説明

燃料系部品用材料およびそれを用いた燃料系部品

本発明は、衝撃強度、剛性、伸度、ガソリンなどの液体燃料に対する耐膨潤性、ガソリンバリヤー性に優れ、かつ成形性の良好な燃料系部品用材料として、所定のポリアミド樹脂(A)100重量部に対して11〜100重量部の、前記ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低くかつ前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなり、ポリアミド樹脂(A)がマトリックス成分であり、樹脂(B)がドメイン成分である構造を有する、燃料系部品用材料を提供し、さらに、前記材料を含む燃料系部品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、衝撃強度、剛性、伸度、ガソリンなどの液体燃料に対する耐膨潤性、ガソリンなどの液体燃料に対するガスバリヤー性(ガソリンバリヤー性)に優れ、かつ成形性の良好な燃料系部品用材料およびそれを用いた燃料系部品に関する。
【背景技術】
自動車の燃料タンクやチューブ、キャニスター、フューエルポンプモジュールなどの燃料系部品の樹脂化の検討は、軽量化と意匠性における利点から、古くから行われている。例えば、燃料タンクには、フッ素処理した高密度ポリエチレン材料(特公昭53−15862号公報)やエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)と高密度ポリエチレンとの多層積層材料(特開平9−29904号公報)が提案されている。しかし、フッ素処理した高密度ポリエチレン材料は、ガソリンバリヤー性が十分ではない。一方、EVOHと高密度ポリエチレンとの多層積層材料は、ガソリンバリヤー性は優れているが、多層ブロー成形をする必要があるため、複雑かつ高価な成形装置を用いることになって成形加工コストが高くなる。また、成形物の形状・デザインの自由度も制約される。
このような状況の中で、汎用の成形装置で成形加工が出来て、かつガソリンバリヤー性や耐衝撃性などの特性が優れた燃料系部品用材料の開発が強く求められていた。
一方、ポリメタキシリレンアジパミドは、酸素バリヤー性が優れることから包装用フィルム(特開昭51−24682号公報)や多層ブロー成形飲料容器の材料(特開昭56−64866号公報)、更には高密度ポリエチレンを主成分とする内層および外層を備えた多層中空成形品からなる燃料タンクの材料(特開平5−345349号公報、特開平6−191296号公報)として検討されている。しかし、汎用の成形装置で成形して燃料系部品として使用することに関しては、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物が提案されている(特開平6−191296号公報)が、ガソリンバリヤー性が不十分で実用化には至っていない。一方、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂の単独の成形体は各種ガスバリヤー性は優れているが、耐衝撃強度は極めて弱いものしか得られない。耐衝撃性を改良するためにポリメタキシリレンアジパミド樹脂にナイロン66とエチレン系共重合体を添加することが検討されている(特開昭58−201845号公報、特開昭58−206666号公報)が、燃料系部品用材料として要求されるアルコール含有ガソリンバリヤー性と耐衝撃性の両立が困難であるためか実用化されるに至っていない。
【発明の開示】
本発明は、衝撃強度、剛性、伸度といった機械的特性とガソリンなどの液体燃料に対する耐膨潤性、ガソリンバリヤー性、特にアルコール含有ガソリンバリヤー性に優れ、かつ汎用の成形装置で成形可能な樹脂組成物からなる燃料系部品用材料を提供することを目的とする。
前記目的達成のために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂(A)および、前記ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して11〜100重量部の、前記ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低くかつ前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなり、前記ポリアミド樹脂(A)がマトリックス成分であり、前記樹脂(B)がドメイン成分である構造を有する燃料系部品用材料、好ましくは前記ドメインの平均粒子径が3μm以下である、燃料系部品用材料に関する。また、本発明は、−40℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度が200J/m以上であり、トルエン45vol%、イソオクタン45vol%およびエタノール10vol%からなる溶液の65℃で250時間後のカップ法重量変化量から算出される透過度が30g・mm/m・day以下である、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂系の燃料系部品用材料に関する。
本発明の好ましい態様には、上記ポリアミド樹脂(A)が、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、ポリメタキシリレンピメラミド樹脂、メタキシリレンジアミンとテレフタル酸とアジピン酸とからなるポリアミド樹脂、それらの共重合体およびそれらのブレンドからなる群から選ばれるものが挙げられる。別の好ましい態様としては、上記樹脂(B)がポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有するポリオレフィン系樹脂である態様が挙げられ、より好ましくは該樹脂(B)が酸無水物基を有する態様が挙げられる。
