説明

燃料棒集合体変形抑制器具及び輸送容器

【課題】輸送容器が落下した際の燃料棒の変形を低減すること。
【解決手段】燃料棒集合体変形抑制器具100は、スパンに設けられ、第2方向に配列される複数の燃料棒の隙間に、第1方向に向かって挿入される第1部材111と、第1部材111が設けられるスパンに設けられ、第1方向に配列される複数の燃料棒の隙間に、第2方向に向かって挿入される第2部材121と、を備え、第1部材111と第2部材21との少なくとも一方が、スパンの燃料棒の部分のうち、軸方向の中央部に設けられ、第1部材111の軸方向の長さと第2部材121の軸方向の長さとの合計は、スパンの軸方向の長さの半分以上、かつ、スパンの軸方向の長さ以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子炉用燃料棒集合体を構成する燃料棒の変形を抑制する燃料棒集合体変形抑制器具、及び輸送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料棒集合体を輸送する場合、燃料棒集合体は、輸送容器に格納されて輸送される。ここで、輸送容器は、クレーンによって吊り上げられることがある。輸送容器は、落下することがないように、細心の注意が払われて輸送されており、現在でも、燃料棒集合体の輸送には十分な安全が確保されている。しかしながら、燃料棒集合体をより安全に輸送するためには、輸送容器が落下することを想定しておく必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、輸送中の振動による燃料棒集合体のダメージを低減するための技術として、燃料棒間に嵌合弾接される弾接用金属製屈曲格子板を備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−117187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、燃料棒集合体の部分のうち、輸送容器が落下した際に変形しやすい部分は、隣接し合う2つのグリッドの間であるスパンの軸方向の中央部である。しかしながら、特許文献1の技術は、スパンの軸方向の中央部に、輸送用セパレータは設けられておらず、仮に輸送容器が落下した場合、燃料棒の変形の低減が不十分となるおそれが考えられる。
【0006】
また、仮に特許文献1の輸送用セパレータが、スパンの軸方向の中央部に設けられる場合であっても、特許文献1の技術は、輸送容器の落下の衝撃によって輸送用セパレータがスパンの軸方向の中央部から移動するおそれがある。輸送容器の落下の衝撃によって輸送用セパレータがスパンの軸方向の中央部から移動した場合、特許文献1の技術では、燃料の変形を低減できない。
【0007】
このように、特許文献1では、輸送容器が落下した場合を想定しておらず、輸送容器が落下した場合を想定すると、燃料棒の変形の低減が不十分となるおそれが考えられる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、輸送容器が落下した際の燃料棒の変形を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、互いに交差する第1方向と第2方向とに並んで配置され、隣接し合うそれぞれの側周部との間に隙間を有すると共に、各中心軸が平行に配列される複数の燃料棒と、前記中心軸の方向である軸方向に間隔をあけて複数設けられて、複数の前記燃料棒を束ねるグリッドと、を含んで構成される加圧水型原子炉用燃料棒集合体に取り付けられる燃料棒集合体変形抑制器具であって、隣接し合う2つの前記グリッドの間であるスパンに設けられ、前記第2方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第1方向に向かって挿入される第1部材と、前記第1部材が設けられる前記スパンに設けられ、前記第1方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第2方向に向かって挿入される第2部材と、を備え、前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方が、前記スパンの前記燃料棒の部分のうち、前記中心軸方向の中央部に設けられ、前記第1部材の前記中心軸方向の長さと前記第2部材の前記中心軸方向の長さとの合計は、前記スパンの前記中心軸方向の長さの半分以上、かつ、前記スパンの前記中心軸方向の長さ以下であることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る輸送容器は、燃料棒集合体変形抑制器具が取り付けられている加圧水型原子炉用燃料棒集合体を格納するバスケットと、前記バスケットを格納する胴本体と、を備える輸送容器であって、前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体は、互いに交差する第1方向と第2方向とに並んで配置され、隣接し合うそれぞれの側周部との間に隙間を有すると共に、各中心軸が平行に配列される複数の燃料棒と、前記中心軸の方向である軸方向に間隔をあけて複数設けられて、複数の前記燃料棒を束ねるグリッドと、を含んで構成され、前記燃料棒集合体変形抑制器具は、隣接し合う2つの前記グリッドの間であるスパンに設けられ、前記第2方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第1方向に向かって挿入される第1部材と、前記第1部材が設けられる前記スパンに設けられ、前記第1方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第2方向に向かって挿入される第2部材と、を格納するバスケットと、を備え、前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方が、前記スパンの前記燃料棒の部分のうち、前記中心軸方向の中央部に設けられ、前記第1部材の前記中心軸方向の長さと前記第2部材の前記中心軸方向の長さとの合計は、前記スパンの前記中心軸方向の長さの半分以上、かつ、前記スパンの前記中心軸方向の長さ以下であることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具及び輸送容器は、第1部材が燃料棒の第2方向の移動を規制して、燃料棒の第2方向の変形を抑制できる。また、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具及び輸送容器は、第2部材が燃料棒の第1方向の移動を規制して、燃料棒の第1方向の変形を抑制できる。
【0012】
また、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具及び輸送容器は、輸送中の振動や落下時の衝撃によって、燃料棒集合体変形抑制器具が中心軸方向に移動しても、第1部材と第2部材との少なくとも一方が、スパンの燃料棒の部分のうち、中心軸方向の中央部に位置する。これにより、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具及び輸送容器は、スパンの燃料棒の部分のうち、最も燃料棒が変形しやすい中心軸方向の中央部での燃料棒の変形を抑制できる。
【0013】
本発明の好ましい態様としては、前記スパンは、前記中心軸方向に並んで複数形成され、前記第1部材及び前記第2部材は、複数の前記スパンのうちの少なくとも、前記燃料棒の一方の端部側の第1スパンと、前記燃料棒の他方の端部側の第2スパンとの2つのスパンに設けられることが望ましい。
【0014】
