説明

熱画像化システム

【課題】新規の多色熱画像化システムの提供。
【解決手段】多色熱画像化方法で、(a)第1画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドを用いて、第1画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーが第1画像形成層に付与される間隔を制御することによって、熱画像化部材の表面から、第1画像形成層を独立してアドレス指定する工程であり、第1画像形成層が少なくとも2つの異なる画像形成層を含む工程;(b)第2画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドを用いて、第2画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーが第2画像形成層に付与される間隔を制御することによって、画像化部材の同じ表面から、熱画像化部材の第2画像形成層を独立してアドレス指定する工程を包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2001年5月30日出願の先行の仮出願番号60/294,486、および2002年3月13日出願の先行の仮出願番号60/364,198の権利を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に熱画像化システムに関し、より特定には、多色熱画像化システムに関し、ここで、熱画像化部材の少なくとも2つの画像形成層は、この熱画像化部材の同一の表面から単一のサーマルプリントヘッドまたは複数のプリントヘッドによって、少なくとも部分的に独立してアドレスされる(address)。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
色熱画像化のための慣用的な方法(例えば、熱ワックス転写プリントおよび色素拡散熱転写)は、典型的には別々のドナー材料およびレシーバ材料の使用に関する。このドナー材料は、典型的には基材の表面上に被覆された有色画像形成材料または色形成画像化材料を有し、そしてこの画像形成材料または色形成画像化材料は、レシーバ材料に熱性に転写される。多色画像を作製するために、異なる有色材料または異なる色形成材料の連続パッチを備えるドナー材料が使用され得る。交換可能なカセットまたは1つより多いサーマルヘッドのいずれかを有するプリンタの場合、異なる単色ドナーリボンが使用され、そして多色分離がなされ互いの上に連続して置かれる。複数の異なる色パッチを備えるドナー部材の使用または複数のドナー部材の使用は、このようなプリントシステムの複雑さおよび費用を増加させる。本明細書中に具体化される多色画像化試薬システム全体を有する単一シートの画像化部材を有することは、より単純である。
【0004】
多色の直接熱プリントを達成するための多くの企みが、先行技術中に記載されている。例えば、公知の2色の直接熱システムが存在する。これは、第1の色の形成が第2の色の形成によって影響される。米国特許第3,895,173号は、2つのロイコ色素システム(これらのうちの一方は、他方より高い活性化温度を必要とする)を含む二色性の熱記録紙を記載する。より高い温度のロイコ色素システムは、より低い温度のロイコ色素システムを活性化することなしには活性化され得ない。透明基材の対向表面上に被覆された2つの色形成層を有する画像化部材を使用する公知の直接熱画像化システムが存在する。この画像化部材は、この画像化部材の各々の面から複数のプリントヘッドによって独立してアドレスされる。この型の熱画像化システムは、米国特許第4,956,251号に記載される。
【0005】
色素転写画像化および直接熱画像化の組合せを利用する熱システムもまた、公知である。この型のシステムにおいて、ドナーエレメントおよびレシーバエレメントは、互いに接触される。このレシーバエレメントは、このドナーエレメントから転写される色素を受容し得、そしてまた直接熱色形成層を含む。このドナーエレメントからこのレシーバエレメントへ色素が転写される間のサーマルプリントヘッドによる第1の通過後、このドナーエレメントは、このレシーバから分離され、このレシーバエレメントは、この直接熱画像化材料を活性化するためにプリントヘッドによって第2の時間画像化される。熱システムのこの型は、米国特許第4,328,977号に記載される、米国特許第5,284,816号は、一方の面上に直接熱色形成層を有する基材を含み他方の面上に色素転写のためのレシーバエレメントを含む熱画像化部材を記載する。
【0006】
異なる色を形成する直接熱色形成組成物を含む空間的に別々の領域を有する画像化部材を使用する熱画像化システムもまた、公知である。米国特許第5,618,063号および同第5,644,352号は、基材の異なる領域が2つの異なる色を形成するための調合物で被覆されている熱画像化システムを記載する。同様の二色性材料は、米国特許第4,627,641号に記載される。
【0007】
別の公知の熱画像化システムは、ロイコ色素を含有する直接熱システムであり、ここで、その情報は、画像化材料をある温度で活性化することによって作製されそして異なる温度にその材料を加熱することによって消去される。米国特許第5,663,115号は、結晶から非結晶相(すなわち、ガラス)への転移が可逆色形成を得るために利用されるシステムを記載する。ステロイド性の顕色剤の融点に画像化部材を加熱することによって、有色非結晶相の形成が生じるが、この材料の結晶融点より低い温度にこの有色非結晶相を加熱することによって、顕色剤の再結晶化および画像の消去が生じる。
【0008】
1つの脱色可能なロイコ色素含有色形成層および異なる色を形成し得る第2のロイコ色素含有層を含有する熱システムもまた公知である。第1の色形成層は低温でカラー化するが、第2の相は、高温(これは、第1の層の脱色もまた生じる温度である)でカラー化する。このようなシステムにおいて、一方の色または他方の色のいずれかが、特定の点でアドレスされ得る。米国特許第4,020,232号は、ロイコ色素/塩基機構による一方の色の形成およびロイコ色素/酸機構による他方の色の形成を開示し、ここで、一方の機構によって形成される色は他方を形成するために使用される試薬によって中和される。この型のシステムの改変が、米国特許第4,620,204号;同第5,710,094号;同第5,876,898号および同第5,885,926号に記載される。
【0009】
直接熱画像化システムが公知であり、ここで、1つより多い層が独立してアドレスされ得、そして最も高感度である色形成層が他の色形成層に重ねられる。フィルムベースから最も外側の層での画像の形成後、この層は、他方の、低感度の色形成層での画像の形成に前に光に曝露されることによって脱活性化される。この型のシステムは、米国特許第4,250,511号;同第4,734,704号;同第4,833,488号;同第4,840,933号;同第4,965,166号;同第5,055,373号;同第5,729,274号および同第5,916,680号に記載される。
【0010】
新たな性能要求を満たし得る新たな熱画像化システムを提供するために、そして公知のシステムの所望されない要求のいくつかを低減または除去するために、熱画像化の分野の状況は進歩し、そして努力がなされているので、多色熱画像化システムを有することは有利であり、ここで、単一の画像化部材の少なくとも2つの異なる画像形成層は、同一表面から、単一のサーマルプリントヘッドまたは複数のサーマルプリントヘッドに少なくとも部分的に独立してアドレスされ得、その結果、各々の色は、単独でプリントされても他の色(1つまたは複数)とともに選択可能な割合でプリントされてもよい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
従って、単一のサーマルプリントヘッドまたは複数のサーマルプリントヘッドで少なくとも部分的に独立して、画像化部材の同一表面からこの画像部材の少なくとも2つの異なる画像形成層に、アドレスすることを可能にする多色熱画像化システムを提供することが、本発明の目的である。
【0012】
本発明の別の目的は、このような多色熱画像化システムを提供することであり、ここで
、各々の色は、単独でプリントされても他の色(1つまたは複数)とともに選択可能な割合でプリントされてもよい。
【0013】
本発明のなお別の目的は、多色熱画像化システムを提供することであり、ここで、画像化部材の少なくとも2つの異なる画像形成層が、各層に適用される温度および各層がこのような温度に供される時間を制御することによって少なくとも部分的に独立してアドレスされる。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、多色熱画像化システムを提供することであり、ここで、画像化部材の少なくとも2つの異なる画像形成層は、この画像化部材の同一表面からの1つのサーマルプリントヘッドまたは複数のサーマルプリントヘッドで、少なくとも部分的に独立してアドレスされ、そして1つ以上の画像形成層は、この画像化部材の対向表面からの1つのサーマルプリントヘッドまたは複数のサーマルプリントヘッドでアドレスされる。
【0015】
本発明のさらなる目的は、多色熱画像化システムを提供することであり、ここで、画像化部材の少なくとも2つの異なる画像形成層は、サーマルプリントヘッドの単一の通路で少なくとも部分的に独立してアドレスされる。
【0016】
本発明の別の目的は、多色熱画像化システムを提供することであり、このシステムは、このシステムが使用される特定の適用のために十分な色分離を有する画像を提供し得る。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、新規の熱画像化部材を提供することである。
【0018】
これらおよび他の目的ならびにこれらおよび他の利点は、多色熱画像化システムを提供することによって本発明に従って達成され、ここで、熱画像化部材の少なくとも2つ、好ましくは、3つの画像形成層は、単一のサーマルプリントヘッドまたは複数のサーマルプリントヘッドによってこの画像化部材の同一表面上から少なくとも部分的に独立してアドレスされ得る。本発明の有利な熱画像化システムは、2つの調整可能なパラメータ(すなわち、温度および時間)を使用して、熱画像化部材の複数の画像形成層に少なくとも部分的に独立してアドレスすることに基づく。これらのパラメータは、サーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーがこの画像形成層の各々に適用される時間を選択することによって、任意の特定の事例において所望の結果を得るために、本発明に従って調整される。本発明に従って、多色画像化部材の各々の色は、単独でプリントされても他の色(1つまたは複数)とともに選択可能な割合でプリントされてもよい。よって、詳細に記載されるように、本発明に従って、温度−時間変域は、最終プリントにおいて合わされることが所望される異なる色に対応する領域に分けられる。
【0019】
熱画像化部材の画像形成層は、この画像化部材における所望の画像を提供するために色変化を受ける。色変化は、無色から有色、または有色から無色またはある色から別の色であり得る。本出願(特許請求の範囲を含む)を通じて使用される場合、用語「画像形成層」は、このような実施形態の全てを含む。色変化が無色から有色である場合、その色の異なるレベルの光学密度(すなわち、異なる「グレーレベル」)を有する画像は、その画像の各ピクセルにおける色の量を実質的に無色である最低密度(Dmin)から色の最大量を形成する最大密度(Dmax)まで変化させることによって得られ得る。色変化が有色から無色である場合、所定のピクセルにおける色の量をDmaxからDminに減少させることによって異なるグレーレベルが得られる。ここで理想的なDminは、実質的に無色である。この場合、画層の形成は、有色からほとんど色のない(必要ではないが)無色の状態に所定のピクセルを変換することを包含する。
【0020】
多くの技術を使用して、本発明に従って時間変数および温度変数を利用することによって与えられる有利な結果を達成し得る。これらの技術としては、包埋層での熱拡散、化学的拡散、またはタイミング層、融解転移および化学的閾値と合わせた溶解が挙げられる。これらの技術の各々は、所望の色の各々が形成される画像化部材の領域を調整するために単独で使用されても他と組合わせて使用されてもよい。
【0021】
好ましい実施形態では、熱画像化部材は、基材の同じ表面上に保有される2つ(好ましくは3つ)の異なる画像形成層を備える。別の好ましい実施形態では、熱画像化部材は、基材の1つの表面によって保有される画像形成材料の層、およびその基材の反対側表面によって保有される画像形成材料の層を備える。本発明の画像化システムによれば、画像化部材の画像形成層は、画像化部材の同じ表面と接触した単一のサーマルプリントヘッドまたは複数のプリントヘッドによって、少なくとも部分的に独立してアドレスされ得る。好ましい実施形態では、1つまたは2つのサーマルプリントヘッドを利用して、画像化部材の1つから少なくとも部分的に独立して、基材の1つの表面に保有される2つの異なる画像形成層がアドレスされ得、そして別のサーマルプリントヘッドを利用して、その画像化部材の反対側表面から少なくとも部分的に独立して、この基材の反対側の表面に保有される1以上の画像形成層がアドレスされ得る。この画像化部材の反対側表面と接触するサーマルプリントヘッドは、画像化部材の任意の別個の領域がそれぞれのサーマルプリントヘッドと接触する時間の間に遅延が存在するように、互いに正反対に配置され得るか、または互いに並置され得る。
【0022】
別の好ましい実施形態では、1つのサーマルプリントヘッドを用いて、1回の通過で、画像化部材の2以上の画像形成層を少なくとも部分的に独立してアドレスし得、そして必要に応じて、第2のサーマルプリントヘッドを用いて、第1のサーマルプリントヘッドとともにまたはそれに続いてのいずれかで1以上の画像形成層をアドレスし得る。
よって、本発明によって以下が提供される:
(1) 多色熱画像化方法であって、以下:
(a)第1の画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドを用いて、該第1の画像形成層中に画像を形成するように構成された該サーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーが該第1の画像形成層に付与される時間間隔を制御することによって、熱画像化部材の表面から、該熱画像化部材の該第1の画像形成層を少なくとも独立してアドレスする工程であって、該第1の画像形成層が、少なくとも2つの異なる画像形成層を含む、工程;
(b)第2の画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドを用いて、該第2の画像形成層中に画像を形成するように構成された該サーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーが該第2の画像形成層に付与される時間間隔を制御することによって、該画像化部材の同じ表面から、該熱画像化部材の該第2の画像形成層を少なくとも独立してアドレスする、工程、
を包含する、方法。
(2) 前記第1および第2の画像形成層が、同じサーマルプリントヘッドによってアドレスさ
れる、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(3) 前記第1および第2の画像形成層が、異なるサーマルプリントヘッドによってアドレス
される、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(4) 前記第1および第2の画像形成層が、実質的に独立してアドレスされる、項目1に記
載の多色熱画像化方法。
(5) 前記第1および第2の画像形成層が、独立してアドレスされる、項目1に記載の多色
熱画像化方法。
(6) 前記第1および第2の画像形成層が、プリントヘッドの1回の通過で、同じサーマルプ
リントヘッドによりアドレスされる、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(7) 前記熱画像化部材が、第1および第2の対向する表面を有する基材をさらに備え、そし
て前記第1および第2の画像形成層が、該基材の同じ表面により保持される、項目1に
記載の多色熱画像化方法。
(8) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記熱画像化部材が、第1および第2の
対向する表面を有する基材をさらに備え、そして前記画像形成層の少なくとも1つが、該基材の該第1の表面により保持され、そして該画像形成層の少なくとも別の層が、該基材の該第2の表面により保持される、方法。
(9) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記熱画像化部材が、第3の異なる画像
形成層を備え、そして以下:
(c)該第3の画像形成層中に画像を形成するように構成されたサーマルプリントヘッドを用いて、該第3の画像形成層中に画像を形成するように構成された該サーマルプリントヘッドの温度、および熱エネルギーが該第3の画像形成層に付与される時間間隔を制御することによって、該第3の画像形成層を少なくとも部分的に独立してアドレスする、工程、をさらに包含する、方法。
(10) 項目9に記載の多色熱画像化方法であって、前記画像化部材が、第1および第2の対
向する表面を有する基材をさらに備え、そして前記第1および第2の画像形成層が、該基材の該第1の表面により保持され、そして前記第3の画像形成層が、該基材の該第2の表面により保持される、方法。
(11) 項目10に記載の多色熱画像化方法であって、前記第1および第2の画像形成層が、
少なくとも第1のサーマルプリントヘッドによって、前記画像化部材の同じ表面からアドレスされ、そして前記第3の画像形成層が、少なくとも第2のサーマルプリントヘッドによって、該画像化部材の反対の表面からアドレスされる、方法。
(12) 前記画像化部材が、基材をさらに備え、そして前記第1、第2および第3の画像形成層
が、該基材の同じ表面により保持される、項目9に記載の多色熱画像化方法。
(13) 前記第1、第2および第3の画像形成層が、前記プリントヘッドの一回の通過で同じサ
ーマルプリントヘッドによりアドレスされる、項目12に記載の多色熱画像化方法。
(14) 項目13に記載の多色熱画像化方法であって、前記第3の画像形成層の活性化温度が
、前記第2の画像形成層の活性化温度よりも高く、そして該第2の画像形成層の活性化温度が、該第1の画像形成層の活性化温度よりも高い、方法。
(15) 前記第1および第2の画像形成層のうち少なくとも1つが、顕色剤と組み合わせてロイ
コ色素を含む、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(16) 前記画像形成層の少なくとも1つが、分子内に色を形成する化合物を含む、項目1に
記載の多色熱画像化方法。
(17) 熱エネルギーが、約50℃〜約450℃の温度で、約0.01〜約100ミリ秒の間、
前記画像形成層に付与される、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(18) 前記画像形成層の少なくとも1つが、熱溶媒をさらに含む、項目1に記載の多色熱画
像化方法。
(19) 複数の前記画像形成層の各々が熱溶媒を含み、そして各熱溶媒が異なる融点を有する、
項目18に記載の多色熱画像化方法。
(20) 前記画像形成層の少なくとも1つが最初に実質的に無色であり、そして有色画像がその
中に形成される、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(21) 前記画像形成層の少なくとも1つが、最初に着色しており、そしてよりうすい色の画像
がその中に形成される、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(22) 前記画像形成層の少なくとも1つが最初に第1の色であり、そして第2の色の画像がそ
の中に形成される、項目1に記載の多色熱画像化方法。
(23) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記各画像形成層に付与される前記熱エ
ネルギーが、該画像形成層中に画像を形成するように構成された前記プリントヘッドの少なくとも1つの加熱要素に、該加熱要素と熱的接触した該画像形成層の領域中に画像のピクセルを形成するための時間間隔の間、1つ以上の電流パルスを供給することによって制御される、方法。
(24) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記第1の画像形成層中に画像を形成す
るように構成される前記プリントヘッドの少なくとも1つにより該第1の画像形成層に付与される前記熱エネルギーが、該第1の画像形成層中に画像を形成する場合に、該プリントヘッドの少なくとも1つに付与される第1の電圧により制御され、そして前記第2の画像形成層中に画像を形成するように構成された前記プリントヘッドの少なくとも1つにより該第2の画像形成層に印加される前記熱エネルギーが、該第2の画像形成層中に画像を形成する場合に、該プリントヘッドの少なくとも1つによって印加される第2の電圧により制御され、該第1および第2の電圧が、異なる、方法。
(25) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記第1画像形成層中に画像を形成する
ように構成される前記プリントヘッドの少なくとも1つによって該第1の画像形成層に付与される熱エネルギーが、該第1の画像形成層中に画像を形成する場合、該プリントヘッドの少なくとも1つに印加される第1の電圧により制御され、そして前記第2の画像形成層中に画像を形成するように構成された前記プリントヘッドの少なくとも1つにより該第2の画像形成層に付与される前記熱エネルギーが、該第2の画像形成層中に画像を形成する場合に、該プリントヘッドの少なくとも1つによって印加される第2の電圧により制御され、該第1および第2の電圧が、実質的に同じである、方法。
(26) 項目1に記載の多色熱画像化方法であって、前記画像形成層の少なくとも1つに付与
される前記熱エネルギーが、以下:
該画像形成層中に画像を形成するように構成された前記サーマルプリントヘッドの加熱要素と熱的接触した該画像形成層の領域中に、1ピクセルの画像を形成するための時間間隔を、複数の時間的部分間隔に分けること;および
該複数の時間的部分間隔から選択された一群の時間的部分間隔の各々の間に、単一の電流パルスを付与することによって、該加熱要素を活性化すること、
によって制御され、
ここで、該電流パルスが付与される間の該時間的部分間隔の持続時間の割合が、約1%と100%との間の値である、方法。
(27) 項目26に記載の多色画像化方法であって、さらに以下の工程:
前記サーマルプリントヘッドの加熱要素と熱的接触した該画像形成層の領域中に、1ピクセルの画像を形成するための時間間隔を、第1および第2の時間間隔に分ける工程であって、該第1の時間間隔が、該第2の時間間隔より短い、工程、を包含し、
ここで、前記電流パルスが付与される間の該時間的部分間隔の持続時間の前記割合が、該第1の時間間隔の間、実質的に一定の値p1に固定され、そして該第2の時間間隔の間、実質的に一定の値p2に固定され、ここでp1>p2である、方法。
(28) 前記第2の時間間隔が、前記第1の時間間隔の少なくとも2倍の長さである、項目2
7に記載の多色熱画像化方法。
(29) p1が、p2の少なくとも2倍よりも大きい、項目27に記載の多色熱画像化方法。
(30) 項目26に記載の多色熱画像化方法であって、さらに以下の工程:
前記サーマルプリントヘッドの加熱要素と熱的接触した該画像形成層の領域中に、1ピクセルの画像を形成するための時間間隔を、第1、第2および第3の時間間隔に分ける工程であって、該第1の時間間隔が、該第2の時間間隔より短かく、該第2の時間間隔が、該第3の時間間隔より短い、工程、を包含し、
ここで、前記電流パルスが印加される間の該時間的部分間隔の持続時間の前記割合が、該第1の時間間隔の間、実質的に一定の値p1に固定され、該第2の時間間隔の間、実質的に一定の値p2に固定され、そして該第3の時間間隔の間、実質的に一定の値p3に固定され、ここでp1>p2>p3である、方法。
(31) 前記プリントヘッドに印加される電圧が、実質的に一定の値に維持される、項目26
〜30のいずれか1項に記載の多色熱画像化方法。
(32) 前記複数の部分間隔の各時間的部分間隔が、実質的に等しい持続時間である、項目2
6〜30のいずれか1項に記載の多色熱画像化方法。
(33) 項目26〜30のいずれか1項に記載の多色熱画像化方法であって、前記複数の部分
間隔の各時間的部分間隔が、実質的に等しい持続時間であり、そして前記プリントヘッドに印加される電圧が、実質的に一定の値に維持される、方法。
(34) 前記第2の画像形成層の活性化温度が、前記第1の画像形成層の活性化温度より高い、
項目1に記載の多色熱画像化方法。
(35) 熱画像化部材であって、以下:
(a)第1および第2の対向する表面を有する基材;
(b)該基材の該第1の表面により保持される第1および第2の画像形成層であって、該第1の画像形成層が、該第2の画像形成層よりも、該基材の該第1の表面により近く、該第1の画像形成層が、該第2の画像形成層よりも低い活性化温度を有する、第1および第2の画像形成層;ならびに
(c)該第1の画像形成層と該第2の画像形成層との間に配置される、第1の中間層、を含む、部材。
(36) 前記中間層が、不活性材料を含む、項目35に記載の熱画像化部材。
(37) 前記中間層が、熱を付与された際に相転移を受ける材料を含む、項目35に記載の熱
画像化部材。
(38) 前記第1および第2の画像形成層の各々が、約0.5〜約4.0μmの厚みを有する、
項目35に記載の熱画像化部材。
(39) 前記第1および第2の画像形成層の少なくとも1つが、約2μmの厚みを有す
る、請求
項35に記載の熱画像化部材。
(40) 前記第1の中間層が、約1〜約40μmの厚みを有する、項目35に記載の熱画像化
部材。
(41) 前記第1の中間層が、約14〜約25μmの厚みを有する、項目35に記載の熱画像
化部材。
(42) 項目35に記載の熱画像化部材であって、さらに以下:
(a)前記基材の前記第1の表面によって保持される第3の画像形成層であって、該第3の画像形成層が、該第2の画像形成層よりも、該基材の第1の表面から離れており、そして該第2の画像形成層よりも高い活性化温度を有する、第3の画像形成層;および
(b)該第2の画像形成層と該第3の画像形成層との間に配置される第2の中間層、を含む、部材。
(43) 前記第2の中間層が、前記第1の中間層より薄い、項目42に記載の熱画像化部材。
(44) 項目42に記載の熱画像化部材であって、前記第1の画像形成層が、約0.5〜約4
μmの厚みを有し、そしてロイコ色素および顕色剤材料を含み、該ロイコ色素および顕色剤材料の各々が、約90℃〜約140℃の融点を有し、前記第2の画像形成層が、約0.5〜約4μmの厚みを有し、そしてロイコ色素および顕色剤を含み、該ロイコ色素および顕色剤の各々が、約150℃〜約250℃の融点を有し、前記第3の画像形成層が、約0.5〜約4μmの厚みを有し、そして少なくとも150℃の融点を有するロイコ色素および少なくとも250℃の融点を有する顕色剤を含む、部材。
(45) 項目42に記載の熱画像化部材であって、前記第1の画像形成層が、約0.5〜約4
μmの厚みを有し、そしてロイコ色素および顕色剤材料を含み、該ロイコ色素および顕色剤材料の各々が、約90℃〜約140℃の融点を有し、前記第2の画像形成層が、約0.5〜約4μmの厚みを有し、そしてロイコ色素および顕色剤を含み、該ロイコ色素および顕色剤の各々が、約150℃〜約250℃の融点を有し、前記第3の画像形成層が、約0.5〜約4μmの厚みを有し、そして約0.1〜約2ミリ秒で、少なくとも300℃の温度にて、分子内に色を形成する化合物を含む、部材。
(46) トップコート層およびバックコート層をさらに含む、項目35に記載の熱画像化部材