さらに、本発明は上記燃料系部品用材料を含む燃料系部品、特に、上記燃料系部品用材料からなる燃料容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、カップ法重量変化量の測定のためにサンプルを固定したカップを示す図である。
図2は、アルコール含有ガソリン溶液の透過度を求めるためのカップ法重量変化量の測定を模式的に示す図である。
発明の詳細な説明
本発明の燃料系部品用材料は、後述する樹脂組成物からなることを特徴とし、また、別の側面からは、所定の衝撃強度およびアルコール含有ガソリン溶液の透過度(ガソリンバリヤー性)を示すことを特徴とする。ここで、「燃料系部品」とは、エンジン等の内燃機関に使用するガソリンやアルコール含有ガソリンや軽油等と直接ないし間接的に接触する部品をいう。燃料系部品として、ガソリンタンクなどの燃料容器や燃料や排気ガスを移送するために使用するチューブ、キャニスター、フューエルポンプモジュール、バルブ、継手等が例示される。
フューエルポンプモジュールとは、タンク内のガソリンを汲み上げる為の装置である。フューエルポンプにキャニスター・バルブなど2つ以上の燃料系部品を複合化した部品がフューエルポンプモジュールである。
ここで、ガソリンやアルコール含有ガソリンと「間接的に接触する部品」とは、ガソリンやアルコール含有ガソリン等の液体と直接には接触していないが、その蒸気と接している部分を含む部品、注油等の際にそれらの液や蒸気が付着する可能性がある部分を含む部品という意味である。
本発明の材料を用いた燃料系部品には、例えば、燃料タンク、燃料移送用のチューブ、それらを接続するためのコネクター等が挙げられる。本発明の材料を用いる態様は特に限定なく、燃料系部品に本発明の材料を含んでいればよい。好ましい態様として本発明の材料からなる燃料容器(タンク等)などといった燃料系部品が挙げられ、特に、本発明の材料を用いた射出成形体は、耐衝撃性が高く、かつアルコール含有ガソリンバリヤー性が優れているので、自動車の燃料タンクとして自由度の高い形状の射出成形体燃料タンクを経済的に提供できる利点がある。別の態様としては、燃料系部品が多層構造をもち、その少なくとも一層を本発明の材料で構成してなる部品が挙げられる。その場合、燃料の液体や蒸気と直接接していないが、燃料が直接接触する層から透過した場合に接し得る層を本発明の材料で構成してもよい。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いる樹脂組成物は、下記ポリアミド樹脂(A)および樹脂(B)を含有し、後述するマトリックスとドメインをもつ構造を有するものである。以下の説明では、樹脂(B)がポリオレフィン系樹脂である場合について主に記載するが、本発明において樹脂(B)はポリオレフィン系樹脂に限られず、ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低くかつ前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂であればよい。
<ポリアミド樹脂(A)(マトリックス)>
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、ジアミン成分の主成分がメタキシリレンジアミンであるポリアミド樹脂である。ポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミン以外のジアミン成分として、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどを含んでいても構わない。ここで、メタキシリレンジアミンはポリアミド樹脂(A)の全ジアミン成分の70モル%以上であり、好ましくは75モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらにより好ましくは95モル%以上であり、もっとも好ましくは100モル%である。
ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン2酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。ポリアミド樹脂(A)には、アミノカルボン酸成分がさらに共重合しても構わない。共重合し得るアミノカルボン酸の具体例には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどが挙げられる。
上記のうち、アルコール含有ガソリンバリヤー性に優れる点で特に好ましいポリアミド樹脂(A)は、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、ポリメタキシリレンピメラミド樹脂、メタキシリレンジアミンとテレフタル酸とアジピン酸とからなるポリアミド樹脂、それらの共重合体またはそれらのブレンドである。本発明で用いるポリアミド樹脂(A)には、アルコール含有ガソリンバリヤー性を損なわない範囲でナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6Tなどのポリアミド樹脂がさらにブレンドされていてもよい。