ここで、燃料棒は、一方の端部側の第1スパンでの変形量と、他方の端部側の第2スパンでの変形量とが、他のスパンでの変形量に比べて大きくなる傾向がある。本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、第1スパンと、第2スパンとの2つのスパンに設けられることにより、燃料棒が変形しやすい部分での燃料棒の変形を抑制できる。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、前記第1部材及び前記第2部材は、複数の前記スパンのうち、前記第1スパンに隣接した第1隣接スパンと、前記第2スパンに隣接した第2隣接スパンとにも設けられることが望ましい。
【0016】
ここで、燃料棒は、第1隣接スパンでの変形量及び第2隣接スパンでの変形量も、第1スパン及び第2スパンを除いた他のスパンでの変形量よりも、比較的大きくなる傾向がある。本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、第1隣接スパンと、第2隣接スパンとの2つのスパンにも設けられることにより、燃料棒が変形しやすい部分での燃料棒の変形を抑制できる。
【0017】
本発明の好ましい態様としては、1つの前記スパン内で、前記第1部材は、前記中心軸方向で複数箇所に設けられることが望ましい。
【0018】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、1つのスパンの軸方向で、第1部材が設けられる箇所の数が増える。これにより、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、1つのスパンの軸方向で第2方向への燃料棒の変形を抑制できる箇所が増える。
【0019】
本発明の好ましい態様としては、1つの前記スパン内で、前記第2部材は、前記中心軸方向で複数箇所に設けられることが望ましい。
【0020】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、1つのスパンの軸方向で、第2部材が設けられる箇所の数が増える。これにより、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、1つのスパンの軸方向で第1方向への燃料棒の変形を抑制できる箇所が増える。
【0021】
本発明の好ましい態様としては、複数の前記第1部材が第1連結部材に固定されて構成される第1ユニットと、複数の前記第2部材が第2連結部材に固定されて構成される第2ユニットと、の2つのユニットを備えることが望ましい。
【0022】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、複数の第1部材及び複数の第2部材を、一気に前記隙間に挿入できる。これにより、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、複数の第1部材及び複数の第2部材を、一つずつ前記隙間に挿入するよりも、複数の第1部材及び複数の第2部材を、前記隙間に挿入するために要する時間及び手間を低減できる。
【0023】
本発明の好ましい態様としては、前記ユニットは、前記ユニットの前記中心軸方向の移動を規制すると共に、前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体から取り外しできるように前記ユニットを前記スパンに支持する取付部を備えることが望ましい。
【0024】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、第1部材及び第2部材の軸方向の移動を規制できる。
【0025】
本発明の好ましい態様としては、前記グリッドは、前記中心軸と平行な側壁を有し、前記取付部は、前記側壁の両面を挟むことで前記グリッドに取り付けられることが望ましい。
【0026】
また、本発明の好ましい態様としては、前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体は、前記燃料棒の端部に設けられるノズルを含んで構成され、前記取付部は、前記ノズルの少なくとも一部を挟むことで前記ノズルに取り付けられることが望ましい。
【0027】
上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、燃料棒の側周部に接触することなく、燃料棒集合体に取り付けられる。これにより、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、燃料棒に取付部の跡が残るおそれを抑制できる。
【0028】
本発明の好ましい態様としては、前記取付部は、前記燃料棒の前記側周部を前記燃料棒の径方向両側から挟むことで前記燃料棒に取り付けられることが望ましい。
【0029】
また、本発明の好ましい態様としては、前記取付部は、複数の前記燃料棒から構成される燃料棒群のうちの1つ前記燃料棒に一方方向の力を与え、前記一方方向の力が与えられる前記燃料棒とは別の前記燃料棒に前記一方方向とは反対方向の力を与えることで前記燃料棒群に取り付けられることが望ましい。
【0030】
ここで、グリッドやノズルは、燃料棒群から離れる方向である外側に張り出している。上記構成により、本発明に係る燃料棒集合体変形抑制器具は、前記取付部がグリッドやノズルよりも内側に配置されるため、前記ユニットがグリッドやノズルよりも前記外側に張り出す体積が低減される。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、輸送容器が落下した際の燃料棒の変形を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、キャスクを示す斜視図である。
【図2】図2は、燃料棒集合体を示す構成図である。
【図3】図3は、実施形態1の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。
【図4】図4は、燃料棒集合体変形抑制器具を軸方向に投影した投影図である。
【図5】図5は、燃料棒集合体変形抑制器具が取り付けられた燃料棒集合体を示す斜視図である。
【図6】図6は、燃料棒の中心軸と第1方向の仮想の直線とを含む面で、第3取付部及び第2ノズルを切って示す断面図である。
【図7】図7は、第4取付部を示す斜視図である。
【図8】図8は、第5取付部を示す斜視図である。
【図9】図9は、第5取付部が燃料棒群に取り付けられる様子を、燃料棒の中心軸に直交する平面で切って示す断面図である。
【図10】図10は、実施形態2の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。
【図11】図11は、実施形態2の他の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明にかかる燃料棒集合体用緩衝部材及び輸送容器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施形態1)
図1は、キャスクを示す斜視図である。図2は、燃料棒集合体を示す構成図である。図1に示すキャスク900は、図1に示す輸送容器900は、図2に示す燃料棒集合体800を格納する輸送容器の一つであり、リサイクル燃料を輸送するための容器である。図1に示すキャスク900は、胴本体910と、底部920と、蓋部930と、バスケット940とを含んで構成される。
【0035】
胴本体910は、筒状に形成される。底部920は、胴本体910の一方の端部に隙間なく設けられる。蓋部930は、胴本体910の他方の端部に隙間なく設けられる。バスケット940は、胴本体910と、底部920と、蓋部930とに囲まれる空間に設けられる。バスケット940は、複数のセル941を含んで構成される。キャスク900は、各セル941に図2に示す燃料棒集合体800が格納される。
【0036】
図2に示す燃料棒集合体800は、加圧水型原子炉用の燃料棒集合体である。燃料棒集合体800は、燃料棒801と、グリッド810と、ノズル850とを含んで構成される。燃料棒集合体800は、複数の燃料棒801を含んで構成される。
【0037】