(47) 項目46に記載の熱画像化部材であって、以下:
(c)前記基材の前記第2の表面によって保持される第3の画像形成層、をさらに含む、部材。
(48) 項目47に記載の熱画像化部材であって、前記基材が、透明であり、そして該基材の
前記第2の表面から離れた前記第3の画像形成層の表面に隣接する反射層をさらに含む、部材。
(49) 前記基材の厚みが、約20μm未満である、項目35に記載の熱画像化部材。(50)前記基材が、約5μmの厚みを有する、項目35に記載の熱画像化部材。
(51) 第1の画像形成層、第1のタイミング層、固定材料の層、第2のタイミング層および第
2の画像形成層を、連続して含む、熱画像化部材。
(52) 項目51に記載の熱画像化部材であって、前記第1の画像形成層が、融点Tを有す
る酸性顕色剤材料の層と組み合わせた第1のロイコ色素の層を含み、前記第2の画像形成
層が、融点Tを有する酸性顕色剤材料の層と組み合わせた第2のロイコ色素の層を含み、前記固定材料が、融点Tを有し、そしてT<T、かつT<TおよびT<Tである、部材
(53) 前記第1のタイミング層が、前記第2のタイミング層より薄い、項目52に記載の熱
画像化部材。
(54) 項目52に記載の熱画像化部材であって、融点T10を有する酸性顕色剤材料の層と
組み合わせた第3のロイコ色素の層を含む第3の画像形成層をさらに含み、T10>TおよびT10>Tである、部材。
(55) 前記第1のタイミング層が、前記第2のタイミング層より薄い、項目54に記載の熱
画像化部材。
(56) 脱色剤材料の第1の層、第1の画像形成層、第1のタイミング層、固定材料の層、第2
のタイミング層、第2の画像形成層および脱色剤材料の第2の層を、連続して含む、熱画像化部材。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(好ましい実施形態の説明)
上記で言及したように、本発明の多色熱画像化システムによれば、各色が単独でまたは他の色との選択可能な比率で印刷され得るように、多色熱画像化部材の2以上の画像形成層が、画像化部材の同じ表面から少なくとも部分的に独立してアドレスされ、そしてこれらの結果は、2つの調整可能なパラメーター(すなわち、温度および時間)に基づいて色を選択することによって達成される。温度−時間のドメインは、組み合わされることが所望される異なる色に対応する領域に分割される。
【0024】

本発明による多色直接熱印刷に適用される場合、色を独立して制御するという概念を当業者がよりよく理解する助けとするためには、最初に、先行技術、すなわち、白色反射基材上に2つの色形成層を含む熱画像化部材を含む熱画像化システムを考慮することが有用である。検討のために、一方の層は、シアン色形成層であり、そして他方は、マゼンタ色形成層であり、さらに、このシアン層は、マゼンタ層の温度閾値よりも高い温度閾値を有するであると仮定する。そうすると、固定長の熱パルスがこの画像化部材上の別個のドットまたは領域に適用されると、色がパルスの大きさに依存して形成される。徐々に大きくなるパルスを与えると、画像形成層において熱パルスの位置で徐々にピーク温度が上昇する。元々白色の媒体は、着色のためのマゼンタ閾値温度を超えると徐々によりマゼンタ色となり、次いで着色温度であるシアン閾値温度を超えると徐々により青色(すなわち、マゼンタ+シアン)になる。この色の推移は、図1に図示した2次元色図によって表すことができる。
【0025】
曲線経路によって示されるように、色は、マゼンタ層における閾値温度を超えた場合、最初にマゼンタ方向に移動し、次いでシアン層における閾値温度を超えた場合、シアン方向に、すなわち、青色に向かって移動する。色経路の各ドットは、それを作製した熱パルスの大きさに関連し、そして各パルスの大きさに関連したマゼンタ色とシアン色との固定比率が存在する。出力がそれらの閾値着色温度を超えて両方の色素層を最終的に生じるに充分であるならば、適切されるパルスが、固定された大きさおよび可変の持続時間を有する場合、同様の色の推移が生じる。この場合、パルスが始まると、2つの色素層は、温度が上がる。より長いパルスの持続時間に関しては、色素温度は、マゼンタ閾値を最初に超え、次いでシアン閾値を超える。各パルス持続時間は、充分規定された色に対応し、再度
、曲線経路に沿って白色からマゼンタへ、そして青色へと通過する。それゆえ、パルス振幅またはパルス持続時間のいずれかの変調を用いる先行技術の熱画像化システムは、色空間における曲線経路の範囲に入る色の再生に本質的に制限される。
【0026】

本発明は、熱画像化方法を提供する。この方法では、多色熱画像化部材の異なる画像形成層を少なくとも部分的に独立してアドレス指定することによって、形成される色が、1次元経路によって拘束されず、その代わりに図2の陰影を付けた領域に図示するような、この経路の両側の領域全体から選択され得る。
【0027】

本明細書の説明において、用語「部分的に独立して」とは、画像形成層のアドレシングを意味する。画像形成層が独立してアドレス指定され得る程度は、「色分解」と一般に呼ばれる画像特性に関連する。上記で言及したように、本発明の目的は、本発明の熱画像化方法が適切である種々適用するために、適切な色分解を有する画像を提供することである。例えば、写真画像化は、従来の写真露出および写真顕色で得られ得る色分解に匹敵する色分解を必要とする。印刷時間、利用可能な印刷力、および他の要因に応じて、画像形成層をアドレス指定する際に種々の程度の独立性を達成することができる。用語「独立して」とは、1つの色形成層の印刷が、他の色形成層において非常に小さいが一般的に可視ではない光学密度(密度<0.05)を代表的にもたらす例を意味するものとする。同じ様式で、用語「実質的に独立した」色印刷とは、別の画像形成層の不注意または意図的でない着色が、多色写真における中間画像(interimage)着色の代表的レベルである可視密度(密度<0.2)をもたらす例を意味する。いくつかの例では、このレベルでの色のクロストークは、写真として望ましいとみなされる。用語、画像形成層の「部分的に独立した」アドレシング(アドレス指定)とは、アドレス指定される層における最大密度の印刷が、0.2よりも高いが約1.0以下の密度での別の画像形成層の着色をもたらす例を意味する。語句「少なくとも部分的に独立して」は、上記の全ての程度の独立性を包含する。
【0028】
本発明の熱画像化システムと先行技術の熱画像化方法との間の区別は、各々から入手可能である画像の性質から理解することができる。2つの画像形成層が独立してアドレッシングできない場合、これらのうちの一方または両方は、他方とのかなりのカラー汚染なしには印刷できない。例えば、着色のための温度閾値がそれぞれTおよびTであって、ここでT>Tである色1および色2の2色を提供するように設計された1枚の熱画像化部材を考える。上表面から熱部材を加熱するための加熱エレメントを用いて1色のドットを形成する試みを考える。(代表的には加熱された領域の中心に)ドットが存在し、ここで、温度Tは、その最大の値Tmaxをとる。図3aにおいて模式的に示したように、このドットから離れると、Tは、加熱した領域の外側でTまたはTよりも充分に低い温度まで迅速に低下する。色2の「鮮明な」ドットは、局所温度TがTよりも高いがT未満である領域に印刷され得る(図3bを参照のこと)。TmaxがTを超える場合、ドットは、中心で色1で汚染(contaminate)され、そして独立した色形成はもはや可能ではなくなる。
【0029】