さらに好ましいポリアミド樹脂(A)としては、ジアミン成分が全てメタキシリレンジアミンであり、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸を含むポリアミド樹脂が挙げられる。この場合、ガソリンバリヤー性を向上させる点から、シクロヘキサンジカルボン酸の含有量は好ましくはジカルボン酸成分の3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは7モル%以上であり、融点を下げて成形加工性を良好にする点から、シクロヘキサンジカルボン酸の含有量は好ましくはジカルボン酸成分の70モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。ポリアミド樹脂(A)のシクロヘキサンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分は、特に限定はなく、上述したものでもよい。好ましいジカルボン酸としては、アルコール含有ガソリンバリヤー性、耐衝撃性および強度が向上する点から、アジピン酸が挙げられる。より好ましくは、ポリアミド樹脂(A)のジカルボン酸成分は、シクロヘキサンジカルボン酸とアジピン酸とからなる。
アルコール含有ガソリンバリヤー性と耐衝撃性を向上させる点から、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度(96%硫酸法)は、好ましくは1.9以上、より好ましくは2.1以上であり、成形加工性を良好にする点から、前記相対粘度は好ましくは3.0以下、より好ましくは2.6以下である。
衝撃強度を向上させる点から、ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量、カルボキシル末端基量は各々25eq/ton以上であることが好ましい。後述する樹脂(B)とポリアミド樹脂(A)とが充分に反応し得るからである。耐衝撃性の観点からは、ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量、カルボキシル末端基量の上限は、好ましくは120eq/tonである。
ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量、カルボキシル末端基量は各々以下のようにして求められる。
アミノ末端基量(AEG);
ポリアミド試料0.6gをフェノール/エタノール(容積比4/1)50mlに溶解し、次いで、水/エタノール(容積比3/2)20mlを加え、指示薬としてメチルオレンジを1滴加える。得られた溶液に対して、エタノール性塩酸水溶液(0.1N塩酸100mlとエタノール50mlに蒸留水を加えて合計量500mlとしたもの)を滴定する。それとは別に、ポリアミド試料を含まない溶媒(ブランク溶媒)に対してもエタノール性塩酸水溶液を滴定する。以下の式からアミノ末端基量(AEG)を算出する。
AEG(eq/ton)=[[(A−B)×N×f](w×1000)]×106
尚、式中のAは試料溶液へのエタノール性塩酸水溶液の滴定量(ml)であり、Bはブランク溶媒への滴定量(ml)であり、Nはエタノール性塩酸水溶液の濃度(mol/l)であり、fはエタノール性塩酸水溶液のファクターであり、wは試料重量(g)である。
カルボキシル末端基量(CEG);
ポリアミド試料0.2gにベンジルアルコールを10ml加え、180℃で5分間加熱して試料を溶解させる。この溶液を15秒間水冷し、指示薬としてフェノールフタレインを1滴加える。得られた溶液に対して、エタノール性水酸化カリウム水溶液(0.5N水酸化カリウム水溶液80mlにエタノールを加えて合計量1000mlとしたもの)を滴定する。それとは別に、ポリアミド試料を含まない溶媒(ブランク溶媒)に対してもエタノール性水酸化カリウム水溶液を滴定する。以下の式からカルボキシル末端基量(CEG)を算出する。
CEG(eq/ton)=[[(A−B)×N×f](w×1000)]×106
尚、式中のAはエタノール性水酸化カリウム水溶液の滴定量(ml)であり、Bはブランク溶媒の滴定量(ml)であり、Nはエタノール性水酸化カリウム水溶液の濃度(mol/l)であり、fはエタノール性水酸化カリウム水溶液のファクターであり、wは試料重量(g)である。
<樹脂(B)(ドメイン)>
本発明で用いる樹脂(B)は、上記ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低くかつ前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂である。そのような樹脂であれば特に限定なく用いることができるが、ポリアミド樹脂(A)のガラス転移温度は、一般に50〜130℃であることから、以下に列挙する樹脂が樹脂(B)として好適である。カッコ内の数値は当該樹脂が通常示すガラス転移温度である。
ポリエチレン系樹脂(−50〜−40℃)、
ポリプロピレン系樹脂(−20〜−15℃)、
エチレン/αオレフィン共重合体系樹脂(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ブテン/スチレン共重合体など)(−65〜−20℃)、
エチレン系アイオノマー(−50〜−10℃)、
エチレン/アクリル系共重合体(−50〜−10℃)、
エチレン/酢酸ビニル系共重合体(−50〜−10℃)、
ポリイソプレン系樹脂(−20〜−10℃)、
ポリクロロプレン系樹脂(−50〜−20℃)、
アクリロニトリル/ブタジエン系重合体(−30〜−10℃)、
水添ブタジエン系重合体(−50〜−40℃)、
