説明

燃料蒸気吸着フィルタ

【課題】 カバー層によってバックファイヤの炎から吸着剤の保持層を確実に保護できるようにするとともに、そのカバー層の通気抵抗の上昇を抑制できるようにする。
【解決手段】 本発明に係る燃料蒸気吸着フィルタは、エンジンの吸気通路を横断するように取付けられており、そのエンジンの停止時に吸気通路内の燃料蒸気を吸着する燃料蒸気吸着フィルタであって、燃料蒸気を吸着可能に構成された吸着剤21と、吸着剤21を包み込んで保持する熱可塑性樹脂繊維からなる不織布23fを備える保持層23と、少なくとも前記吸気通路の下流側に配置される保持層23の一方の面を覆う不織布であり、熱可塑性樹脂繊維により形成されたカバー層24とを有しており、カバー層24を構成する不織布24fの繊維径は、100μmより大きく、330μmより小さい値に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気通路を横断するように取付けられており、そのエンジンの停止時に前記吸気通路内の燃料蒸気を吸着する燃料蒸気吸着フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する従来の燃料蒸気吸着フィルタが特許文献1に記載されている。
この燃料蒸気吸着フィルタ90は、図7に示すように、粒状の活性炭91を不織布の保持層94によって挟んで保持する構成であり、それらの活性炭91が接着剤92によって保持層94に接着されている。さらに、保持層94は、耐熱性のネット96によって覆われており、エンジンがバックファイヤを起こしたときに、炎が燃料蒸気吸着フィルタの保持層94に直接当たり難いように構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−276486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、耐熱性のネット96では、網目が細かくないと、そのネット96の網目を通してバックファイヤの炎が保持層94の不織布に当たる場合があり、その保持層94の保護が十分に行えない。一方、ネット96の網目を細かくしすぎると、燃料蒸気吸着フィルタの通気抵抗が増加して、エンジンに必要な吸気流量を確保できない場合がある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、バックファイヤに対する吸着剤保持層の保護を確実に行うとともに、通気抵抗の上昇を抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、エンジンの吸気通路を横断するように取付けられており、そのエンジンの停止時に前記吸気通路内の燃料蒸気を吸着する燃料蒸気吸着フィルタであって、燃料蒸気を吸着可能に構成された吸着剤と、前記吸着剤を包み込んで保持する熱可塑性樹脂繊維からなる不織布を備える保持層と、少なくとも前記吸気通路の下流側に配置される前記保持層の一方の面を覆う不織布であり、熱可塑性樹脂繊維により形成されたカバー層とを有しており、前記カバー層を構成する不織布の繊維径は、100μmより大きく、330μmより小さい値に設定されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によると、少なくとも保持層の一方の面(吸気通路の下流側(エンジン側))を覆うカバー層は、不織布であるため従来の耐熱性のネットと比較して繊維が入り組んでいる。このため、目付け(単位面積当たりの重量)が等しい場合には、カバー層の方が前記ネットよりも繊維の積層本数を多くできる。また、通気抵抗が等しい場合には、カバー層の方が前記ネットよりも繊維が入り組んでいる分だけ外観上目を細かくできる。さらに、カバー層を構成する不織布の繊維径は100μmより大きいため、繊維の熱容量が大きく、バックファイヤの炎が瞬間的に加わった場合でも溶損することがない。
即ち、通気抵抗が等しい状態では、不織布からなるカバー層の方が従来のネットよりも繊維の積層本数を多く、さらに外観上目を細かくできるため、バックファイヤに対する吸着剤の保持層の保護性能が向上する。
さらに、カバー層を構成する不織布の繊維径は330μmより小さく設定されているため、カバー層の目付けが大きくなりすぎることがない。
【0007】
請求項2の発明によると、カバー層を構成する不織布の目付けは、70g/m2から800g/m2の間に設定されていることを特徴とする。
