説明

熱的湿布システム及びその使用方法

目湿布キットは、熱的に調整可能なゲルパックと、ストラップと、少なくとも1つの湿った使い捨て繊維不織布シートとを含む。熱的に調整可能なゲルパックは、使用者の体の目領域に対して適用されるように構成される。ゲルパックは、熱的に活性化可能なゼラチン様物質を保持するチャンバを画定するケースを含む。ストラップは、使用者の目領域に対してゲルパックを固定し、押し付け力をゲルパックに及ぼすように構成される。少なくとも1つの湿った使い捨て繊維不織布シートは、ゲルパックと使用者の目領域との間に位置決めされるように適合され、繊維シートは、ゲルパックの外面から取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「Thermal Compress Assembly and System with External Frame」という名称の2008年5月16日に出願された米国特許出願第12/153,322号明細書及び「Thermal Bodily Compress Kits and Method of Using Same」という名称の2008年5月16日に出願された米国特許出願第12/153,321号明細書の優先権を主張するものであり、かつこれら特許出願の一部継続出願であり、これら特許出願のそれぞれは参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、例えば、使用者の目領域に治療的恩恵を提供する熱的人体湿布装置、キット、組立体、システム、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
温湿布及び冷湿布の両方が、様々な物理的問題を治療する際に重要な役割を果たす。湿布治療の最も一般的でオーソドックスな方法では、使用者は、タオルを熱いか又は冷たい水道流水に通すか、又は洗面器内の湯又は水に浸し、次に、濡れて温度調整されたタオルを人体部位に適用する。タオルのコストは低く、広く入手可能であり、適度に柔らかい手触りであり、通常、温度をユーザが決めることができるため、この方法は普及している。さらに、タオル方法では、使用者は人体部位に対して外圧がどのようにかけられるかを選択することができる。目湿布という特別な事例は例示的なものである。目は最も敏感で繊細な人体組織の1つであるため、タオル方法の大半の使用者は、目の丸い球(眼球)に対して圧力を直接かけることを避け、目の隅等の他の部位にタオルを優しく押し付けるであろう。それにより、タオルは、安全で快適に目の丸い球に受動的に整合する。さらに、濡れたタオルは、湿潤で熱的な治療を提供する。したがって、タオル方法は、熱湿布治療に特に有用であるものとして見られてきた。
【0004】
しかし、タオル方法には多くの欠点がある。タオルの温度は比較的すぐに室温に戻るため、特に、タオルを水に浸した後に絞る場合、頻繁に再加熱又は再冷却を行う必要がある。目又は他の特定の頭部領域に湿布治療が適用される場合、タオルは、顔を不快に覆う恐れがあり、濡れすぎている場合、使用者が洗面台に立つ際、使用者の腕に滴り落ちるであろう。特に浴室が2人以上の人により共有される場合、浴室に残されたタオルを人体部位に繰り返し使用することは、非衛生的であり得る。
【0005】
湿布治療の一環として熱保持印加を適用する他の努力も知られている。一例は、加熱して使用者の体に対して適用可能なゲルパックである。
【0006】
目及びその周辺領域に使用するために特に設計された既知のゲルパックには、PVC又はビニル材料で作られたケースが作られ、これには、製造コストが低いという利点がある。しかし、そのようなケース材料は、目の熱的治療への有効性を制限する様々な特徴を有する。
【0007】
さらに、既知のゲルパックは、都合のよい湿り具合を提供して、有効な湿潤熱的治療を提供することができない。さらに、既知のゲルパックは、熱的湿布治療の繰り返しの治療中に皮膚の健康をサポートする様々な化学薬品を皮膚に提供することもできない。既知のゲルパックは、外圧が人体部位に対してどのように適用されるか、並びに外圧が人体部位にどの程度かけられるかを使用者が選択できるようにする調整可能な押し付け強さ度をゲルパックに提供することもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、快適で有効な治療を、目領域等の敏感な人体部位に安全で都合がよいように付与する熱的かつ機械的に調整可能な湿布システムの様々な構成要素に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
目湿布キットは、熱的に調整可能なゲルパックと、ストラップと、少なくとも1つの湿った使い捨て繊維不織布シートとを含む。熱的に調整可能なゲルパックは、使用者の体の目領域に対して適用されるように構成される。ゲルパックは、熱的に活性化可能なゼラチン様物質を保持するチャンバを画定するケースを含む。ストラップは、使用者の目領域に対してゲルパックを固定し、押し付け力をゲルパックに及ぼすように構成される。少なくとも1つの湿った使い捨て繊維不織布シートは、ゲルパックと使用者の目領域との間に位置決めされるように適合され、繊維シートは、ゲルパックの外面から取り外し可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態によるゲルパックの斜視図である。
【図2】別の実施形態によるゲルパックの正面図である。
【図3】別の実施形態によるゲルパックの正面図である。
【図4】別の実施形態によるゲルパックの正面図である。
【図5】別の実施形態によるゲルパックの正面図である。
【図6】別の実施形態による適用位置での組み立てられた目湿布組立体の概略図である。
【図7】別の実施形態による適用位置での組み立てられた目湿布組立体の概略図である。
【図8】別の実施形態による例示的なシートの正面図である。
【図9】別の実施形態による外枠の正面図である。
【図10】休止位置において概して平坦な構成を有する外枠の平面図である。
【図11】別の実施形態による適用位置での組み立てられた目湿布組立体の概略図である。
【図12】別の実施形態による外枠の正面図である。
【図13】別の実施形態による外枠及びゲルインプレッサの正面図である。
【図14】別の実施形態による第1の構成の外枠の正面図である。
【図15】第2の構成の図14の外枠の正面図である。
【図16】適用位置での第2の構成の図14の外枠の概略図である。
【図17】別の実施形態による多部品枠に取り付けられたゲルパックの正面図である。
【図18】別の実施形態による熱シールドの正面図である。
【図19】濡れた不織布シート及び乾いた不織布シートを使用するゲルパックの経時温度グラフである。
【図20】濡れた不織布シート及び濡れたテリー織物タオルを使用するゲルパックの経時温度グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、例えば、熱的に調整可能な人体湿布装置、組立体、キット、システム、及びそれらを用意して使用する方法に関する。この装置及び方法は、使用者の様々な異常な生理学的状態を治療若しくは軽減するために、又はその他の点では通常状態の使用者に治療的恩恵を提供するために使用することができる。この装置及び方法は、例えば、柔らかい組織、筋肉、骨、並びに使用者の他の組織及び臓器等の様々な人体部位に適用可能である。実施形態は、湿布装置及び方法を使用者の目領域に適用することに関連して説明されるが、他の実施形態が解剖学の他の部位に対するより広い用途を有することが理解される。本明細書において使用される用語「使用者」には、人間を含む哺乳動物を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される装置及び方法により治療される使用者の目領域は、目周囲領域を含む。目周囲領域は、上眼瞼及び下眼瞼の皮膚を含む眼瞼、眼瞼周辺、並びに外眼角及び内眼角を含むものとして定義される。他の実施形態では、目領域は眼窩周囲領域を含む。眼窩周囲領域は、眉下領域、頬上領域、鼻梁、及び頭部のこめかみの少なくとも部分を含むのとして定義される。他の実施形態では、目領域は、目周囲領域及び眼窩周囲領域の両方を含む。上記解剖学的部位は単数形で説明されるが、これら領域が左右にあり、したがって、実施形態が、左右両方の目周囲領域及び/又は眼窩周囲領域も包含可能なことが理解される。いくつかの実施形態では、目領域は頭部のこめかみ全体を含む。
【0013】
図1は、使用者の顔の目領域に対して適用されて、十分な熱源又は冷源を使用者の目領域に適用し、治療的恩恵を使用者に提供するように構成された熱的に調整可能なパック20を有する湿布組立体及び湿布システムを示す。したがって、パック20は、様々な程度の熱又は冷たさを適用することにより温度を調節又は調整可能な、熱的に活性化可能な物質を含む。そのような物質は、最低限、室温とは実質的に異なる温度を達成し、比較的長時間にわたり、且つ室温に戻る期間が比較的遅い状態で、達成された温度を維持するように暖かくなるか、又は冷たくなることが可能である。いくつかの実施形態では、例えば、2.5oz(約70.8g)のそのような物質を135°Fに加熱することができ、72°Fの空気に露出して5分後でもまだ、少なくとも115°Fの温度を有する。熱的に活性化可能な物質の非限定的な例としては、水、核生成中心若しくは発熱反応を生成する他の手段を使用して化学的に活性化可能な、酢酸ナトリウム三水和物を含む固体ゲル若しくは半固体ゲル等の様々なゼラチン様材料、米、豆、トウモロコシ、及びエンドウ等の乾燥野菜及びシリアル、ジャガイモ及びリンゴ等の水を含む食品、並びに他の様々な野菜及び食品が挙げられる。いくつかの実施形態では、熱的に活性化可能な物質は、ゼラチン様物質(本明細書では、「ゲル」又は「ゼラチン様材料」とも呼ばれる)であり、熱的に活性化可能なパックはゲルパックである、後述する実施形態については、ゼラチン様物質に関して説明されるが、他の熱的に活性化可能な物質を使用することも可能なことが理解される。
【0014】
再び図1を参照すると、ゲルパック20は、上部40と、下部50と、右部60と、左部70と、前側と、後側とを有するケース30を含む。以下の説明及び添付図に関連して本明細書において使用する用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、及び「後」は、使用者が直立して立ち(当分野において「解剖学的肢位」として知られる位置)、且つページから閲覧者に向かって対面する場合での、使用者の顔面上の適用位置での使用者に関連してのゲルパック及び湿布組立体の向きを指す。ゲルパック及び湿布組立体は、直立(座るか、若しくは立つ)又は横臥位置のいずれかで使用することができる。ゲルパックの前側は、外側に面する側であり、図1に示される側である。後側は、ゲルパックの適用位置において(すなわち、ゲルパックが使用中のときに)使用者に面する、ゲルパックの逆側である。ゲルパック20は、ゼラチン様熱的物質90を保持するチャンバ80(図2により明確に示される)を画定する。いくつかの実施形態では、ゲルパックは、休止位置にあるとき、約0.25in(約0.635cm)〜約0.35in(約0.88cm)の実質的に均一な厚さを有する(すなわち、ゲルはゲルパック全体に実質的に均等に分布する)。
【0015】
特定の実施形態では、ケース30は、縁部が封止されてチャンバ80を形成する少なくとも2層の可撓性シートを備える。これら実施形態では、ケース30は、可撓性シートの封止縁部により画定される周縁を有する。ケース30の周縁は、図1に見られるようにチャンバ80とケース30との間にスペースがないように、チャンバ80の周縁と同一の広がりを有することができる。他の実施形態では、図2に示されるように、周縁は、左上リップ100及び右上リップ215にさらに分割できる上リップ101と、左下リップ22及び右下リップ210にさらに分割できる下リップ103と、左側リップ24と、右側リップ26とに分割され、リップは、ケース30の最外縁部28とチャンバ80の最外縁部32との間の領域である(したがって、そのようなリップはゼラチン様材料を含まない)。
【0016】
特定の実施形態では、上リップ101は、ゲルパックを支持構造(例えば、外枠)、シート、及び/又はストラップに取り付けて、ゲルパックを所定位置に保持する留め具を収容するのに十分な高さを有する。手短に言えば、支持構造を使用して、ゲルパックを使用者の解剖学的構造に対して押し付けると共に、オプションとして、ゲルパックが適用位置にある場合にゲルパックの重力の少なくとも部分を垂直に支持することができる。追加又は代替として、左リップ24及び右リップ26は、そのような留め具を収容するのに十分な長さを有する。他の実施形態では、下リップ103は、そのような留め具を収容するのに十分な高さを有する。換言すれば、ケースの周縁は、留め具を異なる様々な位置で収容するようなサイズであることができる。図2に示される実施形態を特に参照して、例えば、ボタン等の留め具を受けて、ゲルパックを支持構造、シート、ストラップ、熱シールド、及び/又はアイカバーに固定することができる、一方は左上リップ100により画定され、他方は右上リップ215により画定される複数の開口220が示される。代替として、ゲルパックの上リップ101は、ゲルパック101に取り付けられて、ゲルパックを支持構造、シート、ストラップ、熱シールド、及び/又はアイカバーに固定する留め具を有することができる。特定の実施形態では、上リップ101は、約2ミリメートル(mm)〜20mmの高さHを有する。他の実施形態では、上リップ101は、約10mm〜15mmの高さHを有する。図1に示されるように、ゲルパック20は、ケース30の上部40の最外縁部がチャンバ80の上部(図示せず)の最外縁部と同一の広がりを有し、それでもなお留め具を収容可能なように、構成することができる。例えば、図1のゲルパック20の上部40は、開口の縁部が封止されて、ゼラチン様物質の漏れを回避する限り、図2の開口と同様の開口280を画定することができる。
【0017】
ゲルパックは様々な構成を有することができる。そのような構成は、例えば、ゲルパックが適用される使用者の、目領域等の人体領域に依存することができる。例えば、図3を参照すると、ゲルパックは、使用者の顔の目周囲領域及び眼窩周囲領域を覆うように構成されたマスク34の形態であることができる。図3に示されるように、このマスクは概して矩形の構成を有し、鼻部位に実質的に三角形の切り欠き225を有する。マスクは、鼻翼を受ける同様の切り欠きを有する概して長円形の構成等の他の構成も同様に有し得る。図3に示されるように、マスクは、適用位置において使用者の左目及び右目の両方のそれぞれを覆って広がる右セクション36と左セクション38とにマスク34を分割する中心線Mを有する。
