説明

燃料電池用ケース

【課題】薄肉化や軽量化を図りつつ、ケースに部品が衝突してもケース内の部品の損傷を抑制することができる燃料電池用ケース。
【解決手段】燃料電池用ケース10は、単セルを積層した燃料電池スタック20と、燃料電池スタック20に付随するケース内周辺部品30と、を内部に収容する。燃料電池用ケース10は、該ケースの内外を区画するケース基材層14と、ケース基材層14の少なくとも一部に積層され、ケース基材層14よりも弾力性又は伸縮性が大きい補強層15と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックを内部に収容する燃料電池用ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
単セルを積層してなるスタック構造の燃料電池(以下、燃料電池スタックと称する。)は、塵埃や水などから保護されるべく、密閉構造の燃料電池用ケースの内部に収容される。燃料電池用ケースは、車両に搭載される場合には、例えば乗員室の前方等に搭載される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の燃料電池スタックは、そのセル積層方向の両端にエンドプレートが配され、一方のエンドプレート側に分配マニホールドが配される。そして、エンドプレート、燃料電池用ケース、及び分配マニホールドがボルトにより締結される。また、もう一方のエンドプレートがシャフトを介して燃料電池用ケースに自由に支持される。このような構成により、車両衝突時に燃料電池用ケースへの衝撃によって燃料電池スタックに局所的な衝撃が作用することを回避し、燃料電池スタックの破損を抑制している。
【特許文献1】特開2005−149839号公報(第4頁、第2図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、燃料電池用ケース内には、燃料電池スタック以外に各種の部品が配される。例えば、燃料ガスや冷媒などの流体用の配管が設けられる。配管の端部は、エンドプレートに固定される。また、燃料電池スタックの周囲にはセンサや高電圧部品等が配される。これらの配管や部品は、省スペース化のため近接して配置されることが多い。
【0005】
一方、燃料電池用ケースの外部には、ケース外に延出された配管の他、エアコンプレッサ、レギュレータ、及び水素ポンプ等の燃料電池システム側の部品、さらには車両側の部品が配設される。
【0006】
燃料電池を搭載した車両に外部から衝撃が加えられると、燃料電池用ケースの薄板製の壁部は、ケース外の周辺部品と衝突する場合がある。この衝突の結果、周辺部品が燃料電池用ケースの壁部を貫通してケース内に突出すると、ケース内部品が破損するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の燃料電池用ケースは、当該ケースに部品が衝突してもケース内の部品の損傷を抑制できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の燃料電池用ケースは、単セルを積層してなる燃料電池スタックと、燃料電池スタックに付随する部品と、を内部に収容する燃料電池用ケースであって、当該ケースの内外を区画するケース基材層と、ケース基材層の少なくとも一部に積層された補強層と、を備える。そして、補強層は、ケース基材層よりも弾力性又は伸縮性が大きいものである。
【0009】
この構成によれば、例えばケース外の部品が当該ケースに衝突した場合に、その衝撃が補強層によって緩和されるようになる。これにより、ケース外の部品が当該ケースを貫通したり、当該ケースが変形したりすることを抑制できる。よって、ケース内にある燃料電池スタック及び付随部品の損傷を抑制できる。
【0010】
より具体的には、補強層は、ラミネート層からなることが好ましい。ラミネート層は所望の特性を持つ材質のフィルム材やシート材を積層し、熱溶着等によって貼り合わせたラミネート材により形成できる。ラミネート材は、衝撃や変形により破れたり孔が開いたりしにくいので、衝突時に燃料電池用ケースが貫通されることを好適に抑制できる。
【0011】
また、補強層は、多孔質状、メッシュ状、織物状又は不織布状であることが好ましく、これらの形態を金属又は樹脂で実現することが好ましい。こうすることで、弾力性又は伸縮性を有する補強層を簡易に形成できる。
【0012】
本発明の一態様によれば、補強層は、燃料電池用ケースの内部表面を構成するものであり、且つ、絶縁性を有することが好ましい。このようにすれば、衝突時にケースが変形してケースの内部表面がケース内の部品に接触しても、ケース内の例えば高電圧部品同士を短絡させることを防止できる。