燃料棒801は、それぞれの中心軸が互いに平行になるように並んで配列される。以下、燃料棒801の中心軸方向を単に軸方向という。ここで、軸方向と直交する方向を第1方向とし、軸方向と直交し、かつ第1方向と交差する方向を第2方向とする。本実施形態では、第2方向は第1方向と直交する。
【0038】
燃料棒集合体800は、複数の燃料棒801が、例えば、第1方向と第2方向とに並んで配置される。ここで、本実施形態では、燃料棒集合体800は、中心軸と直交する仮想の平面で燃料棒集合体800を切った場合に、複数の燃料棒801から構成される燃料棒群802が略正方形に形成される。つまり、本実施形態の燃料棒集合体800は、燃料棒群802の行と列とが直交する。
【0039】
しかしながら、燃料棒集合体は、中心軸と直交する仮想の平面で燃料棒集合体を切った場合に、複数の燃料棒801から構成される燃料棒群802が、例えばひし形に形成される場合も考えられる。この場合、燃料棒集合体は、燃料棒群802の行と列とが直交しない。このような燃料棒集合体の場合、第1方向と第2方向とは直交せずに交差する。
【0040】
グリッド810は、複数の燃料棒801を束ねて支持する。具体的には、グリッド810は、軸方向に貫通する孔が板状の部材に複数形成されることによって格子状に形成される。
【0041】
グリッド810は、複数の前記孔に燃料棒801がそれぞれ挿入されることによって、複数の燃料棒801を支持する。このとき、隣接し合う燃料棒801のそれぞれの側周部との間には、隙間が形成される。なお、グリッド810は、前記孔の内周面と燃料棒801の側周部との間の摩擦力によって、燃料棒801を支持する。
【0042】
ここで、複数の燃料棒801で構成される燃料棒群802には、燃料棒801とは別に案内管が含まれている。なお、図1では、案内管は、燃料棒801に隠れているため図示されていない。前記案内管は、燃料棒801と共に燃料棒801に対して平行にグリッド810に連結される。
【0043】
ノズル850は、第1ノズル851と第2ノズル852とを含んで構成される。ここで、ノズル850は、第1ノズル851が図1に示す底部920側に配置され、第2ノズル852が蓋部930側に配置される。キャスク900は、通常、底部920が鉛直方向下側に配置されて輸送される。
【0044】
燃料棒集合体800は、輸送される際、通常は第1ノズル851が鉛直方向下側に配置される。つまり、ノズル850は、第1ノズル851がいわゆる下部ノズルであり、第2ノズル852がいわゆる上部ノズルである。
【0045】
第1ノズル851は、前記案内管の一方の端部に連結される。第2ノズル852は、前記案内管の他方の端部に連結される。これにより、燃料棒集合体800は、燃料棒801の一方の端部側に第1ノズル851が配置され、燃料棒801の他方の端部側に第2ノズル852が配置される。
【0046】
以上により、燃料棒集合体800は、第1ノズル851と第2ノズル852との間に、グリッド810によって束ねられた複数の燃料棒801が、第1方向と第2方向とに並んで支持される。
【0047】
ここで、グリッド810は、複数設けられる。複数のグリッド810は、軸方向に間隔をあけて配置される。複数のグリッド810のうち、最も第1ノズル851側のグリッドを第1ノズル側第1グリッド811とする。また、第1ノズル側第1グリッド811と隣接するグリッドを第1ノズル側第2グリッド812とする。また、第1ノズル側第2グリッド812と隣接するグリッドであって、第1ノズル側第1グリッド811とは軸方向で反対側に配置されるグリッドを第1ノズル側第3グリッド813とする。
【0048】
また、最も第2ノズル852側のグリッドを第2ノズル側第1グリッド821とする。また、第2ノズル側第1グリッド821と隣接するグリッドを第2ノズル側第2グリッド822とする。また、第2ノズル側第2グリッド822と隣接するグリッドであって、第2ノズル側第1グリッド821とは軸方向で反対側に配置されるグリッドを第2ノズル側第3グリッド823とする。
【0049】
つまり、燃料棒集合体800は、第1ノズル851から第2ノズル852に向かって順に、第1ノズル側第1グリッド811と、第1ノズル側第2グリッド812と、第1ノズル側第3グリッド813とが配置される。また、燃料棒集合体800は、第2ノズル852から第1ノズル851に向かって順に、第2ノズル側第1グリッド821と、第2ノズル側第2グリッド822と、第2ノズル側第3グリッド823とが配置される。
【0050】
さらに、第1ノズル側第1グリッド811と第1ノズル側第2グリッド812との間を第1ノズル側第1スパン831とする。第1ノズル側第2グリッド812と第1ノズル側第3グリッド813との間を第1ノズル側第2スパン832とする。また、第2ノズル側第1グリッド821と第2ノズル側第2グリッド822との間を第2ノズル側第1スパン841とする。第2ノズル側第2グリッド822と第2ノズル側第3グリッド823との間を第2ノズル側第2スパン842とする。
【0051】
つまり、燃料棒集合体800は、第1ノズル851から第2ノズル852に向かって順に、第1ノズル側第1スパン831と、第1ノズル側第2スパン832とが形成される。また、燃料棒集合体800は、第2ノズル852から第1ノズル851に向かって順に、第2ノズル側第1スパン841と、第2ノズル側第2スパン842とが形成される。
【0052】
ここで、燃料棒集合体800をより安全に輸送するために、燃料棒集合体800を格納した状態で輸送容器が落下した場合を想定して、キャスクの落下試験を行った。落下試験では、図1に示す底部920から地面に落下した場合や、キャスク900の蓋部930から地面に落下した場合や、胴本体910から地面に落下した場合などに分けて、燃料棒集合体800が受けるダメージを検証した。
【0053】
この落下試験の結果、図2に示す燃料棒集合体800は、仮にキャスク900が落下すると、各スパンで燃料棒801が第1方向及び第2方向に向かって変形しやすい傾向があることが判明した。
【0054】
そこで、より安全に燃料棒集合体800を輸送するために、輸送中に輸送容器が落下した場合を想定して、燃料棒集合体800は、第1方向及び第2方向に向かう燃料棒801の変形を抑制するための燃料棒集合体変形抑制器具が取り付けられてキャスク900に格納される。以下に、燃料棒集合体変形抑制器具の構成を説明する。
【0055】
図3は、実施形態1の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。図4は、燃料棒集合体変形抑制器具を軸方向に投影した投影図である。図3及び図4に示すように、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ユニット110と、第2ユニット120とが一組となって構成される。第1ユニット110は、第1部材111と、第1連結部材112とを含んで構成される。
【0056】
第1部材111は、例えば、複数設けられる。第1部材111は、図3に示すように、板状の部材である。第1部材111は、軸方向の仮想の直線と、第1方向の仮想の直線とを含むように配置される。また、複数の第1部材111は、図4に示すように、第2方向に並んで配置される。
【0057】
第1部材111は、第2方向の寸法、つまり第1部材111の厚さが、第2方向に配列される複数の燃料棒801の隙間以下に形成される。第1部材111は、第2方向に配列される複数の燃料棒801の隙間に、第1方向に向かって挿入される。
【0058】
複数の第1部材111は、図3に示すように、板状の部材である第1連結部材112に連結されて一体に構成される。具体的には、第1部材111の4つの側面のうち、第1方向の仮想の直線が交差する側面の一方が、第1連結部材112の2つの面のうち、燃料棒801と対向する面に連結される。第1部材111は、他方の側面から、第2方向に配列される複数の燃料棒801の隙間に挿入される。
【0059】