スチレン/ブタジエン系共重合体(−50〜−20℃)、
スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン系共重合体(−50〜−20℃)、
スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン系共重合体(−50〜−20℃)、
ポリウレタン系エラストマー(−50〜10℃)、
ポリエステル系エラストマー(−50〜10℃)、
ポリアミド系エラストマー(−50〜10℃)等。
本発明における好適な樹脂(B)には、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ここで、ポリオレフィン系樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重合体(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ブテン/スチレン共重合体など)、エチレン系アイオノマー、エチレン/エチルアクリレート共重合体などが挙げられ、中でも、エチレン、ブテンのそれぞれのユニットにブロック性を持たせることによって、樹脂(B)の融点を70℃以上にしたものがより好ましい。
樹脂(B)は、上記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基(後述)を有する。ポリアミド樹脂と反応し得る官能基とは、ポリアミド樹脂のアミド基、アミノ末端基、カルボキシ末端基の少なくとも一つと反応し得る官能基であり、例えば、カルボキシル基、酸無水物基(−COOCO−)、エポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基、イソシアネート基などが挙げられる。中でも、酸無水物基がポリアミド樹脂との反応性が高いので好ましい。したがって、特に好ましい樹脂(B)としては、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。酸無水物基としては、無水マレイン酸基、無水フタル酸基、無水イタコン酸基等が挙げられる。特に無水マレイン酸基が好ましい。
これらの官能基の含有量は、樹脂(B)全体に対して0.05〜8重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。ここで、「官能基の含有量」とは、樹脂(B)全体に対する、上記官能基を有する化合物の添加量を意味する。「化合物の添加量」とは、ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低い未変性の樹脂に、ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を付与するために添加する化合物(無水マレイン酸、無水フタル酸等)の添加量である。当該含有量が0.05重量%未満では、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)との相溶性が悪く、目的とする樹脂組成物の特性(耐衝撃性、ガソリンバリヤー性)を得難い傾向にある。一方、8重量%より多い場合は、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)とが架橋構造を作りゲル化し、成形性に悪影響を及ぼす。本発明で用いる樹脂組成物における樹脂(B)全体に対する上記官能基の含有量が上述の範囲内であれば、該官能基を有する樹脂(B)と該官能基を有しない樹脂(B)を併用(共重合、ブレンド)してもよい。この場合、本発明で用いる樹脂組成物における、「樹脂(B)の含有量」とは、上記官能基を有するものと有しないものとの合計量である。
本発明で用いる樹脂組成物における、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対する樹脂(B)の含有量は、11〜100重量部であり、好ましくは25〜75重量部、より好ましくは33〜65重量部である。ポリアミド樹脂(A)が多すぎるとガソリンバリヤー性は優れるが耐衝撃性が低下する。逆に、ポリアミド樹脂(A)が少なすぎるとガソリンバリヤー性が大幅に低下する。ポリアミド樹脂(A)が少なすぎると、樹脂(B)がマトリックス成分になってしまい、所望の構造をとることができないからである。
<マトリックス、ドメイン構造>
本発明の燃料系部品材料は、マトリックスとドメインをもつ構造を有しており、マトリックス成分はポリアミド樹脂(A)であり、ドメイン成分は樹脂(B)である。より詳しくは、上記構造は、ドメイン成分が、マトリックス成分中に微細に分散した構造であり、換言すれば、ポリアミド樹脂(A)を海に喩えることができ、その海に樹脂(B)があたかも島であるかのように存在する構造である。個々のドメインの大きさ(平均粒子径)は好ましくは3μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。ドメインの大きさ(平均粒子径)は小さい方が好ましい。実際には微細化の限界から、下限は、例えば、0.05μm以上である。ドメインの平均粒子径がこの範囲であると、耐衝撃性およびガソリンバリヤー性が共に優れた樹脂組成物が得られる。ここで、平均粒子径の測定には、試料の樹脂流れの方向と垂直な断面の凍結切片を作製し、RuO蒸気中で30分間染色し、さらにカーボン蒸着を施した後、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で加速電圧200KV、直接倍率5000倍で観察して、写真撮影をする。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することで、面積平均粒子径を求めることができる。当該装置では、ドメインの観察像が楕円形状である場合は、円に換算した直径を粒子径であるとみなす。本発明では、このようにして求められる面積平均粒子径を、ドメインの平均粒子径であるとみなす。
