説明

燃料電池装置

【課題】燃料電池装置を構成するいくつかの成分の間に接触力を供給できる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池は膜電極接合体と2つのガス拡散層と2つの電流コレクタと2つの密封部材と流れ場プレートアッセンブリとを有する。前記膜電極接合体301は、膜を少なくとも1つ有し、2つのガス拡散層は、膜電極接合体301の両側に、それぞれ結合されている。流れ場プレートアッセンブリ10は、膜電極接合体301の両側面のうち第1側面において、膜電極接合体301に結合されている。膜電極接合体301、2つのガス拡散層302、2つの電流コレクタ303,304、および2つの密封部材20のうち少なくとも1つが、膜電極接合体301、2つのガス拡散層302、2つの電流コレクタ303,304、および2つの密封部材301をアッセンブルする前には、非平面状で、アッセンブルしたときに少なくとも一部が平面化する非平面状表面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権]
この出願は、2009年12月7日に出願された米国仮出願第61/267,387号の優先権の利益を主張するものであり、この仮出願の全てが、ここに参照として全体として取り込まれる。また、この出願は、上記米国仮出願第61/267,387号の優先権を主張した3つの係属中の出願に関連する。すなわち、第1に、発明の名称を「流れ場プレートアッセンブリ」とする2010年8月9日に出願された米国出願第12/853,096号、第2に、発明の名称を「平行な複数の流路を有する流れ場プレートアッセンブリ」とする2010年8月20日に出願された米国出願第12/860,421号、第3に、発明の名称を「モジュール化された燃料電池装置及び流れ場プレートアッセンブリ」とする2010年8月20日に出願された米国出願第12/860,460号である。また、この出願は、2010年3月12日に出願された台湾特許出願第099107220号の優先権の利益を主張するものであり、この出願の全てが、ここに参照として全体として取り込まれる。
【0002】
本発明は、燃料電池装置に関し、特に、接触力(contact force)供給成分を有する燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
流れ場プレートは、流体に関連する用途のために設計された構造を有するものであり、たとえば、1または2種以上の流体を運んだり、届けたり、分割したり、および/または、分配したりするための構造を有するものである。ここで、「流体」という用語は、広義な意味で用いられ、ある地点から他の地点まで流れることができるものであれば何でもよい。たとえば、流体としては、空気、気体、液体、粘性流体など、ある地点から他の地点間まで、それ自身が流れて移動することができるものや、流体の一部として、流れて移動することができるものが含まれる。
【0004】
具体例として、流れ場プレートの数多くの適用例の一つとして、燃料電池用途があり、燃料電池用途においては、流れ場プレートは、電力を発生させるための液体または気体状の、1または2種以上の「燃料」を、移送、案内、および/または分配するために用いられる。図1は、従来の燃料電池装置の一例を示す断面図である。図1を参照すると、たとえば、プロトン交換膜燃料電池(「PEMFC」として知られている。)などの、単一の燃料電池400は、主に、膜電極接合体410、二つのガス拡散層405,406、及び二つの流れ場プレート401,402を含む。図に示すように、二つのガス拡散層405,406は、膜電極接合体410を、その間に挟んでおり、二つの流れ場プレート401,402は、膜電極接合体410および二つのガス拡散層405,406を、その間に挟んでいる。各流れ場プレート401,402は、流路403,404のような1または2以上の流路が形成されており、各流路を反応流体が流れるようになっている。膜電極接合体410は、たとえば、プロトン交換膜409、陽極触媒層407、及び陰極触媒層408を備えている。通常、陽極および陰極触媒層407,408は、白金、または白金合金の成分を有しており、これらは触媒として作用し、燃料電池の電気化学反応を促進する。
【0005】