このため、通気抵抗を許容値以下に抑えつつ、活性炭の脱落を防止できるようになる。ここで、「目付け」とは、不織布の単位面積あたりの重量をいう。
請求項3の発明によると、カバー層を構成する不織布の繊維は、樹脂噴射口から噴射された溶融樹脂に対して熱風を吹付けることにより紡糸されたものであり、前記紡糸された繊維がほぼ連続した状態で保持層の不織布上に積層されることによって、前記カバー層の不織布が形成されていることを特徴とする。
【0008】
即ち、紡糸された繊維を直接的に保持層の不織布上に積層することによってカバー層の不織布を形成する方法のため、そのカバー層の不織布を成形と同時に保持層の不織布に接着できるようになる。このため、保持層に対してカバー層がバタついて、吸着剤を傷つけるような不具合が生じ難い。
また、紡糸された繊維でカバー層の不織布を形成するため、そのカバー層の不織布を構成する繊維の長さ寸法が大きくなる。これによって、前記繊維の熱容量が大きくなるとともに、不織布の毛羽立ちが少なくなり、その繊維がバックファイヤの炎によって溶損し難くなる。
請求項4の発明によると、保持層を構成する不織布の繊維径は、20μmより大きく、60μmより小さい値に設定されている。このため、通気抵抗を上昇させることなく繊維本数を多くすることができる。さらに、繊維が吸着剤に絡み易くなり、その繊維で吸着剤を包み込むことで吸着剤の保持性能が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、カバー層によってバックファイヤに対する吸着剤の保持層の保護を十分に行うことができるとともに、通気抵抗の上昇を抑えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1〜図6に基づいて、本発明の実施形態1に係る燃料蒸気吸着フィルタについて説明する。本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタは、エンジンのエアクリーナ内に取付けられて、エンジンの停止時に吸気通路内の燃料蒸気を吸着する働きをする。ここで、図1は本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタを備えるエアクリーナの全体縦断面図、図2は本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタの模式縦断面図である。図3は燃料蒸気吸着フィルタの保持層の製造方法を表す模式図、図4、図5は燃料蒸気吸着フィルタの製造方法を表す模式図である。また、図6はカバー層の繊維径と目付けとの関係を表すグラフである。
【0011】
先ず、図1に基づいて、燃料蒸気吸着フィルタ10を備えるエアクリーナ1の説明を簡単に行う。
エアクリーナ1のハウジング2は、合成樹脂による成形品であり、インレットポート3eを有するロアハウジング3と、アウトレットポート4dを有するアッパハウジング4とから構成されている。ロアハウジング3の上面とアッパハウジング4の下面とはそれぞれ開放されており、ロアハウジング3の開放縁3fとアッパハウジング4の開放縁4fとの間にエアクリーナエレメント5の外周枠5eが挟み込まれている。これによって、エアクリーナエレメント5がハウジング2内を横断するように固定され、このエアクリーナエレメント5によってエンジンに供給される空気が濾過される。
【0012】
エアクリーナエレメント5の下流側(図1において上側)には、同じくハウジング2内を横断するように、燃料蒸気吸着フィルタ10が装着されている。燃料蒸気吸着フィルタ10は、エンジンの運転時に吸入空気が通過可能なように構成されており、エンジンの停止時に吸気通路内の燃料蒸気を吸着してその燃料蒸気が外部に漏れ出るのを防止する働きをする。
即ち、ハウジング2が本発明の吸気通路に相当する。
燃料蒸気吸着フィルタ10は、図2に示すように、燃料蒸気の吸着剤である粒状の活性炭21を保持する保持層23と、その保持層23を覆うカバー層24とから構成されている。
【0013】
保持層23は、活性炭21を熱可塑性樹脂繊維からなる不織布23fによって包み込んで保持する層であり、例えば、図3(A)に示す保持層用の不織布製造装置40により形成される。