【0018】
ゲルパックの左セクション及び右セクションは、連通しないように互いに分離可能であるが、図3に示される実施形態では、左右のセクションは互いに連通する(すなわち、2つのセクション間に物理的な分離装置又は分割装置がない)。この特徴は望ましく、ゲルパックが電子レンジ内で活性化され、電子レンジ内でゲルパックに印加される熱の分布が不均等である場合に有利であることが証明され得る。圧力を不均等に加熱されたゼラチン様物質に加えて(すなわち、ゲルパックの2つのセクション間に前後に圧力をかけて)、ゼラチン様物質を再分布させて、使用中により均質の加熱効果を生じさせることができる。
【0019】
図3に例示的に示されるような、ゲルパックとして使用可能なマスクの特定の構成に関して、マスク34は、上部42、右側部44、左側部46、及び下部48を有する。下部48への左側部及び右側部の遷移は、使用者の鼻翼を許容する切り欠き225を画定する鐘形曲線のような形状である。代替として、切り欠き225のピークは、図2に示されるように、湾曲ではなく傾斜してもよい。図3に示されるように、いくつかの実施形態では、マスク34は、約4in(約10.16cm)〜約11in(約27.94cm)の長さLを有する。他の実施形態では、マスク34は、約5.75in(約14.605cm)〜約9.0in(約22.86cm)の長さLを有する。いくつかの実施形態では、マスク34は、約2in(約5.08cm)〜約6in(約15.24cm)の高さH1を有する。他の実施形態では、マスク34は約2.5in(約6.35cm)〜約4.5in(約11.43cm)の高さH1を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、マスク34の外縁部(上部42、右側部44、左側部46、及び下部48を含む)は、縁部支持部材を含む。縁部支持部材は、マスク34に垂直支持を提供するように構成される。換言すれば、縁部支持部材は、マスク34が使用者の目領域に対して固定された垂直位置にあるときにマスク34が反らないように、ゲルパックの重量の少なくとも部分を支持する。さらに、いくつかの実施形態では、縁部支持部材は、マスク34の外縁部が繰り返し使用した後にシワにならないようにするのに役立つ。他の実施形態では、マスクの外縁部の部分のみが縁部支持部材を含む。例えば、いくつかの実施形態では、マスクの上部のみが縁部支持部材を含む。他の実施形態では、上部、右側部、及び左側部が縁部支持部材を含むが、下部は縁部支持部材を含まない。
【0021】
いくつかの実施形態では、縁部支持部材は、アイマスク形のゲルパックの上部及び側部の封止縁部の少なくとも部分に覆い被さるサイズの35ゲージのポリエチレンの個片を使用して作られる。いくつかの実施形態では、縁部支持部材の幅は、アイマスク形のゲルパックの封止縁部の幅に実質的に一致する。例えば、アイマスクの封止縁部の幅が約7mmの場合、縁部支持部材の幅は約7mmである。ゲルパックの縁部及び縁部支持部材は、一緒に結合し得る。いくつかの実施形態では、例えば、ゲルパックの縁部は、ゲルパックの縁部及び縁部支持部材をオス−メススナップコネクタの2つの半固体間に挟まれることにより、縁部支持部材に結合される。いくつかの実施形態では、(ゲルパックと縁部支持部材との)結合構成を外枠に取り付け得る(後述)。例えば、いくつかの実施形態では、ゲルパックの縁部を縁部支持部材に結合するために使用されるスナップコネクタの露出したオス−メス端部を、外枠のスナップコネクタの露出したオス−メス端部に結合し得る。そのような縁部支持部材は、ゲルパックの取り扱い易さ及び外枠への取り付け易さを向上させることができる。
【0022】
図4を参照すると、他の実施形態では、ゲルパックは、使用者の一方のみの目領域(すなわち、左右いずれかの目領域)を覆うように構成された眼帯72の形態である。そのような構成は、治療が一方のみの目領域に望ましい場合に便利である。図4に示される実施形態では、眼帯72は楕円形を有するが、例えば、矩形又は円形等の他の形状も可能である。図5に示されるように排他的にはないが特に、ゲルパックが使用者の顔の目周囲領域及び眼窩周囲領域の片側のみを覆うことが望ましい場合、眼帯73の例示的な構成は、図3に示されるマスク34の単一セクションと略同様であることができる。図5に示される実施形態では、ゲルパック73は、より詳細に後述するように、例えば、ボタン又はスナップ等の留め具を受けて、支持構造、シート、及び/又はストラップに取り付ける開口77a及び77bを上部に画定する。他の実施形態では、上部は、それ自体を支持構造、シート、及び/又はストラップに固定する他の種類の留め具を含むことができる。
【0023】
ゼラチン様物質は滑りやすく、制御が困難であるため、ケースを使用して、使用者がゼラチン様物質に接触しないようにゼラチン様物質を収容する。ケースは、ゼラチン様物質を保持し、熱拡散可能な(すなわち、ゲルパックが皮膚に直接又は間接的に配置された場合、熱又は冷たさを皮膚に容易に伝導する)任意の適した材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、ゲルパックのケースは、熱及び冷たさへの繰り返しの露出に、最小限の変形で、且つ大きな劣化なく耐えることができる任意の適した材料から製造される。いくつかの実施形態では、材料は、使用者の所望の目領域に十分に整合でき、且つ直接接触できるのに十分な可撓性も有するものである。材料は、ゼラチン様物質のいかなる負の化学的作用にも耐性を有することもできる。いくつかの実施形態では、ケースの材料は、ケースを湿気への露出から保護するために(より詳細に後述するように、ゲルパックが湿らせたシートと併せて使用される場合等)、耐水性を有する。いくつかの実施形態では、ケースの材料は、石鹸及び水並びに/或いはアルコールパッドで掃除して、繰り返しの使用により微生物が増大する危険性を低減することができる。
【0024】
ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンを含む)、ナイロン、2軸延伸ポリアミド(BOPA)、及び/又はそれらの適した組み合わせを含む熱可塑性ポリマー膜を含むケーシング材料の非限定的な例。ナイロンを含む膜は、ポリ塩化ビニル及びビニル材料よりも高い温度伝導性を付与し得る。共有押出し成形又は積層でナイロン及びポリエチレンの両方を含む膜は、ゲルパックの周縁にヒートシールを行うことができ、ヒートシールされた縁部を画定することができる。いくつかの実施形態では、約85ミクロン厚のナイロン−ポリエチレン共有押出し成形を使用することができる。そのような実施形態では、ポリエチレン構成要素は、ヒートシール縁部の画定を可能にする。
【0025】
主にナイロンで構成される膜は、アイマスク形のゲルパック等の特殊形状のゲルパックに形成することが、ビニル又はPVCで構成される膜よりも難しい。その理由は、ナイロン膜がヒートシールを使用して閉じられるのに対して、ビニル及びPVCの膜はRF(電波)封止方法を使用して閉じることができるためである。RF封止は、広範囲の材料にわたって様々な形状に容易にカスタマイズすることができ、製造は高速且つ低コストであるのに対して、ヒートシールのカスタマイズはより難しく、限られた寸法セット内でしか調整できないヒートシール金型の使用が関わる。したがって、冷湿布治療様の新規の形状で製造される大半のゲルパックは、ビニル又はPVCから作られる。
【0026】
しかし、ビニル及びPVC材料は、目周囲領域及び眼窩周囲領域で使用するように設計されたゲルパックのケースとして使用される場合、主にナイロンに基づく膜と比較していくつかの制限を有する。
【0027】
ビニル及びPVCは、例えば、電子レンジ内で加熱される場合、又は湯の入った洗面器への浸漬等の他の手段により加熱された場合、劣化し、潜在的に毒性の可塑剤を放出する恐れがある。したがって、ビニル又はPVCのケースを有する既知のゲルパックの使用方法には、電子レンジによる加熱に対する警告を含む。
【0028】
主にナイロンに基づくゲルパックケースと比較して、ビニル及びPVCに基づくゲルパックケースは、使用者の皮膚に対して不良な熱伝導性を示す。この制限された熱伝導性は、ビニル又はPVC材料の厚さの組み合わせ並びにその化学特性に起因し得る。限られた熱導電性を有することは、ゲルパックが冷凍される場合(皮膚への不快さを回避するため)に有益であり得るが、ゲルパックが冷やされる、冷却される、又は室温で適用される場合には、治療の効果を制限する。ビニル及びPVCに基づくゲルパックケースの制限された熱伝導性は、加熱される場合のそのようなゲルパックの治療の影響も制限する。制限された熱伝導性により、使用者は、ゲルパックの表面温度を所与の温度にするために、所要温度よりも高い温度までゲルを温める必要がある。この追加の加熱は、可塑剤が漏れる危険性をさらに増大させる恐れがある。そのようなゲルパック内のゲルの量が比較的限られており、目領域への効果的な熱治療に対する治療温度範囲が比較的狭いことから、そのようなゲルパックを使用するために加熱する際には、使用者が触れることでの瞬間的なフィードバックを含む、ゲルパック加熱の際に求められる正確性が重要である。
【0029】
ビニル及びPVCは、不良なバリア機能を提供する傾向を有し、水性ゲル製品を時間の経過に伴って蒸発させ、それにより、貯蔵中、特に使用後にパック内のゲル量を低減させる。しかし、ナイロンに基づくゲルパックは、製造後、1年以上経過しても容量及び重量を実質的に維持する。
【0030】
ビニル及びPVCは、目領域への温湿布として使用される場合、ナイロンに基づくゲルパックケースよりも快適性が劣り得る。ビニル及びPVCケースの表面特性は、ケースが、ゲル内容物の高さ及び深さのいかなる小さな局所的変更も平滑化する傾向を有するようなものである。これは、目領域等の大きな局所輪郭ばらつきを有する敏感な人体部位への厳密な整合を達成しようとする場合には最適未満である。比較として、ナイロンケースを有するゲルパックはより高い剛性を有し、ケースの輪郭に多くの小さな山及び谷を有し、これは、目の輪郭への整合性がより高いことを示唆する。最後に、多くの使用者は主観的に、ビニル又はPVCケースを有する市販のゲルパックが、ナイロンケースで作られるゲルパックと比較して、皮膚に配置された際の整合性が劣ることを認める。
【0031】
上述したように、ゲルパックは、ゼラチン様物質を保持するチャンバを含む。ゼラチン様熱的物質は、使用者の目領域の外側輪郭に整合すると共に、効果的な熱槽として動作するのに十分に可撓な特徴を有する。具体的には、ゼラチン様物質は、時間の経過に伴う顕著な性能の低下なしで、繰り返し加熱し冷却(冷凍を含む)することができる容易に変形可能なゲルを含み得る。
【0032】
そのような意図される機能を維持することができるゼラチン様物質のパラメータは、例えば、ゼラチン様物質の組成、ゼラチン様物質の容量、ケースの表面積、及び/又はゼラチン様物質の粘度を含む。ゼラチン様物質の組成に関して、ゼラチン様物質の非限定的な例としては、ゲル化したキサンタンガム、イナゴマメガム、トラガカントゴム、グアーガム;ヒドロキシプロピルセルロース、CARBOPOL(登録商標)、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムを含む吸水性及び高吸水性ポリマー;同様の材料;及びこれらの適した組み合わせが挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ゲル材料は、発熱反応及び結晶化を生み出すために使用可能な過飽和酢酸ナトリウム三水和物等の化学的に活性化可能な溶液を含むことができる。そのような実施形態では、使用者が溶液を能動的に捏ねて、結晶化プロセス中に材料が過度に硬化しないようにすることができる。
【0034】
ゲルパック内のゲルの量とチャンバの容積との関係は、異なる表面特徴を有する異なるサイズ及び重量のゲルパックを生成するように変更することができる。チャンバ容積に対するゲルの比率が比較的低いゲルパックは、表面の膨らみが比較的小さく、したがって、目の球に対する圧力が小さいが、ゲルの容量が比較的低いことにより、ゲルパックの熱効果の持続時間がいくらか制限されるパックを生成する傾向を有する。逆に、チャンバ容積に対するゲルの比率が比較的高いゲルパックは、いくらかより膨らみのある輪郭であり、したがって、目の球に対する圧力がいくらか高いが、ゲル容量がより大きいことにより、熱効果がより長く続くパックを生成する傾向を有する。したがって、熱的治療の持続時間を長くする一方法は、より多くのゲルを所与の容積のパック内に使用し、かつ/又はパックの容積を増大させることにより、ゲルパック内のゲル容量を増大させることである。
【0035】
再び図1を参照すると、いくつかの実施形態では、湿布組立体は、ケース30に取り付けられて、ゲルパック20を使用者の人体領域(図1に示される実施形態では、目領域)に対して固定すると共に、押し付け力をゲルパックに及ぼすストラップ68をさらに含むことができる。ストラップは、弾性伸張性材料又は結ばれてゲルパックを使用者の顔に固定することができる紐もしくはリボン等の非伸張性材料等のこれら機能を実行するのに十分な任意の材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、ストラップは、使用者が変更可能な程度の押し付け力をゲルパックに対して及ぼせるように調整可能である。例えば、弾性ストラップは、使用者頭部の円周のみならず、使用者の目領域に対して付与することが望ましい押し付けの程度にも従ってストラップの張力を調整するバックル105を含むことができる。ストラップが非弾性(例えば、紐又はリボン等)である実施形態では、ストラップは、ストラップの両端を引っ張り、ストラップの押し付け力を制御することにより締めることができる。ストラップ68の他の材料及び構成を使用することも可能である。いくつかの実施形態では、例えば、ストラップは、ゲルパックと同じ又は異なる材料で作ることができる。図2を参照すると、ストラップは、ケース30の左側リップ24及び右側リップ26に取り付けることができる。他の実施形態では、ストラップ68は、その意図される機能を実行する限り、ケース30の他の部分に取り付けることができる。図2では、ストラップ68をケース30のスリット76(図32示される)に通し、ケース30のスリット82及び84(ここでも図3に示される)に応じた締まり嵌めを介してゲルパック20に固定される。しかし、ストラップ68を取り付ける他の手段を使用することも可能である。例えば、ストラップは、ケース30に接着又は縫い付けてもよい。他の実施形態では、ストラップは、スナップを介してケースに取り付けられる。スナップは、ストラップがケースに対して回転可能に旋回できるようにし、ゲルパックが力を使用者の体に付与する角度を使用者が調整できるようにする。取り付けの旋回可能点により、使用者は、ストラップが非旋回様式で取り付けられる場合に発生するストラップの曲げを引き起こさずに、ストラップを任意の角度に位置決めすることができる。