従来の燃料電池装置においては、電極やその他の接触成分などの内部成分に対して、限られた接触力しか提供できていない。そのため、燃料電池装置を構成するいくつかの成分の間に接触力を供給できる燃料電池装置を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本実施例に係る燃料電池は、膜電極接合体と、2つのガス拡散層と、2つの電流コレクタと、2つの密封部材と、流れ場プレートアッセンブリと、を有する。前記膜電極接合体は、燃料電池反応のための膜を少なくとも1つ有し、前記2つのガス拡散層は、前記膜電極接合体の両側に、それぞれ結合されている。前記2つの電流コレクタは、前記2つのガス拡散層に、それぞれ結合されており、前記2つの密封部材は、前記2つの電流コレクタに、それぞれ結合されている。前記流れ場プレートアッセンブリは、前記膜電極接合体の両側面のうち第1側面において、前記膜電極接合体に、結合されており、前記膜電極接合体は、前記流れ場プレートアッセンブリと前記膜電極接合体の前記第1側面との間に、前記2つのガス拡散層のうち対応する少なくとも1つ、前記2つの電流コレクタのうち対応する少なくとも1つ、および、前記2つの密封部材のうち少なくとも1つ有している。前記流れ場プレートアッセンブリは、前記膜のうちの1つの膜と結合するための露出側面を有する流路を有している。
【0007】
さらに、いくつかの実施例において、前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材のうち少なくとも1つが、(前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材をアッセンブルする前において)、アッセンブルしたときに少なくとも一部が平面化する非平面状表面を有する。いくつかの実施例において、前記膜電極接合体、前記2つの電流コレクタのうち少なくとも一方が、前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材をアッセンブルする前には、非平面状であり、アッセンブルしたときに少なくとも一部が平面化する非平面状表面を有する。
【0008】
他の実施例において、燃料電池システムは、ホルダーと、複数の燃料電池モジュールを有する。前記ホルダーは、前記燃料電池システムに燃料電池モジュールの搭載部を提供し、かつ、前記ホルダーは、流入流体を供給するためのチャンネルを有する。前記複数の燃料電池モジュールは、ホルダーに搭載されるためのエッジをそれぞれ有し、前記複数の燃料電池モジュールは、前記ホルダーの周囲に放射状に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、従来の燃料電池を示す断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施例に係る燃料電池モジュールの分解概略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施例に係る燃料電池モジュールの側面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施例に係る燃料電池モジュールの側面図である。
【図2D】図2Dは、本発明の一実施例に係る複数の流路を接続する第1マニホールドおよび第2マニホールドを有する流れ場プレートアッセンブリの断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例に係る密封部材により取り囲まれた電流コレクタを示す概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施例に係るキャリア上に形成された電流コレクタの正面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施例に係るキャリアの電流コレクタおよび受け入れスロットのエッジ構造を示す断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aに示す本発明の一実施例に係るキャリア上に設置された電流コレクタのX1−X2線に沿う断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施例に係る電流コレクタの側面図である。
【図5B】図5Bは、他の実施例に係る電流コレクタの側面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例に係る複数の燃料電池モジュールを備える燃料電池システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【0011】
以下においては、燃料電池モジュールをアッセンブルする際またはアッセンブルされた燃料電池モジュール内において、接触力を提供する非平面状表面を供給可能な構造を有する1または2以上の成分を有する燃料電池モジュールの実施例について開示する。いくつかの実施例においては、電流コレクタまたは他の成分が、膜電極接合体に対して突出した曲面状あるいは多角形状の表面を有する。いくつかの実施例においては、システムデザイン、用途あるいは他の要因に応じて、前記接触力は、電気伝導性、電気的接触の安定性、および/または長期間における信頼性を提供することができる。
【0012】
