説明

燃料電池の製造方法

【課題】厚さ方向において、電解質の分布状態が意図する分布状態である電極を備えた燃料電池を提供すること。
【解決手段】燃料電池の製造方法であって、電解質を含む第1電極と、第2電極との間に電解質が配置されて成る膜電極接合体を用意する第1工程と、第1工程で製造した膜電極接合体において、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する第2工程と、各周波数における交流インピーダンスに基づいて、第1電極における、厚さ方向の電解質の分布を推定する第3工程と、電解質の分布推定結果が意図した分布ではなかった場合において、膜電極接合体の第1電極に対して、電解質を溶解するための溶剤を添加し、電解質を溶解させると共に、電解質の分布推定結果に基づき乾燥条件を調整して乾燥させて、第1電極における厚さ方向の電解質の分布を矯正する第4工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電極に電解質を含んだ燃料電池が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−071882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、厚さ方向において、電解質の分布状態が製造者の意図する分布状態である電極を備えた燃料電池を製造したいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、厚さ方向において、電解質の分布状態が意図する分布状態である電極を備えた燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
燃料電池の製造方法であって、電解質を含む第1電極と、第2電極との間に電解質が配置されて成る膜電極接合体を用意する第1工程と、前記第1工程で製造した前記膜電極接合体において、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する第2工程と、各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極における、厚さ方向の前記電解質の分布を推定する第3工程と、前記電解質の分布推定結果が意図した分布ではなかった場合において、前記膜電極接合体の前記第1電極に対して、前記電解質を溶解するための溶剤を添加し、前記電解質を溶解させると共に、前記電解質の分布推定結果に基づき乾燥条件を調整して乾燥させて、前記第1電極における前記厚さ方向の前記電解質の分布を矯正する第4工程と、を備えることを要旨とする。
【0008】
上記構成の製造方法によれば、厚さ方向における電解質の分布状態が意図する分布状態である電極を製造することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の製造方法において、前記第1工程は、前記膜電極接合体を複数製造する工程を含み、前記第2工程は、前記第1工程で製造した前記複数の膜電極接合体のうち、所定の膜電極接合体において、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する工程を含み、前記第4工程は、前記電解質の分布推定結果が意図した分布ではなかった場合において、前記複数の膜電極接合体の各第1電極に対して、前記電解質を溶解するための同一の溶剤をそれぞれ添加し、前記電解質を溶解させた後、同一の乾燥条件でそれぞれ乾燥させて、各第1電極の厚さ方向における前記電解質の分布を矯正する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【0010】
このようにすれば、複数の膜電極接合体において、厚さ方向における電解質の分布状態が意図する分布状態である第1電極を製造することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の製造方法において、前記乾燥条件は、前記乾燥面上の温度、前記乾燥面上の風速、前記乾燥面上の相対湿度のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする製造方法。
【0012】
このようにすれば、第4工程において、第1電極の厚さ方向における電解質の分布を意図する分布状態となるように、コントロールすることができる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の製造方法において、前記第3工程は、各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、複素インピーダンスプロットを検出する工程と、前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記第1電極の厚さ方向の前記電解質の分布を推定する工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【0014】
このようにすれば、第1電極の厚さ方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
