説明

燃料タンク装置

【課題】燃料タンク装置において、水害に対して破損や流出を防止して安全性の向上を図る。
【解決手段】地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とを設け、この上昇装置を、燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気により、この燃料タンク12の比重が水より小さくなって浮力が発生するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のプラントなどに設置される燃料タンク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントや火力発電プラントなどでは、常用の外部電源が喪失されたときに、プラント内に電力を供給するための非常用発電設備が設けられている。このような非常用発電設備としては、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された非常用ディーゼル発電設備は、ディーゼル機関と、発電機と、始動空気系と、燃料油系と、冷却水系と、潤滑油系となどから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電用プラントでは、ガスタービン、蒸気タービン、ボイラ、原子炉、常用外部電源、非常用発電設備などが所定の建屋に収容されているが、燃料タンクは外部に設置されるのが一般的である。このような状況下で、水害、例えば、津波や河川氾濫などが発生した場合、燃料タンクが破損したり、流出してしまったりして、非常用の発電機を作動させることが困難となってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、水害に対して破損や流出を防止して安全性の向上を図った燃料タンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の燃料タンク装置は、地盤に立設されたガイド部材と、前記ガイド部材に沿って昇降自在に支持される燃料タンクと、前記地盤の水位上昇に応じて前記燃料タンクを上昇させる上昇装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、地盤の水位上昇に応じて上昇装置により燃料タンクをガイド部材に沿って上昇させることから、水害に対して燃料タンクの破損や流出を防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0009】
本発明の燃料タンク装置では、前記上昇装置は、前記燃料タンクの比重が水より小さく設定されることで発生する浮力を有することを特徴としている。
【0010】
従って、燃料タンクの比重を水より小さく設定して浮力を発生させることで、地盤の水位上昇に応じて燃料タンクを容易に上昇させることができる。
【0011】
本発明の燃料タンク装置では、前記ガイド部材は、内面で前記燃料タンクの外面を移動自在に支持するガイド筒を有することを特徴としている。
【0012】
従って、ガイド部材をガイド筒として内部に燃料タンクを配置することで、構造物として十分な強度を確保して耐久性を向上することができる。
【0013】
本発明の燃料タンク装置では、前記ガイド筒は、下部に水が浸入可能な開口部を有することを特徴としている。
【0014】
従って、ガイド筒の下部に開口部を設けることで、地盤の水位上昇に対してこの水を開口部からガイド筒内に導くことができ、適正に上昇装置により燃料タンクを上昇させることができる。
【0015】
本発明の燃料タンク装置では、前記燃料タンクは、前記開口部より上方に支持されることを特徴としている。
【0016】
従って、開口部より上方に燃料タンクを配置することで、水による押上げ作用を燃料タンクに効果的に付与することで、この燃料タンクを適正に上昇させることができる。
【0017】
本発明の燃料タンク装置では、前記ガイド部材は、前記燃料タンクの外面を移動自在に支持する複数のガイド柱を有することを特徴としている。
【0018】
従って、ガイド部材を複数のガイド柱とすることで、ガイド部材に対する水の抵抗を軽減することで、構造物としての簡素化を可能とすることができる。
【0019】
本発明の燃料タンク装置では、前記ガイド部材の上部に発電機が配置され、前記燃料タンクと前記発電機がフレキシブル配管により連結されることを特徴としている。
【0020】
従って、ガイド部材の上部に発電機を配置することで、水害に対して燃料タンクだけでなく発電機の破損や流出も防止することができ、また、両者をフレキシブル配管により連結することで、常時燃料タンクの燃料を発電機に供給し、この発電機を作動することができる。
【0021】
本発明の燃料タンク装置では、前記燃料タンクと一体に発電機が配置され、前記燃料タンクと前記発電機が配管により連結されることを特徴としている。
【0022】
従って、水害に対して燃料タンクだけでなく発電機の破損や流出も防止することができ、また、両者を配管により連結することで、常時燃料タンクの燃料を発電機に供給し、この発電機を作動することができる。
【0023】
本発明の燃料タンク装置では、前記ガイド部材と前記燃料タンクとの間に両者を相対移動自在とするガイドローラが設けられることを特徴としている。
【0024】
従って、燃料タンクがガイドローラによりガイド部材に対して昇降することとなり、両者の移動抵抗を軽減して水位上昇に対して燃料タンクを適正に上昇することができる。
【0025】
本発明の燃料タンク装置では、前記上昇装置は、前記燃料タンクに浮力を付与するエアタンクを有することを特徴としている。
【0026】
従って、上昇装置としてエアタンクを設けることで、水位上昇に対して燃料タンクを効果的に上昇することができる。
【0027】
本発明の燃料タンク装置では、前記上昇装置は、前記燃料タンクを上昇させる牽引装置を有することを特徴としている。
【0028】
従って、上昇装置として牽引装置を設けることで、水位上昇に対して燃料タンクを確実に上昇することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の燃料タンク装置によれば、地盤に立設されたガイド部材と、ガイド部材に沿って昇降自在に支持される燃料タンクと、地盤の水位上昇に応じて燃料タンクを上昇させる上昇装置とを設けるので、水害に対して燃料タンクの破損や流出を防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図2】図2は、実施例1の燃料タンク装置を表す平面図である。