ここで、複数の第1部材111は、第1連結部材112に連結される構成に限定されない。第1部材111は、個別に前記隙間に挿入されてもよい。但し、複数の第1部材111が第1連結部材112に連結されることにより、第1ユニット110は、一度に複数の第1部材111が前記隙間に挿入される。これにより、複数の第1部材111が第1連結部材112に連結される構成ならば、第1部材111を前記隙間に挿入する作業に要する時間及び手間を低減できる。
【0060】
第2ユニット120は、第2部材121と、第2連結部材122とを含んで構成される。第2部材121は、例えば、複数設けられる。第2部材121は、図3に示すように、板状の部材である。第2部材121は、軸方向の仮想の直線と、第2方向の仮想の直線とを含むように配置される。また、複数の第2部材121は、図4に示すように、第1方向に並んで配置される。
【0061】
第2部材121は、第1方向の寸法、つまり第2部材121の厚さが、第1方向に配列される複数の燃料棒801の隙間以下に形成される。第2部材121は、第1方向に配列される複数の燃料棒801の隙間に、第2方向に向かって挿入される。
【0062】
複数の第2部材121は、図3に示すように、板状の部材である第2連結部材122に連結されて一体に構成される。具体的には、第2部材121の4つの側面のうち、第2方向の仮想の直線が交差する側面の一方が、第2連結部材122の2つの面のうち、燃料棒801と対向する面に連結される。第2部材121は、他方の側面から、第1方向に配列される複数の燃料棒801の隙間に挿入される。
【0063】
ここで、複数の第2部材121は、第2連結部材122に連結される構成に限定されないが、第1部材111と同様の理由により、複数の第2部材121が第2連結部材122に連結される構成ならば、第2部材121を前記隙間に挿入する作業に要する時間及び手間を低減できる。
【0064】
図5は、燃料棒集合体変形抑制器具が取り付けられた燃料棒集合体を示す斜視図である。第1ユニット110及び第2ユニット120は、図5に示すように、同じスパンに一組で取り付けられる。
【0065】
これにより、燃料棒集合体800は、燃料棒集合体変形抑制器具100が取り付けられるスパンで、図4に示すように隣接し合う燃料棒801の側周部との間の隙間に第1部材111または第2部材121が介在される。
【0066】
これにより、燃料棒801は、図4に示す第1方向に変形しようとしても、第2部材121によって第1方向の移動が規制される。よって、燃料棒801は、第1方向の変形が抑制される。また、燃料棒801は、第2方向に変形しようとしても、第1部材111によって第2方向の移動が規制される。よって、燃料棒801は、第2方向の変形が抑制される。
【0067】
以上により、一つのスパンに第1ユニット110と第2ユニット120とが取り付けられることにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、燃料棒801の第1方向の変形と、燃料棒801の第2方向の変形との両方を抑制できる。
【0068】
ここで、輸送容器を落下させる試験によって、輸送容器に格納される燃料棒集合体800は、特に第1ノズル側第1スパン831または第2ノズル側第1スパン841で、第1方向及び第2方向に向かって燃料棒801が変形しやすい傾向にあることが判明した。
【0069】
そこで、本実施形態では、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ノズル側第1スパン831及び第2ノズル側第1スパン841の2つのスパンに取り付けられる。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、最も燃料棒801が変形しやすいスパンでの、燃料棒801の第1方向の変形と、燃料棒801の第2方向の変形とを抑制できる。
【0070】
また、落下試験の結果、燃料棒集合体800は、第1ノズル側第2スパン832または第2ノズル側第2スパン842でも、燃料棒801が第1方向及び第2方向に向かって変形しやすい傾向にある。
【0071】
よって、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ノズル側第2スパン832及び第2ノズル側第2スパン842の2つのスパンにも取り付けられてもよい。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ノズル側第1スパン831及び第2ノズル側第1スパン841を除く他のスパンよりも燃料棒801が比較的変形しやすいスパンでの、燃料棒801の第1方向の変形と、燃料棒801の第2方向の変形とを抑制できる。
【0072】
但し、第1ノズル側第2スパン832または第2ノズル側第2スパン842での燃料棒801の変形量は、第1ノズル側第1スパン831または第2ノズル側第1スパン841での燃料棒801の変形量よりも少ない。
【0073】
よって、燃料棒集合体変形抑制器具100は、少なくとも第1ノズル側第1スパン831及び第2ノズル側第1スパン841に取り付けられていればよい。第1ノズル側第1スパン831及び第2ノズル側第1スパン841のみに取り付けられる構成でも、燃料棒集合体変形抑制器具100は、燃料棒集合体変形抑制器具100が燃料棒集合体800に取り付けられない場合よりも、燃料棒801の第1方向及び第2方向の変形を大幅に抑制できる。
【0074】
ここで、キャスク900が底部920から地面に落下する場合、燃料棒801は、第1ノズル側第1スパン831での変形量が他のスパンでの変形量よりも大きくなる。また、キャスク900が底部920から地面に落下する場合、燃料棒801は、第2ノズル側第1スパン841での変形量が他のスパンでの変形量よりも大きくなる。
【0075】
なお、キャスク900が胴本体910から地面に落下する場合、第1ノズル側第1スパン831での燃料棒801の変形量と、第2ノズル側第1スパン841での燃料棒801の変形量との大小関係はキャスク900が地面に衝突するときの傾きによって変化する。但し、キャスク900が胴本体910から地面に落下する場合、燃料棒801の第1方向及び第2方向の変形量は、キャスク900が底部920または蓋部930から地面に落下する場合よりも大幅に小さくなる。
【0076】
このように、燃料棒集合体800は、落下する際のキャスク900の傾きによって、第1ノズル側第1スパン831での燃料棒801の変形量と、第2ノズル側第1スパン841での燃料棒801の変形量との大小関係が変化する。よって、燃料棒集合体800をより安全に輸送するためには、あらゆる傾きで輸送容器が落下する場合を想定しておく必要がある。
【0077】
そこで、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ノズル側第1スパン831と、第2ノズル側第1スパン841との両方に取り付けられる。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、輸送容器が地面に向かって落下する傾きに限定されずに、燃料棒801の第1方向及び第2方向の変形を抑制できる。
【0078】
ここで、輸送容器を落下させる試験の結果、各スパン内での燃料棒801の第1方向及び第2方向の変形量は、各スパンの軸方向の中央部が最も大きくなる傾向にあることが判明した。以下、各スパンの軸方向の中央部を、単に各スパンの中央部という。
【0079】
つまり、燃料棒集合体800は、燃料棒801の部分のうち、第1ノズル側第1スパン831の中央部または第2ノズル側第1スパン841の中央部の第1方向及び第2方向の変形量が最も大きくなる傾向がある。
【0080】
そこで、燃料棒集合体変形抑制器具100は、図5に示すように、取り付けられるスパンの中央部に、第1部材111と第2部材121との少なくとも一方が設けられる。なお、第1部材111と第2部材121との境界が、各スパンのちょうど中央部に配置される場合、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1部材111と第2部材121との両方が、取り付けられるスパンの中央部に設けられているものとして取り扱う。
