説明

熱走査装置、画像形成装置及び熱走査装置の制御方法

【課題】熱溶融性の顕色材を加熱することにより中間転写体に付着させて現像した画像を用紙に転写する画像形成装置において、転写体に対する顕色材の付着力を適正に発生させること。
【解決手段】画像信号に基づいて顕色材101及び/または顕色材担持体11を加熱し、温度変化による潜像を形成する光走査ユニット20であって、顕色材101及び/または顕色材担持体11を加熱する熱エネルギーを生成する光源と、温度を検出する温度センサ24と、温度センサ24の検出温度に基づいて顕色材101及び/または顕色材担持体11の加熱態様を制御する信号処理部25とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱走査装置、画像形成装置及び熱走査装置の制御方法に関し、特に装置の温度変化に対する画像形成品質の均一化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ等の画像形成装置は欠かせない機器となっている。従来の画像形成方法の一例として、感光性像担持体に静電潜像を形成し、顕色剤により現像した像を用紙に転写する方法が用いられている。この方法は、高速に画像形成を行うことができる反面、感光体の経年劣化による感光特性の変化や高電圧発生装置によるオゾンの発生等の問題がある。このような問題に対し、フィルム状の顕色剤担持体に対して加熱により潜像を形成し、熱溶融性の顕色剤により現像した画像を用紙に転写する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
他方、特許文献2には、インクジェット式の記録装置において、温度検知サーミスタが設けられている印字ヘッドを有する例が開示されている。特許文献2に係る記録装置では、温度検知サーミスタにより検知されたヘッド温度に基づいて冷却時間を設定することによりヘッド温度の制御を実現する。しかしながら、特許文献2に記載の技術は、インジェット式の記録装置に係るものであり、本発明が前提とする転写式画像形成装置とはその性質を異にする。
【特許文献1】特開平11−91147号公報
【特許文献2】特開平9−239984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に係る画像形成方法においては、顕色剤担持体に対する顕色剤の粘着力の調整が重要である。顕色剤担持体に対する顕色剤の粘着力は顕色剤担持体及び顕色剤に与えられる熱エネルギーに依存する。レーザ光により顕色剤担持体を加熱する場合、顕色剤に与えられる熱エネルギーはレーザ光の光量や発光時間に依存する。従って、画像形成装置の作動時間が長時間にわたった場合、レーザ光源の発熱により光量や波長が変化し、結果的に画像の濃度が変化してしまうという問題がある。さらに顕色剤が安定して適切な粘着力を発生させるためには顕色剤や顕色剤担持体の温度や経時的な性状の変化に対応させる必要がある。また、雰囲気温度の変化により同一の熱エネルギーでも粘着力が変化することも考えられる。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであり、熱溶融性の顕色剤を加熱することにより中間転写体に付着させて現像した画像を用紙に転写する画像形成装置において、転写体に対する顕色剤の付着力を適正に発生させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像信号に基づいて顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱し、温度変化による潜像を形成する熱走査装置であって、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱する熱エネルギーを生成する熱源と、温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度に基づいて前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱態様を制御するコントローラとを有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱走査装置において、前記コントローラが、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に与えられる熱エネルギーが変化するように前記熱源を制御することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の熱走査装置において、前記制御手段が、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱位置を変化させることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱走査装置において、前記熱源が、レーザ光源であることを特徴とする。