【図3】図3は、実施例1の燃料タンク装置における作用を表す正面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例3に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例4に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例5に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例6に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例7に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例8に係る燃料タンク装置を表す正面図である。
【図11】図11は、実施例8の燃料タンク装置を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃料タンク装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明の実施例1に係る燃料タンク装置を表す正面図、図2は、実施例1の燃料タンク装置を表す平面図、図3は、実施例1の燃料タンク装置における作用を表す正面図である。
【0033】
実施例1の燃料タンク装置は、図1及び図2に示すように、地盤10に立設されたガイド部材としてのガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とから構成されている。
【0034】
ガイド円筒11は、円筒形状をなし、地盤10上に鉛直方向に沿って設置されており、外周部が複数(本実施例では、4つ)の補強部材21により支持されている。燃料タンク12は、円筒の上下部が閉塞された中空の密閉構造をなし、外面部がガイド円筒11の内面部に支持されている。この場合、燃料タンク12は、外径がガイド円筒11の内径より小さく設定されることで、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持されている。
【0035】
ガイド円筒11は、下部の内面にリング形状をなすフランジ部22が固定されると共に、このフランジ部22の下方に複数の開口部23が周方向に均等間隔で形成されている。燃料タンク12は、下端部がこのフランジ部22に載置するように支持されることで、この燃料タンク12より下方に複数の開口部23が位置することとなる。
【0036】
そして、実施例1の上昇装置は、燃料タンク12の比重が水より小さく設定されることで発生する浮力を有している。即ち、燃料タンク12は、例えば、鉄製であるものの、内部に収容する燃料及び空気により、水に対して浮力が発生するように構成されている。燃料タンク12に収容される燃料は、例えば、石油、ガソリン、LPG(液化石油ガス)、LNG(液化天然ガス)などであり、少なくとも水よりも比重が小さい。また、燃料タンク12は、内部に燃料とは別に空気が残留している。従って、燃料タンク12は、内部に収容されている燃料と空気により水に対して浮力が発生することができる。この場合、燃料タンク12は、防水処理を施しておくことが好ましい。
【0037】
また、燃料タンク12は、図示しない燃料注入部と燃料排出部が設けられており、燃料排出部がフレキシブル配管24によりガイド円筒11の外部に設置された発電機(図示略)に連結されている。なお、燃料タンク12またはフレキシブル配管24に燃料供給ポンプ(図示略)が設けられている。
【0038】
従って、実施例1の燃料タンク装置は、図1に示すように、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、フランジ部22に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24を通して発電機に供給可能となっている。
【0039】
一方、図3に示すように、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持され、燃料タンク12は、内部の燃料をフレキシブル配管24から発電機に供給することができる。
【0040】
その後、地盤10に水がなくなると、ガイド円筒11内の水が複数の開口部23から外部に排出され、燃料タンク12は、ガイド円筒11内の水位低下に応じて下降することとなり、下部がフランジ部22に載置された位置で停止する。
【0041】
なお、地盤10に水が浸入する環境変化としては、津波、河川の氾濫、大雨などが考えられ、燃料タンク装置が設置される場所や環境などに応じてガイド円筒11の高さを考慮する必要がある。
【0042】
このように実施例1の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とを設け、この上昇装置を、燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気により、この燃料タンク12の比重が水より小さくなって浮力が発生するように構成している。
【0043】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0044】
また、実施例1の燃料タンク装置では、上昇装置を、燃料タンク12自体の比重を水より小さく設定することで浮力が発生するように構成している。従って、別途、装置を設けることなく、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させることができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0045】
また、実施例1の燃料タンク装置では、燃料タンク12の外面をガイド円筒11の内面により移動自在に支持している。従って、ガイド円筒11の内部に燃料タンク12を配置することで、全体としての構造物に対して、十分な強度を確保して耐久性を向上することができる。
【0046】
また、実施例1の燃料タンク装置では、ガイド円筒11の下部に水が浸入可能な開口部23を設けている。従って、地盤10の水位上昇に対して、この水を開口部23からガイド円筒11内に導くことができ、水圧を適正に燃料タンク12の下部に圧力として作用させることで、この燃料タンク12を適正に上昇させることができる。
