燃料電池システム及びその運転方法
【課題】原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、原料を利用して発電する燃料電池ユニット10と、信号を外部から受信する受信器20と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器30と、を備える。
【解決手段】燃料電池システム100は、原料を利用して発電する燃料電池ユニット10と、信号を外部から受信する受信器20と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器30と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、及びその運転方法に関する。より詳しくは、パイプライン等から供給される燃料により発電する燃料電池システムと、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーを有効に利用することが可能である分散型の発電装置として、発電効率及び総合効率が高い燃料電池コージェネレーションシステム(以下、単に「燃料電池システム」という)が注目されている。
【0003】
発電に用いられる原料としては、インフラストラクチャの点から、既存の天然ガスパイプラインが適している。天然ガスは限られた地域でのみ産出され、たとえば欧州において、北海及びロシア等からパイプラインで供給される。パイプラインは、様々な国を経由して最終消費国に至るため、国家間での対立等により、パイプラインを通じたガスの供給が遮断もしくは制限される事態が起こっている。このような場合、天然ガスが供給不足になるが、別の産地からの天然ガスが供給されたり、不足分をLPガスやプロパン、ブタン等の高熱量ガスと空気や窒素とともに天然ガスに混合する熱量調整が行われる。このような熱量調整は、欧州ではピークシェイビングと呼ばれ、冬季に天然ガス需要が増加した場合にも行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−80907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の燃料電池システムのような、熱量調整により原料組成の変動に限らず、一般的に原料組成が変動すると、不具合が生じやすいという課題があった。特に、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、かかる異常が原料組成変動によるものなのか、燃料電池システム自身の異常によるものなのかの判別が困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別可能とすべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信させることで、判別の精度を向上できることに想到した。かかる構成は、原料組成変動の可能性を示す異常の種類に関わらず、あらゆる燃料電池システムに適用可能である。
【0008】
すなわち本発明にかかる燃料電池システムは、原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、外部から信号を受信する受信器と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、を備える。
【0009】
また、本発明にかかる燃料電池システムの運転方法は、原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、信号を外部から受信する工程と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法によれば、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態の第3変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1実施形態の第4変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第3実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、第3実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第4実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第4実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の燃料電池システムは、原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、外部からの信号を受信する受信器と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、を備える。
【0013】
また、第1実施形態の燃料電池システムの運転方法は、原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、信号を外部から受信する工程と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、を備える。
【0014】
かかる構成では、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る。
【0015】
原料組成変動の可能性を示す異常は、原料の組成が変化したことを示す何らかの異常であればよい。具体的には、例えば、燃焼器における不完全燃焼及び水添脱硫器が備える水添触媒の高温異常等とすることができる。
【0016】
運転とは、起動及び発電運転の少なくともいずれか一方を含む。
【0017】
受信器を介した信号の受信のタイミングは、運転停止に対していずれでも構わない。具体的には、例えば、運転停止と同時でもあってもよいし、その前後であってもよい。
【0018】
判定器は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止した後、停止前および停止後の所定時間内に近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信したか否かに基づいて判定するのが好ましい。所定時間は、例えば、変動後の原料組成が維持されると推定される時間とすることができ、例えば、1日、半日等とすることができる。
【0019】
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す例では、本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30とを備える。
【0021】
燃料電池ユニット10は、原料を利用して発電する。具体的には、例えば、改質器(図示せず)及び燃料電池(図示せず)を備える。
【0022】
改質器は、原料及び水蒸気を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する。改質反応は、原料ガスを用いる改質反応であれば、いずれの改質反応でもよく、具体的には、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応等が例示される。改質器の内部には、改質触媒が配設されている。改質触媒によって、改質反応が進行し、原料及び水から水素含有ガスを生成することができる。改質反応に要する熱は、例えば、燃焼器(図示せず)から供給される。改質触媒には、一般的に、Pt、Ru、Rh等の貴金属系触媒及びNiからなる群の中から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
【0023】
なお、改質器の下流に改質器で生成された水素含有ガス中の一酸化炭素を低減するためのCO低減器を設けても構わない。CO低減器は、シフト反応により一酸化炭素を低減させる変成触媒を備える変成器と、酸化反応及びメタン化反応の少なくともいずれか一方により一酸化炭素を低減させるCO除去触媒を備えるCO除去器との少なくともいずれか一方を備える。
【0024】
燃料電池ユニット10が備える燃料電池は、いずれの種類の燃料電池であってもよく、例えば、高分子電解質形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、及び、りん酸形燃料電池等を用いることができる。高分子電解質形燃料電池の場合、燃料電池システム100において、改質器と燃料電池とが別個に構成される。固体酸化物形燃料電池の場合、改質器と燃料電池とが一つの容器内に内蔵されてもよい。具体的には例えば、改質反応を実行する改質部と燃料電池部とをそれぞれ個別に有する間接内部改質型、及び、燃料電池本体内部で改質反応も行う直接内部改質型のいずれであってもよい。つまり、燃料電池に改質器が内蔵された形態が採用される場合があり、本発明の燃料電池システムは、そのような形態も含むものである。
【0025】
原料は、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含み、具体的には、天然ガス、都市ガス、LPG、LNG等の炭化水素、メタノール等のアルコールが例示される。都市ガスとは、ガス会社から配管を通じて各家庭等に供給されるガスをいう。原料供給源として、これらのガスのインフラストラクチャ等が例示される。
【0026】
受信器20は、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信する。受信器20は、無線通信を利用する場合には、例えば、演算器と、I/Oと、アンテナとから構成されうる。受信器20は、有線通信を利用して、外部から信号を受信してもよい。
【0027】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号は、近隣の燃料電池システムから直接送信されてもよいし、異常発生を監視するコントロールセンター等から送信されてもよい。
【0028】
ここで、原料組成変動の可能性を示す異常とは、上記の通り、原料の組成が変化したことを示す何らかの異常であればよい。具体的には、例えば、原料を含む可燃性ガスを燃焼する燃焼器(図示せず)において発生する不完全燃焼が挙げられる。例えば、原料中にC3H8等の高沸点成分が高濃度で含まれると、起動時に改質器を昇温しているときに、燃焼器で不完全燃焼が発生しやすい。これは、起動時に改質器内を通過した原料を燃焼器で燃焼し、改質器の昇温を行う場合、改質器が高温化する前に改質触媒に吸着したC3H8などの高沸点成分が、前記改質器が高温化すると一気に脱着し、燃焼器に流入するからである。なお、原料中の上記高沸点成分の濃度が上昇する場合としては、ピークシェイビング、原料において、高沸点成分の濃度が高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。
【0029】
また、上記異常の他の例として、水添脱硫器の過昇温が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の酸素濃度の上昇により、水添脱硫器内で水素が燃焼し、水添脱硫器が過昇温しやすい。なお、バイオガス中にも酸素が含まれる場合があるので、原料におけるバイオガスの比率が上昇すると、同様に過昇温し得る。
【0030】
また、上記異常の他の例として、改質器の過昇温が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の酸素濃度の上昇により、改質器が過昇温しやすい。なお、上記において、水添脱硫器を設けていても、原料中の酸素濃度、または水添脱硫のために原料に添加される水素の量によっては、原料中の酸素が水添脱硫器で完全に消費されず、改質器に酸素が供給され得る。
【0031】
また、上記異常の他の例として、改質器の過降温が挙げられる。例えば、原料中に含まれる硫黄濃度が上昇すると、脱硫器で十分脱硫できず、改質触媒の劣化が進行し、改質器で生成される水素含有ガスの量が目標量よりも低下する。すると、燃焼器が改質器で生成した水素含有ガスを用いて燃焼しているとき、過降温しやすい。なお、原料中の硫黄濃度が上昇する場合としては、原料において、硫黄濃度の高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスとが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。これは、一般的にバイオガスは、天然ガスに比べ、硫黄濃度が高いからである。また、原料中に含まれるC2以上の炭化水素成分が増加すると、S/Cが上昇して、改質触媒上で炭素析出が発生し、改質触媒が劣化する。これにより、上記と同様に改質器の温度が過降温しやすくなる。なお、原料中のC2以上の炭化水素成分が増加する場合としては、ピークシェイビング、C2以上の炭化水素成分の濃度が高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。
【0032】
また、上記異常の他の例として、燃料電池の不足電圧が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の窒素濃度の上昇により、改質器においてアンモニアが生成し、アンモニアが燃料電池に流入すると燃料電池の電圧が低下しやすい。なお、バイオガス中にも窒素が含まれる場合があるので、原料におけるバイオガスの比率が上昇すると、同様に燃料電池の出力電圧が不足し得る。また、上記の改質器の過降温が生じる原料組成においては、上記の通り、改質器での水素含有ガスが目標量に対して低下するので、燃料電池の不足電圧として、原料組成の変動が現れ得る。