【0013】
本発明の一態様によれば、補強層はケース基材層の両面に積層されることが好ましい。これにより、衝突時の衝撃をより一層緩和できるので、ケース内にある燃料電池スタック等の損傷をより一層抑制できる。
【0014】
本発明の他の好ましい一態様によれば、ケース基材層は補強層の両面に積層されてもよい。これにより、上記同様に、ケース内にある燃料電池スタック等の損傷をより一層抑制できる。
【0015】
本発明の一態様によれば、燃料電池用ケースにおいて補強層がある領域は、燃料電池用ケースの外壁に向かって突出する燃料電池用ケース外の突起部に面することが好ましい。こうすることで、突起部が衝突し得る領域に補強層があるので、より効果的に衝突時の衝撃を緩和でき、燃料電池スタック等の損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の燃料電池用ケースによれば、薄肉化や軽量化を図りつつ、当該ケースに部品が衝突してもケース内の部品の損傷を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る燃料電池用ケースについて説明する。ここでは、燃料電池用ケースを燃料電池自動車に設置した例について説明する。
【0018】
図1に示すように、燃料電池用ケース10(以下、ケース10という)は、例えば、燃料電池車両1の車室床の前方寄りに配置された状態で車体に固定される。ケース10は、底壁部の外面をブラケット等に支持させ、例えばこのブラケット等を車両のフレームに固定することで車体に固定される。
【0019】
図2にケース10及びその内外に配置された部品のレイアウトの一例を示す。図2(a)は側面配置、図2(b)は平面配置である。この図に示すように、ケース10の内部には、燃料電池スタック20と、燃料電池スタック20に付随する部品30(以下、ケース内周辺部品30という。)が配設される。ケース10は箱型に形成されており、その内部に、略長方形の2つの燃料電池スタック20が並べて収納される。
【0020】
ケース10は、上下二分割構造からなり、上方開口されたロアケース11と、ロアケース11に対して蓋として機能するアッパケース12と、で構成される。ケース10は、ロアケース11の上端部から外方向に張り出したフランジ部と、アッパケース12の下端部から外方向に張り出したフランジ部とを接合して箱型に組み立てられる。そして、この組み立てられたケース内部に、セル積層方向が水平方向(車両1の前後方向)となるように燃料電池スタック20が収容される。ロアケース11の底壁部の内面には、燃料電池スタック20の底部を支持する絶縁体のマウント13が設けられる。
【0021】
ロアケース11とアッパケース12は、フランジ部同士をバネ座金を介してボルトおよびナットにより締結されており、接合面が強密着している。なお、接合面にOリングなどのシールを介在させてもよい。これにより、ケース10の内部空間は、略気密に密閉されている。
【0022】
ロアケース11およびアッパケース12は、ケース基材14(ケース基材層)をラミネート補強材15(補強層)で両面から挟んだ3層構造のパネル16により形成される(図3(a)参照)。ケース基材14は、接着剤等によりラミネート補強材15に接合される。すなわち、ケース10は、このケース内外を区画する区画壁としてケース基材14を有しており、このケース基材14の全面にラミネート補強材15による補強が施されている。
【0023】
ケース基材14は、ケース10の構造部材としての機能を有しており、金属や硬質樹脂により形成することができるが、ここでは軽量化や放熱性を考慮してアルミニウムが用いられている。より詳細には、ケース基材14には、例えば3mm、好ましくは1mm程度からなるアルミニウム製の薄板を用いている。なお、ラミネート補強材15に接合されて強度が増加することを考慮して、これよりも薄い板材をケース基材14に用いてもよい。ケース基材14は、例えば、その表面にラミネート補強材15を積層した後、押圧成形して所定の形状に形成される。なお、ケース基材14をプレス成形することにより所定の形状に形成した後、ラミネート補強材15を表面に接着してもよい。
【0024】