【0047】
また、実施例1の燃料タンク装置では、燃料タンク12をガイド円筒11のフランジ部22により開口部23より上方に支持している。従って、開口部23からガイド円筒11内に導かれた水を適正に燃料タンク12の下部に圧力として作用させることで、水による押上げ作用を燃料タンク12に効果的に付与することで、この燃料タンク12を適正に上昇させることができる。
【実施例2】
【0048】
図4は、本発明の実施例2に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
実施例2の燃料タンク装置は、図4に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12と、上昇装置として燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気によって発生する浮力とから構成している。
【0050】
そして、ガイド円筒11は、上端部に支持台31が固定され、補強部材32により支持されており、この支持台31上に発電機33が配置されている。燃料タンク12は、図示しない燃料注入部と燃料排出部が設けられており、燃料排出部がフレキシブル配管34により発電機33に連結されている。なお、燃料タンク12、発電機33、フレキシブル配管34のいずれかに燃料供給ポンプ(図示略)が設けられている。
【0051】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、フランジ部22に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管34を通して発電機33に供給可能となっている。
【0052】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。このとき、燃料タンク12はフレキシブル配管34により発電機33に連結されていることから、燃料タンク12が上昇しても、フレキシブル配管34が変形するだけで、この連結状態は維持される。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料をフレキシブル配管34から発電機33に供給することができる。
【0053】
このように実施例2の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12とを設けると共に、燃料タンク12内の燃料と空気によりこの燃料タンク12に浮力を発生させることで、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇可能とすると共に、ガイド円筒11の上部に発電機33を配置し、燃料タンク12と発電機33をフレキシブル配管34により連結している。
【0054】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12はガイド円筒11内で水に浮かんで保持されると共に、発電機33はガイド円筒11の上部に支持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0055】
また、燃料タンク12は、フレキシブル配管34を通して発電機33に連結されているため、燃料タンク12が上昇しても、フレキシブル配管34が変形するだけで、この連結状態は維持され、燃料タンク12の燃料をフレキシブル配管34により常時発電機33に供給することができ、必要に応じてこの発電機33を作動することができる。
【実施例3】
【0056】
図5は、本発明の実施例3に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
実施例3の燃料タンク装置は、図5に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12と、上昇装置として燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気によって発生する浮力とから構成している。
【0058】
ガイド円筒11は、内部に燃料タンク12が配置され、この燃料タンク12は、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持されている。この場合、燃料タンク12は、外周部に複数のガイドローラ51が装着され、ガイド円筒11の内面を上下に転動可能となっている。この複数のガイドローラ51は、燃料タンク12における水平な周方向に均等間隔をもって装着されると共に、鉛直方向に沿って装着されている。なお、ガイド円筒11の内面に複数のガイドローラを設け、この複数のガイドローラにより内部の燃料タンク12を昇降自在に支持してもよい。
【0059】
そして、燃料タンク12は、上部に発電機33が配置されている。燃料タンク12は、図示しない燃料注入部と燃料排出部が設けられており、燃料排出部が配管52により発電機33に連結されている。なお、燃料タンク12、発電機33、配管52のいずれかに燃料供給ポンプ(図示略)が設けられている。
【0060】
なお、実施例3の上昇装置は、燃料タンク12及び発電機33の比重が水より小さく設定されることで発生する浮力を有している。即ち、燃料タンク12は、内部に収容する燃料及び空気により、水に対して浮力が発生するように構成されている。
【0061】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、フランジ部22に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料が配管52を通して発電機33に供給可能となっている。
【0062】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて発電機33と共に上昇することとなる。そのため、燃料タンク12及び発電機33は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。このとき、燃料タンク12と発電機33が一体に上昇することから、両者の連結状態は維持される。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料を配管52から発電機33に供給することができる。
【0063】