保持層用の不織布製造装置40は、ほぼ水平方向に延びるコンベヤ41を備えており、そのコンベヤ41の上方に紡糸ノズル44が下向きに設置されている。紡糸ノズル44は、例えばメルトブローン法を利用した紡糸ノズルであり、中央の樹脂噴射口44bから噴射された溶融樹脂に対して熱風噴出口44aから熱風を吹付けて樹脂繊維Fを紡出する。また、紡糸ノズル44の上流側(図中左側)には、紡糸ノズル44から紡出された樹脂繊維Fに対して粒状の活性炭21を自然落下させて接触させる活性炭供給装置50が設置されている。
【0014】
紡糸ノズル44が半溶融状態の樹脂繊維Fを紡出している状態で、活性炭供給装置50が活性炭21を落下させると、その活性炭21が樹脂繊維Fの移動空間内でそれらの樹脂繊維Fと接触し、活性炭21が樹脂繊維Fに包み込まれた状態でコンベヤ41上に積層される。したがって、コンベヤ41を定速運転させることにより、活性炭21が不織布23fによって満遍なく包み込まれた保持層23(図3(B)参照)をほぼ一定厚みで形成することができる。
ここで、保持層23の不織布23fの材料には、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が使用され、紡糸ノズル44から紡出された樹脂繊維Fの繊維径は20μmより大きく、60μmより小さい値に設定されている。このように、樹脂繊維Fの繊維径が20μm〜60μmの間で設定されているため、通気抵抗を上昇させることなく繊維本数を多くすることができ、さらに樹脂繊維Fで活性炭21を包み込むことで、活性炭21の保持性能が向上する。
【0015】
前記保持層23は、図2に示すように、同じく熱可塑性樹脂繊維の不織布24fからなるカバー層24によって表裏から挟まれている。カバー層24は、エンジンのバックファイヤから保持層23を保護するための層であり、バックファイヤの炎で溶損しないように不織布24fの繊維径が設定されている。
カバー層24は、図4に示すように、カバー層用の不織布製造装置60により形成される。
カバー層用の不織布製造装置60はほぼ水平方向に延びるコンベヤ61を備えており、そのコンベヤ61の上方に二台の紡糸ノズル64が一定の間隔をおいて設置されている。各々の紡糸ノズル64は、保持層用の不織布製造装置40の紡糸ノズル44と等しい構造のノズルであり、中央の樹脂噴射口64bから噴射された溶融樹脂に対して熱風噴出口64aから熱風を吹付けて樹脂繊維Fを紡出する。
【0016】
コンベヤ61が定速運転している状態で、上流側の紡糸ノズル64が半溶融状態の樹脂繊維Fを紡出すると、その樹脂繊維Fがコンベヤ61上に積層されて片側(下側)のカバー層24を構成する不織布24fがほぼ一定厚みで形成される。次に、そのカバー層24の不織布24f上に成形後の保持層23がセットされ、下側のカバー層24と保持層23とが下流側の紡糸ノズル64の下を定速で移動する。これによって、下流側の紡糸ノズル64から紡出された樹脂繊維Fがほぼ一定厚みで保持層23の不織布23f上に積層されて、上側のカバー層24が形成される。
【0017】
また、図5に示すように、上流側の紡糸ノズル64と下流側の紡糸ノズル64との間に、保持層用の紡糸ノズル44及び活性炭供給装置50を配置することにより、下側のカバー層24上に保持層23が積層され、その保持層23上に上側のカバー層24が積層される燃料蒸気吸着フィルタ10を連続して形成することが可能になる。
ここで、カバー層24の不織布24fの材料には、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリプロピレン(PP)等が使用される。なお、樹脂材料に難燃剤(リン系及びハロゲン系等)を混入して耐熱性を向上させることも可能である。
【0018】
図6は、カバー層24の不織布24fを構成する樹脂繊維Fの径寸法及び目付け(単位面積あたりの重量)を決定する際に使用されるグラフである。なお、図6に示す目付けは保持層23の片側を覆うカバー層24の目付けを表している。
図6において縦線Rは、バックファイヤによる樹脂繊維Fの溶損限界線を表している。即ち、溶損限界線Rは樹脂繊維Fの径寸法(繊維径)が100μmのところにある。したがって、繊維径が100μmよりも大きければバックファイヤの炎でカバー層24の不織布24fが溶損することがない。
