクリーン、またはプラズマスクリーンのようなスクリーンを含む。さらなる代替例として、ディスプレイ234は、ユーザの目の前に配置されかつ眼鏡と同様の構造にパッケージされた2つのLCDまたは2つのCRTを含む、少なくとも1つの可視化装置を備えることができる。好ましくは、ディスプレイ234は、表示されるモデルのX、Y、およびZ軸に沿って典型的に移動可能でありかつ表示されるデータ内の異なる位置または要素を指し示すために使用することのできる、ポインタ238をも表示する。
【0123】
ここで図7b〜図7fおよび図8a〜図8eを参照すると、それらは、本発明の種々の例示的実施形態に係る熱空間撮像システム120の種々の動作原理を示している。
【0124】
最初に図7b〜図7fを参照しながら可視光撮像について説明し、後で図8a〜図8eを参照しながらサーモグラフィ撮像について説明する。図7b〜図7fに描かれた可視光画像データ取得は、図8a〜図8eに描かれたサーモグラフィ画像データ取得の前、後、または同時に実行することができることは理解されるであろう。
【0125】
図7b〜fを参照すると、身体210を含む人間212は、撮像装置214の前の位置決め装置215上で、撮像装置に対して第1位置240に位置している。身体210の第1画像データは、任意選択的に偏光器225を介して、または代替的選択肢としてカラーフィルタ226を介して、可視光撮像装置222によって取得される。カラーフィルタを使用する利点は、信号対雑音比を改善できることである。例えば特定の色のパターンまたはマークが人間に照射されたときに、カラーフィルタは特定の色だけを透過させるために使用することができ、それによって背景読取が軽減される。加えて、身体210が撮像装置214に対して少なくとも第2位置242に配置されるように、身体210の少なくとも第2画像データが可視光撮像装置222によって取得される。したがって、第1、第2、および任意選択的にさらなる画像データが身体210に対する撮像装置の少なくとも2つの異なる視点から取得される。
【0126】
第2相対位置242は、図7bに示すように位置決め装置215を使用して人間212を再配置することによって、図7cに示すように位置決め装置227を使用して撮像装置214を再配置することによって、または図7dに示すように位置決め装置228を使用して撮像装置222を再配置することによって、構成することができる。さらなる代替例として、第2相対位置242は、図7eに示すように2つの別個の撮像装置214を使用することによって、または図7fに示すように2つの別個の可視光撮像装置222を使用することによって構成することができる。
【0127】
図8a〜図8eを参照すると、身体210を含む人間212が、撮像装置214の前の位置決め装置215上で、撮像装置に対して第1位置244に位置している。身体210の第1サーモグラフィ画像データは、サーモグラフィ撮像装置224によって取得される。任意選択的に、かつ好ましくは、身体210が撮像装置214に対して少なくとも第2位置242に配置されるように、身体210の少なくとも第2サーモグラフィ画像データをサーモグラフィ撮像装置224によって取得する。したがって、第1、第2、および任意選択的にさらなるサーモグラフィ画像データが、身体210に対するサーモグラフィ撮像装置の少なくとも2つの異なる視点から取得される。
【0128】
第2相対位置246は、図8aに示すように位置決め装置215を用いて人間212を再配置することによって、図8bに示すように位置決め装置227を用いて撮像装置214を再配置することによって、または図8cに示すように位置決め装置228を用いてサーモグラフィ撮像装置224を再配置することによって、構成することができる。さらなる代替例として、第2相対位置246は、図8dに示すように2つの別個の撮像装置214を使用することによって、または図8eに示すように2つの別個のサーモグラフィ撮像装置224を使用することによって、構成することができる。
【0129】
身体210の画像データは、身体210の完全な画像を構成する複数の細長い帯片を別々に撮像することによって、サーモグラフィ撮像装置224によって取得することができる。代替的に、身体210の完全な画像がサーモグラフィ撮像装置によって取得され、処理のために画像は複数の細長い帯片またはその他の形状の部分単位でサンプリングされる。さらなる代替例として、身体210の撮像は異なる露出時間を用いて実行される。
【0130】
撮像装置214から得られたサーモグラフィおよび可視光画像データは、次の通り、データ処理装置230によって解析しかつ処理することが好ましい。撮像装置222から取得された画像データはデータ処理装置230によって処理され、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように参照によって本明細書に援用する米国特許第6442419号に記載された方法のような、当業界で周知のアルゴリズムおよび方法を用いて身体210の3次元空間表現が形成される。3D空間表現は基準マーカ220の位置を含むことが好ましい(図1a参照)。任意選択的に、かつ好ましくは、3D空間表現は身体210の色、色相、および組織テクスチャに関連する情報を含む。撮像装置224から取得したサーモグラフィ画像データはデータ処理装置230によって処理され、米国特許第6442419号に記載された方法のような当業界で周知のアルゴリズムおよび方法を用いて、身体210のサーモグラフィ3次元モデルが作成される。サーモグラフィ3Dモデルは好ましくは基準マーカ220を含む(図1b参照)。サーモグラフィ3Dモデルは次いで、例えば基準マーカ220を位置合わせすることによって、処理装置230により3D空間表現上にマッピングされ、熱空間画像が形成される。
【0131】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0132】
本明細書で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0133】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0134】
数値範囲が本明細書で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0135】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0136】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0137】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部分の熱画像を解析する方法であって、
熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し前記熱データと関連付けられる空間データを有する熱空間表現を得るステップと、
前記表面全体の前記熱データの表面積分を計算するステップと、
前記表面積分の値に基づいて熱的に区別可能な領域が前記身体部分に存在する可能性を決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