【0081】
このようにして、燃料棒集合体変形抑制器具100は、取り付けられるスパンの中央部、本実施形態では、第1ノズル側第1スパン831の中央部と第2ノズル側第1スパン841の中央部とに、第1部材111と第2部材121との少なくとも一方が設けられる。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、燃料棒801の部分のうち、第1方向及び第2方向の変形量が最も大きくなると予想される部分の変形を抑制できる。
【0082】
ここで、キャスク900が地面と衝突する際の衝撃や、輸送中の振動によって、燃料棒集合体変形抑制器具100は、軸方向の力を受ける場合がある。この軸方向の力によって、燃料棒集合体変形抑制器具100は、軸方向に移動する場合がある。
【0083】
仮に、燃料棒集合体変形抑制器具100が軸方向に移動して、スパンの中央部から第1部材111及び第2部材121が軸方向にずれると、輸送容器が落下した際の燃料棒801の変形の低減が不十分になるおそれがある。
【0084】
そこで、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1ユニット110及び第2ユニット120を燃料棒集合体800に取り付けるための取付部が設けられる。燃料棒集合体変形抑制器具100は、この取付部によって、第1部材111及び第2部材121の軸方向への移動を規制する。以下に取付部の構成の例を、取付部が燃料棒集合体800のどの部位に取り付けられるかによって分けて説明する。
【0085】
[取付部の構成例1]
構成例1の第1取付部113は、図2に示す燃料棒集合体800のグリッド810に取り付けられる。第1取付部113は、図3に示す第1連結部材112に設けられて、第1ユニット110を図5に示す第1ノズル側第1スパン831に支持するものとして説明する。
【0086】
第1取付部113は、図3に示すように、略U字に湾曲した形状のクリップである。第1取付部113は、例えば、第1連結部材112の面のうち、第1部材111が連結される面に設けられる。第1取付部113は、略U字の口が軸方向に向かって開口するように設けられる。本構成例の第1取付部113は、略U字の口が第1部材111側に向かって開口する。
【0087】
本構成例では、図5に示すように、第1取付部113は、グリッド810の面のうち、第1方向に沿う仮想の線が交差する側壁面に取り付けられる。ここで、グリッド810の側壁面には、第1取付部113の一部が挿入できる隙間が形成される。第1取付部113は、前記隙間に第1取付部113の一部が挿入される。第1取付部113は、前記側壁面を第1方向に挟み込むことによって、前記側壁面に固定される。
【0088】
上記構成により、第1取付部113は、軸方向に移動しないように、第1連結部材112を支持する。第1部材111は、第1連結部材112に連結されている。結果として、第1取付部113は、軸方向に移動しないように第1部材111を支持する。
【0089】
ここで、取付部が取り付けられる燃料棒集合体800の部分には、取付部との摩擦によって表面に微細な跡が残る場合も考えられる。第1取付部113は、燃料棒801に取り付けられないため、燃料棒801の表面に微細な跡が残るおそれがない。なお、グリッド810は、仮に表面に微細な跡が残っても、実用上の不具合は生じない。
【0090】
[取付部の構成例2−1]
構成例2−1の第2取付部123は、図2に示す燃料棒集合体800の第1ノズル851に取り付けられる。第2取付部123は、図3に示す第2連結部材122に設けられて、第2ユニット120を図5に示す第1ノズル側第1スパン831に支持するものとして説明する。
【0091】
第2取付部123は、図3に示すように、略U字に湾曲した形状のクリップである。第2取付部123は、例えば、第2連結部材122の面のうち、第2部材121が連結される面に略U字の底部分が取り付けられる。第2取付部123は、略U字の口が第2方向に向かって開口するように設けられる。これにより、第2取付部123は、略U字の口が図2に示す第1ノズル851に向かって開口する。
【0092】
本構成例では、図5に示すように、第2取付部123は、第1ノズル851に取り付けられる。ここで、燃料棒801と第1ノズル851との間には、第2取付部123の一部が挿入できる隙間が形成される。第2取付部123は、前記隙間に第2取付部123の一部が第2方向に向かって挿入される。第2取付部123は、第1ノズル851を軸方向の仮想の直線が交差する2つの面を軸方向に挟み込むことによって、第1ノズル851に固定される。
【0093】
上記構成により、第2取付部123は、軸方向に移動しないように、第2連結部材122を支持する。第2部材121は、第2連結部材122に連結されている。結果として、第2取付部123は、軸方向に移動しないように第2部材121を支持する。第2取付部123は、第1取付部113と同様に、燃料棒801に取り付けられないため、燃料棒801の表面に微細な跡が残るおそれがない。
【0094】
[取付部の構成例2−2]
構成例2−2の第3取付部133は、図2に示す燃料棒集合体800の第2ノズル852に取り付けられる。第3取付部133は、図3に示す第1連結部材112に設けられて、第1ユニット110を図5に示す第2ノズル側第1スパン841に支持するものとして説明する。
【0095】
図6は、燃料棒の中心軸と第1方向の仮想の直線とを含む面で、第3取付部及び第2ノズルを切って示す断面図である。ここで、第2ノズル852は、軸方向の壁面から第1方向に突出する張出部852aが形成されている。第3取付部133は、この張出部852aに取り付けられる。
【0096】
第3取付部133は、第1張出部133aと、回動部133bと、第2張出部133cと、ヒンジ133dと、バネ133eとを含んで構成される。第1張出部133aは、張出部852aに沿って設けられる。第1張出部133aは、一方の端部が第1連結部材112に連結され、他方の端部に回動部133bが取り付けられる。
【0097】
回動部133bは、ヒンジ133dを介して第1張出部133aに取り付けられる。これにより、回動部133bは、第1張出部133aに対して回動できる。また、回動部133bは、燃料棒801側の端部に第2張出部133cが形成される。第2張出部133cは、回動部133bが第1張出部133aと直交する場合に、張出部852aに沿って先端が第1連結部材112に向くように回動部133bから張り出して設けられる。
【0098】
バネ133eは、第2張出部133cが第1連結部材112に近づく方向に回動部133bを押す力を回動部133bに与える。バネ133eが回動部133bに与える力により、回動部133bは、第2張出部133cが第1連結部材112に近づく方向に回動する。これにより、第2張出部133cが張出部852aに接触する。
【0099】
以上により、第3取付部133は、第1張出部133aと第2張出部133cとが第2ノズル852の張出部852aを軸方向で挟み込む。これにより、第3取付部133は、軸方向に移動しないように第1連結部材112を支持する。よって、第3取付部133は、軸方向に移動しないように第1部材111を支持できる。
【0100】
さらに、第3取付部133は、回動部133bと、第1連結部材112とが張出部852aを第1方向で挟み込む。これにより、第3取付部133は、第1方向に移動しないように第1連結部材112を支持する。よって、第3取付部133は、第1方向にも移動しないように第1部材111を支持できる。
【0101】
[取付部の構成例3−1]