【0015】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の製造方法において、前記第2工程は、前記膜電極接合体の前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、各周波数における前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【0016】
このようにすれば、第1電極の厚さ方向における電解質の分布状態を正確に推定することができる。
【0017】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の製造方法において、前記第1電極は、カソードであることを特徴とする製造方法。
【0018】
このようにすれば、厚さ方向において、電解質の分布状態が意図する分布状態であるカソードを製造することができる。
【0019】
なお、本発明は、上記した燃料電池の製造方法の他、膜電極接合体の製造方法、または、燃料電池用電極の製造方法等、他の方法発明の態様で実現することも可能である。また、方法発明の態様に限ることなく、装置発明としての態様で実現することも可能である。さらには、それら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様や、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例としての燃料電池における燃料電池セルCLの概略構成を示す図である。
【図2】実施例における燃料電池セルCLの製造方法を示すフローチャートである。
【図3】1ロット分のMEAの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】基材K上に触媒インクを塗工し層状インクSを形成した状態を示す図である。
【図5】実施例で用いる状態推定装置10と燃料電池セルとの接続の様子を示す図である。
【図6】燃料電池のサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【図7】複素インピーダンスプロットVを示す図である。
【図8】複素インピーダンスプロットVにおいて転換点P付近を拡大した図である。
【図9】MEAの矯正工程を示すフローチャートである。
【図10】溶剤添加装置TKを用いてMEAのカソードに電解質溶解溶剤を添加している様子を示している。
【図11】熱風発生装置KSを用いてMEAのカソードを乾燥させる様子を示す図である。
【図12】MEA矯正工程においてMEAのカソードにおける厚さ方向の電解質分布をコントロールできたことを確認するための確認試験の結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.実施例:
A1.燃料電池の構成:
図1は、本発明の一実施例としての燃料電池における燃料電池セルCLの概略構成を示す図である。本実施例の燃料電池は、固体高分子型の燃料電池であり、酸化ガス(例えば、空気)と、燃料ガス(例えば、水素)とを用いて、発電を行う。燃料電池は、複数の燃料電池セルCLと、2つのエンドプレート(図示せず)と、2つのターミナル(図示せず)と、2つのインシュレータ(図示せず)と、を備えている。燃料電池は、複数の燃料電池セルCLを、ターミナルおよびインシュレータで挟持し、さらにそのサンドイッチ構造を、2つのエンドプレートによって挟持したスタック構造を有している。また、燃料電池は、テンションプレート(図示せず)がボルト(図示せず)によって各エンドプレートに結合されることによって、各燃料電池セルCLを、積層方向に所定の力で締結する構造となっている。
【0022】
燃料電池セルCLは、図1に示すように、膜電極接合体5(以下では、MEA(Membrane Electrode Assembly)5と呼ぶ)と、セパレータ6,7と、シール部材110と、を備える。
【0023】
MEA5は、電解質膜11と、電解質膜11の両面に配置されるカソード12およびアノード13と、カソード12の外側面に配置されるガス拡散層14と、アノード13の外側面に配置されるガス拡散層15とから成る。
【0024】
電解質膜11は、固体高分子材料であるフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。なお、電解質膜11は、フッ素系樹脂に限ることなく、例えば、炭化水素系樹脂で構成されていてもよい。
【0025】
カソード12、および、アノード13は、触媒金属(例えば、白金(Pt))を担持した担体(例えば、カーボン)と、電解質(例えば、フッ素系樹脂)とから構成される。なお、カソード12、または、アノード13に含まれる電解質は、フッ素系樹脂に限ることなく、例えば、炭化水素系樹脂で構成されていてもよい。
【0026】
ガス拡散層14,15は、導電性を有するカーボン製の多孔質部材であり、例えば、カーボンクロスやカーボンペーパによって形成される。燃料電池セルCLにおいて各部材を積層する方向を積層方向とも呼ぶ。積層方向は、燃料電池セルCLの各部材の厚さ方向と同一の方向である。また、積層方向(厚さ方向)に垂直な方向であり、燃料電池セルCLの各部材の面に沿った方向を面方向とも呼ぶ。