図6において曲線Tは、カバー層24の不織布24fにおける活性炭21の保持限界線を表している。即ち、その保持限界線Tよりも目付けが大きければカバー層24の不織布24fによって活性炭21を保持可能である。例えば、繊維径が110μmの場合、目付けが90g/m2より大きければカバー層24の不織布24fによって活性炭21を保持することが可能である。同様に、繊維径が150μmの場合には、目付けが180g/m2より大きければカバー層24の不織布24fによって活性炭21を保持することが可能である。
【0019】
図6において傾斜直線Sは、カバー層24の不織布24fにおける通気抵抗限界線を表している。即ち、その通気抵抗限界線Sよりも目付けが小さければカバー層24の不織布24fにおける通気抵抗を許容値以下に抑えることができる。例えば、繊維径が110μmの場合、目付けを270g/m2より小さくすれば、通気抵抗を許容値以下に抑えることができる。同様に、繊維径が150μmの場合には、目付けを380g/m2より小さくすれば、通気抵抗を許容値以下に抑えることができる。
このため、カバー層24の不織布24fの繊維径と、その繊維径に対応する目付けの値は、図6において、溶損限界線R、保持限界線T及び通気抵抗限界線Sによって囲まれる範囲内で設定される。これによって、バックファイヤによって溶損せず、通気抵抗が許容値以下に抑えられ、かつ保持層23から脱落した活性炭21を保持可能な、カバー層24を形成することが可能になる。
【0020】
本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタ10では、カバー層24の不織布24fの繊維径は110μm〜150μmの間で設定されており、目付けは90 g/m2〜320g/m2の間で設定されている。
ここで、バックファイヤの炎が当たらない側に配置されるカバー層24、即ち、保持層23のエアクリーナエレメント5側の面を覆うカバー層24は、バックファイヤによる溶損を考慮しなくても良いため、繊維径を100μmよりも小さくすることが可能である。したがって、この場合におけるカバー層24の不織布24fの繊維径と、その繊維径に対応する目付けの値は、図6において、保持限界線Tと通気抵抗限界線Sとによって囲まれる範囲内で設定すればよい。
なお、バックファイヤの炎が当たらない側に配置されるカバー層24を省略することも可能である。
また、保持層23の不織布23fの繊維径(20μm〜60μm)に対応する目付けの値を図6のグラフに基づいて設定することも可能である。
【0021】
このように、本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタ10では、少なくとも保持層23の一方の面(吸気通路の下流側(エンジン側))を覆うカバー層24は、不織布24fであるため従来の耐熱性のネットと比較して繊維が入り組んでいる。このため、目付けの値(単位面積当たりの重量)が等しい場合には、カバー層24の方が従来のネットよりも繊維の積層本数が多くなる。また、通気抵抗が等しい場合には、カバー層24の方がネットよりも繊維が入り組んでいる分だけ外観上目を細かくできる。さらに、カバー層24を構成する不織布24fの繊維径は110μm〜150μmで、熱容量が大きく、バックファイヤの炎が瞬間的に加わった場合に溶損することがない。
即ち、通気抵抗が等しい状態では、不織布24fからなるカバー層24の方が従来のネットよりも繊維の積層本数を多く、さらに外観上目を細かくできるため、バックファイヤに対する活性炭21の保持層23の保護性能が向上する。
さらに、カバー層24を構成する不織布24fの繊維径は330μmより小さいため、低い通気抵抗と活性炭21の保持性能の両立が可能となり、カバー層24の目付けが大きくなりすぎることがない。
【0022】
また、紡糸された樹脂繊維Fを直接的に保持層23の不織布23f上に積層することによってカバー層24の不織布24fを形成する方法のため、そのカバー層24の不織布24fを成形と同時に保持層23の不織布23fに接着できるようになる。このため、保持層23に対してカバー層24がバタついて、活性炭21を傷つけるような不具合が生じない。
また、紡糸された樹脂繊維Fでカバー層24の不織布24fを形成するため、そのカバー層24を構成する繊維の長さ寸法が大きくなる。これによって、カバー層24を構成する繊維の熱容量が大きくなるとともに、不織布24fの毛羽立ちが少なくなり、その繊維がバックファイヤの炎によって溶損し難くなる。
【0023】