【0036】
あるいは、ストラップは、ケース及びストラップが同じ材料から作られ、一体性を損なわずに(すなわち、ストラップ及び/又はケースを引き裂かずに)、通常量の力を使用してストラップをケースから分離することができないという意味で一体であるように、ケースに一体化することができる。したがって、ストラップ68は、ケースに取り外し可能であってもよく、又は永久的に固定されてもよい。ストラップ68を製造できる材料の非限定的な例としては、織物、プラスチック、織物弾性体、及び特定の可撓な弾性ポリマーが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、人体湿布システム及び組立体は、ゲルパックの裏側に着脱可能に配置されるシートを含む。上述した例示的な説明では、人体領域は目領域であり、その場合、シートは「フェイスシート」と呼ばれ得る。シートは、ゲルパック容器と使用者の皮膚との間に湿らせることができるクッションを提供するように機能し、このクッションは部分的に、熱槽として機能可能であるが、特定の実施形態では、熱的バリアとしても機能可能である。いくつかの実施形態では、シートは、ゲルパックの裏側に受動的に配置して、シートが休止位置で任意の機械的手段を介してゲルパックに着脱不可能に取り付けられた目湿布システムを形成することができる。それに代えて、図6に示されるように、シート86は、使用者の顔とゲルパック20との間に挟まれることにより、使用中、所定位置に保持され、ゲルパック20は、使用者の頭部の周囲に位置決めされるストラップ68を介して使用者の顔に固定される。いくつかの実施形態では、例えば、使用者が仰向け位置で横になっている場合、ストラップを使用せずに、又はストラップなしの状態で、フェイスシートをゲルパックの裏側に受動的に配置することができる。
【0038】
あるいは、図7に示されるように、シートは、ゲルパックの裏側に能動的に配置して、目湿布組立体を形成することができ、この場合、シートは、図示の実施形態では、クリップである、2つの構成要素を一緒に締め付ける少なくとも1つの留め具27等の物理的な手段を介して、ゲルパックに着脱可能に取り付けられる。他の実施形態では、例えば、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、紐、又はスナップを含む他の留め具を使用してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、湿布組立体及びシステムに使用されるシートは、湿らせることができ、使い捨て可能であり、かつ/又はゲルパックと使用者の人体領域(この場合、目領域)との間に着脱可能に位置決め可能である。「使い捨て可能」は、シートが、少数の回数の冷却及び/又は加熱サイクルに使用されて、廃棄されるように設計されることを意味する。具体的には、同じシートは、最高で約10回、加熱され、かつ/又は冷却(すなわち、10回使用)されてから、廃棄されるように設計される。他の実施形態では、シートは、一回使用されたら廃棄されることを意図される。さらに他の実施形態では、シートは、11回以上使用されてから、廃棄されることを意図される。
【0040】
「着脱可能」、「着脱可能に位置決め」、又は「着脱可能に位置決め可能」は、適用位置において、シートがゲルパックに一体的かつ永久的に取り付けられていないことを意味する。したがって、シートは、一体性を損なわずに(すなわち、ゲルパック及び/又はシートを引き裂かずに)通常量の力を使用してゲルパックの裏側から取り外すことができる。
【0041】
シートの使い捨て性及び着脱性により、使用者がシートの交換を決めた場合(使用する都度、又は数回使用した後)、新しく衛生的な表面の提供が可能である。使用済みシートを新しいシートと頻繁に使用することにより、湿布組立体又はシステムを再使用する際の感染の危険性を最小限に抑えることができる。新しいシートの使用は、湿布組立体又はシステムを別の人と共有する場合に特に重要であり得る。抗菌剤及び/又は防腐剤をシートに添加することができ、これらは、微生物の増殖の回避に役立つことができる。シートの着脱性及び使い捨て性は、少数回使用した後に比較的安価なシートを交換し、比較的より高価なゲルパックを複数回再使用可能なことで、より経済的な使用方法も提供する。着脱可能なシートの使用により、各治療処置セッション中、使用者が、各自の必要性に応じて様々な種類の事前に薬剤が添加されたシートを選択することも可能になり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、シートには、皮膚の健康又は熱湿布治療が意図される人体部位に存在し得る他の組織もしくは器官の健康を向上させるように設計されるか、又はさらには繰り返しの熱的湿布治療から生じ得るそれら組織もしくは器官への傷を低減するように設計された様々な化学薬剤が含浸される。湿潤シートの説明の中で後述するものを含むそのような化学薬品及び対象療法薬をシートに含浸させることができ、シートは乾燥した状態で使用することもでき、又は使用前に湿らせることもできる。
【0043】
シートは乾燥した状態であってもよいが、いくつかの実施形態では、シートは湿らされる。いくつかの実施形態では、シートは、使用者がシートを使用前に湿らせる必要がないように事前に湿らせられる。シートが湿らせられる実施形態では、シート材料は、製造時から使用時まで壊変せずに長期間、湿らせた状態に耐えるのに十分な吸水性及び弾性を有し得る。そのような材料は、濡れた状態で、大きな引き裂き又は変形なしで取り扱い及び引っ張りを受けることも予想される。例えば、シートは、1回の使用期間中に、シートをゲルパックに対して、オプションとして外部支持構造(より詳細に後述する)に対して調整するために必要な、約2分〜約30分続き得る通常量の取り扱い及び引っ張りを受け得る。そのような取り扱いは、シートを外部支持構造に繰り返し取り付け、取り外すことを含み得る。シート材料は、使用者が湿潤熱的効果をより長期にわたって適用することの恩恵を受けられるように、急速な蒸発ではなく、適度によい湿り気を保持することができる。例えば、ディスペンサから一旦取り出され、使用者に人体領域に適用されると、シート材料は、少なくとも5分間にわたって湿潤成分の少なくとも60%、いくつかの実施形態では少なくとも70%、他の実施形態では少なくとも80%を保持することができる。
【0044】
シートが湿らせられる実施形態では、シートに、特定の人体部位に対する熱的湿布治療での目的に応え得る様々な化学薬品を含浸させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、化学薬品は、人体部位のベースライン状態を向上させ、かつ/又は湿式もしくは乾式熱的治療を繰り返し使用することから生じ得る任意の傷を低減することができる。化学薬品の存在により、例えば、水が湿潤剤として使用される場合に生じ得る皮膚のあかぎれ、及び/又は乾燥を軽減することができる。例えば、目領域の治療では、化学治療は、眼窩周囲の皮膚、瞼の外皮、瞼板腺、涙点、結膜、及び角膜等の組織を対象とすることができる。いくつかの実施形態では、例えば、目湿布は、水、モイスチャライザ、湿潤剤、乳化剤、栄養剤、界面活性剤、洗剤、清浄剤、栄養補助剤、香料、芳香療法化合物、抗菌抗寄生虫化合物、防腐剤、緩衝剤、及び/又は他の薬剤等であるが、これらに限定されない化学薬品を含むことができる。具体的には、目に使用する場合、一般に、目又はその近傍で通常生成される分子を補う界面活性剤及び湿潤剤等の目の状態を治療し得る特定の化学薬品並びに抗ヒスタミン、肥満細胞安定剤、抗生物質、抗寄生虫剤、コルチコステロイド、免疫修飾剤、抗ウィルス剤、及び他の薬品等の特定の目の使用において治療的な化学薬品を選択することができる。
【0045】
図8を参照すると、目湿布組立体及びシステムの実施形態による例示的なフェイスシート86は、上部92と、左側部94と、右側部96と、下部98とを有するシート本体88を備える。図8に示されるように、右側部及び左側部は、使用者の鼻翼を許容する湾曲した切り欠き102を画定する鐘形曲線のような形状の下部に遷移する。あるいは、切り欠きのピークは、湾曲せずに傾斜してもよい(図2に示されるゲルパック20の切り欠き225と同様に)。いくつかの実施形態では、シート86は目湿布キットの部分としてシートと併せて使用されるゲルパックの輪郭線を模する。いくつかの実施形態では、シートは、使用者の顔がゲルパックに直接接触せずに、フェイスシートのすべての適用エリアで接触するように、全辺でゲルパックの縁部を超えて延びるようなサイズ及び形状である。いくつかの実施形態では、例えば、シート86は、約5in(約12.7cm)〜約11in(約27.94cm)の長さLを有することができる。いくつかの実施形態では、シート86は、約2in(約5.08cm)〜約6.5in(約16.51cm)の高さHを有することができる。
【0046】
図8に示されるように、特定の実施形態では、シート本体88の上部92は、シートをゲルパック及び/又は支持構造(より詳細に後述する)に取り付ける留め具を収容する開口110を画定する。支持構造は、シートが使用中(適用位置において)、シートの重力の少なくとも部分を垂直に支持するために使用することができる。開口は、ゲルパック20に関連して上述したように、シート本体88の異なる場所に画定することができる。同様に、ゲルパックに関して上述したように、シート本体は、シート本体に取り付けられて、ゲルパック又はゲルパック及び外部支持構造に固定する、例えば、タブ、スナップ、マジックテープ、及び/又はこれらと同様のもの等の留め具を有することができる。
【0047】
シートは、適した生物適合材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、シート材料は、柔らかい手触りであり、それにより、使用者の皮膚を、ゲルパックのツルツルして湿っていないケースよりも快適な表面に露すことができる。いくつかの実施形態では、シート材料は、わずかなクッション効果も有して、使用者に対するゲルパックの衝撃を低減する。いくつかの実施形態では、シートは、最長で数ヶ月にわたり、湿った状態で貯蔵した後でもその完全性を保ち、ゲルパックの表面に着脱可能に固定する留め具に取り付けられる際の破れ又は引き裂けに抵抗するのに十分な弾性を有する。
【0048】
乾燥した紙タオル、布タオル、及びガーゼパッドをそのようなゲルパックの下で湿布治療の一環として使用することが既知である。通常、材料を湿らせずにゲルパックの下に直接配置することが推奨される。これは、熱的治療に熱的バリアを提供しがちである。これら物質は乾燥した形態で提供されるため、これも乾式熱の形態を提供する。
【0049】
仮説的に、そのような材料は、暖かいゲルパックの下に使用するために、湿った、又は濡れた形態で提供してもよい。特に、ゲルパックの下に挿入する前に、材料を湿らせるように使用者に指示しうる。しかし、これは使用者にとって不都合である。第1に、湿らせる程度及び水の温度の両方が、適用毎にばらつく。湿り気のこのばらつきは、電子レンジで加熱される材料の応答のばらつきを生じさせ、したがって、使用者がすべての治療で標準の電子レンジ加熱時間で所望の温度に達することがより難しくなる。第2に、長期にわたって繰り返し温湿布を使用する間、特定の使用者の皮膚を水だけで濡らすと、皮膚がダメージを受け(あかぎれ等を通して)、かつ/又は瞼及び眼窩周囲の皮膚の様々な特定の状態を治療する際の有用性が限られることになり得る。乳化剤、皮膚栄養剤、清浄剤、及びこれらと同様のもの等の化学薬品を提供することにより、ダメージを低減し、様々な状態への治療を提供することができる。第3に、そのような材料を使用者に向けて、事前に湿らせた形態で包装する仕組み(すなわち、乾いた紙タオル、布タオル、及びガーゼパッド)は、これら材料は通常、湿らせられた状態での長期貯蔵を意図されていないため、困難かつ高価であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、シートは、不織布から製造される。他の実施形態では、シートは、意図される機能を実行するように構成された任意の材料から製造することができる。例えば、シートは、織られた、又は編まれた布地、繊維布地、膜、及び発泡体から製造することができる。
【0051】
本明細書において使用する用語「不織布」は、古典的な製織プロセスで使用されるもの以外の手段及び/又はプロセスにより一緒に保持される繊維の組立体を意味する。不織布の製造に使用されるプロセスとしては、ランダムなウェブもしくはマット内の機械的交絡、繊維の熱融合、デンプン、接着剤、カゼイン、ゴム、ラテックス、もしくはセルロース誘導体もしくは合成樹脂のうちの一方等の結合材を使用する接合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
不織布は、任意の繊維状ポリマー又は繊維形成ポリマーの繊維から準備することができる。合成繊維形成材料は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、これらと同様のもの、及び上記材料のコポリマーを含むが、これらに限定されない等級のポリマーから作ることができる。再生セルロース及びキチン等であるが、これらに限定されない改質天然ポリマーを使用することも可能である。さらに、綿、ジュート、ラミー、麻、他の形態のセルロース、及び他の形態のキチンを含むが、これらに限定されない自然ポリマー繊維を使用してもよい。しかし、不織布は紙タオルを含まない。不織布は、スパンボンド法、メルトブロー法、水流交絡法、ハイドロレーシング法、静電紡糸法、ニードリング法、フェルト法、ウェットレイ、及びこれらと同様のものを含むが、これらに限定されない技術により準備することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、不織布はスパンレースで構成される。いくつかの実施形態では、スパンレースは約20gsm〜約150gsmの重量を有する。他の実施形態では、スパンレースは約40gsm〜約120gsmの重量を有する。さらに他の実施形態では、スパンレースは約50gsm〜約80gsmの重量を有する。参照した重量のシートは、湿り気をよく保ち、皮膚に快適である。
【0054】