【0027】
セパレータ6,7は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成形した金属板によって形成することができる。セパレータ6は、片面において凸部18aと凹部18bとが交互に形成された凹凸形状を有している。そして、セパレータ6において、凸部18aは、ガス拡散層14(カソード12または電解質膜11)を押圧し、凹部18bは、ガス拡散層14との間にガス拡散層14(カソード12)に対して酸化ガスを給排するためセル内流路18を形成する。また、セパレータ7は、片面において凸部19aと凹部19bとが交互に形成された凹凸形状を有している。セパレータ7において、凸部19aは、ガス拡散層15(アノード13または電解質膜11)を押圧し、凹部19bは、ガス拡散層15との間にガス拡散層15(アノード13)に対して燃料ガスを給排するためセル内流路19を形成する。
【0028】
セパレータ6,7は、その外周近くの互いに対応する位置に、孔部103〜106を備えている。セパレータ6,7を、MEA5およびガス拡散層14,15と共に積層して燃料電池を組み立てると、積層された各セパレータ6,7の対応する位置に設けられた孔部は、互いに重なり合って、積層方向に燃料電池内部を貫通する流路を形成する。具体的には、孔部103は、酸化ガス供給マニホールドを形成し、孔部104は、酸化ガス排出マニホールドを形成し、孔部105は、燃料ガス供給マニホールドを形成し、孔部106は、燃料ガス排出マニホールドを形成する。酸化ガス供給マニホールドは、セル内流路18に酸化ガスを導入するための流路であり、酸化ガス排出マニホールドは、セル内流路18から酸化ガスを排出するための流路である。燃料ガス供給マニホールドは、セル内流路19に燃料ガスを導入するための流路であり、燃料ガス排出マニホールドは、セル内流路19から燃料ガスを排出すための流路である。
【0029】
シール部材110は、燃料電池セルCLにおいて、セル内流路18、セル内流路19、および、上記各マニホールド周辺に配設され、セル内流路18、セル内流路19、および、上記各マニホールドのガスシール性を確保する。
【0030】
A2.燃料電池セルCLの製造方法:
以下に本実施例の燃料電池における燃料電池セルCLの製造方法を説明する。この燃料電池セルCLの製造方法は、1ロット分の燃料電池セルを製造する方法であり、所定の製造者によって行われる。
【0031】
図2は、本実施例における燃料電池セルCLの製造方法を示すフローチャートである。本実施例における燃料電池セルCLの製造方法では、製造者は、まず、1ロット分のMEAを製造する(ステップS10)。
【0032】
図3は、1ロット分のMEAの製造方法を示すフローチャートである。図4は、基材K上に触媒インクを塗工し、層状インクSを形成した状態を示す図である。MEAの製造工程では、図3に示すように、まず、電解質(例えば、フッ素系樹脂)と、溶媒(例えば、水、アルコール等)と、触媒担持担体(例えば、白金担持カーボン)と、テフロン(登録商標)製の基材Kとを用意する(図3:ステップS110)。次に、電解質、溶媒、および、触媒担持担体を、混合させ、触媒インクを作成する(図3:ステップS120)。触媒インクを基材K上にデカール法で塗工して、図4に示すように、層状インクSを形成する(図3:ステップS130)。続いて、層状インクS上に熱風発生装置(図示せず)により熱風を流し乾燥させ、カソードを製造する(図3:ステップS140)。層状インクSを乾燥させる際には、乾燥させる乾燥面SAを選択し、乾燥面SA上の熱風の温度、および、乾燥面SA上の熱風の風速を調整する。本実施例において、乾燥面SAは、層状インクSにおいて、基材Kと接する面とは反対面である。そして、アノード、および、電解質膜を用意し(図3:ステップS150)、電解質膜を、製造したカソードとアノードとで挟持することで、1つのMEAを製造する(ステップS160)。この場合、カソード(層状インク)は、基材Kごと電解質膜に転写するので、乾燥面SAが電解質膜と接する。以下では、カソード(層状インクS)において、乾燥面SAの反対面を乾燥面反対面SBとも呼ぶ。
【0033】
その後、上記ステップS110〜ステップS160の工程を1ロット分のMEAを製造するまで繰り返す(ステップS170:NO)。1ロット分のMEAを製造したら(ステップS170:YES)、このステップS10の工程を終了する。1ロット分のMEAは、それぞれ同一条件で製造しているので、同一の状態・性質を持つと考えられる。
【0034】
次に、図2に示すように、製造した1ロット分のMEAうち、1つのMEA抜き出し、そのMEAを用いて、燃料電池セルを製造する(ステップS15)。具体的には、セパレータ6,7、シール部材110を用意し、製造したMEAの周囲にシール部材110を配置し、それらをセパレータ6,7で挟持することにより、1つの燃料電池セルを製造する。
【0035】