Color1のドットを印刷する試みはTmax>Tを必要とし、T>Tなので、これは、Color2が同様に印刷されることを当然意味することに留意すべきである(図3cを参照のこと)。その結果、Color1の独立した印刷は不可能となる。Color1が形成されるときはいつでも生じる、Color2のブリーチを組み込むことによって、この問題を補正する試みを行うことができる。ブリーチが実行される場合、Color1だけが、TがTよりも大きい加熱領域において可視化される。しかし、これは
、2つの理由のために独立したアドレシングを構成しない。第一に、この様式において、Color1およびColor2の任意の混合物を得ることは不可能である。第二に、Color2がブリーチされていない場合、Color1の各ドット周辺には環状領域が残存する(図3dを参照のこと)。
【0030】
本発明に従って、上記の例における両方の色の独立したアドレシングは、第二色素層の着色が第一色素層の着色に関して遅延することよるタイミング機構を導入することによって達成される。この遅延期間の間、第二層の着色を伴わずに、第一色素層上への上書きを可能にし;そして、第二層が第一層よりも、より低い着色温度の閾値を有する場合、第二層は、第一層の閾値を超えずに、第二層上への上書きが後に可能になる。
【0031】
1つの実施形態において、本発明の方法は、シアンまたはマゼンタの完全に独立した形成を可能にする。従って、この実施形態において、温度および時間の1つの組み合わせは、いかなる顕著なシアン着色を生じずに、白色−マゼンタ軸上のマゼンタの任意の密度の選択を可能にする。別の温度および時間の別の組み合わせは、いかなる顕著なマゼンタ着色を生じずに、白色−シアン軸上のシアンの任意の密度の選択を可能にする。2つの温度−時間の組み合わせの並列は、図2に示される囲まれた領域内で、任意のシアン/マゼンタの混合の選択を可能にし、従って、シアンおよびマゼンタの独立した制御を提供する。
【0032】
本発明の他の実施形態において、画像化形成層の熱アドレシングは、(完全に独立しているのではなく)実質的に独立されるか、または一部分のみ独立され得る。種々の条件(材料特性、印刷速度、エネルギー消費、材料コストおよび他のシステムの必要条件を含む)は、増大した色クロストークを伴うシステムを指示し得る。本発明に従う独立したまたは実質的に独立した色選択は、写真用の質での印刷が所望されるが、この必要条件は、特定の画像(例えば、ラベルの作製または多色のクーポン)の印刷においてあまり重要でなく、そしてこれらの例は、経済的な条件(例えば、改善した印刷速度またはより少ないコスト)のために犠牲にされ得る。
【0033】
本発明のこれらの実施形態において、多色熱画像化部材の別個の画像形成層のアドレシングは完全ではないが、むしろ実質的または部分的に独立して、そしてシアンの印刷を設計することによってマゼンタ色形成の制御された量を作製し得る(そして逆も同様)場合、完全に純粋なマゼンタまたは完全に純粋なシアンを印刷することは可能ではない。事実、各座標軸近くに色ボックスの領域が存在し、この軸は、印刷不可能な色を示し、そして利用可能な色は、より限定された領域(例えば、図2に図示される影付きの領域)に含まれる。これらの場合において、利用可能な色のパターンは、色の選択が完全に独立して制御される本発明の実施形態に含まれる選択よりも少ないが、それにもかかわらず、従来技術のシステムによって可能とされる、非常に限定された色の選択よりも非常に優れている。
【0034】
類似の条件が、本発明の3色の実施形態に適用される。これらの実施形態において、色空間は三次元であり、一般に図4に示されるように「色キューブ(color cube)」と称される。増加する温度の固定長(fixed−length)熱パルスが、従来技術の多色直接熱プリント媒体に適用される場合、点線矢印によって示されるようにキューブを通して曲線経路に位置する色を作製し得る。見られるように、この経路は、(固定された種々の色を通りながら)1つの色(通常、白色)から別の色(通常、黒)に延びる。比較において、本発明の1つの実施形態は、三次元色キューブ内の任意の色に印刷する能力を有利に提供する。本発明の他の実施形態において、色形成層のアドレシングが実質的に独立してまたは部分的に独立する場合、図4の影領域内での色の形成が可能であり、さらに、従来技術の直接熱プリントシステムにより提供されるよりも、色の選択における柔軟性を相当に提供する。
【0035】
本発明の温度および時間パラメーター特徴を記載するために、図5に対して参照がなされる。図5は、本発明の1実施形態のグラフ表示である。例えば、熱画像化部材は、シアン画像形成材料と、マゼンタ画像形成材料とを含み、このシアン画像形成材料は、短い時間の比較的高温度に供された場合に可視的シアン色領域Cを提供し、マゼンタ画像形成材料は、より長い時間より低い温度に供された場合に、可視的マゼンタ領域Aを提供する。異なる温度での短い熱パルスおよび長い熱パルスの組み合わせが、各色の比率を選択するために利用され得る。本発明に従って、関与する調節可能な2つの変数と2つ以上の画像形成材料が存在するので、本発明に従う特定の任意の色の少なくとも実質的に完全な独立制御には、実質的に独特の時間および温度範囲に各色を割り当てることが必要とされることが、理解され得る。
【0036】
本発明の多色熱画像化システムに関連する他の考慮事項は、図6と組み合わせて以下の2色ロイコ色素システムの考察から理解され得る。例えば、酸顕色剤材料と組み合わせるために熱拡散されるロイコ色素により色が生成されるシステムを考慮する。この場合、図5に示されるような完全に閉じられた領域に着色剤応答を制約することは、可能ではないかもしれない。図5に示される領域内の温度および時間を利用することが意図され得るが、その画像化部材はまた、より広範囲の温度および時間で応答性であり得る。ここで、図6を参照すると、この例示的例において、領域Aおよび領域Cは、それぞれ、マゼンタおよびシアンを印刷するために選択された領域であることが理解され得る。しかし、例えば、領域Bおよび領域Eにおける温度および時間の組み合わせもまた、発色剤へのマゼンタロイコの拡散を可能にするに十分である。また、シアンは、領域Dおよび領域Eにおける温度および時間の組み合わせに関して印刷される。従って、本発明のシアン画像形成材料およびマゼンタ画像形成材料の実質的に完全な独立制御を得るために、マゼンタ印刷領域Aは、好ましくは、領域Cとも領域Dとも領域Eとも、シアンが応答性である他のどの領域とも重複しないように選択されるべきである。逆に、シアン印刷領域Cは、好ましくは、領域Aとも領域Bとも領域Eとも、マゼンタが応答性である他のどの領域とも重複しないように選択されるべきである。一般に、このことは、例示的拡散性ロイコ色素システムについて、別個に選択される色印刷領域は、より長い時間からより短い時間へと減少しより高い温度からより低い温度へと減少する傾斜に沿って、配置されるべきである。実際の実行において、選択された印刷領域が、模式的表示に示されるような形状で矩形でないかもしれないが、呈色をもたらす物理的プロセスの挙動により支配される形状を有し、そして屠口絵の適用のための望ましい色分離と一致する限定的領域重複を含み得ることが、理解される。
【0037】
本発明の3色拡散制御ロイコ色素システムについて適切な模式的配置は、図7に示され、図7において、それぞれ、マゼンタ(紫赤色)、シアン(藍色)、およびイエロー(黄色)を印刷するための時間−温度の組み合わせが、示される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、色形成領域について選択される温度は、一般的には、約50℃〜約450℃の範囲内にある。熱エネルギーが画像化部材の色形成層に適用される時間は、好ましくは、約0.01ミリ秒〜約100ミリ秒の範囲内にある。
【0039】
上記されるように、多数の画像形成技術が、本発明に従って利用され得、その技術としては、埋没した層による熱拡散、タイミング層と組み合わせた化学的拡散または解離、融解転移および化学的閾値が挙げられる。
【0040】
ここで、図8を参照すると、形成される個々の色について印刷領域を規定するために熱時間遅延を利用する多色熱画像化部材が観察される。画像化部材10は、本発明に従って利用されるタイミングの差異を得るために、画像化部材を通る熱の拡散に依存する。画像
化部材10は、シアン画像形成部材およびマゼンタ画像形成部材(それぞれ、14および16)と、スペーサー中間層18とを保有する、基材12を備える。本発明の種々の実施形態において、その画像形成層は、それ自体が、2つ以上の別個の層を含み得ることが、ここで留意されるべきである。例えば、画像形成材料が、顕色剤材料と組み合わせて使用されるロイコ色素である場合、そのロイコ色素および顕色剤材料は、別個の層中に配置され得る。
【0041】
その画像化部材10が上記シアン画像形成層14からの熱プリントヘッドにより加熱される場合、その熱は、その画像化部材を透過してマゼンタ画像形成層16に到達する。シアン画像形成層14は、その熱が適用されたほぼ直後にその熱プリントヘッドによってその呈色閾値温度を超えて加熱されるが、マゼンタ画像形成層16がその閾値温度に近づく前により有意な遅延が存在する。両方の画像形成層が例えば同じ温度(例えば、120℃)で色を形成し始めそしてプリントヘッドが画像部材10の表面を120℃よりかなり高い温度まで加熱すべき場合、シアン画像形成層14は、ほぼ一度にシアン色を提供し、一方、マゼンタ形成層16は、スペーサー層18の厚さに依存する時間遅延の後で、マゼンタ色を提供し始める。各層における色の活性化の化学的性質は、重要ではない。
【0042】
本発明に従う多色印刷を提供するために、各画像形成層が、異なる温度(例えば、シアン画像形成層14についてT、そして「包埋した」マゼンタ画像形成層16についてT)で活性化されるように配置される。この結果は、例えば、これらの画像形成層が異なる融解温度を有するように配置することによって、または異なる温度で融解してその画像形成層を液化する異なる熱溶媒中にこれらの画像形成層を組み込むことによって、達成され得る。温度Tは、Tよりも高いように選択される。
【0043】
未満の温度が、任意の期間にわたって、画像化部材に適用される場合、色は形成されない。従って、画像化材料は、T未満の温度で安全に出荷および貯蔵され得る。層14と接触した印刷要素が、画像形成層16により到達されるTとTの間の温度を生じるような加熱を適用される場合、シアン画像形成層14は、実質的に無色のままであり、そしてマゼンタ画像形成層16は、スペーサー層18の厚さの関数である時間延長の後にマゼンタの色密度を発色する。Tをちょうど超える温度が、画像形成層14と接触している印刷要素によって、画像化部材に適用される場合、シアン画像形成層14は、直ちに色密度を発色し始め、そしてマゼンタ画像形成層16もまた、時間延長の後にのみではあるが、マゼンタの色密度を発色する。別の方法では、中間の温度かつ比較的長い時間で、シアン色なしにマゼンタ色を生じることが可能であり、そして高い温度かつ比較的短い時間で、マゼンタ色なしにシアン色を生じることが可能である。より長い中間の温度の熱パルスと並んで比較的短く高い温度の熱パルスは、選択した割合でマゼンタ色およびシアン色の組み合わせを生じる。
【0044】
図8を参照して上記される機構は、サーマルプリントヘッドが、熱の適用後に画像化部材10の表面から効果的に離れて熱を伝導するように選択される場合、2つの色の間の最適な差異を提供することが当業者により理解される。このことは、画像形成層14において画素(ピクセル)を印刷した直後に、特に重要である。
【0045】
画像化部材10の画像形成層14および16は、必要に応じて、1を超える色変化を受け得る。例えば、画像形成層14は、適用される熱の関数として、無色からイエローそして赤色になり得る。画像形成層16は、最初に着色され得、次いで無色になり得、そして異なる色になり得る。このような色変化は米国特許第3,895,173号に記載される画像化機構を利用することにより得られ得ることを当業者は認識する。
【0046】
任意の公知の印刷様式を用いて、図8に図示される2つの上に第3の画像形成層および
さらなる画像形成層を提供し得る。例えば、第3の画像形成層は、インクジェット印刷、熱転写、電子写真などにより画像化され得る。特に、画像化部材10は、第3の画像形成層を含み得、これは、次いで、色がこの層に形成された後、当該分野で公知であるように、光への曝露により固定され得る。この実施形態において、この第3の画像形成層は、画像形成層14の印刷の前に、画像化部材10の表面の近くに位置付けられ、そして画像形成層14よりも低い温度で印刷されるべきである。この第3の層の固定もまた、画像形成層14の印刷の前に生じるべきである。
【0047】
基材12は、熱画像化部材における使用のために適切な任意の材料(例えば、ポリマー材料)であり得、そして透明または反射するものであり得る。
【0048】
色を変化させるように熱により誘導され得る材料の任意の組み合わせが用いられ得る。この材料は、熱の影響下(物理的機構(例えば、融解もしくは拡散)により同時にもたらされる影響か、または反応速度の熱的な加速を通じる影響のいずれかの結果として)で化学的に反応し得る。この反応は、化学的に可逆であってもよいし、不可逆であってもよい。
【0049】
例えば、無色色素前駆体は、試薬と熱誘導接触する際に色を形成し得る。この試薬は、「Imaging Processes and Materials」,Neblette’s 第8版,J.Sturge,V.Walworth,A.Shepp編,Van Nostrand Reinhold,1989,274−275頁に記載されるような、ブレンステッド酸、または例えば、米国特許第4,636,819号に記載されるようなルイス酸であり得る。酸試薬と共に用いるために適切な色素前駆体は、例えば、米国特許第2,417,897号、南アフリカ共和国特許第68−00170号、南アフリカ共和国特許第68−00323号、およびGer.Offen.第2,259,409号に記載される。このような色素のさらなる例は、「Synthesis and Properties of Phthalide−type Color Formers」,Ina FletcherおよびRudolf Zink、「Chemistry and Applications of Leuco Dyes」、Muthyala編、Plenum Press,New York,1997において見出され得る。このような色素としては、トリアリールメタン、ジフェニルメタン、キサンテン、チアジンまたはスピロ化合物(例えば、クリスタルバイオレットラクトン、N−ハロフェニルロイコオーラミン、ローダミンBアニリノラクタム、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロジナフトフランなど)が挙げられ得る。酸性材料は、フェノール誘導体または芳香族カルボン酸誘導体(例えば、p−tert−ブチルフェノール、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、p−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸など)であり得る。このような熱画像化材料およびこれらの種々の組み合わせは、現在周知であり、そしてこれらの材料を用いる感熱記録要素を調製する種々の方法もまた周知であり、そして例えば、米国特許第3,539,375号、同第4,401,717号および同第4,415,633号に記載される。
【0050】
無色の前駆体から着色された色素を形成するために使用される試薬はまた、例えば、米国特許第4,745,046号に記載されるような求電子試薬、例えば、米国特許第4,020,232号に記載されるような塩基、例えば、米国特許第3,390,994号および同第3,647,467号に記載されるような酸化剤、例えば、米国特許第4,042,392号に記載されるような還元剤、例えば、スピロピラン色素についての米国特許第3,293,055号に記載されるようなキレート化可能試薬、または例えば、米国特許第5,196,297号に記載されるような金属イオン(ここで、チオラクトン色素は、銀塩と錯体を形成して、着色された種を形成する)であり得る。
【0051】
着色された材料が試薬の作用により無色にされる逆反応もまた用いられ得る。従って、例えば、プロトン化指標色素は、塩基の作用により無色にされ得るか、または予め形成された色素は、例えば、米国特許第4,290,951号および同第4,290,955号に記載される塩基の作用により不可逆的に脱色され得るか、または電子吸引色素は、米国特許第5,258,274号に記載されるように、求核試薬の作用によりブリーチされ得る。
【0052】
上記のような反応はまた、ある着色された形態から異なる色を有する別の形態へと分子を変換するために用いられ得る。
【0053】
上記のようなスキームにおいて用いられる試薬は、色素前駆体から隔絶され得、そして熱の作用によりこの色素前駆体と接触され得るか、または、あるいはこの試薬自体に対する化学前駆体が用いられ得る。この試薬に対する前駆体は、色素前駆体と密接に接触していてもよい。熱の作用が、試薬前駆体から試薬を放出するために用いられ得る。従って、例えば、米国特許第5,401,619号は、前駆体分子からのブレンステッド酸の熱放出を記載する。熱放出可能な試薬の他の例は、「Chemical Triggering」,G.J.Sabongi,Plenum Press,New York(1987)に見出され得る。
【0054】
互いにカップリングして新規の着色された分子を形成する2つの材料が、用いられ得る。このような材料は、例えば、「Imaging Processes and Materials」268−270頁、および米国特許第6,197,725号に記載されるような、適切なカプラーを有するジアゾニウム塩、または例えば、米国特許第2,967,784号、同第2,995,465号、同第2,995,466号、同第3,076,721号、および同第3,129,101号に記載されるような、適切なカプラーを有する酸化されたフェニレンジアミン化合物を含む。
【0055】
さらに別の化学色変化法は、無色前駆体から色を形成し得るか、着色された材料の色の変化を引き起こし得るか、または着色された材料をブリーチし得る単分子反応を包含する。このような反応の速度は、熱により加速され得る。例えば、米国特許第3,488,705号は、加熱の際に分解およびブリーチされるトリアリールメタン色素の熱に不安定な有機酸塩を開示する。米国特許第3,745,009号(米国特許第Re.29,168号として再発行)および米国特許第3,832,212号は、−OR基(例えば、RO+イオンもしくはRO’ラジカル、およびさらなるフラグメントの一部であり得る色素塩基もしく色素ラジカルを生成するために加熱する際に、窒素−酸素結合の等方性切断または異方性切断を受けることにより脱色する、炭酸基)で置換された複素環の窒素原子を含むサーモグラフィー用の感熱化合物を開示する。米国特許第4,380,629号は、活性化エネルギーに応答した開環および閉環を介して、可逆的または不可逆的に、呈色またはブリーチを受ける、スチリル様化合物を開示する。米国特許第4,720,449号は、無色分子を着色された形態へと変換する分子内アクリル化反応を記載する。米国特許第4,243,052号は、色素を形成するために用いられ得るキノフタロン前駆体の混合炭酸塩の熱分解を記載する。米国特許第4,602,263号は、色素を示すため、または色素の色を変化させるために用いられ得る、熱により除去可能な保護基を記載する。米国特許第5,350,870号は、色変化を誘導するために用いられ得る分子内アクリル化反応を記載する。単分子色形成反応のさらなる例は、「New Thermo−Response Dyes:Colorattion by the Claisen Rearrangement and Intramolecular Acid−Base Reaction」Masahiko Inouye,Kikuo Tsuchiya,およびTeijiro Kitao,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.
31,204−5頁(1992)に記載される。
【0056】
この着色された材料は、色素で形成される必要はない。着色された種はまた、例えば、金属またはポリマーのような種であり得る。米国特許第3,107,174号は、適切な還元剤による無色のベヘン酸銀塩の還元を通じて、金属の銀(これは黒色に見える)の熱形成を記載する。米国特許第4,242,440号は、ポリアセチレンが発色団として用いられる、熱により活性化するシステムを記載する。
【0057】
物理的な機構もまた用いられ得る。物理的外観における変化を導く相変化は周知である。この相変化は、例えば、光の散乱における変化へと導く。制限された領域からの、色素の熱により活性化される拡散、それによる、変換力(converting power)および見かけの密度の変化もまた、「A New Thermographic Process」Shoichiro Hoshino,Akira Kato,およびYuzo Ando,Symposium on Unconventional Photographic System,Washington D.C.1964年10月29日に記載されている。