いくつかの実施形態では、シートは、事前に湿らせられた不織布シートである。使用者により供給される湿潤量が、使用毎に不均等であり、それにより、使用毎の加熱が予測不能になる恐れがあるため、事前に湿らせられた不織布シートが望ましい場合がある。使用者が湿らせる繊維(テリー布タオルを含む布タオル等)とは対照的に、着脱可能な不織布シートは、容易に一緒に包装し、包装から取り出された各シートが比較的予測可能な量の湿り気を含むように事前に湿らせることができる。この確立された量の湿り気は、シートが所与の量の熱で処理された場合、より予測可能であり、ひいてはより安全な結果をもたらし得る。特に、この確立された量の湿り気は、シートが、シートを加熱する手段として所与の量のマイクロ波放射で(ゲルパックと共に、又はゲルパックなしで)処理される場合、より予測可能であり、ひいてはより安全な結果をもたらし得る。
【0055】
例示的な目湿布組立体への使用に適合された湿めらせた不織シートの実験的使用を実行した。実施例1に示されるように、湿らせた不織シートは、乾いた不織シートよりも良好な熱伝導性を達成する。従来技術により、シートの湿り気が、熱バリアとして機能し、ゲルパックの熱的有効性を低減することが示唆され、シートを乾いた状態に保つことが最良であることが示唆されていたため、そのような結果は予想外であった。
【0056】
熱的治療の電子レンジ活性化の特定の用途では、湿らせたシートが電子レンジで加熱されるゲルパック全体を通しての熱の均等な分布を向上させることが分かっているため、湿り気を含むシートが望ましい場合がある。湿らせたシートは、マイクロ波放射に関連してより均等に動作し、シートが加熱されるにつれて、この均等な加熱をゲルパックに伝えることができる。シートはゲルパックよりも含水率が低く、ゲルパックの加熱に影響するとは予想しなかったため、そのような特徴は予想外である。この発見の根拠を実施例4に提示する。
【0057】
紙タオルは、目湿布治療の場合にゲルパックシステムとの併用が推奨されてきた。しかし、乾いた紙タオルは通常、粗い表面、すなわち「でこぼこした」表面を有し、使用者の皮膚に当てて保持される場合、不快であり得る。他方、不織布シートは、比較的薄い外形にも拘わらず、紙タオルが有さない予想外の「弾力性」を有することが分かっている。これは、シートが使用者の顔とゲルパックとの間に挿入された場合、クッション効果を生み出す。
【0058】
図2に示されるように、不織シートの性能は、例示的な目湿布ゲルパックシステムのテストにおいて、紙タオルシートを凌ぎ、より高い吸水性、より長い湿潤保持時間、及び湿らせた場合により高い弾性を達成した。紙タオルはこぼれたものを掃除することに優れているとして特に市場に出されている一方で、不織布は通常、優れた汚れ清掃性を有するとして市場に出されているため、吸水性及び湿潤保持時間は予想外であった。使用者が、特定の目湿布治療セッション(20分以上続き得る)中にシートを再利用することを好み得ることが予想され、使用者が湿ったシートを、蒸発率を増大させる電子レンジで加熱することも予想されたため、より長い乾燥時間を有するシートが望ましい。
【0059】
不織材料には、テリー布材料等の織物布材料よりも優れた利点もある。例えば、実施例3は、織物シート(テリー布タオル)がより大きな熱的バリアを呈することを示す。日常で使用するに当たり、編まれた、又は織られた材料は、材料の再利用及び使用者がそのような材料を共有する傾向により、不織布シートと比較して高い感染の危険性を呈する傾向を有する。
【0060】
実験では、加熱目湿布治療用に設計され、湿った不織布シートが嵌められた例示的な装置は、湯で加熱されたタオルよりもはるかに長く、所与の温度を保った。ゲルパックを再加熱するために治療を中断する必要がないため、所望の治療目標をはるかに短時間で達成し、それにより、使用者に対するより高い快適性も証明した。
【0061】
いくつかの実施形態では、乾いたシート又はレイヤが、濡れたシートと使用者の体との間、又はゲルパックと濡れたシートとの間に配置され、特定のエリアを覆うように準備される。例えば、乾いたシート又は乾いたレイヤは、瞼周辺上に位置決めされるように構成されたスリットを有することができる。これにより、湿った熱を瞼周辺のみに選択的に伝達させることが可能である。同様に、いくつかの実施形態では、目周囲領域を覆う乾いたシート又はレイヤの部分は、眼窩周囲領域のサイズ及び形状の内部開口を含む。眼窩領域上に開口を有しながら、目周囲領域を覆うことにより、シート又はレイヤは、熱的効果を目周囲領域のみに選択的に伝達させることができる。逆に、目領域のみに熱を伝達するシステムを考えることもできる。他の実施形態では、上述した2枚シートと同じ効果を達成する湿らせることができるエリア及び湿らせることができないエリアの両方を有する1枚のシートを事前処理することができる。換言すれば、そのようなシートの湿らせることが可能なエリアは、熱的治療を、その濡れたエリアの下にある対象組織に選択的に伝達させ、湿らせることができないエリアの下にある組織上には熱的バリア効果を有する。熱の選択的な適用は、鼻領域を覆うフェイスシートの部分が乾燥した状態に保たれ、患者の快適さのために、この特定のエリアに伝達される熱の量を低減するように、適用することもできる。いくつかの実施形態では、着脱可能なレイヤ又はシートの上記実施形態は、ゲルパック又は外部支持構造(詳細に後述するような外枠等)に永久的に適用されるように変更することができる。これら手法の実験的な根拠は、実施例1に見出すことができる。後述するように、熱シールドを使用して、対象エリアへの選択的な熱伝導を達成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、湿布組立体及びシステムは、ゲルパックの前側に能動的又は受動的に位置決めされる外枠をさらに含む。具体的には、外枠は、ゲルパックの外向き側(すなわち、ゲルパックの適用位置において患者の人体領域に接触しないゲルパックの側)に取り付け可能であるか、又は他の様式で位置決め可能である。具体的には、外枠は、ゲルパックの外向き面に受動的に位置決め可能であり、人体湿布システムを形成するか、又はゲルパックの外向き面に能動的に位置決めされて、人体湿布組立体を形成する。ゲルパックに受動的に位置決め可能なことにより、外枠は、外枠をシステムの適用位置のゲルパックに取り付けるいかなる機械的手段もなく、ゲルパックに位置決めされる。しかし、外枠は、摩擦係合を介してゲルパックと連絡することができる。ゲルパックに対して能動的に位置決めすることにより、外枠は、外枠を組立体の適用位置のゲルパックに取り付ける機械的手段の使用を介してゲルパックに対して位置決めされる。
【0063】
いくつかの実施形態では、外枠は、ゲルパックを使用者の解剖学的構造に押し付けるストラップを含み、使用者の解剖学的構造の特定の領域上に直接、ゲルパックを押し付ける外部ソースを提供する比較的しっかりとしたベース面(弾性かつ/又は柔らかい織物により供給されるような可撓な表面と比較して)を提供する。次に、使用者は、外枠の押し付けを調整して、人体部位に対する押し付けを最適化することができる。したがって、例えば、使用者が直立位置にある状態で、ゲルパックが目領域に対して位置決めされ、ゲルパックが重量を垂直に支持するソースを有さない、目領域に使用されるように設計された人体湿布システムでは、ゲルパックに対して受動的に位置決め可能な外枠は、外枠へのいかなる押し付けの増大も目の解剖学的構造(又はそのいくらかの部分)に押しつけを伝達するように、目の解剖学的構造(又はそのいくらかの部分)の大まかな輪郭線に相関するような形状であることができる。使用中、外枠の剛性は、ゲルパックを人体部位に対して所定位置に保持するいくらかの支持を提供する。外枠の剛性により、使用者は、枠の下縁部が治療中の人体部位よりも下にある人体部位に静止し、それにより、ゲルパックの底が外枠の下縁部と使用者の体とが出会う箇所で支持されるように、枠を位置決めすることも可能である。これにより、使用者は、外枠をゲルパックに対して締め付けるストラップの様々な押し付け張力から選択することが可能になる。外枠の剛性により、使用者は、単に比較的剛性の高い枠要素を手で押すことにより、圧力が及ぼされる厳密な位置を決定して調整することがより容易にすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、外枠は、目領域に対応するレリーフ開口を画定する。そのようなレリーフ開口の存在により、目に対する外枠の直接圧力が選択的に低減され、使用者は、レリーフ開口を通して直接手が届くことにより、ゲルパックを直接操作することができる。
【0065】
外枠がゲルパックに対して能動的に位置決めされる実施形態では、ゲルパック又は外枠はストラップを含み、外枠はゲルパックに固定されて、ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持し、それにより、適用位置において、ゲルパックは、ゲルパックがもはや使用者に治療の恩恵を提供できなくなるような程度まで垂れ下がらない。そのような垂れ下がりは、ゲルパック全体の位置並びにゲルパック内のゼラチン様材料の両方に関して生じ得る。
【0066】
図9に見られるように、実施形態では、外枠164は、左上部148と、右上部152と、左下部154と、右下部156と、左側部158と、右側部162とを有する枠本体146を備える。いくつかの実施形態では、外枠は、目湿布組立体又はシステムの一環として外枠と併用されるゲルパックの輪郭線を模すことができる。例えば、右側部及び左側部は、使用者の鼻翼を許容する湾曲又は傾斜した切り欠き166を画定する鐘形曲線のような形状の下部に遷移することができる。いくつかの実施形態では、外枠は、ゲルパックが全辺で外枠の縁部を超えて延び、それにより、使用者の顔が、外枠に直接接触せずに、すべての適用エリアにおいてゲルパックに接触するようなサイズ及び形状である。同様に、図11を参照すると、フェイスシートが使用される実施形態では、外枠164、ゲルパック20、及びフェイスシート86は同様の輪郭線を有し、フェイスシート86はゲルパック20よりも大きな表面積を有し、ゲルパック20は外枠164よりも大きな表面積を有する。
【0067】
特定の実施形態では、外枠は、休止位置では、概して平ら、すなわち平坦な構造をとる。本明細書において使用される用語「休止位置」は、使用者の人体領域に適用(すなわち、適用位置)されておらず、平面上に置かれている外枠の位置を指す。外枠のこの休止位置は、図9の外枠164の平面図である(しかし、ストラップ192も含む)図10に最もよく見られる。外枠が概して平坦な構成を有する実施形態では、目湿布組立体が目領域に対して適用される場合、外枠は、所望の目領域(すなわち、顔の目周囲領域及び/又は眼窩周囲領域)に対して直接ゲルパックを押し付ける能力を有する。他の実施形態では、本明細書においてさらに詳細に説明するように、枠の左側部及び右側部は弧形である。
【0068】
上述したように、いくつかの実施形態では、外枠をゲルパックに取り付け、ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持し、それにより、ゲルパックは、ゲルパックがもはや使用者に治療の恩恵を提供できなくなるような程度まで使用者の顔面上で垂れ下がらない。そのような実施形態では、外枠は、ゲルパックが外枠に取り付けられ、外枠が使用者の目領域に対して固定された垂直位置にある場合、外枠が折れないように、ゲルパックの重量の少なくとも部分を支持するのに十分な剛性の材料から製造される。外枠は、任意の適した方法でゲルパックに取り付けることができる。例えば、外枠は、使用に際してゲルパックに永久的に取り付けてもよく、又は着脱可能に取り付けてもよい。前者に関して、外枠は、製造中にゲルパックに接着又は熱成形することができる。外枠をゲルパックに永久的に取り付ける他の手段も可能である。外枠がゲルパックに永久的に取り付けられる場合、外枠は、意図される機能を失うポイントまで劣化せずに外枠を熱源又は冷源に曝すことができるように、熱さ及び冷たさに耐性を有する材料から製造することができる。
【0069】
使用中にゲルパックに着脱可能に取り付けられる外枠に関して、枠は、ゲルパックを外枠に固定する少なくとも1つの留め具を収容することができる。例えば、図9に示されるように、外枠は、ボタン、ストリング、スナップ、又はゲルパックの上部に取り付けるための他の留め具を受けるように構成された開口168を枠本体146の上部148及び152のそれぞれに画定することができ、この場合、外枠は、ゲルパックの重力の略すべてを支持する。図9は2つの開口を示すが、外枠は、3つ以上の開口を枠本体の上部に含んでもよい。外枠は、右下部156及び左下部154のそれぞれ、並びに/或いは右側部162及び左側部158のそれぞれに任意の適した数の開口を画定することもできる。代替として、外枠164は、右上部152と左上部148との間の中央に配置された1つの開口を画定することができる。さらなる代替として、外枠は、枠本体146の左側部162に少なくとも1つの開口を画定し、右側部158に少なくとも1つの開口を画定することができる。そのような実施形態では、枠本体は、ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持する(しかし、仮にゲルパックが枠本体の上部に取り付けられた場合ほどは支持しない)。しかし、そのような実施形態において支持される重力は、使用中にゲルパックが垂れ下がらないようにするのに十分である。開口の厳密な数及び位置は、ゲルパックが適用位置において垂れ下がらないように、外枠がゲルパックの重力に十分な支持を提供する限り、様々であり得る。外枠164の開口の厳密な数及び位置に関わらず、ゲルパック及び/又はシートは、例えば、図2及び図8等に関連して上述したように、同様の開口を有することができる。
【0070】
枠本体に適用される別個の留め具を受けるように設計されることに加えて、枠本体は、枠本体にすでに取り付けられた、又は取り付け可能な留め具を含むことができる。例えば、枠本体は、ゲルパックに配置された磁気ストリップ又は金属製ストリップに取り付けられる磁気ストリップを収容することができる。そして、シートは、ゲルパックに取り付けられる磁気ストリップ又は金属ストリップを有することができる。特定の実施形態では、図12に示されるように、外枠164は、枠本体にすでに取り付けられたボタン、スナップ、及び/又は留め具を有することができる。そのような留め具は、例えば、外枠の枠本体にダイカット又は成形することができる。例えば、図12は、外枠164の枠本体に取り付けられたボタン174を示す。上記留め具は単なる例示であり、ゲルパック及び/又はシートを外枠に取り付ける機能を達成する限り、他の留め具を使用することもできる。さらに、任意の数の留め具を使用して、目湿布組立体の構成要素を固定することができる。他の種類の留め具の非限定的な例としては、マジックテープ、クリップ、スナップ、及びオス/メス留め具が挙げられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、目湿布キットは、外枠に一体化されず、むしろ、外枠又は留め具の一体性を損なわずに(すなわち、外枠又は留め具を引き裂く、又は壊すことなく)、留め具を外枠から分離可能であるという意味で分離可能な別個の留め具を含むことができる。そのような分離可能な留め具の例としては、図7に示されるクリップが挙げられる。いくつかの実施形態では、留め具は、枠本体の上部に取り付けられるか、又は取り付け可能であるが、留め具は、枠本体により画定され、留め具を受ける開口に関して上述したように、枠本体の異なる位置に位置決めすることができる。