上述したマトリックスとドメインをもつ構造を達成する手段としては、使用するポリアミド樹脂(A)および樹脂(B)の溶融粘度を互いに近づける方法や樹脂(B)が有する官能基の種類と量を適宜調節(具体例は後述する実施例等)する方法、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)とを溶融混練する際に適切な混練条件のもとでリアクティブプロセシングを進行させる方法などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物では、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)が官能基によって化学結合しており、得られる構造は極めて安定しているので、成形する際に汎用の成形装置を用いても耐衝撃性とアルコール含有ガソリンバリヤー性とを有する燃料系部品を安定的に得ることができる。
本発明で用いる樹脂組成物は、通常のポリアミド樹脂組成物に用いられる耐候性改良剤(例;カーボンブラック、銅酸化物、ハロゲン化アルカリ金属)、熱安定剤(例;ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系)、光安定剤(例;ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒンダードアミン系)、離型剤(例;高級脂肪酸塩、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル)、流動性改良剤(例;低級脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸)、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤、顔料、染料等をさらに含有していてもよい。これらの添加方法は特に限定はない。上記のうち、高級脂肪酸塩を添加する場合には、高いアイゾット衝撃強度を得る点から、ポリアミド樹脂(A)と樹脂(B)とを溶融混練し、ペレット化した後の表面に添加するのが好ましい。高いアイゾット衝撃強度が得られる理由としては、樹脂(B)がポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有するとき、ペレットの表面において、前記官能基と高級脂肪酸塩とが反応して該官能基が失活するが故に、樹脂(B)の官能基とポリアミド樹脂(A)との反応が阻害されることが挙げられる。
本発明で用いる樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、一般の製造装置で製造することができる。例えば、上述のポリアミド樹脂(A)および樹脂(B)、さらに必要に応じて他の添加剤等を配合した混合物を溶融・混練する方法を挙げることができる。溶融・混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダー等が例示されるが、上記マトリックスとドメインをもつ構造を得易い点から、好ましくは二軸押出機である。二軸押出機のうちでも樹脂(B)の微分散化の点から、L/D(L;コンプレッション部の長さ、D;スクリュー径)が大きく(好ましくは20以上)、しかも、練りを良くするスクリューディメンジョン構成を有すること、例えばニーディングディスクを多く用いることが好ましい。
別の観点からは、本発明は、ASTM D−638に準じて測定される−40℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度が200J/m以上であり、また、JIS−Z0208に準ずるカップ法重量変化量から算出されるアルコール含有ガソリン溶液の65℃で250時間後の透過度が30g・mm/m・day以下(好ましくは15g・mm/m・day以下、より好ましくは10g・mm/m・day以下)である、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂系の燃料系部品用材料に関する。ここで用いる、アルコール含有ガソリン溶液とは、23℃雰囲気で調合した、トルエン45vol%、イソオクタン45vol%およびエタノール10vol%からなる溶液である。
また、カップ法重量変化量とは、図1に示すように、測定対象のサンプル1をサンプル押さえ治具2(例えば、焼結金属などの多孔質板)、金属シール3を用いて、上記アルコール含有ガソリン溶液5(封入量15g)が入ったアルミ製カップ4(寸法;内径40mm)に固定して、図2に示すような状態で、65℃の雰囲気に250時間静置した後の、初期に対する重量変化量をいう。この重量変化量とサンプル厚み、液の接触面積、静置時間から上記透過度を算出する。
本発明の燃料系部品用材料は、好ましくは、上記透過度が15g・mm/m・day以下であり、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸を必須成分とする。このような燃料系部品用材料をアルコール含有ガソリンを燃料として用いる自動車の燃料系部品に採用することによって、燃料が大気中に漏れる量を極めて少なくすることができる。