【0058】
画像形成層14および16は、上記の任意の画像形成材料、または任意の他の熱により活性化される顔料を含み得、そして、代表的には、約0.5〜約4.0μm(好ましくは、約2μm)の厚さである。画像形成層14および16が、1を超える層を含む場合、構成層の各々は、代表的に、約0.1〜約3.0μmの厚さである。画像形成層14および16は、固体材料の分散物、カプセル化された液体、ポリマーブレンド中の活性材料の非結晶もしくは固体の材料または溶液、あるいは上記の任意の組み合わせを含み得る。
【0059】
中間層18は、代表的に、約5〜30μm(好ましくは、約14〜25μm)の厚さである。中間層18は、この層が熱溶媒を含む場合などに加熱の際に相変化を受ける不活性材料を含む任意の適切な材料を含み得る。代表的な適切な材料としては、ポリ(ビニルアルコール)のようなポリマー材料が挙げられる。中間層18は、1以上の適切な材料を含み得、そして1以上の層から作製され得る。中間層18は、水性溶液もしくは溶媒溶液から被覆され得るか、または画像形成層に積層されたフィルムとして適用され得る。中間層18は、不透明または透明であり得る。この中間層が不透明である場合、基材12は、好ましくは、透明であり、画像化部材10のいずれかの外表面は、一方の面からサーマルプリントヘッドで印刷され得る。特定の好ましい実施形態では、基材12は、不透明であり、そして中間層18は白色である。シートの片面のみを印刷する単一のサーマルプリントヘッドのみを用いる、単一のシートの両面印刷の効果は、これによって、得られる。
【0060】
本発明の熱画像化部材はまた、熱バックコート層および画像形成層の外部表面上に配置された保護トップコート層を含み得る。図8に示される画像化部材の好ましい実施形態において、バリアコーティング、および層14上の保護トップコート層が、含まれる。このバリア層は、水阻害材料および気体阻害材料を含み得る。まとめると、このアリア層およびトップコート層は、UV放射からの保護を提供し得る。
【0061】
図8に示される画像化部材の代替の実施形態において、画像形成層16は、例えば、約4.5μmの厚を有するポリ(エチレンテレフタレート)のような薄い基材12上にコーティングされる。次いで、内部層18および画像形成層14が、付着される。基材12は、不透明であっても透明であってもよく、層16上にコーティング、積層化、または押出成形され得る。本発明のこの実施形態において、画像形成層14および16は、薄い基材12を介して、サーマルプリントヘッドによってアドレスされ得る。
【0062】
ここで、図9を参照すると、本発明に従う、3色の熱画像化部材が示され、これは、見
出される色に対してプリント領域を規定するために熱遅延(thermal delay)を利用する。この3色の画像化部材20は、基材22、それぞれ、シアン、マゼンタおよびイエローの画像形成層24、26および28、ならびにスペーサー内部層30および32を含む。好ましくは、内部層30は、両方の層を含む材料が、同一の熱容量および熱伝導性を有する限り、内部層21よりも薄い。層24の活性化温度は、層26の温度よりも高い、次いで、層28の温度よりも高い。
【0063】
本発明の好ましい実施形態に従って、3つの画像形成層が、基材22の同一表面によって輸送される場合、図9に示されるように、複数の画像形成層が、基材の同一表面によって輸送される熱画像化部材において、2つの画像形成層は、この部材の一方の表面から、1以上のサーマルプリントヘッドによって画像化され得、そして少なくとも第3画像形成層は、この基材の対向する側面から、別々のサーマルプリントヘッドによって画像化され得る。図9に例示される実施形態において、画像形成層24および26は、色形成層24の外部表面と接触した1以上のサーマルプリントヘッドによって画像化され、そして色形成層28は、基材22の外部表面と接触したサーマルプリントヘッドによって画像化される。本発明のこの実施形態において、基材22は、代表的に、約20μmよりも薄く、そして好ましくは、約5μm厚である。
【0064】
この例において、この基材22は、比較的に薄いので、画像化部材を別のベース(例えば、ラベルカードストック材料)に積層化することは、好ましい。このような積層材料はまた、積層化構造が関与する場合に、画像形成層が分離するように設計されるといった、さらなる特性を提供し、これにより、安定特性を提供する。また、紫外線安定特性および赤外線安定特性が、画像形成層に取り込まれ得る。
【0065】
画像化された熱画像部材を別のベースに積層化することによって、複数の製造物適用が、提供される。このベースストックは、接着結合剤を支持するものであり得る。従って、画像化は、透明製造物または反射製造物を提供するために、透明キャリア材料または反射キャリア材料上に積層化され得る、種々の材料(例えば、透明ステッカー材料または反射ステッカー材料)上で実施され得る。
【0066】
図10は、本発明に従う多色熱画像化部材を例示し、ここで、2つの画像形成層は、基材の一方の側面上に配置され、そして一方の画像形成層は、この基材の他方の側面上に配置される。図10を参照すると、基材42を含む画像化部材40を示し、この画像化部材は、第1画像形成層44、内部層46、第2画像形成層48、第3画像形成層50、任意の白色層または反射層52、バックコート層53およびトップコート層54を含む。この好ましい実施形態において、基材42は、透明である。この画像形成層および内部層は、このような層に関して上記の材料のいずれかを含み得る。任意の層52は、任意の適切な反射材料であり得るか、または白色色素(例えば、二酸化チタン)の粒子を含み得る。保護トップコートおよびバックコート層53および54は、潤滑、熱耐性、UV、水および酸素バリア特性などの機能を提供する、任意の適切な材料を含み得る。このような材料は、当業者にとって明らかであるように、適切な低分子が溶解または分散されるポリマー結合剤を含み得る。画像形成層48の活性化温度は、画像形成層44の温度よりも低く、そして画像形成層50の活性化温度は、画像形成層48の温度と同じであり得るか、またはそれより高いかもしくは低く、そして室温安定性および輸送安定性の要件と、可能な限り低く一致し得る。
【0067】
好ましい実施形態において、一方のサーマルプリントヘッドを利用して、画像化部材の一方の表面から独立して、基材の一方の表面によって実施される2つの画像形成層に接近し得、そして別のサーマルプリントヘッドを利用して、画像部材の対向する表面から独立して、基材の対向する表面によって実施される1以上の画像形成層に接近し得る。本発明
の好ましい実施形態は、図10に示されるように、画像部材に関してさらに詳細に記載されているが、この実施形態は、他の適切な画像化部材を用いて実施され得ることが理解される。この画像化部材の対向する表面と接触してもたらされるサーマルプリントヘッドは、互いに対して直接的に配置され得る。あるいは、および好ましくは、これらのそれぞれのプリントヘッドは、図11に例示されるように互いにオフセットされる。さらに、2つの別個のサーマルプリントエンジン(例えば、Alps MBL 25(Alps Electric Co.Ltd.,Tokyo,Japanから市販されている))を、使用し得る。しかし、これらの成分のいくつか(例えば、ドライブモーターおよび電源)が、2箇所のプリントステーションにオよって共有される感熱プリント装置を利用することが、好ましい。
【0068】
ここで、図11を参照すると、熱画像化部材55のロール(例えば、図10に例示される画像化部材)が示されている。画像化部材は、第1サーマルヘッド56とバッキングローラー57との間、そして続いて、第2サーマルプリントヘッド58とバッキングローラー59との間を通過する。第1サーマルプリントヘッド56は、少なくとも部分的に独立して、第1画像形成層44および第2画像形成層48(これらは、それぞれ、シアン画像形成層およびマゼンタ画像形成層であり得る)に接近し、そして第2サーマルプリントヘッド58は、イエロー画像形成層であり得る、第3画像形成層50に接近する。
【0069】
上で議論したように、本発明の有利な多色熱画像化方法において、熱画像化部材の2つ以上の異なる画像形成層は、単一の熱プリントヘッドまたは複数の熱プリントヘッドによって、少なくとも部分的に、画像化材料の同一平面とは独立して接近される。本発明の特定の好ましい実施形態において、熱画像か材料の2つ以上のことなる画像形成層は、単一経路にある単一のサーマルプリントヘッドによって、少なくとも部分的に独立して接近される。これを行うための方法は、従来のサーマルプリントヘッドに適用された制御信号の操作によって実施され得、この昇温エレメントは、画像部材の表面と接触する。従来のサーマルプリントヘッドは、昇温エレメントの線状アレイから構成され、各々は、コモン電圧バスおよびグラウンドとの間で、このプリントヘッドに接続し得る対応する電気スイッチを有する。コモンバスの電圧および電気スイッチが閉鎖される時間は、ともに、熱暴露の温度および時間に影響を与える。
【0070】
本発明の実施において温度を制御するための方法を記載するために、ここで、サーマルプリントヘッドの操作を、詳細に記載する。サーマルヘッドの通常の使用において、固定された電圧が、プリントヘッドに適用され、そして形成される画像密度の調整を、電力が昇温エレメントに印加される時間の長さを調節することによって達成される。この制御システムにより、分散され、すなわち、画像化部材上に各ピクセルをプリントするために使用される時間間隔が、複数の別々の部分間隔に分けられ、そして昇温エレメントが、この部分間隔の各々の間に、活性化されるか、または不活性化され得る。さらに、各部分間隔内での加熱のデューティサイクルが、制御され得る。例えば、昇温エレメントが、部分間隔の一つの間に活性化される場合、この部分間隔に関するデューティサイクルは、50%であり、次いでこの電力は、特定の部分間隔の50%の間に、昇温エレメントに適用される。
【0071】
図12は、プリントヘッド適用を例示し、ここで、各ピクセルプリント間隔は、いくつかの等しい部分間隔に分けられる。例示される場合に関して、このピクセルは、第1の4つの部分間隔に対して活性化し、次いで、3つの部分間隔に対して不活性化する。さらに、適用される電圧パルスは、50%のデューティサイクルを有し、その結果、活性化部分間隔内で、電圧が、部分間隔の半分についてオンであり、そして他の半分についてオフである。昇温エレメントの温度が、印加された電力に対して応答する限り、この温度が、コモンバス電圧およびパルスのデューティサイクルによって影響され得ることは、当業者に
より容易に理解される。実際に、個々の部分感覚が、媒体の加熱および冷却に関するサーマル時間定数よりもかなり短い場合、コモンバスの電圧の変化による影響は、パルスのデューティサイクルの変化による影響により模倣され得る。
【0072】
これは、プリントヘッドに印加される平均電力を制御するための、少なくとも2つの可能性を提供する。この第1は、プリントヘッド昇温エレメントの温度が、コモンバスの電圧を操作することによって制御され得るが、デューティサイクルは、各部分間隔に対して、いくつかの予め決められた値で固定されたままであることである。この場合において、この温度は、バス電圧の選択によって主に制御され、そして時間は、加熱器が活性化される部分間隔の数の選択によって制御される。
【0073】
第2の可能性は、部分間隔のデューティサイクルの操作による加熱器の温度の制御であるが、このバスの電圧は、固定されたままである。温度制御の方法の最良の使用は、この部分間隔が、画像化部材の熱時間が一定のものと比較して短いことを必要とし、その結果、画像形成層の温度は、迅速電圧移動を追跡するのではなく、部分間隔の間に印加された平均電力に応答する。この印加における代表的なプリントヘッドに関して、部分感覚時間は、画像化部材の熱応答時間よりも10倍以上短く、この状態は、十分に満たされない。
【0074】
これらの2つのコントロール方法間の選択、または2つの組み合わせの選択は、実際の設計事項である。例えば、各色層が、プリントヘッドの下にある画像化部材の別々の経路にプリントされる、複数の経路システムにおいて、各経路上にあるプリントヘッドコモンバスに印加される電圧を変化させることは、困難ではない。次いで、この印加された電圧は、最良の結果のために容易に調整され得る。他方、各ピクセルにおいて迅速な連続性で印字される、単一経路システムに関して、固定電圧においてヘッドを操作することは、一般に、より便利であり、かつ、経済的である。この場合において、温度の変化は、好ましくは、部分間隔のデューティサイクルの予め決められた配置によって影響される。
【0075】
2つの技術が、図13および14において例示され、これは、短時間に適用される高温により活性化され、そして他の画像形成層は、長時間に適用された低温により活性化される。
【0076】
図13は、バス電圧とヒーターが活性化される時間とを変化させることによって、2つの画像形成層上に交互に記載する方法を模式的に示す。最初に、その記載は、短時間の間に高温で行われ、一連の短い高電圧パルスにより達成される。その後、記載は、より低電圧のパルスのより長い連続を使用することによって、長期間の間に低温度にて行われる。その後、この連続は、色形成層の間を前後に交替するために反復される。
【0077】
図14は、2つの画像形成層を交互に記載する別の方法を模式的に示す。この場合、パルスデューティサイクルは、パルス電圧よりも変化する。高温での短い加熱が、大きなデューティサイクルを有するパルスの短い連続を用いて実施される。低温の長時間の加熱は、小さいデューティサイクルを有するパルスのより長い連続を伴って実施される。
【0078】
2つの画像形成層を用いて本発明の画像化部材において画像を形成するための図14に示される方法が、ここで、より詳細に記載される。プリントヘッドの加熱要素と熱接触している熱画像化部材の領域中で1ピクセルの画像を形成するための時間間隔は、上記のように、複数の時間的部分間隔(本明細書中で以後、ミニ部分間隔(mini−subinterval)と呼ばれる)に分割される。このミニ部分間隔は、互いに持続期間が等しくても異なっていてもよい。好ましい実施形態において、このミニ部分間隔は、持続期間が等しい。1ピクセルを形成するための時間間隔はまた、第1時間間隔および第2時間間隔に分割され、この第1時間間隔は、第2時間間隔よりも短い。この第1時間間隔は、熱
画像化部材の第1色形成層(これは、より高温で色を形成する層であり得る)において画像を形成するために使用され、そして第2時間間隔は、熱画像化部材の第2色形成層(これは、より低温で色を形成する層であり得る)において画像を形成するために使用される。第1時間間隔と第2時間間隔は、その間に、上記のミニ部分間隔のほとんどまたはすべてを含む。ミニ部分間隔の持続期間が等しい場合、第1時間間隔は、第2時間間隔よりも少ないミニ部分間隔を含む。第2時間間隔は、第1時間間隔の少なくとも2倍の長さであることが、好ましい。第1時間間隔が第2時間間隔の前にあることは必ずしも必要ではない。組み合わせて、第1時間間隔および第2時間間隔は、1ピクセルを印刷するための時間間隔全体を占めないことが可能である。しかし、組み合わせて、第1時間間隔および第2時間間隔は、1ピクセルを印刷するための時間間隔のほとんどを占めることが好ましい。
【0079】
プリントヘッドの加熱要素は、ミニ部分間隔の間に1パルスの電流を印加することによって賦活化される。この電流パルスが印加されるミニ部分間隔の持続期間(すなわち、デューティサイクル)の比は、約1%と100%との間の任意の値をとり得る。好ましい実施形態において、そのデューティサイクルは、第1時間間隔の間、固定値p1であり、そして第2時間間隔の間、第2固定値p2であり、p1>p2である。好ましい実施形態において、p1は、100%に近づく。p1が、p2の長さより大きいかまたは2倍に等しいことが好ましい。
【0080】
第1時間間隔および第2時間間隔において、画像形成層内の異なる程度の画像形成(すなわち、異なるグレーレベルの画像)が、1パルスの電流が印加される間に、利用可能なミニ部分間隔の総数の中から特定のミニ部分間隔群を選択することによって、達成され得る。異なる程度の画像形成が、画像形成層において印刷されるドットのサイズを変化させること、または画像形成層において印刷されるドットの光学密度を変化させること、またはドットサイズおよび光学密度の変動の組み合わせのいずれかによって、達成され得る。
【0081】
この方法は、プリントヘッドの単一加熱要素により印刷される、1ピクセルに関して上記に記載されているが、プリントヘッドは、多くのそのような加熱要素の直線状アレイを含み得ること、および熱画像化部材が、その直線状アレイと直交する方向でこの直線状アレイの下に並行移動され得て、ピクセルのラインの画像が、単一加熱要素により1ピクセルの画像を形成するための時間間隔の間に熱画像部材中に形成され得るようになることが、当業者に明らかである。さらに、単一加熱要素により1ピクセルの画像を形成するための時間間隔の間に熱画像化部材の画像形成層のいずれかまたは両方で、画像が形成され得ること、第1画像形成層中の画像が、上記に特定される第1時間間隔の間に印加されるエネルギーにより形成され、そして第2画像形成層中の画像が、上記に特定される第2時間間隔の間に印加されるエネルギーにより形成されることが、当業者に明らかである。従って、両方の画像は、一旦プリントヘッドの下に熱画像化部材が平行移動した場合(すなわち、プリントヘッドの1回の通過)に、形成され得る。実際上、第1時間の間に印加されるエネルギーは、第2画像形成層を加熱し、そして第2次かの間に印加されるエネルギーは、第1画像形成層を加熱する。両方の時間の間に供給されるエネルギーの適切な調整が、これらの効果を補償するため、および他の効果(例えば、熱ヒストリーおよび隣接する加熱要素による意図せぬ加熱)を補償するために必要であることを、当業者は理解する。
【0082】
実際の実施において、パルスの数は、図13および図14に示される数と全く異なり得る。代表的印刷システムにおいて、ピクセル印刷間隔は、1〜100ミリ秒の範囲にあり得、そしてミニ部分間隔長は、1〜100ミリ秒の範囲にあり得る。従って、代表的には、数百のミニ部分間隔が、そのピクセル印刷間隔内に存在する。
【0083】
1つのミニ部分間隔内のデューティサイクルは、一般的には、パルス間で変化され得、
別の好ましい実施形態において、この技術は、良好な印刷結果を達成するために加熱要素に印加される平均電力を調整するために使用され得る。
【0084】
当然、1回の通過で画像化部材の2つより多くの画像形成層を独立してアドレスすることが望ましい場合、ミニ部分間隔の平均数およびデューティサイクルの範囲は、対応して多数の組み合わせに分割されなければならず、その組み合わせ各々は、画像形成層の1つに対して少なくとも部分的に独立して印刷可能であることが、当業者に明らかである。
【0085】
本発明の特に好ましい実施形態において、熱画像化部材の基材の同じ表面に保有される3つの異なる画像形成層が、1回の通過で、他の熱プリントヘッドにより、画像化部材の同じ表面からアドレスされる。この実施形態は、図9に関して記載される。基材22は、上記の材料のいずれかであり得る。画像形成層28は、約90℃〜約140℃の融点を有する融解性ロイコ色素と、同じ範囲にある融点を有する発色材料とを含み、そして必要に応じて、同じ範囲にある融点を有する熱溶媒を含む。この実施形態において、層28は、約1〜4μm厚であり、そして水性分散物からコートされている。中間層32は、約5〜約25μm厚であり、そして上記の適切な任意の水溶性中間層材料であり得る、水溶性不活性材料を含む。第2画像形成層26は、ロイコ色素および発色材料(各々、約150℃〜約280℃の融点を有する)ならびに必要に応じて同じ範囲にある融点を有する熱溶媒を含む。この第2画像形成層は、約1〜約4μmの厚さを有し、そして水性分散物からコートされている。第2中間層30は、水溶性不活性材料(上記の水溶性中間層材料のいずれかであり得る)を含み、そして約3〜約10μmの厚さを有する。第3画像形成層24は、a)少なくとも150℃、好ましくは250℃の融点を有する融解性ロイコ色素と、少なくとも250℃、好ましくは300℃の融点を有する発色材料とを含み、必要に応じて熱溶媒を含むか;またはb)約0.1〜約2ミリ秒に少なくとも300℃の温度で均一に色を形成する分子(適切な物質は、本明細書中以下に詳細に記載されるLeuco Dye IIIである)を含むかの、いずれかである。この第3画像形成層は、約1〜約4μmの厚さを有し、そして水分散物からコートされている。この特に好ましい熱画像化部材は、さらに、下記実施例Iに記載されるようなオーバーコート層を含む。
【0086】
上記のように、図8〜10は、熱拡散が、時間−温度ドメインを分割するために使用される技術である、熱画像化部材に関する。本発明に従う熱画像化部材の時間−温度ドメインを分割するための別の技術は、相転移の利用にある。相転移は、例えば、色素自体の自然な融解転移またはガラス転移の結果であり得るか、または色素層に熱溶媒を組み込むことによって達成され得る。色素層が固定温度Tにて保持される場合にその色素の特定の光学密度を達成するために必要とされる時間tから測定がなされる場合、その温度と時間との間の関連は、アレニウス曲線:
log(t)〜(−A+B/T)
により表され、ここで、AおよびBは、実験により決定され得る定数である。融解転移の温度範囲にて測定がなされる場合、傾きBが、相転移から除かれた領域にて通常は見出される傾きをはるかに超えることが、しばしば見出される。結果として、通常の色素相(すなわち、例えば、拡散制御された反応についての場合のように、何の相変化も画像化と関係していない色素相)についてのアレニウス曲線と融解色素相についてのアレニウス曲線とは、シアン色素(すなわち、3−(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジメチルアミン−2−メチルフェニル)フタライド(Hilton−Davis Companyから入手可能)と、Lewis酸発色剤(3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸の亜鉛塩)と、自然に融解するマゼンタ色素(すなわち、Solvent Red 40(Yamamoto Chemical Companyから入手可能))と、酸発色剤(ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(Nippon Kayaku Company Ltd.から入手可能))との組み合わせについて、図15に示されるように急な角度で交差し得る。この2つの曲線は、各色素について密度0
.1に達するために必要な時間を示す。図15が、交差温度の下で、シアン色素がマゼンタ色素よりも迅速につき、交差温度の上で、マゼンタ色素が、シアン色素よりも迅速につく範囲で、このような関係は、本発明の1つの実施形態に従う多色熱印刷システムについての基礎として、それ自体が使用され得る。示される2つの色素について、マゼンタを混入せずにシアンを印刷するために、1本のラインにつき1秒を超える時間がかかることが観察される。この限界を超えるために、色素またはその環境は、より短い時間領域へと交差点を移動するように改変され得る。しかし、図8において上記されるようなマゼンタ色素層を「埋没」することによって、時間考慮事項からなおより望ましいシステムが、作製され得る。
【0087】
本発明に従う熱画像化部材の時間−温度ドメインを分割するためのなお別の技術が、図16に示される。この技術は、本発明に従う多色熱画像化部材60を使用し、この多色熱画像化部材60は、マゼンタ画像形成材料(この場合、ロイコ色素)の層62を、融点Tを有する酸発色材料の層64および融点Tを有する酸発色材料の層68と関連するシアン画像形成材料の層66と関連して含む。画像部材60はまた、第1タイミング層と、第2タイミング層(それぞれ、70および72)と、融点Tを有する固定材料の層74とを含む。画像化部材60はまた、層64または層68に隣接して位置し得る基材(示されず)を含み得る。
【0088】
適切な顕色剤と接触する際に不可逆的に色を形成する、公知のロイコ色素が存在する。この型の色素を用いて、定着材料の層74は、2つの画像形成層それぞれ62および66のいずれかにおける色形成を終了させる(が逆行させない)ように機能する。しかし、定着材料は、画像形成層における色の形成を終了させるためには、拡散または溶解によって、タイミング層それぞれ70および72を通過しなければならない。示されるように、タイミング層の一方(この例示的な例においては、タイミング層70)は、他方のタイミング層72より薄く、従って、定着材料は、マゼンタ画像形成層62に到達する時点より遅く、シアン画像形成層66に到達する。従って、本発明に従って、2つの色の形成の間に、タイミングの差が導入される。
【0089】
顕色層64および68は、顕色材料がロイコ色素と結合し得る前に、融解しなければならない。顕色層が異なる温度で融解するように、顕色層における材料を選択することによって、本発明に従って、2つの色の形成の間に温度差が導入される。この例示的な実施形態において、Tは、Tより低い(例えば、T=120℃およびT=140℃)。本発明のこの実施形態において、種々の可能性が提供される。画像化部材が120℃より低い温度に加熱される場合、顕色層64および68のいずれも融解せず、そして色が形成されない。さらに、画像化部材に適用される熱エネルギーが定着材料を融解するために十分であると仮定すると、定着層の融点Tは、顕色層の融点それぞれTおよびTより低く(例えば、T=100℃)、定着材料は、タイミング層70および72を通って拡散し、そして最終的に、両方の画像形成層を定着し、その結果、引き続く温度適用は、いずれの色をも形成させない。
【0090】
画像化部材60がTとTとの間の温度に加熱される場合、層64における顕色材料は融解し、そしてマゼンタロイコ色素前駆体と混合して、色を形成し始める。色形成の量は、主として、顕色層64の温度がTより高温のままである時間に依存する。この熱曝露に続いて、画像化部材の温度はTより低下し、そして定着材料が到達するまでこの温度に維持され、任意のさらなる色形成を防止する。画像化部材の温度がTより低い温度により長い時間にわたって維持される場合、定着材料もまた、シアン画像形成層66に到達し、そしてこの層による任意のさらなる色の形成を防止する。この様式で、選択可能な量のマゼンタ色が、シアン色のいずれの形成もなしで、形成され得る。
【0091】
類似の様式で、選択可能な量のシアンが、本発明に従って、いずれのマゼンタの形成もなしで、形成され得る。最初に、画像化部材は、Tより高温であるがTより低い温度に維持されて、定着材料をマゼンタ画像形成層62に到達させてこの層を不活化させ、これによって、この層が引き続いていずれの色をも形成することを防止する。続いて、温度がTより高温に上昇されて、層68における顕色材料をシアンロイコ色素前駆体と結合させ、そして紫苑色の形成を開始させる。シアン色の形成の量は、主として、この画像化部材の温度がTより高温に維持される時間に依存する。この手順はまた、層64における顕色材料を融解させるが、マゼンタ色の形成を生じないことが理解される。なぜなら、マゼンタ色素前駆体は、先に定着されているからである。引き続いて、画像化部材60の温度がTより低く低下され、そして定着材料が層66に到達するまでこのレベルに維持され、いかなるさらなるシアンの形成をも防止する。
【0092】
マゼンタとシアンとの両方を印刷するために、画像化部材60に適用される一連の熱パルスは、上でそれぞれシアンおよびマゼンタを作成するために記載された工程の組合せを実施するようなものである。最初に、画像化部材60は、Tより高温に加熱されて、選択可能な濃度のマゼンタを生成する。次いで、温度が、Tより低温に、マゼンタ前駆体層62を定着させるために十分な時間にわたって低下され、続いて、温度をTより高温に上昇させて、選択可能な濃度のシアン色を生成し、次いで、温度をTより低温に再度低下させると、シアン前駆体層66が定着する。
【0093】
先に記載されたように、広範な種々の異なる不可逆的な化学反応が、層において色の変化を達成するために使用され得る。任意の特定の例において使用される定着材料は、色変化を達成するために利用される機構の選択に依存する。例えば、この機構は、有色色素を形成するための2つの無色の材料の結合を包含し得る。この場合、定着試薬は、2つの色素前駆体分子のいずれかと反応して、無色の生成物を形成し、これによって、任意のさらなる色素形成を妨害する。
【0094】
本発明に従う2色画像化部材の、ネガとして作用するバージョンもまた、図17に示されるものと同じ原理に従って考案され得る。この実施において、色素層は、最初に有色であり、そしてこれらは、定着試薬がタイミング層を通って到達する前に、隣接する脱色試薬の層が熱的に活性化されない限り、有色のままである。ここで図17を参照すると、本発明による、ネガとして作用する熱画像化部材80が見られ、これは、第1の画像形成層82(例えば、マゼンタ色素層)、第2の画像形成層84(例えば、シアン色素層)、第1のタイミング層86および第2のタイミング層88、定着層90、ならびに第1の脱色剤層92および第2の脱色剤層94を備える。画像化部材80はまた、層92および層94に隣接して配置され得る基材(図示せず)を備え得る。
【0095】
例えば、マゼンタ色素およびシアン色素は、米国特許第4,290,951号および同第4,290,955号に記載されるように、塩基に曝露されることによって、不可逆的に脱色され得る。試薬層90が酸性材料を含み、そしてこの酸が、脱色層92および94における塩基性材料を中和するように選択される場合、この酸が塩基より前に色素含有層に到達する場合に、この塩基はマゼンタ色素もシアン色素も脱色し得ず、一方でこの塩基が酸より前に到達する場合には、不可逆的な脱色が起こることが、理解される。図8に示される実施形態に関して上で議論されたように、他の任意の印刷モダリティ(図9および10に関して記載されたように、画像化部材の裏から、第3の色を熱的に印刷すること、が挙げられる)によって、第3の色が得られ得る。
【0096】
図18は、本発明による三色熱画像化部材を示す。ここで図18を参照すると、図16に示される画像化部材60について示される層を含む画像化部材100が見られ、これらの層は、同じ参照番号によって指定されている。画像化部材100はまた、緩衝層102
、イエロー色素前駆体層104、および第3の酸顕色層106を備え、ここで、顕色材料は、TおよびTより高い融点T10を有する。図16に関して上で議論されたように、シアンおよびマゼンタにおいて所望の色濃度を形成した後に、画像化部材の温度がT10より高温に上昇されて、選択可能な濃度のイエロー色素を形成し得る。T10が、画像化部材100がその有用な寿命の間に遭遇しやすい温度より高い場合、イエローの画像の記入に続いて、イエロー色素前駆体を不活化する必要がないことが、注目されるべきである。画像化部材100はまた、層64または層106に隣接して配置され得る基材(図示せず)を備え得る。
【0097】
図16および18において示される画像化部材に対する層の寸法を選択する際に、タイミング層70は可能な限り薄いが、色素層62よりは実質的に薄くないことが、有利である。タイミング層72は、代表的に、タイミング層70の厚さの約2倍〜3倍である。
【0098】
ちょうど記載された方法に従う本発明の実施は、熱の拡散よりむしろ、化学種の拡散または溶解に依存することが、理解される。熱拡散定数は、通常、比較的温度非感受性であるが、化学物質の拡散の拡散定数は、代表的に、温度の逆数に指数関数的に依存し、従って、周囲温度の変化により感受性である。さらに、律速機構として溶解が選択される場合、多数のシミュレーションは、タイミングが代表的に非常に重要であることを示す。なぜなら、一旦タイミング層がブリーチされると、着色プロセスが比較的迅速に起こるからである。
【0099】
色が不可逆的に形成される任意の化学反応が、原理的に、上に記載される定着機構に耐える。不可逆的に色を形成する材料としては、2つの材料が結合して色素を形成するものが挙げられる。定着機構は、2つの色素形成材料の一方と優先的に結合して無色の生成物を形成する、第3の試薬を導入することによって、達成される。
【0100】
上に列挙される方法に加えて、化学的閾値がまた、本発明の多色熱画像化システムに従って、時間−温度領域の分割のために使用され得る。この機構の例として、色素が酸に曝露される場合に活性化される、ロイコ色素反応を考える。この色素に加えて、媒体が、この色素よりかなり塩基性の材料(この材料は、酸によってプロトン化される場合に色を変化させない)を含有する場合、このより塩基性の物質の全てがプロトン化されるまで、この混合物への酸の添加は、いずれの可視の色変化をも生じない。この塩基性材料は、任意の着色が明らかである前に超えなければならない、酸の閾値量を提供する。酸の添加は、種々の技術によって達成され得る(例えば、高温において融解および拡散する、酸性顕色結晶の分散物を有することによって、または加熱された際に、拡散するかもしくは色素層と混合する、別個の酸性顕色層を有することによって)。
【0101】
色素を活性化させるために必要とされる酸レベルに達する際に、特定の時間遅延が含まれる。この期間は、画像化部材に塩基を添加することによって、かなり調整され得る。添加された塩基の存在下で、上記のように、この塩基を中和するための酸の量を増加させるために必要な時間間隔が存在する。この時間を超えると、画像化部材は、着色される。同じ技術が、逆の順序で使用され得ることがわかる。塩基によって活性化する色素は、酸のバックグラウンドレベルの追加によって、そのタイミングを増加させ得る。
【0102】
この特定の実施形態において、酸または塩基の顕色材料の、色素含有層への拡散は、代表的に、色素の、顕色層への逆の拡散によって達成されることが、注目に値する。これが起こる場合、色の形成は、ほぼ即座に開始し得る。なぜなら、拡散する色素は、顕色材料レベルがこの色素を活性化させるために必要な閾値レベルをはるかに超えている環境にあり得るからである。従って、色素が顕色層に拡散することを抑制することが、好ましい。このことは、例えば、長い分子鎖をこの色素に結合させること、この色素をポリマーに結
合させること、またはこの色素をイオン性アンカーに結合させることによって達成され得る。
【実施例】
【0103】
本発明の熱画像化システムは、ここで、例として、特に好ましい実施形態に関してさらに記載され、これらが、単なる例示であると意図され、本発明がそこに記載される材料、量、手順およびプロセスパラメーターなどに限定されないことが理解される。全ての部および割合は、他に特定しない限り、重量による。
【0104】
以下の材料を、以下に記載の実施例において使用した:
Leuco Dye I、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドール−3−イル)フタリド(Red 40、Yamamoto Chemical Industry Co.,Ltd.,Wakayama,Japanから入手可能);
Leuco Dye II、7−(1−ブチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−7−(4−ジエチルアミノ−2−メチル−フェニル)−7H−フロ[3,4−b]ピリジン−5−オン(Hilton−Davis Co.,Cincinnati,OHから入手可能);
Leuco Dye III、1−(2,4−ジクロロ−フェニルカルバモイル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−1−フェノキシ−ブチル]−(4−ジエチルアミノーフェニル)−カルバミン酸イソブチルエステル(米国特許第5,350,870号に記載のように調製した);
Leuco Dye IV、Pergascript Yellow I−3R(Ciba Specialty Chemicals Corporation,Tarrytown,NYから入手可能);
Acid Developer I、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(Nippon Kayaku Co.,Ltd,Tokyo,Japanから入手可能);
Acid Developer II、PHS−E、あるグレードのポリ(ヒドロキシスチレン)(ChemFirst Inc.,Jackson,MSの関連子会社のTriQuestから入手可能);
Acid Developer III、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸の亜鉛塩(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから入手可能);
Acid Developer IV、3−オクチル−5−メチルサリチル酸の亜鉛塩(以下の実施例7に記載されるように調製した);
Airvol 205、あるグレードのポリ(ビニルアルコール)(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから入手可能);
Airvol 350、あるグレードのポリ(ビニルアルコール)(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから入手可能);
Airvol 540、あるグレードのポリ(ビニルアルコール)(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから入手可能);
Genflo 350、ラテックス結合剤(Omnova Solutions,Fairlawn,OHから入手可能);
Genflo 3056、ラテックス結合剤(Omnova Solutions,Fairlawn,OHから入手可能);
Glascol C44、水性ポリマー分散物(Ciba Specialty Chemicals Corporation,Tarrytown,NYから入手可能);
Joncryl 138、結合剤(S.C.Johnson,Racine,WIから入手可能);
Irganox 1035、酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corporation,Tarrytown,NYから入手可能);
Aerosol−OT(Dow Chemical,Midland,MIから入手可能な界面活性剤);
Dowfax 2A1、(Dow Chemical,Corporation,Midland,MIから入手可能な界面活性剤);
Ludox HS40(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能なコロイド状シリカ);
Nipa Proxel(Nipa Inc.,Wilmington,DEから入手可能な殺菌剤);
Pluronic 25R2(BASF,Ludwigshaven,Germanyから入手可能な界面活性剤);
Tamol 731、ポリマー性界面活性剤(ポリマー性カルボン酸のナトリウム塩)(Rohm and Haas Company,Philadelphia,PAから入手可能);
Triton X−100(Dow Chemical Corporation,Midland、MIから入手可能な界面活性剤);
Zonyl FSN、界面活性剤(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能);
Zonyl FSA、界面活性剤(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能);
Hymicron ZK−349(Cytech Products,Inc.,Elizabethtown,KYから入手可能なあるグレードのステアリン酸亜鉛);
Klebosol 30V−25(Clariant Corporation,Muttenz,Switzerlandから入手可能なシリカ分散物);
二酸化チタン(Titanium dioxide)(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能な顔料);
グリオキサール(Glyoxal)(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから入手可能);
Melinex 534、約96ミクロンの厚みの白色ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム基材(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能);
Cronar 412、約102ミクロンの厚みの透明なポリ(エチレンテレフタレート)フィルム基材(DuPont Corporation,Wilmington,DEから入手可能)。
【0105】
(実施例I)
2色の画像化部材(図8に図示され、シアン色形成層上に堆積されたオーバーコート層をさらに含む)を、以下のように調製した:
A.マゼンタ画像形成層を、以下のように調製した:
ロイコマゼンタ色素(Leuco Dye I)を、脱イオン水中のAirvol 205(合計固体の4.5%)および界面活性剤Pluronic 25R2(合計固体の1.5%)およびAerosol−OT(合計固体の5.0%)を含む水性混合物中に、ガラスビーズを備えたアトリター(attriter)を使用して分散させ、18時間2℃で攪拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.28ミクロンであり、そして合計の固体含有量は、19.12%であった。
【0106】
Acid Developer Iを、Airvol 205(全固体の7.0%)、
Pluronic 25R2(合計固体の1.5%)、および脱イオン水を含む水性混合物中に、ガラスビーズを備えたアトリターを使用して分散させ、18時間2℃で攪拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.42ミクロンであり、そして合計の固体含有量は、29.27%であった。
【0107】
上記分散物を使用して、以下に示される割合でマゼンタコーティング流体を作製した。このように調製されたコーティング組成物を、Meyerロッドを使用して、Melinex 534上にコーティングし、乾燥させた。意図されるコーティングの厚みは、2.9ミクロンであった。
【0108】
【表1】