【0005】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の熱走査装置において、前記レーザ光源から照射されたレーザ光を前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に導く反射鏡を更に有し、前記制御手段は、前記レーザ光に対する前記反射鏡の角度を制御して、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に対する前記レーザ光の照射位置を変化させることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱走査装置において、前記温度センサが、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方における加熱位置近傍の温度を検出することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱走査装置において、前記温度センサが、当該熱走査装置内部及び当該熱走査装置周辺の少なくとも一方の雰囲気温度を検出することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、熱溶融性の顕色剤を加熱することにより中間転写体に付着させて現像した画像を用紙に転写する画像形成装置であって、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱走査装置を有することを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、画像信号に基づいて顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱し、温度変化による潜像を形成する熱走査装置の制御方法であって、温度センサが検出した温度に基づいて前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱態様を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、熱溶融性の顕色剤を加熱することにより中間転写体に付着させて用紙に転写する画像形成装置において、転写体に対する顕色剤の付着力を適正に発生させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、熱溶融性の顕色剤を加熱することにより転写体に付着させて用紙に転写する画像形成装置において、転写体若しくは装置内の雰囲気温度を計測し、計測した温度に基づいて転写体若しくは顕色剤の加熱態様を調節する。これにより、画像形成の品質を一定に保つことができる。
[実施例1]
図1は、内部に本実施例に係る熱走査装置である光走査ユニット20を有する画像形成装置の要部を示す側面図である。本実施例に係る画像形成装置は、中間転写ユニット10、光走査ユニット20、顕色剤供給ユニット30、用紙転写ユニット40及び中間転写体クリーニングユニット50を有する。光走査ユニットによって中間転写ユニット10の中間転写体に熱の潜像(熱潜像)が形成されると共に顕色剤供給ユニット30によって顕色剤が供給され、中間転写体に転写画像が現像される。その後、中間転写体に形成された転写画像が用紙転写ユニット40によって搬送される用紙に対して転写される。用紙への画像転写後、中間転写体に残っている顕色剤は中間転写体クリーニングユニット50によって取り除かれる。
【0008】
中間転写ユニット10は、中間転写体である顕色剤担持体11及び支持ローラ12、13を有する。顕色剤担持体11はベルト上の部剤であり、支持ローラ12とローラ13とに掛け渡されている。支持ローラ12及び支持ローラ13がモータ等の駆動手段により回転し、顕色剤担持体11が図1の矢印Aの方向に回転する。顕色剤担持体11は、例えば長波長域の光を通す光透過性フィルムであり、そのフィルム面に熱溶融性の顕色剤101が供給される。光走査ユニット20は、顕色剤担持体11を介して顕色剤101にレーザビームを照射することにより、顕色剤担持体11上の顕色剤101を溶融し、熱潜像を形成する。光走査ユニット20については後に詳述する。顕色剤供給ユニット30は、顕色剤収容ケース31、第1顕色剤供給ローラ32、第2顕色剤供給ローラ33、顕色剤均一化ブレード34、現像ローラ35及びクリーニングブレード36を有する。
顕色剤供給ユニット30においては、顕色剤収容ケース31に収容されている顕色剤101が、第1顕色剤供給ローラ32によって第2顕色剤供給ローラ33に供給される。顕色剤101は、黒色顕色剤の場合、カーボン粒子と熱溶融性の樹脂からなるトナーであって、第2顕色剤供給ローラ33の周面に静電気力及び/又はファンデンワールス力で付着する。第1顕色剤供給ローラ32と第2顕色剤供給ローラ33とはその周面が接触しており、その接触面が互いに逆方向に移動するように回転している。これにより、顕色剤101を第2顕色剤供給ローラ33に静電的に吸着させるために帯電させることができる。顕色剤101として電子写真複写機の分野で周知の磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を用いる場合、第2顕色剤供給ローラ33に磁石を内蔵したスリーブを使用して、磁気ブラシを形成しても良い。