【0072】
手短に上述したように、フェイスシートを使用者の目領域とゲルマスクとの間に
能動的に配置することが望ましい実施形態では、フェイスシートは、留め具を受けるように構成することもできる。例えば、図8に示されるように、フェイスシートの上部は、ゲルパックを外枠に固定するために使用されるものと同じ留め具を収容する開口110を画定することができる。他の実施形態では、フェイスシートは、ゲルパック又は外枠に取り付けられるように構成されない。
【0073】
外枠を含む目湿布組立体は、図11に示されるように、ストラップ192を含むこともできる。ストラップは、ゲルパック又は外枠に取り付けることができ、図11に示される実施形態では、ストラップ192は、外枠164の左部及び右部に取り付けられる。この実施形態では、ストラップは、ストラップを締める又は弛めることにより、外枠に制御可能な水平圧力を及ぼせるように調整可能である(他の実施形態では、そのように要求はされないが)。外枠が留め具を介してゲルパックに取り付けられないが、使用者に対して受動的に位置決めされる特定の実施形態では、外枠は、使用者の解剖学的構造に対して押し付け力を適用する機能を提供する。しかし、外枠及びゲルパックが少なくとも上部を介して一緒に取り付けられる特定の実施形態では、外枠ストラップにより及ぼされる水平圧力は、目湿布組立体の上部にある1つ又は複数の留め具を介して外枠によりゲルパックに提供される垂直支持から大方独立している。この効果を達成するために、特定の実施形態では、外枠は、外枠の右側及び左側に、ストラップを収容するスリットを含むことができる(そのような収容はゲルパックに関連して上述したものと同様である)。実際に、特定の実施形態では、ゲルパック及び外枠は両方とも、ストラップをゲルパック及び外枠の両方に通して、ゲルパックを外枠にさらに固定するように、互いに位置合わせされたスリットを有する。
【0074】
あるいは、ストラップは、外枠に縫い付けられる、又は接着されること等により、他の例示的な手段を介して外枠に取り付けてもよい(ここでも、そのような例示的な手段はゲルパックに関連して上述したものと同様である)。したがって、ストラップは外枠に永久的に取り付けてもよく、又は外枠に着脱可能に取り付けてもよい。ストラップは、織物、プラスチック、織物弾性体、及び可撓な弾性ポリマーを含む、ゲルパックの加熱に必要な量等の低レベルの熱又は低レベルのマイクロ波照射による加熱のいいずれにも悪影響を受けない様々な伸張性又は非伸張性の材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、ストラップは、外枠が単純に、ゲルパック及びシートを人体部位に押し付けることなく、人体部位に関連してゲルパック及び柔らかいシートを支持する機能を果たせるように、十分に弛めることが可能である。一般に、上述したようなゲルパックに対するストラップの説明は、代わりに外枠に取り付けられるストラップに対しても当てはまる。
【0075】
図14〜図16は、第1の構成(図14)及び第2の構成(図15)でストラップシステム350に結合された外枠310を示す。外枠310は、左側部314及び右側部312を含み、図12に関連して図示し説明された外枠164と同様である。左側部314は、第1の留め具380、第2の留め具381、及び第3の留め具382を含む。同様に、右側部312も、第1の留め具383、第2の留め具384、及び第3の留め具385を含む。締め具380〜385は、本明細書においてさらに詳細に説明するように、外枠310をストラップシステム350の部分に取り付けるように構成される。
【0076】
留め具380〜385は、任意の適した結合機構で構成することができる。いくつかの実施形態では、留め具380〜385は、ストラップ352を外枠310に弛められるように結合するように構成されたオス/メススナップコネクタである。他の実施形態では、留め具は、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、及び/又は紐等の他の種類の弛められる結合機構であってもよい。他の実施形態では、留め具は、使用者がストラップの位置を摺動可能に調整できるようにする歯付きリングを含むことができる。さらに他の実施形態では、留め具は、ストラップを外枠に永久的に取り付けるように構成し得る。
【0077】
ストラップシステム350は、第1のストラップ352、第2のストラップ360、及び第3のストラップ370を含む。第1のストラップ352は、第1の端部353及び第2の端部354を含む。第1の端部353は、第1のストラップ352の第1の端部353を第2のストラップ360の第1の端部362に結合するように構成された留め具359を含む。さらに、第1のストラップ352の第1の端部353は、第1の留め具380(図15に示される第2の構成の場合)又は第2の留め具381(図14に示される第1の構成の場合)を介して外枠310の左側部314に結合するように構成される。
【0078】
同様に、第2の端部354は、第1のストラップ352の第2の端部354を第3のストラップ370の第1の端部372に結合するように構成される留め具358を含む。さらに、第1のストラップ352の第2の端部354は、第1の留め具383(図15に示される第2の構成の場合)又は第2の留め具384(図14に示される第1の構成の場合)を介して外枠310の右側部312に結合するように構成される。
【0079】
第2のストラップ360は、第1の端部362及び第2の端部364を含む。上述したように、第1の端部362は、留め具359を介して第1のストラップ352の第1の端部353に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、留め具359は、第2のストラップ360を第1のストラップ352に対して回転可能に旋回させるスナップコネクタである。他の実施形態では、留め具は、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、又は紐等の任意の適した結合機構であり得る。第2のストラップ360の第2の端部364は、留め具382を介して外枠310に結合される。留め具382は留め具359と同様であり得る。
【0080】
第3のストラップ370は、第1の端部372及び第2の端部374を含む。上述したように、第1の端部372は、留め具358を介して第1のストラップ352の第2の端部354に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、留め具358は、第1のストラップ352に対して第3のストラップ370を回転可能に旋回させるスナップコネクタである。他の実施形態では、留め具は、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、又は紐等の任意の適した結合機構であり得る。第3のストラップ370の第2の端部374は、留め具385を介して外枠310に結合される。留め具385は留め具358と同様であり得る。第2のストラップ360及び第3のストラップ370は、外枠310下部を使用者の目領域に対して保持するように構成される。
【0081】
第1の構成(図14)では、第1のストラップ352は、使用者の目の高さに位置決めされる。したがって、第1のストラップ352は使用者の頭部の周囲に配置されて、外枠を(ゲルパック及び/又はシートと共に)使用者の目領域に対して保持し使用者の目へのある量の圧力を含むある量の圧力が使用者の目領域に加えられる。第2の構成(図15)では、第1のストラップ352は、使用者の目の高さよりも上に位置決めされる。これにより、第1のストラップ352が使用者の頭部の周囲に配置されて、外枠を(ゲルパック及び/又はシートと共に)使用者の目領域に対して保持する際、留め具380と留め具382との間の外枠310の部分及び留め具383と留め具385との間の外枠310の部分が、使用者の目領域から離れて引っ張られる。換言すれば、留め具380と留め具382との間の外枠310の部分及び留め具383と留め具385との間の外枠310の部分が湾曲する。これは図16に見られる。これは、第1の構成において使用者の目に加えられる圧力未満の圧力を使用者の目に加えさせる一方で、使用者の目の上及び下の領域(例えば、使用者の目領域の周囲)にはより大きな圧力が加えられる。したがって、図14〜図16に図示され説明された実施形態では、使用者は、ストラップの位置を変えることにより、目に加えられる圧力量を低減することができる。
【0082】
図14〜図16では2つの位置を有するものとして示されるが、他の実施形態では、第1のストラップは外枠の任意の数の位置を有し得る。いくつかの実施形態では、例えば、外枠は、ストラップの調整突起を受けるように構成された歯付き開口を画定することができる。調整突起は、ストラップを外枠の様々なポイント(スナップ380と381との間のポイント、スナップ383と384との間のポイント)に位置決めできるようにする、歯付き開口内で摺動するように構成することができる。歯付き部分内の歯は、使用者が選択したポイントに調整突起を維持するように構成される。他の実施形態では、他の任意の種類の適した調整機構を使用してもよい。これにより、使用者は、目に加えられる圧力をより細かく変更することができる。
【0083】
図14〜図16では、単一の一体形成されるストラップとして示されるが、他の実施形態では、第1のストラップは、マジックテープ、オス/メススナップコネクタ、バックル、及び/又はこれらと同様のもの等の弛められる結合機構を使用して一緒に結合可能な2つ以上の分離可能な部分を有する。そのようなストラップ部分は、マジックテープ、バックル、及び/又は他の任意の適した調整機構を使用して調整可能である。
【0084】
さらに他の実施形態では、第1のストラップ、第2のストラップ、及び第3のストラップは、一体形成することができる。そのような実施形態では、一体形成されたストラップの端部は、「v」字形であることができ、それにより、ストラップを外枠の両側に2つの位置で結合することができる。さらに他の実施形態では、単一のストラップの両端部において2つの「v」字形コネクタに結合する単一のストラップを使用することができる。「v」字形コネクタは、外枠の両側の2つの位置で外枠に結合することができる。
【0085】
図14〜図16では、外枠に結合されるとして図示され説明されるが、外枠が使用されない実施形態では、ストラップをゲルパックに直接結合することができる。他の実施形態では、ストラップは枠にもゲルパックにも結合されず、ゲルパックの外側に巻かれ、摩擦によりゲルパックを使用者の目領域に対して保持する。換言すれば、ゲルパックは、ストラップと使用者の目領域との間に挟まれる。そのような実施形態では、ストラップは、所望の圧力が使用者の目領域に付与されるように、ゲルパックの外側に調整可能に位置決めすることができる。
【0086】
さらに他の実施形態では、ストラップを中間部材に結合することができ、中間部材は次に、ゲルパックに結合される。いくつかの実施形態では、例えば、ストラップは、縁部支持部材に結合される。他の実施形態では、ストラップは、ゲルパックに結合可能であり、かつ/又はゲルパックを摩擦により所定位置に保持可能なプラスチックカバーに結合される。さらに他の実施形態では、中間部材は「Y」字形又は「T」字形のプラスチックであり得る。そのような実施形態では、ストラップはプラスチックの第1の端部に結合し、プラスチックのその他の2つの端部はゲルパックに結合する。他の実施形態では、「Y」字形又は「T」字形のプラスチック個片は、ストラップ(又は代替として、「v」字形をなす別個のストラップ)の「v」字形部分をゲルパックに案内する。そのような実施形態では、ストラップはゲルパックに結合され、「Y」字形又は「T」字形のプラスチック個片は、ストラップに剛性の増大を提供する。
【0087】
いくつかの実施形態では、外枠には、図14〜図16のストラップシステム350が第2の構成の場合に達成される湾曲と同様の弧形の永久的な湾曲を有して構築される。換言すれば、そのような実施形態では、外枠は、休止位置の場合、図16に示される湾曲と同様の湾曲を有する(例えば、図16の留め具380と留め具382との間の湾曲及び留め具383と留め具385との間の湾曲と同様)。さらに換言すれば、そのような実施形態では、外枠は、撓んだ後、弧形の湾曲を有する位置に戻るように付勢される。そのような実施形態では、第1のストラップが使用者の目の高さに位置決めされた場合、図14〜図16のストラップシステム350が第2の構成にある場合に達成される圧力と略同様の圧力が、使用者の目領域に加えられる。したがって、第1のストラップが永久的な湾曲を有する枠の、使用者の目の高さよりも上に配置される場合、さらに小さな圧力を達成することができる。枠が曲げられる程度及び枠の湾曲の剛性に応じて、加えられる圧力をさらに低減することができる。したがって、使用者は、ストラップの位置決め、枠の湾曲量、又はこれは両方に基づいて目領域に加えられる圧力を変更することができる。
【0088】
弧形の永久的な湾曲を有する外枠を有することにより、より容量の多いゲルパックを使用することも可能になり、それにより、熱的治療の持続時間が増大する。容量のより多いゲルパックを有することにより、使用者の目領域に加えられる圧力も大きくなる。まず、枠により加えられる圧力を低くすることにより(弧形の永久的な湾曲を有する枠及び/又は目の高さよりも上で枠に結合されるストラップを使用して)、目の高さのストラップを有する平坦な枠から生じるより大きな圧力を提供せずに、容量のより大きなゲルパックを使用することができる。
【0089】
他の実施形態では、別個の弧形部材を外枠に着脱可能に結合して、弧形の湾曲を画定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、湾曲を有する剛性の材料個片を、枠の各側に結合できる。剛性の材料個片は任意の適した結合機構、例えば、スナップ、クリップ、及び/又はこれらと同様のもの等を使用して結合することができる。そのような実施形態では、使用者は、剛性材料個片を枠に取り付けるか、又は枠から取り外すことにより、弧形の湾曲を枠に有するか否かを決めることができる。さらに他の実施形態では、弧形部材は、使用者が枠の湾曲を決め、湾曲量を調整できるように、使用者が曲げることができる。