ラミネート補強材15は、ケース基材14とは異なる材質の層を有する。より具体的には、ケース10が突起物に衝突された場合に、ラミネート補強材15はケース基材14よりも貫通しにくい材質の層を有することが望ましい。従って、種々の構成が考えられるが、一例として、アルミニウム等の金属薄膜15aに樹脂フィルム製のラミネートシート15b(絶縁材)を重ね合わせて熱溶着したもの、すなわちラミネート層をラミネート補強材15として用いている。金属薄膜15aを用いることにより、ラミネート補強材15には所定の強度が付与される。また、樹脂フィルム製のラミネートシート15bを用いたことにより、ラミネート補強材15には弾力性及び伸縮性が付与される。また、ラミネートシート15bを表面側にしてケース基材14に接合することにより、パネル16の表面に絶縁性が付与される。ラミネート補強材15を燃料電池用ケース10の表面に配設して3層構造としたことによる作用及び効果については後述する。
【0025】
燃料電池スタック20は、単セルを多数積層し、その両端に位置する単セルの外側に、順次、カバープレート、出力端子付きのターミナルプレート、絶縁プレート、エンドプレートを積層して構成される。燃料電池スタック20を構成する単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly)を一対のセパレータで挟持して構成される。単セルにより構成される燃料電池としては、リン酸型など複数の種類があるが、ここでは車載や定置用に好適な固体高分子電解質型で構成される。単セルは、酸化剤ガス(空気)および燃料ガス(水素)の供給を受けて発電し、これにより起電力が得られる。
【0026】
単セルには、酸化剤ガスとしての空気が圧力供給されると共に、燃料ガスとしての水素が空気と略同圧で供給される。この空気と水素とが反応して発電が行われ、起電力が得られる。また、燃料電池スタック20には、冷媒としての冷却水が供給される。これら各種流体(空気、水素ガスおよび冷却水)の配管は、ケース10外からケース10内へと延在して、燃料電池スタック20の所定箇所(例えばエンドプレート)に接続される。このため、ケース10には、各種流体の配管に対応する管径の貫通孔(図示省略)が分散して形成されている。
【0027】
ケース内周辺部品30は、例えば、これらの各種流体用の配管やその継手類、または、各燃料電池スタック20への流量を調整するバルブ、等の配管系要素である。あるいは、ケース内周辺部品30は、例えば、各種センサ、センサからの出力信号を制御用信号に変換するための制御基板、または、サービスプラグなどの高電圧部品である。センサは、例えばセル電圧を測定するためのセンサ、スタック内の温度を測定するセンサ、または、燃料ガス漏れを検知するための水素濃度センサ等である。これらのセンサや制御基板は、燃料電池スタック20の運転に関わる制御を行うために設けられている。
【0028】
ケース内周辺部品30は、その一部が、燃料電池スタック20の一端側のエンドプレートに締結ボルト等により固定される。例えば、各種配管系要素がエンドプレートに取り付けられる。また、ケース内周辺部品30の一部は燃料電池スタック20の上面に取り付けられる。なお、ケース内周辺部品30の配置は上記のような配置に限定されるものではない。
【0029】
ケース10の外部には、その車両前方側及び側方(車幅方向側)にケース外周辺部品40が配設される。ケース外周辺部品40は、例えば、水素タンクとの接続配管、レギュレータ、酸素供給用のエアコンプレッサ、気液分離器、水素ポンプ、排出弁、冷却配管、又は、ウォータポンプ、冷却水を冷却するための熱交換器等である。水素タンクとの接続配管は、例えば、車両の前後方向に配設され、ケース10の側方に配設されている。これらのケース外周辺部品40は、例えばブラケットやマウント等の取付部材に固定されてケース10に近接して配設される。
【0030】
また、ケース10外である車両後方側には、車両側部品50が配設される。車両側部品50としては、車室との隔壁、又はフロアパネル等の車体フレームがある。また、燃料電池スタック20により発電した電気を蓄電するバッテリ、又は、車両駆動用の電気モータに供給する電圧を調整するための電圧変換器等がある。
【0031】
以上のように、ケース10の内部表面は、燃料電池スタック20の表面あるいはその周囲に配設されたケース内周辺部品30に面している。通常、これらのケース内周辺部品30とケース10の表面との間には、少なくとも一部の箇所において隙間が設けられる。従って、通常の取り扱いにおいてケース10に加えられる程度の振動や押圧によって生じる撓みでは、ケース10とケース内周辺部品30とは強く接触しない。但し、外部から大きな衝撃が加えられれば、燃料電池スタック20又はケース内周辺部品30がケース10の内壁に強く衝突する可能性もある。
【0032】