B.断熱中間層を、以下のようにマゼンタ画像化層上に堆積した:
中間層のためのコーティング流体を、以下に記載される割合で調製した。このように調製された画像中間層コーティング組成物を、13.4ミクロンの意図される厚みのために、Meyerロッドを使用してマゼンタ画像化層上にコーティングし、そして空気乾燥させた。
【0109】
【表2】


C.シアン画像形成層C1〜C3を、以下のように、断熱層上に耐性した:
C1 シアン顕色液層
Acid Developer IIIを、脱イオン水中のAirvol 205(全固体の6.0%)、Aerosol−OT(全固体の4.5%)およびTriton X−100(全固体の0.5%)を含む水性混合物中に、ガラスビーズを備えたアトリターを使用して分散させ、18時間室温で攪拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.24ミクロンであり、そして合計の固体含有量は、25.22%であった。
【0110】
上記分散物を使用して、以下に示される割合でシアン顕色剤コーティング流体を作製した。このように調製したシアン顕色剤コーティング組成物を、1.9ミクロンの意図される厚みのために、Meyerロッドを使用して画像化中間層の頂部にコーティングし、そして空気乾燥させた。
【0111】
【表3】

C2 シアン中間層
シアン中間層コーティング流体を、以下に示される割合で調製した。このように調製されたシアン中間層コーティング組成物を、2.0ミクロンの意図される厚みのために、Meyerロッドを使用してシアン顕色剤層の頂部にコーティングし、そして空気乾燥させた。
【0112】
【表4】


C3 シアン色素層
ロイコシアン色素(Leuco Dye II)を、脱イオン水中のAirvol 350(全固体の7.0%)、Airvol 205(全固体の3.0%)、Aerosol−OT(全固体の1.0%)およびTriton X−100(全固体の0.2%)を含む水性混合物中に、ガラスビーズを備えたアトリターを使用して分散させ、18時間室温で攪拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.58ミクロンであり、そして合計の固体含有量は、26.17%であった。
【0113】
上記分散物を使用して、以下に示される割合でシアンコーティング流体を作製した。このように調製したシアンコーティング組成物を、0.6ミクロンの意図される厚みのために、Meyerロッドを使用してシアン中間層にコーティングし、そして空気乾燥させた。
【0114】
【表5】


D.保護性オーバーコートを、以下のように、シアン色形成層に堆積させた:
スリップオーバーコートを、シアン色素層上にコーティングした。オーバーコートを、以下に示される割合で調製した。このように調製されたオーバーコートコーティング組成物を、1.0ミクロンの意図される厚みのために、Meyerロッドを使用してシアン色素層にコーティングし、そして空気乾燥させた。
【0115】
【表6】


得られた6層の画像化部材を、熱ヘッド、モデルKST−87−12−MPC8(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyto,Japan)を備える実験室テスト−ベッドプリンターを使用して印刷した。
【0116】
以下の印刷パラメーターを使用した:
プリントヘッド幅: 3.41インチ
1インチ当たりのピクセル: 300
抵抗器サイズ: 69.7×80ミクロン
抵抗: 3536オーム
ライン速度: 1ライン当たり8ミリ秒
印刷速度: 1秒当たり0.42インチ
圧力: 1.5〜2 lb/リニアインチ
ドットパターン: 矩形格子。
【0117】
シアン層を、高出力/短時間条件で印刷した。色のグラデーションを得るために、パルス幅を、20の等しい段階で、0〜最大1.3ミリ秒(合計のラインタイムの約16.3%)に増加させ、一方、プリントヘッドに供給される電圧を、27.0Vに維持した。
【0118】
より低い出力/より長い時間の条件を使用して、マゼンタ層を印刷した。パルス幅を、20の等しい段階で、0〜最大8ミリ秒のラインタイムに増加させ、一方、プリントヘッドに供給される電圧を、14.5Vに維持した。
【0119】
印刷に続いて、印刷領域のそれぞれの反射濃度を、GretagMacbeth AG,Regensdorf,Switzerlandからの分光光度計を使用して測定した。結果を、表IおよびIIに示す。表Iは、熱ヘッドよって供給されたエネルギーの関数としてのシアン層の印刷を示す。得られたマゼンタ密度も同様に示す。シアン密度とマゼンタ密度との間の比(C/M)もまた、表Iに含まれる。同様に、表IIは、熱ヘッドよって供給されたエネルギーの関数としてのマゼンタ層の印刷を示す。マゼンタ密度とシアン密度との間の比(M/C)を示す。
【0120】
表IにおけるC/M比および表IIにおけるM/C比は、別の色ではなく1つの色を示差的にプリントする際の成功を示す測定量である。しかし、これらの数値が、層の識別の程度を完全には反映しない2つの理由が存在する。第1に、測定された密度は、根底にある媒体基材による光の吸収から生じる寄与を有する(例えば、プリントが存在しない場合であっても、0.04密度単位の誤差吸収が存在する)。第2に、各色素は、それ自体の色帯域の外側にもいくらかの吸収を有する。従って、測定されたシアンの光学密度とマゼンタの光学密度との比は、着色したマゼンタ色素に対する着色したシアン色素の比と同じではない。
【0121】
基材吸収についてのおおよその補正は、各々の測定された密度の値から、非加熱媒体の光学密度を減算することによってなされ得る。各色素の帯域外吸収についての補正は、より複雑である。本明細書中では、この補正手順についての一般的な例として、三色画像化部材(3つの色素層からなる)を検討する。
【0122】
第1に、帯域外の吸収は、3つの各色帯域における3つの各色素の密度を測定すること、および基材密度についてそれらの密度を補正することによって特徴付けられた。3つの単色サンプルを使用した。各々は、それらの色素の1つに関して特定の領域−濃度aを有した(ここで、jは、その色素が、シアン(cyan)であるか、マゼンタ(magenta)であるか、またはイエロー(yellow)であるかに依存して、それぞれ、C、MまたはYである)。
【0123】
このような測定の結果は、以下の通りであった:
【0124】
【表7】


この行列において記録された密度は、dijと表示される。ここでiおよびjは、C、MおよびYの色値であり、例えば、dCMの値は、シアン色素サンプルのマゼンタ密度である。
【0125】
これらのデータを記録した領域−濃度の着色色素以外の領域−濃度の着色色素を有する場合、その色素についての密度は、領域−濃度に比例して概算される。特に、サンプルが、着色したシアン色素、マゼンタ色素、およびイエロー色素の領域濃度a、aおよびaを有する場合、同一のプリント条件下では、以下の測定密度D、DおよびDが観察される:
【0126】
【数1】


これは、以下のように、標準的な行列表記で記述され得る:
【0127】
【数2】


サンプルの密度D、DおよびDが測定された場合、較正サンプルのものと比較して、そのサンプルにおける着色色素の領域濃度を見出すために、この式の逆数が使用され得る。
【0128】
【数3】


これらの量は、適用された熱による各層の着色化をより正確に表し、そしてこれらの層
における色素のスペクトル吸収重複によって混乱されない。そういうものとして、これらの量は、別の層に影響を与えることなく1つの層に関して記述され得る程度を、より正確に表す。
【0129】
本発明者らは、「クロストーク」を、1つの色層のみにおける光学密度を生成させようとする試みが、別の色層における所望されない光学密度の生成を生じさせる程度と規定し得る。例えば、シアン層およびマゼンタ層を有する媒体を有し、そしてそのマゼンタ層に関して記述することを試みようとする場合、シアンに由来する相対的なクロストークは、以下により表され得る:
【0130】
【数4】


同様の式が、シアン層に関して記述しようと試みる場合のマゼンタのクロストークについて記述され得る。
【0131】
これらのクロストークの値を、表IおよびIIの最後の欄に記録する。同様の値を、測定された密度が、意味のある結果を生じさせるに十分に大きい(密度が0.1より大きい)場合についてのみであって、かつ画像化部材の同一表面からアドレスされた層についてのみではあるが、以下の実施例についても同様に報告する。
【0132】
【表8】

【0133】
【表9】


(実施例II)
この実施例は、図8に例示されるような二色の画像化部材を例示する。上部の色を形成する層はイエローの色を生じさせ、これは米国特許第5,350,870号に記載されるような単分子熱反応メカニズムを使用する。下部の色を形成する層はマゼンタの色を生じさせ、これは酸顕色剤およびマゼンタのロイコ色素を使用する。
【0134】
A.マゼンタ画像形成層を、以下のようにして調製した:
ロイコ色素I(Leuco Dye I)および酸顕色剤I(Acid Developer I)の分散物を、上記の実施例IパートAに記載されるようにして調製した。
【0135】
酸顕色剤II(Acid Developer II)を、脱イオン水中にAirvol 205(総固体の2%)、Dowfax 2A1(総固体の2%)、およびIrganox 1035(総固体の5%)を含む水性混合物中において、ガラスビーズを備えたアトリッター(attriter)を使用して分散させ、そして10〜15℃で24時間にわたり撹拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.52ミクロンであり、そして総固体含量は22.51%であった。
【0136】
上記の分散物を使用して、以下に述べる比率で、マゼンタコーティング液を作製した。このようにして調製されたコーティング組成物を、Meyer棒を使用して、Melinex 534上にコーティングし、そして乾燥させた。意図したコーティングの厚さは、3ミクロンであった。
【0137】
【表10】


B.熱を遮断する中間層を、コーティングの厚さが16.1ミクロンであったことを除いて、上記の実施例IパートBに記載のようにして、マゼンタ画像化層上に沈着させた。
【0138】
C.イエロー画像形成層を、以下のようにして、熱を遮断する層の上に沈着させた:
ロイコ色素III(Leuco Dye III)を、脱イオン水中にAirvol 205(総固体の4.54%)、Aerosol−OT(総固体の2.73%)、およびPluronic 25R2(総固体の1.82%)を含む水性混合物中において、ガラスビーズを備えたアトリッターを使用して分散させ、そして室温で18時間にわたり撹拌した。得られた分散物の平均粒子サイズは、約0.49ミクロンであり、そして総固体含量は25.1%であった。
【0139】
上記の分散物を使用して、以下に述べる比率で、イエローコーティング液を作製した。このようにして調製されたイエローコーティング組成物を、Meyer棒を使用して、熱を遮断する中間層上において、意図される3ミクロンの厚みでコーティングし、そして風乾させた。
【0140】
【表11】


D.保護オーバーコートを、以下のようにして、イエロー形成層上に沈着させた:
スリップオーバーコートを、イエロー色素層上にコーティングした。このオーバーコートを、以下に述べる比率で調製した。このようにして調製されたオーバーコートコーティング組成物を、Meyer棒を使用して、イエロー色素層上において、意図される1.0ミクロンの厚みでコーティングし、そして風乾させた。
【0141】
【表12】


得られた四層画像化部材を、サーマルヘッドを備えた実験室試験台プリンター(モデルKST−87−12MPC8(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan))を使用して、プリントした。以下の印刷パラメーターを使用した:
プリントヘッド幅:3.41インチ
1インチあたりの画素:300
抵抗器サイズ:69.7×80ミクロン
抵抗:3536オーム
ライン速度:1ラインあたり8ミリ秒
印刷速度:1秒あたり0.42インチ
圧力:1.5〜2 lb/線形インチ
ドットパターン:長方形格子。
【0142】
イエロー層を、高出力/短時間条件でプリントした。色のグラデーションを得るために、プリントヘッドに供給される電圧を29.0Vに維持したままで、21回の等価な工程においてパルス幅を0から最大1.65ミリ秒(総ライン時間の約20.6%)まで増加させた。
【0143】
低出力/長時間条件を使用して、マゼンタ層をプリントした。プリントヘッドに供給される電圧を16Vに維持したままで、21回の等価な工程においてパルス幅を0から8ミリ秒ライン時間の99.5%まで増加させた。
【0144】
プリント後、プリントされた各領域における反射濃度を、Gretag Macbeth分光光度計を使用して測定した。この結果を、表IIIおよびIVに示す。表IIIは、サーマルヘッドにより供給されるエネルギーの関数として、イエロー層のプリントを示す。得られたマゼンタ密度もまた同様に示す。イエローとマゼンタとの間での密度(Y/M)およびクロストークの比もまた表IIIに含まれる。同様に、表IVは、サーマルヘッドにより供給されるエネルギーの関数として、マゼンタ層のプリントを示す。マゼンタ密度とイエロー密度との間での比を示し(M/Y)およびそのクロストークも示す。
【0145】
【表13】

【0146】
【表14】


(実施例III)
この実施例は、図8に例示したような、そしてさらにシアン色形成層上に堆積されたオーバーコート層を備える、2色画像化部材を例示する。この実施例において、図8の断熱層18は不透明であるが、一方、基材12は透明である。従って、この実施例に記載される画像化部材を使用して、不透明な画像化部材の一方の側面にのみ位置する熱ヘッドを用いて、その画像化部材の両側を独立して印刷することが可能である。
【0147】
A.Leuco Dye IおよびAcid Developer Iの分散を、以下の実施例IV、C部において記載されるように調製した。
【0148】
Acid Ceveloper IIを上記実施例II、A部に記載されるように分散させた。
【0149】
上記の分散物を使用して、以下に示される割合で、マゼンタコーティング流体を作製した。このように調製したコーティング組成物で、透明なポリエステルフィルム基礎(Cronar 412)をコーティングして、乾燥させた。意図されたコーティング被覆率(coverage)は、3.3g/mであった。
【0150】
【表15】

B.断熱内部層を、マゼンタ画像化層上に、以下のように堆積させた:
この内部層のためのコーティング流体を、以下の割合で調製した。このように調製した画像内部層コーティング組成物で、8.95ミクロンの意図された厚さで、マゼンタ画像化層をコーティングした。
【0151】
【表16】


C.不透明層を、以下のように断熱層上に堆積させた:
二酸化チタンの分散物を、以下のように調製した:
二酸化チタンを、Tamol 731(総固体の3.86%)、Ludox HS40(総固体の3.85%)および微量(750ppm)のNipa Proxelを脱イオン水中に含む水性混合物中に、ガラスビーズを備えた摩滅剤(attriter)を使用して分散させ、そして室温で18時間攪拌した。この分散物の総固体含量は、50.2%であった。
【0152】
このように調製した分散物を使用して、以下に示される割合のコーティング流体を作製した。コーティング流体を、12.4ミクロンの意図した厚さで、断熱層上にコーティングした。
【0153】
【表17】


D.シアン画像形成層D1〜D3を、以下のように断熱層上に堆積させた:
D1 シアン発色層。
【0154】
Acid Developer IIIを、以下の実施例IV、E1部に記載されるように分散させた。
【0155】
上記の分散物を使用して、以下に示される割合のシアン発色コーティング流体を作製した。このように調製したシアン発色コーティング組成物で、1.74ミクロンの意図した厚さで、画像化内部層の上部をコーティングした。
【0156】
【表18】


D2 シアン内部層。
【0157】
シアン内部層コーティング流体を、以下に示す割合で調製した。このように調製したシ
アン内部層コーティング組成物で、1.0ミクロンの意図した厚さで、シアン発色層上をコーティングした。
【0158】
【表19】


D3 シアン色素層。
【0159】
ロイコシアン色素DyeIIを、以下の実施例4、E部に記載されるように分散させた。
【0160】
この分散物を使用して、以下に示す割合のシアンコーティング流体を作製した。このように調製したシアンコーティング組成物で、0.65ミクロンの意図した厚さで、シアン内部層上をコーティングした。
【0161】
【表20】


E.保護的オーバーコートを、以下のように、シアン色形成層上に堆積させた:
スリップオーバーコートで、シアン色素層上をコーティングした。このオーバーコートを、表VIに示される割合で調製した。このように調製したオーバーコートコーティング組成物で、1.1ミクロンの意図した厚さで、シアン色素層をコーティングした。
【0162】
【表21】


得られた画像化部材に、上記の実施例IIに記載されるように印刷した。シアン画像は、基材の前方から可視的であり、一方、マゼンタ画像は、後方から可視的であった。従って、シアン画像についての光学濃度は、画像化部材の上部表面から得られ、そしてマゼンタ画像についての光学濃度は、画像化部材の後方から得られた。
【0163】
このシアン層に、高出力/短時間の条件で印刷した。色のグラデーションを得るために、パルス幅を、0から最大1.41ミリ秒(総ライン時間(line time)の約18.5%)まで、20の等しい段階で増加させ、一方、プリントヘッドに供給される電圧を、29.0Vで維持した。
【0164】
低出力/長時間の条件を使用して、マゼンタ画像を印刷した。パルス幅を、0から全8ミリ秒のライン時間まで、20の等しい段階で増加させ、一方、プリントヘッドに供給さ
れる電圧を、14.5Vで維持した。
【0165】
印刷後、印刷された各領域の反射濃度を、Gretag Macbeth分光光度計を使用して測定した。結果を、表Vおよび表VIに示す。表Vは、シアン層の印刷を、熱ヘッドによって供給されるエネルギーの関数として示す。得られたマゼンタ濃度も、同様に示す。表Vには、シアン濃度とマゼンタ濃度との間の比率(C/M)およびクロストークも含まれる。同様に、表VIは、マゼンタ層印刷を、熱ヘッドによって供給されるエネルギーの関数として示す。マゼンタ濃度とシアン濃度との間の比率(M/C)およびクロストークが示される。
【0166】
【表22】

