説明

燃料電池スタック

【課題】簡単な構成で、エンドプレートの変形によりマニホールドに発生する応力を良好に削減することができ、しかも所望のシール性を確保することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック10を構成する第1エンドプレート18aには、供給マニホールド部材50が取り付けられる。供給マニホールド部材50は、第1エンドプレート18aの一対の冷却媒体供給連通孔30a、30aに連通する一対のマニホールド54a、54aと、前記一対のマニホールド54a、54a同士を連結するゴムホース56aとを備える。マニホールド54aの配管連結部58aの外周部には、1以上の凸部62aが形成される。ゴムホース56aの配管連結部58aに外嵌される両端連結部には、凸部62aに係合する凹部66aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質の両側に一対の電極が設けられる電解質・電極構造体とセパレータとが積層されるとともに、積層方向に延在して同一の供給流体又は排出流体を流通させる複数の流体連通孔が形成される積層体を備え、前記積層体の積層方向両端にエンドプレートが設けられる燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持した単位セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の単位セルを積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
燃料電池スタックでは、単位セルの積層方向に貫通して燃料ガスを流すための燃料ガス供給連通孔(流体連通孔)及び燃料ガス排出連通孔(流体連通孔)と、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス供給連通孔(流体連通孔)及び酸化剤ガス排出連通孔(流体連通孔)と、冷却媒体を流すための冷却媒体供給連通孔(流体連通孔)及び冷却媒体排出連通孔(流体連通孔)とを内部に備える、所謂、内部マニホールド型燃料電池スタックを構成する場合が多い。
【0004】
上記の燃料電池スタックは、積層方向両端にエンドプレートが配設されるとともに、少なくとも一方の前記エンドプレートには、各流体連通孔に連通し配管部材を介して燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体である流体の供給や排出を行うためのマニホールドが設けられている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池のマニホールドは、図10に示すように、MEAとセパレータとを重ねてセルを形成し、前記セルを複数積層してモジュール1を構成している。さらに、モジュール1が積層されることにより、モジュール群2が構成されるとともに、前記モジュール群2の積層方向両端には、エンドプレート3が配置されている。
【0006】
モジュール群2には、冷却媒体、燃料ガス又は酸化剤ガスである流体を積層方向に流通させるための流体連通孔4が貫通形成されるとともに、エンドプレート3には、マニホールド部材5がボルト6を介して取り付けられている。マニホールド部材5には、流体連通孔4に連通する配管部材7が設けられてる。
【0007】
マニホールド部材5では、フランジ8の剛性が、前記フランジ8がスタック締め付け時にスタック一端のエンドプレート3に生じる弾性反り変形に追従して変形できる大きさに設定されている。これにより、スタック締め付け時に、エンドプレート3に反りが生じても、フランジ部8と前記エンドプレート3との接続部のシール性を確保することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−343410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、燃料電池スタックでは、スタック内部に同一の流体を供給するため、及び/又は前記スタック内部から同一の流体を排出するため、複数の流体連通孔4が形成されている場合がある。その際、複数の流体連通孔4に連通するマニホールド部材5を用いると、前記マニホールド部材5は、エンドプレート3の面内で各流体連通孔4の配置位置に対応して比較的大きな寸法に構成されてしまう。
【0010】
このため、スタック締結時にエンドプレート3に弾性変形が発生すると、マニホールド部材5は、前記エンドプレート3に追従して比較的大きく変形し易く、前記マニホールド部材5に高応力が発生するという問題がある。特に、マニホールド部材5は、樹脂材で成形される場合が多く、前記マニホールド部材5が、付与される高応力によって損傷し易いという問題がある。
【0011】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、エンドプレートの変形によりマニホールドに発生する応力を良好に削減することができ、しかも所望のシール性を確保することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電解質の両側に一対の電極が設けられる電解質・電極構造体とセパレータとが積層されるとともに、積層方向に延在して同一の供給流体又は排出流体を流通させる複数の流体連通孔が形成される積層体を備え、前記積層体の積層方向両端にエンドプレートが設けられる燃料電池スタックに関するものである。
【0013】
この燃料電池スタックでは、少なくとも一方のエンドプレートには、各流体連通孔に連通する一対のマニホールドが設けられ、前記一対のマニホールド間は、ゴムホースにより連結されるとともに、各マニホールドは、外周部に凸部が設けられる配管連結部を備える一方、前記ゴムホースの前記配管連結部に外嵌される両端連結部には、前記凸部に係合する凹部が形成されている。
【0014】
また、この燃料電池スタックでは、凸部と凹部とが係合した状態で、ゴムホースの両端連結部の外周部に前記凸部を周回してホースバンドが取り付けられることが好ましい。
【0015】
さらに、この燃料電池スタックでは、凹部は、ゴムホースを径方向に貫通して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各流体連通孔に連通する複数のマニホールド同士は、ゴムホースにより連結されている。このため、エンドプレートが弾性変形する際に、ゴムホース自体が変形してマニホールドに高応力が発生することを阻止することができる。