このように実施例3の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12及び発電機33とを設けると共に、燃料タンク12内の燃料と空気によりこの燃料タンク12と発電機33に浮力を発生させることで、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12と発電機33を上昇可能としている。
【0064】
従って、燃料タンク12及び発電機33は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12及び発電機33はガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12及び発電機33の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0065】
また、実施例3の燃料タンク装置では、燃料タンク12の外周部に複数のガイドローラ51を装着し、燃料タンク12をこの複数のガイドローラ51によりガイド円筒11の内面に沿って昇降自在に支持している。従って、燃料タンク12がガイド円筒11内を昇降するとき、ガイドローラ51により両者の移動抵抗を軽減され、水位上昇に対して燃料タンク12を適正に上昇することができる。
【実施例4】
【0066】
図6は、本発明の実施例4に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
実施例4の燃料タンク装置は、図6に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12と、上昇装置として燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気によって発生する浮力とから構成している。
【0068】
ガイド円筒11は、内部に燃料タンク12が配置され、この燃料タンク12は、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持されている。燃料タンク12は、下部に複数の脚部61が固定され、地盤10に支持可能となっている。一方、ガイド円筒11は、下部に複数の開口部23が周方向に均等間隔で形成されている。燃料タンク12は、ガイド円筒11内で複数の脚部61により地盤10に支持されることで、この燃料タンク12より下方に複数の開口部23が位置することとなる。
【0069】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、各脚部61により地盤10に支持された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24から発電機に供給可能となっている。
【0070】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。
【0071】
このように実施例4の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とを設け、この上昇装置を、燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気により、この燃料タンク12の比重が水より小さくなって浮力が発生するように構成している。
【0072】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0073】
また、実施例4の燃料タンク装置では、燃料タンク12は、ガイド円筒11の内部で、複数の脚部61により地盤10に支持されている。従って、ガイド円筒11の内部にフランジ部などを設ける必要なく、燃料タンク12を開口部23より上方に支持することができ、構造の簡素化を可能とすることができる。
【実施例5】
【0074】
図7は、本発明の実施例5に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例5の燃料タンク装置は、図7に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12と、上昇装置として燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気によって発生する浮力とから構成している。
【0076】
ガイド円筒11は、リング形状をなす水平な支持板71上に固定され、この支持板71は、複数の脚部72により地盤10に支持されている。また、ガイド円筒11は、内部に燃料タンク12が配置され、この燃料タンク12は、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持されている。支持板71中央部に円形をなす開口部73が形成されている。燃料タンク12は、ガイド円筒11内で下部が支持板71に載置されることで、この燃料タンク12より下方に開口部73が位置することとなる。
【0077】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、下部が支持板71に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24から発電機に供給可能となっている。
【0078】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は開口部73からガイド円筒11内に浸入し、この開口部73より上方に位置する燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。
【0079】
このように実施例5の燃料タンク装置にあっては、地盤10に支持板71及び脚部72を介して立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とを設け、この上昇装置を、燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気により、この燃料タンク12の比重が水より小さくなって浮力が発生するように構成している。
【0080】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0081】
また、実施例5の燃料タンク装置では、ガイド円筒11を支持板71上に固定し、この支持板71を複数の脚部72により地盤10に支持し、支持板71に開口部73を形成している。従って、ガイド円筒11に開口部を設ける必要なく、燃料タンク12を開口部73より上方に支持することができ、構造の簡素化を可能とすることができる。