【0009】
第2顕色剤供給ローラ33に供給された顕色剤101は、第2件色剤供給ローラ33が回転することにより、顕色剤均一化ブレード34によって第2顕色剤供給ローラ33表面で均一な厚さに調整される。顕色剤均一化ブレード34には負の電圧が供給されている。第2顕色剤供給ローラ33上の顕色剤101は、顕色剤均一化ブレード34で与えられた電荷により第2顕色剤供給ローラ33に静電気力で付着している。第2顕色剤供給ローラ33が更に回転し、表面に均一な厚さで付着している顕色剤101が中間転写ユニット10の顕色剤担持体11に付着することにより、顕色剤担持体11に顕色剤101が供給される。熱走査ユニット20のレーザ光は、第2顕色剤供給ローラ33表面に付着した顕色剤101と顕色剤担持体11とが接触する部位の近傍に照射される。顕色剤担持体11に付着した顕色剤101は、顕色剤担持体11の回転に従って移動し、現像ローラ35によって現像される。
現像ローラ35には顕色剤均一化ブレード34とは逆極性の正の電圧が供給されており、顕色剤担持体11上に付着している顕色剤101を吸引することにより剥離する。この時、光走査ユニット20によって溶着された部分、即ち熱潜像の部分は現像ローラ35による吸引力よりも強い力で顕色剤担持体11に付着している。従って、現像ローラ35によって剥離される顕色剤101は、熱潜像以外の部分のみである。これにより、顕色剤担持体11上に画像が現像される。現像ローラ35に吸着された顕色剤101は、クリーニングブレード36によって現像ローラ35から剥離され、顕色剤収容ケース31に戻る。尚、顕色剤均一化ブレード34に正の電圧を供給し、現像ローラ35に負の電圧を供給しても良い。
【0010】
用紙転写ユニット40は、レジストローラ対41及び熱ローラ42を有する。レジストローラ対41は画像形成用の用紙102を搬送するためのローラ対であり、搬送される用紙の搬送位置を検出する機能を有する。熱ローラ42は、用紙102の紙面を顕色剤担持体1の周面に押し付け、加熱するためのローラである。顕色剤担持体11上に形成された転写画像が熱ローラ42との接触店に到達するのと同時に用紙102が熱ローラ42と顕色剤担持体11との間に搬送され、熱ローラ42によって用紙102が顕色剤担持体11に押し付けられ、加熱される。これにより、顕色剤担持体11上に現像された転写画像が用紙102上に転写され、溶着される。熱ローラ42は顕色剤担持体11を挟んで支持ローラ13の周面に対して接離自在に対向して設けられている。中間転写体クリーニングユニット50は、クリーニングローラ51及びクリーニングブレード52を有し、用紙102上に転写した後に顕色剤担持体11に残った顕色剤を除去する。クリーニングローラ51は、顕色剤担持体11を介して支持ローラ12に対向及び当接しており、顕色剤担持体11上の残留顕色剤を除去する。クリーニングブレード52はクリーニングローラ51に当接しており、クリーニングローラ51が顕色剤担持体11から除去した残留顕色剤をクリーニングローラ51から除去する。本実施例に係る画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置であり、図1に示す画像形成工程が各色において繰り返される。
【0011】
次に、図2を用いて本実施例に係る光走査ユニット20について説明する。図2は本実施例に係る光走査ユニット20を模式的に示す側面図である。図2に示すように本実施例に係る光走査ユニット20は、レーザ光源(不図示)、コリメータレンズ(不図示)、ポリゴンミラー21、fθレンズ22、短冊形反射鏡23等の光学系と温度センサ24とを有する。短冊形反射鏡23は、顕色剤担持体11の幅と略同じ長さを有し、これらの光学系により、形成すべき画像の信号に応じた熱像が、顕色剤担持体11を介して第2顕色剤供給ローラ33から供給される顕色剤101に対してレーザ光で与えられる。本実施例に係る光走査ユニット20では、顕色剤担持体11に対するレーザ光の入射角度が垂直からオフセットされている。これは顕色剤担持体11のレーザ光入射面からの正反射成分がレーザ光源への戻り光となってレーザ光源が破壊されることを防止するためである。
【0012】
第2顕色剤供給ローラ33上の顕色剤101に与えられる熱像の熱エネルギーは、顕色剤担持体11の表面に顕色剤101が弱い粘着力で付着する程度に、顕色剤101の顕色剤担持体11との接触部を溶融する強さであり、熱像を受けた顕色剤101は、その顕色剤担持体11に接した部分が昇温して溶融し、顕色剤担持体11に熱潜像として仮固着する。この仮固着による熱潜像の顕色剤担持体11への付着力は、顕色剤101と第2顕色剤供給ローラ33との静電気力による付着力よりも強く、現像ローラ35によって現像された顕色剤101の用紙102への圧着による付着力よりも常に弱く、かつ、用紙102への転写後に行われる顕色剤担持体11のクリーニングによって顕色剤担持体11上の残留顕色剤が容易に除去される値に定められる。また、現像ローラ35の、顕色剤101に対する吸引力は、熱潜像部分の顕色剤101の顕色剤担持体11に対する仮固着力よりも弱く定められる。