図2Aは、本発明の実施例に係る燃料電池モジュールの分解概略図である。図2Bは、本発明の一実施例に係る燃料電池モジュールの側面図であり、アッセンブルされる前およびアッセンブルされた後の構成を示している。図2A、図2Bを参照すると、一実施例において、燃料電池モジュールFは、2つのインターフェースユニットKと、2つのインターフェースユニットKの間に配置され、あるいは、これらの間に結合された流れ場プレートアッセンブリ10(fluid flow plate assembly)とを含む。流れ場プレートアッセンブリ10は、複数の流路(fluid flow channel)Cを有し、複数の流路Cは、図に示すように、流れ場プレート10の一方の表面または両側の表面のそれぞれに形成され、2つのインターフェースユニットKにそれぞれ向かい合う。
【0013】
インターフェースユニットKのうち、1方または両方は、密封部材(sealing member)20と、膜電極接合体(membrane electrode assembly)301と、1または2以上のガス拡散層(gas diffusion layer)302(図中、前のものを示した)と、(直接または間接的に)互いに結合された2つの電流コレクタ(current collector)303,304と、を含み、これらは図示された順で、あるいは異なる順で配置される。いくつかの実施例においては、インターフェースユニットKは、電流コレクタ304に直接または間接的に結合されたキャリア40を含む。一実施例においては、2つのガス拡散層302は、膜電極接合体301の両側の表面に、それぞれ結合または取り付けられる。これらの結合は、たとえばホットプレスなどの種々の接合技術により、直接または間接的に行われる。取り付け技術の例としては、射出成形、ホットプレスまたは接着などが挙げられる。各2つの電流コレクタ303,304は、1つの側面において、2つのガス拡散層のうち1つにそれぞれ結合され、他の側面において、2つの密封部材20のうち1つにそれぞれ結合される。いくつかの実施例において、密封部材20は、射出成形、ホットプレスおよび/または接着により、2つの電流コレクタ303,304に、それぞれ取り付けられる。さらに、密封部材20は、ホットプレスにより、膜電極接合体301の2つの両側の表面に、それぞれ結合される。
【0014】
一実施例において、電流コレクタ304は、キャリア40上に配置され、膜電極接合体301に向かって盛り上がって突出している。いくつかの実施例においては、図2A、図2Bに示すように、1または2以上の成分(膜電極接合体301、2つのガス拡散層302、2つの電流コレクタ303,304および2つの密封部材20)は、非平面状表面(non-planar surface)を有し、燃料電池モジュールをアッセンブルするための接触力を供給する。いくつかの実施例においては、接触力は、アッセンブルした後も、燃料電池モジュール内に残ることとなる。
【0015】
図2Aを参照すると、流れ場プレートアッセンブリ10は、インターフェースユニットKと向かい合ってなる複数の流路Cを有しており、また、流れ場プレートアッセンブリ10は、他のインターフェースユニットKと向かい合う反対側の面にも、流路Cを有している。一実施例において、流れ場プレートアッセンブリ10は、長方形構造あるいは実質的に長方形構造となっている。一実施例においては、流れ場プレートアッセンブリ10は、図2Dに示すように、流路Cを連結する第1マニホールド11および第2マニホールド12を含んでいる。
【0016】
反応/流入流体は流れ場プレートアッセンブリ10の流体入口11aを通って、第1マニホールド11に入る。流入流体の一部は、たとえば、インターフェースユニットKの膜に対して露出した反応領域など、流路中に放出された流体(放出流体)のための露出した反応領域を有する流路Cを流れ、これにより、燃料電池の電気化学反応が促進される。言い換えれば、流路Cは、インターフェースユニットKの膜と結合した露出側面を有している。流体は、部分的にあるいは完全に反応し、第2マニホールド12に排出され、そして、排出された流体は、流れ場プレートアッセンブリ10の流体出口12aを通って、流れ場プレートアッセンブリ10から出て行くこととなる。
【0017】
特に、いくつかの実施例においては、図2Dに示すように、流れ場プレートアッセンブリ10は、第1マニホールド11、第2マニホールド12、第1マニホールド11と第2マニホールド12との間に結合された流路Cを有する。第1マニホールド11は、その右端部に流入流体を受け入れるための流体入口11aを有し、第1方向(たとえば、流れ場プレートアッセンブリ10の右側面側から左側面側の方向)に沿って延びており、流入流体の一部を第1方向に沿って移送するためのチャンネルを形成する。第2マニホールド12は、その左端部に、排出流体、および、部分的にあるいは完全に反応した流入流体を一部含有する排出流体を、排出するための流体出口12aを有する。第2マニホールド12は、第2方向(たとえば、流れ場プレートアッセンブリ10の右側面側から左側面側の方向)に沿って延びており、排出流体の一部を第2方向に沿って移送するためのチャンネルを形成する。第1方向および第2方向は、いずれも、流路の流体分配平面と実質的に平行とされている。流路の例としては、図2Aに示すような、少なくとも2つの方向(垂直方向および水平方向)に、分配平面に沿って延びた流路Cが例示される。