【0090】
図17は、別の実施形態による多部品枠450に結合されたゲルパック400の正面図を示す。ゲルパック400は、左部402及び右部404を有し、機能的及び構造的に、本明細書において図示し説明した他のゲルパックと同様である。左部402は、多部品枠50の第1の部分470に結合するように構成され、右部404は、多部品枠450の第2の部分460に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、ゲルパックの外縁部は、ゲルパックが使用者の目領域に対して垂直位置において固定される場合、ゲルパックが垂れ下がらないように、ゲルパックの重量の少なくとも部分の支持を助けるように構成された縁部支持部材を含む。
【0091】
多部品枠450の第1の部分470は、ストラップ472及び保持部474を含む。保持部474は、第1の留め具476及び第2の留め具478を有する。留め具476、478は、多部品枠450の第1の部分470をゲルパック400に取り付けるように構成される。いくつかの実施形態では、留め具476、478は、多部品枠450の第1の部分470をゲルパック400の左部402に弛められるように結合するように構成されたスナップコネクタである。他の実施形態では、留め具は、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、又は紐等の任意の適した結合機構であってもよい。他の実施形態では、多部品枠の第1の部分は、例えば、接着剤、グロメット、及び/又はこれらと同様のもの等の任意の適した手段によりゲルパックに永久的に結合してもよい。
【0092】
ストラップ472は、使用者の頭部に巻かれ、第2の部分460のストラップ462に結合するように構成される。ストラップ472は、任意の適した手段によりストラップ462に結合することができる。いくつかの実施形態では、ストラップ472及びストラップ462をまとめて、多部品枠が様々な頭部サイズに合うことができるように集合的に調整することができる。他の実施形態では、ストラップ472はストラップ462と一体形成される(例えば、単一のストラップを形成する)。
【0093】
同様に、多部品枠450の第2の部分460は、ストラップ462及び保持部464を含む。保持部464は、第1の留め具466及び第2の留め具468を有する。留め具466、468は、多部品枠450の第2の部分460をゲルパック400に取り付けるように構成される。留め具466、468は、構造的及び機能的に留め具476、478と同様である。
【0094】
図18は、別の実施形態による熱シールド500の正面図である。熱シールド500は2つの開口510を画定する。熱シールド500は、ゲルパックと使用者の目領域との間に配置されるように構成されると共に、使用者が特定エリアで感じるゲルパックからの熱エネルギー量を低減するように構成される(熱エネルギーは、使用者がゲルパックの存在から感じることができる熱い又は冷たいエネルギーを意味する)。具体的には、熱シールド500は、熱シールド500に配置された人体の残りの部分よりも多量の熱エネルギーを、開口510に位置あわせされた使用者の人体部分に接触させることができようにする。換言すれば、熱シールド500は、目領域で使用者がより多量の熱エネルギーを感じられるようにし、目領域の周囲の人体領域で使用者が感じる熱量を制限する。
【0095】
熱シールド500は、ゲルパックの熱エネルギーをブロックするように構成された任意の材料で構築することができる。いくつかの実施形態では、例えば、熱シールド500はナイロン繊維で構造することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、上述したように、不織シートを熱シールド500と使用者の目領域との間に配置することができる。他の実施形態では、フルシートを使用することに代えて、シートと同様の材料から製造される小さなアイパッドを熱シールドの開口に配置してもよい。
【0097】
外枠に結合されて図示され説明されるが、外枠が使用されない実施形態では、熱シールドはゲルパックに直接結合することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、アイカバーをゲルパック及び/又は外枠に結合して、光を遮断して、光が使用者の目領域に届かないようにし得る。アイカバーは、開口510なしの熱シールド500と同様であり、例えば、ナイロン繊維又はプラスチック薄層等の光の透過を遮断するように構成された任意の材料で製造し得る。
【0099】
熱シールド500及び/又はアイカバーは、例えば、オス/メス留め具、ボタン、マジックテープ、磁気ストリップ、紐、スナップ、及び/又は接着剤等の任意の適した手段により、ゲルパック及び/又は枠に着脱可能に、又は永久的に取り付け得る。他の実施形態では、熱シールド及び/又はアイカバーは、枠又はゲルパックに取り付けられず、ゲルパック及び/又は枠と使用者の体との間に押されることにより所定位置に保持される。
【0100】
図12を参照すると、特定の実施形態では、外枠164は、上部(左上部148及び右上部152の両方)と下部(左下部154及び右下部156の両方)とを橋渡しするブリッジ部119をさらに備える。この実施形態では、外枠は、内周111が左レリーフ開口113を画定する左セクション107と、内周115が右レリーフ開口117を画定する右セクション109とを備える。レリーフ開口は、使用者が、局所的な圧力をゼラチン様物質に加えることによりゲルマスク内のゼラチン様物質の位置を直接操作できるようにするようなサイズであり、この特徴は、枠の全体押し付け張力が低く保たれるが、使用者が、特定のエリアの押し付け効果を選択的に増大させたい場合に有用である。そのようなレリーフ開口は、枠の後方張力の増大から生じる押し付け圧力をいくらか低減もする。例えば、レリーフ開口により、枠は、そのような圧力を対象人体エリアの中心ではなく、むしろ対象人体エリアの周囲にフォーカスさせることができる。レリーフ開口は、例えば、涙形又は円形等の任意の適した形状を有し得る。
【0101】
レリーフ開口は、大気に直接露出してもよく、又は薄い層の繊維、プラスチック、フォイル、又は開口の下にあるゲルパックを覆うが、使用者がゲルを容易に操作できるように十分な可撓な他の材料で覆ってもよい。周囲空気との対流熱交換量を低減することにより、ゲルパックを遮断する特定の材料を選択することがでできる。
【0102】
図13を参照すると、特定の実施形態では、目湿布組立体は、ゲルインプレッサ21をさらに備え、ゲルインプレッサ21は、ブリッジ部119の裏面(すなわち、ゲルパックに接触するように構成された面)に接触して配置できる可撓で曲げることが可能なストリップである。ゲルインプレッサ21は、ゲルパックのゼラチン様物質の特定のエリアに選択された窪みを作るハンズフリーオプションを提供することができる。湿式湿布治療にタオルを使用する使用者によっては、さらなる快適さ及び症状の軽減を提供するために、各目の鼻側の角の特定のエリア(鼻側の眼角に重なるエリア)に穏やかな圧力を保ちたいことを示すことがある。ゲルインプレッサ21は、使用者がそのように指示された治療をそれら場所に適用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ゲルインプレッサ21は、曲げられた形状を保持する、可撓かつ曲げ可能な材料で作られる。アルミニウム等の軟質金属が一例である。他の実施形態では、ゲルインプレッサは、プラスチック又はゲルパックを各目の鼻側の角に押し当てることができる他の任意の材料で作られる。
【0103】
いくつかの実施形態では、ゲルインプレッサは、約0.020ゲージ厚、幅約2と1/2in(約6.35cm)×高さ約1/2in(約1.27cm)のアルミニウムシート個片から作られる。このインプレッサは、水平構成で(インプレッサの幅が水平面にあるような)外枠のブリッジ部の裏面に配置される。この場合、使用者は、非常に自然に(親指と人差し指との間で鼻梁を摘むのと同様に)鼻側の眼角に向けてインプレッサの両端を自在に押すことができる。これは、インプレッサの両端に引き続きゲルパック内のゼラチン様物質を鼻側の眼角に向けて押させるという所望の目標効果を達成し、その上で、使用者は、ハンズフリーで目湿布組立体の治療の恩恵を受け続けることができる。図示のゲルインプレッサは、圧力を鼻側の眼角領域に加えるように位置決めされるが、インプレッサは同様に、他の解剖学的領域に位置替えして適用してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、外枠は、ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持するのに十分に剛性であるが、意図される機能を提供するのに十分に曲げることが可能な材料で製造することができる。換言すれば、オプションのレリーフ開口を含む、特定のエリアでの解剖学的使用するためのサイズ及び形状を有する外枠が、垂直に直立して配置され、そのような解剖学的使用するために設計されたゲルパックが外枠に取り付けられる場合、外枠は、垂れ下がり又は曲げに対抗するのに十分な剛性を有し、それにより、ゲルパックの重量を支持すると共に、ゲルパックの形状を維持することができる。しかし、外枠が鼻梁を覆うように曲げられた場合等、外枠が人体部位上で曲げられた場合、外枠は、可撓性を示して、硬く、平坦で、曲げられない構成のままではなく、むしろ人体部位(顔等)の外側輪郭線にある程度整合することができる。この可撓性は、ストラップの可能な中身として上述した材料により提供される力を枠が受けた場合、枠が人体部位上で曲がり、それにより、下にあるゲルパックの全寸法(高さ及び長さ)に沿って下にあるゲルパックに押し当たるのに十分な程度であり得る。可撓性材料により、枠を中心線で半分に容易に折り下げることも可能であり得、この特徴により、旅行及び/又は保管用の外部支持体を含むという明確な目的に向けてのサイズ及び形状を有するケースに都合よく挿入することが可能である。いくつかの実施形態では、枠は、電子レンジ加熱可能な材料で構築される。他の実施形態では、枠は、電子レンジ加熱可能ではない材料で構築される。いくつかの実施形態では、湿布治療の一環としてウェットシートの使用が予想されるため、耐水性材料が使用されるが、ウェットシートは、通常の使用中、外枠に直接接触しない傾向を有する。
【0105】
外枠を製造可能な具体的な材料に関して、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等のポリマー、これらのコポリマー、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々なプラスチックの内の任意の1つが適し得る。ポリプロピレン(並びに他のプラスチック)は、様々な色に容易に染色され、この要素により、家庭の様々な使用者間で外用サポートを容易かつ一意に識別することができる。使用し得るさらなる材料としては、補強発泡体、厚紙又は同様の紙材料、セルフウェルト(self-welted)繊維、補強繊維、及びこれらと同様のものが挙げられる。ゲルパックに永久的に取り付けられる場合、又は他の状況では、外枠がゲルパックと共に加熱される場合、外枠の材料は、マイクロ波放射に繰り返し露出されても大きな劣化を示さないことができる。「大きな劣化」の定義は、この文脈の中でゲルパックに関連して上述した定義と同じである。実験では、図12に示される設計にダイカットされた0.30in(0.762cm)(30ゲージ)のポリプロピレンシートが、軽量で快適に使用され、垂れ下がり又は伸張に耐性を有し、鼻梁上で容易に曲げられると共に、熱及びマイクロ波放射への複数回(50を超える)の露出に耐性を有することが分かった。
【0106】
特定の実施形態では、外枠は、繊維又は他の柔らかいか、又は可撓性の材料で覆われるか、材料が重ねられて、外枠を扱う際の使用者の快適さを向上させるために、より柔らかい外面を提供する。
【0107】
外枠は、ゲルパック及び/又はシートを所定位置に保持するために、これら要素を所定位置に強制的に紐で縛るか、又は押し付ける必要なく、柔らかいゲルパック及び/又はシートを支持し、人体に対して所定位置に保持するように設計することができる。ゲルパックを押し付ける強さの調整は、外枠の支持機能から大方独立した手段(ストラップを介する等)を通して達成することができる。
【0108】
例示的な目湿布組立体の以下の例示的な説明は、これら原理を示す。第1に、外枠の支持動作について説明する。例えば、図11に示されるような目湿布組立体の使用者が、直立位置の場合、ゲルパック20の上部は、外枠164の上部に固定される。枠自体は、ゲルの重量を支持する場合に垂れ下がらず、それにより、枠164の上部をゲルパック20の上部を解剖学的構造に関連して特定の高さに保持する材料で作られる。枠164の下部は、使用者の皮膚に直接接触せず、外枠164の上部がゲルパック20の上部の支持を維持しながら、ゲルパックの下部の下縁で緩衝されるように設計し得る。
【0109】
次に、枠の押し付け動作について説明する。説明される目湿布組立体の使用者が直立位置にあり、ストラップが最小の張力で頭部の周囲に配置される場合、ストラップは、押し付け力が使用者の顔に伝達されないほど十分に緩み得る。この場合、外枠の下部は、頬の上部に置かれ、枠の上部は目から離れるように傾斜し、それにより、ゲルパック及び/又はシートは目の前に留まるが、瞼又は眼窩周囲に直接接触する必要はない。使用者が、湿布組立体の押し付け強さを増大させたい場合、使用者はストラップを調整して、恐らくは、バックル又は他の種類のストラップ調整機構を使用することにより、ストラップの張力を増大させる。張力がかけられた状態では、ストラップの両端は外枠の左側及び右側の両方を後ろに引っ張り、枠に後方張力を生じさせ、この後方張力はゲルパック及び/又はシートに伝達され、それにより、ゲルパック及び/又はシートを使用者の顔に対して内側に押す。
【0110】
この例示的な説明では、ゲルパックを垂直向きに保持する留め具は、枠の1つのエリア(目湿布組立体の例では、これは枠の上部である)に保持される一方で、張力の調節可能な伝達を可能にするストラップ及び押し付け力の生成は、枠の別のエリアに保持される(この例では、外枠の両側の縁部)。この例示的な説明では、目に対してゲルパック及び/又はシートを適宜位置決めするためのサポートは、比較的剛性の枠要素に対するゲルパック及び/又はシートの重量の垂直伝達から生じる。これとは対照的に、外枠がゲルパック及び/又はシートに対して及ぼす押し付け効果は、枠の表面積により生じる水平での張力伝達から生じる。