燃料自体が可燃性、爆発性の危険物であり、例えば燃料容器が衝撃で亀裂が入った場合、極めて危険であるので、燃料系部品用材料には高い耐衝撃強度が要求される。特に寒冷時には樹脂の耐衝撃性が低下するため、低温での耐衝撃性が要求される。一方、樹脂製燃料容器においては、燃料が材料を透過して大気中へ散逸するという問題があり、経済性とともに大気汚染の問題もある。従って、燃料の透過性を低減する必要がある。従って、上述の衝撃強度と透過度とを同時に満たす必要がある。
本発明の燃料系部品用材料は、メタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂系の材料である。「ポリアミド樹脂系の材料」とは、ポリアミド樹脂(A)を含む材料である。本発明の燃料系部品用材料は、アルコール含有ガソリンバリヤー性を良好にするための材料である。前記ポリアミド樹脂(A)は特に優れたアルコール含有ガソリンバリヤー性を有する。しかし、前記ポリアミド樹脂(A)は低温での衝撃強度は弱い。低温での衝撃強度が向上し得る一態様としては、例えば、前記ポリアミド樹脂(A)および前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有するポリオレフィン系樹脂を含有する材料であって、前記ポリアミド樹脂(A)がマトリックス成分であり、前記ポリオレフィン系樹脂が微細なドメイン成分、例えば平均粒子径が3μm以下であるドメイン成分である構造を有する樹脂組成物からなる燃料系部品用材料が挙げられる。
また、上記ドメイン成分の樹脂は、ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有していれば、ポリオレフィン系樹脂の代わりに他の樹脂(但し、ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低い樹脂)であってもよい。ドメイン成分が、ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低く、ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂であれば、上述したノッチ付きアイゾット衝撃強度および透過度を呈するのは、以下の理由による。すなわち、上記のポリオレフィン系樹脂と同様に、前記ポリアミド樹脂(A)がマトリックス成分であり、前記ポリオレフィン系樹脂の代わりの他のガラス転移温度が低い柔軟な樹脂が微細なドメイン成分、例えば平均粒子径が3μm以下であるドメイン成分である構造を有することによって耐衝撃性とガソリンバリア性を両立することができる。
上記のように本発明の燃料系部品用材料は、低温での耐衝撃性が優れていて、高温でのアルコール含有ガソリンバリヤー性もきわめて優れていることが示唆される。よって、当該材料は燃料容器等の燃料系部品用材料として極めて有用である。さらに、上述したように本発明の樹脂組成物のマトリックスとドメインをもつ構造は極めて安定しているので、当該材料を用いて燃料系部品を製造するに際して、汎用の成形装置で成形しても上記構造は変化し難く、優れた強度特性やガソリンバリヤー性が維持されることが期待されるので、成型加工コストが安価になるという利点もある。
【実施例】
以下、各実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
(A)ポリアミド樹脂
ポリアミド樹脂としては、以下の(1)〜(6)を調製した。但し、(6)はメタキシリレンジアミン成分をもたない比較例として使用した。
(1)メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリメタキシリレンアジパミド(以下、MXD−6ともいう);
相対粘度(96%硫酸法)は2.1であり、アミノ末端基量は80eq/tonであり、ガラス転移温度は88℃である。
(2)メタキシリレンジアミン100モル、アジピン酸85モル、テレフタル酸15モルの割合で、これら3種類の化合物を縮重合して得られる共重合体(以下、MXD−6Tともいう);
相対粘度は2.1であり、アミノ末端基量は82eq/tonであり、融点は225℃であり、ガラス転移温度は107℃である。
(3)メタキシリレンジアミンとピメリン酸とを等モルの割合で縮重合して得られるポリメタキシリレンピメラミド(以下、MXD−7ともいう);
相対粘度は2.2であり、アミノ末端量は71eq/tonであり、ガラス転移温度は50℃である。
(4A)メタキシリレンジアミン100モル、アジピン酸90モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10モルの割合で、これら3種類の化合物を縮重合して得られる共重合体(以下、MXD−6CHDA−10Aともいう);
相対粘度は2.1であり、アミノ末端基量は78eq/tonであり、融点は245℃であり、ガラス転移温度は97℃である。
(4B)メタキシリレンジアミン100モル、アジピン酸90モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10モルの割合で、これら3種類の化合物を縮重合して得られる共重合体(以下、MXD−6CHDA−10Bともいう);
相対粘度は2.5であり、アミノ末端基量は54eq/tonであり、融点は245℃であり、ガラス転移温度は97℃である。