【0013】
温度センサ24は、光走査ユニット20の顕色剤担持体11におけるレーザ光照射位置の温度を検知するセンサである。温度センサ24は例えば赤外線の放射量を測定するような非接触式のものが用いられ、検出した温度を信号として出力する。温度センサ24の設置位置は形成される画像の主走査方向中央部近傍が好ましいが、光走査ユニット20内部の配置の都合などによって中央部からオフセットした位置でも構わない。また検知精度を向上させるために主走査方向の中央と両端の3ヶ所といったように複数の位置に配置してもよい。赤外線センサのような非接触の検知方法を用いることによって、顕色剤担時体11若しくは顕色剤101の温度や状態に影響を与えることなく温度検知ができる。また本実施例では温度センサ24が光走査ユニット20の内部にコンパクトに設置されているので構成が簡単である。
【0014】
次に、本実施例に係る温度検知動作について説明する。図3は本実施例に係る温度検知動作を示すフローチャートである。温度検知動作を開始すると、まず、ある画像濃度のパッチ状の参照画像を形成するような、所定パターンの走査ビームを光走査ユニット20から出力する(S301)。この時の画像パターンとしては、例えば所定濃度のベタ画像等が用いられる。走査ビームは顕色剤担持体11を透過し、顕色剤101に熱エネルギーを与え、温度上昇が温度センサ24によって検知される(S302)。この参照画像は用紙102に転写定着する必要がないので、現像ローラ35に印加する電圧を通常より高くして顕色剤担持体11から除去する(S303)。用紙102はレジストローラ対41から供給されず、熱ローラ42は退避し、除去しきれなかった参照画像の顕色剤101が熱ローラ42に付着するのを防止する(S304)。更に、顕色剤担持体11がクリーニングユニット50によりクリーニングされ(S305)、一連の参照画像検知工程を終える。このような温度検知動作は、例えば画像形成装置の起動時、または一定時間毎等に適宜行う。
【0015】
図4に検知された信号の流れをあらわすブロック図を示す。温度センサ24から出力された信号は信号処理部25に伝達され、信号処理部25よりドライバ26にレーザ光源27を駆動するドライバ制御信号を送る。信号処理部25が発信する制御信号は、レーザ光源27のレーザ照射により、接触部の顕色剤101が適切な温度になるようにドライバ26を制御するものである。信号処理部25は、接触部の顕色剤101が適切な温度より低いと判断した場合、顕色剤に与えられる熱エネルギーが増加するように、ドライバ26を制御する。接触部の顕色剤101が適切な温度より高いと判断した場合は、顕色剤101に与えられる熱エネルギーを減少するように、ドライバ26を制御する。ここで、ドライバ26に与えられる具体的な制御としては、例えばレーザ光の光量若しくは単位時間あたりの発光時間の変化である。こうすることにより、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力を一定の範囲に保つことができる。従って、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力が適正な粘着力よりも弱いために、現像ローラ35で転写画像を現像する際に、転写すべき画像の部分まで剥離されてしまう不具合を回避することができる。また、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力が適正な粘着力よりも強いために、用紙102に画像を転写する際に顕色剤101が顕色剤担持体11に残ってしまい、画像が正確に転写されない不具合を回避することができる。
【0016】
以上説明したように、本実施例に係る熱走査装置においては、内部に温度検知手段である温度センサを有するため、装置規模を増大させることなく、顕色剤101及び顕色剤担持体11の温度変化を検知することができる。また、温度センサの検出温度に基づいて、熱走査装置の熱源であるレーザ光源が加熱対象に与える熱エネルギーを調整するので、装置に含まれる部材や周囲の状態にかかわらず、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力を所定範囲に保つことができる。
尚、上記の説明においては、画像形成装置の起動時や装置運用中の一定時間毎に温度の検出を行う例を説明したが、この他に、例えば温度センサ24が常に温度を監視しており、信号処理部25はその監視結果に従ってドライバ26を制御しても良い。また、画像形成装置に対して画像形成ジョブが入力された際、画像形成動作を実行する前に温度検知を実行するようにしても良い。