【0018】
第1マニホールド11は、第1マニホールド11に形成された1または2以上の流体分配出口(第1マニホールド11と流路との間に形成された開口)を介して、流入流体を放出する。第2マニホールド12は、第2マニホールド12に形成された1または2以上の排出流体入口(第2マニホールド12と流路との間に形成された開口)を介して、排出流体を受け入れる。各流路Cは、図2Aに示すように、第1マニホールドから放出された流体の少なくとも一部を分配するために、第1マニホールド11の1つの分配出口と、第2マニホールド12の1つの排出流体入口と、を結んでいる。一実施例において、流路Cは、少なくとも2つの方向に、かつ、インターフェースユニットKのコンタクト表面に対応する面に平行に形成された流体分配面に、実質的に沿うように延びた、複数の流路セクションを有していてもよい。その結果として、放出された流体の一部が、流路Cを通って流れて、分配出口を通り、排出流体として、第2マニホールド12まで流れていく。第1方向および第2方向は、流体分配面と実質的に平行である。
【0019】
図2Cは、本発明の一実施例に係る燃料電池モジュールの側面図である。図2Cを参照すると、燃料電池モジュールFは、流れ場プレートアッセンブリ10とインターフェースユニットKとをアッセンブルすることにより形成される。一実施例においては、インターフェースユニットKが、流れ場プレートアッセンブリ10とアッセンブルされることにより、インターフェースユニットKに備えられた屈曲した、または非平面(non-planar)状の部材が、平面化あるいは部分的に実質的に平面化される。いくつかの実施例においては、非平面状部材がゆがむことで、上述した接触力を発生させる。
【0020】
図3に示すように、密封部材20は、射出成形、ホットプレスまたは接着により、第1電流コレクタ303を取り囲むように取り付けられている。同様に、密封部材20は、膜電極接合体301と互いにホットプレスされることにより、膜電極接合体301に結合されている。流れ場プレートアッセンブリ10および膜電極接合体301は、反応流体の漏出を防止するために、強固に結合されている。実施例のひとつとして、2つの電流コレクタ(ここでは303を示している。)は、膜電極接合体301に向かって盛り上がって突出した、非平面状表面を有しており、これによって、2つの電流コレクタにより、それぞれ対応するガス拡散層302(および、膜電極接合体301)に対して、接触力が供給される。図2Bに示すように、図2Bの左に示すアッセンブルする前のインターフェースユニットKにおける、接触力は、右方向に向かう横の力であり、図2Bの左に示すアッセンブルした後のインターフェースユニットKの接触力は、左方向に向かう横の力である。
【0021】
図4Aは、本発明の一実施例に係るキャリア上に形成された電流コレクタの正面図である。図4Aを参照すると、キャリア40(あるいは、いくつかの実施例においては、電流コレクタ304上に積層された流れ場プレートアッセンブリにより供給される外側フレーム)は、燃料電池モジュールの燃料交換または燃料電池反応を可能とするために、電流コレクタ304の所定の領域を露出するための開口を提供する。
【0022】
図4Bは、本発明の一実施例に係るキャリアの電流コレクタおよび受け入れスロットのエッジ構造を示す断面図である。上述した実施例では、インターフェースユニットKの非平面状部材が、外部装置または上述した種々の取り付け技術により、インターフェースユニットKの他の部材に取り付けられる。いくつかの実施例においては、インターフェースユニットKの非平面状部材は、たとえば、突出部や、フランジ構造、フック構造あるいはディタムなどの、インターフェースユニットKの他の部材と相互に作用するための特定のエッジ構造を有している。エッジ構造は、1方、または両方のエッジ(たとえば、図2B中において、電流コレクタ303の上側および下側のエッジ)位置に設定される。
【0023】