製造した燃料電池セルのカソードに不活性ガスとしての窒素を、アノードに活性ガスとしての水素を導入し、封入する(ステップS20)。燃料電池セルに導入する水素および窒素は、低加湿なガスを用いる。例えば、燃料電池セルに導入する水素および窒素の相対湿度は、0.1〜60%の範囲内であることが好ましく、10〜20%の範囲内であることが特に好ましい。また、本実施例において、燃料電池セルに導入する水素および窒素の温度は、23℃程度としている。
【0036】
続いて、製造した燃料電池セル(MEA)において、状態推定装置10を用いて、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する(ステップS30)。以下に具体的に説明する。
【0037】
図5は、本実施例で用いる状態推定装置10と燃料電池セルとの接続の様子を示す図である。まず、状態推定装置10を、図5に示すように、配線20およびセンシング線30介して、製造した燃料電池セル(セパレータ6,7)と接続する。状態推定装置10は、配線20を介して燃料電池セルに複数周波数の交流電流を流し、センシング線30を介して、燃料電池セルの電圧を測定し、各周波数におけるMEAの交流インピーダンスを測定する。
【0038】
図6は、燃料電池のサイクリックボルタモグラムを示す図である。縦軸が電流[A]を示し、横軸が電圧[V]を示す。ステップS30の工程において、状態推定装置10は、燃料電池セルに交流電流を流す場合には、印加電圧が、図4に示すように、サイクリックボルタモグラムの電気2重層領域(約0.3〜0.5V)内の電圧となるように、電流を調整する。
【0039】
次に、製造した燃料電池セルに対して、以下に示す複素インピーダンスプロットVを検出する(ステップS40)。図7を用いて複素インピーダンスプロットVについて説明する。なお、複素インピーダンスプロットは、コール・コールプロットとも呼ばれる。
【0040】
図7は、複素インピーダンスプロットVを示す図である。図7において、縦軸は、交流インピーダンスの虚部値Z2を表しており、以下では、虚部軸とも呼び、横軸は、交流インピーダンスの実部値Z1を表しており、以下では、実部軸とも呼ぶ。この複素インピーダンスプロットVは、虚部軸と実部軸とで形成される平面(以下では、複素平面とも呼ぶ)において、ステップS30の工程で測定した各周波数における交流インピーダンスの実部値Z1および虚部値Z2との関係を示す。詳しくは、複素インピーダンスプロットVは、複素平面において、検出した各周波数において交流インピーダンスの実部値Z1および虚部値Z2を表す点(以下では、インピーダンス測定点とも呼ぶ)に基づいた近似曲線である。虚部軸と実部軸とは直交する。各軸において、各スケールは、それぞれ同様の大きさとなっている。すなわち、図7において、複素インピーダンスプロットVは、実部軸と虚部軸のそれぞれにおいて、同じだけ値が変化した時に、軸上の位置が同じだけ変化する。図7において、実線が複素インピーダンスプロットVを示し、黒抜き四角形がインピーダンス測定点を示す。また、図7において、複素インピーダンスプロットVには、転換点Pが示されている。
【0041】
図7に示す転換点Pは、複素インピーダンスプロットVにおいて、関数の性質が変わる境界点であり、すなわち、複素インピーダンスプロットVにおいて、カソード12のイオン伝導抵抗の影響を大きく受ける領域と、イオン伝導抵抗の影響をほとんど受けない領域との境界点である。言い換えれば、転換点Pは、複素インピーダンスプロットVにおいて、接線の傾き(実部値Z1に対する虚部値Z2の変化量)が所定の閾値以上となった点である。この閾値は、燃料電池の具体的な設計、例えば、下記(i)〜(iii)等に基づき予め設定される。
(i)燃料電池セルにおいて、カソードの製造方法(触媒インクの分散手法、塗工方法等)。
(ii)カソード中の電解質の種類、分量、厚さ方向および面方向の分布状態。
(iii)カソード中の触媒担持担体の種類、粒径。
【0042】
続いて、ステップS40の工程で検出した複素インピーダンスプロットVに基づいて、製造した燃料電池セル(MEA)のカソードにおける厚さ方向の電解質分布を推定する(ステップS50)。
【0043】
図8は、複素インピーダンスプロットVにおいて転換点P付近を拡大した図である。カソードの厚さ方向における電解質分布を推定する場合には、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定する。具体的には、以下の考えに基づき、推定を行う。
【0044】
すなわち、角度θが45°±α(α:誤差定数)の範囲内で場合には、カソードの厚さ方向において、電解質のイオン伝導抵抗がほぼ等しいと考えられ、角度θが45°+αよりも大きい場合には、カソードの厚さ方向において、電解質膜側における電解質のイオン伝導抵抗が低い状態であると考えられ、一方、角度θが45°−αよりも小さい場合には、カソードの厚さ方向において、電解質膜側における電解質膜のイオン伝導抵抗が高い状態であると考えられる。誤差定数αは、微小な正の値であればよく、例えば、0.1〜3の範囲内の値をとる。
【0045】
