燃料電池スタック
【課題】外部からの荷重に対して、セパレータの変形によるシール性の低下や前記セパレータの短絡を確実に阻止することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック10を構成する各燃料電池ユニット12は、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28を備える。第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28の外周部には、それぞれ所定の位置に所定数の荷重受け部76、80及び82が一体化されるとともに、前記荷重受け部80は、前記荷重受け部76、82よりもケーシング14側に突出する。荷重受け部76、80及び82に樹脂クリップ88が挿入されることにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28は、前記樹脂クリップ88を介して一体に保持される。
【解決手段】燃料電池スタック10を構成する各燃料電池ユニット12は、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28を備える。第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28の外周部には、それぞれ所定の位置に所定数の荷重受け部76、80及び82が一体化されるとともに、前記荷重受け部80は、前記荷重受け部76、82よりもケーシング14側に突出する。荷重受け部76、80及び82に樹脂クリップ88が挿入されることにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28は、前記樹脂クリップ88を介して一体に保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)を、セパレータによって挟持して構成されている。
【0003】
この種の燃料電池では、通常、数十〜数百の燃料電池を積層して燃料電池スタックを構成している。その際、燃料電池自体及び前記燃料電池同士を正確に位置決めする必要があり、例えば、特許文献1に開示された燃料電池が知られている。
【0004】
この燃料電池は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を、第1及び第2セパレータで挟持して構成される燃料電池であって、前記第1及び第2セパレータは、第1及び第2位置決め用孔部を設け、前記第1及び第2位置決め用孔部に、第1及び第2絶縁性位置決め部材が装着されるとともに、前記第1絶縁性位置決め部材の内周壁部に、前記第2絶縁性位置決め部材の外周壁部が嵌合することにより、前記第1及び第2セパレータ同士が絶縁状態で位置決めされる。
【0005】
また、特許文献2には、電解質の両側に一対の電極を設ける電解質・電極構造体を、第1及び第2セパレータで挟持する単位セルを備える燃料電池であって、前記第1及び第2セパレータの外周を、複数個所で保持する複数の金属クリップ部材を備え、前記金属クリップ部材は、側板部と、前記側板部の端部で屈曲して前記第1及び第2セパレータの外周を把持する第1及び第2舌片部とを有し、前記第1及び第2舌片部は、前記側板部よりも長尺に構成されるとともに、ばね性を備えることを特徴とする燃料電池が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−172094号公報(図3)
【特許文献2】特開2004−241208号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃料電池スタックは、燃料電池の積層方向に延在するタイロッドを介して前記積層方向に締め付け荷重を付与する構造の他、積層された燃料電池をボックス状のケーシング内に収容して前記積層方向に締め付け荷重を付与する構造等が採用されており、通常、車載用として各種車両に搭載されている。
【0008】
その際、車両の衝突時に、例えば、ケーシングが変形してセパレータに接触すると、前記ケーシングを介して前記セパレータが短絡したり、前記セパレータが変形して燃料電池内のシール性が低下したりするという問題がある。
【0009】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、外部からの荷重に対して、セパレータの変形によるシール性の低下や前記セパレータの短絡を確実に阻止することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックに関するものである。この燃料電池スタックは、複数のセパレータを積層方向に一体に保持する接続部材と、前記接続部材により一体に保持される前記セパレータの中、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられ、他のセパレータの外周部より外方に突出して外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部とを備えている。
【0011】
また、樹脂製ガイド部には、接続部材である絶縁性クリップを挿入するための孔部が積層方向に形成されることが好ましい。
【0012】
さらに、絶縁性クリップは、略円柱状を有するとともに、軸方向に延在してスリットが形成されることが好ましい。
【0013】
さらにまた、樹脂製ガイド部には、外部からの荷重が付与される際、前記樹脂製ガイド部を破損可能な複数の孔部が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃料電池の積層方向に交差する方向から外部荷重が付与されると、少なくとも1つのセパレータの外周部に外方に突出して設けられている樹脂製ガイド部が、前記外部荷重を受ける。その際、複数のセパレータは、接続部材により一体に保持されており、樹脂製ガイド部に付与された外部荷重が、前記接続部材を介して前記複数のセパレータに分散される。
【0015】
これにより、燃料電池自体のずれによるシール性の低下を良好に阻止することができ、しかもセパレータの短絡が惹起することがない。さらに、燃料電池の組み立て時には、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられている樹脂製ガイド部が組み立てガイド上を摺動するため、全てのセパレータを摺動させる場合に比べ、摺動抵抗が低減されて組み立て作業が容易に遂行可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の概略斜視説明図である。
【0017】
燃料電池スタック10は、複数の燃料電池ユニット12を矢印A方向に積層してケーシング14内に収容している。ケーシング14は、燃料電池ユニット12の積層方向両端に配置されるエンドプレート16a、16bと、前記燃料電池ユニット12の側部に配置される4枚の側部プレート18a〜18dと、前記エンドプレート16a、16b及び前記側部プレート18a〜18dを互いに連結するヒンジ機構20とを備える。
【0018】
図2に示すように、燃料電池ユニット12は、少なくとも第1電解質膜(電解質)・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bと、少なくとも第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28とを設ける。第1セパレータ24及び第2セパレータ26の間で第1電解質膜・電極構造体22aを挟持する一方、前記第2セパレータ26及び第3セパレータ28の間で第2電解質膜・電極構造体22bを挟持する。第1セパレータ24〜第3セパレータ28は、金属セパレータで構成されているが、例えば、カーボンセパレータを採用してもよい。
【0019】
燃料電池ユニット12の長辺方向(図2中、矢印C方向)の一端縁部(上端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔30aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔32aとが設けられる。