このようなエッジ構造の一例としての図4Bを参照すると、一実施例に係る電流コレクタ304は、屈曲し突出した構造を有するとともに、エッジ構造を有することができる。このようなエッジ構造としては、突出部、フック、ベンド、フランジ、あるいは、L型または角度を有するエッジ延伸部が挙げられる。一実施例においては、たとえばエッジ構造3041(ひとつだけ示した。)などの、電流コレクタ304の一方または両方の端部に設けられた1または2以上のエッジ構造は、キャリア40などの隣接する部材のスロット41(ひとつだけしか示さなかったが、両方のエッジに存在する。)の中に入り、スロット41に係合する。図4Aは、本発明の一実施例に係る電流コレクタ304の上側エッジ上または上側エッジ付近に配置される複数のエッジ構造を示す図である。
【0024】
図4Bを参照すると、スロット41は、エッジ構造3041がスロット41内において動けるような空間を提供している。電流コレクタ304とキャリア40とがお互いに、あるいは、(たとえば、図2Aに示す矢印Aの方向に沿って)膜電極接合体301に向かって押された場合、エッジ構造3041は、スロット41に内において、表面をスライドする。図4Cは、図4Aに示す本発明の一実施例に係るキャリア上に設置された電流コレクタのX1−X2線に沿う断面図である。図4Cを参照すると、エッジ構造3041は、スロット41内において、表面をスライドすることができる。いくつかの実施例においては、エッジ構造3041、スロット41のデザイン、これらの大きさ、および、エッジ構造3041が、対応する受け入れスロット41を移動する距離、あるいは他の因子や構造は、接触力を調整あるいは制御するために、変化させることができる。いくつかの実施例においては、電流コレクタ304は、燃料電池モジュールFのアッセンブリを行う際に、押されて、平面化または部分的に実質的に平面化する。平面化された電極コレクタ304に生じた接触力、または燃料電池モジュールFの他の成分の平面化された表面に生じた接触力は、燃料電池モジュールF内における強固な接触を供給する。これにより、ガス拡散層302と第2電流コレクタ304との間の接触抵抗を減らすことができる。エッジ構造を用いないいくつかの実施例においては、インターフェースユニットKの複数の層が強固に押され、互いにくっつけられる前またはくっつけられる時に、インターフェースユニットKは、その耐性をなお持ち続けており、これにより、1または2以上の材料の固有の柔軟性、あるいは、異なる層間における層間を伝わる柔軟性に基づいて、1または2以上の非平面部材が、平面化されあるいは部分的に実質的に平面化され(これにより、垂直方向および水平方向に延伸され)るようにする。
【0025】
図5Aは、本発明の一実施例に係る電流コレクタの側面図である。一実施例においては、電流コレクタ304は、図5Aに示すように曲面プロファイルを有する。電流コレクタ304、あるいは、燃料電池モジュールFの他の成分の種々の非平面状の表面(あるいは、表面プロファイル)は、接触力を提供するために用いられる。図5Bは、他の実施例に係る電流コレクタの側面図である。図5Bを参照すると、電流コレクタ304は、いくつかの実施例において、多角形の突出構造を有するものとすることができ、この多角形の突出構造は、一実施例において、平面状の表面3042を有するものとすることができる。平面状の表面3042は、図2Aに示すように、膜電極接合体301およびガス拡散層302と実質的に平行なものとすることができる。いくつかの実施例において、平面状の表面3042は、ガス拡散層302と電流コレクタ304とを強固に接触させることができ、これにより、これらの間の接触抵抗を低減することができる。平面状の表面3042を有する電流コレクタ304として、平面状の表面3042の2つの外側エッジにおいて、角度を有する屈曲部(angled bend)を有するものを例示したが、湾曲したエッジや他の屈曲形体を適用することも可能である。
【0026】
図6は、本発明の一実施例に係る複数の燃料電池モジュールを備える燃料電池システムを示す概略図である。図6を参照すると、複数の燃料電池モジュールからなる燃料電池装置は、ホルダーH、またはベースB、あるいはこれらの両方の上に、複数の燃料電池モジュールFを搭載させることにより形成される。一実施例においては、ホルダーHは、各燃料電池モジュールの側部のエッジあるいは側面に結合され、これにより、ホルダーHは、燃料電池システムに、燃料電池モジュールを搭載する役割を果たしている。ホルダーHは、燃料電池モジュールに備えられた各第1マニホールドに対して、流入流体を供給するための(あるいは、燃料電池モジュールに備えられた各第2マニホールドからの排出流体を排出するための)チャンネルH21を有している。ベースBは、一実施例において、流体分配ベースであり、この流体分配ベースは、ホルダーHのチャンネルH21と燃料電池モジュールFとの間に結合され、これにより、流入流体を複数の燃料電池モジュールに分配する。特に、ベースBは、ホルダーH内のチャンネルに結合した流体流入入口(または、出口)、および、燃料電池モジュールの各第2マニホールドから通じている複数の流体出口(または、入口)を有している。一実施例においては、複数の燃料電池モジュールは、ホルダーHの周りに放射状に配置される。