【0167】
【表23】


(実施例IV)
図9に例示されるような、そしてシアン色形成層上に堆積されたオーバーコート層をさらに含む、三色画像化部材を、以下のように調製する:
A.イエロー画像形成層を、以下のように調製する:
ロイコイエロー色素(Leuco Dye IV)を、C部におけるLeuco Dye Iの分散を提供するために使用した方法と類似の方法を使用して分散させ、20.0%の色素濃度を得た。
【0168】
Acid Developer IV(10g)を、10gのMulliteビーズを含む4オンスのガラスジャー中で、Tamol 731(7.06%水溶液の7.08g)および脱イオン水(32.92g)を含む水性混合物中に分散させ、室温で16時間攪拌した。発色剤濃度は、20.0%であった。
【0169】
上記の分散物を使用して、以下に示す割合で、イエローコーティング流体を作製した。このように調製したコーティング組成物で、Melinex 534上をコーティングし、乾燥させた。意図されたコーティング被覆率は、2.0g/mであった。
【0170】
【表24】


B.断熱内部層を、以下のようにしてイエロー画像化層上に堆積させた:
内部層についてのコーティング流体を、表IIに示される割合で調製した。このように調製した画像内部層コーティング組成物で、9.0g/mの意図した被覆率で、イエロー画像化層上をコーティングした。
【0171】
【表25】


C.マゼンタ画像形成層を、以下のように調製した:
Leuco Dye I(15.0g)を、Mulliteビーズを含む4オンスのガラスジャー中で、脱イオン水(31.07g)中にAirvol 205(20%水溶液の3.38g)、Triton X−100(5%水溶液の0.6g)およびAerosol−OT(19%水溶液の15.01g)を含む水性混合物中に分散させ、室温で16時間攪拌した。総色素含量は、20.00%であった。
【0172】
Acid developer I(10g)を、10gのMulliteビーズを含む4オンスのガラスジャー中で、Tamol 731(7.06%水溶液の7.08g)および脱イオン水(32.92g)を含む水性混合物中に分散させ、室温で16時間攪拌した。発色剤濃度は、20.0%であった。
【0173】
Acid developer IIを、上記実施例II、A部に記載されるように分散させた。
【0174】
上記の分散物を使用して、以下に示される割合でマゼンタコーティング流体を作製した。このように調製したコーティング組成物で、断熱内部層上をコーティングし、乾燥させた。意図したコーティング被覆率は、1.67g/mであった。
【0175】
【表26】


D.断熱内部層を、以下のように、マゼンタ画像化層上に堆積させた:
内部層についてのコーティング流体を、以下に示す割合で調製した。このように調製した画像内部層コーティング組成物で、3回通過させて、13.4g/mの意図した被覆率で、マゼンタ画像化層上をコーティングした。
【0176】
【表27】


E.シアン画像形成層E1〜E3を、以下のように、断熱層上に堆積させた:
E1 シアン発色層。
【0177】
Acid developre III(10g)を、10gのMulliteビーズを含む4オンスのガラスジャー中で、Tamol 731(7.06%水溶液の7.08g)および脱イオン水(32.92g)を含む水性混合物中に分散させ、室温で16時間攪拌した。発色剤濃度は、20.0%であった。
【0178】
上記の分散物を使用して、以下に示す割合で、シアン発色コーティング流体を作製した。このように調製したシアン発色コーティング組成物で、1.94g/mの意図した厚さで、断熱内部層の上部をコーティングした。
【0179】
【表28】


E2 シアン中間層
シアン中間層コーティング液を、以下に示す比率で調製した。このように調製したこのシアン中間層コーティング組成物を、1.0g/mの意図する厚みでシアン発色層の上にコーティングした。
【0180】
【表29】


E3 シアン色素層
Leuco Dye II(15.0g)を、Mulliteビーズを含む4オンスガラスジャー中で、脱イオン水(52.61g)中にAirvol 350(11.06gの9.5%水溶液)、Airvol 205(2.25gの20%水溶液)、Aerosol−OT(2.53gの19%水溶液)、およびTriton X−100(1.49gの5%水溶液)を含む水性混合物中に分散し、室温にて16時間攪拌した。色素濃度は、20.0%であった。
【0181】
上記分散物を用いて、以下の比率のシアンコーティング液を調製した。このように調製したこのシアンコーティング組成物を、0.65g/mの意図する範囲でシアン中間層の上にコーティングした。
【0182】
【表30】


F.保護オーバーコートを、以下のように、シアン色形成層上に配置させた。
【0183】
スリップオーバーコートを、シアン色素層の上にコーティングした。このオーバーコートを、以下に示す比率で調製した。このように調製したこのオーバーコートコーティング組成物を、1.1g/mの意図する範囲でシアン色素層の上にコーティングした。
【0184】
【表31】


得られた画像化部材を、サーマルヘッドを備える研究用試験ベッドプリンター(モデルKST−87−12MPC8(Kyocera Corporation、6 Takedatobadono−cho、Fushimi−ku、Kyoto、Japan)を用いて印刷した。以下の印刷パラメータを使用した:
プリントヘッド幅 : 3.41インチ
ピクセル/インチ : 300
レジスタサイズ : 69.7×80ミクロン
抵抗 : 3536Ω
ライン速度 : 8ミリ秒/ライン
印刷速度 : 0.42インチ/秒
圧力 : 1.5〜2lb/直線インチ
ドットパターン : 矩形グリッド。
【0185】
シアン層を、高電力/短時間条件で印刷した。色のグラデーションを得るために、プリントヘッドに供給する電圧を29.0Vに維持しつつ、パルス幅を、10個の等しい工程において、ゼロから最大1.31ミリ秒(総ライン時間の約16.4%)まで増加させた。
【0186】
低電力/長時間条件を用いて、マゼンタ層を印刷した。プリントヘッドに供給する電圧を15Vに維持しつつ、パルス幅を、10個の等しい工程において、ゼロから8ミリ秒ライン時間の99.5%まで増加させた。
【0187】
超低電力/超長時間条件を用いて、イエロー層を印刷した。印刷条件のいくつかを、以下のように変更した:
ライン速度 : 15.23ミリ秒/ライン
パルス幅 : 15.23ミリ秒
印刷速度 : 0.0011インチ/秒
印刷されるライン : 1600、最大密度の1工程。
【0188】
印刷後、各々の印刷領域における反射密度を、Gretag Macbeth分光計を用いて測定した。その結果を、表VII、表VIII、および表IXに示す。表VIIは、サーマルヘッドにより供給されたエネルギーの関数として、シアン層の印刷を示す。マゼンタおよびイエローの密度ならびに得られるクロストーク(cross−talk)もまた示す。同様に、表VIIIは、サーマルヘッドにより供給されたエネルギーの関数として、マゼンタ層の印刷を示す。表IXは、適用される電圧およびエネルギーの関数とし
て、イエローを印刷した場合に得られる密度を示す。
【0189】
【表32】

【0190】
【表33】

【0191】
【表34】


この実施例は、3つ全ての色が、図9に示されるように構築された画像化部材の同一側
にアドレスされたサーマルヘッドを用いて独立して印刷され得ることを示す。
【0192】
(実施例V)
この実験は、図10に示されるような3色画像化部材を示す。上部の画像形成層は、米国特許第5,350,870号に記載されるように、単一分子熱反応機構を用いて、イエローを生じる。中間の画像形成層は、酸発色剤、酸補助発色剤、およびマゼンタロイコ色素を用いて、マゼンタ色を生じる。下部の画像形成層は、酸発色剤およびシアンロイコ色素を用いて、シアン色を生じる。マゼンタ層とシアン層との間で、約102ミクロンの厚みの厚い透明ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムベース(Cronar 412)を使用した。下部のシアン画像形成層の下に、厚い、不透明の、白色層を、マスク層として使用した。この画像化部材を、上部(イエローおよびマゼンタ)および下部(シアン)からアドレスした。しかし、不透明層の存在が原因で、3つ全ての色は、上部からのみ見ることができた。この様式において、フルカラー画像を獲得することができた。
【0193】
A.マゼンタ画像形成層を、以下のように調製した。
【0194】
Leuco Dye IおよびAcid Developer Iの分散物を、上記の実施例I、第A部に記載されるように調製した。
【0195】
Acid Developer IIIの分散物を、上記の実施例II、第A部に記載されるように調製した。
【0196】
上記分散物を用いて、以下に示す比率のマゼンタコーティング液を調製した。このように調製したコーティング組成物を、Meyerロッドを用いて、約102ミクロンの厚みの透明ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムベース(Cronar 412)をゼラチンサブコーティング側にコーティングし、そして乾燥させた。意図するコーティングの厚みは、3ミクロンであった。
【0197】
【表35】


B.熱絶縁中間層を、上記の実施例II、第B部に記載されるように、マゼンタ画像化層に配置させた。
【0198】
C.イエロー画像形成層を、以下のように、熱絶縁層に配置させた。
【0199】
Leuco Dye IIIの分散物を、上記の実施例II、第C部に記載されるように調製した。この分散物を用いて、以下に示す比率のイエローコーティング液を調製した。このように調製したイエローコーティング組成物を、Meyerロッドを用いて、3ミクロンの意図する厚みで、熱絶縁中間層上にコーティングし、そして風乾した。
【0200】
【表36】


D.保護オーバーコートを、以下のように、イエロー画像形成層上に堆積させた。
【0201】
スリップオーバーコートを、イエロー色素層の上にコーティングした。このオーバーコートを、以下に示す比率で調製した。このように調製したこのオーバーコートコーティング組成物を、1.0ミクロンの意図する厚みで、Meyerロッドを用いて、イエロー色素層の上にコーティングし、そして風乾した。
【0202】
【表37】


E.シアン画像形成層を、以下のように調製した。
【0203】
Leuco Dye IIを、脱イオン水中にAirvol 205(総固体の2.7%)、Airvol 350(総固体の6.3%)、Triton X−100(総固体の0.18%)、およびAerosol−OT(総固体の0.9%)を含む水性混合物中に、ガラスビーズを備える磨滅器(attriter)を用いて分散し、そして室温にて18時間攪拌した。この分散物の総固体含有量は、20%であった。
【0204】
Acid Developer Iの分散物を、上記の実施例I、第A部に記載されるように調製した。
【0205】
上記分散物用いて、以下に示す比率のシアンコーティング液を調製した。このように調製したコーティング組成物を、Meyerロッドを用いて、透明ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムベースの反対側に、コーティングA〜Dとしてコーティングし、そして風乾した。意図するコーティングの厚みは、2ミクロンであった。
【0206】
【表38】

F.マスク不透明層
二酸化チタンを、脱イオン水中にTamol 731(総固体の3.86%)、Ludox HS40(総固体の3.85%)、および微量(750ppm)のNipa Proxelを含む水性混合物中に、ガラスビーズを備える磨滅器(attriter)を用いて分散し、そして室温にて18時間攪拌した。この分散物の総固体含有量は、50.2%であった。
【0207】
上記分散物を用いて、以下に示す比率のコーティング液を調製した。このように調製したコーティング組成物を、Meyerロッドを用いて、15ミクロンの意図する厚みでシアン画像形成層上にコーティングし、そして風乾した。
【0208】
【表39】


G.保護オーバーコートを、上記の第D部に記載されるように、不透明層上に配置させた。
【0209】
得られた画像化部材を、サーマルヘッドを備える研究用試験ベッドプリンター(モデルKST−87−12MPC8(Kyocera Corporation、6 Takedatobadono−cho、Fushimi−ku、Kyoto、Japan)を用いて印刷した。以下の印刷パラメータを使用した:
プリントヘッド幅 : 3.41インチ
ピクセル/インチ : 300
レジスタサイズ : 69.7×80ミクロン
抵抗 : 3536Ω
ライン速度 : 8ミリ秒/ライン
印刷速度 : 0.42インチ/秒
圧力 : 1.5〜2lb/直線インチ
ドットパターン : 矩形グリッド。
【0210】
イエロー層を、高電力/短時間条件で前面から印刷した。色のグラデーションを得るために、プリントヘッドに供給する電圧を29.0Vに維持しつつ、パルス幅を、21個の等しい工程において、ゼロから最大1.65ミリ秒(総ライン時間の約20.6%)まで増加させた。
【0211】
低電力/長時間条件を用いて、マゼンタ層を印刷した。これもまた、前面からアドレスした。プリントヘッドに供給する電圧を16Vに維持しつつ、パルス幅を、21個の等しい工程において、ゼロから8ミリ秒ライン時間の99.5%まで増加させた。
【0212】
シアン層を、高電力/短時間条件で、背面(不透明層を有するフィルムベースの側)から印刷した。色のグラデーションを得るために、プリントヘッドに供給する電圧を29.0Vに維持しつつ、パルス幅を、21個の等しい工程において、ゼロから最大1.65ミリ秒(総ライン時間の約20.6%)まで増加させた。
【0213】
印刷後、各々の印刷領域における反射密度を、Gretag Macbeth分光計を用いて測定した。その結果を、表X、表XI、および表XIIに示す。表Xは、サーマル
ヘッドにより供給されたエネルギーの関数として、イエロー層の印刷を示す。得られたマゼンタおよびシアンの密度もまた示す。イエロー密度とマゼンタ密度との間の比(Y/M)およびクロストークもまた、表Xに含まれる。同様に、表XIは、サーマルヘッドにより供給されたエネルギーの関数として、マゼンタ層の印刷を示す。マゼンタ密度とイエロー密度との間の比を、クロストークと共に示す(M/Y)。表XIIにおいて、サーマルヘッドにより供給されたエネルギーの関数としてのシアン層の印刷もまた示す。シアン密度とマゼンタ密度との間の比を示す(C/M)。
【0214】
【表40】


(表XI)
【0215】
【表41】


(表XII)
【0216】
【表42】


(実施例VI)
本実施例は、図10に示されるような三色画像化部材を例示する。上部画像形成層は、シアン色を生じ、中間画像形成層は、マゼンタ色を生じ、そして底部画像形成層は、イエローを生じる。3つ全ての層が、酸性顕色剤およびロイコ色素を使用する。マゼンタ層とイエロー層との間に、約102ミクロン厚の、厚くて透明なポリ(エチレンテレフタレート)のフィルムベース(Cronar412)を使用した。底部のイエロー画像形成層の下に、マスキング層として、厚くて不透明の白色層を使用した。この画像部材を、上部(シアンおよびマゼンタ)および底部(イエロー)から設定した。しかし、不透明層の存在に起因して、3つ全ての層は、その上部からのみ目視することができた。この様式において、フルカラー画像を得ることができた。
【0217】
A.マゼンタ色形成層を、以下のように調製した:
ロイコ色素Iと酸性顕色剤Iとの分散物(dispersion)を、上記実施例IVのパートCに記載したように、調製した。酸性顕色剤IIの分散物を、上記実施例IIのパートAに記載したように調製した。
【0218】
上記分散物を使用して、以下で言及する割合で、マゼンタコーティング流体を作製した。このように調製したコーティング組成物を、Cronar412上にコーティングし、そして乾燥した。意図したコーティング範囲は、2.0g/mであった。
【0219】
【表43】


B.断熱性の中間層を、以下のように、マゼンタ画像層上に堆積させた:
この中間層用のコーティング流体を、以下で言及する割合で調製した。このように調製した画像中間層コーティング組成物を、意図した範囲(13.4g/m)で、3つの流路でマゼンタ画像化層上にコーティングした。
【0220】
【表44】


C.シアン画像形成層C1〜C3を、以下のように、断熱性の層上に堆積させた:
(C1:シアン顕色剤層)
酸性顕色剤IIIの分散物を、上記実施例IVのパートE1に記載したように、調製した。
【0221】
上記分散物を使用して、以下で言及する割合で、シアン顕色剤コーティング流体を作製した。このように調製したシアン顕色剤コーティング組成物を、意図した厚み(2.1g/m)で、断熱性の中間層の上部にコーティングし、そして乾燥した。
【0222】
【表45】


(C2:シアン中間層)
シアン中間層コーティング流体を、以下に言及する割合で、調製した。このように調製したシアン中間層コーティング組成物を、意図した厚み(1.0g/m)で、シアン顕色剤層の上部にコーティングした。
【0223】
【表46】

(C3:シアン色素層)
ロイコ色素IIを、上記実施例IVのパートE3に記載したように、分散させた。
【0224】
上記分散物を使用して、以下に言及する割合で、シアンコーティング流体を作製した。このように調製したシアンコーティング組成物を、意図した範囲(0.65g/m)で、シアン中間層上にコーティングした。
【0225】
【表47】


D.保護的なオーバーコート(overcoat)を、以下のように、シアン画像形成層上に推積させた:
スリップオーバーコートを、シアン色素層にコーティングした。このオーバーコートを、以下に言及する割合で調製した。このように調製したオーバーコートのコーティング組成物を、意図した範囲(1.1g/m)で、シアン色素層上にコーティングした。
【0226】
【表48】


E.イエロー画像形成層を、乾燥範囲が1.94g/mであることを除いては、上記実施例IVのパートAに記載した手順を使用して、透明基材の裏面上に推積させた。
【0227】
F.白色の不透明層を、以下のように、イエロー形成層上に推積させた:
二酸化チタンの分散物を、上記実施例VのパートFに記載したように、調製した。
【0228】
コーティング流体を、以下に言及する割合で形成した分散物から、調製した。このように調製したコーティング組成物を、意図した範囲(10.76g/m)で、イエロー形成層の上部にコーティングした。
【0229】
【表49】