【0020】
燃料電池ユニット12の長辺方向の他端縁部(下端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔32bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔30bとが設けられる。
【0021】
燃料電池ユニット12の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、冷却媒体を供給するための2つの冷却媒体入口連通孔34aが設けられるとともに、前記燃料電池ユニット12の短辺方向の他端縁部には、冷却媒体を排出するための2つの冷却媒体出口連通孔34bが設けられる。
【0022】
第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜36と、前記固体高分子電解質膜36を挟持するアノード側電極38及びカソード側電極40とを備える。
【0023】
アノード側電極38及びカソード側電極40は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜36の両面に形成される。
【0024】
第1セパレータ24の第1電解質膜・電極構造体22aに向かう面24aには、燃料ガス入口連通孔32aと燃料ガス出口連通孔32bとを連通する第1燃料ガス流路42が形成される。この第1燃料ガス流路42は、例えば、矢印C方向に延在する複数の溝部により構成される。第1セパレータ24の面24bには、冷却媒体入口連通孔34aと冷却媒体出口連通孔34bとを連通する冷却媒体流路44が形成される。この冷却媒体流路44は、矢印B方向に延在する複数の溝部により構成される。
【0025】
第2セパレータ26の第1電解質膜・電極構造体22aに向かう面26aには、例えば、矢印C方向に延在する複数の溝部からなる第1酸化剤ガス流路46が設けられるとともに、この第1酸化剤ガス流路46は、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通する。第2セパレータ26の第2電解質膜・電極構造体22bに向かう面26bには、燃料ガス入口連通孔32aと燃料ガス出口連通孔32bとを連通する第2燃料ガス流路48が形成される。
【0026】
第3セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体22bに向かう面28aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bと連通する第2酸化剤ガス流路50が設けられる。第3セパレータ28の面28bには、第1セパレータ24の面24bと重なり合って冷却媒体流路44が一体的に形成される。
【0027】
第1セパレータ24の面24a、24bには、この第1セパレータ24の外周端縁部を周回して第1シール部材52が一体成形される。第2セパレータ26の面26a、26bには、この第2セパレータ26の外周端縁部を周回して第2シール部材54が一体成形されるとともに、第3セパレータ28の面28a、28bには、この第3セパレータ28の外周端縁部を周回して第3シール部材56が一体成形される。
【0028】
燃料電池スタック10は、燃料電池ユニット12を構成する第1セパレータ24〜第3セパレータ28同士を相互に位置決めするための位置決め機構60を備える。位置決め機構60は、第2セパレータ26の矢印C方向両端縁部に一体成形される樹脂材料製位置決め部材62と、第1セパレータ24に形成される第1孔部64と、第3セパレータ28に設けられ、前記第1孔部64よりも小径な第2孔部66とを備える。
【0029】
図3に示すように、位置決め部材62は、略リング状を有し、第1セパレータ24の第1孔部64に嵌合する第1凸状部68と、第3セパレータ28の第2孔部66に嵌合する第2凸状部70とを有する。位置決め部材62は、第1凸状部68側に円形状穴部72を設ける一方、第2凸状部70側に、他の位置決め部材62の穴部72に嵌合して前記位置決め部材62同士を位置決めする突起部74を設ける。
【0030】
図2に示すように、第1セパレータ24の外周部には、複数の樹脂製荷重受け部76が、後述するように、前記第1セパレータ24を構成する金属プレートの切り欠き部に対応して一体化される。各荷重受け部76には、孔部78a、78bが互いに並列して設けられる。
【0031】
第2セパレータ26及び第3セパレータ28には、それぞれ第1セパレータ24の各荷重受け部76と矢印A方向に重ね合う位置に対応して、複数の樹脂製荷重受け部80、82が一体化される。各荷重受け部80、82には、荷重受け部76の孔部78a、78bと矢印A方向に連通して孔部84a、84b及び86a、86bが形成される。
【0032】
図4に示すように、孔部78a、78bの直径は、孔部84a、84b及び86a、86bの直径よりも小径に設定されるとともに、荷重受け部76、80及び82の中、少なくとも前記荷重受け部80は、他の荷重受け部76、82よりも外方に突出する。この荷重受け部80は、ケーシング14を介して外部から付与される荷重(外部荷重)を受けるとともに、各燃料電池ユニット12の積層時にガイド機能を有する樹脂製ガイド部を構成する。なお、第2セパレータ26にのみ荷重受け部80を設け、第1セパレータ24及び第3セパレータ28に荷重受け部76、82を設けなくてもよい。
【0033】
積層方向に対して一つ置きに配置される燃料電池ユニット12では、孔部78a、84a及び86aに、接続部材、例えば、絶縁性樹脂クリップ88が挿入されるとともに、他の一つ置きに配置される燃料電池ユニット12では、各孔部78b、84b及び86bに、同様に接続部材である樹脂クリップ88が挿入される。
【0034】
各樹脂クリップ88は、首部88aが、第1セパレータ24に係止する一方、大径なフランジ部88bが、第3セパレータ28に当接することにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が、積層方向に一体に保持される。
【0035】
荷重受け部76、80及び82は、以下に示す各方法によって、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28と一体化される。
【0036】
例えば、図5に示すように、先ず、薄板状金属プレート90が成形されるとともに、荷重受け部76、80及び82に対応する樹脂部材92が予め成形される(図5中、(a)参照)。
【0037】
次いで、金属プレート90に設けられた孔部90aに樹脂部材92のボス部92aを挿入させた後(図5中、(b)参照)、前記ボス部92aを熱かしめする。これにより、樹脂部材92と金属プレート90とは、一体化される(図5中、(c)参照)。
【0038】
さらに、図5(d)に示すように、金属プレート90の外周縁部に絶縁被覆処理を施すことにより、第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56が成形される。これにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が製作される。
【0039】
ここで、図6に示すように、荷重受け部76、80及び82は、金属プレート90に設けられている切り欠き部90bに対応して一体化されている。従って、荷重受け部76、80及び82に形成される孔部78a、78b、84a、84b及び86a、86bは、この荷重受け部76、80及び82のみを積層方向に貫通しており、前記孔部78a、78b、84a、84b及び86a、86bに金属部分が露呈することはない。
【0040】