【0027】
あるいは、燃料電池モジュールFは、ベースBに固定され、かつ、ホルダーHの周りに放射状に配置された構成とすることができる。特に、反応流体は、ホルダーHのチャンネルH21から入ることができ、反応流体は、ホルダーHおよびベースBを通って、燃料電池モジュールFに流れる。そして、反応流体は、燃料電池モジュールFの第2マニホールド12を通って、図6に矢印で示す方向に、排出される。
【0028】
上述した実施例によれば、非平面状であり、突出した構造を有する電流コレクタやその他の成分を備えた燃料電池モジュールが提供される。いくつかの実施例においては、上記構造は、燃料電池モジュール内において、たとえば、ガス拡散層と電流コレクタとの間の強固な接触を形成させるための、および/または、これらの間の接触抵抗を低減させるための接触力を提供することができる。いくつかの実施例において、ホルダー、またはベース、あるいはこれらの両方に、複数の燃料電池モジュールが搭載されてなる燃料電池システムによれば、小型化されたシステム、または容易に組み立てできるシステムを提供することができる。上記システムは、電子装置、輸送機器、車、軍用設備、または航空宇宙産業などの分野に適応することができる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能である。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とし、さらには、その均等の範囲も含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10 流れ場プレートアッセンブリ
11 第1マニホールド
11a 流体入口
12 第2マニホールド
12a 流体出口
20 密封部材
301 膜電極接合体
302 ガス拡散層
303 第1電流コレクタ
304 第2電流コレクタ
3041 エッジ構造
3042 平面状表面
40 キャリア
41 スロット
C 流路
F 燃料電池モジュール
K インターフェースユニット
H ホルダー
B ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池反応のための膜を少なくとも1つ有する膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の両側に、それぞれ結合された2つのガス拡散層と、
前記2つのガス拡散層に、それぞれ結合された2つの電流コレクタと、
前記2つの電流コレクタに、それぞれ結合された2つの密封部材と、
前記膜電極接合体の両側面のうち第1側面において、前記膜電極接合体に、結合される流れ場プレートアッセンブリと、を有する燃料電池モジュールであって、
前記膜電極接合体は、前記流れ場プレートアッセンブリと前記膜電極接合体の前記第1側面との間に、前記2つのガス拡散層のうち対応する少なくとも1つ、前記2つの電流コレクタのうち対応する少なくとも1つ、および、前記2つの密封部材のうち少なくとも1つを有しており、
前記流れ場プレートアッセンブリは、前記膜のうちの1つの膜と結合するための露出側面を有する流路を有し、
前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材のうち少なくとも1つが、前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材をアッセンブルする前には、非平面状であり、かつ、アッセンブルしたときに少なくとも一部が平面化する非平面状表面を有することを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
前記2つの電流コレクタのうち少なくとも1つが、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する非平面状表面を有し、前記2つのガス拡散層のうち対応する一つに対して、前記2つの電流コレクタのうち少なくとも一方により、接触力を供給できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項3】
前記複数の密封部材が、射出成形、ホットプレス、および接着のいずれか一つにより、前記電流コレクタにそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項4】
前記複数のガス拡散層は、ホットプレスによって、前記膜電極接合体の対向する2つの面にそれぞれ結合されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項5】
前記複数の密封部材は、ホットプレスにより、前記膜電極接合体の両面に、それぞれ結合されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項6】