一方、ケース10の外部には、上記したような各種のケース外周辺部品40や車両側部品50が配設されている。この中には、ケース10の外壁に向かって突出する突起部41,51を備えたものもある。突起部41,51によっては、鋭角状の角部や細長い突起などの形状を有したものもある。従って、燃料電池車両1が何らかの物体と衝突して車両前後方向に所定の衝撃力を受けると、ケース外周辺部品40の突起部41がケース10に衝突したり、車両側部品50の突起部51がケース10に衝突したりする場合がある。
【0033】
本実施形態では、このような衝突が生じた場合、ケース10を形成するパネル16がその衝撃を緩和又は吸収するように、ケース基材14とラミネート補強材15とが一体となって変形する。これは、上述のとおり、パネル16が、ケース基材14に、弾力性及び伸縮性を有するラミネート補強材15を一体に接合したものだからである。
【0034】
従って、図3(a)に示すように、突起部41がパネル16に所定の衝撃力で衝突すると、金属薄膜15aの強度及びラミネートシート15bの弾力性により、図3(b)に示すように、パネル16の変形量はそれほど大きくならない。また、ラミネートシート15bの弾力性及び伸縮性により、突起部41がパネル16を貫通しにくい。従って、変形したパネル16がケース内周辺部品30あるいは燃料電池スタック20に強く接触しにくいので、ケース内周辺部品30あるいは燃料電池スタック20の損傷を抑制できる。また、貫通しにくいので、貫通による水の浸入を抑制できる。
【0035】
また、図3(c)に示すように、衝撃によって、パネル16がケース内周辺部品30に接触しても、ケース10の内部表面を構成するラミネートシート15bが絶縁性を有しているので、高電圧になっているケース内周辺部品30同士が短絡することを防止できる。つまり、ケース10は、絶縁不良に対する安全性が向上されている。
【0036】
これに対し、従来のラミネート補強されていない一層構造の金属材あるいは硬質樹脂等のパネル17を用いた燃料電池用ケースでは、図4(a)に示すように、突起部41の衝突によりパネル17の一部が破壊され、貫通孔が形成される。従って、図4(a)の矢印Aで示すように、ケース内部への水や異物の浸入が起こり、不具合が発生するおそれがある。また、突起部41の衝突による変形量が大きいため、ケースの変形した部位又は突起部41がケース内周辺部品30あるいは燃料電池スタック20に必要以上に接触して、ケース内周辺部品30あるいは燃料電池スタック20を損傷するおそれがある。また、図4(b)に示すように、金属製の燃料電池用ケースであれば、高電圧のケース内周辺部品30との接触により、短絡が発生するおそれがある。
【0037】
以上のように、本実施形態の燃料電池用ケース10によれば、ケース基材層14にラミネート補強材15を積層しているので、パネル16の弾力性及び伸縮性を全体として増大できる。これにより、突起部41、51が衝突しても、ケース10への衝撃が緩和されるので、ケース10の貫通抑制機能を向上できる。よって、ケース10内のケース内周辺部品30及び燃料電池スタック20の損傷を抑制できる。
【0038】
特に、本実施形態では、両面にラミネート補強材15を設けた3層構造のパネル16によりケース10全体を形成している。つまり、突起部41、51は必ずパネル16に面して配設されている。また、ケース内周辺部品30も衝撃時にケース10に衝突する可能性があるが、ケース内周辺部品30もパネル16に面して配設されている。このように、ケース10の内外に配された衝突可能性のある突起部には、全て、ラミネート補強材15を積層したパネル16が面している。したがって、ケース内外の突起部に衝突されても、ケース10の全面において、衝突部が貫通されにくいようになっている。
【0039】
また、本実施形態によれば、ケース10の薄肉化及び軽量化を図ることもできる。例えば、燃料電池用ケースがケース基材層のみからなる場合では、ケース基材層そのものを厚肉化するなどして、耐衝撃性を向上させる必要がある。しかし、このような構成では、燃料電池用ケースの重量が増して大型化してしまう。これに対し、本実施形態によれば、ラミネート補強材15をケース基材14に積層して、ケース10を構成しているので、ケース全体としてみれば、薄肉化及び軽量化を図ることが可能である。
【0040】
他の実施形態では、ラミネート補強材15をケース基材14の片面にのみ、例えば燃料電池用ケース10の内面側にのみ積層した2層構造のパネルを用いてもよい。2層構造でも、表面層であるラミネートシート15bによって弾力性、伸縮性及び絶縁性を有しており、また、金属薄膜15aによる補強効果もあるので、上記と同様の効果を得ることができる。また、ケース基材14として非導電性の材料である硬質樹脂等を用いれば、ラミネート補強材15を燃料電池用ケース10の外面側にのみ設けた構成であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0041】