(5A)メタキシリレンジアミン100モル、アジピン酸80モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸20モルの割合で、これら3種類の化合物を縮重合して得られる共重合体(以下、MXD−6CHDA−20Aともいう);
相対粘度は2.1であり、アミノ末端基量は80eq/tonであり、融点は258℃であり、ガラス転移温度は108℃である。
(5B)メタキシリレンジアミン100モル、アジピン酸80モル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸20モルの割合で、これら3種類の化合物を縮重合して得られる共重合体(以下、MXD−6CHDA−20Bともいう);
相対粘度は2.5であり、アミノ末端基量は52eq/tonであり、融点は258℃であり、ガラス転移温度は108℃である。
(6)ナイロン66樹脂(東洋紡績(株)製ナイロンT−662);
相対粘度は2.2であり、アミノ末端量は82eq/tonであり、ガラス転移温度は97℃である。
なお、ポリアミド樹脂を重合する際の温度、時間をコントロールすることによってガラス転移温度を制御した。また、末端基量の調整は、1官能アミンであるシクロヘキシルアミン、または1官能カルボン酸である酢酸を重合原料に微量添加することで調整した。
(B)ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低い樹脂
樹脂(B)としては、以下の(i)〜(iv)を用いた。但し、(iv)はポリアミド樹脂と反応する官能基を持っていない比較例として使用した。
(i)直鎖状中密度ポリエチレン樹脂(L−MDPE、三井化学(株)製ネオゼックス(登録商標)2015M)100重量部に対し、無水マレイン酸(ナカライテスク(株)製試薬特級GR)0.8重量部、有機過酸化物(日本油脂(株)製、パークミルDF)0.1重量部を添加し、二軸押出機でシリンダー温度210℃にて混練して得られた変性L−MDPEを用いた。この樹脂のガラス転移温度は−45℃であり、融点(DSC法)は122℃である。
(ii)無水マレイン酸0.4重量%で変性したエチレン/ブテン共重合体(MIは1.8、比重は0.87)を用いた。この樹脂のガラス転移温度は−59℃であり、融点(DSC法)は55℃である。
(iii)無水マレイン酸1.4重量%で変性したエチレン/ブテン/スチレン共重合体(MIは2.4、比重は0.85)を用いた。この共重合体のエチレン/ブテン/スチレンのモル比は、70/28/2である。この樹脂のガラス転移温度は−63℃であり、融点(DSC法)は95℃である。
(iv)未変性のエチレン/ブテン共重合体(MIは0.5、比重は0.86)を用いた。この樹脂は、ポリアミド樹脂と反応する官能基を持たない。この樹脂のガラス転移温度は−60℃であり、融点(DSC法)は54℃である。
なお、各樹脂のガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)は、以下の条件でDSC測定を行い、JIS K 7121に準拠して求めた。
(DSC測定条件)
装置名:MacScience社製DSC3100
パン :アルミパン(非気密型)
試料重量 :10mg
昇温開始温度:−150℃
昇温速度 :10℃/分
雰囲気 :アルゴン
これらの樹脂を表1〜4記載の配合に計量して、二軸押出機でシリンダー温度270℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練を行った。混練によって得られた組成物(材料)を射出成形機でシリンダー温度280℃、金型温度40℃にて各種試料を成形して以下の評価に供した。
(引張り特性の測定)
引張特性はASTM D−638に準じて測定した。測定雰囲気温度は、23℃とした。
(ノッチ付きアイゾット衝撃強度の測定)
ノッチ付きアイゾット衝撃強度は厚み4mmの試料を用いて、ASTM D−638に準じて測定した。測定雰囲気温度は、−40℃とした。
(アルコール含有ガソリン溶液の透過度の測定)
アルコール含有ガソリン溶液の透過度はJIS−Z0208に準ずるカップ法重量変化量から算出した。透過度を求める具体的な手順および使用するアルコール含有ガソリン溶液は上述のとおりである。測定対象の成形品は100mm×100mm×厚さ1mmの射出成形品を、厚みが0.5mmになるまで片面切削して得た円板状の成形品である。透過度が低いほどアルコール含有ガソリンバリヤー性に優れていることを意味する。
(モルホロジー構造の観察)
各樹脂組成物について、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡を使用したTEM観察を行った。観察用試料は、上記引張り特性に供した試料と同形状の試料の中央部から試料を切り出し、樹脂流れ方向に対し垂直な面の凍結切片を得て、該切片をRuO蒸気中で30分間染色して、さらにカーボン蒸着を施して作製した。TEM観察は日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で200kVの加速電圧、直接倍率5000倍にて行い写真撮影を行った。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することで、約100個のドメインの面積平均粒子径を求めた。当該装置では、ドメインの観察像が楕円形状である場合は、円に換算した直径を粒子径であるとみなす。
各試料の組成と評価結果を表1〜5に示す。
表中、組成の欄の数値は重量部を示す。
表中、「ノッチ付きアイゾット衝撃強度」の項目における「NB」とは、ノンブレイク、すなわち折れないことであり衝撃強度が大きいことを示す。