【0033】
なお、原料組成変動の可能性を示す異常は、図示されない異常検知器により検知される。この異常検知器は、上記異常に限らず、他の異常を検知するように構成されていてもよい。また、異常検知器により異常が検知されると、図示されない制御器により、燃料電池システムの運転が停止される。ここで、制御器は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。制御器は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0034】
判定器30は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止したとき、受信器を介した前記信号、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号、の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、受信器を介した前記信号、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号、の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない。
【0035】
判定器30は、判定機能を有するものであればよく、例えば、演算処理部と、判定プログラムを記憶する記憶部とを備える。例えば、判定器は、マイクロコントローラ、PLC(Programmable Logic Controller) 等が例示される。また、演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。判定器は、単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散判定を行う複数の判定器で構成されていてもよい。受信器20と判定器30とを構成するハードウェアは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0036】
[運転方法]
図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図2を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。なお、以下の動作は例えば、判定器30が演算器とI/Oとから構成される場合には、例えば、記憶部に記憶されたプログラムが演算処理部により実行されることにより、実現されうる(以下、変形例及び他の実施形態においても同様)。
【0037】
燃料電池システム100の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0038】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、判定動作を終了する(エンド)。
【0039】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、判定動作を終了する(エンド)。
【0040】
なお、上記の説明では、運転停止後に信号の受信と判定が行われたが、順序はこれに限定されない。近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信するとその旨を判別器30が記憶し、その後、原料組成変動の可能性を示す異常が検知された時に、判別器30が原料組成変動が生じていると判定してもよい。
【0041】
また、ステップS101では、必ずしも運転は停止されなくてもよい。
【0042】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する、制御器を備える。
【0043】
原料組成変動により異常が発生した場合は、次の起動時には原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性もある。本変形例の構成では、原料組成変動による異常の可能性が高いにも拘わらず、次の起動が禁止される燃料電池システムに比べ、起動性が向上する。
【0044】
「起動を待機する」とは、起動要求が発生することを待機することとして定義される。起動が待機されている状態で、起動要求が発生すると、制御器(図示せず)は、燃料電池システムの起動を開始する。なお、「起動要求が発生する」とは、例えば、使用者の操作により操作器(例えば、リモコン)を介して運転開始が指示されること、予め設定された起動予定時刻を迎えること、電力負荷需要が、燃料電池の発電を必要とする所定の電力閾値以上になること等が挙げられる。
【0045】
図3は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図3に示す例では、本変形例の燃料電池システム110は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30と、制御器50とを備える。
【0047】
制御器50は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止したとき、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する。制御器50は、例えば、演算器と、I/Oとから構成されうる。
【0048】
演算器は、受信器20及び判定器30において説明した構成と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。受信器20及び判定器30の少なくとも一方を構成するハードウェアと、制御器50とを構成するハードウェアとは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0049】
本変形例の燃焼電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の燃料電池システム100と同様に構成することができる。よって、燃料電池システム100と燃料電池システム110において共通する構成要素には、同一の符号及び名称を付して説明を省略する。
【0050】
図4は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0051】
燃料電池システム110の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0052】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、制御器50は、起動を待機し(ステップS105)、フローが終了する(エンド)。起動待機において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされたら直ちに起動動作を開始できる状態に、燃料電池システムを維持する。
【0053】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0054】
[第2変形例]
第2変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、起動を禁止し、所定時間が経過すると次の起動を待機する、制御器を備える。
【0055】
かかる構成では、運転を停止後、起動禁止期間を設けずに、起動を待機する第1変形例の燃料電池システムに比べ、次の起動を開始したときに原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性が高い。つまり、第1変形例に比べ、次の運転を行ったときに、同様の異常で運転停止することが減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0056】
「起動を禁止する」とは、起動要求を許可しないこととして定義される。起動が禁止されている状態で、起動要求が発生すると、制御器(図示せず)は、燃料電池システムの起動を開始しない。「起動要求が発生する」、及び「起動を待機する」とは第1実施例と同様の内容であるのその説明を省略する。
【0057】
また、所定時間は、例えば、原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻るのに必要な時間として定義され、例えば、1日、半日等とすることができる。
【0058】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0059】
図5は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図5を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0060】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0061】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、制御器50は、起動を禁止し(ステップS106)、所定時間が経過すると(ステップS107でYES)、制御器50は、起動を待機し(ステップS108)、フローが終了する(エンド)。
【0062】
ステップS106の起動禁止において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされても起動動作を開始しない状態に、燃料電池システムを維持する。ステップS107の所定時間は、例えば、変動後の原料組成が維持されると推定される時間とすることができ、例えば、1日、半日等とすることができる。ステップS108の起動待機において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされたら直ちに起動動作を開始できる状態に、燃料電池システムを維持する。
【0063】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0064】
[第3変形例]
第3変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、所定時間後に再起動を行う、制御器を備える。
【0065】
かかる構成では、運転停止後、所定時間待機せずに、再起動を行う場合に比べ、再起動時に原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性が高い。従って、本変形例の燃料電池システムは、運転停止後、所定時間待機せずに、再起動を行う場合に比べ、同様の異常で運転停止することが減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0066】
所定時間は、例えば、原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻るのに必要な時間とすることができる。この時間は、過去のデータ等に基づき適宜設定されうる。
【0067】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0068】
なお、本変形例の制御器は、第1変形例及び第2変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に第1変形例及び第2変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0069】
図6は、第1実施形態の第3変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0070】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0071】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、所定時間が経過すると(ステップS109でYES)、制御器50は、再起動し(ステップS110)、フローが終了する(エンド)。ステップS110の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0072】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0073】
[第4変形例]
第4変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定しないと、起動を禁止する、制御器を備えてもよい。
【0074】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合において、異常が原料組成変動により発生したものでない場合、燃料電池システムそのものに異常があるため、次に起動しても同様の異常で運転停止する可能性が高い。
【0075】
従って、本変形例の構成により、同様の異常で運転停止が発生することを避け、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0076】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0077】