前記非平面状表面は、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する湾曲構造を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項7】
前記非平面状表面は、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する多角形状の構造を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項8】
前記多角形状の構造は、前記膜電極接合体と実質的に平行な平面状の表面を有することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池モジュール。
【請求項9】
前記非平面状表面に対するキャリアをさらに備え、前記キャリアは、前記非平面状表面のエッジ構造を受け入れるためのスロットを有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項10】
前記非平面状表面が押されたときに、前記エッジ構造はスロット中でスライドすることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池モジュール。
【請求項11】
前記流れ場プレートアッセンブリは、
流入流体を受け入れるための流体入口を有し、第1方向に延伸し、前記流入流体の一部を第1方向に沿って移送するための流路を提供する第1マニホールドと、
前記流入流体の一部からなる排出流体を排出するための流体出口を有し、第2方向に延伸し、前記排出流体の一部を第2方向に沿って移送するための流路を提供する第2マニホールドと、
前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に結合される少なくとも1つの流路と、をさらに備え、
前記第1マニホールドは、前記流入流体のうち少なくとも一部を、少なくとも1つの分配出口から放出流体として放出し、
前記第2マニホールドは、少なくとも1つの排出流体入口から、前記排出流体を受け入れ、
前記流路は、放出流体の少なくとも一部を分配するための前記分配出口と前記排出流体入口との間に結合され、前記流路は、流体分配面に実質的に沿って、少なくとも2つの方向に延びた複数の流路セクションを有し、これにより、前記放出流体の一部が、少なくとも一つの流路を通り、排出流体の一部として、少なくとも1つの前記排出流体入口まで流れるようになっており、
前記第1方向が、前記流体分配面に実質的に平行であり、かつ、前記第2方向が、前記流体分配面に実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池モジュール。
【請求項12】
複数の燃料電池モジュールを備える燃料電池システムに搭載するための燃料電池モジュール搭載部を供給するために、前記燃料電池モジュールのエッジに結合されたベースまたはホルダーをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池モジュール。
【請求項13】
燃料電池反応のための膜を少なくとも1つ有する膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の両側に、それぞれ結合された2つのガス拡散層と、
前記2つのガス拡散層に、それぞれ結合された2つの電流コレクタと、
前記2つの電流コレクタに、それぞれ結合された2つの密封部材と、
前記膜電極接合体の両側面のうち第1側面において、前記膜電極接合体に、結合される流れ場プレートアッセンブリと、を有する燃料電池モジュールであって、
前記流れ場プレートアッセンブリは、前記2つのガス拡散層のうち対応する少なくとも1つ、前記2つの電流コレクタのうち対応する少なくとも1つ、および、前記2つの密封部材のうち少なくとも1つが、前記流れ場プレートアッセンブリと前記膜電極接合体の前記第1側面との間に位置するように、前記膜電極接合体に結合され、
前記流れ場プレートアッセンブリは、前記膜のうちの1つの膜と結合するための露出側面を有する流路を有し、
前記膜電極接合体、前記2つの電流コレクタのうち少なくとも一方が、前記膜電極接合体、前記2つのガス拡散層、前記2つの電流コレクタ、および前記2つの密封部材をアッセンブルする前には、非平面状であり、アッセンブルしたときに少なくとも一部が平面化する非平面状表面を有することを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項14】