【0111】
使用中、使用者は、ゲルパックを自在に操作して、使用者の特定の解剖学的構造に整合させることができ、これにより、使用者は、ゲルをより都合よく直接操作し、解剖学的整合を達成することができる。ゲルが操作されて所望の整合が達成された後、使用者は再び、頭部ストラップの張力を変更することにより、枠の押し付け力を調整し得る。使用後、シートを使用者の顔に配置してもよく、又はシートを使用して、使用者の顔を綺麗にするか、又は拭き取ってから、廃棄してもよい。
【0112】
湿布装置、組立体、キット、及び方法は、様々な症状及び目的で使用することができる。目周囲の不快さの例では、温湿布組立体は、例えば、瞼板線疾患及び他の形の目瞼炎;「物もらい(麦粒腫及び霰粒腫)」;眼窩及び眼窩隔膜前の蜂巣炎;急性涙嚢炎;及び他の症状等の特定の種類のドライアイ症候群を含む様々な目の症状に使用することができる。瞼及び眼窩周囲への温湿布は、特定の手術後の状態、リラックス感の促進、特定の美容又は皮膚科学的治療、及び様々な他の理由のためにも使用することができる。冷湿布又は冷湿布組立体は、眼窩周囲、眼窩内、又は瞼の手術後の術後状態、急性アレルギー性又はウィルス性結膜炎等の不快な症状の軽減、偏頭痛の軽減、リラックス感の促進、美容及び皮膚科学治療のための局所皮膚治療の適用を可能にするため、並びに他の様々な理由のために使用することができる。
【0113】
実施例1〜3は、熱的湿布治療に使用される様々な種類のシートの性能を示す。実施例4は、ゲルパックのマイクロ波による加熱を向上させる方法を示す。
【実施例1】
【0114】
実施例1:以下の説明では、乾式及び湿式不織シートの熱伝導効果を比較する。
1.A. 湿式及び乾式単層不織シートの比較
単一のゲルパックを電子レンジで加熱した。3つの温度計をゲルパック表面の3カ所の異なるエリアに接触して配置した。最高安定温度を記録した。30秒後、3つの干渉:
A:「湿式NW」=湿式不織シートを温度計の先端に配置した、
B:何もしない(コントロール)、
C:「乾式NW」=乾式不織シートを温度計の先端に配置した
のうちの1つを行った。次に、各温度計の温度を1分間隔で記録した。すべての温度は°F単位である。結果を図19及び表1に示す。図19のアスタリスクが、乾式不織シート又は湿式不織シートがゲルパックに適用された場合を示すことに留意されたい。
【0115】
【表1】

【0116】
この実験は、湿式不織シートがいくらかの熱的バリア効果を提供しながら、乾式不織シートよりも高い熱伝導性を可能にすることも示す。
【0117】
湿式シートは、恐らくは蒸発のため、乾式シートと比較して温度のより急激な低下を受けなかった。実際の使用中、シートは使用者の皮膚に接触することになるため、そのような蒸発による熱の損失は、使用者の皮膚に向かい、使用者の恩恵となる。
【0118】
1.B. 乾式及び湿式積層シートの比較
ゲルパックを電子レンジで加熱し、表面温度を記録した。シートをゲルパックの上に配置し、次に、最も表面に存在する層からの温度を記録した。2つの実験プロトコルに従った。
1.B.i. 第1のプロトコルでは、乾式シートをゲルパック上に配置し、次に、湿式シートをゲルパックと乾式シートとの間に挿入した。結果を表2に示す。
【0119】
【表2】

【0120】
1.B.ii. 第2のプロトコルでは、湿式シートをゲルパック上に配置し、乾式シートを湿式シートの上に配置した。次に、乾式シートを取り外し、最後に、湿式シートを取り外した。結果を表3に示す。
【0121】
【表3】

【0122】
表2及び表3は、湿式シートの熱伝導効果が乾式シートの熱伝導効果よりも優れていることを示す。この結論とは真逆の当分野での従来の教示からして、これは予想外の結果である。表2及び表3は、乾式シート又は乾式レイヤをゲルパックと湿式シートとの間に配置することで、使用者の顔への熱伝導性が低減することも示す。
【0123】
1.C. 乾式不織シートと湿式不織シートとの主観的比較
アイマスク形のゲルパックを、マイクロ波活性化を使用して約125〜135°Fの温度まで加熱した。実験条件下で、加熱したゲルパック及び整形された乾式不織シートを有するキットを、図11に示されるように使用者に適用した。このキットは、使用者の顔から外され、濡れたスポンジで乾式不織シートに触れてその表面を適度に湿らせ、キットを使用者の顔に再び配置した。
【0124】
結果:乾式不織シートが所定位置にある状態で、使用者は、目温湿布で望ましい熱的効果を認めなかった。不織シートを湿らせ、キットを再適用した後、使用者は、他の実験で行われた客観的温度記録により示唆される有意性を超える熱的効果の向上をすぐに認めた。
【実施例2】
【0125】
実施例2:以下の例では、5つの条件(2.A〜2.E)下で不織布シートの使用とタオルとの使用とを比較する。
使用した不織シートは、上述したようにポリマー及びパルプで作られた、Bounty(登録商標)の2枚重ねの白色紙タオルも使用した。図8に示される実施形態に示されるサイズ及び輪郭線にシートを切断するか、又は必要に応じてより小さなサイズに切断した。
【0126】
2.A. 事前湿潤テスト
事前湿潤シートの準備をシミュレートするために、すべてのシートを浅い洗面器に浸漬させ、10分後に取り出した。予想外に、2枚重ねの紙タオルシートが分離して1枚重ねになった。この分離は、浸漬後、わずか15秒で発生した。
【0127】
これは、事前湿潤した2枚重ねの紙タオルシートの長期準備が実用的ではなく、かつ信頼できないことを示す。
【0128】
2.B. 吸水テスト
3ml(3.0g)の水を重量計の中央に配置した。様々なサイズ及び材料のシートを使用して、飽和するまで重量計から水を吸収するために使用した。次に、各シートの一隅で持ち上げて、滴る間隔が5秒を超えるときまで、優しく(跳ね返りを回避した)重量計上に水を滴らせた。重量計に残っている水の残留重量を次に記録した。シートに吸収された水の重量を、水の最初の重量(3.0g)から重量計上の水の残留重量を差し引くことにより計算した。各シート種類の平方インチ当たりの保水力を次に計算した。フルサイズの目湿布シート(約26.9平方インチ(約173.54804平方cm))の潜在的な保水力を次に計算した。結果を表4に示す。
【0129】
【表4】

【0130】
これは、不織シートが1枚重ねの紙タオルの5倍を超える水分を保持可能であり、2枚重ねの紙タオルよりも約60%も多くの水分を保持可能なことを示した。紙タオルがこぼれを掃除するために優れた吸水性を有するとして市場に出されている一方で、不織シートは主に、皮膚及び他の表面から汚れをとるためによい物として市場に出されていることから、これは予想外の結果であった。
【0131】
2.C. 乾燥時間テスト(直径測定を使用する)
異なるシート材料の乾燥時間を次にテストした。3滴の水を異なる材料の3in×3inシートに配置した。濡れた又は湿った面積の直径を連続した時間期間で測定した。
【0132】
紙タオルシートに配置された滴は、シート内に急速に吸収され、濡れた面積の直径を広げた。不織シートに配置された滴は玉になりがちであり、シート内によりゆっくりと吸収された。結果を表5に示す。
【0133】
【表5】

【0134】
この実験は、1枚重ねの不織シートが、2枚重ねの紙タオルシートの2倍、1枚重ねの紙タオルシートの4倍長い時間にわたって湿り気を保持できることを示した。これは、上述したように予想外の結果であった。
【0135】
2.D. 乾燥時間テスト(実際の実験使用中、重量ベース)
完全な目湿布組立体を使用する状況で、人間の被験者に対する実際の使用中の2枚重ねの紙タオルシートの乾燥時間を、1枚重ねの不織布シートの乾燥時間と比較した。
【0136】
この実験は、図8のような形状のフルサイズシート(1枚の不織布、1枚の紙タオル)を使用して実行した。乾燥時間を測定した。水道水で満たされたスプレーボトルを使用して、シートを湿らせた。湿重量を測定した。電子レンジで加熱され、均等な温度を達成するように処理された2.5oz(約70.87g)のゲルパックにシートを適用した。ゲルパックとシートとの組立体を次に、図11に示されるように、使用者の顔に適用した。使用者の皮膚とシートとの間の温度を5分間の開始時及び終了時に測定した。シートの最終的な重量を次に測定した。水分損失を計算した。結果を表6に示す。
【0137】
【表6】

【0138】
この実験は、実験的な温湿布を人体に使用した場合、皮膚−シート温度が紙タオルシートよりも不織シートのほうが5度高く保たれたにも拘わらず、不織シートから失われる水の割合が、紙タオルから失われる水の割合の半分であったことを示す。これは、上述したように予想外の結果であった。
【0139】
2.E. 摩滅テスト
シートに0.625in(1.5875cm)のボタン穴を開けた。シートにゴムボタンを10回、ボタン留めし、ボタン外しをした。結果を表7に示す。
【0140】
【表7】

【0141】
このテストは、濡れたシートがボタンを介して外枠に取り付けられる実施形態での取り扱いに1枚重ねの紙タオルが劣ることを実証した。拡大解釈すると、他の取り扱いに対する紙タオルの持続性は恐らく、不織シートの持続性よりも悪いであろう。
【実施例3】
【0142】
実施例3:不織布シート及びテリー織物タオルの熱的効果
この実験では、単一のゲルパックをマイクロ波活性化を使用して加熱した。ゲルパック表面の異なる3つのエリア(それぞれ次のエリアから1in(2.54cm)未満)の最高安定温度を、3つの異なる温度計を使用して測定した。以下:
A:「湿式NW」=湿らせた不織シートを温度計の先端に配置した、
B:何もしない(コントロール)、
C:「湿式TC」=湿らせたテリー織物タオルを温度計の先端に配置した、
の様々な干渉を行った。次に、温度を1分間隔で測定した。すべての温度は°F単位であった。図20及び表8に結果を示す。図20のアスタリスクが、不織シート又はテリー織物タオルをゲルパックに適用したときを示すことに留意されたい。
【0143】
【表8】

【0144】
この実験は、濡れたテリー織物タオルの熱的バリア効果に起因する初期の非常に大きな温度降下が、測定時間全体を通して持続したことを示した。ゲルパックの初期温度がかなり高い(140°F近く)にも拘わらず、濡れたテリー織物タオルは、テリー織物タオルの表面の実効温度が、推定最適治療レベル120〜125°Fよりもはるかに低い好ましい最低治療温度104°Fに決して達しないほど、熱を大幅に遮断した。
【実施例4】
【0145】
実施例4:マイクロ波でアイマスク形のゲルパックを加熱する場合に熱いスポットの兆候を低減する方法
アイマスク形のゲルパックをマイクロ波で加熱すると、ゲルパックに熱いスポット及び冷たいスポットが生じることが多く、これは使用者にとって不快である。均等な加熱を向上させるために、ゲルパック上に配置された薄い湿らせたスポンジ(約1/2in(約1.27cm)厚、4in(10.16cm)×9in(22.86cm)、湿重量2.5oz(約70.87g))を使用する方法を開発し、従来の乾燥加熱方法と比較した。
【0146】
マイクロ波で加熱した後、熱電対を使用してゲルパックの左右両側の温度を測定し、ゲルパックの両側の温度差を計算した。結果を表9に示す。
【0147】
【表9】


温度差、°F単位(ゲルパックの左右両側)
スポンジあり
スポンジなし
平均
【0148】
これは、両側の平均温度差が、平均で、スポンジなしの加熱方法の場合よりもスポンジありで加熱した場合のほうが小さいことを示した。
【0149】
上記説明及び例は、実施形態を説明するためだけに記載されてており、限定として意図されない。開示された態様及び実施形態のそれぞれは、個々に、又は他の態様、実施形態、又は変形と組み合わせて考えることができる。さらに、実施形態の特定の特徴は特定の図のみに示され得るが、そのような特徴は、他の図に示される他の実施形態に組み込むことも可能である。さらに、別段のことが記載される場合を除き、記載された方法のいずれのステップも、いかなる特定の実行順にも限定されない。当業者は主旨及び本旨を組み込んだ開示される実施形態の変更を見出し得、そのような変更は本発明の範囲内である。さらに、本明細書に引用されるすべての参照は、参照によりそのまま本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体の目領域に適用されるように構成された熱的に調整可能なゲルパックであって、熱的に活性化可能なゼラチン様物質を保持するチャンバを画定するケースを含む、ゲルパックと、
前記ゲルパックと前記使用者の目領域との間に位置決めされるように適合され、前記ゲルパックの外面から取り外し可能な、少なくとも1つの湿らせられた使い捨ての繊維不織布シートと
を備える、目湿布キット。
【請求項2】
前記ゲルパックの前記ケースの上部は上リップを備え、前記上リップは、前記ゲルパックを外枠に取り付ける少なくとも1つの留め具を収容するのに十分な高さを有する、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項3】
前記ケースは、左リップ及び右リップを画定する周縁を有し、前記目湿布キットは、
前記左リップ及び前記右リップに着脱可能に取り付け可能なストラップをさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項4】
前記ゲルパックはマスクの形であり、前記マスクは左セクション及び右セクションを備え、前記左セクションは、前記使用者の左目周囲及び左眼窩周囲領域に適用されるように構成された、前記右セクションは、前記使用者の右目周囲及び右眼窩周囲領域に適用されるように構成され、前記ケースは、それら周囲に封止されて、前記チャンバを形成する少なくとも2層の可撓性シートを含む、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項5】
前記マスクは、前記使用者の鼻翼を許容する切り欠きを作る鐘形曲線のような形状の下部を備える、請求項4に記載の目湿布キット。
【請求項6】
前記ゲルパックは、前記使用者の左又は右の目領域のいずれかに適用されるように構成された眼帯の形態である、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項7】
前記ケースは非ビニル材料で構築される、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの織物シートは事前に湿らされ、ディスペンサ内に含まれる、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項9】