なお、本変形例の制御器は、第1変形例、第2変形例及び第3変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に、第1変形例、第2変形例及び第3変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0078】
図7は、第1実施形態の第4変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図7を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0079】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0080】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、フローが終了する(エンド)。
【0081】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、制御器は起動を禁止し(ステップS111)、フローが終了する(エンド)。ステップS111の起動禁止において、制御器は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされても起動動作を開始しない状態に、燃料電池システムを維持する。
【0082】
なお、本変形例における燃料電池システムの運転方法は、ステップS106〜S108を備えていてもよいし、ステップS109及びS110を備えていてもよい。すなわち、本変形例は、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例と任意に組み合わせて実施することができる。
【0083】
[第5変形例]
第5変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常が発生した旨の信号を発信する発信器を備える。
【0084】
かかる構成では、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、有用な情報を提供することができる。
【0085】
図8は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0086】
図8に示す例では、本変形例の燃料電池システム120は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30と、発信器60とを備える。
【0087】
発信器60は、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常、が発生した旨の信号を発信する。発信器50は、無線通信を利用する場合には、例えば、演算器と、I/Oと、アンテナとから構成されうる。発信器50は、有線通信を利用して、外部へと信号を発信してもよい。
【0088】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号は、近隣の燃料電池システムへ送信されてもよいし、異常発生を監視するコントロールセンター等へ送信されてもよい。
【0089】
演算器は、受信器20及び判定器30において説明した構成と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。受信器20及び判定器30の少なくとも一方を構成するハードウェアと、発信器50とを構成するハードウェアとは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0090】
本変形例の燃焼電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の燃料電池システム100と同様に構成することができる。よって、燃料電池システム100と燃料電池システム120において共通する構成要素には、同一の符号及び名称を付して説明を省略する。
【0091】
図9は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図9を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0092】
燃料電池システム120の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されると(ステップS112でYES)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を発信機60が発信し(ステップS113)、フローが終了する(エンド)。
【0093】
なお、ステップS113と、第1実施形態及びその変形例の各ステップとの前後関係は、特に限定されない。すなわち、ステップS113による発信のタイミングは、例えばステップS102で判定される信号の受信よりも前であってもよいし、後であってもよい。ステップS101において運転を停止する前であってもよいし、後であってもよい。
【0094】
(第2実施形態)
第2実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第5変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信すると、発電運転を停止する制御器を備える。
【0095】
運転を継続すると燃料電池システムの劣化を促進する原料組成であるにも拘わらず、起動時には異常として検知されても、発電運転時には異常として検知されにくい場合もある。
【0096】
本実施形態の構成では、発電運転の継続に伴い燃料電池システムの劣化が進行することを、抑制し得る。
【0097】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態及びその変形例について図1、3及び8に例示した構成のいずれかと同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
なお、本実施形態の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本実施形態の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0099】
本実施形態の燃料電池システムでは、制御器により実行される上記制御により、原料組成異常が発生しても、燃料電池システムの劣化の進行が抑制される。かかる原料組成異常の一例について説明する。
【0100】
本実施形態の燃料電池システムは、原料を用いて水素含有ガスを生成する水素生成器(図示せず)と、水素生成器を加熱する燃焼器(図示せず)とを備えている。ここで、例えば、原料組成中のLPガス成分が増加した場合に、水素生成器の温度が低い状態で水素生成器内に原料を通流させると、改質触媒等の触媒にC3H8などの原料中の高沸点成分が吸着しやすい。
【0101】
従って、水素生成器内を通過した原料を燃焼器で燃焼し、水素生成器の昇温を行う燃料電池システムでは、前記昇温により水素生成器が高温化すると、改質触媒等に吸着していた高沸点成分が一気に脱着し、燃焼器に流入する。すると、燃焼器では酸素不足のため不完全燃焼を起こしやすく、燃焼異常により停止しやすい。
【0102】
しかしながら、発電運転中に上記原料組成の変動が起こっても、水素生成器は既に高温になっているので、改質触媒等からの高沸点成分の脱着による燃焼異常は、発生しにくい。代わりに、S/Cが低下し、改質触媒上で炭素析出が発生しやすくなる。しかし、炭素析出に伴う改質触媒の劣化は初期段階では検知されにくく、検知された段階では、改質触媒あるいは水素生成器の交換を余儀なくさせられる場合が多い。
【0103】
このような場合に、制御器により上記制御が実行されると、燃料電池システムの劣化が進行することを抑制し得るので好ましい。
【0104】
なお、上記の原料組成異常は、運転を継続すると燃料電池システムの劣化を促進するにも拘わらず、起動時には異常として検知されても、発電運転時には異常として検知されにくい原料組成の一例に過ぎない。同様の状況が発生する原料組成であれば、上記制御を実行することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0105】
次に、本実施形態の燃料電池システムで実行される上記制御の一例について詳細に説明する。図10は、第2実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図10を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0106】
燃料電池システムの発電運転中において(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS201)。
【0107】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS201でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS202)、フローが終了する(エンド)。ステップS202の運転停止において、制御器50は、例えば、起動及び発電運転の少なくともいずれか一方を停止する。
【0108】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS201でNO)、再度、ステップS201に戻って判定を繰り返す。
【0109】
[第1変形例]
第1変形例の燃料電池システムは、起動時に原料組成変動の可能性を示す異常を検出する燃料電池システムであり、第2実施形態の燃料電池システムにおいて、制御器が、運転を停止後、再起動を行う。
【0110】
燃料電池システムに異常を発生させる原料組成変動が起こっているときは、再起動後に同様の異常が発生する。よって本変形例の構成では、例えば、燃料電池システムに異常を発生させる原料組成変動が起こっているか否か判定できる。
【0111】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第2実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0112】
なお、本変形例の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第2実施形態のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第2実施形態のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0113】
図11は、第2実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図11を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0114】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS201)。
【0115】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS201でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS202)、再起動し(ステップS203)、原料組成変動を示す異常が発生した場合(ステップS304でYES)、運転を停止し(ステップS501)、その旨の信号を発信する(ステップS502)。また、原料組成変動の異常が発生しなかった場合(ステップS304でNO)、そのまま運転を継続する(ステップS503)。ステップS203の再起動において、制御器50は、例えば、起動を開始する。
【0116】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS201でNO)、再度、ステップS201に戻って判定を繰り返す。
【0117】
(第3実施形態)
第3実施形態の燃料電池システムは、第2実施形態の第1変形例の燃料電池システムにおいて、再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える。
【0118】
かかる構成では、外部からの信号を受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しても、異常の原因が、原料組成変動ではない可能性を示す有用な情報を提供し得る。
【0119】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第2実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0120】
なお、本変形例の発信器は、第1実施形態の第5変形例の発信器と同一であってもよいし、別個であってもよい。換言すれば、1個の発信器が、本実施形態の発信器として機能すると共に第1実施形態の第5変形例の発信器として機能してもよいし、複数の発信器が、それぞれの変形例の発信器として機能してもよい。
【0121】
図12は、第3実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図12を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0122】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS301)。