従って、角度θが、45°±αの範囲内である場合には、カソードの厚さ方向において、略均一に電解質が分布していると推定し、角度θが、45°+αよりも大きい場合には、カソードの厚さ方向において、乾燥面反対面SB側よりも乾燥面SA側に電解質が多く分布していると推定し、角度θが、45°−αよりも小さい場合には、カソードの厚さ方向において、乾燥面SA側よりも乾燥面反対面SB側に電解質が多く分布していると推定する。なお、上記「転換点Pより高周波側」とは、例えば、10Hz〜1kHzの範囲をいう。
【0046】
次に、ステップS50の工程で推定した電解質分布に基づいて、製造した燃料電池セルのMEAのカソードが、意図したものであるか否かを判断する(ステップS60)。例えば、カソードにおいて、厚さ方向に略均一に電解質が分布した燃料電池セルを製造したい場合において、電解質分布の推定結果が、カソードの厚さ方向において、略均一に電解質が分布していると推定されると、意図した燃料電池セルが製造できたと判断する(ステップS60:Yes)。一方、カソードにおいて、厚さ方向に乾燥面反対面SB側よりも乾燥面SA側に電解質が多く分布した燃料電池セルを製造したい場合において、電解質分布の推定結果が、カソードの厚さ方向において、電解質が、略均一に分布していると推定されたり、乾燥面SA側よりも乾燥面反対面SB側に多く分布していると推定されると、意図した燃料電池セルが製造できていないと判断する(ステップS60:No)。
【0047】
ステップS60の工程において、製造した燃料電池セルのMEAのカソードが、意図したものではないと判断した場合には(ステップS60:No)、ステップS10で製造した1ロット分のMEAのうちから、新たに1つのMEAを抜き取って、そのMEAに対して矯正を行う(ステップS70)。図9を用いて、具体的に説明する。
【0048】
図9は、MEAの矯正工程を示すフローチャートである。MEAの矯正方法では、図9に示すように、ステップS10で製造した1ロット分のMEAのうちから、新たに1つのMEAを抜き取る(ステップS205)。また、電解質を溶解するための電解質溶解溶剤を用意する(ステップS210)。この電解質溶解溶剤は、例えば、エタノールと水の混合溶液を用いる。
【0049】
図10は、溶剤添加装置TKを用いて、MEAのカソードに電解質溶解溶剤を添加している様子を示している。続いて、図10に示すように、電解質溶解溶剤を溶剤添加装置TKにセットし、溶剤添加装置TKを用いて、抜き取った1つのMEAのカソードに添加する(ステップS220)。電解質溶解溶剤の添加方法は、例えば、スプレー、スクリーン、または、ダイコーター等で行うことができる。
【0050】
次に、図2:ステップS50の工程における電解質分布の推定結果に基づいて、添加した電解質溶解溶剤の乾燥条件を設定する(ステップS230)。ここで、乾燥条件としては、カソードにおける乾燥面SAの選択、乾燥面SA上の熱風の温度、および、乾燥面SA上の熱風の風速を含む。カソードの厚さ方向において、乾燥面SA側に電解質を多く分布させたい場合には、乾燥条件を以下のように設定する。すなわち、乾燥面SA上の熱風の温度を比較的高く、および/または、乾燥面SA上の熱風の風速を比較的強く設定し、乾燥面SAからの電解質溶解溶剤の乾燥速度を早くする。このようにすれば、乾燥面SAからの電解質溶解溶剤の蒸発を推進させることができ、蒸発に伴い電解質を乾燥面SA側に移動させ、意図通りに乾燥面SA側に電解質を多く分布させることができる。一方、カソードの厚さ方向において、乾燥面反対面SB側に電解質を多く分布させたい場合には、乾燥条件を以下のように設定する。すなわち、乾燥面SA上の熱風の温度を比較的低く、および/または、乾燥面SA上の熱風の風速を比較的弱く設定し、乾燥面SAからの溶媒の乾燥速度を遅くする。このようにすれば、乾燥面SAからの溶媒の蒸発を抑制することができ、蒸発に伴う電解質の移動を抑制し、意図通りに乾燥面反対面SB側に電解質を多く分布させることができる。
【0051】
従って、例えば、カソードの厚さ方向に略均一に電解質が分布した燃料電池セルを製造したい場合であって、図2:ステップS50の工程における電解質分布の推定結果が、カソードの厚さ方向において、乾燥面反対面SB側に電解質が多く分布していると推定された場合には、ステップS230の工程において、乾燥面SAを選択し、乾燥面SA上の熱風の温度、および/または、乾燥面SA上の熱風の風速を比較的強く設定する。また、例えば、カソードの厚さ方向に略均一に電解質が分布した燃料電池セルを製造したい場合であって、電解質分布の推定結果が、カソードの厚さ方向において、乾燥面SA側に電解質が多く分布していると推定された場合には、ステップS230の工程において、乾燥面SAを選択し、乾燥面SA上の熱風の温度、および/または、乾燥面SA上の熱風の風速を比較的弱く設定する。
【0052】
図11は、熱風発生装置KSを用いて、MEAのカソードを乾燥させる様子を示す図である。続いて、ステップS230の工程後、設定した乾燥条件となるように、熱風発生装置KSを調整し、電解質溶解溶剤を添加したMEAのカソードを乾燥させ(ステップS240)、このMEA矯正工程(ステップS70)を終了する。
【0053】