表中、「モルホロジー構造」の項目における「A」とは、マトリックス成分がポリアミド樹脂でドメイン成分がポリオレフィン系樹脂である構造を示し、「B」とは、マトリックス成分がポリオレフィン系樹脂でドメイン成分がポリアミド樹脂である構造を示し、「均一」とは、両樹脂が均一化していてマトリックスとドメインが認識できないことを示す。





上記結果から明らかなように、本発明の燃料系部品用材料からなや成形品の引張強度、アイゾット衝撃強度等の諸特性はきわめて優れている。また、65℃でのアルコール含有ガソリンのバリヤー性もきわめて良好である。実施例1〜13の材料は、ポリアミド樹脂がマトリックス成分であり、その中に、ポリオレフィン樹脂が0.5〜1.5μmの平均粒径を有するドメインとして微分散している。
なお、比較例6において、ドメインの平均粒子径が非常に大きくなった原因は、ポリオレフィン系樹脂が、ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有さず、両樹脂が互いに反応しなかったためであると推測される。
【産業上の利用可能性】
本発明の燃料系部品用材料は、衝撃強度、剛性、伸度が優れているとともに、65℃という高温でのアルコール含有ガソリンの透過度が低くガソリンバリヤー性が優れている。また、樹脂のブレンドによる単一の組成物からなるため、多層構造にする必要がなく、汎用の成形機で成形ができるので加工コストの低減が期待されるとともに広範な形状設計に対応することができる。このような材料は、燃料タンク等の燃料系部品用材料として利用することができる。
本出願は、日本で出願された特願2002−358515および特願2003−190330を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含されるものである。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂(A)および、前記ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して11〜100重量部の、前記ポリアミド樹脂(A)よりもガラス転移温度が低くかつ前記ポリアミド樹脂(A)と反応し得る官能基を有する樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなり、上記ポリアミド樹脂(A)がマトリックス成分であり、上記樹脂(B)がドメイン成分である構造を有する、燃料系部品用材料。
【請求項2】
上記樹脂(B)からなるドメインの平均粒子径が3μm以下である、請求の範囲第1項記載の燃料系部品材料。
【請求項3】
上記ポリアミド樹脂(A)が、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、ポリメタキシリレンピメラミド樹脂、メタキシリレンジアミンとテレフタル酸とアジピン酸とからなるポリアミド樹脂、それらの共重合体およびそれらのブレンドからなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求の範囲第1項または第2項記載の燃料系部品用材料。
【請求項4】
上記ポリアミド樹脂(A)が、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸を必須成分とすることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の燃料系部品用材料。
【請求項5】
上記樹脂(B)がポリオレフィン系樹脂である、請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の燃料系部品用材料。
【請求項6】
上記ポリオレフィン系樹脂が、酸無水物基を有するポリオレフィン系樹脂である請求の範囲第5項記載の燃料系部品用材料。
【請求項7】
−40℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度が200J/m以上であり、トルエン45vol%、イソオクタン45vol%およびエタノール10vol%からなる溶液の65℃で250時間後のカップ法重量変化量から算出される透過度が30g・mm/m・day以下である、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを必須成分とするポリアミド樹脂系の燃料系部品用材料。
【請求項8】
上記透過度が15g・mm/m・day以下であり、ジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸を必須成分とする請求の範囲第7項記載のポリアミド樹脂系の燃料系部品用材料。
【請求項9】
請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の燃料系部品用材料を含む燃料系部品。
【請求項10】
燃料系部品が燃料容器であって、当該燃料容器が上記燃料系部品用材料からなる請求の範囲第9項記載の部品。

【国際公開番号】WO2004/052964
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502357(P2005−502357)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015642
【国際出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】