また、保持層23を構成する不織布23fの繊維径は、20μmより大きく、60μmより小さい値に設定されているため、細く、通気抵抗を抑えつつ繊維本数を多くでき、その樹脂繊維Fで活性炭21を包み込むことで、活性炭21の保持性能が向上する。
ここで、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、実施形態1では吸着剤として粒状の活性炭21を使用する例を示したが、活性炭21以外にも燃料蒸気を吸着可能な部材であれば使用可能である。さらに、粒状の活性炭21の代わりに活性炭繊維を使用することも可能である。
【0024】
以下、実施形態に記載された発明のうちで特許請求の範囲には記載されていない発明を列記する。
(1) 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の燃料蒸気吸着フィルタであって、
カバー層を構成する不織布の繊維径は、110μm〜150μmの間に設定されており、その不織布の目付けの値は180 g/m2〜270 g/m2の間に設定されていることを特徴とする燃料蒸気吸着フィルタ。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタを備えるエアクリーナの全体縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る燃料蒸気吸着フィルタの模式縦断面図である。
【図3】燃料蒸気吸着フィルタの保持層の製造方法を表す模式図(A図)及び保持層の模式断面図(B図)である。
【図4】燃料蒸気吸着フィルタの製造方法を表す模式図である。
【図5】燃料蒸気吸着フィルタの製造方法を表す模式図である。
【図6】カバー層の繊維径と目付けの値とを決定するためのグラフである。
【図7】従来の燃料蒸気吸着フィルタの模式縦断面図である。
【符号の説明】
【0026】
2 ハウジング(吸気通路)
21 活性炭(吸着剤)
23 保持層
23f 不織布
24 カバー層
24f 不織布
44 紡糸ノズル
44b 樹脂噴射口
64 紡糸ノズル
64b 樹脂噴射口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気通路を横断するように取付けられており、そのエンジンの停止時に前記吸気通路内の燃料蒸気を吸着する燃料蒸気吸着フィルタであって、
燃料蒸気を吸着可能に構成された吸着剤と、
前記吸着剤を包み込んで保持する熱可塑性樹脂繊維からなる不織布を備える保持層と、
少なくとも前記吸気通路の下流側に配置される前記保持層の一方の面を覆う不織布であり、熱可塑性樹脂繊維により形成されたカバー層とを有しており、
前記カバー層を構成する不織布の繊維径は、100μmより大きく、330μmより小さい値に設定されていることを特徴とする燃料蒸気吸着フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載された燃料蒸気吸着フィルタであって、
カバー層を構成する不織布の目付けは、70g/m2から800g/m2の間に設定されていることを特徴とする燃料蒸気吸着フィルタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された燃料蒸気吸着フィルタであって、
カバー層を構成する不織布の繊維は、樹脂噴射口から噴射された溶融樹脂に対して熱風を吹付けることにより紡糸されたものであり、
前記紡糸された繊維がほぼ連続した状態で保持層の不織布上に積層されることによって、前記カバー層の不織布が形成されていることを特徴とする燃料蒸気吸着フィルタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載された燃料蒸気吸着フィルタであって、
保持層を構成する不織布の繊維径は、20μmより大きく、60μmより小さい値に設定されていることを特徴とする燃料蒸気吸着フィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−9659(P2006−9659A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186687(P2004−186687)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】