また、上記の熱かしめによる製造方法の他、射出成形による製造方法が採用される。図7に示すように、金属プレート90が用意され(図7中、(a)参照)、この金属プレート90が図示しない射出成形機に装填された状態で、溶融樹脂を用いて荷重受け部76、80及び82が射出成形される(図7中、(b)参照)。さらに、図7(c)に示すように、金属プレート90の所望の部位を覆って絶縁被覆処理を施すことにより、第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56が成形される。
【0041】
次に、燃料電池スタック10を組み付ける作業について、以下に説明する。
【0042】
先ず、燃料電池ユニット12では、第1セパレータ24と第2セパレータ26との間に、第1電解質膜・電極構造体22aが配設されるとともに、前記第2セパレータ26と第3セパレータ28との間に、第2電解質膜・電極構造体22bが配設される(図2参照)。この状態で、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28同士が積層方向(矢印A方向)に押圧される。
【0043】
このため、図3に示すように、第2セパレータ26に一体成形されている位置決め部材62では、第1凸状部68が第1セパレータ24の第1孔部64に嵌合する。一方、位置決め部材62の第2凸状部70は、第3セパレータ28の第2孔部66に嵌合する。従って、第1セパレータ24〜第3セパレータ28同士は、位置決め機構60を介して位置決めされるとともに、燃料電池ユニット12が組み付けられる。
【0044】
また、所定数の燃料電池ユニット12では、それぞれ荷重受け部76、80及び82の一方の孔部78a、84a及び86aに樹脂クリップ88が挿入され、この樹脂クリップ88を介して第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28同士が互いに保持される。
【0045】
他の所定数の燃料電池ユニット12では、それぞれ荷重受け部76、80及び82の他方の孔部78b、84b及び86bに樹脂クリップ88が挿入され、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持される。
【0046】
このように組み付けられた各燃料電池ユニット12は、孔部78a、84a及び86aに挿入された樹脂クリップ88と、孔部78b、84b及び86bに挿入された樹脂クリップ88とが交互になるように、図示しないガイドレールに沿って互いに積層される。
【0047】
その際、各燃料電池ユニット12では、略中央に配置されている第2セパレータ26の側部に一体化された荷重受け部80が、第1セパレータ24の荷重受け部76及び第3セパレータ28の荷重受け部82よりも外方に膨出形成されている。
【0048】
従って、荷重受け部80のみが樹脂性ガイド部として機能し、この荷重受け部80をガイドレールに沿って案内させるだけでよく、摺動抵抗が低減されるとともに、燃料電池ユニット12同士を容易且つ正確に積層することが可能になるという効果が得られる。
【0049】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0050】
先ず、図1に示すように、燃料電池スタック10では、酸化剤ガス入口連通孔30aに酸素含有ガス等の酸化剤ガス(空気)が供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔32aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、2つの冷却媒体入口連通孔34aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0051】
図2に示すように、酸化剤ガスは、燃料電池ユニット12の酸化剤ガス入口連通孔30aに供給されて矢印A方向に移動し、第2セパレータ26の第1酸化剤ガス流路46及び第3セパレータ28の第2酸化剤ガス流路50に導入される。第1酸化剤ガス流路46に導入された酸化剤ガスは、第1電解質膜・電極構造体22aのカソード側電極40に沿って移動する一方、第2酸化剤ガス流路50に導入された酸化剤ガスは、第2電解質膜・電極構造体22bのカソード側電極40に沿って移動する。
【0052】
燃料ガスは、燃料電池ユニット12の燃料ガス入口連通孔32aから第1セパレータ24の第1燃料ガス流路42及び第2セパレータ26の第2燃料ガス流路48に導入される。このため、燃料ガスは、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bの各アノード側電極38に沿って移動する。
【0053】
従って、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bでは、各カソード側電極40に供給される酸化剤ガスと、各アノード側電極38に供給される燃料ガスとが、図示しない電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0054】
次いで、各カソード側電極40に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔30bに沿って流動した後、燃料電池スタック10から排出される。同様に、各アノード側電極38に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔32bに排出されて流動し、燃料電池スタック10から排出される。
【0055】
また、冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔34aから燃料電池ユニット12間の冷却媒体流路44に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bを間引き冷却した後、冷却媒体出口連通孔34bを移動して燃料電池スタック10から排出される。
【0056】
ところで、燃料電池スタック10は、車載用として図示しない車両に搭載されており、その積層方向(矢印A方向)が車長方向に向かって配置されている。そして、燃料電池スタック10に対し、衝突等によって側方から外部荷重Fが付与されると(図4参照)、ケーシング14を構成する側部プレート18a(又は18c)が燃料電池ユニット12側に変形する。
【0057】
その際、各燃料電池ユニット12では、第2セパレータ26の外周部に、外方に突出して荷重受け部80が設けられており、側部プレート18aに付与された外部荷重Fが、この側部プレート18aに接触する荷重受け部80により受けられる。このため、荷重受け部80は、外部荷重Fによって内方に変形乃至移動しようとする。
【0058】
この場合、各燃料電池ユニット12では、荷重受け部76、80、82の孔部78a、84a及び86a(又は78b、84b及び86b)に樹脂クリップ88が挿入されており、この樹脂クリップ88を介して第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持されている。従って、荷重受け部80に付与された外部荷重Fは、樹脂クリップ88を介して荷重受け部76、82にも分散され、第2セパレータ26に外部荷重Fが集中して作用することがない。
【0059】
これにより、燃料電池ユニット12内には、ずれによるシール性の低下を惹起することがなく、しかも、側部プレート18aに荷重受け部80が接触することによって、第2セパレータ26の短絡を良好に阻止することができるという効果が得られる。
【0060】
特に、荷重受け部80は、金属プレート90の孔部90aに対応して設けられるとともに、各荷重受け部76、80及び82を一体化する接続部材として、樹脂クリップ88が設けられている。このため、車両衝突時等に外部荷重Fが付与される際、側部プレート18aが内方に変形しても、この側部プレート18aと第2セパレータ26の金属部分とが接触することを可及的に阻止し、前記第2セパレータ26の短絡が確実に阻止されるという利点がある。
【0061】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック100の要部拡大断面図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第5の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0062】