【0082】
なお、燃料タンク12より下方に開口部を設ける場合、ガイド円筒11に開口部23を設けたり、支持板71に開口部73を設ける構成に限定されるものではなく、ガイド円筒11の下部に直接複数の脚部を設けたりしてもよい。
【実施例6】
【0083】
図8は、本発明の実施例6に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0084】
実施例6の燃料タンク装置は、図8に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12と、上昇装置としてエアタンク81とから構成している。
【0085】
このエアタンク81は、硬質又は軟質の中空体内に空気が充填されて構成されており、燃料タンク12の上部に固定されている。なお、エアタンク81の内部の気体は、空気に限らず、例えば、窒素などの不活性ガスなどであってもよい。
【0086】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、フランジ部22に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24から発電機に供給可能となっている。
【0087】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、エアタンク81内の空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。
【0088】
このように実施例6の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、燃料タンク12に固定されたエアタンク81とから構成されている。
【0089】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてエアタンク81の浮力によりガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12はガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0090】
なお、この実施例6では、上昇装置としてエアタンク81を適用したが、実施例1〜5と同様に、燃料タンク12内の燃料と空気により発生する浮力と兼用してもよい。この構成により、燃料タンク12内の燃料の種類や量(空気の量)に左右されずに浮力を確保することができる一方、エアタンク81の小型化を可能とすることができる。また、エアタンク81は、燃料タンク12の上部に限らず、下部や側部に固定してもよい。
【実施例7】
【0091】
図9は、本発明の実施例7に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
実施例7の燃料タンク装置は、図9に示すように、ガイド円筒11と、燃料タンク12
と、上昇装置として牽引装置91とから構成している。
【0093】
この牽引装置91は、燃料タンク12をガイド円筒11内で上昇させるものであり、巻取ローラ92を正逆回転可能な駆動モータ93と、巻取ローラ92から繰り出されるロープ94と、ロープ94を案内するガイドローラ95と、ロープ94を燃料タンク12に連結する連結具96とから構成されている。そして、燃料タンク12は、水位センサ97が装着されており、駆動モータ93は、この水位センサ97の検出結果に応じて駆動可能となっている。
【0094】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12がガイド円筒11内で、フランジ部22に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24から発電機に供給可能となっている。
【0095】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は複数の開口部23からガイド円筒11内に浸入し、この開口部23より上方に位置する燃料タンク12に圧力として作用する。このとき、水位センサ97は、水位が燃料タンク12まで到達したことを検知し、駆動モータ93が駆動する。すると、巻取ローラ92が正回転してロープ94を巻取り、このロープ94を介して燃料タンク12を上昇させる。即ち、水位センサ97が水位を検出すると、駆動モータ93により巻取ローラ92を正回転させることから、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇、つまり、ガイド円筒11内の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で上昇した位置に保持される。
【0096】
その後、地盤10に水がなくなると、ガイド円筒11内の水が複数の開口部23から外部に排出されて水位が低下することから、水位センサ97が水位を検出せず、駆動モータ93により巻取ローラ92を逆回転させ、燃料タンク12は、ガイド円筒11内の水位低下に応じて下降することとなり、下部がフランジ部22に載置された位置で停止する。
【0097】
このように実施例7の燃料タンク装置にあっては、地盤10に立設されたガイド円筒11と、このガイド円筒11に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、燃料タンク12を水位の上昇に応じて上昇させる牽引装置91とから構成されている。
【0098】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じて牽引装置91が作動してガイド円筒11に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12はガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0099】
なお、この実施例7では、上昇装置として牽引装置91を適用したが、実施例1〜5と同様に、燃料タンク12内の燃料と空気により発生する浮力と兼用してもよい。この構成により、燃料タンク12内の燃料の種類や量(空気の量)に左右されずに浮力を確保することができる一方、牽引装置91の小型化を可能とすることができる。
【実施例8】
【0100】