【0123】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS301でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS302)、再起動する(ステップS303)。ステップS303の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0124】
その後、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されたか否かの判定が行われ(ステップS304)、判定結果がNOの場合には、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を発信機60が発信し(ステップS305)、フローが終了する(エンド)。ステップS305における信号の発信のタイミングは任意であり、例えば、近隣の燃料電池システムで発生した原料組成変動の可能性を示す異常と同じ異常を検出しなかった時点で発信してもよいし、原料組成変動の可能性を示すあらゆる異常が発生せず、発電運転が行われている時点で発信してもよい。
【0125】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS301でNO)、再度、ステップS301に戻って判定を繰り返す。
【0126】
ステップS304の判定結果がYESの場合、原料組成変動が生じていると判定し、運転を停止し(ステップS601)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を発信器が発信し(ステップS602)、フローが終了する(エンド)。
【0127】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の第3変形例の燃料電池システムにおいて、再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える。
【0128】
かかる構成では、外部からの信号を受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、燃料電池システムに異常を発生させない原料組成に戻ったという有用な情報を提供し得る。
【0129】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の第3変形例と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0130】
なお、本変形例の発信器は、第1実施形態の第5変形例の発信器と同一であってもよいし、別個であってもよい。換言すれば、1個の発信器が、本変形例の発信器として機能すると共に第1実施形態の第5変形例の発信器として機能してもよいし、複数の発信器が、それぞれの変形例の発信器として機能してもよい。
【0131】
図13は、第3実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図13を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0132】
燃料電池システムの運転が開始された後から、再起動までのステップ(スタート、ステップS101−S103、S109、S110)は、第1実施形態の第3変形例と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0133】
ステップS110の再起動がされた後、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されないと(ステップS304でNO)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を発信機60が発信し(ステップS305)、フローが終了する(エンド)。ステップS305における信号の発信のタイミングは任意であり、例えば、再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常を検出しなかった時点で発信してもよいし、原料組成変動の可能性を示すあらゆる異常が発生せず、発電運転が行われている時点で発信してもよい。
【0134】
原料組成変動の可能性を示す異常が検出されると(ステップS304でYES)、フローが終了する(エンド)。
【0135】
(第4実施形態)
第4実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態及び第2実施形態のいずれかの燃料電池システムにおいて、受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える。
【0136】
かかる構成では、変動した原料組成を要因とした異常により運転停止しない可能性が高いことを確認して、再起動するので、再起動後の異常停止が減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0137】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれかと同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0138】
なお、本実施形態の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第2実施形態、及び第2実施形態の第1変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本実施形態の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第2実施形態、及び第2実施形態の第1変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。-
図14は、第4実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図14を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0139】
運転停止状態において(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS401)。なお、スタートにおける運転停止状態は、例えば、第1実施形態のステップS101及び第2実施形態のステップS202のいずれか少なくとも一方により実現される運転停止状態であってもよい。
【0140】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS401でYES)、制御器50は、再起動し(ステップS402)、フローが終了する(エンド)。ステップS402の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0141】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS401でNO)、フローが終了する(エンド)。
【0142】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第4実施形態の燃料電池システムにおいて、制御器が、再起動後に再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常で運転を停止すると、次の起動を禁止する。
【0143】
再起動後、前回と同じ異常が発生する場合、原料組成変動による異常でなく、燃料電池システムへのメンテナンスをしなければ回復できない異常が発生しており、次に起動しても同様の異常停止をする可能性が高い。
【0144】
従って、本変形例の構成により、次の起動を禁止しない場合に比べ無駄な起動が抑制される。
【0145】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第4実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0146】
図15は、第4実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図15を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0147】
原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止し(ステップS101)、運転停止状態において、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS401)。
【0148】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS401でYES)、制御器50は、燃料電池システムを再起動する(ステップS402)。その後、最初の原料組成変動の可能性を示す異常と同じ異常による停止が発生した場合(ステップS403でYES)、制御器50は起動を禁止し(ステップS405)、フローが終了する(エンド)。
【0149】
同じ異常で停止しなかった場合(ステップS403でNO)には、フローが終了する(エンド)。
【0150】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の燃料電池システム及びその運転方法は、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る燃料電池システム及びその運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0152】
10 燃料電池ユニット
20 受信器
30 判定器
50 制御器
60 発信器
100、110、120 燃料電池システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、及びその運転方法に関する。より詳しくは、パイプライン等から供給される燃料により発電する燃料電池システムと、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーを有効に利用することが可能である分散型の発電装置として、発電効率及び総合効率が高い燃料電池コージェネレーションシステム(以下、単に「燃料電池システム」という)が注目されている。
【0003】
発電に用いられる原料としては、インフラストラクチャの点から、既存の天然ガスパイプラインが適している。天然ガスは限られた地域でのみ産出され、たとえば欧州において、北海及びロシア等からパイプラインで供給される。パイプラインは、様々な国を経由して最終消費国に至るため、国家間での対立等により、パイプラインを通じたガスの供給が遮断もしくは制限される事態が起こっている。このような場合、天然ガスが供給不足になるが、別の産地からの天然ガスが供給されたり、不足分をLPガスやプロパン、ブタン等の高熱量ガスと空気や窒素とともに天然ガスに混合する熱量調整が行われる。このような熱量調整は、欧州ではピークシェイビングと呼ばれ、冬季に天然ガス需要が増加した場合にも行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−80907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の燃料電池システムのような、熱量調整により原料組成の変動に限らず、一般的に原料組成が変動すると、不具合が生じやすいという課題があった。特に、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、かかる異常が原料組成変動によるものなのか、燃料電池システム自身の異常によるものなのかの判別が困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別可能とすべく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信させることで、判別の精度を向上できることに想到した。かかる構成は、原料組成変動の可能性を示す異常の種類に関わらず、あらゆる燃料電池システムに適用可能である。
【0008】
すなわち本発明にかかる燃料電池システムは、原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、外部から信号を受信する受信器と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、を備える。
【0009】