また、上記の説明においては、熱走査装置として光走査ユニット20を例として説明したが、熱源としてレーザ光を用いるもの以外でも良く、レーザ光のような非接触型の熱源に限らす接触型の熱源を用いても良い。非接触型の熱源としては、例えば電磁波による加熱が考えられる。接触型の熱源としては、例えば超音波やサーマルヘッドによる加熱が考えられる。
【0017】
[実施例2]
本実施例においては、複数の温度検知手段を有する熱走査装置を説明する。尚、実施例1と同様の符号を付す構成については実施例1と同一又は相当部を示し、説明を省略する。図5は、本実施例に係る光走査ユニット20において、検知された信号の流れを表すブロック図である。図5に示すように、本実施例に係る光走査ユニット20は、顕色剤供給部Bの温度を検知する温度センサ24に加えて、画像形成装置内部の雰囲気温度を検出する雰囲気温度センサ28を有する。レーザ光源27が同一の設定条件によりレーザ照射を実行した場合であても、周囲の雰囲気温度が照射対象の温度変化に影響し、所望の温度変化が得られない可能性がある。顕色剤供給部Bの温度に加えて、光走査ユニット20内部の雰囲気温度も検出し、双方の検出結果に基づいてレーザ光源のレーザ照射条件を調整する。これにより、より好適にレーザ光源の調整を行うことができる。
尚、上記の説明においては、画像形成装置内部の雰囲気温度を検出する例を説明したが、具体的には、顕色剤供給部B周辺の雰囲気温度を検知するようにすることもできるし、レーザ光源から顕色剤供給部Bまでの光路の雰囲気温度を検出するようにすることもできる。また、画像形成装置内部の雰囲気温度に限らず、画像形成装置外部の雰囲気温度を検出し、レーザ光源のレーザ照射条件に反映させても良い。また、上記の説明においては、顕色剤供給部Bの温度と雰囲気温度との双方を検出する例を説明したが、雰囲気温度のみに基づいてレーザ光の照射条件を設定しても良い。
【0018】
[実施例3]
本実施例においては、温度検知結果に基づく加熱態様制御動作の他の例を説明する。尚、実施例1と同様の符号を付す構成については実施例1と同一又は相当部を示し、説明を省略する。図5は本実施例に係る光走査ユニット20を模式的に示す側面図である。図5に示すように本実施例に係る光走査ユニット20は、短冊形反射鏡23が揺動可能に設けられている。短冊形反射鏡23の揺動はステッピングモータ等で駆動される揺動機構により実現されており、これにより、短冊形反射鏡23はその設置角度を変化可能となっている。短冊形反射鏡23を揺動させることにより、顕色剤101及び顕色剤担持体11に対するレーザ光の照射位置を変えることができる。レーザ光の照射位置を、顕色剤担持体11の移動方向において顕色剤供給部Bよりも上流側に移動させることにより、顕色剤101及び顕色剤担持体11にレーザ光が照射されてから顕色剤101と顕色剤担持体11とが接触するまでの間に時間的ギャップをもたせることができる。
【0019】
レーザ光の照射により溶融した顕色剤101は時間と共に粘着力が変化する。また、レーザ光の照射により加熱された顕色剤担持体11の温度も時間と共に低下する。従って、顕色剤供給部Bにおいて顕色剤101と顕色剤担持体11とが接触する時の両者の粘着力を変化させることができる。温度センサ24によって検出された温度に基づいて短冊形反射鏡23を揺動させ、レーザ光の照射位置を変化させることにより、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力を一定の範囲に保つことができる。温度センサ24から短冊形反射鏡23の揺動までの信号の流れとしては、実施例1における図3若しくは実施例2における図5の例と略同一であり、信号処理部25が温度センサ24の検出結果に基づいて、ステッピングモータのドライバに指示すべき適切な揺動量を判断し、ドライバに対してステッピングモータの駆動量を制御する信号を送信する。本実施例に係るレーザ光の照射位置制御は、実施例1、実施例2において説明したレーザ光の照射条件制御と共に行っても良いし、単独で行っても良い。本実施例に係る照射位置制御を、レーザ光の照射条件制御と合わせて行うことにより、顕色剤及び顕色剤担持体の加熱態様をより多彩に制御することができ、顕色剤と顕色剤担持体との吸着力をより精細に制御することが可能となる。
【0020】
尚、レーザ光の照射位置制御により、レーザ光が顕色剤101若しくは顕色剤担持体11に達するまでの光路長が十分伸縮するように配置した場合、照射時点における光のスポット径の大きさを変化させる事ができる。これにより、レーザ光照射点における集光程度を変化させ、結果的に顕色剤101若しくは顕色剤担持体11に与えられる熱エネルギーを変化させることができる。これにより、顕色剤101と顕色剤担持体11との粘着力の調整をより多様な方法で行うことができる。尚、レーザ光の光路長を変化させる目的においては、短冊形反射鏡23とレーザ光照射点との間に屈折率の高い透過性物質を介在させることによって、短冊形反射鏡23の揺動による光路長の変化量を増加させることができる。