G.保護的なオーバーコートを、上記パートDで記載したように、不透明層上に推積させた。
【0230】
得られた画像化部材を、サーマルヘッド(KST−87−12MPC8型(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan))を備えた研究室用テストベットプリンターを使用して、印刷した。以下の印刷パラメーターを使用した:
印刷幅: 3.41インチ
ppi: 300
抵抗器サイズ: 69.7×80ミクロン
抵抗: 3536Ω
線速度: 8ミリ秒/線
印刷速度: 0.42インチ/秒
圧力: 1.5〜2lb/直線インチ
ドットパターン: 矩形格子。
【0231】
シアン層を、高出力/短時間条件で、正面から印刷した。色のグラデーションを得るために、プリンタヘッドに供給される電圧を29.0Vに維持しながら、パルス幅を、21回の同等な工程において、ゼロから最大1.25ミリ秒(全直線時間の約16.4%)まで増加させた。
【0232】
低出力/長期時間条件を使用して、マゼンタ層を印刷し、この層もまた、正面から設定した。プリンタヘッドに供給される電圧を14.5Vに維持しながら、パルス幅を、21回の同等な工程において、ゼロから約8ミリ秒の直線時間の約99.5%まで、増加させた。
【0233】
イエロー層を、低出力/長時間条件で、裏面(不透明層を有するフィルムベースの面)から印刷した。プリンタヘッドに供給される電圧を14.5Vに維持しながら、パルス幅を、21回の同等な工程において、ゼロから8ミリ秒の直線時間の約99.5%まで、増加させた。
【0234】
印刷後、この各印刷領域における反射濃度を、Gretag Macbeth分光光度計を使用して、測定した。この結果を、表XIII、表XIVおよび表XVに示す。表XIIIは、サーマルヘッドによって供給されるエネルギーの関数として、シアン層の印刷を示す。得られたマゼンタ濃度およびイエロー濃度を、同様に示す。表XIIIには、シアン濃度とマゼンタ濃度との間の割合(C/M)およびクロストーク(cross−talk)もまた、含まれる。同様に、表XIVは、サーマルヘッドによって供給されるエネルギーの関数として、マゼンタ層の印刷を示す。マゼンタ濃度とシアン濃度との間の割合(M/C)およびクロストークを、示す。表XVにおいて、サーマルヘッドによって供給されるエネルギーの関数として、イエロー層の印刷もまた、一覧する。イエロー濃度とマゼンタ濃度との間の割合(Y/M)もまた、示す。
【0235】
(表XIII)
【0236】
【表50】


(表XIV)
【0237】
【表51】


(表XV)
【0238】
【表52】


(実施例VII)
本実施例は、3−メチル−5−n−オクチルサリチル酸の亜鉛塩の調製を例示する。
【0239】
(3−メチル−5−n−オクチルサリチル酸メチルの調製:)
塩化アルミニウム(98g)を、1Lフラスコ中、塩化メチレン(150mL)に懸濁し、この混合物を、氷浴中で5℃まで冷却した。その攪拌混合物に、150mLの塩化メチレン中の3−メチルサリチル酸メチル(50g)および塩化オクタノイル(98g)を、1時間にわたって加えた。この反応物を、さらに30分間、5℃にて攪拌し、次いで、室温にて3時間攪拌した。この反応物を、500gの氷を含有する50mLの濃塩酸中に注いだ。有機層を分離し、そして水層を、50mLの塩化メチレンで2回抽出した。その塩化メチレンを、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そしてオイルになるまでエバポレートし、このオイルを、90gの黄褐色の結晶になるまで凝固させた。Hおよび13CNMRスペクトルは、予測した生成物と一致した。
【0240】
(3−メチル−5−n−オクタノイルサリチル酸の調製:)
3−メチル−5−n−オクタノイルサリチル酸メチル(上記のように調製した:90g)を、200mLのエタノールおよび350mLの水に溶解させた。この溶液に、水酸化ナトリウム(100g)の50%水溶液を加え、次いで、この溶液を、85℃にて6時間攪拌した。この反応物を、氷浴中で冷却し、そしてpHが1に到達するまで、50%塩酸水溶液をゆっくりと加えた。この沈殿物を、濾過し、水(5×50mL)で洗浄し、そして減圧下で、45℃にて6時間乾燥し、80gの薄い黄褐色の生成物を得た。Hおよび13CNMRスペクトルは、予測した生成物と一致した。
【0241】
(3−メチル−5−n−オクチルサリチル酸の調製:)
16gの塩化水銀(II)を、1Lフラスコ中、8mLの濃塩酸および200mLの水に溶解させた。165gのモジイ亜鉛を、この溶液とともに振盪した。水をデカントして取り除き、そしてこの亜鉛に、240mLの濃塩酸、100mLの水および3−メチル−5−n−オクタノイルサリチル酸(上記のように調製した:80g)を加えた。この混合物を、24時間攪拌しながら還流し、さらに50mLの濃塩酸を、6時間毎に(3回)加えた。この反応物を、亜鉛から熱時デカントし、そして冷却して、生成物を凝固させた。この生成物を、濾過によって収集し、洗浄し(2×100mLの水)、そして300mLの熱エタノール中に溶解した。50mLの水を加え、そしてこの溶液を冷凍して、白色結晶を得た。その固形物を濾過し、洗浄し(3×100mLの水)、そして45℃にて8時
間、減圧下で乾燥して、65gの生成物を得た。Hおよび13CNMRスペクトルは、予測した生成物と一致した。
【0242】
(3−メチル−5−n−オクチルサリチル酸と亜鉛との塩の調製:)
3−メチル−5−n−オクチルサリチル酸(上記のように調製した:48g)を、4Lビーカー中で、水酸化ナトリウム(14.5g)の50%水溶液および200mLの水の溶液に、攪拌しながら加えた。これに、1Lの水を加え、そしてこの溶液を、65℃まで加熱した。次いで、その熱溶液に、水(40ml)中、24.5gの塩化亜鉛を、攪拌しながら加えた。ガム状の固形物が、沈殿した。この溶液を、デカントし、そして残りの固形物を、300mLの95%熱エタノール中に溶解した。その熱溶液を、500mlの水で希釈し、そして冷凍した。この生成物を、濾過し、そして洗浄して(3×500mLの水)、53gのオフホワイトの固形物を得た。
【0243】
(実施例VIII)
本実施例は、各側に置かれるオーバーコート層を有する三色画像化部材、および2つのサーマルプリントヘッドを使用して単一のパスでこの部材上にて多色で描画するための方法を例示する。この上部色形成層は、米国特許第5,350,870号において記載されるような単分子熱反応機構を使用してイエローを発する。中央色形成層は、酸顕色剤、酸同時顕色剤、およびマゼンタロイコ色素を使用してマゼンタ色を発する。底部色形成層は、酸顕色剤およびシアンロイコ色素を使用してシアン色を発する。このマゼンタ層とシアン層との間において、約102ミクロン厚の密で透明であるポリ(エチレンテレフタレート)フィルム基材(cronar412)を、使用した。底部のシアン画像形成層の下に、厚い、不透明の、白色層が、マスキング層として使用される。この画像化部材が、上部(イエローおよびマゼンタ)ならびに底部(シアン)からアドレスされた。しかし、不透明層の存在に起因して、全ての3色が上部からのみ可視であった。この様式において、全色(フルカラー)画像が得られる。
A.マゼンタ画像形成層を以下のように調製した:
ロイコ色素I(Leuco DyeI)および酸顕色剤I(Acid Developer I)の分散物を、上記のようの実施例IのパートAに記載のように調製した。
【0244】
酸顕色剤IIIの分散物を、上記の実施例IIのパートAに記載のように調製した。
【0245】
上記の分散物を使用して上述した割合でマゼンタコーティング流体を作製した。次いで、このように調製したコーティング組成物を、マイヤーロッド(Meyer rod)を使用して約102ミクロン厚(Cronar412)の透明なポリ(エチレンテレフタレート)フィルム基材上(ゼラチン下層コート側)に被覆し、そして、乾燥した。この意図するコート厚を3.06ミクロンであった。
【0246】
【表53】

B.断熱中間層を以下のようにマザンタ画像化に積層した:
B1.この中間層のためのコート流体を以下に述べる割合で調製した。このように調製した画像中間層このコーティング組成物を、マイヤーロッド(Meyer rod)を使用して、意図された6.85ミクロン厚のために画像化層に被覆し、そして、空気中で乾燥した。
【0247】
【表54】


B2.次いで、同じ種類の第2の絶縁中間層を第1の中間層上に被覆して、そして、乾燥した。
【0248】
B3.最終的に、同じ種類の第3の絶縁中間層を、第2の絶縁層上に被覆して、そして、乾燥した。この3つの絶縁中間層の組み合わせは、意図される合計の20.55ミクロン厚の絶縁層を構成した。
【0249】
C.イエロー画像形成層を、以下のように第3の断熱層上に積層した:
ロイコ色素III(Leuco DyeIII)の分散物を、上記の実施例IIのパートCに記載のように調製した。この分散物を使用して以下に示した割合でイエローコーティング流体を作製した。このイエローコーティング組成物を、意図した約3.21ミクロン厚のためにマイヤーロッド(Meyer rod)を使用して、断熱中間層上に被覆して、空気乾燥した。
【0250】
【表55】


D.保護オーバーコートを、以下のようにイエロー画像化層上に積層した:
スリップオーバーコートを、このイエロー色素層上に被覆した。このオーバーコートを以下で述べる割合で調製した。このように調製したオーバーコーティング組成物を意図する1.46ミクロン厚のためにマイヤーロッドを使用してこのイエロー色素層上に被覆して、そして空気中で乾燥した。
【0251】
【表56】


E.シアン画像形成層を以下のように調製した:
ロイコ色素IIを、ガラスビーズを備え付けられている研磨剤(attriter)を使用してAirvol205(総固体の2.7%)、Airvol350(総固体の6.3%)、Triton X−100(総固体の0.18%)およびAerosol−OT(総固体の0.9%)を脱イオン水中に含む水性混合物中に分散して、そして、室温で18時間攪拌した。この分散物の総固体含有量は20%であった。
【0252】
酸顕色剤Iの分散物を上記の実施例IのパートAにおいて記載したように調製した。
【0253】
上記の分散物を、以下に述べる割合でシアン含有流体を作製するために使用した。このように調製したコーティング組成物をマイヤーロッドを使用して透明のポリ(エチレンテレフタレート)フィルム基材の反対側にコーティングA〜Dとして被覆し、そして乾燥した。意図したコーティング厚は3.01ミクロンであった。
【0254】
【表57】


F.マスキング、不透明層
二酸化チタンを、ガラスビーズを備え付けている研磨剤(attriter)を使用して、Tamol 731(総固体の3.86%)、Ludox HS40(総固体の3.85%)、および痕跡量(trace amount)(750ppm)のNipa Proxelを脱イオン水中に含む水性混合物中に分散した。この分散物の総固体含有量は、50.2%である。
【0255】
上記の分散物を使用して以下で述べる割合でコーティング流体を作製した。こように調製したコーティング組成物を、意図した15ミクロン厚のためにマイヤーロッド(Meyer Rod)を使用して、シアン画像形成層に被覆し、そして、空気中で乾燥した。
【0256】
【表58】


G.保護オーバーコートを、上記のパートDで記載の不透明層上に積層した。
【0257】
得られた画像化部材を、2つのサーマルヘッドを備えるラボラトリーテストベッドプリンタである、KYT−106−12PAN13(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan)を使用してプリントした。以下のプリントパラメータを使用した:
プリントヘッド幅:4.16インチ
1インチ当たりのピクセル:300
レジスタサイズ:70×80ミクロン
抵抗:3900オーム
行送り速度:10.7ミリ秒/行
プリント速度:0.31インチ/秒
圧力:1.5〜2lb/リニアインチ
ドットパターン:矩形グリッド。
【0258】
イエロー層を、高出力/短時間の条件で表面からプリントした。色のグラデーションを得るために、パルス幅を、10の等しい工程において0ミリ秒から最大1.99秒(総行送り時間の約18.2%)に増大したが、プリントヘッドに供給される電圧は、26.5Vで維持した。このパルス幅で、120サブインターバルが存在し、そして、その各々は95%の負荷サイクルを有した。
【0259】
低電力/長時間の条件を使用してマゼンタ層をプリントした。このマゼンタ層をまた、表面からアドレスした。このパルス幅を、10の等しい工程において0ミリ秒から最大8.5ミリ秒(総行送り時間の約79%)に増大したが、プリントヘッドに供給される電圧は、26.5Vで維持した。このパルス幅で、525サブインターバルが存在し、そして、その各々は30%の負荷サイクルを有した。
【0260】
上述の例とは違い、イエローパルスおよびマゼンタパルスをインターリーブし、そして、単一のパスにおける単一のプリンタヘッドによって供給し、その結果、単一のプリンタヘッドによって同時に2色をプリントした。高出力または低出力の選択は、イエローをプリントするために使用される95%負荷サイクルとマゼンタをプリントするために使用される30%負荷サイクルとの間で交互に適応することによって行った。このプリンタヘッド電圧は、一定の26.5Vであった。
【0261】
このシアン層を、裏面(不透明のTiO層を保持するフィルム基材側)から低出力、長時間条件を用いてプリントした。色のグラデーションを得るために、このパルス幅を、10の等しい工程において0ミリ秒から最大10.5ミリ秒(総行送り時間の約98%)に増大したが、プリントヘッドに供給される電圧は、21.0Vで維持した。
【0262】
この3つ色素層の各々についての色のグラデーションのプリントに加えて、これらの色の併用ペアのグラデーション、およびこれら3色全ての併用のグラデーションをプリント
した。
【0263】
プリント後に、各プリント領域の反射濃度を、Gretag Macbethスペクトロメータを使用して測定した。イエロー層、マゼンタ層およびシアン層における描画についての結果を、表XVI、表XVIIおよび表XVIIIにおいて示した。
【0264】
表XVIは、サーマルヘッドによって提供されたエネルギーの関数としてのシアン層のプリントを示している。得られるマゼンタ濃度およびイエロー濃度を、同様に示した。同様に、表XVIIは、サーマルヘッドによって提供されたエネルギーの関数としてのマゼンタ層のプリントを示している。このマゼンタ濃度とイエロー濃度との間の比率はまた、クロストークと同様に(M/Y)と示される。表XVIIIにおいて、サーマルヘッドによって提供されたエネルギーの関数としてのイエロー層のプリントもまた列挙されている。このイエロー濃度とマゼンタ濃度との間の比率はまた、クロストークと同様に(Y/M)と示される。
【0265】
【表59】

【0266】
【表60】

【0267】
【表61】


2色層の併用による描画によって得られた結果は表XIX、表XXおよび表XXIに示
されている。表XIXは、単一サーマルプリントヘッドを使用したイエロー層およびマゼンダ層についての同時印刷の結果を例示する。得られたプリントは、赤色である。表XXは、シアン層およびマゼンダ層について同時にプリントする結果(緑色のプリントを与える)を示し、そして、表XXIは、シアン層およびマゼンダ層についての結果(青色のプリントを与える)を示した。
【0268】
【表62】

【0269】
【表63】

【0270】
【表64】


表XXIIは、単一のパスにおける3色の層全部におけるプリントから得られる色濃度を提供する。この得られたプリントは、黒である。
【0271】
【表65】


本発明は種々の好ましい実施形態に関して詳細に記載してきたが、本発明はそれらに限定されることを意図するものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲に包含されるバリエーションおよび改変体が可能であることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0272】
本発明ならびにその他の目的および利点およびさらなる特徴のより良好な理解のために、添付の図面とともにそれらの種々の好ましい実施形態の以下の詳細な説明が参照される。
【図1】図1は、先行技術の2色直接熱印刷システムによって印刷され得る色のグラフによる表示である。
【図2】図2は、本発明の2色直接熱印刷の実施形態によって印刷され得る色のグラフによる表示である。
【図3】図3は、先行技術の直接熱印刷において直面する、非独立着色ドット形成のグラフによる図示である。
【図4】図4は、先行技術の3色直接熱印刷システムによって、および本発明の3色直接熱印刷の実施形態によって印刷され得る色のグラフによる表示である。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態を図示する、グラフによる表示である。
【図6】図6は、図5に図示される本発明の実施形態をさらに図示する、グラフによる表示である。
【図7】図7は、本発明の3色実施形態の実施を図示する、グラフによる表示である。
【図8】図8は、熱遅延を利用する、本発明による2色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。
【図9】図9は、熱遅延を利用する、本発明による3色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。
【図10】図10は、熱遅延を利用する、本発明による別の3色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態を実施するための熱印刷装置の部分的に模式的な側面断面図である。
【図12】図12は、先行技術の熱画像化方法の間に従来のサーマルプリントヘッドへと電圧を印加するための方法のグラフによる表示である。
【図13】図13は、本発明の熱画像化システムの実施形態の実施において、従来のサーマルプリントヘッドへと電圧を印加するための方法のグラフによる表示である。
【図14】図14は、本発明の熱画像化システムの実施形態の実施において、従来のサーマルプリントヘッドへと電圧を印加するための別の方法のグラフによる表示である。
【図15】図15は、温度の関数として2つの色素の発色時間を示す、グラフによる表示である。
【図16】図16は、化学的拡散および溶解を利用する、本発明による多色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。
【図17】図17は、本発明による、ネガとして作用する多色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。
【図18】図18は、化学的拡散および溶解を利用する、本発明による3色画像化部材の部分的に模式的な側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−168636(P2008−168636A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7379(P2008−7379)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【分割の表示】特願2002−593159(P2002−593159)の分割
【原出願日】平成14年5月20日(2002.5.20)
【出願人】(507188957)ズィンク イメージング エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】