また、本発明にかかる燃料電池システムの運転方法は、原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、信号を外部から受信する工程と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法によれば、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1実施形態の第3変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1実施形態の第4変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第2実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第3実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、第3実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第4実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第4実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の燃料電池システムは、原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、外部からの信号を受信する受信器と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、を備える。
【0013】
また、第1実施形態の燃料電池システムの運転方法は、原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、信号を外部から受信する工程と、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、を備える。
【0014】
かかる構成では、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る。
【0015】
原料組成変動の可能性を示す異常は、原料の組成が変化したことを示す何らかの異常であればよい。具体的には、例えば、燃焼器における不完全燃焼及び水添脱硫器が備える水添触媒の高温異常等とすることができる。
【0016】
運転とは、起動及び発電運転の少なくともいずれか一方を含む。
【0017】
受信器を介した信号の受信のタイミングは、運転停止に対していずれでも構わない。具体的には、例えば、運転停止と同時でもあってもよいし、その前後であってもよい。
【0018】
判定器は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止した後、停止前および停止後の所定時間内に近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信したか否かに基づいて判定するのが好ましい。所定時間は、例えば、変動後の原料組成が維持されると推定される時間とすることができ、例えば、1日、半日等とすることができる。
【0019】
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す例では、本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30とを備える。
【0021】
燃料電池ユニット10は、原料を利用して発電する。具体的には、例えば、改質器(図示せず)及び燃料電池(図示せず)を備える。
【0022】
改質器は、原料及び水蒸気を用いて改質反応により水素含有ガスを生成する。改質反応は、原料ガスを用いる改質反応であれば、いずれの改質反応でもよく、具体的には、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応等が例示される。改質器の内部には、改質触媒が配設されている。改質触媒によって、改質反応が進行し、原料及び水から水素含有ガスを生成することができる。改質反応に要する熱は、例えば、燃焼器(図示せず)から供給される。改質触媒には、一般的に、Pt、Ru、Rh等の貴金属系触媒及びNiからなる群の中から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
【0023】
なお、改質器の下流に改質器で生成された水素含有ガス中の一酸化炭素を低減するためのCO低減器を設けても構わない。CO低減器は、シフト反応により一酸化炭素を低減させる変成触媒を備える変成器と、酸化反応及びメタン化反応の少なくともいずれか一方により一酸化炭素を低減させるCO除去触媒を備えるCO除去器との少なくともいずれか一方を備える。
【0024】
燃料電池ユニット10が備える燃料電池は、いずれの種類の燃料電池であってもよく、例えば、高分子電解質形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、及び、りん酸形燃料電池等を用いることができる。高分子電解質形燃料電池の場合、燃料電池システム100において、改質器と燃料電池とが別個に構成される。固体酸化物形燃料電池の場合、改質器と燃料電池とが一つの容器内に内蔵されてもよい。具体的には例えば、改質反応を実行する改質部と燃料電池部とをそれぞれ個別に有する間接内部改質型、及び、燃料電池本体内部で改質反応も行う直接内部改質型のいずれであってもよい。つまり、燃料電池に改質器が内蔵された形態が採用される場合があり、本発明の燃料電池システムは、そのような形態も含むものである。
【0025】
原料は、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含み、具体的には、天然ガス、都市ガス、LPG、LNG等の炭化水素、メタノール等のアルコールが例示される。都市ガスとは、ガス会社から配管を通じて各家庭等に供給されるガスをいう。原料供給源として、これらのガスのインフラストラクチャ等が例示される。
【0026】
受信器20は、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信する。受信器20は、無線通信を利用する場合には、例えば、演算器と、I/Oと、アンテナとから構成されうる。受信器20は、有線通信を利用して、外部から信号を受信してもよい。
【0027】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号は、近隣の燃料電池システムから直接送信されてもよいし、異常発生を監視するコントロールセンター等から送信されてもよい。
【0028】
ここで、原料組成変動の可能性を示す異常とは、上記の通り、原料の組成が変化したことを示す何らかの異常であればよい。具体的には、例えば、原料を含む可燃性ガスを燃焼する燃焼器(図示せず)において発生する不完全燃焼が挙げられる。例えば、原料中にC3H8等の高沸点成分が高濃度で含まれると、起動時に改質器を昇温しているときに、燃焼器で不完全燃焼が発生しやすい。これは、起動時に改質器内を通過した原料を燃焼器で燃焼し、改質器の昇温を行う場合、改質器が高温化する前に改質触媒に吸着したC3H8などの高沸点成分が、前記改質器が高温化すると一気に脱着し、燃焼器に流入するからである。なお、原料中の上記高沸点成分の濃度が上昇する場合としては、ピークシェイビング、原料において、高沸点成分の濃度が高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。
【0029】
また、上記異常の他の例として、水添脱硫器の過昇温が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の酸素濃度の上昇により、水添脱硫器内で水素が燃焼し、水添脱硫器が過昇温しやすい。なお、バイオガス中にも酸素が含まれる場合があるので、原料におけるバイオガスの比率が上昇すると、同様に過昇温し得る。
【0030】
また、上記異常の他の例として、改質器の過昇温が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の酸素濃度の上昇により、改質器が過昇温しやすい。なお、上記において、水添脱硫器を設けていても、原料中の酸素濃度、または水添脱硫のために原料に添加される水素の量によっては、原料中の酸素が水添脱硫器で完全に消費されず、改質器に酸素が供給され得る。
【0031】
また、上記異常の他の例として、改質器の過降温が挙げられる。例えば、原料中に含まれる硫黄濃度が上昇すると、脱硫器で十分脱硫できず、改質触媒の劣化が進行し、改質器で生成される水素含有ガスの量が目標量よりも低下する。すると、燃焼器が改質器で生成した水素含有ガスを用いて燃焼しているとき、過降温しやすい。なお、原料中の硫黄濃度が上昇する場合としては、原料において、硫黄濃度の高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスとが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。これは、一般的にバイオガスは、天然ガスに比べ、硫黄濃度が高いからである。また、原料中に含まれるC2以上の炭化水素成分が増加すると、S/Cが上昇して、改質触媒上で炭素析出が発生し、改質触媒が劣化する。これにより、上記と同様に改質器の温度が過降温しやすくなる。なお、原料中のC2以上の炭化水素成分が増加する場合としては、ピークシェイビング、C2以上の炭化水素成分の濃度が高いガス産地からの供給ガスの比率が上昇する場合、天然ガスとバイオガスが混合された原料において、バイオガスの比率が上昇する場合等が例示される。
【0032】
また、上記異常の他の例として、燃料電池の不足電圧が挙げられる。例えば、ピークシェイビングが実行されると、原料中の窒素濃度の上昇により、改質器においてアンモニアが生成し、アンモニアが燃料電池に流入すると燃料電池の電圧が低下しやすい。なお、バイオガス中にも窒素が含まれる場合があるので、原料におけるバイオガスの比率が上昇すると、同様に燃料電池の出力電圧が不足し得る。また、上記の改質器の過降温が生じる原料組成においては、上記の通り、改質器での水素含有ガスが目標量に対して低下するので、燃料電池の不足電圧として、原料組成の変動が現れ得る。
【0033】
なお、原料組成変動の可能性を示す異常は、図示されない異常検知器により検知される。この異常検知器は、上記異常に限らず、他の異常を検知するように構成されていてもよい。また、異常検知器により異常が検知されると、図示されない制御器により、燃料電池システムの運転が停止される。ここで、制御器は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。制御器は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0034】
判定器30は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止したとき、受信器を介した前記信号、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号、の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、受信器を介した前記信号、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号、の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない。
【0035】
判定器30は、判定機能を有するものであればよく、例えば、演算処理部と、判定プログラムを記憶する記憶部とを備える。例えば、判定器は、マイクロコントローラ、PLC(Programmable Logic Controller) 等が例示される。また、演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。判定器は、単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散判定を行う複数の判定器で構成されていてもよい。受信器20と判定器30とを構成するハードウェアは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0036】
[運転方法]
図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図2を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。なお、以下の動作は例えば、判定器30が演算器とI/Oとから構成される場合には、例えば、記憶部に記憶されたプログラムが演算処理部により実行されることにより、実現されうる(以下、変形例及び他の実施形態においても同様)。
【0037】
燃料電池システム100の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0038】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、判定動作を終了する(エンド)。
【0039】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、判定動作を終了する(エンド)。
【0040】
なお、上記の説明では、運転停止後に信号の受信と判定が行われたが、順序はこれに限定されない。近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信するとその旨を判別器30が記憶し、その後、原料組成変動の可能性を示す異常が検知された時に、判別器30が原料組成変動が生じていると判定してもよい。
【0041】
また、ステップS101では、必ずしも運転は停止されなくてもよい。
【0042】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する、制御器を備える。
【0043】