燃料電池スタック100は、各燃料電池ユニット12を構成する荷重受け部76、80及び82を一体に保持する接続部材、例えば、絶縁性樹脂クリップ102を備える。この樹脂クリップ102は、首部88a側からフランジ部88bの途上まで延在するスリット104を設ける。
【0063】
このように構成される第2の実施形態では、樹脂クリップ102がスリット104を設けることにより、前記樹脂クリップ102自体が弾性体構造を有している。このため、ケーシング14に外部荷重Fが付与され、荷重受け部80を介して樹脂クリップ102に前記外部荷重Fが付与されると、前記樹脂クリップ102は、スリット104を介して弾性変形し、前記外部荷重Fを吸収することが可能になる。
【0064】
従って、樹脂クリップ102は、荷重吸収機能と第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28への荷重分配機能とを有することができ、燃料電池ユニット12自体のずれやシール不良を一層確実に阻止することが可能になるという効果が得られる。
【0065】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタック110の要部拡大断面図である。
【0066】
各燃料電池ユニット12を構成する第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28には、荷重受け部112、114及び116が一体化されるとともに、前記荷重受け部114が、前記荷重受け部112、116よりも外方に突出している。図9及び図10に示すように、荷重受け部112、114及び116の先端側には、複数の小孔(孔部)118が形成される。
【0067】
荷重受け部112、114及び116には、樹脂クリップ102(又は88)が挿入されており、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持される。
【0068】
このように構成される第3の実施形態では、図9に示すように、ケーシング14に外部荷重Fが付与され、側部プレート18aが内方に変形して荷重受け部114の先端に当接すると、この荷重受け部114は、複数の小孔118を介して優先的に破損される。
【0069】
このため、外部荷重Fは、荷重受け部114の破損によって良好に吸収され、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28のずれを可及的に阻止することができる。これにより、シール不良や短絡の発生を確実に阻止することができる等、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。なお、複数の小孔118は、少なくとも第2セパレータ26に一体化される荷重受け部114に設けていればよい。
【0070】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタック120の要部拡大断面図であり、図12は、前記燃料電池スタック120を構成する燃料電池ユニット122の分解斜視説明図である。
【0071】
第1セパレータ24には、第1孔部64を設ける荷重受け部124が上下両端略中央に一体に設けられるとともに、第3セパレータ28には、第2孔部66を設ける荷重受け部126が上下両端略中央に一体に設けられている。第2セパレータ26は、位置決め部材62を一体に設ける荷重受け部128が上下両端略中央に設けられる。荷重受け部128は、荷重受け部124、126よりも外方に突出している。
【0072】
このように構成される第4の実施形態では、位置決め機構60を構成する位置決め部材62が荷重受け部128に一体に設けられるとともに、第1孔部64及び第2孔部66が荷重受け部124、126に一体に設けられている。従って、位置決め機構60の構成が簡素化され、各燃料電池ユニット122の製造コストが有効に削減されるという効果が得られる。
【0073】
なお、第1〜第4の実施形態では、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bと、第1セパレータ24〜第3セパレータ28とを備えた燃料電池ユニット12、122を用いて説明したが、これに限定されるものではない。実質的には、1つ以上の電解質膜・電極構造体と2つ以上のセパレータを備えていればよく、以下に例示する。
【0074】
図13は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池(単位セル)130の分解斜視説明図である。
【0075】
燃料電池130は、電解質膜・電極構造体132を挟持する第1セパレータ134及び第2セパレータ136を備える。燃料電池スタックは、上記の燃料電池130を矢印A方向に積層して構成される。
【0076】
この第5の実施形態では、燃料電池130が、単一の電解質膜・電極構造体132を第1セパレータ134と第2セパレータ136とにより挟持している。この構成を上記の第1〜第4の実施形態に適用することができ、これによって、第5の実施形態では、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池ユニットの分解斜視説明図である。
【図3】前記燃料電池ユニットを位置決めする位置決め機構の断面拡大説明図である。
【図4】前記燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図5】前記燃料電池ユニットを構成するセパレータを熱化処理により製造する際の説明図である。
【図6】前記セパレータに一体化される荷重受け部の説明図である。
【図7】前記燃料電池ユニットを構成するセパレータを射出成形処理により製造する際の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図10】前記前記燃料電池ユニットを構成するセパレータに一体化される荷重受け部の説明図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図12】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池ユニットの分解斜視説明図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池の分解斜視説明図である。
【符号の説明】
【0078】
10、100、110、120…燃料電池スタック
12、122…燃料電池ユニット 16a、16b…エンドプレート
18a〜18d…側部プレート 22a、22b…電解質膜・電極構造体
24、26、28、134、136…セパレータ
36…固体高分子電解質膜 38…アノード側電極
40…カソード側電極 42、48…燃料ガス流路
44…冷却媒体流路 46、50…酸化剤ガス流路
60…位置決め機構 62…位置決め部材
64、66、78a、78b、84a、84b、86a、86b…孔部
76、80、82、112、114、116、124、126、128…荷重受け部
88、102…樹脂クリップ 104…スリット
118…小孔 130…燃料電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)を、セパレータによって挟持して構成されている。
【0003】
この種の燃料電池では、通常、数十〜数百の燃料電池を積層して燃料電池スタックを構成している。その際、燃料電池自体及び前記燃料電池同士を正確に位置決めする必要があり、例えば、特許文献1に開示された燃料電池が知られている。
【0004】