【0017】
しかも、マニホールドの配管連結部に設けられた凸部とゴムホースに設けられた凹部とが係合することにより、前記マニホールドと前記ゴムホースとが連結されている。従って、ゴムホースの回転及び抜けを防止することができ、前記ゴムホースの偏肉変形による面圧抜けを抑制してシール性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の分解斜視説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックを構成する供給マニホールド部材側の分解斜視説明図である。
【図4】前記供給マニホールド部材側の要部断面説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図6】前記燃料電池スタックを構成する供給マニホールド部材側の要部断面説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図8】前記燃料電池スタックを構成する供給マニホールド部材側の要部断面説明図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する供給マニホールド部材側の要部断面説明図である。
【図10】特許文献1の燃料電池のマニホールドの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用される。この燃料電池スタック10は、燃料電池12を備え、複数の前記燃料電池12を水平方向(矢印A方向)に沿って互いに積層して積層体が構成される。
【0020】
燃料電池12の積層方向一端(積層体の一端)には、第1ターミナルプレート14a、第1絶縁プレート16a及び第1エンドプレート18aが積層される一方、積層方向他端(積層体の他端)には、第2ターミナルプレート14b、第2絶縁プレート16b及び第2エンドプレート18bが積層される。
【0021】
長方形状に構成される第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bは、矢印A方向に延在する複数のタイロッド19により一体的に締め付け保持される。なお、燃料電池スタック10は、第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持されてもよい。
【0022】
図2に示すように、燃料電池12は、電解質膜・電極構造体20が、第1及び第2セパレータ22、24に挟持される。第1及び第2セパレータ22、24は、例えば、カーボンセパレータの他、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等の金属セパレータにより構成される。
【0023】
燃料電池12の矢印C方向(図2中、重力方向)の上端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔(流体連通孔)26a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔(流体連通孔)28aが、矢印B方向(水平方向)に配列して設けられる。
【0024】
燃料電池12の矢印C方向の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔(流体連通孔)26b、及び燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔(流体連通孔)28bが、矢印B方向に配列して設けられる。
【0025】
燃料電池12の矢印B方向の両端縁部には、冷却媒体を供給するための一対の冷却媒体供給連通孔(流体連通孔)30a、及び前記冷却媒体を排出するための一対の冷却媒体排出連通孔(流体連通孔)30bが、例えば、それぞれ上下に設けられる。
【0026】
第1セパレータ22の電解質膜・電極構造体20に対向する面22aには、酸化剤ガス供給連通孔26aと酸化剤ガス排出連通孔26bとに連通する酸化剤ガス流路32が設けられる。酸化剤ガス供給連通孔26aと酸化剤ガス流路32とは、連通路33aを介して連通するとともに、酸化剤ガス排出連通孔26bと前記酸化剤ガス流路32とは、連通路33bを介して連通する。
【0027】
第2セパレータ24の電解質膜・電極構造体20に対向する面24aには、燃料ガス供給連通孔28aと燃料ガス排出連通孔28bとに連通する燃料ガス流路34が設けられる。燃料ガス供給連通孔28aと燃料ガス流路34とは、連通路35aを介して連通するとともに、燃料ガス排出連通孔28bと前記燃料ガス流路34とは、連通路35bを介して連通する。
【0028】
互いに隣接する燃料電池12を構成する第1セパレータ22の面22bと、第2セパレータ24の面24bとの間には、冷却媒体供給連通孔30aと冷却媒体排出連通孔30bとを連通する冷却媒体流路36が設けられる。各冷却媒体供給連通孔30aと冷却媒体流路36とは、連通路38aを介して連通するとともに、各冷却媒体排出連通孔30bと前記冷却媒体流路36とは、連通路38bを介して連通する。
【0029】
第1セパレータ22の面22a、22bには、第1シール部材40aが、一体的に又は個別に設けられるとともに、第2セパレータ24の面24a、24bには、第2シール部材40bが、一体的に又は個別に設けられる。
【0030】
電解質膜・電極構造体20は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するカソード側電極44及びアノード側電極46とを備える。
【0031】
カソード側電極44及びアノード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜42の両面に形成されている。
【0032】
図1に示すように、第1エンドプレート18aの外面側には、上部側に供給マニホールド部材50が取り付けられるとともに、下部側に排出マニホールド部材52が取り付けられる。
【0033】
供給マニホールド部材50は、第1エンドプレート18aの一対の冷却媒体供給連通孔30a、30aに連通する一対のマニホールド54a、54aと、前記一対のマニホールド54a、54a同士を連結するゴムホース56aとを備える。