原料組成変動により異常が発生した場合は、次の起動時には原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性もある。本変形例の構成では、原料組成変動による異常の可能性が高いにも拘わらず、次の起動が禁止される燃料電池システムに比べ、起動性が向上する。
【0044】
「起動を待機する」とは、起動要求が発生することを待機することとして定義される。起動が待機されている状態で、起動要求が発生すると、制御器(図示せず)は、燃料電池システムの起動を開始する。なお、「起動要求が発生する」とは、例えば、使用者の操作により操作器(例えば、リモコン)を介して運転開始が指示されること、予め設定された起動予定時刻を迎えること、電力負荷需要が、燃料電池の発電を必要とする所定の電力閾値以上になること等が挙げられる。
【0045】
図3は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図3に示す例では、本変形例の燃料電池システム110は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30と、制御器50とを備える。
【0047】
制御器50は、原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止したとき、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する。制御器50は、例えば、演算器と、I/Oとから構成されうる。
【0048】
演算器は、受信器20及び判定器30において説明した構成と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。受信器20及び判定器30の少なくとも一方を構成するハードウェアと、制御器50とを構成するハードウェアとは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0049】
本変形例の燃焼電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の燃料電池システム100と同様に構成することができる。よって、燃料電池システム100と燃料電池システム110において共通する構成要素には、同一の符号及び名称を付して説明を省略する。
【0050】
図4は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0051】
燃料電池システム110の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0052】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、制御器50は、起動を待機し(ステップS105)、フローが終了する(エンド)。起動待機において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされたら直ちに起動動作を開始できる状態に、燃料電池システムを維持する。
【0053】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0054】
[第2変形例]
第2変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、起動を禁止し、所定時間が経過すると次の起動を待機する、制御器を備える。
【0055】
かかる構成では、運転を停止後、起動禁止期間を設けずに、起動を待機する第1変形例の燃料電池システムに比べ、次の起動を開始したときに原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性が高い。つまり、第1変形例に比べ、次の運転を行ったときに、同様の異常で運転停止することが減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0056】
「起動を禁止する」とは、起動要求を許可しないこととして定義される。起動が禁止されている状態で、起動要求が発生すると、制御器(図示せず)は、燃料電池システムの起動を開始しない。「起動要求が発生する」、及び「起動を待機する」とは第1実施例と同様の内容であるのその説明を省略する。
【0057】
また、所定時間は、例えば、原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻るのに必要な時間として定義され、例えば、1日、半日等とすることができる。
【0058】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0059】
図5は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図5を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0060】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0061】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、制御器50は、起動を禁止し(ステップS106)、所定時間が経過すると(ステップS107でYES)、制御器50は、起動を待機し(ステップS108)、フローが終了する(エンド)。
【0062】
ステップS106の起動禁止において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされても起動動作を開始しない状態に、燃料電池システムを維持する。ステップS107の所定時間は、例えば、変動後の原料組成が維持されると推定される時間とすることができ、例えば、1日、半日等とすることができる。ステップS108の起動待機において、制御器50は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされたら直ちに起動動作を開始できる状態に、燃料電池システムを維持する。
【0063】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0064】
[第3変形例]
第3変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、所定時間後に再起動を行う、制御器を備える。
【0065】
かかる構成では、運転停止後、所定時間待機せずに、再起動を行う場合に比べ、再起動時に原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻っている可能性が高い。従って、本変形例の燃料電池システムは、運転停止後、所定時間待機せずに、再起動を行う場合に比べ、同様の異常で運転停止することが減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0066】
所定時間は、例えば、原料組成が燃料電池システムに異常を発生させない組成に戻るのに必要な時間とすることができる。この時間は、過去のデータ等に基づき適宜設定されうる。
【0067】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0068】
なお、本変形例の制御器は、第1変形例及び第2変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に第1変形例及び第2変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0069】
図6は、第1実施形態の第3変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0070】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0071】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、所定時間が経過すると(ステップS109でYES)、制御器50は、再起動し(ステップS110)、フローが終了する(エンド)。ステップS110の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0072】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、フローが終了する(エンド)。
【0073】
[第4変形例]
第4変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、判定器が原料組成変動が生じていると判定しないと、起動を禁止する、制御器を備えてもよい。
【0074】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合において、異常が原料組成変動により発生したものでない場合、燃料電池システムそのものに異常があるため、次に起動しても同様の異常で運転停止する可能性が高い。
【0075】
従って、本変形例の構成により、同様の異常で運転停止が発生することを避け、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0076】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1変形例において図3に例示した構成と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0077】
なお、本変形例の制御器は、第1変形例、第2変形例及び第3変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に、第1変形例、第2変形例及び第3変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0078】
図7は、第1実施形態の第4変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図7を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0079】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検知されると運転が停止される(ステップS101)。
【0080】
次に、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS102でYES)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定し(ステップS103)、フローが終了する(エンド)。
【0081】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS102でNO)、判定器30は、原料組成変動が生じていると判定せず(ステップS104)、制御器は起動を禁止し(ステップS111)、フローが終了する(エンド)。ステップS111の起動禁止において、制御器は、例えば、起動スイッチ(図示せず)がONにされても起動動作を開始しない状態に、燃料電池システムを維持する。
【0082】
なお、本変形例における燃料電池システムの運転方法は、ステップS106〜S108を備えていてもよいし、ステップS109及びS110を備えていてもよい。すなわち、本変形例は、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例と任意に組み合わせて実施することができる。
【0083】
[第5変形例]
第5変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常が発生した旨の信号を発信する発信器を備える。
【0084】
かかる構成では、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を外部から受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、有用な情報を提供することができる。
【0085】
図8は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0086】
図8に示す例では、本変形例の燃料電池システム120は、燃料電池ユニット10と、受信器20と、判定器30と、発信器60とを備える。
【0087】
発信器60は、原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常、すなわち原料組成変動の可能性を示す異常、が発生した旨の信号を発信する。発信器50は、無線通信を利用する場合には、例えば、演算器と、I/Oと、アンテナとから構成されうる。発信器50は、有線通信を利用して、外部へと信号を発信してもよい。
【0088】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号は、近隣の燃料電池システムへ送信されてもよいし、異常発生を監視するコントロールセンター等へ送信されてもよい。
【0089】
演算器は、受信器20及び判定器30において説明した構成と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。受信器20及び判定器30の少なくとも一方を構成するハードウェアと、発信器50とを構成するハードウェアとは、共通であってもよいし、別異であっていてもよいし、一部が同一であり一部が別個に構成されていてもよい。