この燃料電池は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体を、第1及び第2セパレータで挟持して構成される燃料電池であって、前記第1及び第2セパレータは、第1及び第2位置決め用孔部を設け、前記第1及び第2位置決め用孔部に、第1及び第2絶縁性位置決め部材が装着されるとともに、前記第1絶縁性位置決め部材の内周壁部に、前記第2絶縁性位置決め部材の外周壁部が嵌合することにより、前記第1及び第2セパレータ同士が絶縁状態で位置決めされる。
【0005】
また、特許文献2には、電解質の両側に一対の電極を設ける電解質・電極構造体を、第1及び第2セパレータで挟持する単位セルを備える燃料電池であって、前記第1及び第2セパレータの外周を、複数個所で保持する複数の金属クリップ部材を備え、前記金属クリップ部材は、側板部と、前記側板部の端部で屈曲して前記第1及び第2セパレータの外周を把持する第1及び第2舌片部とを有し、前記第1及び第2舌片部は、前記側板部よりも長尺に構成されるとともに、ばね性を備えることを特徴とする燃料電池が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−172094号公報(図3)
【特許文献2】特開2004−241208号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃料電池スタックは、燃料電池の積層方向に延在するタイロッドを介して前記積層方向に締め付け荷重を付与する構造の他、積層された燃料電池をボックス状のケーシング内に収容して前記積層方向に締め付け荷重を付与する構造等が採用されており、通常、車載用として各種車両に搭載されている。
【0008】
その際、車両の衝突時に、例えば、ケーシングが変形してセパレータに接触すると、前記ケーシングを介して前記セパレータが短絡したり、前記セパレータが変形して燃料電池内のシール性が低下したりするという問題がある。
【0009】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、外部からの荷重に対して、セパレータの変形によるシール性の低下や前記セパレータの短絡を確実に阻止することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックに関するものである。この燃料電池スタックは、複数のセパレータを積層方向に一体に保持する接続部材と、前記接続部材により一体に保持される前記セパレータの中、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられ、他のセパレータの外周部より外方に突出して外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部とを備えている。
【0011】
また、樹脂製ガイド部には、接続部材である絶縁性クリップを挿入するための孔部が積層方向に形成されることが好ましい。
【0012】
さらに、絶縁性クリップは、略円柱状を有するとともに、軸方向に延在してスリットが形成されることが好ましい。
【0013】
さらにまた、樹脂製ガイド部には、外部からの荷重が付与される際、前記樹脂製ガイド部を破損可能な複数の孔部が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃料電池の積層方向に交差する方向から外部荷重が付与されると、少なくとも1つのセパレータの外周部に外方に突出して設けられている樹脂製ガイド部が、前記外部荷重を受ける。その際、複数のセパレータは、接続部材により一体に保持されており、樹脂製ガイド部に付与された外部荷重が、前記接続部材を介して前記複数のセパレータに分散される。
【0015】
これにより、燃料電池自体のずれによるシール性の低下を良好に阻止することができ、しかもセパレータの短絡が惹起することがない。さらに、燃料電池の組み立て時には、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられている樹脂製ガイド部が組み立てガイド上を摺動するため、全てのセパレータを摺動させる場合に比べ、摺動抵抗が低減されて組み立て作業が容易に遂行可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の概略斜視説明図である。
【0017】
燃料電池スタック10は、複数の燃料電池ユニット12を矢印A方向に積層してケーシング14内に収容している。ケーシング14は、燃料電池ユニット12の積層方向両端に配置されるエンドプレート16a、16bと、前記燃料電池ユニット12の側部に配置される4枚の側部プレート18a〜18dと、前記エンドプレート16a、16b及び前記側部プレート18a〜18dを互いに連結するヒンジ機構20とを備える。
【0018】
図2に示すように、燃料電池ユニット12は、少なくとも第1電解質膜(電解質)・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bと、少なくとも第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28とを設ける。第1セパレータ24及び第2セパレータ26の間で第1電解質膜・電極構造体22aを挟持する一方、前記第2セパレータ26及び第3セパレータ28の間で第2電解質膜・電極構造体22bを挟持する。第1セパレータ24〜第3セパレータ28は、金属セパレータで構成されているが、例えば、カーボンセパレータを採用してもよい。
【0019】
燃料電池ユニット12の長辺方向(図2中、矢印C方向)の一端縁部(上端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔30aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔32aとが設けられる。
【0020】
燃料電池ユニット12の長辺方向の他端縁部(下端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔32bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔30bとが設けられる。
【0021】
燃料電池ユニット12の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、冷却媒体を供給するための2つの冷却媒体入口連通孔34aが設けられるとともに、前記燃料電池ユニット12の短辺方向の他端縁部には、冷却媒体を排出するための2つの冷却媒体出口連通孔34bが設けられる。
【0022】
第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜36と、前記固体高分子電解質膜36を挟持するアノード側電極38及びカソード側電極40とを備える。
【0023】
アノード側電極38及びカソード側電極40は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜36の両面に形成される。
【0024】
第1セパレータ24の第1電解質膜・電極構造体22aに向かう面24aには、燃料ガス入口連通孔32aと燃料ガス出口連通孔32bとを連通する第1燃料ガス流路42が形成される。この第1燃料ガス流路42は、例えば、矢印C方向に延在する複数の溝部により構成される。第1セパレータ24の面24bには、冷却媒体入口連通孔34aと冷却媒体出口連通孔34bとを連通する冷却媒体流路44が形成される。この冷却媒体流路44は、矢印B方向に延在する複数の溝部により構成される。
【0025】
第2セパレータ26の第1電解質膜・電極構造体22aに向かう面26aには、例えば、矢印C方向に延在する複数の溝部からなる第1酸化剤ガス流路46が設けられるとともに、この第1酸化剤ガス流路46は、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通する。第2セパレータ26の第2電解質膜・電極構造体22bに向かう面26bには、燃料ガス入口連通孔32aと燃料ガス出口連通孔32bとを連通する第2燃料ガス流路48が形成される。
【0026】