【0034】
マニホールド54a、54aは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材で構成されるとともに、第1エンドプレート18aの長辺方向(矢印C方向)に沿って長尺な直方体形状を有する。マニホールド54a、54aは、第1エンドプレート18aに一体成形され、又は、ねじ止めされる。なお、以下に説明する各マニホールドも同様である。
【0035】
図3及び図4に示すように、一対のマニホールド54aは、互いに対向する面からそれぞれ突出する配管連結部58aを備える。配管連結部58aの先端には、バルジ部60aが設けられるとともに、前記配管連結部58aの外周部には、1以上の凸部62aが形成される。配管連結部58aの外周部には、例えば、3つの凸部62aが等角度間隔ずつ離間して設けられる。凸部62aの先端には、傾斜面64aが形成される。
【0036】
ゴムホース56aの配管連結部58aに外嵌される両端連結部には、凸部62aに係合する凹部66aが形成される。凹部66aは、ゴムホース56aの内周面に所定の深さに設けられるとともに、凸部62aの形状に対応する開口形状を有する。
【0037】
排出マニホールド部材52は、第1エンドプレート18aの一対の冷却媒体排出連通孔30b、30bに連通する一対のマニホールド54b、54bと、一対の前記マニホールド54b、54b同士を連結するゴムホース56bとを備える。マニホールド54b、54bは、第1エンドプレート18aの長辺方向に沿って長尺な直方体形状を有するとともに、前記長辺方向に沿って、マニホールド54aと前記マニホールド54bとが配列される。
【0038】
マニホールド54b、54bは、上記のマニホールド54a、54aと同様に、構成されており、同一の構成要素には、同一の参照数字にbを付して、その詳細な説明は省略する。
【0039】
一方のマニホールド54aには、冷却媒体供給管68aが一体に設けられるとともに、一方のマニホールド54bには、冷却媒体排出管68bが一体に設けられる(図1参照)。
【0040】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する
先ず、第2エンドプレート18bでは、酸化剤ガス供給連通孔26aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔28aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。
【0041】
さらに、図1に示すように、第1エンドプレート18aでは、供給マニホールド部材50の冷却媒体供給管68aから一対の冷却媒体供給連通孔30a、30aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0042】
このため、酸化剤ガスは、図2に示すように、酸化剤ガス供給連通孔26aから第1セパレータ22の酸化剤ガス流路32に導入される。この酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路32に沿って矢印C方向(重力方向)に移動し、電解質膜・電極構造体20のカソード側電極44に供給される。
【0043】
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔28aから第2セパレータ24の燃料ガス流路34に導入される。この燃料ガスは、燃料ガス流路34に沿って重力方向(矢印C方向)に移動し、電解質膜・電極構造体20のアノード側電極46に供給される。
【0044】
従って、電解質膜・電極構造体20では、カソード側電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極46に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
【0045】
次いで、電解質膜・電極構造体20のカソード側電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔26bに沿って矢印A方向に排出される。電解質膜・電極構造体20のアノード側電極46に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔28bに沿って矢印A方向に排出される。
【0046】
一方、一対の冷却媒体供給連通孔30a、30aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ22と第2セパレータ24との間に形成された冷却媒体流路36に導入される。この冷却媒体は、矢印C方向に移動して電解質膜・電極構造体20を冷却した後、一対の冷却媒体排出連通孔30b、30bから排出マニホールド部材52の冷却媒体排出管68bを介して外部に排出される。
【0047】
この場合、燃料電池スタック10は、複数のタイロッド19により第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bが、互いに積層方向に一体的に締め付け保持されている。このため、第1エンドプレート18aは、面方向に湾曲するように弾性変形し易い。
【0048】
その際、第1の実施形態では、供給マニホールド部材50は、一対のマニホールド54a、54a同士を、ゴムホース56aにより連結する一方、排出マニホールド部材52は、一対のマニホールド54b、54b同士を、ゴムホース56b、56bにより連結している。
【0049】
従って、第1エンドプレート18aが弾性変形する際に、ゴムホース56a、56b自体が弾性変形し、マニホールド54a、54a及びマニホールド54b、54bは、前記第1エンドプレート18aに追従することができる。これにより、供給マニホールド部材50及び排出マニホールド部材52には、第1エンドプレート18aの弾性変形によって高応力が発生することを確実に阻止することが可能になる。
【0050】
しかも、第1の実施形態では、マニホールド54aの配管連結部58aに設けられた凸部62aと、ゴムホース56aに設けられた凹部66aとが係合することにより、前記マニホールド54aと前記ゴムホース56aとが連結されている。このため、ゴムホース56aの回転や抜けを確実に阻止することができる。従って、ゴムホース56aの偏肉変形による面圧抜けを抑制することが可能になり、シール性の向上が図られるという効果が得られる。