【0090】
本変形例の燃焼電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の燃料電池システム100と同様に構成することができる。よって、燃料電池システム100と燃料電池システム120において共通する構成要素には、同一の符号及び名称を付して説明を省略する。
【0091】
図9は、第1実施形態の第5変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図9を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0092】
燃料電池システム120の運転が開始された後(スタート)、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されると(ステップS112でYES)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を発信機60が発信し(ステップS113)、フローが終了する(エンド)。
【0093】
なお、ステップS113と、第1実施形態及びその変形例の各ステップとの前後関係は、特に限定されない。すなわち、ステップS113による発信のタイミングは、例えばステップS102で判定される信号の受信よりも前であってもよいし、後であってもよい。ステップS101において運転を停止する前であってもよいし、後であってもよい。
【0094】
(第2実施形態)
第2実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第5変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信すると、発電運転を停止する制御器を備える。
【0095】
運転を継続すると燃料電池システムの劣化を促進する原料組成であるにも拘わらず、起動時には異常として検知されても、発電運転時には異常として検知されにくい場合もある。
【0096】
本実施形態の構成では、発電運転の継続に伴い燃料電池システムの劣化が進行することを、抑制し得る。
【0097】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態及びその変形例について図1、3及び8に例示した構成のいずれかと同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0098】
なお、本実施形態の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本実施形態の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例及び第4変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0099】
本実施形態の燃料電池システムでは、制御器により実行される上記制御により、原料組成異常が発生しても、燃料電池システムの劣化の進行が抑制される。かかる原料組成異常の一例について説明する。
【0100】
本実施形態の燃料電池システムは、原料を用いて水素含有ガスを生成する水素生成器(図示せず)と、水素生成器を加熱する燃焼器(図示せず)とを備えている。ここで、例えば、原料組成中のLPガス成分が増加した場合に、水素生成器の温度が低い状態で水素生成器内に原料を通流させると、改質触媒等の触媒にC3H8などの原料中の高沸点成分が吸着しやすい。
【0101】
従って、水素生成器内を通過した原料を燃焼器で燃焼し、水素生成器の昇温を行う燃料電池システムでは、前記昇温により水素生成器が高温化すると、改質触媒等に吸着していた高沸点成分が一気に脱着し、燃焼器に流入する。すると、燃焼器では酸素不足のため不完全燃焼を起こしやすく、燃焼異常により停止しやすい。
【0102】
しかしながら、発電運転中に上記原料組成の変動が起こっても、水素生成器は既に高温になっているので、改質触媒等からの高沸点成分の脱着による燃焼異常は、発生しにくい。代わりに、S/Cが低下し、改質触媒上で炭素析出が発生しやすくなる。しかし、炭素析出に伴う改質触媒の劣化は初期段階では検知されにくく、検知された段階では、改質触媒あるいは水素生成器の交換を余儀なくさせられる場合が多い。
【0103】
このような場合に、制御器により上記制御が実行されると、燃料電池システムの劣化が進行することを抑制し得るので好ましい。
【0104】
なお、上記の原料組成異常は、運転を継続すると燃料電池システムの劣化を促進するにも拘わらず、起動時には異常として検知されても、発電運転時には異常として検知されにくい原料組成の一例に過ぎない。同様の状況が発生する原料組成であれば、上記制御を実行することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0105】
次に、本実施形態の燃料電池システムで実行される上記制御の一例について詳細に説明する。図10は、第2実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図10を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0106】
燃料電池システムの発電運転中において(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS201)。
【0107】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS201でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS202)、フローが終了する(エンド)。ステップS202の運転停止において、制御器50は、例えば、起動及び発電運転の少なくともいずれか一方を停止する。
【0108】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS201でNO)、再度、ステップS201に戻って判定を繰り返す。
【0109】
[第1変形例]
第1変形例の燃料電池システムは、起動時に原料組成変動の可能性を示す異常を検出する燃料電池システムであり、第2実施形態の燃料電池システムにおいて、制御器が、運転を停止後、再起動を行う。
【0110】
燃料電池システムに異常を発生させる原料組成変動が起こっているときは、再起動後に同様の異常が発生する。よって本変形例の構成では、例えば、燃料電池システムに異常を発生させる原料組成変動が起こっているか否か判定できる。
【0111】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第2実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0112】
なお、本変形例の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第2実施形態のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本変形例の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例及び第2実施形態のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。
【0113】
図11は、第2実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図11を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0114】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS201)。
【0115】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS201でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS202)、再起動し(ステップS203)、原料組成変動を示す異常が発生した場合(ステップS304でYES)、運転を停止し(ステップS501)、その旨の信号を発信する(ステップS502)。また、原料組成変動の異常が発生しなかった場合(ステップS304でNO)、そのまま運転を継続する(ステップS503)。ステップS203の再起動において、制御器50は、例えば、起動を開始する。
【0116】
近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS201でNO)、再度、ステップS201に戻って判定を繰り返す。
【0117】
(第3実施形態)
第3実施形態の燃料電池システムは、第2実施形態の第1変形例の燃料電池システムにおいて、再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える。
【0118】
かかる構成では、外部からの信号を受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しても、異常の原因が、原料組成変動ではない可能性を示す有用な情報を提供し得る。
【0119】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第2実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0120】
なお、本変形例の発信器は、第1実施形態の第5変形例の発信器と同一であってもよいし、別個であってもよい。換言すれば、1個の発信器が、本実施形態の発信器として機能すると共に第1実施形態の第5変形例の発信器として機能してもよいし、複数の発信器が、それぞれの変形例の発信器として機能してもよい。
【0121】
図12は、第3実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図12を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0122】
燃料電池システムの運転が開始された後(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS301)。
【0123】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS301でYES)、制御器50は、運転を停止し(ステップS302)、再起動する(ステップS303)。ステップS303の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0124】
その後、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されたか否かの判定が行われ(ステップS304)、判定結果がNOの場合には、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を発信機60が発信し(ステップS305)、フローが終了する(エンド)。ステップS305における信号の発信のタイミングは任意であり、例えば、近隣の燃料電池システムで発生した原料組成変動の可能性を示す異常と同じ異常を検出しなかった時点で発信してもよいし、原料組成変動の可能性を示すあらゆる異常が発生せず、発電運転が行われている時点で発信してもよい。
【0125】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS301でNO)、再度、ステップS301に戻って判定を繰り返す。
【0126】
ステップS304の判定結果がYESの場合、原料組成変動が生じていると判定し、運転を停止し(ステップS601)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を発信器が発信し(ステップS602)、フローが終了する(エンド)。
【0127】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第1実施形態の第3変形例の燃料電池システムにおいて、再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える。
【0128】
かかる構成では、外部からの信号を受信する受信器を備える近隣の燃料電池システムに、燃料電池システムに異常を発生させない原料組成に戻ったという有用な情報を提供し得る。
【0129】
本変形例の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態の第3変形例と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0130】
なお、本変形例の発信器は、第1実施形態の第5変形例の発信器と同一であってもよいし、別個であってもよい。換言すれば、1個の発信器が、本変形例の発信器として機能すると共に第1実施形態の第5変形例の発信器として機能してもよいし、複数の発信器が、それぞれの変形例の発信器として機能してもよい。
【0131】
図13は、第3実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図13を参照しつつ、本変形例における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0132】