続いて、図2に示すように、MEA矯正工程を経たMEAを用いて、燃料電池セルを製造する(ステップS80)。具体的には、セパレータ6,7、シール部材110を用意し、MEA矯正工程を経たMEAの周囲にシール部材110を配置し、それらをセパレータ6,7で挟持することにより、燃料電池セルを製造する。その後、この燃料電池セルを用いて、ステップS20〜ステップS60の工程を実行する。
【0054】
ステップS60の工程において、製造した燃料電池セルのMEAのカソードが、意図したものであると判断した場合には(ステップS60:Yes)、その燃料電池セルが、ステップS80のMEA矯正工程を経たか否かを判断する(ステップS90)。
【0055】
意図したものであると判断した燃料電池セルが、MEA矯正工程(ステップS80)を経ている場合には(ステップS90:Yes)、1ロット分全てに前回行ったMEA矯正工程(ステップS80)をそれぞれ実行する(ステップS100)。
【0056】
その後、MEA矯正工程を経た1ロット分のMEAを用いて、1ロット分の燃料電池セルを製造する(ステップS110)。具体的には、複数のセパレータ6,7、複数のシール部材110を用意し、1ロット分のMEAのそれぞれの周囲にシール部材110を配置し、それぞれセパレータ6,7で挟持することにより、1ロット分の燃料電池セルを製造する。
【0057】
ステップS90の工程で意図したものであると判断した燃料電池セルが、MEA矯正工程(ステップS80)を経ていない場合には(ステップS90:No)、ステップS10の工程で製造した1ロット分のMEAを用いて、1ロット分の燃料電池セルを製造する(ステップS120)。具体的には、複数のセパレータ6,7、複数のシール部材110を用意し、ステップS10の工程で製造した1ロット分のMEAのそれぞれの周囲にシール部材110を配置し、それぞれセパレータ6,7で挟持することにより、1ロット分の燃料電池セルを製造する。以上のようにして、1ロット分の燃料電池セルを製造する。
【0058】
以上のように、本実施例の燃料電池セルの製造方法では、製造した燃料電池セルにおいて、カソードの厚さ方向の電解質分布の推定結果が意図した分布でなかった場合には、電解質を溶解させ、乾燥条件を調整して乾燥させてカソードの厚さ方向における電解質分布を矯正するMEA矯正工程を行うようにしている。このようにすれば、厚さ方向における電解質の分布状態が意図する分布状態であるカソードを製造することができる。
【0059】
本実施例の燃料電池セルの製造方法では、製造した1ロット分のMEAうち、抜き出した1つのMEAから燃料電池セルを製造し、その燃料電池セルが意図した燃料電池セルではなかった場合には、製造した1ロット分のMEAうち、1つのMEAを抜き出してカソードの厚さ方向の電解質分布を矯正するMEA矯正工程を行う。そして、MEA矯正工程後のMEAを用いた燃料電池セルが意図した燃料電池セルであれば、図2:ステップS10の工程で製造した1ロット分すべてのMEAに対して同様のMEA矯正工程を行い、1ロット分すべてのMEAに対してカソードの電解質分布の矯正を行うようにしている。このようにすれば、1ロット分すべてのMEAにおいて、厚さ方向における電解質の分布状態が意図する分布状態であるカソードを製造することができる。
【0060】
本実施例の燃料電池セルの製造方法は、MEA矯正工程において、カソードの厚さ方向における電解質分布の推定結果に基づいて、乾燥面SAの選択、乾燥面SA上の熱風の温度、および、乾燥面SA上の熱風の風速等を含む乾燥条件を設定するようにしている。このようにすれば、MEA矯正工程において、カソードの厚さ方向における電解質の分布を意図する分布状態となるように、コントロールすることができる。
【0061】
本実施例の燃料電池セルの製造方法では、複素インピーダンスプロットVに基づいて、詳しくは、複素インピーダンスプロットVにおける転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、製造したカソードにおける厚さ方向の電解質の分布を推定するようにしている。このようにすれば、製造した燃料電池セルを分解することなく、カソードにおける厚さ方向の電解質の分布状態を正確に推定することができる。
【0062】
本実施例の燃料電池セルの製造方法では、燃料電池セルに交流電流を流す場合、サイクリックボルタモグラムの電気2重層領域の電圧を印加するようにしている。このようにすれば、各周波数における交流インピーダンスに基づいて、製造したMEAの状態を正確に推定することができる。
【0063】
本実施例の燃料電池セルの製造方法では、製造した燃料電池セルに導入する水素および窒素は、相対湿度が、低湿度なガスを用いるようにしている。このようにすれば、製造した燃料電池セルのMEAの抵抗値を高くすることができ、複素インピーダンスプロットが直線状になることを抑制することができ、その結果、カソードの厚さ方向における電解質分布を正確に推定することができる。
【0064】
A3.確認試験:
図12は、MEA矯正工程において、MEAのカソードにおける厚さ方向の電解質分布をコントロールできたことを確認するための確認試験の結果を表す図である。この確認試験では、MEA矯正工程を行った場合と、MEA矯正工程を行わなかった場合との比較のため、MEA矯正工程を行った場合におけるMEAについては、MEA矯正工程前とMEA矯正工程後にそれぞれ、複素インピーダンスプロットを検出し、それぞれ角度θを求め、MEA矯正工程を行わなかった場合におけるMEAについては、1回のみ複素インピーダンスプロットを検出し、角度θを求めた。また、MEA矯正工程を行った場合におけるMEAについては、MEA矯正工程後における出力電圧[V]を測定した。MEA矯正工程を行わなかった場合におけるMEAについては、そのまま出力電圧[V]を測定した。出力電圧を測定する際の条件は、MEAの温度を80℃に保ち、バブラー温度を40℃として、電流密度を1.0A/cm2とした。
【0065】
図12に示すように、MEA矯正工程を行った場合には、MEA矯正工程を行わなかった場合と比較して、角度θが矯正されると共に、出力電圧が向上していることがわかる。このことから、MEA矯正工程は、意図するようにカソードの電解質分布を矯正することができると共に、それに伴い、出力電圧を向上させることができると考えられる。
【0066】
B.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
【0067】
B1.変形例1:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法において、製造した燃料電池セルのカソードの厚さ方向における電解質分布を推定する場合に、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の複数の点により求まる直線(例えば、2点を結んだ線、3点の近似直線等)と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、カソードの厚さ方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0068】
B2.変形例2:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法において、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定する場合に、複素インピーダンスプロットVにおいて、転換点Pよりも高周波側の所定点における接線と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、推定するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、複素インピーダンスプロットVにおける転換点Pに対応する周波数より高い周波数(例えば、10Hz〜1kHz)に対応する複数のインピーダンス測定点により求まる直線(例えば、2点を結んだ線、3点の近似直線等)と、実部軸に平行な線分とで形成される角の角度θに基づいて、カソード12の厚さ方向における電解質分布を推定するようにしてもよい。このようにしても上記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0069】
B3.変形例3:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法では、燃料電池セルのアノードに活性ガスとしての水素を、カソードに不活性ガスとしての窒素をそれぞれ導入した状態で、複素インピーダンスプロットVを検出するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、燃料電池セルのアノードにも不活性ガス(例えば、窒素)を導入し、その状態において、複素インピーダンスプロットVを検出するようにしてもよい。このようにしても上記実施例の効果を奏することができる。
【0070】
B4.変形例4:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法では、燃料電池セルに導入する水素および窒素は、相対湿度が、60%より高いガスを用いるようにしてもよい。このようにしても上記実施例の少なくとも効果の一部を奏することができる。
【0071】
B5.変形例5:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法において、MEA矯正工程で設定する、添加した電解質溶解溶剤の乾燥条件として、乾燥面SA上の相対湿度を含むようにしてもよい。この場合、乾燥面SAに熱風を流すのではなく、乾燥面SA上に乾燥促進剤(例えば、シリカゲル等)を配置し、乾燥促進剤の量で、相対湿度を調整すればよい。そして、例えば、カソードの厚さ方向において、乾燥面SA側に電解質を多く分布させたい場合には、乾燥面SA上に大量の乾燥促進剤を配置する。このようにすれば、乾燥面SAからの電解質溶解溶剤の蒸発を推進させることができ、蒸発に伴い電解質を乾燥面SA側に移動させ、乾燥面SA側に電解質を多く分布させることができる。一方、カソードの厚さ方向において、乾燥面反対面SB側に電解質を多く分布させたい場合には、乾燥面SA上の乾燥促進剤を少なくする。このようにすれば、乾燥面SAからの電解質溶解溶剤の蒸発を抑制することができ、蒸発に伴う電解質の移動を抑制し、乾燥面反対面SB側に電解質を多く分布させることができる。