前記ゲルパックに解放可能に結合されるように構成されたカバーをさらに備え、前記カバーは、前記ゲルパックが前記使用者の体の前記目領域に適用された場合、前記使用者の前記目領域から光を少なくとも部分的に遮断するように構成される、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項10】
上部、下部、及び両側部を有する枠本体を備える外枠をさらに備え、前記外枠は、前記ゲルパックの外側を向く表面に対して位置決めされ、前記外枠は、前記外枠が垂直向きであり、前記ゲルパックが前記外枠に取り付けられ、前記使用者の前記目領域に対して固定されている場合、前記ゲルパックが垂れ下がらないように、前記ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持するのに十分な剛性の材料から製造される、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項11】
前記外枠の前記上部と、前記両側部又は前記下部のうちの少なくとも一方とは、前記ゲルパックに着脱可能に取り付けられる、請求項10に記載の目湿布キット。
【請求項12】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠をさらに備え、前記外枠は、前記外枠から傾斜して延びるゲルインプレッサを含み、前記ゲルインプレッサは、前記ゲルパックを前記使用者の目領域の部分に押し当てる、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項13】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠と、
前記外枠の接続点に結合するように構成され、前記外枠に対して前記接続点を中心として回転可能に旋回できるストラップと
をさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項14】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠と、
前記外枠に結合するように構成された熱シールドであって、前記使用者の目領域の選択された部分に接触しないように、前記熱的に調整可能なゲルパックからの熱を少なくとも部分的に制限するように構成された熱シールドと
をさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項15】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠と、
第1の構成である場合、前記外枠の第1の位置に解放可能に結合するように構成されたストラップであって、前記第1の構成は、前記使用者の目領域に第1の圧力を提供し、前記ストラップは、第2の構成である場合、前記外枠の第2の位置で前記外枠に解放可能に結合し、前記第2の構成は、前記第1の圧力とは異なる第2の圧力を前記使用者の目領域に提供する、ストラップと
をさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項16】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠と、
前記使用者の目領域に対して前記ゲルパックを固定し、押し付け力を前記ゲルパックに及ぼすように構成された第1のストラップと、
第1の端部及び第2の端部を有する第2のストラップであって、前記第2のストラップの前記第1の端部は、前記枠の第1の領域に結合するように構成され、前記第2のストラップの前記第2の端部は、前記第1のストラップに結合するように構成され、前記第1のストラップは前記ゲルパックの第2の領域に結合するように構成され、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは集合的に「v」字形を画定する、第2のストラップと
をさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項17】
前記ゲルパックに結合するように構成された外枠をさらに備え、前記外枠は、前記使用者の前記目領域に対しての前記ゲルパックの固定を助けるように構成され、前記外枠は、内周が左開口を画定する左セクションと、内周が右開口を画定する右セクションとを有し、前記左右の開口は両方とも、前記ゲルパックが前記使用者の前記目領域に対して固定されている場合、前記使用者が前記ゼラチン様物質に局所的な圧力を加えることにより、前記ゲルパック内の前記ゼラチン様物質の位置を操作できるようなサイズである、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項18】
前記使用者の目領域に対して前記ゲルパックを固定し、押し付け力を前記ゲルパックに及ぼすように構成された第1のストラップと、
第1の端部及び第2の端部を有する第2のストラップであって、前記第2のストラップの前記第1の端部は、前記ゲルパックの第1の領域に結合するように構成され、前記第2のストラップの前記第2の端部は、前記第1のストラップに結合するように構成され、前記第1のストラップは前記ゲルパックの第2の領域に結合するように構成され、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは集合的に「v」字形を画定する、第2のストラップと
をさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項19】
前記使用者の目領域に対して前記ゲルパックを固定し、押し付け力を前記ゲルパックに及ぼすように構成された第1のストラップをさらに備える、請求項1に記載の目湿布キット。
【請求項20】
外枠であって、熱的に活性化可能なゼラチン様物質を有するゲルパックを前記枠に結合するように構成された少なくとも1つの取り付け機構を有し、前記外枠が垂直向きであり、前記ゲルパックが前記外枠に取り付けられ、前記使用者の前記目領域に対して固定されている場合、前記ゲルパックが垂れ下がらないように、前記ゲルパックの重力の少なくとも部分を支持するのに十分な剛性の材料から製造される、外枠と、
前記外枠に取り付けられ、前記ゲルパックが前記外枠に取り付けられている場合、前記使用者の前記目領域に対して前記ゲルパックを保持するように構成されたストラップと
を備える、目湿布システム。
【請求項21】
前記外枠は、前記外枠から傾斜して延びるゲルインプレッサを含み、前記ゲルインプレッサは、前記ゲルパックが前記枠に結合され、前記使用者の前記目領域に対して固定する場合、前記使用者の目領域の部分に前記ゲルパックを押し当てる、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項22】
前記外枠は、前記外枠の上部と前記外枠の下部とを橋渡しする前記外枠のブリッジ部に結合するように構成された可撓性曲げストリップを有するゲルインプレッサを含み、前記ゲルインプレッサは、前記ゲルパックが前記外枠に結合され、前記使用者の目領域に対して固定される場合、前記ゲルパックを前記使用者の目領域の部分に押し当てるように構成される、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項23】
前記ストラップは、前記外枠の接続点で前記外枠に結合され、前記ストラップは、前記外枠に対して前記接続点を中心として回転可能に旋回できる、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項24】
前記外枠に結合するように構成された熱シールドであって、前記使用者の目領域の選択された部分に接触しないように、前記熱的に調整可能なゲルパックからの熱を少なくとも部分的に制限するように構成された熱シールドをさらに備える、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項25】
前記ストラップは、第1の構成である場合、前記外枠の第1の位置に解放可能に結合するように構成され、前記第1の構成は、前記使用者の目領域に第1の圧力を提供し、前記ストラップは、第2の構成である場合、前記外枠の第2の位置で前記外枠に解放可能に結合し、前記第2の構成は、前記第1の圧力とは異なる第2の圧力を前記使用者の目領域に提供する、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項26】
前記外枠は、前記ゲルパックのスナップコネクタの第2の部分に解放可能に取り付けられるように構成されたスナップコネクタの第1の部分を有する上部を有し、前記スナップコネクタは、前記ゲルパックを前記外枠に解放可能に結合するように構成される、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項27】
前記ストラップは第1のストラップであり、前記目湿布システムは、
第1の端部及び第2の端部を有する第2のストラップをさらに備え、前記第2のストラップの前記第1の端部は、前記枠の第1の領域に結合するように構成され、前記第2のストラップの前記第2の端部は、前記第1のストラップに結合するように構成され、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは集合的に「v」字形を画定する、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項28】
前記外枠は、内周が左開口を画定する左セクションと、内周が右開口を画定する右セクションとを有し、前記左右の開口は両方とも、前記ゲルパックが前記使用者の前記目領域に対して固定されている場合、前記使用者が前記ゼラチン様物質に局所的な圧力を加えることにより、前記ゲルパック内の前記ゼラチン様物質の位置を操作できるようなサイズである、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項29】
前記外枠の上部は、前記ゲルパックを前記外枠に固定する少なくとも1つの留め具を備え、前記外枠の左側部及び右側部は、前記ストラップを締めるか、又は弛めることにより、前記外枠に対する制御可能な水平圧力を及ぼせるように、前記ストラップに取り付けら、そのような圧力は、使用中に前記外枠により前記少なくとも1つの留め具を介して前記ゲルパックに提供される前記垂直支持から大方独立している、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項30】
前記外枠は、前記外枠の上部と前記外枠の下部とを橋渡しする前記外枠のブリッジ部に結合するように構成された可撓性曲げストリップを有するゲルインプレッサを含み、前記ゲルインプレッサは、前記ゲルパックが前記外枠に結合され、前記使用者の目領域に対して固定される場合、前記ゲルパックを前記使用者の目領域の部分に押し当てるように構成される、請求項20に記載の目湿布システム。
【請求項31】
使用者の目領域に対して適用されるように構成される熱的に調整可能なゲルパックを備え、前記ゲルパックは上部、下部、右部、及び左部を有する実質的にナイロンのケースを含み、前記ケースは、熱的に活性化可能なゼラチン様物質を保持するチャンバを画定し、前記ケースの前記下部は、前記使用者の鼻翼を許容する切り欠きを作る鐘形曲線のような形状を有する、目湿布システム。
【請求項32】
前記ケースの前記上部は、前記ゲルパックを前記外枠に解放可能に結合するように構成された少なくとも1つの取り付け機構を有する、請求項31に記載の目湿布システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの取り付け機構は、前記外枠のスナップコネクタの第2の部分に結合するように構成された前記スナップコネクタの第1の部分である、請求項31に記載の目湿布システム。
【請求項34】
前記使用者の目領域に対して前記ゲルパックを固定し、押し付け力を前記ゲルパックに及ぼすように構成された第1のストラップと、
第1の端部及び第2の端部を有する第2のストラップであって、前記第2のストラップの前記第1の端部は、前記ゲルパックの第1の領域に結合するように構成され、前記第2のストラップの前記第2の端部は、前記第1のストラップに結合するように構成され、前記第1のストラップは前記ゲルパックの第2の領域に結合するように構成され、前記第1のストラップ及び前記第2のストラップは集合的に「v」字形を画定する、第2のストラップと
をさらに備える、請求項31に記載の目湿布システム。
【請求項35】
熱的に調節可能なゲルパックを加熱又は冷却すること、
少なくとも1つの湿った使い捨て繊維不織布シートを前記ゲルパックと前記使用者の前記目領域との間に配置すること、及び
圧力が前記ゲルパックにより前記使用者の前記目領域に適用されるようにストラップを位置決めすること
を含む、目湿布システムを使用する方法。
【請求項36】
前記位置決めすることの前に、少なくとも1つの取り付け機構を介して前記ゲルパックを外枠に取り付けることをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記圧力は第1の圧力であり、前記方法は、
前記位置決めすることの前に、少なくとも1つの取り付け機構を介して前記ゲルパックを外枠に取り付けること、及び
ゲルインプレッサを位置決めすることであって、前記ゲルインプレッサは、前記第1の圧力よりも大きな第2の圧力を前記使用者の前記目領域の部分に加えるように位置決めされる、位置決めすること、
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
取り付け機構を介して前記ゲルパックを外枠に取り付けること、
第1の圧力が前記使用者の前記目領域に加えられるように、前記ストラップを前記外枠の第1の部分に取り付けること、
前記ストラップを前記外枠の前記第1の位置から取り外すこと、及び
前記第1の圧力とは異なる第2の圧力が前記使用者の前記目領域に加えられるように、前記ストラップを前記外枠の第2の位置に取り付けること
をさらに含む、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−525123(P2011−525123A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509789(P2011−509789)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044327
【国際公開番号】WO2009/140673
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(510287197)
【Fターム(参考)】