また、短冊形反射鏡23以外にも反射鏡を設け、レーザ光を複数回反射させた後に顕色剤101若しくは顕色剤担持体11に照射することによって、光路長を長くすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例に係る熱走査装置を含む画像形成装置の要部を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る熱走査装置を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る温度検知動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る熱走査装置の信号伝達を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る熱走査装置の信号伝達を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る熱走査装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 中間転写ユニット、11 顕色剤担持体、12、13 支持ローラ、20 光走査ユニット、21 ポリゴンミラー、22 fθレンズ、23 短冊形反射鏡、24 温度センサ、25 信号処理部、26 ドライバ、27 レーザ光源、28 雰囲気温度センサ、30 顕色剤供給ユニット、31 顕色剤供給ケース、32 第1顕色剤供給ローラ、33 第2顕色剤供給ローラ、34 顕色剤均一化ブレード、35 現像ローラ、36 クリーニングブレード、40 用紙転写ユニット、41 レジストローラ対、42 熱ローラ、50 中間転写体クリーニングユニット、51 クリーニングローラ、52 クリーニングブレード、101 顕色剤、102 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に基づいて顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱し、温度変化による潜像を形成する熱走査装置であって、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱する熱エネルギーを生成する熱源と、温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度に基づいて前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱態様を制御するコントローラとを有することを特徴とする熱走査装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に与えられる熱エネルギーが変化するように前記熱源を制御することを特徴とする請求項1に記載の熱走査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱位置を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の熱走査装置。
【請求項4】
前記熱源は、レーザ光源であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱走査装置。
【請求項5】
前記レーザ光源から照射されたレーザ光を前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に導く反射鏡を更に有し、前記制御手段は、前記レーザ光に対する前記反射鏡の角度を制御して、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方に対する前記レーザ光の照射位置を変化させることを特徴とする請求項4に記載の熱走査装置。
【請求項6】
前記温度センサは、前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方における加熱位置近傍の温度を検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱走査装置。
【請求項7】
前記温度センサは、当該熱走査装置内部及び当該熱走査装置周辺の少なくとも一方の雰囲気温度を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱走査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱走査装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
画像信号に基づいて顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方を加熱し、温度変化による潜像を形成する熱走査装置の制御方法であって、
温度センサが検出した温度に基づいて前記顕色剤及び顕色剤担持体の少なくとも一方の加熱態様を制御することを特徴とする熱走査装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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