燃料電池システムの運転が開始された後から、再起動までのステップ(スタート、ステップS101−S103、S109、S110)は、第1実施形態の第3変形例と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0133】
ステップS110の再起動がされた後、原料組成変動の可能性を示す異常が検出されないと(ステップS304でNO)、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を発信機60が発信し(ステップS305)、フローが終了する(エンド)。ステップS305における信号の発信のタイミングは任意であり、例えば、再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常を検出しなかった時点で発信してもよいし、原料組成変動の可能性を示すあらゆる異常が発生せず、発電運転が行われている時点で発信してもよい。
【0134】
原料組成変動の可能性を示す異常が検出されると(ステップS304でYES)、フローが終了する(エンド)。
【0135】
(第4実施形態)
第4実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態及び第2実施形態のいずれかの燃料電池システムにおいて、受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える。
【0136】
かかる構成では、変動した原料組成を要因とした異常により運転停止しない可能性が高いことを確認して、再起動するので、再起動後の異常停止が減少し、燃料電池システムの無駄な運転を低減し得る。
【0137】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれかと同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0138】
なお、本実施形態の制御器は、第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第2実施形態、及び第2実施形態の第1変形例のいずれかの制御器と同一であってもよいし、別個であってもよいし、一部のみが同一であってもよい。換言すれば、1個の制御器が、本実施形態の制御器として機能すると共に第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第2実施形態、及び第2実施形態の第1変形例のいずれかの制御器として機能してもよいし、複数の制御器が、それぞれの実施形態及び変形例のいずれかの制御器として機能してもよい。-
図14は、第4実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図14を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0139】
運転停止状態において(スタート)、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS401)。なお、スタートにおける運転停止状態は、例えば、第1実施形態のステップS101及び第2実施形態のステップS202のいずれか少なくとも一方により実現される運転停止状態であってもよい。
【0140】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS401でYES)、制御器50は、再起動し(ステップS402)、フローが終了する(エンド)。ステップS402の再起動において、制御器50は、起動を開始する。
【0141】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信しないと(ステップS401でNO)、フローが終了する(エンド)。
【0142】
[第1変形例]
第1変形例にかかる燃料電池システムは、第4実施形態の燃料電池システムにおいて、制御器が、再起動後に再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常で運転を停止すると、次の起動を禁止する。
【0143】
再起動後、前回と同じ異常が発生する場合、原料組成変動による異常でなく、燃料電池システムへのメンテナンスをしなければ回復できない異常が発生しており、次に起動しても同様の異常停止をする可能性が高い。
【0144】
従って、本変形例の構成により、次の起動を禁止しない場合に比べ無駄な起動が抑制される。
【0145】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、上記以外の構成は、第4実施形態と同様とすることができるので、共通する構成要素には同一の名称及び符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0146】
図15は、第4実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。以下、図15を参照しつつ、本実施形態における燃料電池システムの運転方法について説明する。
【0147】
原料組成変動の可能性を示す異常により運転を停止し(ステップS101)、運転停止状態において、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信したか否かの判定が、判定器30により行われる(ステップS401)。
【0148】
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信器20が受信すると(ステップS401でYES)、制御器50は、燃料電池システムを再起動する(ステップS402)。その後、最初の原料組成変動の可能性を示す異常と同じ異常による停止が発生した場合(ステップS403でYES)、制御器50は起動を禁止し(ステップS405)、フローが終了する(エンド)。
【0149】
同じ異常で停止しなかった場合(ステップS403でNO)には、フローが終了する(エンド)。
【0150】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の燃料電池システム及びその運転方法は、原料組成変動の可能性を示す異常が発生した場合に、かかる異常が原料組成変動によるものか否かを、従来よりも精度よく判別し得る燃料電池システム及びその運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0152】
10 燃料電池ユニット
20 受信器
30 判定器
50 制御器
60 発信器
100、110、120 燃料電池システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、
外部からの信号を受信する受信器と、
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、起動を禁止し、所定時間が経過すると次の起動を待機する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定しないと、起動を禁止する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常が発生した旨の信号を発信する発信器を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信すると、発電運転を停止する制御器を備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
起動時に原料組成変動の可能性を示す異常を検出する燃料電池システムであり、
前記制御器は、発電運転を停止後、再起動を行う、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、所定時間後に再起動を行う、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える、請求項7または9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記制御器は、再起動後に再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常で運転を停止すると、次の起動を禁止する、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
さらに、原料を用いて水素含有ガスを生成する水素生成器と、
前記水素生成器を加熱する燃焼器とを備え、
前記異常は、起動時の前記燃焼器における不完全燃焼を含む、請求項1ないし12のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項14】
原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、
信号を外部から受信する工程と、
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、
を備える、燃料電池システムの運転方法。
【請求項1】
原料を利用して発電する燃料電池ユニットと、
外部からの信号を受信する受信器と、
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、
近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の前記受信器を介した受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない判定器と、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、次の起動を待機する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、起動を禁止し、所定時間が経過すると次の起動を待機する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定しないと、起動を禁止する、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、前記異常が発生した旨の信号を発信する発信器を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて起動時に原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号を受信すると、発電運転を停止する制御器を備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
起動時に原料組成変動の可能性を示す異常を検出する燃料電池システムであり、
前記制御器は、発電運転を停止後、再起動を行う、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると運転を停止し、前記判定器が原料組成変動が生じていると判定すると、所定時間後に再起動を行う、制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
再起動後、原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかったとき、その旨の信号を発信する発信器を備える、請求項7または9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記受信器を介して、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生しなかった旨の信号を受信すると、再起動する制御器を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記制御器は、再起動後に再起動前の運転時に発生した異常と同じ異常で運転を停止すると、次の起動を禁止する、請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
さらに、原料を用いて水素含有ガスを生成する水素生成器と、
前記水素生成器を加熱する燃焼器とを備え、
前記異常は、起動時の前記燃焼器における不完全燃焼を含む、請求項1ないし12のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項14】
原料を利用して燃料電池ユニットが発電する工程と、
信号を外部から受信する工程と、
原料組成変動の可能性を示す異常が発生すると、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がある場合には原料組成変動が生じていると判定し、近隣の燃料電池システムにおいて原料組成変動の可能性を示す異常が発生した旨の信号の受信がない場合には原料組成変動が生じていると判定しない工程と、
を備える、燃料電池システムの運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−73922(P2013−73922A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214666(P2011−214666)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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