【0051】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック70の概略斜視説明図である。
【0052】
なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3以降の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0053】
燃料電池スタック70では、図5及び図6に示すように、マニホールド54aの配管連結部58aに設けられた凸部62aと、ゴムホース56aに設けられた凹部66aとが係合した状態で、前記ゴムホース56aの両端連結部の外周部に前記凸部62aを周回してホースバンド72が取り付けられる。
【0054】
このように、第2の実施形態では、ゴムホース56aとマニホールド54aの配管連結部58aとの連結部位に、ホースバンド72が取り付けられるため、前記ゴムホース56aの抜け止め及び回転止めが一層確実に遂行可能になる。さらに、バルジ部60aにおける面圧抜けが可及的に阻止されるため、所望のシール性が確実に維持される。
【0055】
図7に示すように、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタック80では、第1エンドプレート18aに、供給マニホールド部材82と排出マニホールド部材84とが、前記第1エンドプレート18aの長辺方向に沿って配列される。
【0056】
供給マニホールド部材82は、一対のマニホールド54a、54aと、前記一対のマニホールド54a、54a同士を連結するゴムホース86aとを備える。排出マニホールド部材84は、同様に一対のマニホールド54b、54bと、前記一対のマニホールド54b、54b同士を連結するゴムホース86bとを備える。
【0057】
図7及び図8に示すように、マニホールド54aを構成する配管連結部58aの外周部には、1以上の凸部88aが形成される。凸部88aは、実質的に、第1の実施形態の凸部62aよりも高さ寸法が大きく設定される。ゴムホース86aの両端連結部には、凸部88aに係合する凹部90aが形成される。凹部90aは、ゴムホース86aを軸方向に貫通して形成される。
【0058】
マニホールド54b、54bは、上記のマニホールド54a、54aと同様に、構成されており、同一の構成要素には、同一の参照数字にbを付して、その詳細な説明は省略する。
【0059】
このように構成される第3の実施形態では、高さ寸法の大きな凸部88aと貫通開口部である凹部90aとにより、ゴムホース86aとマニホールド54aの配管連結部58aとが連結されている。このため、ゴムホース86aは、回転止め及び抜け止めが一層確実に遂行されるという効果が得られる。
【0060】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタック100の要部断面説明図である。なお、第3の実施形態に係る燃料電池スタック80と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0061】
燃料電池スタック100では、マニホールド54aの配管連結部58aに設けられた凸部88aと、ゴムホース86aに設けられた凹部90aとが係合した状態で、前記ゴムホース86aの両端連結部の外周部に、前記凸部88aを周回してホースバンド72が取り付けられる。
【0062】
従って、第4の実施形態では、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
なお、本発明は、一対のマニホールドを連結するゴムホースであればよく、冷却媒体に限定されるものではなく、反応ガス(燃料ガスや酸化剤ガス)用の一対のマニホールドにも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10、70、80、100…燃料電池スタック 12…燃料電池
18a、18b…エンドプレート 20…電解質膜・電極構造体
22、24…セパレータ 26a…酸化剤ガス供給連通孔
26b…酸化剤ガス排出連通孔 28a…燃料ガス供給連通孔
28b…燃料ガス排出連通孔 30a…冷却媒体供給連通孔
30b…冷却媒体排出連通孔 32…酸化剤ガス流路
33a、33b、35a、35b、38a、38b…連通路
36…冷却媒体流路 42…固体高分子電解質膜
44…カソード側電極 46…アノード側電極
50、82…供給マニホールド部材
52、84…排出マニホールド部材
54a、54b…マニホールド
56a、56b、86a、86b…ゴムホース
58a…配管連結部 60a…バルジ部
62a、88a…凸部 66a、90a…凹部
72…ホースバンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質の両側に一対の電極が設けられる電解質・電極構造体とセパレータとが積層されるとともに、積層方向に延在して同一の供給流体又は排出流体を流通させる複数の流体連通孔が形成される積層体を備え、前記積層体の積層方向両端にエンドプレートが設けられる燃料電池スタックであって、
少なくとも一方の前記エンドプレートには、各流体連通孔に連通する一対のマニホールドが設けられ、前記一対のマニホールド間は、ゴムホースにより連結されるとともに、
各マニホールドは、外周部に凸部が設けられる配管連結部を備える一方、
前記ゴムホースの前記配管連結部に外嵌される両端連結部には、前記凸部に係合する凹部が形成されることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記凸部と前記凹部とが係合した状態で、前記ゴムホースの両端連結部の外周部に前記凸部を周回してホースバンドが取り付けられることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、前記凹部は、前記ゴムホースを径方向に貫通して形成されることを特徴とする燃料電池スタック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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