図7は、第4取付部を示す斜視図である。構成例3−1の第4取付部143は、図2に示す燃料棒集合体800の燃料棒801に取り付けられる。第4取付部143は、図7に示す第2連結部材122に設けられて、第2ユニット120を図5に示す第2ノズル側第1スパン841に支持するものとして説明する。
【0102】
第4取付部143は、図7に示すように、略U字に湾曲した形状のクリップである。第4取付部143は、例えば、第2連結部材122の面のうち、第2部材121が連結される面に略U字の底部分が取り付けられる。第4取付部143は、略U字の口が第2方向に向かって開口するように設けられる。これにより、第4取付部143は、略U字の口が図2に示す燃料棒801に向かって開口する。
【0103】
また、図3に示す第2取付部123は、クリップの両壁面が第1方向に沿っているのに対して、図7に示す第4取付部143は、クリップの両壁面が軸方向に沿って形成される。これにより、第4取付部143は、燃料棒801の側周部を燃料棒801の径方向で両側から挟む。
【0104】
具体的には、第4取付部143は、燃料棒801の側周部を第1方向で挟み込む。これにより、第4取付部143と燃料棒801の側周部との間に摩擦力を発生させる。これにより、第4取付部143は、燃料棒801に取り付けられる。
【0105】
上記構成により、第4取付部143は、前記摩擦力によって軸方向に移動しないように、第2連結部材122を支持する。第2部材121は、第2連結部材122に連結されている。結果として、第4取付部143は、軸方向に移動しないように第2部材121を支持する。
【0106】
ここで、図5に示すように、第1取付部113は、第1連結部材112がグリッド810を覆うように取り付けられる。また、第2取付部123は、第1ノズル851を覆うように取り付けられる。よって、第1取付部113及び第2取付部123は、グリッドやノズルから外側に張り出す。なお、前記外側とは、燃料棒集合体800全体の中心軸から離れる方向をいう。また、燃料棒集合体800全体の中心軸に近づく方向を内側という。
【0107】
しかしながら、燃料棒801は、グリッドやノズルよりも内側に配置されるため、燃料棒801に取り付けられる第4取付部143も、グリッドやノズルよりも外側に張り出さない。仮に、グリッドやノズルよりも外側に張り出す場合であっても、図5に示す第1取付部113や第2取付部123よりも、第4取付部143は、グリッドやノズルよりも外側に張り出す部分の体積が低減される。
【0108】
ここで、これから原子力発電プラントで使用される新燃料棒集合体に燃料棒集合体変形抑制器具100を取り付ける場合は、燃料棒801の側周部へのダメージの低減を優先して、取付部が燃料棒801に取り付けられない図3に示す第1取付部113や第2取付部123が好ましい。
【0109】
しかしながら、原子力発電プラントで一度使用されたリサイクル燃料棒集合体に燃料棒集合体変形抑制器具100を取り付ける場合、燃料棒801の側周部に取付部が接触した跡が仮に残ったとしても、実用上の不具合は生じない。よって、第4取付部143は、リサイクル燃料棒集合体に取り付けられると好ましい。
【0110】
[取付部の構成例3−2]
図8は、第5取付部を示す斜視図である。図9は、第5取付部が燃料棒群に取り付けられる様子を、燃料棒の中心軸に直交する平面で切って示す断面図である。構成例3−2の第5取付部153は、図2に示す燃料棒集合体800の燃料棒801単体ではなく、燃料棒群802に取り付けられる。第5取付部153は、図8に示す第1連結部材112に設けられて、第1ユニット110を支持するものとして説明する。
【0111】
第5取付部153は、図8及び図9に示すように、第1クリップ161と、第2クリップ162と、第1連結部材112とを含んで構成される。第1クリップ161及び第2クリップ162は、板状の部材である。第1クリップ161及び第2クリップ162は、燃料棒801の中心軸と平行に設けられる。
【0112】
また、第1クリップ161は、第2方向で複数の第1部材111で構成される第1部材群の一方側に配置される。また、第2クリップ162は、第2方向で複数の第1部材群の他方方側に配置される。つまり、第1クリップ161及び第2クリップ162は、前記第1部材群を第2方向で挟んで配置される。
【0113】
第1クリップ161は、一方の端部が第1連結部材112に連結され、他方の端部である先端が第2クリップ162側に屈曲して形成される。また、第2クリップ162は、一方の端部が第1連結部材112に連結され、他方の端部である先端が第1クリップ161側に屈曲して形成される。
【0114】
ここで、第1クリップ161及び第2クリップ162の先端は、図9に示すように、燃料棒801の側周部に接触する。よって、第1クリップ161及び第2クリップ162の先端は、曲面を含んで構成される。これにより、第5取付部153は、第1クリップ161及び第2クリップ162の先端が燃料棒801の側周部に接触した際に、燃料棒801の側周部に跡が残るおそれを抑制できる。
【0115】
第1クリップ161及び第2クリップ162は、例えば、板バネで形成される。第1クリップ161は、外力が取り除かれると第2クリップ162側に近づく。また、第2クリップ162は、外力が取り除かれると第1クリップ161側に近づく。
【0116】
第5取付部153を燃料棒集合体800に取り付ける場合、まず、第1クリップ161及び第2クリップ162を、互いに離れる方向に開く。この状態で、第1部材111を第2方向に配列される複数の燃料棒801の隙間に挿入する。次に、第1クリップ161及び第2クリップ162に与えている外力を取り除く。
【0117】
これにより、図9に示すように、第1クリップ161及び第2クリップ162が、互いに近づく方向に移動する。これにより、第5取付部153は、第1クリップ161の先端及び第2クリップ162の先端が、燃料棒801の側周部と接触する。
【0118】
ここで、第1クリップ161及び第2クリップ162は、それぞれ燃料棒群802のうちの1本の側周部に接触して、燃料棒群802を第1連結部材112側に押し付ける。これにより、第1連結部材112から離れた側に配置される燃料棒801は、第1連結部材112側に向かう力が与えられる。一方、燃料棒群802のうち、第1連結部材112側に配置される燃料棒801は、第1連結部材112から前記力とは反対方向の力が与えられる。
【0119】
このように、第5取付部153は、複数の燃料棒群802のうちの1つ燃料棒801に一方方向の力を与え、一方方向の力が与えられる燃料棒801とは別の燃料棒801に一方方向とは反対方向の力を与える。これにより、第5取付部153は、第1クリップ161の先端及び第2クリップ162の先端と第1連結部材112との間に燃料棒群802を挟みこんで支持する。
【0120】
このようにして、第5取付部153は、第1クリップ161の先端及び第2クリップ162の先端と燃料棒801の側周部との間と、第1連結部材112と燃料棒801との間と、に摩擦力を発生させる。これにより、第5取付部153は、燃料棒群802に取り付けられる。
【0121】
上記構成により、第5取付部153は、軸方向に移動しないように、第1連結部材112を支持する。第1部材111は、第1連結部材112に連結されている。結果として、第5取付部153は、軸方向に移動しないように第1部材111を支持できる。
【0122】
なお、リサイクル燃料棒集合体に燃料棒集合体変形抑制器具100を取り付ける場合、燃料棒集合体変形抑制器具100の取付作業はロボットアームによって行われる。構成例1から構成例3−2に示す取付部は、溶接やボルト締めなどの作業を必要としない。よって、燃料棒集合体変形抑制器具100を燃料棒集合体800に取り付ける際に、ロボットアームでも容易に第1ユニット110及び第2ユニット120を燃料棒集合体800に取り付けることができる。
【0123】
ここで、第1部材111及び第2部材121は、上述の取付部によって、燃料棒集合体800に取り付けられて、軸方向の移動が規制されているが、より安全に燃料棒集合体800を輸送するために、輸送中の振動や、落下の衝撃によって、取付部が燃料棒集合体800から外れるおそれを想定しておく必要がある。