身体部分における腫瘍の進展を監視する方法であって、
(a)各々が熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し前記熱データと関連付けられる空間データを有する、一連の熱空間表現を生成するステップと、
(b)各熱空間表現に対し、それぞれの表面全体にわたってそれぞれの熱データの表面積分を計算し、それによって一連の表面積分値をもたらすステップと、
(c)前記表面積分値の少なくとも2つを比較し、かつ腫瘍の大きさが変化しているか否かを評価するために前記比較を使用し、それによって腫瘍の進展を監視するステップと
を含む方法。
【請求項3】
腫瘍に破壊処置を適用するステップをさらに含み、前記比較が、腫瘍の大きさが安定しているかまたは縮小しているかを評価するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可能性の前記決定は、前記表面積分値を基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
身体部分からの熱発散の量または率を計算するために前記表面積分値を使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記可能性の前記決定は、前記熱発散の量または率を、基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値を使用して計算された熱発散の量または率と比較するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記表面全体の前記熱データの統計学的モーメントを計算するために前記表面積分値を使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記可能性の前記決定は、前記統計学的モーメントを基準熱空間表現に対応する少なくとも1つの基準表面積分の値を使用して計算された統計学的モーメントと比較するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記表面内の関心領域を画定するステップをさらに含み、前記関心領域全体で前記表面積分が計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面を複数の薄切片にスライスするステップをさらに含み、前記表面積分は各薄切片に対し個別に計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スライス作業および前記表面積分の前記計算を反復的に繰り返すステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記可能性の前記決定は、様々な薄切片の間の前記表面積分の値の変化量を計算するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記可能性の前記決定は、前記変化量を基準熱空間表現全体の少なくとも1つの基準表面積分の変化量と比較するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの基準熱空間表現は、身体部分と形状が類似している身体部分以外の基準身体部分を記述する、請求項4,6,8又は13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの基準熱空間表現は身体部分の履歴データを含む、請求項4,6,8又は13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記基準表面積分は、その中に熱的に区別可能な領域が全く無い、身体部分以外の基準身体部分に対応する、請求項4,6,8又は13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
身体部分は女性の第1乳房であり、前記基準身体部分は前記女性の第2乳房である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
身体部分は女性の第1乳房の一部であり、前記基準身体部分は前記女性の第2乳房の一部である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記空間データは身体部分の近辺組織の表面を表すデータを含み、方法は、身体部分の表面と前記近辺組織の前記表面との間の空間的境界を画定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
身体部分の熱画像を解析するための装置であって、
熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し前記熱データに関連付けられる空間データを有する熱空間表現を受け取るための入力ユニットと、
前記表面全体の前記熱データの表面積分を計算するための積分ユニットと、
前記表面積分の値に関するレポートを発行するための出力ユニットと
を備える装置。
【請求項21】
撮像および処理システムであって、
身体部分の熱空間表現を提供するように動作可能である熱空間撮像システムであって、前記熱空間表現が熱画像を表す熱データおよび身体部分の非平面状表面を表し前記熱データに関連付けられる空間データを有する熱空間撮像システムと、
請求項20に記載の装置と
を備えるシステム。
【請求項22】
装置は、前記表面積分の値を使用して身体部分からの熱発散の量または率を計算するための熱計算器をさらに備える、請求項20又は21に記載の装置又はシステム。
【請求項23】
装置は、前記表面積分の値を使用して前記表面全体の前記熱データの統計学的モーメントを計算するための統計学的モーメント計算器をさらに備える、請求項20又は21に記載の装置又はシステム。
【請求項24】
装置は、前記表面を複数の薄切片にスライスするためのスライシングユニットをさらに備え、前記表面積分は各薄切片に対し個別に計算される、請求項20又は21に記載の装置又はシステム。
【請求項25】
前記空間データは、身体部分の近辺組織の表面を表すデータを含み、装置は、身体部分の表面と前記近辺組織の前記表面との間の空間的境界を画定するための境界画定ユニットを備える、請求項20又は21に記載の装置又はシステム。


【図1A−B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A−F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公表番号】特表2011−508243(P2011−508243A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541137(P2010−541137)
【出願日】平成20年12月28日(2008.12.28)
【国際出願番号】PCT/IL2008/001685
【国際公開番号】WO2009/083974
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510000909)リアル イメージング リミテッド (3)
【Fターム(参考)】