前記2つの電流コレクタのうち少なくとも一方が、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する非平面状表面を有し、前記2つのガス拡散層のうち対応する一つに対して、前記2つの電流コレクタのうち少なくとも一方により、接触力を供給できるようになっていることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項15】
前記複数の密封部材が、射出成形、ホットプレス、および接着のいずれか一つにより、前記電流コレクタにそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項16】
前記非平面状表面は、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する湾曲構造を有することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項17】
前記非平面状表面は、前記膜電極接合体の方向に向かって突出する多角形状の構造を有することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項18】
前記多角形状の構造は、前記膜電極接合体と実質的に平行な平面状の表面を有することを特徴とする請求項17に記載の燃料電池モジュール。
【請求項19】
前記非平面状表面に対するキャリアをさらに備え、前記キャリアは、前記非平面状表面のエッジ構造を受け入れるためのスロットを有することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項20】
前記非平面状表面が押されたときに、前記エッジ構造はスロット中にスライドすることを特徴とする請求項19に記載の燃料電池モジュール。
【請求項21】
前記流れ場プレートアッセンブリは、
流入流体を受け入れるための流体入口を有し、第1方向に延伸し、前記流入流体の一部を第1方向に沿って移送するための流路を提供する第1マニホールドと、
前記流入流体の一部からなる排出流体を排出するための流体出口を有し、第2方向に延伸し、前記排出流体の一部を第2方向に沿って移送するための流路を提供する第2マニホールドと、
前記第1マニホールドと前記第2マニホールドとの間に結合される少なくとも1つの流路と、をさらに備え、
前記第1マニホールドは、前記流入流体のうち少なくとも一部を、少なくとも1つの分配出口から放出流体として放出し、
前記第2マニホールドは、少なくとも1つの排出流体入口から、前記排出流体を受け入れ、
前記流路は、放出流体の少なくとも一部を分配するための前記分配出口と前記排出流体入口との間に結合され、前記流路は、流体分配面に実質的に沿って、少なくとも2つの方向に延びた複数の流路セクションを有し、これにより、前記放出流体の一部が、少なくとも一つの流路を通り、排出流体の一部として、少なくとも1つの前記排出流体入口まで流れるようになっており、
前記第1方向が、前記流体分配面に実質的に平行であり、かつ、前記第2方向が、前記流体分配面に実質的に平行であることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項22】
複数の燃料電池モジュールを備える燃料電池システムに搭載するための燃料電池モジュール搭載部を供給するために、前記燃料電池モジュールのエッジに結合されたベースまたはホルダーをさらに有することを特徴とする請求項13に記載の燃料電池モジュール。
【請求項23】
前記燃料電池システムに燃料電池モジュールの搭載部を提供するホルダーと、
複数の燃料電池モジュールと、を備える燃料電池システムであって、
前記ホルダーは、流入流体を供給するためのチャンネルを有し、
前記複数の燃料電池モジュールは、前記ホルダーに搭載されるためのエッジをそれぞれ有し、前記複数の燃料電池モジュールは、前記ホルダーの周囲に放射状に配置されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項24】
前記ホルダーのチャンネルと前記複数の燃料電池モジュールとの間に結合され、前記複数の燃料電池モジュールに前記流入流体を分配するための流体分配ベースをさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の燃料電池システム。
【請求項25】
前記流体分配ベースは、前記複数の燃料電池モジュールに前記流入流体を分配するために、前記ホルダーの前記チャンネルに結合される請求項24に記載の燃料電池システム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−119230(P2011−119230A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−215995(P2010−215995)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】