【0124】
そこで、燃料棒集合体変形抑制器具100は、第1部材111または第2部材121の少なくとも一方がスパンの中央部に設けられると共に、第1部材111の軸方向の長さと第2部材121の軸方向の長さとの合計が、燃料棒集合体変形抑制器具100が設けられるスパンの軸方向の長さの半分以上に形成される。
【0125】
これにより、燃料棒集合体変形抑制器具100は、仮に取付部が燃料棒集合体800から外れて、第1部材111及び第2部材121が軸方向に移動したとしても、必ず、第1部材111と第2部材121とのうちのどちらかが、スパンの中央部に位置する。これにより、輸送中の振動や、落下の衝撃によって、取付部が燃料棒集合体800から外れた場合であっても、燃料棒集合体変形抑制器具100は、燃料棒801が最も変形しやすいスパンの中央部の燃料棒801の変形を抑制できる。
【0126】
また、燃料棒集合体800を格納する図1に示すバスケット940のセル941は、仮に燃料棒集合体変形抑制器具100の取付部が燃料棒集合体800から外れたとしても、第1部材111及び第2部材121が燃料棒801同士の隙間から抜け落ちない大きさに形成されると好ましい。
【0127】
具体的には、セル941は、第1方向の辺の長さが第1部材111の第1方向の長さと、燃料棒群802の第1方向の長さとの和よりも小さく形成される。なお、燃料棒群802の第1方向の長さとは、燃料棒群802を構成する複数の燃料棒801のうち、第1方向で最も互いに離れた位置にある2本の燃料棒801の間の長さである。また、セル941は、第2方向の辺の長さが第2部材121の第2方向の長さと、燃料棒群802の第2方向の長さとの和よりも小さく形成される。
【0128】
なお、セル941の大きさは、燃料棒集合体変形抑制器具100が燃料棒集合体800に取り付けられている状態で、燃料棒集合体800が挿入できる大きさであれば、小さいほど好ましい。バスケット940の体積には限りがあるため、セル941の大きさが低減されれば、キャスク900は、より多くの燃料棒集合体800をバスケット940に格納できる。
【0129】
上記構成により、燃料棒集合体変形抑制器具100は、仮に取付部が燃料棒集合体800から外れたとしても、第1部材111及び第2部材121が燃料棒集合体800の燃料棒801同士の隙間から抜け落ちない。
【0130】
以上により、燃料棒集合体変形抑制器具100は、輸送中に振動が発生した場合や、仮に輸送容器が落下した場合であっても、燃料棒集合体変形抑制器具100が燃料棒集合体800から外れるおそれが抑制される。つまり、燃料棒集合体変形抑制器具100は、輸送中に振動が発生した場合や、仮に輸送容器が落下した場合であっても、燃料棒801の変形を抑制できる。
【0131】
(実施形態2)
図10は、実施形態2の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。図10に示す実施形態2の燃料棒集合体変形抑制器具200は、1つのスパンに軸方向で複数設けられる点に特徴がある。
【0132】
燃料棒集合体変形抑制器具200は、第1部材111または第2部材121の少なくとも一方がスパンの中央部に設けられると共に、第1部材111の軸方向の長さと第2部材121の軸方向の長さとの合計が、燃料棒集合体変形抑制器具200が設けられるスパンの軸方向の長さの半分以上に形成されれば、1つのスパンに軸方向で設けられる第1部材111または第2部材121の数は限定されない。
【0133】
例えば、燃料棒集合体変形抑制器具200は、軸方向で第1部材111が2つ設けられる。具体的には、燃料棒集合体変形抑制器具200は、第2方向に配列された複数の第1部材111で構成される第1部材群210が、第1連結部材112に軸方向に2つ連結される。
【0134】
この2つの第1部材群210は、第2部材121の軸方向の長さ以上の間隔をあけて配置される。燃料棒集合体変形抑制器具200は、燃料棒集合体800の1つのスパンに挿入されると、この2つの第1部材群210の間に、第2部材121が配置されることになる。つまり、燃料棒集合体変形抑制器具200は、1つのスパンに、軸方向で第1部材111、第2部材121、第1部材111の順に第1部材111及び第2部材121が配置される。
【0135】
図11は、実施形態2の他の燃料棒集合体変形抑制器具を示す斜視図である。また、図11に示す燃料棒集合体変形抑制器具300は、例えば、軸方向で第2部材121が2つ設けられる。具体的には、燃料棒集合体変形抑制器具300は、第1方向に配列された複数の第2部材121で構成される第2部材群220が、第2連結部材122に軸方向に2つ連結される。
【0136】
この2つの第2部材群220は、第1部材111の軸方向の長さ以上の間隔をあけて配置される。燃料棒集合体変形抑制器具300は、燃料棒集合体800の1つのスパンに挿入されると、この2つの第2部材群220の間に、2つの第1部材群210のうちの1つが配置されることになる。つまり、燃料棒集合体変形抑制器具300は、1つのスパンに、軸方向で第1部材111、第2部材121、第1部材111、第2部材121の順に第1部材111及び第2部材121が配置される。
【0137】
ここで、1つのスパンに軸方向で配置する第1部材111及び第2部材121の数を増加させることの効果を説明する。図5に示すように、1つのスパンに軸方向でそれぞれ1つずつ第1部材111及び第2部材121を配置すると、例えば、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル851側では、第1方向の燃料棒801の変形は第2ユニット120によって十分に抑制できる。
【0138】
しかしながら、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル851側には、第1ユニット110は配置されていないため、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル851側で、第2方向に向かう燃料棒801の変形量の低減が不十分になるおそれがある。
【0139】
しかしながら、図10に示す燃料棒集合体変形抑制器具200や、図11に示す燃料棒集合体変形抑制器具300は、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル851側に第1部材111と第2部材121との両方が配置される。また、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル側第2グリッド812側にも第1部材111と第2部材121との両方が配置される。
【0140】
このように、燃料棒集合体変形抑制器具200は、1つのスパンの軸方向で、第1部材111が設けられる箇所の数が増える。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具200は、1つのスパンの軸方向で第2方向への燃料棒の変形を抑制できる箇所が増える。
【0141】
また、燃料棒集合体変形抑制器具300は、1つのスパンの軸方向で、第1部材111及び第2部材121が設けられる箇所の数が増える。これにより、燃料棒集合体変形抑制器具300は、1つのスパンの軸方向で第2方向及び第1方向への燃料棒の変形を抑制できる箇所が増える。
【0142】
よって、燃料棒集合体変形抑制器具200及び燃料棒集合体変形抑制器具300は、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル851側で、第1方向に向かう燃料棒801の変形量の低減が不十分になるおそれを抑制できる。また、第1ノズル側第1スパン831の第1ノズル側第2グリッド812側で、第2方向に向かう燃料棒801の変形量の低減が不十分になるおそれを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上のように、燃料棒集合体変形抑制器具は、燃料棒集合体をキャスクに格納して輸送する際に有用であり、燃料棒の変形を低減することに適している。