【0072】
B6.変形例6:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法は、所定の製造者が行うようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。製造者の代わりに、例えば、オートメーション装置に行わせるようにしてもよい。このようにすれば、自動化によって、簡便に意図する燃料電池セルを製造することができる。
【0073】
B7.変形例7:
上記実施例の燃料電池セルの製造方法では、カソードにおける電解質の分布状態を推定し、その分布状態が意図しないものであれば、MEA矯正工程において、カソードにおける電解質の分布状態を矯正するようにしているが、本発明は、これに限られるものではなく、アノードにおける電解質の分布状態を推定し、その分布状態が意図しないものであれば、MEA矯正工程において、アノードにおける電解質の分布状態を矯正するようにしてもよい。このようにすれば、厚さ方向における電解質の分布状態が意図する分布状態であるアノードを製造することができる。
【符号の説明】
【0074】
5…MEA
6…セパレータ
7…セパレータ
10…状態推定装置
11…電解質膜
12…カソード
13…アノード
14…ガス拡散層
15…ガス拡散層
18…セル内流路
18a…凸部
18b…凹部
19…セル内流路
19a…凸部
19b…凹部
20…配線
30…センシング線
30介…センシング線
103…孔部
104…孔部
105…孔部
106…孔部
110…シール部材
K…基材
S…層状インク
V…複素インピーダンスプロット
P…転換点
Z1…実部値
Z2…虚部値
SA…乾燥面
SB…乾燥面反対面
TK…溶剤添加装置
CL…燃料電池セル
KS…熱風発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の製造方法であって、
電解質を含む第1電極と、第2電極との間に電解質が配置されて成る膜電極接合体を用意する第1工程と、
前記第1工程で製造した前記膜電極接合体において、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する第2工程と、
各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、前記第1電極における、厚さ方向の前記電解質の分布を推定する第3工程と、
前記電解質の分布推定結果が意図した分布ではなかった場合において、前記膜電極接合体の前記第1電極に対して、前記電解質を溶解するための溶剤を添加し、前記電解質を溶解させると共に、前記電解質の分布推定結果に基づき乾燥条件を調整して乾燥させて、前記第1電極における前記厚さ方向の前記電解質の分布を矯正する第4工程と、
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記第1工程は、
前記膜電極接合体を複数製造する工程を含み、
前記第2工程は、
前記第1工程で製造した前記複数の膜電極接合体のうち、所定の膜電極接合体において、複数の周波数における交流インピーダンスを測定する工程を含み、
前記第4工程は、
前記電解質の分布推定結果が意図した分布ではなかった場合において、前記複数の膜電極接合体の各第1電極に対して、前記電解質を溶解するための同一の溶剤をそれぞれ添加し、前記電解質を溶解させた後、同一の乾燥条件でそれぞれ乾燥させて、各第1電極の厚さ方向における前記電解質の分布を矯正する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の製造方法において、
前記乾燥条件は、
前記乾燥面上の温度、前記乾燥面上の風速、前記乾燥面上の相対湿度のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法において、
前記第3工程は、
各周波数における前記交流インピーダンスに基づいて、複素インピーダンスプロットを検出する工程と、
前記複素インピーダンスプロットに基づいて、前記第1電極の厚さ方向の前記電解質の分布を推定する工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製造方法において、
前記第2工程は、
前記膜電極接合体の前記第1電極に不活性ガスを導入した状態で、各周波数における前記膜電極接合体の交流インピーダンスを測定する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の製造方法において、
前記第1電極は、カソードであることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−170860(P2010−170860A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12700(P2009−12700)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】