第3セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体22bに向かう面28aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bと連通する第2酸化剤ガス流路50が設けられる。第3セパレータ28の面28bには、第1セパレータ24の面24bと重なり合って冷却媒体流路44が一体的に形成される。
【0027】
第1セパレータ24の面24a、24bには、この第1セパレータ24の外周端縁部を周回して第1シール部材52が一体成形される。第2セパレータ26の面26a、26bには、この第2セパレータ26の外周端縁部を周回して第2シール部材54が一体成形されるとともに、第3セパレータ28の面28a、28bには、この第3セパレータ28の外周端縁部を周回して第3シール部材56が一体成形される。
【0028】
燃料電池スタック10は、燃料電池ユニット12を構成する第1セパレータ24〜第3セパレータ28同士を相互に位置決めするための位置決め機構60を備える。位置決め機構60は、第2セパレータ26の矢印C方向両端縁部に一体成形される樹脂材料製位置決め部材62と、第1セパレータ24に形成される第1孔部64と、第3セパレータ28に設けられ、前記第1孔部64よりも小径な第2孔部66とを備える。
【0029】
図3に示すように、位置決め部材62は、略リング状を有し、第1セパレータ24の第1孔部64に嵌合する第1凸状部68と、第3セパレータ28の第2孔部66に嵌合する第2凸状部70とを有する。位置決め部材62は、第1凸状部68側に円形状穴部72を設ける一方、第2凸状部70側に、他の位置決め部材62の穴部72に嵌合して前記位置決め部材62同士を位置決めする突起部74を設ける。
【0030】
図2に示すように、第1セパレータ24の外周部には、複数の樹脂製荷重受け部76が、後述するように、前記第1セパレータ24を構成する金属プレートの切り欠き部に対応して一体化される。各荷重受け部76には、孔部78a、78bが互いに並列して設けられる。
【0031】
第2セパレータ26及び第3セパレータ28には、それぞれ第1セパレータ24の各荷重受け部76と矢印A方向に重ね合う位置に対応して、複数の樹脂製荷重受け部80、82が一体化される。各荷重受け部80、82には、荷重受け部76の孔部78a、78bと矢印A方向に連通して孔部84a、84b及び86a、86bが形成される。
【0032】
図4に示すように、孔部78a、78bの直径は、孔部84a、84b及び86a、86bの直径よりも小径に設定されるとともに、荷重受け部76、80及び82の中、少なくとも前記荷重受け部80は、他の荷重受け部76、82よりも外方に突出する。この荷重受け部80は、ケーシング14を介して外部から付与される荷重(外部荷重)を受けるとともに、各燃料電池ユニット12の積層時にガイド機能を有する樹脂製ガイド部を構成する。なお、第2セパレータ26にのみ荷重受け部80を設け、第1セパレータ24及び第3セパレータ28に荷重受け部76、82を設けなくてもよい。
【0033】
積層方向に対して一つ置きに配置される燃料電池ユニット12では、孔部78a、84a及び86aに、接続部材、例えば、絶縁性樹脂クリップ88が挿入されるとともに、他の一つ置きに配置される燃料電池ユニット12では、各孔部78b、84b及び86bに、同様に接続部材である樹脂クリップ88が挿入される。
【0034】
各樹脂クリップ88は、首部88aが、第1セパレータ24に係止する一方、大径なフランジ部88bが、第3セパレータ28に当接することにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が、積層方向に一体に保持される。
【0035】
荷重受け部76、80及び82は、以下に示す各方法によって、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28と一体化される。
【0036】
例えば、図5に示すように、先ず、薄板状金属プレート90が成形されるとともに、荷重受け部76、80及び82に対応する樹脂部材92が予め成形される(図5中、(a)参照)。
【0037】
次いで、金属プレート90に設けられた孔部90aに樹脂部材92のボス部92aを挿入させた後(図5中、(b)参照)、前記ボス部92aを熱かしめする。これにより、樹脂部材92と金属プレート90とは、一体化される(図5中、(c)参照)。
【0038】
さらに、図5(d)に示すように、金属プレート90の外周縁部に絶縁被覆処理を施すことにより、第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56が成形される。これにより、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が製作される。
【0039】
ここで、図6に示すように、荷重受け部76、80及び82は、金属プレート90に設けられている切り欠き部90bに対応して一体化されている。従って、荷重受け部76、80及び82に形成される孔部78a、78b、84a、84b及び86a、86bは、この荷重受け部76、80及び82のみを積層方向に貫通しており、前記孔部78a、78b、84a、84b及び86a、86bに金属部分が露呈することはない。
【0040】
また、上記の熱かしめによる製造方法の他、射出成形による製造方法が採用される。図7に示すように、金属プレート90が用意され(図7中、(a)参照)、この金属プレート90が図示しない射出成形機に装填された状態で、溶融樹脂を用いて荷重受け部76、80及び82が射出成形される(図7中、(b)参照)。さらに、図7(c)に示すように、金属プレート90の所望の部位を覆って絶縁被覆処理を施すことにより、第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56が成形される。
【0041】
次に、燃料電池スタック10を組み付ける作業について、以下に説明する。
【0042】
先ず、燃料電池ユニット12では、第1セパレータ24と第2セパレータ26との間に、第1電解質膜・電極構造体22aが配設されるとともに、前記第2セパレータ26と第3セパレータ28との間に、第2電解質膜・電極構造体22bが配設される(図2参照)。この状態で、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28同士が積層方向(矢印A方向)に押圧される。
【0043】
このため、図3に示すように、第2セパレータ26に一体成形されている位置決め部材62では、第1凸状部68が第1セパレータ24の第1孔部64に嵌合する。一方、位置決め部材62の第2凸状部70は、第3セパレータ28の第2孔部66に嵌合する。従って、第1セパレータ24〜第3セパレータ28同士は、位置決め機構60を介して位置決めされるとともに、燃料電池ユニット12が組み付けられる。
【0044】
また、所定数の燃料電池ユニット12では、それぞれ荷重受け部76、80及び82の一方の孔部78a、84a及び86aに樹脂クリップ88が挿入され、この樹脂クリップ88を介して第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28同士が互いに保持される。
【0045】
他の所定数の燃料電池ユニット12では、それぞれ荷重受け部76、80及び82の他方の孔部78b、84b及び86bに樹脂クリップ88が挿入され、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持される。
【0046】
このように組み付けられた各燃料電池ユニット12は、孔部78a、84a及び86aに挿入された樹脂クリップ88と、孔部78b、84b及び86bに挿入された樹脂クリップ88とが交互になるように、図示しないガイドレールに沿って互いに積層される。
【0047】
その際、各燃料電池ユニット12では、略中央に配置されている第2セパレータ26の側部に一体化された荷重受け部80が、第1セパレータ24の荷重受け部76及び第3セパレータ28の荷重受け部82よりも外方に膨出形成されている。