図10は、本発明の実施例8に係る燃料タンク装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例8の燃料タンク装置は、図10及び図11に示すように、地盤10に立設されたガイド部材としてのガイド柱101と、このガイド柱101に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、上昇装置として燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気によって発生する浮力とから構成している。
【0102】
ガイド柱101は、複数(本実施例では、4つ)周方向に沿って均等間隔に配置され、リング形状をなす支持リング102により固定されている。この4つのガイド柱101は、リング形状をなす水平な支持板103上に鉛直方向に沿って立設され、この支持板103は、複数の脚部104により地盤10上に設置されている。燃料タンク12は、外面部が4つのガイド柱101の内側で昇降自在に支持されている。また、支持板103は、中央部に開口部105が形成されている。
【0103】
従って、地盤10に水が浸入していない状態では、燃料タンク12が各ガイド柱101内で、下部が支持板103に載置された位置で停止している。そのため、この状態で、燃料タンク12は、内部の燃料がフレキシブル配管24を通して発電機に供給可能となっている。
【0104】
一方、地盤10に水が浸入すると、この水は開口部105から燃料タンク12の下部に圧力として作用する。この場合、燃料タンク12は、内部に収容された燃料と空気により水に対する浮力が発生することから、地盤10の水位上昇に応じて上昇することとなる。そのため、燃料タンク12は、各ガイド柱101に支持されながら上昇した位置に保持され、燃料タンク12は、内部の燃料をフレキシブル配管24から発電機に供給することができる。
【0105】
このように実施例8の燃料タンク装置にあっては、地盤10に脚部104及び支持板103を介して立設された複数のガイド柱101と、この各ガイド柱101に沿って昇降自在に支持される燃料タンク12と、地盤10の水位上昇に応じて燃料タンク12を上昇させる上昇装置とを設け、この上昇装置を、燃料タンク12の内部に収容される燃料と空気により、この燃料タンク12の比重が水より小さくなって浮力が発生するように構成している。
【0106】
従って、燃料タンク12は、地盤10の水位上昇に応じてそれ自体の浮力により各ガイド柱101に沿って上昇する。そのため、津波、河川の氾濫、大雨などの水害が発生しても、燃料タンク12は、ガイド円筒11内で水に浮かんで保持されることから、この燃料タンク12の破損や流出などを防止することができ、安全性の向上を図ることができる。
【0107】
また、実施例8の燃料タンク装置では、燃料タンク12を複数のガイド柱101に沿って上昇可能としている。従って、津波などの発生時に、各ガイド柱101に作用する水の抵抗を軽減することができ、構造物としての簡素化を可能とすることができる。
【0108】
なお、この実施例8にて、支持板103に開口部105を形成したが、水は各ガイド柱101の間から浸入するため、特に設けなくてもよいものである。
【符号の説明】
【0109】
11 ガイド円筒(ガイド部材)
12 燃料タンク(上昇装置)
22 フランジ部
23,73,105 開口部
24,34 フレキシブル配管
33 発電機
51 ガイドローラ
52 配管
71,103 支持板
72,104 脚部
81 エアタンク(上昇装置)
91 牽引装置(上昇装置)
97 水位センサ
101 ガイド柱(ガイド部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に立設されたガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って昇降自在に支持される燃料タンクと、
前記地盤の水位上昇に応じて前記燃料タンクを上昇させる上昇装置と、
を備えることを特徴とする燃料タンク装置。
【請求項2】
前記上昇装置は、前記燃料タンクの比重が水より小さく設定されることで発生する浮力を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、内面で前記燃料タンクの外面を移動自在に支持するガイド筒を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料タンク装置。
【請求項4】
前記ガイド筒は、下部に水が浸入可能な開口部を有することを特徴とする請求項3に記載の燃料タンク装置。
【請求項5】
前記燃料タンクは、前記開口部より上方に支持されることを特徴とする請求項4に記載の燃料タンク装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記燃料タンクの外面を移動自在に支持する複数のガイド柱を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料タンク装置。
【請求項7】
前記ガイド部材の上部に発電機が配置され、前記燃料タンクと前記発電機がフレキシブル配管により連結されることを特徴とする請求項1から6のいずれかひとつに記載の燃料タンク装置。
【請求項8】
前記燃料タンクと一体に発電機が配置され、前記燃料タンクと前記発電機が配管により連結されることを特徴とする請求項1から6のいずれかひとつに記載の燃料タンク装置。
【請求項9】
前記ガイド部材と前記燃料タンクとの間に両者を相対移動自在とするガイドローラが設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれかひとつに記載の燃料タンク装置。
【請求項10】
前記上昇装置は、前記燃料タンクに浮力を付与するエアタンクを有することを特徴とする請求項1から9のいずれかひとつに記載の燃料タンク装置。
【請求項11】
前記上昇装置は、前記燃料タンクを上昇させる牽引装置を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかひとつに記載の燃料タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−47112(P2013−47112A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186018(P2011−186018)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】