【符号の説明】
【0144】
100 燃料棒集合体変形抑制器具
110 第1ユニット
111 第1部材
112 第1連結部材
113 第1取付部
120 第2ユニット
121 第2部材
122 第2連結部材
123 第2取付部
133 第3取付部
133a 第1張出部
133b 回動部
133c 第2張出部
133d ヒンジ
133e バネ
143 第4取付部
153 第5取付部
161 第1クリップ
162 第2クリップ
200 燃料棒集合体変形抑制器具
210 第1部材群
220 第2部材群
300 燃料棒集合体変形抑制器具
800 燃料棒集合体
801 燃料棒
802 燃料棒群
810 グリッド
811 第1ノズル側第1グリッド
812 第1ノズル側第2グリッド
813 第1ノズル側第3グリッド
821 第2ノズル側第1グリッド
822 第2ノズル側第2グリッド
823 第2ノズル側第3グリッド
831 第1ノズル側第1スパン(第1スパン)
832 第1ノズル側第2スパン(第1隣接スパン)
841 第2ノズル側第1スパン(第2スパン)
842 第2ノズル側第2スパン(第2隣接スパン)
850 ノズル
851 第1ノズル
852 第2ノズル
852a 張出部
900 キャスク
910 胴本体
920 底部
930 蓋部
940 バスケット
941 セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する第1方向と第2方向とに並んで配置され、隣接し合うそれぞれの側周部との間に隙間を有すると共に、各中心軸が平行に配列される複数の燃料棒と、
前記中心軸の方向である軸方向に間隔をあけて複数設けられて、複数の前記燃料棒を束ねるグリッドと、
を含んで構成される加圧水型原子炉用燃料棒集合体に取り付けられる燃料棒集合体変形抑制器具であって、
隣接し合う2つの前記グリッドの間であるスパンに設けられ、前記第2方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第1方向に向かって挿入される第1部材と、
前記第1部材が設けられる前記スパンに設けられ、前記第1方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第2方向に向かって挿入される第2部材と、
を備え、
前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方が、前記スパンの前記燃料棒の部分のうち、前記軸方向の中央部に設けられ、
前記第1部材の前記軸方向の長さと前記第2部材の前記軸方向の長さとの合計は、前記スパンの前記軸方向の長さの半分以上、かつ、前記スパンの前記軸方向の長さ以下であることを特徴とする燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項2】
前記スパンは、前記軸方向に並んで複数形成され、
前記第1部材及び前記第2部材は、複数の前記スパンのうちの少なくとも、前記燃料棒の一方の端部側の第1スパンと、前記燃料棒の他方の端部側の第2スパンとの2つのスパンに設けられることを特徴とする請求項1に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項3】
前記第1部材及び前記第2部材は、
複数の前記スパンのうち、前記第1スパンに隣接した第1隣接スパンと、前記第2スパンに隣接した第2隣接スパンとにも設けられることを特徴とする請求項2に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項4】
1つの前記スパン内で、前記第1部材は、前記軸方向で複数箇所に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項5】
1つの前記スパン内で、前記第2部材は、前記軸方向で複数箇所に設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項6】
複数の前記第1部材が第1連結部材に固定されて構成される第1ユニットと、
複数の前記第2部材が第2連結部材に固定されて構成される第2ユニットと、
の2つのユニットを備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項7】
前記ユニットは、
前記ユニットの前記軸方向の移動を規制すると共に、前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体から取り外しできるように前記ユニットを前記スパンに支持する取付部を備えることを特徴とする請求項6に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項8】
前記グリッドは、前記中心軸と平行な側壁を有し、
前記取付部は、前記側壁の両面を挟むことで前記グリッドに取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項9】
前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体は、
前記燃料棒の端部に設けられるノズルを含んで構成され、
前記取付部は、前記ノズルの少なくとも一部を挟むことで前記ノズルに取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項10】
前記取付部は、
前記燃料棒の前記側周部を前記燃料棒の径方向両側から挟むことで前記燃料棒に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項11】
前記取付部は、
複数の前記燃料棒から構成される燃料棒群のうちの1つ前記燃料棒に一方方向の力を与え、前記一方方向の力が与えられる前記燃料棒とは別の前記燃料棒に前記一方方向とは反対方向の力を与えることで前記燃料棒群に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の燃料棒集合体変形抑制器具。
【請求項12】
燃料棒集合体変形抑制器具が取り付けられている加圧水型原子炉用燃料棒集合体を格納するバスケットと、
前記バスケットを格納する胴本体と、
を備える輸送容器であって、
前記加圧水型原子炉用燃料棒集合体は、
互いに交差する第1方向と第2方向とに並んで配置され、隣接し合うそれぞれの側周部との間に隙間を有すると共に、各中心軸が平行に配列される複数の燃料棒と、
前記中心軸の方向である軸方向に間隔をあけて複数設けられて、複数の前記燃料棒を束ねるグリッドと、を含んで構成され、
前記燃料棒集合体変形抑制器具は、
隣接し合う2つの前記グリッドの間であるスパンに設けられ、前記第2方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第1方向に向かって挿入される第1部材と、
前記第1部材が設けられる前記スパンに設けられ、前記第1方向に配列される複数の前記燃料棒の前記隙間に、前記第2方向に向かって挿入される第2部材と、
を備え、
前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方が、前記スパンの前記燃料棒の部分のうち、前記軸方向の中央部に設けられ、
前記第1部材の前記軸方向の長さと前記第2部材の前記軸方向の長さとの合計は、前記スパンの前記軸方向の長さの半分以上、かつ、前記スパンの前記軸方向の長さ以下であることを特徴とする輸送容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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