【0048】
従って、荷重受け部80のみが樹脂性ガイド部として機能し、この荷重受け部80をガイドレールに沿って案内させるだけでよく、摺動抵抗が低減されるとともに、燃料電池ユニット12同士を容易且つ正確に積層することが可能になるという効果が得られる。
【0049】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0050】
先ず、図1に示すように、燃料電池スタック10では、酸化剤ガス入口連通孔30aに酸素含有ガス等の酸化剤ガス(空気)が供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔32aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、2つの冷却媒体入口連通孔34aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0051】
図2に示すように、酸化剤ガスは、燃料電池ユニット12の酸化剤ガス入口連通孔30aに供給されて矢印A方向に移動し、第2セパレータ26の第1酸化剤ガス流路46及び第3セパレータ28の第2酸化剤ガス流路50に導入される。第1酸化剤ガス流路46に導入された酸化剤ガスは、第1電解質膜・電極構造体22aのカソード側電極40に沿って移動する一方、第2酸化剤ガス流路50に導入された酸化剤ガスは、第2電解質膜・電極構造体22bのカソード側電極40に沿って移動する。
【0052】
燃料ガスは、燃料電池ユニット12の燃料ガス入口連通孔32aから第1セパレータ24の第1燃料ガス流路42及び第2セパレータ26の第2燃料ガス流路48に導入される。このため、燃料ガスは、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bの各アノード側電極38に沿って移動する。
【0053】
従って、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bでは、各カソード側電極40に供給される酸化剤ガスと、各アノード側電極38に供給される燃料ガスとが、図示しない電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0054】
次いで、各カソード側電極40に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔30bに沿って流動した後、燃料電池スタック10から排出される。同様に、各アノード側電極38に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔32bに排出されて流動し、燃料電池スタック10から排出される。
【0055】
また、冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔34aから燃料電池ユニット12間の冷却媒体流路44に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bを間引き冷却した後、冷却媒体出口連通孔34bを移動して燃料電池スタック10から排出される。
【0056】
ところで、燃料電池スタック10は、車載用として図示しない車両に搭載されており、その積層方向(矢印A方向)が車長方向に向かって配置されている。そして、燃料電池スタック10に対し、衝突等によって側方から外部荷重Fが付与されると(図4参照)、ケーシング14を構成する側部プレート18a(又は18c)が燃料電池ユニット12側に変形する。
【0057】
その際、各燃料電池ユニット12では、第2セパレータ26の外周部に、外方に突出して荷重受け部80が設けられており、側部プレート18aに付与された外部荷重Fが、この側部プレート18aに接触する荷重受け部80により受けられる。このため、荷重受け部80は、外部荷重Fによって内方に変形乃至移動しようとする。
【0058】
この場合、各燃料電池ユニット12では、荷重受け部76、80、82の孔部78a、84a及び86a(又は78b、84b及び86b)に樹脂クリップ88が挿入されており、この樹脂クリップ88を介して第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持されている。従って、荷重受け部80に付与された外部荷重Fは、樹脂クリップ88を介して荷重受け部76、82にも分散され、第2セパレータ26に外部荷重Fが集中して作用することがない。
【0059】
これにより、燃料電池ユニット12内には、ずれによるシール性の低下を惹起することがなく、しかも、側部プレート18aに荷重受け部80が接触することによって、第2セパレータ26の短絡を良好に阻止することができるという効果が得られる。
【0060】
特に、荷重受け部80は、金属プレート90の孔部90aに対応して設けられるとともに、各荷重受け部76、80及び82を一体化する接続部材として、樹脂クリップ88が設けられている。このため、車両衝突時等に外部荷重Fが付与される際、側部プレート18aが内方に変形しても、この側部プレート18aと第2セパレータ26の金属部分とが接触することを可及的に阻止し、前記第2セパレータ26の短絡が確実に阻止されるという利点がある。
【0061】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック100の要部拡大断面図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第5の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0062】
燃料電池スタック100は、各燃料電池ユニット12を構成する荷重受け部76、80及び82を一体に保持する接続部材、例えば、絶縁性樹脂クリップ102を備える。この樹脂クリップ102は、首部88a側からフランジ部88bの途上まで延在するスリット104を設ける。
【0063】
このように構成される第2の実施形態では、樹脂クリップ102がスリット104を設けることにより、前記樹脂クリップ102自体が弾性体構造を有している。このため、ケーシング14に外部荷重Fが付与され、荷重受け部80を介して樹脂クリップ102に前記外部荷重Fが付与されると、前記樹脂クリップ102は、スリット104を介して弾性変形し、前記外部荷重Fを吸収することが可能になる。
【0064】
従って、樹脂クリップ102は、荷重吸収機能と第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28への荷重分配機能とを有することができ、燃料電池ユニット12自体のずれやシール不良を一層確実に阻止することが可能になるという効果が得られる。
【0065】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタック110の要部拡大断面図である。
【0066】
各燃料電池ユニット12を構成する第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28には、荷重受け部112、114及び116が一体化されるとともに、前記荷重受け部114が、前記荷重受け部112、116よりも外方に突出している。図9及び図10に示すように、荷重受け部112、114及び116の先端側には、複数の小孔(孔部)118が形成される。
【0067】
荷重受け部112、114及び116には、樹脂クリップ102(又は88)が挿入されており、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28が一体に保持される。
【0068】
このように構成される第3の実施形態では、図9に示すように、ケーシング14に外部荷重Fが付与され、側部プレート18aが内方に変形して荷重受け部114の先端に当接すると、この荷重受け部114は、複数の小孔118を介して優先的に破損される。
【0069】