他の実施形態では、ラミネート補強材15の両面にケース基材14が積層される構成であってもよい。
【0042】
また、別の実施形態では、ケース10の一部のみをパネル16で形成し、他の部位はケース基材14のみで形成してもよい。例えば、ケース10に向けてケース内外から鋭角状の角部や細長い突起が設けられた部位にのみ、ラミネート補強材15を設定してもよい。このようにすれば、ラミネート補強材15に用いる材料を削減でき、軽量化を図ることができる。
【0043】
また、ラミネート補強材15の素材は、金属と樹脂の二つの素材のみならず、多数の素材を組み合わせてもよい。また、1つの素材のみ、例えば樹脂層のみであってもよい。さらに、ラミネート補強材15で補強層形態は、薄膜やフィルム以外に、箔又は板材であってもよい。また、ラミネート補強材15の形態は、多孔質状、メッシュ状、織物状あるいは不織布状等の弾力性又は伸縮性のある構成が考えられるし、長繊維や短繊維を用いた素材が考えられる。これらの構成のうち、多孔質状、メッシュ状、織物状あるいは不織布状等の素材で弾力性又は伸縮性のある構成の層を用いれば、ケース10の貫通を抑制するのに好適である。また、素材と構成の組み合わせを種々変えて用いてもよい。但し、絶縁不良に対する安全性を向上させるには、ケース10の内側表面に絶縁層を設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る燃料電池用ケースを備えた燃料電池車両の構成を示す側面図である。
【図2】燃料電池用ケース及びその内外に配置された部品のレイアウトを示す配置図であり、(a)は側面配置、(b)は平面配置を示す図である。
【図3】燃料電池用ケースに突起部が衝突する前後の状態を示す断面図であり、(a)が衝突前、(b)及び(c)が衝突後のパネルを示す図である。
【図4】従来の構成の燃料電池用ケースに突起部が衝突した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 燃料電池車両、10 燃料電池用ケース、14 ケース基材(ケース基材層)、15 ラミネート補強材(補強層、ラミネート層)、20 燃料電池スタック、30 ケース内周辺部品、40 ケース外周辺部品、41 突起部、51 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単セルを積層してなる燃料電池スタックと、当該燃料電池スタックに付随する部品と、を内部に収容する燃料電池用ケースであって、
当該燃料電池用ケースの内外を区画するケース基材層と、
前記ケース基材層の少なくとも一部に積層され、前記ケース基材層よりも弾力性又は伸縮性が大きい補強層と、を備えた、燃料電池用ケース。
【請求項2】
前記補強層は、ラミネート層からなる、請求項1に記載の燃料電池用ケース。
【請求項3】
前記補強層は、多孔質状、メッシュ状、織物状、又は不織布状である、請求項1又は2に記載の燃料電池用ケース。
【請求項4】
前記補強層は、当該燃料電池用ケースの内部表面を構成するものであり、且つ、絶縁性を有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の燃料電池用ケース。
【請求項5】
前記補強層は、前記ケース基材層の両面に積層されている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料電池用ケース。
【請求項6】
前記ケース基材層は、前記補強層の両面に積層されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の燃料電池用ケース。
【請求項7】
当該燃料電池用ケースにおいて前記補強層がある領域は、当該燃料電池用ケースの外壁に向かって突出する当該燃料電池用ケース外の突起部に面する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の燃料電池用ケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−218240(P2008−218240A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54782(P2007−54782)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】