このため、外部荷重Fは、荷重受け部114の破損によって良好に吸収され、第1セパレータ24、第2セパレータ26及び第3セパレータ28のずれを可及的に阻止することができる。これにより、シール不良や短絡の発生を確実に阻止することができる等、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。なお、複数の小孔118は、少なくとも第2セパレータ26に一体化される荷重受け部114に設けていればよい。
【0070】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタック120の要部拡大断面図であり、図12は、前記燃料電池スタック120を構成する燃料電池ユニット122の分解斜視説明図である。
【0071】
第1セパレータ24には、第1孔部64を設ける荷重受け部124が上下両端略中央に一体に設けられるとともに、第3セパレータ28には、第2孔部66を設ける荷重受け部126が上下両端略中央に一体に設けられている。第2セパレータ26は、位置決め部材62を一体に設ける荷重受け部128が上下両端略中央に設けられる。荷重受け部128は、荷重受け部124、126よりも外方に突出している。
【0072】
このように構成される第4の実施形態では、位置決め機構60を構成する位置決め部材62が荷重受け部128に一体に設けられるとともに、第1孔部64及び第2孔部66が荷重受け部124、126に一体に設けられている。従って、位置決め機構60の構成が簡素化され、各燃料電池ユニット122の製造コストが有効に削減されるという効果が得られる。
【0073】
なお、第1〜第4の実施形態では、第1電解質膜・電極構造体22a及び第2電解質膜・電極構造体22bと、第1セパレータ24〜第3セパレータ28とを備えた燃料電池ユニット12、122を用いて説明したが、これに限定されるものではない。実質的には、1つ以上の電解質膜・電極構造体と2つ以上のセパレータを備えていればよく、以下に例示する。
【0074】
図13は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池(単位セル)130の分解斜視説明図である。
【0075】
燃料電池130は、電解質膜・電極構造体132を挟持する第1セパレータ134及び第2セパレータ136を備える。燃料電池スタックは、上記の燃料電池130を矢印A方向に積層して構成される。
【0076】
この第5の実施形態では、燃料電池130が、単一の電解質膜・電極構造体132を第1セパレータ134と第2セパレータ136とにより挟持している。この構成を上記の第1〜第4の実施形態に適用することができ、これによって、第5の実施形態では、上記の第1〜第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池ユニットの分解斜視説明図である。
【図3】前記燃料電池ユニットを位置決めする位置決め機構の断面拡大説明図である。
【図4】前記燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図5】前記燃料電池ユニットを構成するセパレータを熱化処理により製造する際の説明図である。
【図6】前記セパレータに一体化される荷重受け部の説明図である。
【図7】前記燃料電池ユニットを構成するセパレータを射出成形処理により製造する際の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図10】前記前記燃料電池ユニットを構成するセパレータに一体化される荷重受け部の説明図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックの要部拡大断面図である。
【図12】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池ユニットの分解斜視説明図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池の分解斜視説明図である。
【符号の説明】
【0078】
10、100、110、120…燃料電池スタック
12、122…燃料電池ユニット 16a、16b…エンドプレート
18a〜18d…側部プレート 22a、22b…電解質膜・電極構造体
24、26、28、134、136…セパレータ
36…固体高分子電解質膜 38…アノード側電極
40…カソード側電極 42、48…燃料ガス流路
44…冷却媒体流路 46、50…酸化剤ガス流路
60…位置決め機構 62…位置決め部材
64、66、78a、78b、84a、84b、86a、86b…孔部
76、80、82、112、114、116、124、126、128…荷重受け部
88、102…樹脂クリップ 104…スリット
118…小孔 130…燃料電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックであって、
複数の前記セパレータを、積層方向に一体に保持する接続部材と、
前記接続部材により一体に保持される前記セパレータの中、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられ、他のセパレータの外周部より外方に突出して外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部と、
を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記樹脂製ガイド部には、前記接続部材である絶縁性クリップを挿入するための孔部が前記積層方向に形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池スタックにおいて、前記絶縁性クリップは、略円柱状を有するとともに、軸方向に延在してスリットが形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、前記樹脂製ガイド部には、外部からの荷重が付与される際、該樹脂製ガイド部を破損可能な複数の孔部が形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項1】
電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを備える燃料電池が積層される燃料電池スタックであって、
複数の前記セパレータを、積層方向に一体に保持する接続部材と、
前記接続部材により一体に保持される前記セパレータの中、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられ、他のセパレータの外周部より外方に突出して外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部と、
を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記樹脂製ガイド部には、前記接続部材である絶縁性クリップを挿入するための孔部が前記積層方向に形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池スタックにおいて、前記絶縁性クリップは、略円柱状を有するとともに、軸方向に延在してスリットが形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、前記樹脂製ガイド部には、外部からの荷重が付与される際、該樹脂製ガイド部を破損可能な複数の孔部が形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−27761(P2008−27761A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199566(P2006−199566)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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